著者
阿部 百合
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.900-906, 2019-08-15

今日,データサイエンス教育や統計教育の必要性が高まっている一方,高等学校教科情報の中には問題解決学習が含まれている.本解説では,この両者を組み合わせ,問題解決において統計を取り入れる授業を設計し実施していることについて報告している.授業でのデータ処理にはPython言語を用いている.これは,生徒に計算はさまざまな道具を使ってできるものであることに気付かせるためである.本解説ではPythonを使用するための環境設定や進め方の工夫についても紹介している.生徒の反応についても好意的であった.
著者
佐鹿 万里子 阿部 豪 郡山 尚紀 前田 健 坪田 敏男
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
巻号頁・発行日
pp.256, 2013 (Released:2014-02-14)

【背景】近年,エゾタヌキ Nyctereutes procyonoides albusの地域個体数減少が報告されており,この原因として疥癬やジステンパーなどの感染症や外来種アライグマの影響が考えられているが,その原因は明らかとなっていない.そこで本研究では,エゾタヌキ(以下,タヌキとする)を対象に,ホンドタヌキで集団感染死が報告されているイヌジステンパーウイルス(Canine distemper virus:以下,CDVとする)について疫学調査を行った.【材料と方法】調査地域は,2002~ 2004年に重度疥癬タヌキが捕獲され,さらにタヌキ個体数減少も確認されている北海道立野幌森林公園を選定した.2004~ 2012年に同公園内で捕獲されたタヌキ 111頭において麻酔処置下で採血を行うと同時に,マイクロチップの挿入と身体検査を行った.血液から血漿を分離し,CDVに対する中和抗体試験を行った.【結果】CDVに対する抗体保有率は 2004年:44.4%,2005年:8.3%,2006年:14.3%,2007年:11.1%,2008年:7.7%,2009年:54.5%,2010年:8.3%,2011年:0%,2012年: 0%であった.また,同公園内では 2003年に 26頭のタヌキが確認されたが,2004年には 9頭にまで激減し,その後,2010年までは 10頭前後で推移していた.しかし,2011年は 18頭,2012年には 16頭のタヌキが確認され,タヌキ個体数が回復傾向を示した.【考察】抗体保有率は 2004年および 2009年に顕著に高い値を示したことから,同公園内では 2004年と 2009年に CDVの流行が起きた可能性が示唆された.また,2002~ 2004年には,同公園内で疥癬が流行していたことが確認されているため,同公園内では CDVと疥癬が同時期に流行したことによってタヌキ個体数が減少したと考えられた.
著者
阿部 裕 木嶋 麻乃 山口 未来 伊藤 裕才 六鹿 元雄 穐山 浩 佐藤 恭子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.38-44, 2019-06-25 (Released:2019-08-07)
参考文献数
11
被引用文献数
2

国内の市販ポリ塩化ビニル(PVC)製おもちゃに使用されている可塑剤の実態を明らかにするため,2014年度に購入したPVC製おもちゃ約500検体の可塑剤を調査した.その結果,テレフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHTP)など15種類の可塑剤が検出された.その種類は2009年度に購入した試料の調査と大きく変わらなかった.おもちゃからの検出率はDEHTPが最も高く,指定おもちゃでは60.3%,指定おもちゃ以外では73.7%であり,2009年度の調査と比べいずれも20ポイント以上高い値であった.指定おもちゃにおいて使用が禁止されている6種類のフタル酸エステル類(PAEs)は引き続き使用されていなかった.一方,指定おもちゃ以外からは6種類のうち4種類が検出され,検出率は2.8~15.5%であったが,2009年度の調査と比べ10~26ポイント低い値であった.一方,試料あたりの可塑剤総含有量の平均値は2009年度の調査に比べて低い値であった.このように,現在国内で流通するPVC製おもちゃに使用されている主な可塑剤はDEHTPであり,可塑剤の使用量は減少していることが明らかとなった.
著者
齋藤 智也 福島 和子 阿部 圭史 氏家 無限 梅木 和宣 大塚 憲孝 松本 泰治 難波江 功二 中谷 祐貴子 中嶋 建介
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.105-114, 2015-06-25 (Released:2016-02-27)
参考文献数
27

