著者
隈元 美貴子 柳田 元継
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

<b>目的</b> 被服行動がライフスタイルと関係があることは知られているが,ライフスタイルは時代とともに変化する.そこで,本研究では,現代の若者を被服行動により類型化し,類型ごとのライフスタイルの特徴を明らかにすることを目的とした.<b>方法</b> S大学および短期大学の学生を対象として,集合調査法による質問紙調査を行った.実施時期は2013年12月,対象は195名,回収率は99.0%であった.調査項目は,基本属性,被服行動に関する20項目,ライフスタイルに関する25項目から構成されている.得られた回答の分析を行い,検討を行った.統計分析は,因子分析,クラスター分析,一元分散分析をSPSSを用いて行った.<b>結果</b> 被服行動を測定する20項目への反応を因子分析(主因子・プロマックス回転)し,固有値1以上の4因子を抽出した.それぞれの因子に,「流行性」,「経済性」,「機能性」,「規範性」と命名した.次に,被服行動に対する考え方で対象者を類型化するために,被服行動を規定する4因子得点をもとにクラスター分析を行った.その結果,「流行性」「経済性」「機能性」に高い値を示す「ファッション重視型」,「流行性」「規範性」に高い値を示す「見た目重視型」,「流行性」「規範性」に低い値を示す「ファッション無関心型」に類型化できた.次に,ライフスタイルに対する各質問の回答の平均値を,それぞれの類型ごとに算出し,一元分散分析後,多重比較を行った.その結果より,類型ごとにライフスタイルの特徴をまとめたところ,「ファッション重視型」では,向上心があり,友人付き合いの範囲が広く,個性が強く,「見た目重視型」では,向上心があり,多方面に好奇心を持ち,「ファッション無関心型」では,外向性が低く,社会への飛躍願望があまりないことがわかった.
著者
竹山 恵美子 坂口 沙和 津田 早友果 中野 由希 新海 シズ 福島 正子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

【目的】柿の葉にはポリフェノール類が多く含まれ,その抗菌性や抗酸化性等が注目されている。古くから柿葉は柿の葉寿司や柿茶などに用いられてきたが,機能性に関する研究は未だ十分ではない。これまでの研究から柿の葉には&alpha;-アミラーゼ阻害活性が認められており,このことは,柿の葉に血糖値を抑制する働きがある可能性を示唆している。また,一部のヒト試験でもその傾向は認められている。そこで今回は柿の葉茶の血糖値抑制効果をさらに詳しく調べるために,食事性肥満マウスを用いて実験を行った。<br>【方法】B6J DIOマウス♂(8週齢)を1週間の予備飼育後,体重・血糖値を基に2群に分け,柿茶投与群には柿茶抽出濃縮物の0.5%溶液を,対照群には水道水を,飼料は固形の高脂肪飼料D12492 60kcal%Fat をいずれも自由摂取させた。なお,体重,飼料摂取量,飲水量は経日測定し,血糖値は1週間ごとに尾静脈より採血してメディセーフミニ(TERUMO社)にて測定した。柿茶投与6週間後に,18時間絶食後,ゾンデを用いてグルコース負荷試験を行い,屠殺・採血後,解剖した。膵臓,肝臓,腎臓については組織標本を作製し,観察した。また,HbA1c をDCAバンテージ(SIEMENS社)により,血漿インスリンをMercodia社 マウスインスリンELISAキットを用いて測定した。なお本実験は昭和女子大学動物実験委員会の承認を得て,規定を遵守して実施した。<br>【結果】非空腹時血糖値及び,グルコース負荷試験時の血糖値,HbA1c,血漿インスリン濃度は,柿茶群と対照群に大きな差は認められなかったが,柿茶濃縮物投与群は対照群に比べてグルコース負荷試験における血糖値曲線下面積が低値となる傾向が認められた。血糖値抑制効果の可能性が示唆された。
著者
小竹 佐知子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, pp.88, 2009

