著者
三木 千栄 小野部 純 鈴木 誠 武田 涼子 横塚 美恵子 小林 武 藤澤 宏幸 吉田 忠義 梁川 和也 村上 賢一 鈴木 博人 高橋 純平 西山 徹 高橋 一揮 佐藤 洋一郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ed0824, 2012

【はじめに、目的】 本学理学療法学専攻の数名の理学療法士と地域包括支援センター(以下、包括センター)と協力して、包括センターの担当地域での一般高齢者への介護予防事業を2008年度から実施し、2011年度からその事業を当専攻で取り組むことした。2010年度から介護予防教室を開催後、参加した高齢者をグループ化し、自主的に活動を行えるよう支援することを始めた。この取り組みは、この地域の社会資源としての当専攻が、高齢者の介護予防にためのシステムを形成していくことであり、これを活動の目的としている。【方法】 包括センターの担当地域は、1つの中学校区で、その中に3つの小学校区がある。包括センターが予防教室を年20回の開催を予定しているため、10回を1クールとする予防教室を小学校区単位での開催を考え、2010年度には2か所、2011年度に残り1か所を予定し、残り10回を小地域単位で開催を計画した。予防教室の目的を転倒予防とし、隔週に1回(2時間)を計10回、そのうち1回目と9回目は体力測定とした。教室の内容は、ストレッチ体操、筋力トレーニング、サイドスッテプ、ラダーエクササイズである。自主活動しやすいようにストレッチ体操と筋力トレーニングのビデオテープ・DVDディスクを当専攻で作製した。グループが自主活動する場合に、ビデオテープあるいはDVDディスク、ラダーを進呈することとした。2010年度はAとBの小学校区でそれぞれ6月と10月から開催した。また、地域で自主グループの転倒予防のための活動ができるように、2011年3月に介護予防サポーター養成講座(以下、養成講座)を、1回2時間計5回の講座を大学内で開催を計画した。2011年度には、C小学校区で教室を、B小学校区で再度、隔週に1回、計4回(うち1回は体力測定)の教室を6月から開催した。当大学の学園祭時に当専攻の催しで「測るんです」という体力測定を毎年実施しており、各教室に参加した高齢者等にそれをチラシビラで周知し、高齢者等が年1回体力を測定する機会として勧めた。A小学校区内のD町内会で老人クラブ加入者のみ参加できる小地域で、体力測定と1回の運動の計2回を、また、別の小地域で3回の運動のみの教室を計画している。また養成講座を企画する予定である。【倫理的配慮、説明と同意】 予防教室と養成講座では、町内会に開催目的・対象者を記載したチラシビラを回覧し、参加者は自らの希望で申し込み、予防教室・養成講座の開催時に参加者に対して目的等を説明し、同意のうえで参加とした。【結果】 A小学校区での転倒予防教室には平均26名の参加者があり、2010年11月から自主グループとして月2回の活動を開始し、現在も継続している。B小学校区では毎回20名程度の参加者があったが、リーダーとなる人材がいなかったため自主活動はできなかった。2011年度に4回コースで再度教室を実施し、平均36名の参加者があった。教室開始前から複数名の参加者に包括センターが声掛けし、自主活動に向けてリーダーとなることを要請し承諾を得て、2011年8月から月2回の活動を始めた。A・B小学校区ともにビデオあるいはDVDを使用して、運動を実施している。C小学校区では2011年6月から教室を開始し、平均14名の参加者であった。教室の最初の3回までは約18名の参加であったが、その後7名から14名の参加で、毎回参加したのは3名だけで自主活動には至らなかった。2010年度3月に予定していた養成講座は、東日本大震災により開催できなかったが、25名の参加希望者があった。A小学校区内の小地域での1回目の予防教室の参加者は16名であった。大学の学園祭での「測るんです」の体力測定には139名の参加者があり、そのうち数名であるが教室の参加者も来場された。【考察】 事例より、予防教室後に参加者が自主活動するには、活動できる人数の参加者がいること、リーダーとなる人材がいること、自主活動の運営に大きな負担がないことなどの要因があった。自主グループの活動やそれを継続には、2011年3月の地震後、高齢者の体力維持・増進が重要という意識の高まりも影響を及ぼしている。C小学校区の事例で、自主活動できなかった要因を考えるうえで、A・B小学校区と異なる地域特性、地域診断を詳細にする必要性があると考える。リーダーを養成することでC小学校区での高齢者が自主活動できるか検討する必要もある。高齢者の身体状況に合わせて、自主活動できる場所を小学校区単位、小地域単位で検討する必要がある。【理学療法学研究としての意義】 介護予防事業を包括センター、予防事業所などだけが取り組む事業ではなく、理学療法士が地域の社会資源としてそのことに取り組み、さらに介護予防、健康増進、障害、介護に関することなどの地域社会にある課題を住民とともに解決するための地域システムを構築していくことは、現在の社会のなかでは必要であると考える。
著者
藤木 大介 関口 道彦 森田 志保 高橋 佳子 倉田 久美子 山崎 晃
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.169-179, 2010 (Released:2010-10-22)
参考文献数
20

