著者
高橋 伸夫
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.245-270, 2011-04-25 (Released:2017-10-10)
参考文献数
30
被引用文献数
2

『赤門マネジメント・レビュー』創刊10周年記念「トップダウンロード賞」(有料論文部門)をいただいた拙稿「英文論文のススメ」にまつわる下積み時代のエピソードから始まる連載の第1回。ウェーバーの「鉄の檻」が実はパーソンズの誤英訳で、本当は「殻」の意味だったことを知り、そのイメージが自分の下積み時代の記憶と重なって想像力をかきたてられ、「殻」概念を企業経営の視角として敷衍してみようと企図するまでを描く。
著者
矢野 啓明 高橋 伸佳 斯波 純子 旭 俊臣
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.312-319, 2012-06-30 (Released:2013-07-01)
参考文献数
9

FAST (Functional Assessment Staging) 6 および 7 に相当する重度認知症患者を対象とした, 新たな簡易心理評価スケール (Psychological Assessment Scale by Facial Expression for DementedPeople-Interview version : PAFED-I) を作成し, その信頼性と妥当性について検討した。PAFED─I は, 視線の変化に関する 18 項目 (視線得点) と表情の変化に関する 12 項目 (表情得点) から成り, 検者が個別に面接を行い, 各項目を評価した。FAST 6 の患者群では, 視線得点, 表情得点ともに高い内的整合性と評定者間一致率を示し, 信頼性は十分と考えられた。また, 標準意欲評価法 (CAS) との有意な相関がみられた。FAST 7 の患者群では, 視線得点で十分な信頼性と CAS との有意な相関がみられた。PAFED-I は, 重度認知症患者の意欲・自発性を評価する簡易スケールとして有用と考えられた。
著者
古田島 裕斗 嵯峨 智 高橋 伸 田中 二郎
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2017-HCI-172, no.19, pp.1-7, 2017-02-27

近年情報端末上で閲覧する電子書籍が広く普及している.電子書籍は独自の利点を持っているが,従来の紙書籍も多くの利点を持ち,特にページめくりのような自由度の高いナビゲーションは比較の場においてたびたび取りあげられる.本研究では電子書籍上で,紙書籍のような柔軟で直感的なナビゲーションを再現することで,操作性を向上させる手法を提案する.本手法ではタブレット端末と端末背面に設置した圧力センサのみを用いることで,電子書籍の利点を保ったまま,柔軟なページめくり等のナビゲーションを実現する.また本手法を取り入れた電子書籍閲覧システムを実装し,数種類の評価実験を行った.その結果,本手法は多少の改善点は挙げられるが既存の電子書籍リーダーと遜色なく,改善を行えば更なる高評価が望めると分かった.
著者
高橋 伸治 佐々木 康成
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングレビュー (ISSN:24350443)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.48-57, 2020-03-04 (Released:2020-03-04)
参考文献数
5
被引用文献数
1

「移動者」とは通勤や通学で移動中の生活者のことで,本研究では主に鉄道を利用して通勤する「移動者」を対象とする。その「移動者」は鉄道利用者であり,駅ナカや駅チカで買物をする消費者であり,OOHや交通広告のオーディエンスであるが,駅周辺の商業環境が益々充実化し,またスマートフォンやデジタルサイネージの普及により移動中の情報環境が急激に変化する中,潜在ショッパーとしての「移動者」,コミュニケーションターゲットとしての「移動者」が重要な存在になってきている。本研究の狙いはそういった「移動者」の行動特性と心理特性を捉え,それを駅や駅周辺施設のサービス向上や「移動者」との効果的なコミュニケーション手法の開発に結びつけることである。
著者
高橋 伸佳
出版者
医学書院
雑誌
BRAIN and NERVE-神経研究の進歩 (ISSN:18816096)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.830-838, 2011-08-01