目的 食品咀嚼中に食品から放散する香気は、食品のおいしさを決める最終的な判断基準の一つとなることから重要と考えられる。そこで、食品咀嚼中の放散香気量に及ぼす咀嚼頻度の影響を検討することを目的として、咀嚼モデル装置を用いて測定した。方法 抜き型(直径2.7cm)を用いて直径2.5cm、高さ2.5cmに成形した蒟蒻ゼリー(マンナンライフ社製、カップポーションタイプ・レモン味)を0.31Hz、0.71Hz、1.00Hz、1.46Hzの咀嚼頻度にて2分間模擬咀嚼させ、その間に放散した香気をテナックスチューブに捕捉し、加熱脱着式(TSD、Gerstel社)のGC-MS(6890GC-5973MSD、Agilent社)によりリモネンを分析した。実験は6回の平均とし、シェッフェの全群比較法により統計処理を行った。結果 咀嚼頻度1.46Hz(1.46回/秒の咀嚼)は、予備実験にて学生パネルに試料を供試して食べてもらい、計測した嚥下するまでの咀嚼回数と咀嚼秒数から算出した値の最大値である。学生の咀嚼頻度は1.00~1.46Hzの間にあり、これに対して、ややゆっくりの咀嚼を0.71Hz、非常にゆっくりの咀嚼を0.31Hzに設定した。リモネンの放散量は、咀嚼頻度が低くなるにつれて減少する傾向にあったが、1.46Hzと1.00Hzの間には有意差は無く、0.71Hzでは5%、0.31Hzでは1%の危険率で有意に減少した。以上のことから、咀嚼頻度が低い高齢者では、咀嚼中の放散香気量の少ないことが示唆された。
著者
平田 未来
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

【目的】20世紀初頭、イギリスで婦人参政権運動が盛んとなった。1903年にマンチェスターでエメリン・パンクハーストによって結成された女性政治社会連合(Women&rsquo;s Political Social Union:略称WPSU)では、1908年頃より衣服問題が生じた。これまでの研究では、女性史や教育史の中で婦人参政権運動の政治的な動きが注目されており、近年では消費社会と関連していたとの見解もある。本発表では、20世紀初頭のイギリスで起きた婦人参政権運動で着用された衣服の社会的文化的役割と意義を明らかにする。 <br><br>【方法】分析の中心となるのは、1907年10月にローレンス夫妻によって刊行されたWPSUの機関紙『婦人に参政権を!』(<i>Votes for Women</i>)である。また女性参政権協会全国連合の『コモン・コーズ』(<i>Common Cause</i>)と比較検討する。さらに、同時代の新聞、雑誌、自伝や現存する衣服を用い、衣服の機能や役割を検証する。研究の対象期間は、1908年から第一次世界大戦がはじまる1914年である。 <br> <br>【結果】婦人参政権論者たちは、エドワード朝時代の白いブラウスに裾の長いスカート、それにつばの広いピクチャー・ハットを取り入れ、女性らしさを保持しつつ、活動に参加していた。さらに「紫、白、緑」という「純潔、希望、それに威厳」を意味するカラーズのついたバッジ、ブローチそれにバナーズが運動の団結心を高める機能を果たしていた。これらの衣服やアイテムは、彼女たちの自立心を育て、団結心を与えると共に、婦人参政権運動への実現を果たす役割を担っていた。
著者
谷口 泉
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

【目的】愛知県津島市、又近隣市町村では古くから当地の川魚であるモロコを食す文化があり、家庭における郷土料理として、長く親しまれてきた。最近では、モロコがなかなか手に入らなくなっていることから、若者を中心に、モロコの認知度が低くなっている傾向にある。本プロジェクトは、「モロコ」の養殖、レシピ開発を行い地域創生事業に繋がることを目的とする。<br>【方法・結果】若者向けのレシピ開発にあたり19歳~23歳58名を対象に、モロコについてのアンケート調査を行なった。また高齢者向けのレシピ開発においては、津島商工会議所モロコプロジェクト委員会が2010年に30~79歳71名を対象に行ったアンケート調査の結果から、今回は対象者別のコンセプトを立案した。高齢者向けには「素材の味を活かした親しみのある日常の和食」をコンセプトに、野沢菜の混ぜごはん、根菜のきんぴら、なすの揚げ浸し、あんかけ茶わん蒸しで計4品の馴染みのある和食とモロコを組合せたレシピを開発した。若者向けには、「シーン、料理の特徴を明確にした食べごたえのある料理」をコンセプトにサラダ巻き寿司、韓国風丼ぶり、彩り野菜のピクルス、レンコンのはさみ揚げで計4品を食べごたえのある副材料と組み合わせレシピを開発した。
著者
内田 初代 小田 良子 瀬木 晶子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.60, pp.328, 2008

