著者
柳 赫秀 荒木 一郎 椛島 洋美 李 弘杓 伊藤 一頼 大矢根 聡 李 弘杓 伊藤 一頼 大矢根 聡 川瀬 剛志
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

受給期間中33回の研究会を開き、研究代表者・分担者だけでなく、研究会参加者の間で国際通商法秩序の現状と課題について理解を含めると同時に、その成果を同タイトルの本にまとめるべく作業を行っている。
著者
米山 裕
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1.日本人社会の多様性について:アメリカの移民・エスニック集団の研究者はエスニシティを本質化する傾向がある。公共団体の役員は、日本人社会内の権益を代弁し、それゆえ公共団体は日本人社会内の最終的利害調整の場として機能した。エスニックな団体として、移民社会が多様であればこそ「公共」的性格を持った調整団体を必要とし、その団体は、必然的に各会の代表者的人物が集まって協議する場となったのである。2.ナショナリズムの機能について:公共団体は、在米日本人が外国滞在者として持つ「ナショナル」な感情を有効に利用できた。半政府的な権能と日本というシンボルを利用して、日本人社会をある程度強制的にまとめることが可能だった。その理由は、第一に領事が調停に乗り出すことが利益主張の「限界点」を当事者に知らせる象徴的な意味を持っていたこと、第二に領事を引きずり出すような働きをしたという自己満足を当事者に与えたことである。このような象徴的ナショナリズムのあり方は、日中戦争激化に対応した献金、慰問袋などの明示的現象とは別である。公共団体を介在する「日常的実践」としてのナショナリズムが今後の研究に示唆するものは多い。3.自発的結社としての公共団体:公共団体は移住先での利害に基づく「エスニック」な自発的団体であるのみならず、州の会社法に基づく現地法人でもあった。日系移民史ではアメリカ社会からの排除を大きなテーマとしてきた。日本人移民は無権利状態におかれたことになっている。しかし無権利状態は、政治的権利のみを指すものであった。無権利なはずのアメリカ社会の中で、個人・法人としてさまざまな活動ができた。移民社会が形成したあらゆる自発的結社を、エスニックな団体である特色を持ちつつ、なおかつそれぞれの分野においてアメリカ社会に参入を果たすものであったという分析が可能である。
著者
BERNDT JAQUELINE GUDRUN GRAWE 野口 メアリ 仲間 裕子 山根 宏 山下 高行
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究では、他文化的視角を自文化的視角と結び付け、美学から社会学に至るまでの研究分野を考慮しながら、キッチュというキーワードのもとに「かわいい」現象に接近した。西洋近代に起因する否定的概念である「キッチュ」が日本では一般的にあまり定着していないという状態が、近代・現代日本における美的文化の特殊性に注目を向けさせた。それは、近代的制度として自律する芸術だけでなく、日本文化内の自己像や他者像に使われる日常的表象とその文脈をなしている社会的価値体系としても取り上げられた。具体的研究対象となったのは、意識調査や女性雑誌の分析に基づいた「可愛らしさ」と「女性らしさ」との関係の追求、西洋語と中国語と日本語の比較による語源や現代的言葉遣いについての考察、大衆文化的表現や美術における「可愛らしさ」の分析、マーケティングにおける「かわいい」戦略の検討、近代日本特有の文化的アポリアの取り扱いについての論証などである。その際、「キッチュ」も「かわいい」も物事の性質を指す概念としてではなく、むしろ関係概念として用い、キッッチュ」あるいは「かわいい」とは何かというよりも、それが近代・現代日本文化において如何なる役割を果しているかの方に重点を置いた。本研究では「かわいい」を特定の年代や特定の時代に限定することに異議を唱え、日本文化における中心的価値観の一つとして取り上げた。弱者の美学でもある「かわいい」現象は、分裂状態を「中立化」させる閉じられた共同体の特質に起因し、自分のアイデンティティとして「女性性」を重視する日本文化と根底において合体することが明らかにされた。さらに「かわいい」から「キッチュ」へと向いつつある女子・女性雑誌を手がかりに、「キッチュ」がその歴史性を奪われた形で通用するようになっていることが示される一方、「キッチュ」という用語の肯定的用法が近年の現象でははく、訳語として導入されて以来肯定的な言葉であったということが指摘される。
著者
片山 謙吾
出版者
岡山理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

