著者
長岡 信治
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

九州の霧島火山,阿蘇火山,九重火山の過去約10万年間のテフラの層序と分布の詳細を明らかにした。テフラから霧島・阿蘇・九重の各火山の高解像度の爆発的噴火史の復元を試みた。霧島火山や阿蘇火山は成層火山の形成を伴う爆発的噴火を繰り返しているが,九重は,溶岩ドーム形成が主体で,爆発的噴火は少ない。噴出率については,阿蘇は最近低下しているが,霧島と九重は増加傾向にあり,将来大規模な噴火が発生する可能性が高い。
著者
森 善宣
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

米国、中国、ロシアで公開された資料を丹念に収集した結果、朝鮮戦争(1950年6月)の開戦に至る経緯と開戦後の韓国と北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)での政治・経済・社会的な変化を把握する上で、大別して5点に要約できる研究成果を挙げることができた。1.朝鮮の解放(45年8月)から南北分断体制の樹立(48年8〜9月)を経て朝鮮戦争に至る経緯を米ソ両国の朝鮮政策との関係で再整理する中で、北朝鮮による開戦の試図は当時の首相だった金日成が朝鮮共産主義運動の主導権を喪失したのを挽回しようとするところにあった点を明らかにできた。2.朝鮮戦争の開戦経緯と開戦後に起きた金日成による朝鮮労働党内の粛清とを連続的かつ論理整合的に説明できる北朝鮮内の内部矛盾の展開という仮説が正しいことを確認できた。朝鮮統一の戦略と朝鮮労働党内の権力闘争が結び付いた金日成と副首相兼外相の朴憲永との暗闘が矛盾の根源だった。3.朝鮮戦争の渦中から「対立の相互依存」構造と研究代表者が呼ぶ朝鮮分断の状態がどのように形成されたのかを実証的に明らかにできた。同族殺し合う戦争を経る中で南北朝鮮の国内に冷戦の論理を取り入れ、国内の政敵を軍事境界線の向こうの敵と同一視することで権力維持を図るようになった。4.これらの研究成果を得るために行った資料調査の中で、米国ならびに中国から公開されている資料をほぼ漏らすことなく収集でき、またロシア資料の所在と公開状況を把握できた。米国立記録保管所(National Archives II in College Park City)、北京の中国共産党直属の梢案館、モスクワに散在する記録保管所である。5.中国に亡命中の元文化宣伝副相だった金鋼氏など北朝鮮の比較的に高位の人物にインタヴューすると共に、彼らの所持する希少な資料を入手する約束を取り付けた。同時に世界各国にいる朝鮮戦争研究者との接触を通じて、今後の情報収集に道筋をつけることにも成功した。
著者
福 知栄子 倉知 桂子 若林 敏子 内本 充統
出版者
岡山県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

岡山県内ファミリーサポートセンター依頼会員調査からセンター活動の活用状況や期待および課題を捉え、さらに全国アドバイザー調査からはセンター活動の支援状況や支援プロセスおよび今後の課題等を把握した。また、事例を通して地域子育て支援活動としてセンター活動が果たすコーディネート機能について検討した。依頼会員は、子育てへの安心感(緊急支援)を得ることやワークライフバランスを図るために登録をしている。提供会員には、子どものケア・ニーズへの対応とともに、親のニーズへの対応も期待している。地域住民参加型の子育て支援ネットワークづくりへの依頼会員の貢献が今後の課題である。アドバイザー調査からは、センター活動がひとり親、障害のある親、外国人の親等多様な家族を支援する実態がみえる。支援活動の質を左右するマッチング場面のアドバイザー同席は半数である。提供会員研修には、手どもの育ちや応急手当等と子育て不安への理解等親関連の内容も含まれる。センターが地域関連機関との間で情報交換をするのは、保健所や保育所が最も多く、次に子育て支援センターや主任児童委員等である。個別ケース支援の連携もあり、アドバイザーのコーディネート機能による地域連携活動として、くらしが不安になる離婚前後での支援や親の精神的不安が強い時期の支援等の事例がみられる。今後の課題は、提供会員の量的拡大と質的向上、関連機関との連携の充実、アドバイザーの知識・技術の向上等である。適切で柔軟なコーディネートができるアドバイザーの質的向上のための研修体制・スーパービジョン体制の確立が重要である。子育て家族が抱える課題を共通理解し、地域で子どもと家族を支援するチームとして支援者と親が協働で活動することが今後のセンター活動の展望を切り開く。
著者
平石 裕実
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究では、百台規模のクラスタシステム上での実行に適した並列分散型の形式的設計検証アルゴリズムの研究を行い、以下の成果を得た。1.二分決定グラフ(BDD)の並列処理:論理関数処理を進めていく過程で、動的に真理値を固定する変数を選択していくことによりBDDを分割して並列処理を行うアルゴリズムを提案し、このアルゴリズムにより並列度以上の高速化(スーパーリニア効果)が達成できることを示した。また、クラスタシステム上でこのアルゴリズムを実行することにより、1台の計算機上での逐次アルゴリズムではメモリ不足のために解くことが出来ないような問題でも、並列化により解くことが可能になった。2.探索処理の並列アルゴリズム:設計検証で用いられる探索問題に対して、探索処理中に動的に部分問題に分割し、分割した部分問題を各マシンに動的に割り当てて並列に探索を行うアルゴリズムを提案し、最適順序付け問題でスーパーリニア効果を達成できることを示した。3.並列システムの設計検証:多数の並行プロセスからなるシステムの検証に適した記号モデル検査アルゴリズムとデッドロックフリー性の検証手法を提案し、従来手法に比べて100倍以上高速化できることを示した。4.並列ソーティングアルゴリズム:クラスタシステムで並列バイトニックソートの有効性を検証した。複数のスイッチングハブを用いたイーサーネットワークを使用したクラスタシステムでは、予想通りスイッチングハブ間の通信がボトルネックになることが判明した。一方で、VIA方式によるcLANのフルバンド幅構成のネットワークを採用することにより、このようなボトルネックを解消できることを示した。
著者
西岡 弘晶
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