高齢者の介護食についての一考察 ○内田 初代 小田 良子 瀬木 晶子 1)(名古屋文理大短大部)<B>目的</B>食事は安全・栄養・嗜好という3条件を満たすことが必要となる。特に介護食では、衛生面での安全のみならず、高齢者が飲み込みにくい食物、問題となる食物を知る事が重要な課題と考えた。そこでこの調査は「飲み込みやすいと言われる食物名」「飲み込みにくいとされる食物名」をリストアップしアンケート調査を行った。<BR><B>方法</B>A施設及び在宅高齢者についてアンケート調査を行った。調査項目は、これまでの報告されている先行研究を参考にして実施した。調査時期:2007年7月 調査対象:A施設36名:在宅8名<BR><B>結果</B>問い1の飲み込みにくい食べ物の上位3位以内に挙げたのは次の通りである。A施設では、雑煮の・焼き芋・ゆで卵であった。在宅では、調査対象者が8名と少ないため同率1位の酢の物・カステラ・ゆで卵を同率1位とした。調査時期は7月であったが、A施設では1位に雑煮の餅を挙げていた。問い2の飲み込みにくいものとして、A施設はれんこん・固いものと記入し、歯がないため歯ぐきでつぶせないものは口腔内にため込んでしまう利用者もいた。在宅では、椎茸・胡瓜等を記入し同様に歯が無くなってから食べ物に注意が必要となったと答えた。問い3では、65~75歳位で食べ物が飲み込みにくくなった頃と答えた。高齢者の身体状況の口腔状態を把握し、それぞれの食物について飲み込みにくい要因をつかみ個々の摂食レベルに適した食事ケアを行うことが大切であると分かった。
著者
綱島 愛 山岡 利佳 小川 久惠 松本 仲子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.128, 2003 (Released:2004-05-25)

【目的】調理学の教科書には、煮物をする際に使用調味料は分子量の大きさの違いから、サ行の順に入れると良いと書かれていることが多い。しかし家庭調理での実態や、一般に販売されている料理本においては、必ずしも順を追って加えず、一度に加える場合がみられ、この方が初心者には失敗が少なく、楽に調理できると思われる。そこで、調味料を加える順序が、煮物の仕上がりのおいしさにどのような影響を与えるか、検討した。【方法】調味料を加える方法として(1)だしとすべての調味料をはじめに合わせ、沸騰させたところに材料を加える。(2)だしと材料を5分加熱したところに調味料を一度に加える。(3)だしと材料を5分加熱した後調味料を砂糖、塩、醤油、みりんの順に加える、の三方法を、でんぷん質の多い里芋、じゃがいも、かぼちゃ、根菜類の大根、人参、ごぼう、蓮根の7種の野菜を用いて煮物をし、調味料の加え方が仕上がりに及ぼす影響を検討した。実験に際して、調味料の濃度(煮あがりの煮汁の量)、加熱時間、材料の平均化には特に配慮した。検討方法は、官能評価による受容度を中心に、試料への塩分の浸透状態およびテクスチャ-(クリープメーターによる)を測定し比較した。【結果】でんぷん質の多い野菜、根菜類のいずれにおいても(1)、(2)、(3)の調味料を加える順序の違いにおいて、官能評価結果は、総合評価では差がみられなかったが、蓮根、じゃがいもを除く他の試料の味のバランスで、(3)の評価が低かった。塩分の浸透状態については、(3)の方法で試料の内外に差がみられた。
著者
植竹 桃子 正地 里江
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.27, 2007