わが国では,エボラ出血熱は,感染症法の一類感染症に位置づけられている.しかしながら,平成11年の感染症法の施行以降,これまで一類感染症であるウイルス性出血熱の感染が疑われる患者検体の検査を国立感染症研究所で実施することはあったものの,国内で感染が確認された患者はいない. 平成26年の西アフリカでのエボラ出血熱流行に対しては,厚生労働省でも3月のギニアからの第一報から情報収集を継続して状況を注視し,対応を行っていたが,8月より検疫対応及び国内対応の強化を開始した.10月末にはエボラ出血熱等対策関係閣僚会議が設置され,政府一丸となった対応を開始するに至った.一連の対応は,国内発生が非常に稀なウイルス性出血熱のような輸入感染症に対する対応体制を大きく底上げした一方で,様々な教訓を残した.今回の流行が終息したとしても,国際的なウイルス性出血熱のアウトブレイク発生リスクは今後も変わらない.今回の知見と経験を踏まえ,国内対応の観点からは,マニュアル等の改善,継続的な訓練の実施による一類感染症等に対する感染症危機管理体制の維持・向上のほか,国際的な対応への貢献という観点からも,人材育成等を推進していくことが重要である.
著者
阿部 雅子
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.239-250, 1987
被引用文献数
3 5

鼻腔構音と称していた構音障害について観察し, 以下の知見を得た.<BR>1) 鼻咽腔構音の音声をサウンドスペクトログラフにて分析した結果, 破裂音や摩擦音に相当する部位に, 低音部から高音部にわたるspike fillやフォルマント構造をもつ弱い雑音成分が認められた.また, 母音に相当する部分には鼻腔共鳴をあらわすフォルマントが認められた.<BR>2) X線映画, ファイバースコープ, ダイナミックパラトグラフにより, 構音器官の動態を観察した結果, 鼻咽腔構音の構音点は鼻咽腔閉鎖の行われる場所にあり, 破裂や摩擦の音は軟口蓋と咽頭壁でつくられる.そして, その際, 舌が口蓋に接して口腔が閉鎖され, 呼気や音声は鼻腔から出されることが明らかになった.<BR>3) この構音障害を表わす用語を検討した結果, 「鼻咽腔構音」 (nasopharyngeal articulation) が適切であると考えた.
著者
瀧澤 俊也 成田 紘一 渡邉 一弘 阿部 秀樹 加藤 正 タキザワ トシヤ ナリタ コウイチ ワタナベ カズヒロ アベ ヒデキ カトウ タダシ Toshiya TAKIZAWA Koichi NARITA Kazuhiro WATANABE Hideki ABE Tadashi KATOH
雑誌
東北薬科大学研究誌
巻号頁・発行日
vol.54, pp.33-47, 2007-12

Spiruchostatin A (1), isolated from a culture broth of Pseudomonas sp., has been shown to be a potent histone deacetylase (HDAC) inhibitor. HDAC inhibitors can suppress the growth of human tumor xenografts, this natural product, therefore, is expected to be a promising candidate for novel molecular-targeted anticancer agents. We envisioned that 1 would be synthesized through twofold macrolactam/macrolactone cyclization of the fully elaborated acyclic disulfide 2. The key segments 3 and 4, required for the preparation of the advanced key intermediate 2, were initially synthesized, and the two segments were subsequently subjected to the critical cross S-S coupling reaction to produce the desired key intermediate 11 (synthetically equivalent to 2). Upon deprotection of the N-Boc and the methyl ester groups in 11, the crucial cyclization formation was achieved using PyBOP to provide the desired macrolactam 16, a potential key precursor for 1. Further investigations concerning the transformation of 16 to the target molecule 1 were also described.
著者
阿部 怜奈 秋本 高明
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.309, 2015

人位置計測システムを利用して外出しようとする高齢者などを検出し,介護者に通知することや,ロボットなどが話しかけたりするなどしておだやかに高齢者の外出を防止することができるようなシステムの研究について述べる.これまでの研究で,人位置計測システムで検出した部屋の中にいる人の位置を比較し,出入口付近にいれば警告文を出す機能を作成した.今後,ロボットなどを使った外出防止手段の機能について研究開発を進める予定である.