In 2004, Ninio suggested that the process of comprehending noun phrases such as “black shoes” included two steps: comprehending the noun “shoes” and the addition of the attribution “black.” Based on this assumption, Ninio predicted that the developmental process of comprehending noun phrases must progress through a phase in which children understood only the noun. She demonstrated the validity of her assumption through experiments conducted in Hebrew. However, her results were confounded by the word order of the noun phrase in the Hebrew language, in which the noun is the first word and the headword. In this study, we used Japanese phrases to eliminate the artifacts of the above study, because in the Japanese language, the noun is neither the first word in a noun phrase, nor the headword in an adjective phrase. Results indicated that also in Japanese, there is a developmental phase in which children comprehended only the noun in the noun phrases, which confirmed Ninio's assumption. However, there was also a phase in which children comprehended only the noun in the adjective phrases. These results cast doubt on Ninio's suggestion that the process of comprehending the noun phrase includes two steps, or that this two-step process results in a phase in which children comprehend phrases based only on the noun. We think current results relate the idea of noun dominance in children's learning of new words as described by Gentner in 1982, and this dominance influences children's attention by directing it to the noun when comprehending phrases.
著者
三ツ井 敏明 高橋 秀行 花城 勲 黒田 昌治 木下 哲
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究課題では、高温登熟玄米のプロテオームと澱粉グライコーム解析を行い、玄米白濁化は澱粉合成と分解のバランス異常が原因であると結論づけた。また、玄米外観品質に及ぼす強光・高CO2および高温・高CO2の影響を調べたところ、開花から登熟期初期において感受性が高いことが明らかになった。ただし、高CO2条件のみでは顕著な玄米白濁化は起こらないが、高CO2は高温ストレスを助長することが分かった。イネの高温耐性に関して鍵となる酵素としてMn型スーパーオキシドジスムターゼ(MSD1)が同定され、MSD1遺伝子の強発現により高温登熟性が改善され、一方、その発現抑制によって高温感受性が高まることが確認された。
著者
高橋 修
出版者
地方史研究協議会
雑誌
地方史研究 (ISSN:05777542)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.4-23, 2021-10
著者
高橋 和弘
出版者
THE SOCIRETY OF RUBBER SCIENCE AND TECHNOLOGYY, JAPAN
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.52-57, 2012 (Released:2013-08-02)
参考文献数
12
被引用文献数
2

Dicing tapes have been used for a Si wafer singulation at the IC packaging manufacturing. During the singulation, dicing tapes need to hold dies with high adhesion simultaneously with an easy die separation from the dicing tapes with low adhesion after singulation to prevent dies from breaking. In order to meet the requirements mentioned above, UV-curable dicing tapes, which is reviewed here, have been realized with both die-holding and easy-separation functions which are able to be controlled, independently. Moreover, with the popularity of the mobile devices, a packaging density and a die thickness tend to increase and decrease, respectively. For a reduction of thin wafer breaking, new thin-wafer processes, including a laser-dicing process, have been proposed and dicing tapes are required to have additional properties to realize those thin wafer processes. In this paper, the technical trend of dicing tapes for the new applications is presented.
著者
山口 開 奥瀬 千晃 鈴木 啓弘 小林 裕太郎 長田 達郎 巴 雅威 遠山 裕樹 林 毅 吉田 秀樹 高橋 泰人 前山 史朗 打越 敏之 飯野 四郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.18-22, 1998-01-25
参考文献数
19
被引用文献数
1

