著者
小林 由実 小川 進 田中 喜典 小川 宣子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.63, pp.183, 2011

<B>目的</B> 炊飯に用いる水のイオンの種類やその含量などの水質が飯の品質に影響を及ぼすことを報告している<SUP>1)</SUP>。そこで本研究では、浄水器により調整した水が飯の品質に及ぼす影響についてカルシウムイオンを中心に検討を行った。<BR><B>方法</B> 炊飯には、原水を浄水カートリッジで浄化処理した水(以下:浄水)、浄水をイオン交換樹脂により処理した水(以下:イオン交換水)、そして硬度が浄水に比べ100mg/L高くなるように塩化カルシウムを添加した水(以下:調整水)の3種類を用い、カルシウムイオン濃度は原水が15.7mg/L、用いた3種類の水はそれぞれ15.7mg/L, 2.5mg/L,51.5mg/Lであった。飯の品質はクリ―プメータ測定及び官能検査から硬さ、電子水分計から水分、でんぷんの糊化度はグルコアミラーゼ法と走査電子顕微鏡による組織構造から調べた。また、最初の米の容積に対する炊飯後の容積の割合(膨張率)から飯の「ふっくらさ」を検討した。<BR><B>結果</B> イオン交換水で炊飯することで浄水に比べ、飯の膨張率は高く、水分量が多く、軟らかな飯となり、糊化度の値も高く、網目構造も観察でき、優れた品質の飯となることが示された。一方、調整水で炊飯した飯は浄水に比べ、膨張は悪く、飯の水分量は少なく、でんぷんの糊化度も低かった。これよりカルシウムイオン濃度は飯の品質に影響を及ぼし、カルシウムの除去は飯の品質を上げる効果があることが明らかとなった。<BR>[文献]1)小川宣子、稲垣明子、山中なつみ、下里道子:炊飯溶液中のカルシウムとナトリウムが飯の性状に及ぼす影響(第1報)、日本家政学会誌、57(10)、pp669-675(2006)
著者
新田 米子 志水 暎子 小川 裕子 神川 康子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<br><br>目的 高齢の親世帯と子世帯間の居住距離に着目し、親子双方が安心・満足できる住み方を探ることをねらいとし、本報では、将来子世帯が親世帯側への同居や近居を希望する場合の住み替えを促す要件について明らかにしようとするものである。<br><br>方法 中部・北陸地方における親子の居住関係の動向「その1」と同一のデータ(n=411)を用いて分析を行っている。調査方法は「その1」に準ずる。<br><br>結果 現在親と別居の子世帯において、今後親が病弱になった時の住み方ついては、半数強が「わからない」状態であるが、「現在と同距離で別居」や「自分の家での同居か近居」の希望がやや多く、「親の家で同居」または「親の家の近くで住む」とする世帯は1割強にとどまる。結婚後20年未満で現在の住み方に至る世帯が多く、20年以上経過すると住み替えがかなり減少する傾向が認められる。親側への移転を望む場合の居住距離は、「近居・片道15分未満」、「隣居」、「同居」の順となる。親側への住み替えにあたって問題となることは、「親の世話の負担」をあげる人が「住宅購入費」、「住宅探し」に比較しやや多い。さらに、移転するにあたって国・自治体・第三者機関等に期待する支援内容は、「親の世話・介護にあたっている人たちの交流の場の提供」、「介護・介護予防等に関する地域住民の活動を支援する場の提供」、「住宅建て替え費用に対する減税措置」などへの期待が少なくないことが明らかとなった。
著者
武井 玲子 鍋山 友子 藤井 美香
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, pp.39, 2009