組合せ最適化問題の代表例である最大クリーク問題(MCP)および2次割当問題(QAP),通信・ネットワーク関連の問題であるノード配置問題(NPP)に対する高性能なメタ戦略アルゴリズムの開発と評価を行った.MCPにおいては,最近開発した強力な局所探索法を反復局所探索法およびMemetic アルゴリズムの枠組みに導入した高性能メタ戦略を開発し,その性能を評価した.その結果,既存アルゴリズムとの比較において高い探索性能を有することを明らかにした.またQAP およびNPP に対しても同様のアプローチが可能であり,高性能な反復局所探索法を開発した.その他,バイオインフォマティクス分野におけるアミノ酸配列のマルチプルアライメントのアルゴリズムとして,クリークを考慮した解構築法を開発した.加えて,関数最適化問題に対するメタ戦略であるParticle Swarm Optimization法やメタ戦略に導入を試みるための学習法の検討などを通して,本研究課題をより洗練化するための模索も同時に行った.以上の研究成果は学術論文誌,国際会議,国内で開催の学会・研究会等で発表した.
著者
宮野 英次
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,NP困難であるグラフ最適化問題を対象に,近似アルゴリズムを設計した.本近似アルゴリズムは多項式時間で高速に動作し,最適解に対する近似精度が理論的に保証されている.また,NP 困難であるグラフ最適化問題に対して,近似下界を示した.近似下界は,NP=Pという仮定の下で,多項式時間ではより近似精度の高いアルゴリズムを設計することは理論的に不可能であるという近似の意味での限界を示している.
著者
杉浦 幸之助 山崎 剛
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,積雪の南限域に相当するモンゴル・ウランバートルの北東に位置するヘンテイ山脈Tuul川上流域に着目して,流域スケールで吹雪が積雪や大気に与える影響を解明するために多角的に研究を行ってきた.吹雪発生の地域特性,吹雪による積雪の削剥特性,近年のTuul川上流域における山岳積雪分布の実態と吹雪の動態及び積雪の有無による土壌の応答を明らかにし,吹雪による積雪の再配分過程の重要性を示した.
著者
染田 秀藤
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究で取り上げたクロニカは、無文字世界のアンデスに生まれた先住民グァマン・ポマ(1550?-1616)が独習したスペイン語を駆使して書き綴った約1200ページに及ぶ浩瀚な『新しい記録と良き統治』(1615年擱筆。初版は1938年)である。20世紀末、イタリア人学者が「ナポリ文書」を論拠に、作品の著者をグァマン・ポマではなく、混血のイエズス会士ブラス・バレラとする新説を主張し、学界を揺るがす大論争を惹起した。新説は、その根拠である「ナポリ文書」が偽造文書であることが判明したため、学界ではほとんど支持されていないが、論争の結果、グァマン・ポマをスペイン語でクロニカを著した稀有な先住民として一方的に評価したり、その作品をアンデス文化の百科事典とみなしたりしてきた従来の研究の問題点が明らかになった。また、グァマン・ポマが、インカ期にワマンガへ移住させられたヤロ人のクラーカ(先住民集団の首長)を出自としていたことから、植民地時代初期のアンデス社会における「クラーカ」としての彼の行動や役割を解明して、作品編纂の動機や目的などを再検討する作業が急務となった。今回の調査・研究により、植民地時代当初よりスペイン当局に積極的に協力したグァマン・ポマが、17世紀初頭、他の先住民集団チャチャポヤ人との土地訴訟に敗れて以来、それまで、スペイン人聖職者ムルーアの影響下に書き綴っていたクロニカの草稿にかなりの修正を加え、最終的に、「インディオの父」と評価されるスペイン人ドミニコ会士ラス・カサスの思想を受け継ぐ論策として作品を完成させたのが判明した。また、16世紀末には、スペイン語に関して、会話のみならず、読み書きの能力も備えたクラーカが少なからず存在したことや、先住民たちが「訴訟」という法的手続きをスペイン支配の中で学び取り、生存手段として積極的に利用していたことなどが明らかになり、植民地時代における先住民社会の実態の解明に大きな手掛かりが得られた。
著者
川島 慶子
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