<目 的> わが国が抱える多くの課題の中で、少子化,女性の社会進出,循環型社会の構築に着目すると、核家族化した育児中の家庭における合理的かつ地球環境を配慮した衣生活を推進すること、の必要性は否定できない。本研究では、衣生活の中で洗濯に焦点をしぼり、育児中の家庭における洗濯の実態を把握し、問題・課題を明確化することとした。<BR><方 法>(1)調査対象:東京近郊に居住して、おむつを使用中の乳幼児を育てている母親7名(満22歳~36歳,平均30.9歳)。(2)調査方法:面接調査(基本的に調査対象者の自宅にて実施)。(3)調査内容:家事全般に対する姿勢,家庭洗濯のしかた,洗濯物の乾燥法,使用おむつの現状。<BR><結 果>(1)家庭洗濯はほぼ毎日行い、子供用品を中心につけ置洗い・下洗い,仕分け,漂白の手間もかける傾向にある。(2)乾燥機或いは浴室乾燥設備を所有しているのは7名中3名で、その使用は梅雨時や大物を乾かす時に限られている。基本的な乾燥法は屋外干しで、必要に応じて日常生活スペースへの屋内干しを行っている。(3)現在の使用おむつは全員が紙おむつで、紙おむつに対して何らかの問題点を感じながらも、紙おむつの便利さが魅力となっている。(4)布おむつに関しては、干し場等の乾燥に対する懸念よりも、一様に洗濯することへの大変さ,否定感が示された。以上より、育児中の家庭における洗濯に対する姿勢は、一般的な衣服と布おむつでは著しく異なることから、布おむつの使用を推奨する場合には、おむつに対する正しい知識・情報の提供が必要と考える。
著者
荒木 李彩 貴志 倫子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

<b>目的</b> キャリア教育は生活キャリアと職業キャリアの両方を統合した多様な人生役割を形成するものである。家庭科はキャリア発達に関係深い教科であり、中でも生活設計教育は、仕事と生活の調和を考えさせながら学習していくことが求められている。新学習指導要領では、生涯を見通す視点が強調されており、人生経験の少ない生徒に生涯を見通す視点を持たせる工夫が必要である。そこで、本研究では、生活設計において高校生が人の一生を多様な視点を持って展望できる教材の開発を行うことを目的とする。<br><b>方法</b> 1)平成23年度検定の家庭総合・家庭基礎の教科書16冊より生活設計に関する教材を分析する。2)NHKで放映された「7年ごとの記録:イギリス56歳になりました」を素材として教材を作成し、模擬授業による評価を行う。<br><b>結果</b> 1)家庭基礎の教科書10冊中5冊は家庭総合と同一の内容であり、家庭基礎であっても生活設計の立案を行う内容が多数存在した。2)教科書には、生涯の見通しを持たせる工夫として「生活設計の立案」「人物モデルの事例」「年齢別データ」がみられた。3)人の一生を7歳から56歳まで追った映像からライフイベントを見出す教材を作成し、模擬実践を行ったところ、生活設計への関心を呼び起こすなどの効果と授業実践に向けての課題が明らかとなった。
著者
照井 眞紀子 村上 洋子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.42, 2005