グラム陰性菌は、呼吸器、消化器、尿路、皮膚・軟部組織など、様々な部位に感染し疾病を引き起こし、その予防、治療は大変重要な課題である。グラム陰性病原細菌の多くは、宿主細胞へ接触すると、特殊な分泌機構を通じて、一群の分泌性機能蛋白質(エフェクターと呼ばれる)を宿主細胞質へ注入し、感染に必要な機能を誘導する。そこでグラム陰性菌の一つである赤痢菌から、感染に不可欠なエフェクター蛋白質を、ネイティブな形で精製する方法を確立し、そのエフェクター蛋白質どうし、あるいはエフェクター蛋白質と宿主因子の相互作用を明らかにすることを試みた。赤痢菌が宿主細胞へ感染する際に不可欠なエフェクター蛋白質は、IpaB、IpaC、IpaDと呼ばれる3つの蛋白質であり、IpaBとIpaCは複合体を形成することが知られているが、その詳細は明らかではない。本研究により精製したネイティブな形のIpaB/IpaC複合体は、安定した水溶性の複合体を形成しており、分子量はおよそ200kDで、IpaB : IpaC=1:3-5で結合していることが示唆された。またIpaB/IpaC複合体は、高度な二次構造を形成し、複合体を形成することで安定した構造をとることも示唆された。この複合体の形態は直径10-20nmの球状であり、電子顕微鏡でも可視できた。IpaB/IpaC複合体は、赤血球膜にコレステロール依存的に結合し、真核細胞形質膜にはコレステロール及びCD44依存的に結合した。その際IpaB/IpaC複合体は、リピッドラフトに存在した。またIpaB/lpaC複合体はリボゾームと結合し、小孔を形成した。同様にIpaD蛋白は35kDの蛋白として精製された。またIpaDの部分変異株の解析により、IpaB/IpaC複合体の真核細胞形質膜への挿入に、IpaDが関与していることを見出した。
著者
吉水 千鶴子 佐久間 秀範 小野 基
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、チベット人シャン・タンサクパ著『中観明句論註釈』の写本解読により、インドからチベットへ、チャンドラキールティの帰謬論証を用いる中観思想がインドの仏教論理学と融合しながら伝承された11~12世紀の時代思潮を明らかにした。すなわちチャンドラキールティ自身が先行するディグナーガの論理学を取り入れており、中観派によって他者に真実を知らしめるための命題と論理の使用は是認される。この新しい知見により、本研究は中観仏教思想史を見直し、論理学との融合過程に焦点をあてて再構築した。
著者
佐久間 秀範 吉水 千鶴子 ALBERT Muller 馬淵 昌也 吉村 誠 橘川 智昭 岡田 憲尚
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