はじめに 「熟知している場所で道に迷う症状」を地理的障害と呼ぶ。ただし,意識障害,認知症,健忘症候群,半側空間無視など,他の神経症状や神経心理症状によって説明可能な場合は除外する。地誌的障害,地誌的失見当,地誌的見当識障害,広義の地誌的失認なども地理的障害とほぼ同義である。従来の文献にしばしば登場する「地誌的記憶障害」は,自宅付近の地図や自宅の間取りを想起して口述・描写することの障害[地理的知識の視覚表象能力の障害1)]であり,本稿でいう地理的障害とは異なる。 「熟知している場所」は,自宅付近,職場付近など発症前からよく知っていた場所(旧知の場所)だけではない。入院した病院内など発症後頻繁に行き来することによって,新たによく知るようになった場所(新規の場所)も含まれる。地理的障害では通常,旧知の場所でも新規の場所でも道に迷う。しかし,稀には新規の場所のみで症状を呈する例がある。これは健忘症候群における逆向性健忘と前向性健忘との関係に似ている。健忘症候群では通常この両者が併存するが,稀にはどちらかが孤立性に発現することがある2)。旧知の場所の中でも発症に近い時期に住んでいた場所では症状がみられ,発症から遠い時期の場所では異常がない症例3,4)の存在などは,逆向性健忘の「時間勾配」を思わせる。地理的障害では,現在まで旧知の場所のみの症例は報告されていない。しかし,理論的にはその存在が推定される。 筆者らは地理的障害を症候と病巣の違いから街並失認(agnosia for streetsまたはlandmark agnosia)と道順障害(defective root findingまたはheading disorientation)の2つに分類した5)。一言でいえば,前者は街並(建物・風景)の同定障害に基づくものであり,視覚性失認の一型と考えられる。後者は広い地域内における自己や,離れた他の地点の空間的定位障害であり,視空間失認に含まれる。 街並失認は相貌失認と合併して生ずることが多く,その存在自体は古くから知られていた6,7)。環境失認(environmental agnosia)8),場所失認(agnosia for place)などと呼ばれたこともある。筆者は多数例の検討から,その症候や病巣を整理し,地理的障害全体の中での位置づけを示したにすぎない。この症候を街並失認と呼ぶことにしたのは,物体失認,画像失認,相貌失認などと同様,「街並(建物・風景)」という視覚対象に対する失認であることを明確にするためである。最近まで,神経心理学の中で地理的障害に関する研究が後れをとっていたとすれば,孤立性の症状を呈する症例が少ない,検査方法が確立されていない,などの点とともに用語の混乱にその一因があったのではないかと思われる。 一方,道順障害は従来ほとんど注目されていなかった症候である。筆者らは街並失認の症候,病巣の分析を進める過程で,これとは異なる地理的障害の1例に出会った。街並失認での患者の訴えが「(よく知っているはずの)回りの景色が初めてみるように感じる」であるのに対し,その症例の訴えは「(よく知っている)目の前の交叉点をどの方角へ曲がればよいかわからない」というものであった。これは,私たちが道をたどる際に,現在いる地点の周囲にある建物・風景を確認するだけではなく,目的地の方角を意識していることとよく対応する。この方角定位能力が選択的に障害されている症例と考えられた。その後,さらに同様の症例を経験し,1990年9)と1993年5)に日本神経心理学会総会で発表するとともに,3例をまとめて原著論文10)とした。 本稿は街並失認と道順障害について,原著10,11)およびその後の総説12-15)や著書16)に記載した内容を総括し,さらに最近の知見を加えたものである。
著者
綾部 園子 本間 千裕 長浜 ゆり 高橋 伸幸
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.188-193, 2009 (Released:2015-02-13)
参考文献数
17
被引用文献数
1

同じ条件で栽培したF1種のフルーツトマト(甘しずく)と普通のトマト(麗容),および比較のため特殊栽培によるフルーツトマト(アメーラ)の品質と嗜好性について検討した。その結果,甘しずくの糖度は,麗容と同じ栽培方法であったが,アメーラとほぼ同じであった。甘しずくとアメーラは麗容に比べてフルクトースとグルコースの含量が多かった。フルクトース/グルコースは甘しずくはアメーラよりも高く,甘味の質が異なることが示唆された。酸度は甘しずくのゼリー部において有意に高かったが,果肉においては有意の差はなかった。皮付きの破断応力は甘しずくが最も高く,皮を除いた果肉の圧縮応力はアメーラが最も高かった。官能評価の結果,麗容に対し甘しずくとアメーラは有意に好まれた。
著者
川嶋 英嗣 川瀬 芳克 高橋 伸子 高橋 啓介
出版者
日本ロービジョン学会
雑誌
日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.6, pp.33, 2005