症例は23歳, 女性. 飲酒歴, 輸血歴および鍼灸治療歴はない. 常用薬剤なし. 感冒様症状に伴う食欲不振, 腹部不快感および2週間で約4kgの体重減少を主訴に近医を受診した. 生化学検査でtransaminaseの上昇を認め急性肝炎が疑われ当科紹介, 入院となった. 入院時現症では標準体重の-32%のるいそうを認め, 入院時検査所見では総蛋白, コリンエステラーゼの低下及びtransaminaseの上昇が認められた. しかし肝炎ウイルスマーカーはすべて陰性で, 抗核抗体および抗ミトコンドリア抗体も検出されず免疫グロブリンはいずれも正常ないし軽度低下を呈した. 腹部超音波およびCTでは著明な脂肪肝を認めた. 肝生検像では肝実質にacuteyellow collapsed cellを含む巣状壊死を散見し, 大脂肪滴沈着をzone 2~3に小葉の1/2以上に認め飲酒歴がないことからnon-alcoholic steatohepatitisと診断した. 本例は肥満, 耐糖能異常を伴わず, 薬剤服用歴もなく経過より急激な栄養障害による飢餓状態が原因と考えられた
著者
本間 洋州 高橋 昌稔 兒玉 直樹 岡田 和将 足立 弘明
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.734-739, 2018

<p>反復するげっぷと腹部膨満感を主訴とする27歳男性患者に対して, 各種身体検査にて器質的な消化管疾患を除外し, RomeⅢ基準に基づいて空気嚥下症と診断した. 一般的治療に対して反応性に乏しく, 職場不適応といった心理社会的背景をもつ症例と考えられたので, 生物心理社会的な治療アプローチを試みた. 生物学的観点からは, 空気嚥下の動画や腹部X線写真での腸管ガス像の変化といった生物学的変化を明示して病態理解を促した. 心理的観点からは, 失感情症傾向に対して受容的に関わりながら感情表出を促すとともに, 過剰適応傾向に対して自分の趣味に時間を割くことの重要性を説明して行動変容を促した. 社会的観点からは, 患者の知能特性として処理速度が有意に低いことに基づき職場における環境調整を行った. このような多角的治療アプローチを有機的に組み合わせることで, 難治性消化管症状の改善につながった空気嚥下症症例を経験したので報告する.</p>
著者
高橋 一秋
出版者
長野大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

クマ棚の分布は尾根に集中した。クマ棚形成に伴って形成された小規模林冠ギャップの面積は、尾根において年間1haあたり141.3m2にも達し、この面積は調査地区の尾根に創出した倒木ギャップ面積の約6.6倍であった。林冠層における開空率および液果植物の結実率は閉鎖林冠下より小規模林冠ギャップ下のほうが高い値を示した。センサーカメラによる観察から、鳥類および哺乳類がクマ棚を採餌、貯食、休憩、繁殖の場所として利用していることが明らかになった。
著者
斎藤 隆 高橋 秀幸
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.51-59, 1987 (Released:2007-07-05)
参考文献数
10