<B>【目的】</B>近年、乳幼児の事故例が社会問題化している。そこで、乳幼児の被服や身につけるモノによるリスクを低減化するリスクマネジメント研究の一環として、保育所や幼稚園の集団保育施設における事故実態を把握することを目的とする。<BR><B>【方法】</B>福島県を中心として保育所95ヶ所、幼稚園90ヶ所、計185施設の0~6歳児、16,752人を対象として、郵送法により質問紙調査を行った。調査期間は、2008年10~11月。<BR><B>【結果】</B>92%の施設で事故が1回以上起きており、種類別事故発生率は上着20%、靴下17%、靴12%、カバン・オムツ各8%、ズボン・スカート・パンツ各7%、雨具・装飾品各6%であった。多く見られた事故例は、靴下やタイツ着用時、床などで滑って転んだ、上着のファスナーで顔や首の皮膚に傷がついた、などであり、他人にフードを引っ張られたり、ふざけていて転びそうになった、など集団施設での潜在リスクも存在していた。雨具や帽子などは、危害例は多くないが、潜在リスクと考えられる「ひやり・ハッと」事例が高い傾向であった。また、保育施設に設置されている遊具と身につけるモノが関係した事故発生率は、滑り台が一番高く、その他の遊具も10~15%であった。保育施設から、保護者に対して事故防止指導をしており、保護者は比較的よく指導に従っている結果であったが、一方、行政機関からのリスク情報などの提供を受けている施設はわずかであった。リスクマネジメントには、法規制やガイドライン策定などの施策も必要であるが、保育施設、保護者、製造・販売業者、行政機関などの関係者間があらゆる関係情報を共有化するリスクコミュニケーションの推進が重要となる。このリスクコミュニケーションの視点からみると、いくつかの問題点があり、効果的なリスクコミュニケーションの展開が今後の課題と考える。
著者
荒木 裕子 渡部 昌世
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.70, 2012 (Released:2013-09-18)

【目的】ケークサレ(cakes  sales)はフランス由来の塩味のケーキであり、フランスの各地方で親しまれる伝統ケーキである。バターを利用しないバウンドケーキであり、さまざまな副材料を混入することでバリエーションの富んだケークサレが製造できる。近年、わが国でも健康的なホームメイドケーキとして注目を集め、専門の販売店も見られる。本研究では、ケークサレの製法について検討を行った。【方法】1)ケークサレを調製する方法について、出版されているケークサレ料理本のレシピを基にケークサレの基本生地の配合割合と、副材料の種類、配合割合について調査した。2)副材料の添加割合による嗜好性の検討。副材料として、3種の野菜(ニンジン、タマネギ、トマト)を用い、添加割合を基本生地の30%、50%、70%とした3種のケークサレを調製し、嗜好性を比較検討した。3)ケークサレの栄養価を評価するために、一般成分の分析を行った。【結果】基本生地を調査した結果、薄力粉と膨張剤(ベーキングパウダー)、鶏卵、牛乳を用いるものが多く、さらに油脂として、オリーブオイルやサラダ油、マヨネーズ等を添加するレシピも多かった。また、基本生地に添加される材料として各種のチーズが用いられていた。副材料として各種野菜、ハム、ソーセージ、肉類など多くの食材の利用が見られた。副材料の添加割合は高いもので90%、低いもので20%であり、平均するとほぼ添加割合は50~60%を示した。副材料の添加割合を変えて、ケークサレを調製し、官能評価を行った結果、添加率50%が好まれるという結果が得られた。ケークサレと市販焼き菓子と成分値を比較した結果、ケークサレは市販焼き菓子に比べ、水分含量が高く、脂質が少ないという結果が得られた。
著者
青木 美紗
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.87, 2018

<b>目的 </b>倫理的消費は「地域の活性化や雇用なども含む、人や社会、環境に配慮した消費行動」と消費者基本計画(2015年)において定義され、持続可能な消費を実践するために求められている。しかし、購買者の多くは倫理的消費について学習する機会がほとんどなく、倫理的消費行動を誘引する環境はそれほど整っていない。そこで、購入時に倫理的消費に関連する情報を継続的に提示することによって、倫理的消費行動をとるのかどうか明らかにすることを本研究の目的とする。<br><b>方法 </b>大阪府東大阪市におけるJA農産物直売所の利用者を対象としたアンケート調査を2017年6月実施し、回収した493のデータをクロス集計と因子分析によって分析した。調査対象とした直売所では、2009年より東大阪市産の環境に配慮して生産した農産物を継続的に購入する消費者には、その農産物を購入する意味を提示し購入特典を提供する取り組みを続けている。データ分析では、この取り組みへの参加者と非参加者の農産物に関する倫理的消費行動を比較した。<br><b>結果 </b>まず、購入する農産物の生産背景、地産地消の認知度は参加者の方が高い結果となった。また、直売所を利用する理由においても、環境に配慮したもの、地元のものが買える、地域の生産者を応援できる、地域の農地を守ることができると回答した人が参加者の方が多かった。そして、因子分析の結果、参加者の方が農産物購入時に環境や地域に配慮していることが明らかとなった。
著者
飯島 久美子 小西 史子 綾部 園子 村上 知子 香西 みどり 冨永 典子 畑江 敬子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.179, 2005

