著者
高橋 陽一 末永 陽介 北野 三千雄 工藤 めぐみ
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.71, no.712, pp.3046-3052, 2005
被引用文献数
2

Response of a cylindrical premixed flame to periodic concentration fluctuation was investigated. The flame was formed in a porous cylinder by percolating the mixture uniformly through the cylinder wall. The burner used here was devised so as to fluctuate the mixture concentration (equivalence ratio) only in the radial direction of the flow (vertically to the cylindrical flame surface) without varying the flow field. With this burner the time variations of burning velocity, burnt gas temperature and flame luminosity were measured for the lean methane-air mixture in the range of fluctuation frequency from 3 Hz to 50 Hz, and the results were examined from the viewpoint of flame curvature effects. The results show that the variation width of the burning velocity of the dynamic flame is larger than that of the static flame corresponding to the concentration fluctuation. Burnt gas temperature and flame luminosity also exhibit similar tendencies. The magnification ratio of the variation width depends on the flame curvature and the large flame curvature makes the flame sustainable even for the mixture leaner than the flammability limit of the static flame.
著者
高橋 俊史
出版者
東北福祉大学
雑誌
東北福祉大学研究紀要 = Bulletin of Tohoku Fukushi University (ISSN:13405012)
巻号頁・発行日
no.44, pp.79-96, 2020-03-19

情報社会の進展とともに情報リテラシーが求められているが、Society5.0の社会では,より必要性が高まると予測される。しかし,現状としてバイトテロなどの情報モラルに関連する問題が生じており,情報モラル教育の在り方を検討する必要がある。そのため,情報モラルに関する講義を履修している学生を対象に安心協ILASテスト2013版を活用した情報モラルの理解度把握と講義の効果検証を目的とした調査を行った。その結果,現在の大学生の情報モラルは,高い水準で理解しているが,過去の学生と比較するとインターネットリスクへの対処能力が低下している可能性があった。その要因としては,デジタルネイティブ世代がスマートフォンなどの情報機器を活用できている状況を,すべてのICT機器を活用できると誤認識していることが考察され,教育の必要性を妨げていると考えられる。したがって,今後の情報モラル教育の在り方として,各教員が大学入学前までに十分な情報リテラシー教育を受けていない学生がおり,デジタルネイティブ世代と呼ばれているがICTを苦手とする学生がいるということを認識し,学生に合わせた指導を行うこと,重要なことは重複しても教育するという視点が必要である。
著者
久米 新一 高橋 潤一 岡本 明治 de Rojas S.A.S. de Oka R.B.B. Garay G.M. Denis F.S.C. Leonardi S.I.R.
出版者
農林省九州農業試験場
雑誌
九州農業試験場報告 (ISSN:03760685)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.p161-176, 1988-03