【目的】短波長をカットする遮光眼鏡は,中間透光体の白濁による光散乱によって起こるグレアを軽減する効果があると考えられている.本研究では人工的に白濁させたフィルタを晴眼者が装用したとき,低コントラスト視力が遮光眼鏡の使用によってどのように変化するかを検討した.<BR>【方法】晴眼者7名を対象とした.プラスチックレンズにサンドペーパーをかけることで製作した白濁フィルタを1条件使用した.遮光眼鏡は東海光学社製CCPシリーズのLY, YL, OY, RO, YG, UG, BRの7種類を用いた.低コントラスト視力測定はナイツ社製CAT2000を用いて,昼間視条件の輝度コントラスト5条件(100, 25, 10, 5, 2.5%)について実施した.測定は白濁フィルタ装用条件と装用しない晴眼条件の2条件でおこない,それぞれで遮光眼鏡を使用したときと,しないときの低コントラスト視力の比較をおこなった.<BR>【結果】白濁フィルタ装用条件では2.5, 5, 10%の低コントラスト視力が晴眼条件に比べて有意に低下していた.しかし,どの種類の遮光眼鏡を使用した場合でも,各被験者間で共通した視力値改善の傾向は見出されなかった.同様の結果は白濁フィルタを装用しない晴眼条件でも得られた.<BR>【考察】今回の実験では,白濁フィルタ装用時の低コントラスト視力が遮光眼鏡の使用で改善するという予測を支持する結果は得られなかった.これは低コントラスト視力測定装置の刺激呈示領域の背景輝度が低かったことや,白濁フィルタの透過率の設定条件が関係しているかもしれない.
著者
高田 崚介 志築 文太郎 高橋 伸
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.3_45-3_56, 2018-07-25 (Released:2018-09-25)

データグローブを構築するための,導電繊維が編み込まれた手袋を用いて手形状を認識する手法を示す.提案手法は,手形状として指の曲げおよび指同士の接触を推定する.指の曲げ推定には,指を曲げた際に手袋表面の導電繊維同士が短絡することによって電気抵抗が減少する現象を用いる.また,指同士の接触推定には,各指ごとに異なる周波数の交流信号を印加し,指同士が接触した際に信号が伝搬する現象を用いる.我々は実験により,指の関節の角度と導電繊維の抵抗値の関係を明らかにした.さらに導電繊維の抵抗値と曲げセンサの抵抗値を比較した.また,それぞれ異なる周波数の交流信号を印加した人指し指–小指のどの指骨に親指が接触したかを機械学習を用いて推定し,実験により触れた位置の推定精度が80.5%であることを明らかにした.さらに電源的に独立した手袋同士の接触についても検証し,信号が伝搬されることを確認した.
著者
稲葉 美里 高橋 伸幸
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.27-34, 2012 (Released:2012-09-26)
参考文献数
18
被引用文献数
2

Although social solidarity is an essential component that helps maintaining social order, what produces solidarity and how does it work have not been fully investigated. We conducted an experiment to examine whether experiencing different forms of social exchange produces different levels of solidarity. We compared four forms of social exchange: reciprocal exchange (exchange resources without negotiation), negotiated exchange (with negotiation), pure-generalized exchange (giver can choose who to give) and chain-generalized exchange (giver cannot choose who to give). Two dimensions classify these exchanges: the number of players (two vs. more than two), and involvement of negotiation. Reciprocal and negotiated exchanges occur within dyads, while pure- and chain-generalized exchanges involve three or more players. Only the negotiated exchange involves negotiation process; the other exchanges are purely unilateral giving. Participants played a one-shot social dilemma game (SDG) before and after social exchange session. The more the players cooperated in SDG, the stronger the social solidarity. Results show that the cooperation rate in SDG increased more in the reciprocal, pure- and chain-generalized exchange conditions than that in the negotiated exchange condition, suggesting that social solidarity is facilitated by experiencing social exchange which does not involve negotiation.
著者
尾留川 正平 山本 正三 佐々木 博 金藤 泰伸 朝野 洋一 高橋 伸夫 斎藤 功
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.229-256, 1967-10-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
20
被引用文献数
3