<b>目的</b> 年越しから正月、七草、鏡開きと、新年を祝うための行事は日々の生活の節目として古来日本各地で大切に行なわれてきた。それに伴う行事食もハレの料理として受け継がれている。しかし近年、生活様式の変化による調理の外部化、簡素化の進行は、伝統的な食習慣に少なからぬ影響を与えていると考えられる。そこで現在の年越し・正月(年末年始)の食習慣の実態を調査し、地域性との関連から行事食の変化の有無を知ることを目的とした。<br><b>方法</b>調査は自記式調査票により行ない、日本全国の大学・短期大学の学生を調査対象とした。2001年12月に調査票を配付、2002年1月に回収し、2608名から有効回答を得た。<br><b>結果</b>年越し(大晦日)に決まって食べるものは日本そばが最も多く、全国での喫食率は74.8%であった。沖縄では沖縄そばが58.8%と多く、日本そばは31.4%で、沖縄そばを年越し料理としていることがわかった。正月に食べるおせち料理の喫食率は全国平均で72.7%であり、手作りのおせち料理と市販品を合わせて利用している家庭が非常に多かった。そのうち市販のおせち料理セットは一割近くが利用していた。おせち料理の中で、最も喫食率が高いのは「黒豆」で、続いて「かまぼこ」、「数の子」、「きんとん」、「煮物」、「田作り」、「伊達巻」、「昆布巻き」、「なます」の順であった。「煮物」「なます」は手作りされることが多く、「伊達巻き」「かまぼこ」は既製品の割合が多かった。また、地域別に喫食率を比較すると「きんとん」は関東・東海で、「田作り」は東海・甲信・近畿で、「伊達巻き」は関東・甲信で特に喫食率が高かった。
著者
伊藤 大貴 川邊 淳子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

<目的>消費行動をとる場合は,その過程で多くの意思決定を含んでいる。そこで本研究では,大学生と中学生を対象とし,筆箱の中身からニーズとウォンツの調査を実施し,その違いを明らかにすることを目的とした。<方法>調査対象は本学学生127人およびA中学校56人,調査時期は2016(平成28)年1月ならびに2017(平成29)年1月,調査方法は自記式質問紙法, 集計・分析方法はExcel2010を用いた。<結果>各文房具類の所有数ごとに「指定単価」をかけ,「授業中と授業以外でも使う」,「授業中に主に使用」,「授業以外で主に使用」および「入れているだけであまり使わない」で,所有数ごとに,その金額に頻度の割合「0.8」,「0.6」,「0.4」および「0.2」をそれぞれかけて小計を算出し,それらを合計して「使用頻度別に見る金額」を算出した。所有する文房具類の合計金額は,大学生は最高6,300円,最低310円であり,平均1,762円であった。一方中学生は,最高10,699円,最低1,140円,平均4,691円となり,すべてにおいて中学生が大学生を上回った。また,使用合計金額を所有合計金額で割った利用価値においては,利用率が大学生は20~60%が66.1%,61~80%が33.9%,一方中学生は,20~60%が57.1%,61~80%が42.9%となり,中学生の方が利用率は高い傾向にあった。所有文房具は,中学生の方がシャープペンシルなどにおいて,高額なもので数も豊富に有していたが,大学生は中学生よりも低額で精選されたものを所持する傾向にあることが分かった。
著者
千葉 よう子 吉田 清一郎
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.271, 2002