本研究は,亜熱帯地域に属する南米のパラグアイ国における,放牧牛の生産性と繁殖成績を改善するために,放牧牛のミネラル栄養に及ぼす種々の環境要因の影響を明らかにしたものである。得られた成果は,以下のとおりである。1. 東部のブエナビスタ牧場及びバレリート牧場の自然草地の草のP,Na,Zn及びCu濃度が非常に低かったので,草からのそれらの摂取量は放牧牛に対しては不足していることが推察された。また,草のFe及びMn含量の過剰によるミネラル不均衡もあると思われた。2. ブエナビスタ牧場及びバレリート牧場の自然草地の草のP,Na,Zn及びCu濃度に季節変化がみられなかったので,放牧牛は年間を通してそれらの不足していることが推察された。3. 東部の自然草地における草のP,Na,K,Zn及びCu濃度が低い値を示したことは,主に土壌中のそれらの含量が低いことによると考えられた。しかし,草のFe及びMn濃度の過剰は,土壌中のそれらの含量よりも,むしろ他の要因によると思われた。4. 一牧場,あるいは小地域での土壌分析から,牛のミネラル栄養の状態を診断することは困難であるが,草の分析は重要と考えられた。人工草地の草は,自然草地の草と比較するとミネラルを多量に含有し,また,東部の自然草地内では,樹木のある草地の草が樹木のない草地の草よりもミネラルに富んでいることが示唆された。5. チャコ地方の草のミネラル含量とミネラルバランスは放牧牛に対してほぼ適切なものであったが,Cuはやや不足していた。6. 水は少量のミネラルを含有していた。放牧牛は草から大部分のミネラルを摂取していたが,Zn及びCuの摂取では土壌も一部分は重要な役割を果たしていた。濃厚飼料及び他の飼料のミネラル濃度は非常に異なっていた。7. 東部のコルデルリータ牧場の自然草地の草では,P,Na,Zn及びCuが不足し,またFe及びMnが過剰であった。血清分析から判断すると,牛はややCu欠乏の状態にあると思われた。8. 牛の血清のCa,P及びMg濃度はほぼ適正な値を示したが,Cu濃度は低い値であった。パラグアイにおいては,放牧牛はややミネラル欠之の状態にあり,放牧牛のP及びCu欠之が重要な問題であることが示唆された。
著者
水谷 仁 高橋 眞智子 清水 正之 刈屋 完 佐藤 広隆 芋川 玄爾
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.457-461, 2001-08-01 (Released:2010-09-02)
参考文献数
15
被引用文献数
14 14

アトピー性皮膚炎は,環境抗原に対する湿疹反応とともにIgEの産生過剰を伴うアレルギー性の免疫異常のほか,臨床的に乾燥性皮膚といわれる病態を示す。これは,皮膚バリアー機能に重要な役割を果している角質細胞間脂質であるセラミドが,顕著に減少していることによっていると推測されている。このことは減少したセラミドを外から補うことにより,バリアー機能が改善される可能性があり,さらにはアトピー性皮膚炎の改善が期待できる。天然セラミド2の類縁体である合成擬似セラミドを8%配合したクリームを外用することによる,アトピー性皮膚炎患者の乾燥皮膚に対する効果について,10%尿素クリームを対照として比較検討した。対象はアトピー性皮膚炎患者19例で前腕皮膚へ塗布し,皮膚所見及び総合判定により有用性を判定した。その結果,合成擬似セラミドを8%配合したクリーム使用群はその68%に有用性を認め,対照クリームとの比較でも有意な差を持って有用であった。さらに本試験開始前にダニの貼付試験で陽性であった4例について,試験製剤を4週間使用後に再度貼付試験を実施した。その結果,合成擬似セラミドを8%配合したクリーム使用群では4例すべてが陰性となり,バリアー機能が向上したと考えられた。以上より合成擬似セラミドを8%配合したクリームは,アトピー性皮膚炎患者皮膚に対する日常的なスキンケア剤として有用な製剤であると考えられた。
著者
森本 良平 小坂 丈予 羽鳥 徳太郎 井筒屋 貞勝 浦部 和順 高橋 春男 岡田 義光 平林 順一 伊佐 喬三 磯部 宏
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.255-283, 1968-10-25 (Released:2009-11-12)
参考文献数
25
被引用文献数
3 3