研究期間内に以下の三つのプロジェクトを完成させた。1.『大乗荘厳経論』第三章、第六章、第十九章の偈頌(サンスクリット語、チベット語訳、漢訳)、世親釈(サンスクリット語、チベット語訳、漢訳)、無性釈(チベット語訳)、安慧釈(チベット語訳)の対照テキスト。2.研究チームで五姓各別のインド、中国、韓国、日本の総合研究。3.研究チームで玄奘訳『仏地経論』全体の日本語訳(日本初)の吟味。
著者
越智 保雄 松村 隆
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

各種熱産業,工場などから排出される大量で低温度レベルのエネルギの利用法の一つとして,形状記憶合金をエネルギ変換素子として利用する動力回収システムの開発のため,形状記憶合金の熱・機械的繰返し変形特性と疲労寿命評価に関して基礎的研究を行った。用いた形状記憶合金は安定性,耐食性,変態温度や疲労特性等の点で優れた性質を持つとされているTiNiCu系合金であり,Cu濃度を0〜13%に変化させたものと,形状記憶熱処理温度348K-363Kと変化させた7種類の合金を用いた。得られた主な結果をまとめると以下のようになった。1. マルテンサイト変態温度Ms点はCu濃度が増加するにつれて上昇し,逆変態温度As点はCu濃度の増加につれて低下するが,M相の結晶構造が単斜相M相から斜方相M相に変態する状態になると再び上昇した。2. 繰返しによる有効ひずみエネルギWaは,最大ひずみε_<FTBK>が3%の範囲ではCu濃度の増加とともに増大するが,高ひずみ範囲ではほぼ一定となった。3. 回復ひずみエネルギの1サイクル当たりの減少量で定義した散逸ひずみエネルギは,Cu濃度の増加とともに低下した。回復ひずみエネルギは高いCu濃度域においては試験サイクルによる差異は認められなかった。4. 繰返し応力-ひずみ曲線の面積で定義した回復ひずみエネルギと寿命の両対数関係から,最大ひずみが4%以上では熱処理温度が高いほど低寿命となったが,最大ひずみが3%以下では加熱温度の影響はなく両対数ほぼ一本の直線で評価できた。5. 散逸ひずみエネルギと疲労寿命の両対数関係から,加熱温度,最大ひずみによらず散逸エネルギが減少するほど長寿命となる一本の直線関係で評価できた。7. 超弾性サイクルにおける疲労寿命は,Cu濃度が5〜10%の領域で低寿命となった。一方,熱・力学的サイクル条件下ではCu濃度の増加にともない低寿命となった。
著者
小寺 栄子
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

現役の看護トップマネジャーへのインタビュー並びに病院管理者へのアンケート調査により、看護のトップマネジャーの役割と高業績特性として11のカテゴリー53の能力を抽出した。更に内外の文献資料を参考にしディクショナリーの内容に検討を加えて、5つのコンピテンシー領域、28の分野、217のコンピテンシー項目よりなる看護のトップマネジャーのコンピテンシーディクショナリーを作成し、これらの妥当性・有用性を確認するために、看護部長職にある看護管理者を対象に質問紙調査を行なった。その結果、「有益だが必要なし」、あるいは「必要でない」項目が明らかになり、これらは現在の看護部門のトップマネジャーの認識を表していると同時に、今後の取り組み課題であることも明らかになった。今後は、看護管理者より成るグループ・インタビューにより、各項目の表現や必要性のレベルを更に究明し、現実に看護管理者のコンピテンシー評価に用いることのできるモデルとする予定である。
著者
日暮 吉延
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、サンフランシスコ講和条約発効後から1958年の日本人戦犯完全釈放までを対象時期としたうえで、日本人戦犯釈放をめぐる国際関係と政治過程を実証的に分析するものであるその目的は、講和条約発効後の戦犯釈放に関する旧連合国側の政策決定過程を仔細に検討し、いまだ不分明な1950年代における日本人戦犯釈放の政治過程に関する諸事実を発掘、解明することにある。裁判後の戦犯処理は、従来の戦犯裁判研究において看過されてきた問題であり、本研究は、日本人戦犯釈放問題に内外で初めて本格的かつ総合的な分析を加えるものと位置づけられる本研究課題については、厳密な意味での先行研究は存在せず、1950年代の戦犯釈放問題という研究上の空白を埋める役割が認められる。研究期間を通じて多数の一次資料・情報の入手、系統的な分析作業を行ない、講和条約発効後の戦犯釈放に関する旧連合国諸政府の対応がかなりの程度、解明されたそれ以前の時期、すなわち占領期の戦犯釈放に関しては、本研究計画の開始前に連合国側の政策決定過程を中心に検討ずみであり、それを本研究の成果と接合することで、占領期から講和条約発効後を通じた連合国側の戦犯釈放政策が明らかとなった
著者
福島 至
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