メリヤス編みで用いられる色糸を変えながら編む、編み込み模様編みについて、合糸した極細糸を用い、棒針号数を変化させて編む手法により試作し検討を行った。手編みの技法には、糸の棒針への供給方法の異なるフランス式とアメリカ式があるので、編み込み模様を製編する場合、両者間に違いが認められるかをも併せて検討した。棒針14号から6号までの号数とし、各々の編みゲージを試作し、それを基にして婦人用カーディガンを製編した。その結果、棒針に糸を掛ける方法に違いのあるフランス式とアメリカ式の技法を比較すると、棒針先端と指との間隔が短いアメリカ式に編み糸のたるみが少なく、より均一な編み地の糸渡しが行われるため、配色糸や地糸のより安定した編目を形成することなどが認められた。
著者
村上 洋子 照井 眞紀子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.65, 2005

[目的]従来の給食管理に加え経営管理能力を持つ管理栄養士が求められ、栄養ケアのための栄養・食事管理能力が必要となる。食事の品質管理や評価には、食品重量に関した知識・技術が重要であり能力を養う必要がある。学生の食品重量に関する基礎的知識と技術の実態把握から、給食経営管理における指導の方法を探ることを目的とした。[方法]管理栄養士養成課程の2年生90名を対象に、給食経営管理実習で使用頻度の高い7食品の目測及び手ばかりで重量を計測させ調査した。[結果及び考察]正解率の高い食品は卵で、目測で60.7%、手ばかりで66.3%であったが、豆腐は目測で正解者0名、手ばかりで4名であった。計測手法の比較では、卵とじゃがいもは目測より手ばかり重量の正解率が高いが、他の食品では逆に手ばかり重量の正解率が低い。個人別にみると目測で正解数が0の者が2名、手ばかりでは7名で手ばかり計測で不正解者が増えている。2つの計測手法による正解数で3グループに分け、各グループ間の食品の正解率を比較した。目測では正解数の少ないAグループで卵、胡瓜が30%前後の正解率、トマト、鮭、豚ロースで0_から_20%、B・Cグループが50_から_100%の正解率である。手ばかりではAグループで卵31.6%の正解率であったが、他の食品はB・Cグループの40%の正解率に比べ5_から_10%の低率であった。豆腐は各グループでも0_から_3%の低率で大きな差はない。卵や胡瓜は比較的目測が容易だが豆腐は難しい食品であると推察する。使用頻度の高い食品でも目測や手ばかり計測の能力や技術が低いことから日常の料理作り等への関わりが少なく、食品の重量感覚に乏しいことが考察された。今後はこうした能力を身につけていくことの指導が必要と考えられる。
著者
瓜生 朋恵 西本 由紀子 梶木 典子 上野 勝代
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

目的 少子高齢化社会の現代では、より幅広い分野での子育て支援や子育てしやすいまちづくりの実現が課題となっている。中でも、子育て中の親が社会から孤立しないためにも、社会参加を支援することは重要であり、そのために子連れ外出者が安全・安心・快適に外出できる環境を整備する必要がある。本研究では、鉄道利用者を対象にベビーカー利用者と非利用者間に生じている心理的バリアを明らかにし、鉄道における子連れ外出活動を支援する方策について検討することを目的とする。<br>方法 関西在住の鉄道利用者を対象に、鉄道におけるベビーカーを利用しての子連れ外出について、タブレット端末のアンケートアプリを使用してイベントや団体への街頭調査を実施した(一部質問用紙調査を併用)。調査は2011年10月~12月にかけて行い、配布数372票、回収数322票、回収率87%であった。<br>結果 意識調査の結果、ベビーカー利用者が鉄道を利用することに対しては、全体的に肯定的な意見が多く、車両内でのベビーカー利用者に対する優先者対応についても肯定的な意見が多かった。これらの意識に対し、子育て経験の有無による有意な差はみられなかった。しかし、回答者の年齢による意識の違いがみられ、特に20年以上前の子育て経験者はベビーカー利用者の外出行為に理解を示しつつも、「ベビーカー利用者は周囲への配慮に欠ける」等の厳しい意見を持っており、世代間ギャップの存在が明らかとなった。また、回答者の年代に関わらずベビーカー利用者の鉄道の利用円滑化のために、車両と旅客施設の整備を望む声があった。以上の結果より、心理的バリアを改善するためにはベビーカー優先スペースの設置やマナー講習などのハード・ソフト両面の整備を検討していく必要がある。
著者
中川 泰代 大澤 真由美 早川 美幸 山口 直彦
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.299, 2007