Unusual uplift of the land was found about an insular active volcano Iwo-jima, Ogasawara archipelago, 1, 200 km south of Tokyo. Remarkable retreat of shore line was revealed by reviewing topographic maps and aerophotographs of the island. Some upward movements of the island are to be one of the most principal reasons of the retreat. As the clear evidences of the upheaval of the land, following phenomena were observed by the writers who investigated the island five times from 4th July to 23rd August 1968 : a) Sunken vessels and a landing craft have emerged on the western coastal beach of the island : b) Faults and cracks appeared on the abandoned run-way of the former Japanese Navy in the central part of the island ; c) Coastal reef emerged on the sea to connect off shore islet with the island ; d) New coastal terraces were formed on the sand beaches ; e) Fresh living corals were exposed on the sea.Results of the investigations are enumerated as follows : 1) About 8 m upheaval of the land since 1953-4 was revealed by levelling survey at the western coast of the island. 2) Amount of uplift observed on the above-mentioned run-way is smaller in its central part than in both terminals, maximum vertical displacement of the fault being 3 m. 3) Tide gauge installed at the western rocky coastrecorded slight relative down of sea level but further observation should be continued without disturbance by typhoon to obtain more reliable data. 4) No expected microseisms were recorded on the high sensitive electro-magnetic seismographs except 2 or 3 per day. 5) Temperature of the fumarolic gases were 95-123°C, 10-25°C higher than that observed in 1935. In spite of the rise in temperature, gases of so called high temperature type, such as sulphur dioxide and halogens, were not contained. 6) Composition of the sublimates also accords with these results of chemical analyses of the gases. 7) Content of each main component element and its ratio to other ones is quite variable in several hot springs whose pH values range from 2.1 to 6.8. 8) Analcite was identified by X-ray and DTA analyses in the tuff forming Moto-yama, an eastern main flat cone of the island. Genetic condition of the mineral inferred from its chemical composition may indicate submarine eruption of the volcano. 9) Three weak zones were recognized by the present investigations in addition to the two ones previously reported by Tsuya. Thus three are arranged radially through the center of the eastern main cone and the two are arranged concentrically around the foot of the same cone. From these weak zones phreatic explosions are expected in future, if they occur. 10) Nothing more than mere weak phreatic explosion was recorded through the historic activity of the volcano. Artificial filling up of the vent, such as the pavement of the surface often causes the small explosion at fumarole. 11) Submarine eruption recently found at the sea bottom, about 5.4 km NNE of the South Sulphur Island, about 50 km south of the island did not occur recently but must have repeated rather stationarily.According to the present investigations, no remarkable magmatic explosion could be expected except those small phreatic ones, same one of which has often occurred on the island. Chemical composition of the gases does not indicate any approach of hot magma to the surface.
著者
高橋 愛
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.219-231, 2006-03-31 (Released:2017-06-12)

本研究では,中国文献を基にし,先行研究と兼ね合わせて,未だ日本では広く認識されていない連環画の変遷とその描写方法について考察している。連環画の特徴には,主に文学の発展とともに発達してきたため,描写よりも文が先行する場合があることが挙げられる。それは,国語的な要素が強く,教育性が高いと言えるが,そこに描写された挿絵は,白黒のものも彩色が施されたものも,挿絵の技法として非常に美しい。そういった挿絵は,美術的な流れを汲んでいるため,美的なものとして捉えることができる。こういった流れは,現代の中国の絵本にも共通点として見出せた。そして,このことは今後,中国の絵本を見ていく際の貴重な手がかりとなり得よう。
著者
Vasconcelos Jose 高橋 均
出版者
青土社
雑誌
現代思想
巻号頁・発行日
vol.16, no.10, pp.p106-121, 1988-08
著者
高橋 多喜子
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.77-84, 2004

音楽療法は一言でいえば,音楽による心理療法ということができる.言葉では表現できない何か,言葉を超える何かをクライエントと共有し,そのことでクライエントが成長し,またはそのことで自己治癒力が増進する,またはクライエントのQOL(生活の質)が向上するというのが音楽療法といえよう.これは芸術療法一般に共通することでもある.ここでは,わが国の音楽療法の現状,歴史,音楽療法の形態,及び対象者について概観し,次に,わが国で深刻な問題となっている痴呆高齢者のための音楽療法と終末期医療における音楽療法について最近の効果研究を挙げ,この領域での音楽療法を紹介する.<br>
著者
高橋 圭子 中田 壮一 三上 正仁 服部 憲治郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.7, pp.1032-1039, 1986-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
18
被引用文献数
2