Suburbanization is very phenomenal in the western suburbs of Tokyo, nevertheless a. sizable area is still devoted to agriculture and the agricultural output is quite large. The aim of this research is to survey the ecological aspects of human occupance of the land which is well characterized by the ever intensive urban as well as agricultural use and also to analyze operational structure of farm households that has strongly led the study area to such a suburbanized occupance pattern in terms of interviews of farmers and various statistical materials.Results : 1) Sale of agricultural land is quite limited because of rise of land price, resulting in the juxtaposition of built-up areas and farmlands. 2) Agriculture in these mostly built-up areas has the following characteristics : a) to increase labor productivity rather than land productivity, b) to increase household or personal income whether by specialization on arboriculture, lawn growing, specialized vegetable growing and chicken and pig raising, or by incorporating them in agricultural management so as to improve total agricultural productivity, or from other sources than farming such as management of filling stations, driving, schools, and public baths, and also as white color, c) to hold agricultural land as assets probably for a relatively long period, since the farmers here can get stable income from rent and apartment houses they have built recently, although increment of so-called socially fallow lands is to be seen frequently, and d) to ship out vegetables and eggs to nearby markets or to sell them directly at farmsteads. 3) It is urgently needed to conserve as much farmland as possible and also even to encourage farm management to a degree that the farmers are able to compete with ever-developing urban industries, otherwise the critical shortage of green open spaces in the metropolitanized regions will be further accelerated.
著者
岩崎 靖士 山田 暢 小熊 潤也 岡本 譲二 清水 壮一 高橋 伸
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.1181-1185, 2011-05-25
参考文献数
11
被引用文献数
1

症例は60歳,男性.左下腹部痛を主訴に当院受診した.腹部超音波検査および腹部CTにて左下腹部直下にS状結腸に接する4cm大の腫瘤影を認め,腹膜垂炎の所見と診断した.保存的に経過を観察したが,疼痛が持続したために腹膜垂切除目的に入院し,腹腔鏡補助下にS状結腸腹膜垂切除術を施行した.手術所見では,S状結腸部の腹膜垂が腹壁と炎症性に癒着しており,鏡視下にこれを剥離し,小開腹創より体外に誘導すると,炎症性に腫大した2cm大の腹膜垂を認めた.同部を結紮切離し,腹膜垂を摘出した.病理組織学的所見にてうっ血,炎症細胞浸潤,脂肪壊死を認め,腹膜垂炎と診断した.腹膜垂炎はまれな疾患で,大腸憩室炎との鑑別が重要となるが,近年の画像診断技術の発達により,CTや超音波による腹膜垂炎に特徴的な所見がえられるようになってきた.今回,術前診断が可能で,腹腔鏡を用いて治療しえたS状結腸腹膜垂炎を経験したので報告する.
著者
高橋 伸一郎
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

成長ホルモン(GH)は、インスリン様成長因子の産生を介した成長促進活性を有するが、同時にインスリン抵抗性をはじめとした種々の代謝制御活性を示し、GHの長期連用は糖尿病を誘発する可能性があるなど、臨床上問題となっている。しかし、GHによるインスリン抵抗性の発生機構は、全く明らかとなっていない。本年度、本研究では、3T3-L1脂肪細胞をGHで長時間処理後インスリン処理し、インスリンの細胞内シグナルを詳細に検討した。その結果、GH前処理により、インスリン受容体のチロシンキナーゼ活性や基質のひとつであるIRS-1のチロシンリン酸化は変化しないにも関わらず、もうひとつの受容体キナーゼ基質IRS-2のインスリン依存性チロシンリン酸化が抑制され、更に下流シグナル分子Aktのインスリン依存性活性化も抑制されることを見出した。そこで、恒常的に活性化しているAktを3T3-L1脂肪細胞に強制発現させたところ、GH前処理によるインスリン依存性糖取り込みの抑制が解除され、他の結果も併せると、GH前処理によりIRS-2を介したシグナルが抑制され、GLUT4は細胞膜に移行するのに関わらず、その糖輸送活性が阻害されていると結論された。そこで、GH前処理後のインスリン処理に応答してGLUT4に何らかの分子内修飾が起こっているか、二次元電気泳動を用いて検討したところ、GLUT4の分子内修飾は認められなかった。現在、GLUT4に結合し、GLUT4の糖輸送活性を修飾するような分子の同定を進めている。一方、ヒトGHを高発現するトランスジェニックラットより調製した脂肪細胞では、3T3-L1脂肪細胞と同様に、インスリン依存性糖取り込みの抑制が観察されたが、この糖取り込み抑制は、肝臓でのインスリンシグナルが強められ、インスリン依存性脂肪・グリコーゲン合成が増強されることで補償されることも明らかとなった。
著者
高橋 伸夫 大川 洋史 稲水 伸行 秋池 篤
出版者
The Academic Association for Organizational Science
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.4-14, 2013