目的 植物にはポリフェノール化合物が広く存在しているが、この化合物は酵素的酸化で、褐色色素へと変化すると共に、その抗酸化性は大きな影響を受ける。この酸化酵素は熱によって容易に失活することはよく知られている。抗酸化性の評価を、DPPH還元力測定の他に、リノール酸に対する抗酸化性をも測定したので報告する。方法 _丸1_試料はリンゴ、ごぼうなど7種類を使用。みじん切りしたものを2本の100ml三角フラスコに5gづつ精秤した後、1本は電子レンジで1分間処理し加熱区(H)、他の1本はそのまま1時間常温放置し、生区(L)とした。これらに40%エタノールを加え抽出液を得た。抽出液の_丸2_DPPH還元力測定、_丸3_過酸化物価はロダン鉄法にて測定し、その値が3.0に達するに要する日数を誘導期間とした。_丸4_リノール酸に対する抗酸化性は含水系(pH7.0)で測定し、50℃の恒温器中にて保存実験を行った。結果 _丸1_紅玉など4種のリンゴ(皮)のH区の全フェノール量は286~226mg/100gの範囲内であったが、L区のそれは204~118mg/100gと少なかった。一方、抗酸化性をみると紅玉のH区の効力は著しく強いが、他の3種のH区の抗酸化性は大変弱い。さらに、L区の効力がH区に比較して大きく減少するのは紅玉のみであった。_丸2_産地の異なるごぼう3種のH区の全フェノール量は宮崎:402mg、北海道:250mg、及び中国:134mg/100gであった。一方、L区のそれは186mg、126mg、及び96mg/100gへと減少した。H区とL区の抗酸化性を比較すると、宮崎産と北海道産はその誘導期間が減少したが、中国産は殆ど変化しなかった。
著者
前田 敦子 中森 千佳子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.11, 2002

地域通貨の参加者は、貨幣経済とは異なった経済システムで、人と人を結びつける「関係の媒体」という貨幣のもともとの機能を体験することになる。そこで、本研究では、地域通貨を例に経済システムのありようが生活者の意識と生活の質に及ぼす影響を明らかにすることを目的にする。まず、第1報では、地域通貨の実践地域での現状と地域通貨参加者の意識の変化について調査した結果を報告する。調査は、日本を代表する地域通貨であるおうみ(滋賀県草津市)とクリン(北海道夕張郡栗山町)の運営グループ関係者と参加者を対象に、2000年7月&sim;11月に面接法による聞き取り調査を実施した。参加者の意識の変化は、(1)金銭意識の変化、(2)無償労働の評価と自分の能力の再確認、(3)人間関係の重視、などにみられた。
著者
内野 香織 鳴海 多恵子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.99, 2006

