著者
高橋 伸夫 中野 剛治
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.2, no.10, pp.481-530, 2003-10-25 (Released:2018-03-19)
参考文献数
29
被引用文献数
4

ややもすると特許件数やロイヤルティー収入の額に目が行きがちな大学の技術移転を産学連携の現場の視点から捉え直す。そこは、マーケッタビリティーを機軸とする営業活動の中で、大学と大学に所属する研究者の権利をいかに守るかのせめぎ合いの現場である。真の技術移転とは特許の移転ではない。特許を作り出せるだけの技術をもった人の移転である。研究教育機関としての大学の真価はそこにある。
著者
荏原 実千代 高橋 伸佳 山崎 正子 赤城 建夫
出版者
社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.249-258, 2006 (Released:2006-05-01)
参考文献数
24
被引用文献数
6 1

小児の高次脳機能障害を評価するために必要なコントロール値作成のため,成人用検査を6~18歳の健常児133名に行った.行ったのはウエクスラー記憶検査(WMS-R),Trail making testなどの注意機能検査,Wisconsin card sorting test—慶応—F-S version(WCST)および標準失語症検査(SLTA)である.WMS-Rで記銘力は12歳で16~17歳レベルの90%以上に達していた.注意機能も14歳まで急速に発達し以後ほぼ一定になった.SLTAでは6~7歳で90~100%の正答率を示す項目が多いが,8~12歳で90~100%の正答率に達する項目もあった.一方,WCSTの処理能力は10歳まで向上後思春期に停滞し,16歳以降再び向上する2段階の発達を示した.これらの検査を小児に用いる場合にはWISC-III知能検査と組み合わせて,総合的に評価する必要がある.
著者
高橋 伸夫
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.2, no.8, pp.339-366, 2003-08-25 (Released:2018-03-19)
参考文献数
15

日本型の人事システムの本質は、給料で報いるシステムではなく、次の仕事の内容で報いるシステムだということである。仕事の内容がそのまま動機づけにつながって機能してきたのであり、それは内発的動機づけの理論からすると最も自然なモデルでもあった。他方、日本企業の賃金制度は、動機づけのためというよりは、生活費を保障する視点から賃金カーブが設計されてきた。この両輪が日本の経済成長を支えてきたのである。今こそ原点に立ち返り、従業員の生活を守り、従業員の働きに対しては仕事の内容と面白さで報いるような人事システムを再構築すべきである。
著者
高橋 伸一郎 宇田 治 中谷 哲也 春山 廣臣
雑誌
東京医科大学雑誌 (ISSN:00408905)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.444-449, 1994-07-01
著者
山本 宏 木村 真一 永井 康史 鈴木 健治 橋本 英一 高橋 伸宏 加藤 松明 高山 慎一郎 河原 宏昭
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.19-26, 2006 (Released:2006-09-27)
参考文献数
18
被引用文献数
2

研究開発活動を発展させていく上において,その意義,内容,基本的な考え方などをわかりやすく説明し,研究内容に親しんでもらう,いわゆる教育啓蒙活動は欠くことのできない重要な課題である.NICTではマイクロラブサット1号機での実験により撮影された地球画像を直接メールで配信する「マイクロオリーブ実験写真のメール配信」実験を実施してきた.本論文では,我々が実施したメール配信実験の概要を紹介する.また,配信状況と実験開始からの登録数の遷移について検討する中で,本実験の参加者がインターネットにおいてどのように広がっていったかについて考察する.さらに,アンケートなどで得られた一般の方々からの生の声から,一般の人々が本実験に対してどのような関心を持ったのかについて検討する.これらの情報には,インターネットを用いた情報提供について何が効果的か,また一般の人々が宇宙開発についてどのような関心を持っているのかといったことについての,重要なヒントが含まれていると思われる.
著者
高橋 伸夫
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.14-27, 1998 (Released:2022-07-22)
被引用文献数
5

日本企業で見られる意思決定の多くは,ゲーム理論や決定理論から見ると一見不合理なものに感じられるが,実は「未来の重さ」によって導かれた合理的なものである.非ゼロ和の世界では均衡も安定ももはや説得的ではなく,これらに代わって経営の現場で実際の行動に意味を与え続けてきたのが「未来の重さ」である.単に概念としてではなく,実際に手応え,やりがい,生きがいとなって,われわれの日常感覚の基礎をなしてきている.
著者
高橋 伸
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.72-76, 1987-03-01 (Released:2010-03-19)
著者
高橋 伸一
出版者
佛教大学社会学部
雑誌
社会学部論集 (ISSN:09189424)
巻号頁・発行日
no.52, pp.85-98, 2011-03