適切な公的検死(死因究明)制度を構築するためには、独立性・中立性、公開性、専門性、標準化の基本要素が不可欠であるとの結論に至った。独立性・中立性は、政府や自治体の各機関や当事者などの影響を受けないようにして、死因特定の結論が歪められないようにする。公開性とは、最低限のプライバシー保護をしつつも、得られた知見を事故等の再発防止に役立てる。専門性とは、法医学に精通した者が判断に関与することである。標準化は、全国的に等しいサービスを提供することである。
著者
小林 実夏 岩崎 基 堀口 美恵子
出版者
大妻女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

若年者から高齢者までを対象に調査研究を行い、詳細に検討した結果、いずれの年代でも摂取食品数が少ない群ではBMIが25以上の肥満者の割合、朝食を欠食する者の割合が高かった。中高年齢者を対象とした調査では、摂取食品数の少ない群では食事摂取基準の推定平均必要量を摂取していない者の割合が高かった。また、摂取食品数が多い群では血清β-カロテン値や総コレステロール、HLDコレステロールのレベルが高く、γ-GTPのレベルが低かった。本研究により、食事の多様性は生活習慣、栄養素摂取量、生体指標、臨床検査値と関連することが明らかになったことから、特に中高年齢者の健康維持、疾病予防に寄与することが示唆される
著者
間々田 孝夫 水原 俊博 寺島 拓幸 廣瀬 毅士 朝倉 真粧美 呉 金海 野尻 洋平 遠藤 智世
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は東アジアを調査地域として、グローバル化する消費文化についてアメリカ型への画一化と非アメリカ的な多様化の実相を理論的、実証的に明らかにしようとするものである。2007~2008年度の期間、将来的な東アジアでの本格調査を見据えて東アジア地域の消費文化について文献の検討をとおした理論研究をおこなった。また、こうした理論研究をふまえて国内(首都圏)では大規模質問紙調査を実施して一定の成果をあげた。
著者
吉川 由希子 松浦 和代 三上 智子
出版者
札幌市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

北海道内に居住している障がい児の在宅ケア支援の社会資源は、小児を受け入れている訪問看護ステーションや介護事業所、レスパイト施設などは都市部に集中していた。また、家族からの聞き取り調査では、自治体によって在宅ケア支援への対応が異なっていた。今回の研究期間では実態調査とモデルの検討段階にとどまったため、継続して地域の特性を生かした在宅ケア支援ネットワークモデルを展開していく。
著者
佃 修一
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

蜘蛛のような形をしたマシンが足先を固定されているときにとることの出来る状態のなす配置空間のおおよその形(安定ホモトピー型)を,いくつかの場合に決定した.またゲージ群とよばれる空間の,素数pごとに決まるおおよその形(pで局所化したホモトピー型)をいくつかの場合に決定した.
著者
木村 忠史 久保 泰
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

タランチュラ毒腺のcDNAライブラリーの中から約4000個の制限酵素切断パターンに基づき約1500個のクローンを選択しDNA配列の解析を行い869個の高い品質の配列データを得た。このうち284個(=32.7%)が毒様の配列を示していた。これは他種のクモで報告されている30.6% や32.5%とほぼ同等の値であり本研究の妥当性が示された。更にPCRクローニングにより34個の毒様配列を得た。これらから重複無く48個の独立した新規の毒様配列を得、GTx1~GTx7, GTx-TCTP, GTx-CRISPの9つ
著者
細川 江利子
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、日本の現代舞踊家であるケイ・タケイ(1939-)と山田せつ子(1950-)を対象とし、文献研究、インタビュー調査、トレーニングおよび作品創作過程を収録したビデオ分析を行い、2氏の舞踊観、トレーニング方法、舞踊作品創作方法の特徴を明らかにした。また、2氏の方法論は、学校教育における表現・創作ダンスの指導においても有効であり、特に即興表現と作品創作の指導法について多くの知見を得ることができた。
著者
程 子学 程 同軍 小山 明夫
出版者
会津大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