ウリ類の花の性分化の生理的機構を解明する一助として, キュウリの側枝基部節に雌花の発現しやすい生理的要因を明らかにすることを目的として, 本来雌花の発現しやすい側枝基部節の花の性を人為的に制御し得るか否かを検討した.1. 側枝基部節における雌花発現状態‘相模半白’,‘夏埼落3号’,‘大利根1号’,‘彼岸節成’ の4品種について, 主茎上第15節までに発生した全側枝の第5節までの節位別雌花発現率をみると,‘彼岸節成’では全節雌花節となり, 他の3品種でも側枝の第1節で雌花発現はかなり安定していたが, 第2節以上の節位で雌花発現は急激に低下した. 次に, 側枝上第1節の雌花発現率を主枝上における側枝の発生節位別にみると,‘彼岸節成’ ではすべての側枝でその第1節は雌花節であったが, 他の3品種では主茎上第2~3節の低節位に発生した側枝で低い雌花発現率を示した.2. 主茎の摘心処理が側枝上第1節の雌花発現に及ぼす影響‘大利根1号’ を用い, 第3葉展開初期に実体顕微鏡下で可能な限り上節位で茎頂部を摘除し, 主茎上第9~12節で摘心した. 摘心部直下から5節までに発生した側枝の第1節の雌花発現状態をみると, 無摘心区ではすべて雌花節となったが, 摘心直下に発生した側枝では全く雌花の発現がみられず, すべて雄花節となり, 側枝の発生節位が摘心部位から離れるほど雌花発現率は高まった.3. 主茎の摘心部位及び摘心時期が側枝上第1節の雌花発現に及ぼす影響‘夏埼落3号’ を用い, 肉眼で可能な限り早期に第5,10, 15節を残して主茎の摘心処理を行った. 各摘心区とも摘心部直下の節位に発生した側枝の第1節の雌花発現率は低下した. また, 第5, 10, 15節摘心可能時に, すべて第5節直上で時期を変えて主茎を摘心した場合, 摘心部直下の節位に発生した側枝の第1節の雌花発現率は摘心時期の早いほど低下した.4. 主茎上の摘葉処理が側枝上第1節の雌花発現に及ぼす影響‘夏埼落3号’ を用い, 第1葉のみ, 第6葉のみ, 第1,4, 7, 10葉を残して他の葉は葉身長1cm以下で摘除し,各摘葉処理区とも第10節分化直後に第10節以下を残して主茎を摘心した. 第1葉または第6葉のみを残して摘葉した区で雌花発現率が低下する傾向を示した.5. 生長調整物質施与が側枝上第1節の雌花発現に及ぼす影響‘大利根1号’ を用い, 第3葉展開初期にGA4+7 30ppmまたはAgNO3 200ppmを散布し, 主茎上第6~12節に発生した側枝第1節の雌花発現状態をみると, GA区では高節位の側枝でわずかに雌花発現率が低下し, AgNO3区では各節位の側枝とも雌花発現率が著しく低下した.6. 摘心処理と生長調整物質施与の組み合わせが側枝上第1節の雌花発現に及ぼす影響‘夏埼落3号’ を用い, 可能な限り早期に第5, 10, 15節で摘心し, 摘心処理直後と10日後の2回, GA3 20ppmまたはCEPA 30ppmを散布した. 各摘心区において, GA3施与は摘心処理によって低下した摘心部直下の側枝第1節の雌花発現をさらに低下させ, CEPA施与は逆に摘心処理による雌花発現の抑制とは拮抗し, 雌花発現を高めた.
著者
高橋 聡明 新谷 結衣 村山 陵子 野口 博史 阿部 麻里 Koudounas Sofoklis 仲上 豪二朗 森 武俊 真田 弘美
出版者
Japanese Society of Wound, Ostomy and Continense Management
雑誌
日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 (ISSN:1884233X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.576-584, 2021 (Released:2021-11-10)
参考文献数
28

背景:末梢静脈点滴の合併症は、時には潰瘍化にいたる重要な問題である。血流の多い血管を使用することにより、合併症予防の可能性が示されてきたが、末梢静脈の血流測定方法は確立されていない。そこで本研究では健常者における超音波検査装置による上肢静脈血流量測定の信頼性妥当性検証を行い、血流量測定を行うこととした。 方法:対象は健常成人8人、上肢12本とした。上肢主要静脈である上腕尺側静脈、前腕橈側皮静脈、前腕尺側皮静脈、前腕正中皮静脈を測定部位とし、訓練を受けた看護師が測定を行った。並存妥当性の検証を行うため、従来手技である手動による測定とAuto Volume Flow(AVF)機能を用いて測定を行い、ピアソンの相関係数を計算した。評価者内信頼性検証として級内相関係数(ICC)を、既知集団妥当性として豊富な血流量が予測される上腕尺側静脈と前腕に位置する静脈を比較した。 結果:測定者内信頼性について、従来手技では、すべての測定の平均は25.5 ml/minで、ICC(1,1)(1,3)はそれぞれ0.91 (p<0.01)、0.97(p<0.01)であった。並存妥当性については、従来手技、AVF による測定との相関はr = 0.96(p<0.01)であった。既知集団妥当性として、前腕の主要静脈の血流量はいずれも上腕尺側静脈と有意な差を示した(p<0.01)。 結論:上肢末梢静脈の超音波検査装置による血流測定の信頼性および妥当性が示された。
著者
黒田 啓行 庄野 宏 伊藤 智幸 高橋 紀夫 平松 一彦 辻 祥子
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.209, 2005