本稿でとりあげる小島勝治は1914年に大阪市で生まれ,1944年には外地で戦病死する。その短い生涯において,民俗学,統計学,社会事業論の分野で優れた業績を顕した小島の仕事ぶりは,圧巻という以外にない。小島の研究は,彼の友人たちによって『日本統計文化史序説』(未来社,1972年),『統計文化論集』I-IV(未来社,1981-1985年)の5冊にまとめられ刊行されている。民俗学・郷土史,統計学,社会事業論の幅広い領域をカバーする小島の研究情熱はある意味で異常である。その異常の背景にあるものを小島が残した手記や日記,手紙等の生活史資料から浮かび上がらせたい。小島勝治統計文化民俗学
著者
高橋 伸夫
出版者
一般財団法人 日本国際政治学会
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.95, pp.63-78,L9, 1990

The purpose of this paper is to review the changing patterns of Chinese communist perception of the world during the 1950s, focusing on the rise and fall of the theory of intermediate zone. The theory was first articulated by chairman Mao Zedong in an interview with an American journalist Anna Louise Strong in August 1946. The intermediate zone means the vast area lying between the United States and the Soviet Union. The theory contended that not the East-West conflict but the conflict between the American imperialism and the oppressed people of the world formed the main contradiction in the present situation. This view was accompanied by a characteristic notion of international security. According to Mao, it was the bold struggle against imperialism that would promote &ldquo;peace&rdquo; among world great powers. Such a notion marked a contrast with the Soviet attitude which saw &ldquo;The Great Alliance&rdquo; as essential in securing world peace.<br>With the increasing pressure from Moscow to unify ideology within the socialist camp, the term &ldquo;intermediate zone&rdquo; vanished from the Chinese documents since late 1948. But the logic of the theory still influenced the perception of the Chinase leaders until 1952.<br>There were remarkable changes in the framework of Chinase world view after 1953. Firstly, the notion of peaceful coexistence was introduced into the Chinese policy papers. Secondly, the evaluation of neutralism was adjusted. Thirdly, the demarkation of the socialist camp was redefined. These changes altogether modified the previous notion of international security underlying the theory of intermediate zone. Namely, the idea that people's bold struggle against imperialism in the intermediate zone would reduce the probability of world war was replaced by the notion that consultation among the great powers was indispensable for promoting world peace. With this notion on international security, Chinese communist theory proceeded to the diplomacy of peaceful coexistence.<br>In 1958 the theory of intermediate zone was revived. While it emphasized the necessity of daring anti-imperialist struggle in the intermediate zone as it did in the late 1940s, it did not discard the idea that the coordinated effort between the communist nations and the Asian nationalist regimes was effective in eradicating the influence of American imperialism from Asia.<br>The revival of the theory of intermediate zone brought about a discrepancy with regard to the notion of peaceful coexistence between the Chinese and Russians. Although such a discrepancy was relative in character, it was destined to deepen by the transformation of the world system in the late 1950s.
著者
鶴田 直之 吉村 賢治 橋本 浩二 高橋 伸弥 廣嶋 道子
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2012-CE-117, no.14, pp.1-8, 2012-12-01

深さ優先探索とスタックの利用を学習する CS アンプラグド教材を試作した.高等学校への出張講義で実践した結果を主に用いて評価を行い,その有効性について報告する.具体的には,迷宮に隠されている宝物を全て集めて帰ってくるアクティビティを試作した.これを導入として用いることにより,逆ポーランド表記の四則演算がスタックを用いて省スペース (少ないメモリ) で計算できることの理解を高めることができた.
著者
曽根 敏雄 高橋 伸幸
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.654-663, 1986
被引用文献数
5

Large scale frost-fissure polygons are spread at Hokkai-daira plateau, Daisetu volcanic massif, central Hokkaido. In order to ascertain actual frost cracking in the frost-fissures, the authors measured seasonal changes of the width of frost-fissures, ground temperatures and snow cover from September 1984 to September 1985. Main results obtained are as follows;<br> 1. As snow tends to be almost completely blown away by strong wind, snow cover affects the ground temperature only slightly.<br> 2. The annual ground temperature alternations at 1m-depth ranged at least from +0.0_??_1.2&deg;C to -13.6_??_14.8&deg;C, suggesting the existence of permafrost underneath.<br> 3. Horizontal distance changes between the two stakes across frost-fissures from fall 1984 to winter 1985 indicate that the width of frost-fissures increased in winter by 1cm. And frost cracks, about 1cm wide at the surface, occurred by mid-Februauy on the surface of snow and ice which covered or filled in frost-fissures. Therefore, frost-fissure polygons at this site are most likely active.<br> 4. Considering the present climatic conditions of this area, the cross sections of frostfissure and above-mentioned results, we suggest that the frost-fissure polygons at this area are soil-wedge polygons.
著者
高橋 伸二
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.779-784, 2010 (Released:2010-12-24)
参考文献数
20