一般的に18世紀の科学啓蒙といえば、その中心的課題は「科学理論そのものの普及」だけでなく「その普及により、科学的精神を公衆(ただし貧困階級はまず除外されている)にいきわたらせ、教会勢力の力を弱体化する」という二つの目標が設定されていることが多い。もちろん宗教に関しては啓蒙する個々人の宗教観の差から、単に「迷信」のみを廃し、キリスト教そのものは擁護する科学啓蒙もあれば、あらゆる宗教を廃止したい科学啓蒙まで様々である。ただ、こういった啓蒙の集積したものがいわゆるディドロとダランベールの『百科全書』となって結晶したというのは疑いのない事実である。さて、ここにジェンダーという視点を持ち込むとなにが見えてくるのか。まず発信者が男性で啓蒙の対象が女性である場合を考えると、上のような単純な図式にはならない。つまり、階級における矛盾(作者は「人類」といいつつ、その実貧困階級を無視しているといったこと)と同様、作者は中産階級の男性と女性を同列にみていないという問題の影響がでてくるからである。彼らは対象が女性の場合は、彼女たちを、より「教えられるべき存在」とみなしがちである。結果、教えるべき科学レベルは低いものへと限定される。たとえばフォントネルは女性たちに「数学」を抜いて宇宙論を説明した。実は男性読者も多数いながら、「女、子ども向き」科学は一段下のものとみなされるのである。では発信者が女性だとどうなるのか。これには作者が男性以上に、その女性の作品と実人生の両方を考慮する必要が出てくる。というのも、男性科学啓蒙家の女性に対する上記のような態度は、その社会のジェンダーの反映であり、女性たちもその束縛から完全にのがれることは困難だからである。本研究に調べた限りの女性たちにおいては、彼女たちが科学啓蒙にかかわるようになった事情はさまざまであるが、すべてのケースで当時のジェンダーのダイナミクスが彼女たちの活動と大きく関係していることがわかった。啓蒙の中身については、現代のフェミニズムと通じるような主張をする者から、男性科学啓蒙家のジェンダー観に忠実に、男女の「生得的」差異を強調する者まで幅広く存在することがわかった。ただどの場合でも、彼女たちの実人生は、当時のジェンダー規範に沿わないものであり、その主張の中身と彼女自身の行動は連動していないということも判明した。ここからも、女性が科学啓蒙の主体たることは、その思想如何にかかわらず、当時のジェンダー規範に反する行為だったのである。
著者
佐藤 浩一
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

自伝的記憶・意味記憶・エピソード記憶の想起の安定性を比較した。自伝的記憶の想起のみ、加齢に伴い安定性が高まったことから、自伝的記憶は意味記憶やエピソード記憶とは異なるシステムとして機能していることが示唆される。過去の出来事と現在の自己を結びつける意味づけが自伝的記憶を特徴づけることが、大学生~高齢者の調査で示された。さらに自己・記憶・時間を関連づけて検討するため、Zimbardo時間展望尺度日本語版が作成された。
著者
神野 由紀
出版者
関東学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