親水性ポリアクリレートTSK Gel PW-3000(以下PWと略記する)に6-デオキジ-6-アミノ-β-シクロデキストリンを導入したゲル(ACD-PW)および, アミノ化シクロデキストリンのヒドロキシル基をメチルエーテル化したゲル(Me-ACD-PW)に対する各種アミノ酸の保持挙動の検討を行ない, 保持容量比(k')の比較を行なうことでシクロデキストリン(以下CDと略記する)包接由来の効果とアミノ基由来のイオン相互作用の評価を奢なった。デミン酸は老のままではアミノ酸のアミノ基とCD上のアミノ基の反発のため, まったく保持されない。N-保護アミノ酸は, カルボン酸部位とCD上のアミノ基との間のイオン相互作用により保持されるようになり, イオン強度を小さくすると保持は増大する。また, CDのヒドロキシ基のメチル化は, CD上のアミノ基のイオン相互作用を明確にし, また包接能を増大し, ベンゼン環を有するフェニルアラニン誘導体ではいちじるしい保持の増大がみられた。イオン強度や有機溶媒添加などの溶離液変化によりk'は600倍以上の値まで変化し, ホスト-ゲストコンプレックス形成に基づく包接クロマトグラフィーにおける選択性をさらに向上させる可能性を示した。
著者
高橋 郁雄 佐保 春芳
出版者
北方森林学会
雑誌
日本林學會北海道支部講演集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.181-186, 1972

The larch canker was reported in the Tokyo University Forest in Hokkaido in 1969. Its pathogen, Encoeliorsis laricina (E_<TTL>.) G_<ROVES> (Imperfect state : Brunchorstia laricina E_<TTL>.). was cultured on a potato-galactose-ager medium and fungus colonies on this medium were used for the inoculation experiments. The inoculations were made on Feb. 17, 1970 and March, 16, 1970 on the potted larch seedlings in the green house, quite earlier than the natural condition. The methods of inoculation was as follows. Each main stem and side branch of seedlings were sterilized with 80% alcohol and washed with water, and a peeling abrasion (4mm x 4mm) was made with a sterilized knife on the bark. The pieces of the mycelial colony were placed at the injured part. After that, the plants were placed in a moist chamber and held at the relative humidity of 80-100% and at 15℃ temperature for two weeks. Then, they were placed in the natural condition. Pycnidia were recognized on all inoculated seedlings such as, Larix gmelinii, L. g. var. Koreana, L. leptolepis and L. sibirica fifty days later. Many apothecia were observed on L. g. var. Koreana, a few were on L. leptolepis and few were on L. gmelinii and L. sibirica 476 days later. On the other hand, inoculations with conidia obtained from spore horns of pycnidia were made on May 13, 1970. Spore horns were stired in distilled water, this suspension was spread on the trunks and branches that were treated by sterilized stainless steel needle to make wounds (20 wounds in 4mm^2). After the spreading with the suspension, the plants were placed in a moist chamber for five days. The discoloration was observed on all of the treatment seedlings ten days later, and pycnidia were recognized on L. gmelinii, L. g. var. Koreana and L. leptolepis. No fruit bodies were found on L. sibirica. Under the results of the experiments, L. g. var. Koreana seemed to be the most susceptible to the fungus, and these results were similar to the field observations.
著者
東 恒人 島田 恭宏 高橋 武志 佐々木 武
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.11-20, 2007-03-31
被引用文献数
1

本手法で取り扱うメッシュは、2種類の曲線で構成されている.一つは横断面の形を表す曲線であり,もう一つは上記の曲線の配置関係を表した曲線である.これらの曲線は等しい長さの線分から構成されており,各曲線の形状は隣接した線分の間の角度の分布に依存する.本論文では、このような構造のメッシュについて、その形状的な特徴を定量的に分析するために,かつ,角張った形状のメッシュを生成するために,以下のような方法が提案されている.この方法では、二種類の曲線のうちの一方の種類の曲線の角度配布に対して、ウォルシュ変換対が適用され、他方の種類の曲線の角度配布に対して、フーリエ変換対が適用され、変換成分の一部を削除することにより、二種類の曲線のうち、一方の種類の曲線の形状の滑らかさの程度と他方の種類の曲線の形状の角張りの程度が強調されたメッシュが生成されている.
著者
岩滝 光儀 高橋 和也 鈴木 敏之
出版者
東京大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2019-10-07