レミフェンタニルの登場など麻酔管理が進歩し,術中頻拍症は減少した.しかし,予期せぬ術中不整脈は依然重要な問題である.American Heart Associationから頻脈治療のアルゴリズムが紹介されており,周術期にも対応が可能である.頻拍症が起きたら,診断を考えるよりもまず患者が安定しているか不安定なのかを判断する.不安定ならばただちに同期下カルディオバージョンを施行する.容認できる血圧で推移する場合には診断し治療する.狭いQRSの頻拍症は発作性上室性頻拍症であることが多く,治療薬はATPである.再発予防に洞調律回復後はβブロッカーで心拍数を抑える必要がある.狭いQRSの不規則な頻拍症ならば心房細動を疑い,心拍数をコントロールするかリズムをコントロールする.塩酸ランジオロールは超短時間作用性で心拍数のコントロールに使用しやすい.心拍数が抑えられると発作性の心房細動の一部は自然に洞調律に回復する.超短時間作用性なので血圧が低下したら投与を減量,中止すればよい.人工心肺離脱時心室性不整脈に,塩酸ニフェカラントとβブロッカーを併用すると有効である.麻酔科医は周術期頻拍症に対して効果的にβブロッカーを使用することが望まれる.
著者
高橋 伸夫
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.25-33, 1990-06-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
6

地域の動態に作用する資金の役割はきわめて大きい。本論は東京が近年国内外の資金をいかに吸引し,都市の内部を変容させるととも,他地域との結合をいかに進めているかを考察しようとする。 東京は全国から資金を吸収し,民間金融機関のとくに貸付機能に特化している。近年,東京都心部は銀行をはじめ金融機関の店舗密度をますます高めつつある。このような都心部への金融機関の極度な集積傾向は,世界の大都市にみられる「シティ (City) 現象」と同様な様相を呈している。すなわち,シティ現象とはロンドンの旧市街のCityのような都心部に典型例が見い出せるように,金融機能や経済中枢管理機能によって,ある地区がひたすら占拠されてゆく過程である。 近年,国内外の資金流動の活発化,金融機関業務の国際化,円の国際化などによって,「金融の国際化」・「金融のグローバリゼーション」が急速に進行し,外国銀行や外国証券会社が東京を中心に日本に進出してきている。 東京のような大都市においては,金融機能と本社機能が中核になって中心業務地区が形成され,貸付空間がそこに明確に画定されうる。一方,近年,副都心が形成され多核的な新たな貸付空間が生じている。同時に,人口の郊外化とともに預金空間は外縁部へ向けて拡大しつつある。東京のような大都市は,それ自身の大都市圏からの資金の吸収にとどまることなく,全国の中小都市から広範囲にわたって資金を吸引するため,二重構造をなす預金空間を有する,さらに,近年,金融の国際化によって,東京のような大都市には世界に広がる金融空間を操作する高次な金融機能が集積し,三重構造をなす金融空間が形成されている。 東京における国内外の金融機関の極度な集積は,地価の高騰をはじめとした都市問題を引き起こすとともに,都心部の再開発や東京湾岸のウォーター・フロントの利用などにみられるように,都市計画の施行を回避できない状況に至らせている。
著者
高橋 伸夫 菅野 峰明
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.111-119, 1988-05-31 (Released:2008-12-25)
参考文献数
49
被引用文献数
4 4

日本の大都市は第二次世界大戦後,大きな変化を遂げてきた。大都市への人口集中とそれに伴う郊外化,通勤圏および都市圏の拡大,そして商業・工業活動の郊外への進出によって,大都市の内部だけではなく,都市圏全域にわたって地域の再編成が行われた。また,近年の経済活動の分散により,大都市圏は多核的な構造に変化しているともいわれている。 本論文は,第二次世界大戦後の日本の大都市地域に生じた顕著な現象に注目しながら,大都市圏の地理学的研究の動向を考察し,そのなかの問題を検討した。 大都市圏研究は,大都市への人口集中による郊外化,つまり大都市周辺部の都市化の研究から始まり,大都市の成長過程や大都市圏の構造などが主な研究テーマとなった。日本には大都市圏を的確にとらえる統計単位がないため,大都市圏を実質的に設定する試みがいくつかなされてきた。アメリカ合衆国のMSAに相当するような統計単位を設定する試案もあったが,まだ広く使用されているわけではない。 近年,日本の大都市圏にみられる現象としてあげられるのは,欧米の先進諸国と同様に,人口と経済活動の分散(郊外化)である。そこで,大都市圏の現象を,人口の郊外化,都市内部から郊外への工場の移転,小売業の郊外化,雇用の分散,人と財の流れと結びつき,オフィス活動,高層建築物と地下街の増加,住宅地域の形成と発展に分け,これらについての研究動向と問題を展望した。 大都市圏における中心都市の相対的地位の低下にもかかわらず,日本の大都市の中心部はオフィス活動を中心とする第三次産業が集中し,都心の衰退という現象はみられない。また,インナーシテイ問題も大きな問題とはなっていない。 大都市圏の近年の構造変化に関する研究には,残された課題が多い。従来の研究においても,大都市圏化や大都市圏の変容を一側面から分析する研究がほとんどであった。大都市圏の変容を推し進めるメカニズムに関する研究,大都市圏を総合的に検討する研究,そしてその変容過程を示す説明的あるいは概念的モデルの検討などは,残された課題の最重要なものの一例であろう。