【目的】管理栄養士は給食を経営するための知識が問われ、経営手法や経営感覚を持つことが期待される。給食経営管理の学習で用語の知悉や理解の程度の高揚が、内容の理解と知識を増幅させ実践力がつくと考える。また、それらはメディアからの情報収集との関連も考えられる。学生の給食経営管理の専門性の能力を養うために教育をどのように展開したらよいか、用語の知悉と理解、情報収集源との関連で検討した。【方法】調査は、管理栄養士養成施設の2年生90名を対象に2004年10月に行った。教科書から80の用語を抽出し「読み」と「知悉」・「理解」の程度、情報の収集と発信、新聞・テレビ・雑誌の視聴の程度等をアンケート調査した。【結果及び考察】回収率は、95.6%であった。「読み」の全問正解者率は4.7%で全員正解用語率は47.1%、聞いたことがない用語では「歩留まり」、「貸借対照表」が82.6%、「損益計算書」77.9%、80%以上の用語を聞いたことがあると答えた者は19名、70%以上の用語の意味がわかると回答した者は8名であった。用語の知悉と意味の理解には強い相関がみられた。情報収集源として98.8%の者がテレビをあげ、ニュースを殆ど毎日みる者は45.3%であるが、経済・経営関係の番組をみることが殆どなしの者が73.3%あった。用語を聞いたことがあると回答した者は新聞を読む傾向があり、意味がわからないと回答した者は、新聞も読まない、経済・経営関係の番組を見ないという負の相関が強かった。メディア等の情報収集が給食経営管理の理解を深める一助となることが示唆され、情報の意味の読み出しと解釈力を喚起した教育展開が必要と推察する。
著者
三宅 元子 今村 匠沙
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的</b> &nbsp;高等学校家庭科の消費者教育に,消費者としての適切な意思決定に基づいて責任を持って行動できる力の育成を目指した学習の導入を検討する.この目標を達成するための基礎資料を収集する目的で,すでに高校までに家庭科を受講した学生の消費者教育の学習状況及びお金に対する意識と消費行動について調査した.<br><b>方法</b>&nbsp; 大学及び短大の1年生327名を対象として,2014年4月にアンケート調査を行った.<br><b>結果</b>&nbsp; 学生が家庭科で消費者教育を受けたという意識は,中学・高校のいずれも約10%と低かった.約45%は覚えていないあるいは受けたことがない,残りの約35%は社会科,総合的な学習の時間,全校集会での講演であった.学習した内容は,クーリングオフ,クレジットカード,悪質商法の順であった.お金に対する意識では,真剣にお金について考えたことがある者は75%であり,90%以上が自己の金融に関する知識や判断能力は高くないと考えている.また,消費行動では,小遣い帳の記入は経験者と未経験者が約半数ずつであり,クレジットカードは半数以上が1枚以上の所持を希望している.商品の購入では,通信販売の経験は67%であり,なかでもインターネット(以下,ネット)を利用した購入が74%と高かった.悪質な商法に遭った経験は1%以下であったが,被害はネット購入によるものであった.継続してネット購入を希望する者は約半数であり,今後の消費者教育の学習内容に関する示唆が得られた.
著者
矢田 幸博 永嶋 義直 鈴木 めぐみ 鈴木 敏幸
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.310, 2006 (Released:2008-02-28)

【目的】冷え症状の愁訴と生理状態との関連性を明らかにすることを目的に冷え性意識を有する日本人女性の性格特性の調査と自律神経系評価計測を行った。【方法】東京近郊在住で冷え性意識のない女性群(健常群:20_から_60代)および本人愁訴とともに質問紙にて冷え性と判定された女性群(冷え性群:20_から_60代)を選択した。ストレス、疲労、性格特性および神経症を調査するためSCL30、CFSI、STAIの各質問紙およびCMI健康調査表を用いた。生理評価は、心拍変動解析、手掌部のペルチェ素子による温熱負荷時の血管反応性の周波数解析を行った。【結果】健常群のストレス得点に比して冷え性群の得点は、全年代で高く、ストレス得点が高くなるほど冷え性群の占有率が高かった。疲労感調査では、冷え性群で一般疲労、気力の減退が顕著であった。STAIおよびCMIによる性格特性、神経症調査では、冷え症群で特性不安が高い傾向が認められたとともに神経症の重症頻度が有意に高かった。一方、自律神経系計測では、冷え性群でRR間隔の有意な低値が認められた。また、温熱負荷時の血流周波数解析から冷え性群で血管拡張が起こりにくいことが示唆された。以上の結果から、冷え性意識のある女性は、生理心理両面において緊張状態にあり、冷え性の症状の発現や悪化につながっている事が示唆された。
著者
庄司 一郎
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.119, 2002

甘皮層粉の欠点を解消し, 有効利用を目的として, 甘皮層粉を複合酵素により分解し, 凍結乾燥品とした際の理化学性やそば麺に及ぼす影響について検討した。甘皮層粉は更科そば粉や薮系そば粉に比してタンパク質、脂質, ミネラル、食物繊維, ビタミン及びE含量が高く, 酵素処理により未処理粉よりもミネラル, 食物繊維, 直糖が増加した。甘皮層粉酵素処理粉は冷水時と高温時の膨潤度, 溶解度に差がなく, 膨らみやすく, 溶けやすい性質を示した。甘皮層粉添加そば切りの製麺適性試験からは半生及び冷凍タイプ麺は乾燥タイプに比して耐煮沸性が劣り、煮崩れしやすい傾向を示した。官能評価からは甘皮層粉を添加した乾麺更科系そばは冷凍薮系そばに比べ外観、食感及び風味での評価が高く有意に好まれた。
著者
笠松 千夏 米田 千恵 村上 知子 香西 みどり 畑江 敬子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.217, 2005