東南アジア沿岸域では小型渦鞭毛藻による有害赤潮と漁業被害が頻発し,この対策が喫緊の課題となっている。本研究ではこれまで調査対象外となっていた小型種を選択的に検出することで,近年有害赤潮を形成するようになったカレニア科,そして出現情報が全くないアンフィドマ科渦鞭毛藻を対象に,種組成,毒組成,個体群分布を明らかにする。東南アジアにおける有害藻類研究者の連携体制を強化しながら,潜在する小型有害渦鞭毛藻の種組成と強毒個体群の分布海域を把握することで,被害対策に資する学術基盤を構築する。
著者
小寺 祐貴 横尾 慶紀 矢部 勇人 小橋 沙也香 田中 康正 山田 玄 高橋 弘毅
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.301-305, 2016-07-25 (Released:2016-08-06)
参考文献数
15

背景.先天性食道閉鎖症は多くに気管食道瘻を合併する.多くは新生児期に手術療法を行うが,小児期に食道気管瘻が再開通することがある.症例.35歳女性.新生児期にGross C型先天性食道閉鎖症の手術を受けた.しかし,高校生の頃から肺炎を繰り返すようになった.近医で気管支拡張症と診断されていたが,肺炎を反復するために当科に精査入院となった.胸部X線では左下肺野に浸潤影を認め,胸部CTでは左下葉に限局する囊胞状の気管支拡張症と内腔の液面形成を認めた.また周囲には肺炎像も伴っていた.気管支鏡では気管膜様部に瘻孔を認めたため,気管食道瘻の再発を疑い上部消化管の精査を行った.上部消化管内視鏡では上部食道の前壁に瘻孔を認め,食道造影検査では造影剤が食道瘻孔を通じて気管から左下葉気管支へ流入する所見を認めた.以上から気管食道瘻の再開通と診断し,食道瘻孔部直接縫合閉鎖術を行った.気管支拡張症は長期間の感染の反復により形成されたと考えた.結論.先天性食道閉鎖症の手術歴のある患者が呼吸器感染症を繰り返す場合は,気管食道瘻の再開通の可能性がある.
著者
永野 君子 松沢 栄子 大塚 慎一郎 高橋 史人 山中 正彦 山口 和子 熊野 昭子 小森 ノイ 菅 淑江 竹内 厚子 下志万 千鶴子 大野 知子 長谷川 孝子 西岡 葉子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.133-141, 1987
被引用文献数
1

肉, 魚, 卵, 豆腐, 牛乳を主な材料とする料理13種の作り方と伝承傾向の調査を, 全国8地区17都市に居住する女子, 昭和55 (1980) 年3,252名, 昭和57 (1982) 年3,094名を対象に実施した。<br>1) 伝承された時期は, 10歳代後半と20歳代前半が多く, 次いで20歳代後半であった。和風で古典的イメージの強い伝統的料理は20歳代, 普及年数の浅い洋風・中国風料理は30歳代, 40歳以上を伝承時期としていた。<br>2) 伝承形態は, (1) 母を主とする家庭内伝承パターン, (2) 専門家, 活字を主とする家庭外伝承パターン, (3)"自然に覚えた"と家庭内伝承が半々の中間パターンの3つに分類され, それぞれの料理に特徴がみられた。<br>3) 料理の作り方は, どの食品についても素材からの手作りが60%と高く, 次いで加工材料・半調理材料導入である。調理済み料理の利用は11%の低い回答率にとどまっていた。<br>4) 家庭への普及年数が比較的浅い麻婆豆腐は, 料理の作り方によって伝承形態に著しい差がみられた。手作りは専門家, 料理本・料理カードによる伝承が高く, 調理済み料理の利用は商品の説明書が有意に高かった。