消費社会の原型が誕生した近代初期の日本では、多くの国産商品が流通し始め、人々のものをめぐる眼差しが大きく変容していく。本研究は、デザインによる近代社会研究のアプローチのひとつとして、子供用品のデザインとその社会背景を検討した。多様な子供用商品が増大する明治末〜昭和初期に焦点をあて、「子供的な」デザインの生成過程を明らかにすることを目的としている。初年度は、本研究に先行して行われた長野県須坂市「田中本家博物館」所蔵品調査のデータを整理し、これら所蔵品を同時代の百貨店カタログなどと照合させ、明治大正期の子供用商品の傾向を明らかにした。百貨店という当時の巨大資本の力で子供用品という新たな市場が開拓され、商品デザイン、イベント創出など、さまざまな戦略によって、消費者の新たな欲望を喚起させていく状況が明らかになった。次年度は前年のテーマをさらに発展させ、特に七五三という子供の習俗が、明治末期に商業的な目的から再興されていくという事例に着目して研究を行った。子供服が近代的な流行商品に組み込まれていく過程において、七五三のイベントが効果的に用いられ、さらにこの手法が雛祭り、新入学などに応用されていく状況を明らかにした。最終年度は、大正期に生活の合理化・洋風化にかかわった家具デザイナーが、特に子供の生活に着目した背景を明らかにした。デザイナーたちの子供への関心が、モダニストとしての立場よりも自身の個人的・趣味的な子供への関心に因るところが大きかったという事実は、戦前期のモダンデザインを再検討し、広い視野で日本の近代のデザインを捉える必要性を示唆している。この他、本研究期間において、京都大学楽友会館、京都工芸繊維大学、松戸市教育委員会など、研究を補完するデータの調査を行い、さらにこれまでの先行研究も含めた調査データをすべてデジタル・データに統一する作業も行った。
著者
河合 正朝 渡邉 妙子 中村 麻紀 伊藤 公久 赤沼 英男 廣井 雄一 廣木 順一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日本刀用可搬式デジタル画像撮像装置を開発し、鎌倉時代から江戸時代までの75件の短刀と3件の太刀を撮像した。得られたデジタル画像には、従来の記録方法では困難であった、各流派および各時代を代表する日本刀地金の特色が細部に至るまで表示されていた。これまで、日本刀の鑑識家に独占されていた日本刀表面形態を一般に提示するうえできわめて有効な方法であり、当該方法による日本刀デジタル画像データベースの構築が可能であることが確かめられた。
著者
花井 一光 尾崎 まみこ
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

動物(ヒドラ、アリ、マウス)の行動(10-160分程度)をディジタルビデオカメラで撮影して、パソコンに取り込み、30枚/秒の連続画像ファイルとして書き出す。こうして得られた画像フレームから、自動的に動物を高精度に抽出し、その重心の位置や高次モーメントを高速に算出するCプログラムglanaを作った。本年度はglanaからバグを出来る限り除去して、時々生じていた目標物を見失ってしまう不具合をなくすことが出来た。こうして得られた重心の33ミリ秒ごとの時系列データを解析する方法を検討した。各時刻での重心の座標のデータからその移動のダイナミックスを解析することを試みた。120分以上の長時間のデータから大量の移動データを集め、統計的誤差が小さくなるようにして解析してみた。動物が各時刻で移動した距離を調べると、実際には、時刻ごとに大きく変動していた。それで、あるしきい値を設定し、その各時刻での移動距離がしきい値より小さい状態(slows state)、大きい状態(move state)に分けて、それらの持続時間を調べてみた。すると、slow stateは持続時間の対数と持続時間の累積頻度の対数とが直線関係を示し、この分布はスケールフリーであったが、一方、move stateの方は持続時間と累積頻度の対数が直線関係を示し、分布はポワッソン分布であった。このことから、moveの制御系は時間に関して指数関数的な分布を示す単純な速度過程であり、制御しているシステムには、特性時間(速度定数の逆数)がある。slowを制御しているシステムにはそのような時間が存在しないことを示している。この関係はアリでも、マウスでも同じように観察された。これは大変面白い結果であり、ロコモーションの制御系の適切なモデルを利用すれば、このシステムの性質を探ることに利用できる可能性がある。
著者
松本 健志 小笠原 康夫 片岡 則之 後藤 真己 梶谷 文彦 MOCHIZUKI Seiichi MATSUMOTO Takeshi TACHIBANA Hiroyuki
出版者
川崎医療短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