[目的] 衣服の着脱は日常的に繰り返される基本的動作であるが、その動作は少なからず身体に負担がかかり、身体機能によっては着脱に大きな負担がかかるため、着脱の動作特性を捉えることは全ての人にとって有用であると考える。本研究では、身体特性として柔軟性に着目し、衣服着脱動作における身体負荷と身体柔軟性の関係を明らかにすることを目的とした。<BR>[方法] 被験者は9・11号サイズの衣服を着用している18∼24歳の女性27名である。試験服は綿シーチングを用い、バスト部のゆとり量を0cmおよび10cmとした長袖のかぶり型上衣2種と、市販のランニングシャツとした。被験者の身体柔軟性は、上半身及び上肢に関する柔軟性を計測した。着脱動作については、試験服の着脱に要する時間を計測するとともに、その間の感覚に関する官能検査を行った。また、日常の着脱に関する質問紙調査も行った。<BR>[結果] 柔軟性については、自己申告および柔軟性の計測結果により、ほぼ半数ずつの2グループに分けた。柔軟性が低いグループは、柔軟性が高いグループに比べて着衣・脱衣ともに動作に要する時間が多く、着衣より脱衣において動作に要する時間がかかった。また、日常動作や着脱動作で「負担が大きい」と感じることが多い傾向が見られ、特に背面に腕を回す動作で質問紙の回答に差が見られた。
著者
高橋 徹 苅田 修一 後藤 正和
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.19, 2004

【目的】これまでにセルロースなどの不溶性食物繊維の摂取が消化管内容物の粘度を上昇させることを明らかにしてきた。内容物の粘度は消化・吸収を規定する要因の一つであると考えられることから、セルロース摂取による内容物の粘度の上昇が消化や吸収を遅延させることが推察された。そこで、内容物モデルにセルロース添加して小腸管腔内に注入し、セルロース添加がグルコース吸収に及ぼす影響を血糖値の変動から明らかにした。【方法】セルロース摂取が胃内容物の粘度を上昇させることから、セルロース(フナセル)10_%_添加によって粘度を調整した胃内容物モデルを20 mg/ml CMC(nakarai)と50 mg/ml D-グルコースを蒸留水に溶解させたものから作成した。ずり速度10 s-1の場合の粘度はそれぞれ880と490 mPa・sであった。これらの内容物モデルを、市販の飼料(CE-2, CLEA)で7週令から4-6日間予備飼育し1日絶食させたWistar系雄ラットの十二指腸に流速0.6 mL/minで 5分間注入し、ジエチルエーテル麻酔下で尾静脈から経時的に採血することで血糖値の変動を測定した。血糖値の測定については0、5、15、30、45、60、80分ごとに尾静脈から採血してグルコースCII(Wako)で血糖値を測定した。注入した内容物モデルの粘度(Pa・s)をブルックフィールド粘度計(DV-I+、Brookfield)で測定した。【結果】血糖値については、セルロース添加により有意に低く(p<0.05)、5分後と15分後で特に低い値が認められた。注入後の内容物モデルの粘度はセルロースの添加により上昇が認められた(p<0.01)。このことにより、セルロースを多く含む野菜などを食すると食後の血糖値上昇を緩慢にすることが示唆され、糖尿病などの生活習慣病の予防や治療にセルロースを役立てることができると推察される。
著者
森山 三千江 大羽 和子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.38, 2004 (Released:2005-04-02)

目的 スプラウトは年中安定して入手できる野菜でビタミンやミネラル、食物繊維の良い供給源である。ブロッコリーなど新種のスプラウト中のビタミンC(VC)量およびラジカル捕捉活性が従来のスプラウトより高いことをすでに報告した。ポリフェノール含量などの機能性成分量を測定するとともに、近年、リスクファクターとして注目される硝酸量も測定して、様々な角度から、スプラウト類が健康増進によいかどうかを検討することを目的とした。方法 市販および生産農園から直送されたスプラウトを用い、細かく刻んでメタリン酸やリン酸バッファーとともに完全に磨砕し、冷却遠心分離後、上清を試料液とした。試料液を希釈、フィルター濾過した後、イオン交換カラムを用いHPLCで分離し、ビタミンCや硝酸イオンを検出し、検量線より含量を測定した。結果および考察 貝割れ大根のVC量が緑豆もやしの約5倍であったのに対し、硝酸量は緑豆もやしの約60倍と著しく高い値であった。クレソンやレッドキャベツの硝酸量は貝割れ大根の含有量より多く、そばスプラウトの硝酸量の2倍以上であった。豆苗ではVC量が他の新種のスプラウトと同様に高かったが、硝酸量は著しく低かった。VC量では殆ど差は見られなかったブロッコリースプラウト類のうちスーパースプラウトの硝酸量が多かった。また、生産農園によってスプラウトの硝酸量が異なったので、栽培する際の肥料の違いにより硝酸量に影響があると考えられた。ブロッコリースプラウトは抗癌作用も報告されており、VC量、ラジカル捕捉活性も新種のスプラウトの方が従来のスプラウトより高いことから、施肥方法によって硝酸量を低く押さえると、健康増進に良い食品となることが示唆された。
著者
佐藤 真理子 王 佳琪 青木 識子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.220, 2018