<b>目的</b> カキは生食の他,牡蠣そば,カキフライ,土手鍋など様々な調理方法で食されている。近年,天然のカキが減少し,養殖カキの消費量が増加する中,養殖カキの一般成分の季節変動および加熱による物性変化を明らかにすることを目的とした。<br><b>方法</b> 北海道厚岸産養殖マガキを殻付きのまま入手し,一般成分(水分・タンパク質・脂質・灰分・炭水化物),グリコーゲン量を測定した。加熱試料は,広島県産養殖マガキを剥き身で購入し,ポリプロピレン袋に脱気密封し,沸騰水中で2,10,30分間加熱後室温に冷却した。物性は,テクスチャーアナライザTA-XT plus(SMS製)にφ5mmシリンダー,カッターの刃,ニードルの3種のプランジャーを装着し,それぞれ圧縮強度,剪断力,貫通による破断強度を求め官能評価と対応させた。<br><b>結果</b> マガキ試料の一般成分の季節変化は,夏季の産卵直後に水分の割合が増加し,その後炭水化物量が徐々に増加した。呈味に関与する成分であるグリコーゲンは産卵期前後で最小となり,秋から初冬にかけて最大となった。加熱によりカキ表面の膜は凝固変性し硬化するのに対し,カキ体幹部は生が最も剪断力が強く,加熱2分でゲル化しやわらかくなった。加熱10分以降は収縮し脱水により硬くなった。最も身がふっくらしエキスの流出が少なかったのは,加熱2分以下(試料の中心が70℃まで)の状態であった。
著者
岡野 雅子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b><b>目的 </b></b> 近年、ニ-ト・フリ-タ-が増えているが、職業観の形成過程の検討は年齢をさかのぼる必要があると指摘されている。職業認知は小学生期にできるとされるが、本研究はその前段階の幼児のしごと観を探り、将来のしごとについて家族と話しているかについて明らかにした。<br><b>方法</b> 北関東T市の幼稚園・保育所の5歳児の保護者を対象に質問紙調査を行い、回答のあった保護者の子どもと面接調査を行った。親子の回答が揃った64組(男児31、女児33)を資料とした。調査時期は平成26年7月(質問紙調査)、11月(面接調査)。<br><b><b>結果と考察 (1)</b></b>子ども回答は、男児はスポ-ツ選手45.8%、警察官16.7%が多く、女児はケ-キ屋(パン屋アイス屋)41.9%、幼稚園保育所の先生19.4%が多い。男女ともキャラクタ-やアイドルもあり、未定・無回答は14.1%である。子は回答1つが85.6%、未定・無答14.1%で、親は回答1つが68.8%、複数回答25%、未定6.3%である。親子で回答の一致は64組中34組(53.1%)で、女児の親子の方が、親が若年層の方が、一致率は高い傾向にある(p<.1)<b>。<b>(2)</b></b>親子で話し合うかは「よく話す」子回答8.1%、親回答45.3%、「話したことはない」子回答21%、親回答3.1%で、親子間に認識の隔たりが認められ、複数回答の親は親子の回答一致率は高く(p<0.01)、親が若年層の方が子回答で「話し合う」率が高い(p<0.05<b>)。<b>(3)</b></b>子どもは本来未来指向性をもち大人になることは期待をもって想い描く事柄と言えるが、今日の家庭生活では「よく話す」と答える子どもは1割弱で、親回答も半数に満たない。現代の生活状況は子どもの将来像を想い描くことが難しい背景があると考えられるのではなかろうか。
著者
鎌田 佳伸 比嘉 紗希 亘 麻希 江端 美和 後藤 真由美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.60, pp.210, 2008