【目的】糖尿病に認められる血液レオロジーの変化は微小血管分岐部における血流分配にも影響し,局所的に心筋酸素需要-供給バランスを悪化させ,糖尿病と高率に合併する冠微小循環障害の原因になり得ると考えられる.本研究では血液レオロジー変化がもたらす心筋血流異常について基礎的検討を行うために,血液,タイロード溶液,および人工赤血球+血液による摘出潅流心モデルを対象に,冠微小循環単位レベル(最小の細動脈が潅流支配するサブミリメートルサイズの心筋微小領域)で心筋潅流分布評価を行った.【方法】血液,NRC+血液潅流では交叉潅流モデルを用いて潅流液を酸素化し,タイロード溶液については酸素バブリングにて心筋潅流を行った.人工赤血球にはテルモ社製Neo Red Cell(NRC,粒子径=200nm)を利用した.各潅流液での潅流中に血流マーカーであるHDMI(2μCi)を心筋内ボーラス投与し,心停止後,心表面に平行に心筋スライスを作製し(10μm厚,28枚/心筋),デジタルラジオグラフィによってスライス内のHDMI分布を測定した(空間分解能100μm).潅流分布の評価には,局所血流の不均一性の指標である変動係数(CV[%]=局所HDMI密度の標準偏差/HDMI密度の平均)を用いた.【結果及び考察】潅流量,左室発生圧は,NRC+血液潅流心では5.4±0.4ml/min/g,109±6mmHg,血液潅流心では2.8±0.1ml/min/g,108±15mmHg,タイロード潅流心では13.6±2.7ml/min/g,107±18mmHgであった.なお,NRC潅流ではヘマトクリット,リポソームの体積率は各々20±1,9±2%であった.局所心筋潅流のバラツキCVはタイロード溶液潅流心で最も低く,次いでNRC+血液潅流心,血液潅流心で最も大きかった.NRCは赤血球径の1/40であることからNRC+血液の粘性は血液に比べ低く,その結果,潅流量は増加し,さらに潅流不均一性の低下が認められた.加えてNRC添加により酸素供給不均一化の原因となる微小血管分岐でのプラズマスキミングも低減すると考えられ,NRC代謝改善効果に寄与するものと考えられた.
著者
島田 真杉 川島 昭夫 川島 昭夫 島田 真杉
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

従来、Lucile Brockwayの研究に代表されるように、19世紀後半から20世紀初にかけての帝国主義時代について論議されることの多かった、イギリスの帝国拡大と植物資源の確保をめぐる政策を、18世紀半ば以降の重商主義時代に原型を見出そうとしたのが本研究の目的である。われわれは特に西インド諸島におけるイギリスによる植物園の設立の動機と経緯に注目し、その企図と構想が、イギリス本国における、ロンドン勧業協会の経済的活動に対する一連の奨励策の実施の中で発案されたものであることを確認した。さらにジャマイカにおける植物園設立の背景には、北米大陸のイギリス植民地の独立運動への傾斜の中で、食糧自給の要にせまられたプランテーション経営者の奴隷主たちの従来のモノカルチュアから多角化、新作物導入の必要の認識があったことを明らかにした。とりわけその理論的指導者Edward Longとジャマイカ植物園との関与はブリティッシュ・ライブラリ蔵Dancer MSSの文書で検証しうる。
著者
高倉 統一 荒木 誠之
出版者
熊本学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