【目的】<br><br>近年,多様性社会への取り組みが進む中,性的少数者(LGBT)への理解は深まりつつあるが,制服における画一的な男女差等,衣服分野でLGBTの人々に十分対応できていない現状がある.本研究では,男性用体型補正インナーに着目し,男性同性愛者の体型に関する意識,体型補正インナーに求める要素等を明らかにすると共に,市場の体型補正インナーの快適性・機能性を検討し,LGBTの人々の衣環境における質向上への寄与を目指した.<br><br>【方法】<br><br>男性同性愛者26名(26±6才)と異性愛者26名(21±3才)を対象に,体型意識,インナーに求める要素等の調査を行った.また,市販されている体型補正インナーの着用効果と着用快適性を検討するため,三次元計測と官能評価を行った.<br><br>【結果】<br><br>アンケート調査の結果,男性同性愛者の体型意識において,自身については異性愛者と差はなかったが,恋愛対象に求める体型は筋肉体型が8割近くを占めた.体型補正インナーの認知度,着用希望共に,同性愛者で高い割合を示した.三次元計測の結果,体型補正インナーは一般インナーに比べ,肩先点下5cmで約105%,チェストラインで約110%周径が増大し,三角筋,大胸筋を模擬した状態が実現できており,官能評価においても,体格がより良く見えるとの申告が得られた.しかし,肌触り,筋肉パッドの擦れ等の評価が低く,着用快適性の改善が今後の課題と考えられる.
著者
木岡 悦子 河本 朋子 竹上 真紀子 中野 有美
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.269, 2002-06-01 (Released:2003-07-29)

成長の著しい乳幼児期の子どもの衣服は、着用できる期間が極めて短い。成長に伴う不用衣服がどのように処理されているのか、加えて少子化の現在、ひとりの子どもに対する衣服のもらいすぎ、買いすぎはないか、その実態を明らかにし、それへの提案を試みた。近畿を中心に、0歳から5歳の子どもを持つ母親306名にアンケート調査をした結果、成長に追随できず不用となった衣服やプレゼント衣料の多くが活用されていないことがわかった。不用衣服の処置方法においても、廃棄を含めタンスに保管など、利用されていないものが多いことがわかった。着用機会が少ないセレモニードレスについては、二部式にし、1歳前後の幼児服としても活用できるように製作を行った。
著者
加來 卯子 中村 比菜子 庄山 茂子 青木 久恵 栃原 裕
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

<b>目的 </b>循環型社会形成推進基本法が施行され、人々のリサイクルへの意識は高まっている。衣料品は、複合度の高さや製品の多様性からリサイクルし難いと言われるが、制服は同一素材であり一度に回収が可能なことから、リサイクルに適するのではないかと考えられている。そこで、制服着用の有無が制服に対する印象やリサイクルへの意識ならびに被服の消費行動にどのような違いをもたらすか調査した。 <br> <b>方法 </b>福岡県内の制服着用者群(女子専門学校生88名、平均年齢19.90歳、SD 0.77歳)と私服着用者群(女子大学生96名、平均年齢19.81歳、SD 0.81歳)を対象に質問紙によるアンケート調査を2016年6月に行った(回収率100%)。制服・私服の着用の印象、職場での制服採用に関する賛否、衣服のリサイクルへの意識、実施状況、衣服の消費量等について回答を求めた。分析は、単純集計、t検定。<br> <b>結果 </b>制服着用者群は、制服に対する印象について「学内に一体感がでる、私服を考えなくてよい、資源の節約につながる、個人的費用が削減される」と評価した。制服着用者群は、私服着用群より将来一般職での制服の採用について賛成の割合が高かった。その理由には、「職場のイメージアップになる、組織のつながりを深める」という意見が多かった。また、衣服の消費量やリサイクル意識に関しては制服着用の有無によって差はみられなかった。制服着用者群、私服着用者群ともに衣料品の3Rに対する意識は低く、衣服を環境問題やリサイクルと結びつけて考えていなかった。
著者
諏佐 大志 露木 野乃果 齊藤 清香 峯木 真知子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.63, pp.90, 2011