資源の割り当て問題は分散処理環境における重要な問題の一つとして知られており、多くの研究がなされています。また、ネットワーク環境の劇的な発展に伴い、様々な分散協調型のアプリケーションが開発されています。分散協調型のアプリケーションの上では、協調して動作するプロセスやユーザが一つのグループとして、動作するものとみることができます。複数のグループが同時にそれぞれなんらかの動作を行う場合、異なるグループに属するプロセス同士の間で資源競合が生ずる場合があり、そこで資源の割り当てが不適切に行われた場合、いくつかのグループの動作に支障がきたす危険性があります。そういった新たな形態の資源競合は、古くからある解決の手法では、十分に対処することができず、またその解決法に関する研究は、あまり十分には行われていませんでした。私どもは、従来の資源割り当て問題を拡張した「プロセスグループに対する資源割り当て問題」という問題を提起し、その分散的解決法に関する研究を行って参りました。本研究では、今までの研究結果を踏まえて、まず、資源の容量を超えない範囲で複数のプロセスによる資源の共向利用の時に、有効な割り当て手法として、割り込まれたプロセスに悪い影響を与えなく、全体的な効率が向上できる割り込みによる資源割り当て方法を提案しました。そして、予約済みや使用中の資源を他のプロセスに譲り合うために、別の利用可能な資源を予約・使用するという譲り合いによる資源割り当ての方法を提案し、資源を要求する複数プロセスの平均待ち時間を短縮する研究を行いました。さらに、複数のプロセスグループがあるタスクを平行に実行することを想定するグループ間の資源割り当てモデルを提案しました。最後に、提案された手法を実際のアプリケーションにどのように適用するかを検討するために、携帯電話のチャンネルの割り当てについて考察しました。開発された割り込み手法や譲り合い手法をプロセスグループに関するモデルに導入するために、いろいろと試みましたが、まだ十分な結果が得られていません。将来の課題として残されております。
著者
松川 隆 奥山 克巳 佐藤 宏明
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

【平成17年度】健康成人男子(計16名)を対象Group 1:麻酔前保温なし(コントロール群)(n=8)手術室で用いられるブランケットをかけて30分間安静Group 2:麻酔前保温あり(保温群)(n=8)温風式加温装置で保温を開始(30分間)ミダゾラム:0.05mg/kg(筋注)プロトコール1.Group 1、2において30分間の前保温(ありなし)状態2.30分後にミダゾラム筋注(0.05mg/kg3.両群共にトランクスのみの状態で室温に保つ4.測定項目(開始時、前投薬投与時、その後5分毎40分後迄)中枢温=鼓膜温(右、左)末梢温:末梢温=皮膚温:胸部、上腕、前腕、示指、大腿、下腿、栂指血圧(SBP, DBP)、心拍数、SpO230分後:鎮静度、室温:22〜23℃<結果>麻酔前保温あり群でミダゾラム前投薬による体温低下が有意に減少した【平成18年度】年齢によって麻酔前投薬と麻酔前保温の効果がどのように異なるかを臨床的に検討。麻酔前投薬、麻酔前保温を行った場合に全身麻酔導入後の中枢温低下に年齢によってどのように差異が認められるかを検討。<対象>予定手術患者(全身麻酔)(ASA分類I〜II)計30名。Group 1:若年者(20〜55歳)(n=15)、Group 2:高齢者(60〜80歳)(n=15)<プロトコール>麻酔導入30分前に2グループ共にミダゾラム筋注(0.05mg/kgし、30分間の麻酔前保温(温風式加温装置)麻酔導入:プロポフォール(2mg/kg)、ベクロニウム(0.12mg/kg)維持:酸素-亜酸化窒素-セボフルラン(1.5-2.5%)(いわゆるGOS)測定項目(麻酔前投薬時、麻酔前保温開始直前から10分ごと手術終了時迄)中枢温:鼓膜温(右、左)末梢温:皮膚温(7ヶ所)胸部、上腕、前腕、示指、大腿、下腿、栂指血圧(SBP, DBP)、心拍数、SpO2、室温:22〜23℃。<結果>高齢者の方が若年者よりも麻酔導入時の"再分布性低体温"による体温低下が著しいことが示唆された。高齢者において積極的な麻酔前保温がより重要である。
著者
山口 利幸
出版者
和歌山工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

次世代CIGS系薄膜太陽電池を作製するために、三元化合物からの連続成膜法を用いて作製条件を検討した。その結果、単接合型や多接合型太陽電池に応用できる、GaやS含有量を制御したCIGS薄膜を作製できた。高いGa含有量を持つCIGS薄膜太陽電池を作製した結果、開放電圧V_<oc>=496mV,短絡電流I_<sc>=27.57mA/cm^2,曲線因子FF=0.508,変換効率η=6.95%の成果が得られ、進展があった。