1999年5月、日本社会保障法学会(於:早稲田大学)にて、本研究課題に関連するテーマ(イギリス社会福祉と個人情報開示請求権保護のスタンダード-法的基準と立場強化(エンパワーメント)の行為準則-)の学会報告をおこない、当該テーマについて日本社会保障法学会編『社会保障法第15号』に論文掲載した。今年度は、8月にイギリスの社会保障省を訪問し、2000年に制定された新立法の概要の聞取りと同10月にミルトン・キーンズのDe Montfort大学を訪れ、ソーシャルワーカー専門家養成課程における情報管理を含めた利用者権利擁護のヒアリングを行なってきた。その調査の一部は、2000年9月29日国際学術コンファレンス(第1セッション)に発表した。2001年、国内の調査を行い、国際比較として、個人情報保護制度の調査結果を報告書にまとめた。
著者
大塚 二郎 十朱 寧 越水 重臣
出版者
静岡理工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

モータとボールねじからなる精密位置決め装置に存在する数箇所の熱源(主に,ボールねじ部と軸受部)により,位置決め装置のステージの熱変形ドリフト(熱に起因する位置決め誤差)が生じる.そこで本研究では,精密位置決め装置の軸受ハウジング側面2箇所とステージ上面の計3箇所にペルチェモジュール(以下,ペルチェと呼ぶ)を取り付け,ペルチェにかかる電圧を制御しながら冷却を行い,熱変形ドリフトを低減することを目指した.実験の結果,ハウジング部に対しては温度フィードバッグ制御を,ステージに対しては軸の熱変形量をフィードバッグ制御することにより,速度250mm/s,加速度1Gまでの条件下で,軸の熱変形量を2μm程度まで低減することに成功した.
著者
澤尻 昌彦 野村 雄二 滝波 修一 谷本 啓二
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

放射線生物学や環境変異原の研究にメダカが利用され,咽頭歯骨には破骨細胞の存在するため放射線照射後の破骨細胞性骨吸収における変化の解析を試みた。放射線照射メダカの破骨細胞の活性を経時的に計測した。炭素線照射メダカでは抑制され炭素線照射によって破骨細胞の活性は低下することが示された。免疫染色によって破骨細胞誘導因子を確認すると炭素線照射メダカの咽頭歯周辺では破骨細胞誘導因子が阻害されることが示された。
著者
高濱 節子 海生 直人 廣光 清次郎
出版者
広島修道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

「集団に基づく最適化手法」に対して,探索効率と頑健性を向上させる(1)動的パラメータ調整法の提案と(2)比較推定法を用いた効率的制約付き最適化法の提案,を行い,有効性を示した.(1)では,目的関数形状に基づく調整(①直線に沿った関数値のサンプリングを用いる方法②近接構造と近接グラフを用いる方法),探索点の分布推定に基づく調整,探索点のランク情報に基づく調整を提案した.(2)では,複数の低精度近似モデルについて比較実験し,ポテンシャルモデルを用いた比較推定法とε制約法による制約付き最適化法が効率的であることを示した.
著者
須田 千里
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日本近代文学館所蔵の芥川龍之介文庫の和漢書465点1822冊と、葛巻義敏寄贈本4点の書き込みを調査した結果、芥川によると考えられる書き込み36点、その他何らかの書き込みのあるもの93点、頁の折られた箇所(または折り跡)のあるもの290点があることをを明らかにした。芥川の書き込みや判明した材源については論文として発表、または紹介した。また、『破邪叢書』第一集が『るしへる』の、『日本に於ける公教会の復活前篇』が『じゆりあの・吉助』『おぎん』『黒衣聖母』の、それぞれ材源となっていることを明らかにした。
著者
新本 史斉 ヒンターエーダー=エムデ フランツ
出版者
津田塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

「長編小説」の枠からはみ出し、最終的には、掌大の紙片数百枚に鉛筆書きの極小文字で書きつけられるまでに至るローベルト・ヴァルザーの散文作品は、現代ドイツ語文学屈指の、高度な複雑性を抱えた、過激な文学実験となっている。本研究においては、ヴァルザーのテクストに潜在している批評可能性を、英・仏・日本語の翻訳テクストの比較分析、諸言語への翻訳者との討論、さらには、これまで未邦訳であった作品の日本語への翻訳実践を通じて明らかにしている。