- 著者
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戎 利光
- 出版者
- 一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
- 雑誌
- 体育学研究 (ISSN:04846710)
- 巻号頁・発行日
- vol.30, no.1, pp.37-43, 1985-06-01 (Released:2017-09-27)
- 被引用文献数
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本研究の目的は,運動持続距離を二等分あるいは三等分と分散して走運動を行った場合に,心肺持久性及び血液脂質に及ぼす身体的効果が,分散しないで一度に全距離を走った場合の効果と異なるか否かを明らかにすることである。53名の健康な男子学生をA群からD群の4群に分類した。A群は全距離を一度に走り,B群は半分の距離を1日2度(朝,夕)に分散して走り,C群は3分1の距離を1日3度(朝,昼,夕)に分散して走った。D群は対照群であり,本研究期間中特別な身体運動をしなかった。D群を除く全被験者は,週に3日間,各個人の最高心拍数の80%を維持して10週間に渡り,屋内のタータントラックを走った。そして, このトレーニング期間前後の最大酸素摂取量,最高心拍数,脂肪百分率(水中体重測定による),1.5マイル走の記録,総トリグリセライド,総コレステロール,高比重リボ蛋白コレステロール,低比重リボ蛋白コレステロール,超低比重リボ蛋白コレステロールを,各群ごどに比較,検討した。その結果,次のような結論を得た。分散した最短走距離が心肺持久性や血液脂質に影響を及ぼすような距離であれば,同一の運動強度及び頻度で同一距離を走る限り,その走距離を二等分あるいは三等分と分散しても総消費エネルギーは同一であり,心肺持久性や血液脂質に及ぼす影響に差はない。本研究は,米国ブリガムヤング大学及び米国デザレットジム財団からの研究交付金を受けた。