目的:ミシン刺繍で重要な因子である光沢は、刺繍糸と縫い方により左右される。ミシン刺繍の光沢に関して、前報(第59回大会研究発表要旨集p.201)では、縫いパターンと光沢の関係、刺繍糸の繊維素材・糸の構造と光沢との関係を検討し、より高い光沢を得るには異形断面(三角断面)で、撚りは少なく、より細い繊維を利用して均整で平滑な刺繍糸を用いることであると結論した。本研究では、これらの結果の中で、縫いパターンと光沢の関係にのみ注目して、その関係を詳細に明らかにすることを試みた。方法:刺繍ミシンはジャノメメモリークラフト10001、設計用ソフトはデジタイザープロを使用。刺繍糸は#50ポリエステル(白)、縫い方はサテン縫いとたたみ縫いの2パターンとし、5_cm_×5_cm_の試料を作成し、光沢を測定した。測定パラメータは縫いパターン、ステッチの長さ、糸密度、刺繍方向に対する見る角度、受光角度の5つとした。結果:(1) 「サテン縫い」と「たたみ縫い」という縫い方の違いのみでは光沢値に大きな差異は認められなかった。(2)ステッチの長さが増大すると、8mmまでは光沢度は増大するが、それ以上になると変化が小さくなり、飽和状態に移行する。(3)「刺繍方向に対する見る角度」が変わると、光沢は受光角に依存して変化する。受光角45~60度では、刺繍方向で高い光沢度をもつが、その後急激に低下する。受光角75~85度でも類似の傾向を示すが光沢度は低くなる。しかし、受光角が20度のように小さい場合には、刺繍方向よりもそれに直交する方向で光沢は高くなり、受光角が大きい場合とは逆の結果となった。
著者
鎌田 佳伸 渡辺 瞳
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.188, 2003

【目的】ミシン刺繍では刺繍作業中に糸切れが発生することがある。刺繍は基布に刺繍糸を縫いこんでいくが、その過程において糸が多層に重なり合う場所も存在する。したがってミシン刺繍は、通常の縫合縫製と比べ糸の負担が大きくなることが予想される。しかし、糸切れの原因については、縫糸メーカーや、ミシンメーカーにおいても特定されていないと言われている。そ二で、ミシン刺繍による糸切れの原因究明を行った。【実験】刺繍ミシンはジャノメメモリークラフト10000、基布はデニムを使用した。刺繍糸は、各種メー力ー製6種、色別を15種用いた。糸切れの発生し易いパターンを用いた糸切れの状況、円形等の基本的パターンを用いた糸の寄り戻り、さらに糸の物性も調べた。【結果】糸切れの原因は熱による溶断ではなく、機械的損傷であることが切断面の観察から分かった。糸の色に関しては、白やベージュなどの淡色系に比して黒や紫の濃色系は糸切れしやすかった。糸の種別(メーカー別)では、糸切れし易い糸とし難い糸に分けると、糸切れしやすい糸は撚が甘く擦過強度比(擦過による損傷比)が大きかった。糸切れし難い糸はその逆であった。ただし、撚が強く、擦過に強くても原糸がアクリルの刺繍糸の場合には糸切れし易かった(他はポリエステル糸が使用されている)。これは素材の弱さにその原因があると思われる。
著者
濱口 郁枝 上島 一泰 吉田 有里 森 由紀 大森 敏江 中野 加都子 松村 俊和 山本 存 藤堂 俊宏 宮田 倫好
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

<b>目的 </b>女子大生のコーヒーの嗜好について調査し、好まれるコーヒーを検討した。 <br> <b>方法 </b>兵庫県内の一大学の女子学生を対象とし、コーヒーを飲む頻度や嗜好に関する質問紙調査と、2回の官能評価を実施した。1回目は、普段コーヒーを飲まない24名に円卓法で検討した。試料は、H:数種のブレンド・焙煎標準、J:ミャンマー産をブレンドに追加・焙煎軽め、P:オリジンごとに分けて焙煎、の3種とし、ブラックとミルクや砂糖を入れて評価した。2回目は64名に、1回目の結果をもとに改良したものと、エチオピア産のシングルオリジンをブラックで味わい、2点嗜好試験法で比較した。 <br> <b>結果 </b>ドリップコーヒーを飲む者は23%と少なく、カフェラテなど甘めのコーヒーを飲む者が70%と多かった。官能評価1回目の結果、Hは、香ばしくて美味しく飲みやすいが酸味がある、Jは、ブラックでも飲みやすくミルクと砂糖を入れると一番美味しい、Pは、酸味が強く美味しさは他より劣る、との評価が得られた。そこで、評価の高いJの焙煎度を上げてコクを出し、ミャンマー産の豆をインドネシア産マンデリンG-1にかえて改良した。2回目の結果、酸味、総合評価ともにJの改良が好まれた(各p<0.01)。Jの改良を飲んだ後は、コーヒーの好みの程度が上昇した(p<0.01)。したがって、穏やかな酸味とバランスのとれた味わいのブレンドコーヒーは、ブラックでも女子大生に好まれることが示唆された。
著者
樫野 悦子 鯉沼 実佐江
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.122, 2005