一つの組織を対象にして時系列的かつ定期的に調査を行うことで横断的調査では見えなかった事実が分かってくる.本稿では,日本企業X社について,大規模な組織再編を挟んで10年近くにわたり,9回,定期的かつ継続的に全数調査してきたデータを取り上げる.その結果,見通し指数と満足比率の間には直接的因果関係があるが,自己決定度と満足比率の間の関係は疑似相関である可能性が高いことが分かった.
著者
長谷川 裕彦 高橋 伸幸 山縣 耕太郎 水野 一晴
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

ボリビアアンデス,チャルキニ峰西カールにおいて地形調査を実施した。その結果,先行研究により明らかにされていたM1~M10の小氷期堆石の分布を追認し,M10以降に形成されたM11・M12・M13の分布を確認した。M13の形成期は,構成層の特徴などから1980年代の初頭であると考えられる。
著者
高橋 伸幸 水野 一晴
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

<u>1.</u><u>はじめに</u>&nbsp; 低緯度高山帯でも氷河の後退・縮小は進んでおり、氷河から解放された地域には植生の侵入・拡大がみられる。また、氷河からの解放後、周氷河環境下に置かれることから、植生の侵入・拡大過程を考える上で、周氷河環境を考慮する必要がある。本研究では、南米ボリビアアンデスのレアル山脈に位置するチャルキニ峰西カール、南カール、ワイナポトシ南斜面などにおいて周氷河現象の観察、気温・地温測定を行い、低緯度高山帯における周氷河環境の一端を明らかにした。<br><u>2.</u><u>調査地</u>&nbsp; ボリビアの首都ラパスの北方約25kmに位置するチャルキニ峰(標高5392m)の西カールおよび南カールが主な調査地である。チャルキニ峰でも氷河の後退が認められるが、南斜面と北斜面には現在でも顕著な氷河が残されている。一方、西斜面では、カール壁基部にわずかに氷河が残されているのみである。また、西カール内と南カール内には完新世の氷河後退に伴って形成された複数のモレーンがみられる。チャルキニ峰周辺の地質は、主に花崗岩類と堆積岩類によって構成されているが、西カール内に分布する氷河性堆積物は、花崗岩類が主体である。<br><u>3.</u><u>気温・地温観測</u> 表1にチャルキニ峰西カールと南カール内における2012年9月~2013年8月の気温観測結果に基づく値を示した。これによると、氷河の縮小が著しい西カールにおいて気温は高目であり、その結果、融解指数も大きくなっている。凍結融解日数は、両地点ともに300日を超えており、特に氷河末端近くに位置する南カール観測点では351日に及んだ。西カール内における地温観測結果によると、土壌凍結は4月~10月の期間ほぼ毎日生じているが、その凍結深は10cm程度である。これに伴い、同期間中、表層部での日周期的凍結融解が頻出しており、標高4800mの観測点では、その回数が161回(図1)、標高4822m観測点では244回に及んだ。<br><u>4.</u><u>周氷河環境</u>&nbsp; 年平均気温および凍結指数、融解指数から見る限り、チャルキニ峰周辺は周氷河地域に属するが、永久凍土が存在する可能性は小さい。表層付近での凍結融解頻度は、4月~10月(秋季~春季)にかけて非常に高いが、この期間は乾季に相当し(図1)、表層部の含水量が低い。一方、湿潤な雨季には凍結融解頻度が極めて低い。さらに凍結深度が浅いことから、ジェリフラクションやソリフラクションなど、周氷河作用が効果的に働かない。このことは氷河後退後の植生侵入にとって有利であると考えられる。
著者
高橋 伸彰 山本 紳朗
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告
巻号頁・発行日
vol.28, pp.13-22, 2007-10