目的A高校に所属する野球部およびバスケットボール部(以下バスケ部)生徒に、大豆ペプチドゼリー飲料1~2本(大豆ペプチド4gまたは8g)を摂取させ、その摂取および量の違いによる影響を、身体・体力測定、およびPOMSアンケート調査から検討した。摂取期間は平成22年6月19日~8月4日の45日間とした。方法A高校野球部 (24名)およびバスケットボール部 (17名)生徒計41名を対象とした。摂取した大豆ペプチドゼリー飲料は1袋180g、エネルギー124kcal、たんぱく質4gのものを使用した。この飲料を1本摂取した群をA群、2本摂取した群をB群とし、A群は練習後、B群は練習前後に毎日、45日間摂取させた。対象者からインフォームドコンセンサスを得、食事調査を行った。また、摂取前・後に身長・体重・部位別体脂肪率・除脂肪体重率、50m走・握力・打球スピード・垂直跳び、POMSアンケート調査を行った。結果・考察摂取後の身体測定では、摂取前より身長0.45cm伸び、体重0.98kg減り(p<0.01)、体脂肪率は1.86%減った(p<0.01)。摂取前後の体脂肪率の変化は、A群では88.17%、B群では85.49%、除脂肪体重率の変化はA群102.27%、B群102.12%であった。摂取後の体力測定結果をみると、野球部で打球スピード(前後差A群6.30km/h、B群3.38km/h)で、バスケ部で垂直跳び(前後差B群3.88cm)で成績が有意に向上した。50m走はいずれの部でも速くなる傾向を示した。群間における効果では身体・体力測定、POMSアンケートの結果に有意差はみられなかった。このことからペプチド摂取は4g以上で、身体・体力測定に効果がある可能性が示唆された。
著者
櫻井 美代子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.126, 2003

【目的】近世・近代の家庭における食生活の実態を知るため、主婦の日記を資料としてそこに記載されている食品・食物を調査・検討行うことでその時代の食生活の一端を考察してきた。今回は地域の異なる二つの日記を比較することで、その食生活の特徴の違いを検討することを目的とする。【目的】『小梅日記』を中心にし、これとほぼ同時期に書かれた江戸近郊の日記である『大場美佐の日記』を比較することで地域的特徴などの違いを検討した。【結果】『小梅日記』・『大場美佐の日記』には日常の細々とした事柄が記載され、その中でも共に贈答品が多く登場し、食品・食物の割合は約80%であった。『小梅日記』では魚介・海藻類が最も多く、その内容は鯛・かつお・いな・ちぬ・さば・あじ・伊勢海老など多種類の記載があり、野菜・果物類では竹の子・松たけ、柿・梨・西瓜・郁李・仏手柑・利夫人橘などがみられ、穀類ではすし・餅類などで、嗜好品では酒・酒券・菓子などの記載がみられた。一方『大場美佐の日記』では魚介・海藻類鮎・肴・かつぶしが多く、野菜・果物類では柿・里芋・竹の子・さつま芋・真桑瓜などで、穀類ではそば・そば粉・赤飯・すし・うどん・うどん粉・餅類などがみられ、嗜好品の酒・にごり酒・菓子は多く用いられていた。どちらの日記も穀類,魚介・海藻類,野菜・果物,嗜好品類が多く記載されており、その中で江戸近郊の大場家ではみられなかった魚券・酒券が紀州川合家では使用されていた。また記載はすくない獣鳥肉類の中で大場家では記載がなかった牛肉は、川合家では寒中見舞いなどの贈答品として使用されていた。