目的 鮮明な赤色色素となる貴重な動物染料のコチニールは,カイガラ虫科エンジ虫の虫体に存在する色素で,中南米の砂漠に生育するサボテン等に寄生して成長するが,産卵前に採取して乾燥状態で輸出される。天然物であるため採取量は限定され,飼育拡大も困難であることから、その色素の有効な色素獲得の研究が望まれる。そこで,染色用染料としてのコチニールの有効な抽出の基礎データーを得るために、本研究ではコチニール抽出に及ぼす無機酸添加と加温時の影響をpH変換法を用いて検討を行った。方法 無機酸添加剤は,硫酸,硝酸,リン酸等を用い,希釈した各溶液にて初期値pH2.0,2.5,3.0,4.0にpH計を用いて調整した溶液50mlを容量100mlの二口フラスコにとり,冷却管を付けて電気定温湯煎器で25℃,40℃,60℃,80℃,90℃の各温度に設定後,田中直染料店より購入してデシケーター保管したコチニール乾燥虫体0.5gを加え,一定濃度で30分間抽出し,大気中で30分間自然冷却後,ろ別した抽出液の可視部吸光度測定により吸収スペクトル波長曲線と最大波長を求め,最大吸収波長が大きく異なる場合は,新たに同種の無機酸又は数種の塩基を加えて490nm付近でpH3.0又は525nm付近でpH7.0となるように調整しつつ,かつ50倍に希釈して,再度同様に測定した。結果 pH変換法でコチニール抽出液のpHをpH3.0及びpH7.0に変換すると,最大波長は490nm付近及び525nm付近となる。どちらの最大波長においても無機酸添加と加温によるコチニール抽出は初期値pH4.0の80℃,90℃抽出の場合に水のみの抽出よりも高い吸光度で添加効果が認められ,pH変換法による比較は異なる2種の最大波長で有効であった。
著者
井澤 尚子 成田 巳代子 長塚 こずえ 斎藤 祥子 橘 喬子 小吹 史子 盛田 真千子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.275, 2007

目的 本報はビジネスウェア着用者である男性と、その服装に客観的意見を持つであろう女性の意識に着目し、男女有職者を対象にクールビズ推進を含む職場環境や、夏期における男性のビジネススーツスタイルに対する意識調査を実施した。クールビズ環境下でのビジネススーツスタイルの意義を考え、気候と職場環境に適したビジネスウェアを提案するための資料を得ることを目的とした。方法 1)調査対象者:20~60歳代の男女有職者 1049名(男性 500名,女性 549名)、2)調査時期:2006年7月中旬~10月上旬、3)調査場所:全国11地域、4)調査方法:質問紙留め置き調査、5)調査内容:基本属性(3報と同様),職場などの冷房設定温度,夏期における男性のビジネススーツスタイルに対する意識(23項目)など、6)分析:単純集計,因子分析を用いて考察した。結果 因子分析の結果、男性のビジネススーツスタイルに対する意識について、男性は7因子で構成され、女性では「ビジネススーツスタイルの必要性」,「スーツやシャツの素材」,「ビジネススーツスタイルの擁護」,「ビジネススーツスタイルのカジュアル化」,「シャツの着こなし」,「個性の表現」,「おしゃれ感」,「身だしなみ感」の8因子が抽出された。身だしなみは相手への好印象に繋がり、女性特有の因子と考えられる。さらに男女ともに職場の室温設定28℃が46%,43%、職場でのクールビズの推進は73%,60%と、職場環境に浸透するなか、男女とも男性のビジネススーツスタイルに否定的でないことがわかった。これらから、今後のクールビズにおける衣服環境は、軽装化のみならず涼しく快適に着用できる素材の選定、デザインの提案、着こなしの工夫が不可欠と考えられる。