土壌pH と有機物施用が土壌有効態ミネラル濃度,トマトの生育,ミネラル濃度,食味に及ぼす影響について調べた。硫酸および水酸化カルシウムにより土壌pH を4~10 に調整し,化成肥料によりトマトを栽培した。また,これらのpH の土壌に堆肥とボカシ肥を合わせて施用し,トマトを栽培した。土壌の有効態ミネラル濃度は,酸性土壌においてはカリウム,カルシウム,マグネシウムは低下し,鉄,マンガンは高まった。また,アルカリ性土壌においてはマグネシウム,鉄,亜鉛,マンガンは低下した。トマトの地上部および地下部乾物重は,酸性およびアルカリ性土壌において大きく低下した。トマト体内のミネラル濃度は,酸性土壌ではカリウム,カルシウム,マグネシウムは低下し,マンガンは高まった。アルカリ性土壌では亜鉛,マンガンは低下した。トマトのミネラル吸収量は,酸性およびアルカリ性土壌においてこれら全てのミネラルが大きく低下した。果実の酸度および食味は酸性土壌では低く,pH の増加にともない高まった。有機物施用は,アルカリ性土壌において,トマトの乾物重とカリウム,カルシウム,マグネシウム,亜鉛吸収を改善した。しかし,土壌においてこれらのミネラルの有効態化は認められなかった。これより,有機物施用によるアルカリ性土壌でのトマトの生育改善は,土壌化学性への直接的な作用によるものではないと考えられる。
著者
揚戸 薫 高橋 伸佳 高杉 潤 村山 尊司
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.62-66, 2010-03-31 (Released:2011-05-11)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

遷延性の道順障害を呈した 1 例における移動手段獲得のためのアプローチについて検討した。通常の地図を見ながらの移動訓練は有効ではなく,これは移動中の各地点で自分の向いている方角が地図上でどの方角にあたるかを判断できないことが一因と考えられた。そこで視覚的手段は用いず,目的地まで道順に沿って目印となる指標や分岐点での進むべき方角を言語的に記述したメモを用いたところ非常に有効であり,さらにそれを言語的に記憶することでメモなしでの移動が可能となった。道順障害は,症状の持続が短期間のことが多いが,病院内の移動などには大きな支障をきたす。本例で用いたような言語メモを活用したリハビリテーションは,道順障害での方角定位障害を代償する手段として有効であり,早期から積極的に取り入れるべきと考えられる。
著者
高橋 伸彦
出版者
Japanese Society of Ryodoraku Medicine
雑誌
日本良導絡自律神経学会雑誌 (ISSN:09130977)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.121-135, 2007
被引用文献数
1

The circa dian rhythm of Ryodoraku has previously been reported, but the details are not yet well known. As a result Ryodoraku of three volunteers were examined several times a day w ith resistance and capacitance (R&C) using a multi-frequency body fat analyzer and/or oxida tion reduction potential (ORP), p H and volume of u rine.<BR>Accompanied with several small waves, Ryodo raku currents gradually increased from morning to afternoon and decreased from afternoon to night.<BR>Fluctuations in Ryodoraku were roughly s imilar to changes in urinary volume per hour. As urinary volume is regulated by anti-diuretic hormone, secretion of w hich is c ontrolled by the ce ntral nervous system, Ryodoraku might also be managed by the centrar nervous system.<BR>In most cases the changes in R yodoraku displayed the inverse associations to the large fluctuations of urinary ORP and to the alterations of R & C. It was thought that urinary ORP was affected by f ood intake or bathing etc. and R & C w ere influenced by cellular activities. Therefore Ryo doraku was considered to vary according to the living activities. From these findings, the circadian rhythm o f R yodoraku seems to be composed of a large wave controlled by the central nervous system and several small waves influenced by living activit ies.