実は多くの漁業は漁獲量の制限などにより管理されている。漁獲許容量(TAC)は、現在の資源量(魚の量)などから算出されるのが通例である。しかし現実には、データや知見の不足により、資源量などの推定は難しく、さらに将来の環境変動などを予測することも容易でない。このような「不確実性」は、科学の問題だけでなく、合意形成をはかる上でも大きな障害となる。<br> ミナミマグロは南半球高緯度に広く分布する回遊魚で、商品価値は非常に高い。日本、オーストラリアなどの漁業国が加盟するミナミマグロ保存委員会(CCSBT)により管理されている。しかし、近年の資源状態については、各国が主張する仮説によって見解が異なり、TACに正式合意できない状況が続いていた。<br> この状況を打開するために、CCSBTは2002年より「管理方策」の開発に着手した。管理方策とは、「利用可能なデータからTACを決めるための"事前に定められた"ルール」のことで、環境変動や資源に関する仮説が複数あっても、それら全てに対し、うまく管理できるものが理想的である。そのため、様々な仮説のもとでのテストが事前に必要であるが、実際に海に出て実験することは不可能に近い。そこで、コンピューター上に資源動態を再現し、その「仮想現実モデル」のもとで、複数の管理方策を試し、より頑健なものを選び出すという作業が行われた。このような管理方策の開発は、国際捕鯨委員会(IWC)を除けば、国際漁業管理機関としては世界初の画期的な試みである。実際にCCSBTで管理方策の開発に当たっている者として、開発手順を概説し、問題点及びその解決方法について紹介したい。不確実性を考慮した管理方策の開発は、持続可能な資源の利用を可能にし、魚と漁業に明るい未来をもたらすものと考えている。
著者
酒井 健一 高橋 拓夢 松枝 宏尚 砂川 和輝 宇野 円蔵 坂田 浩 赤松 允顕 酒井 秀樹
出版者
一般社団法人 日本トライボロジー学会
雑誌
トライボロジスト (ISSN:09151168)
巻号頁・発行日
pp.21-00017, (Released:2021-10-30)
参考文献数
15

We characterized the adsorption and desorption behavior of a sulfur-type extreme-pressure (EP) agent in a mixture of dodecane and methyl oleate (MO) as a model polar oil. The solid material used in this study was iron oxide or steel. The quartz crystal microbalance with dissipation monitoring technique revealed that the residual mass of the EP agent, measured after rinsing the adsorption film by dodecane or the mixture of dodecane and MO, was smaller in the mixed oil than in dodecane. This indicates the lesser adsorption ability of the EP agent in the mixed oil, resulting from the facts that (i) the solubility of the EP agent in the mixed oil is larger than that in dodecane, and (ii) the competitive adsorption between the EP agent and MO occurs on the iron oxide surface. We also analyzed the surface composition of the steel substrate, followed by thermal treatment of the adsorption film. The addition of MO required higher temperatures to yield a reaction film of the EP agent. Although the residual mass of the EP agent in the mixed oil was smaller than that in dodecane, no significant difference in a lubrication ability was observed between the two reaction films.
著者
山本 元久 鈴木 知佐子 苗代 康可 山本 博幸 高橋 裕樹 今井 浩三 篠村 恭久
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会総会抄録集
巻号頁・発行日
vol.36, pp.129, 2008

48歳女性、元看護師。2001年9月より膝関節水腫が出現、仕事や肥満が原因と考えられていたが、2002年2月から発熱・CRP上昇を認め、当科紹介となった。膝関節腫脹と左下腿に結節性紅斑を認め、少量プレドニゾロン(PSL)を開始した。2003年3月より両下腿腫脹、皮膚潰瘍を認め、皮膚生検で血管炎を確認した。末梢神経障害による四肢のしびれ以外、臓器障害はなく、ANCA・抗リン脂質抗体は陰性であり、皮膚型結節性多発動脈炎(cPN)と診断した。PSL増量によりCRP低下や下肢腫脹の消退を認めたが、減量し復職すると、下腿腫脹・疼痛が悪化、潰瘍を形成するため、PSL減量が困難であった。2005年末に離職・自宅療養となったが、下腿腫脹の悪化、皮膚潰瘍の多発・拡大と下肢痛を認め、PSL 40 mgに増量、2006年8月からエンドキサンパルス療法を3回施行した。その後、PSL17.5mgにまで減量したが、発熱・CRP再上昇を呈し、同意を得た上で、2007年10月からエタネルセプト(ETA)の併用を開始したところ、速やかに解熱、炎症反応の陰性化をみた。現在、PSL12.5mgにまで減量しているが、潰瘍形成を含め、再燃は認めていない。ETAが奏効したcPNの一例を経験したので、考察を加えて報告する。