著者
市川 哲 三浦 敏弘
出版者
明治鍼灸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

京都府中部に位置する船井郡6町(八木町、園部町、日吉町、丹波町、和知町、瑞穂町)の生涯スポーツ事業の行政評価と参加者による評価について調査を行った(「生涯スポーツ事業に関する行政担当者の意識」調査:平成9年度実施。「生涯スポーツの実施とその評価に関する住民意識調査」:平成10年度実施)。これらの調査とその分析によって得られたいくつかの知見には以下のようなものがある。1. 6町で生涯スポーツ事業として56事業が実施されていた。そのうち53事業が継続事業、2事業が新規事業、1事業が単年度事業であり、8割近い44事業が行政担当者により「問題がなかった」と評価されていた。2. 行政担当者はこれらの事業を行政評価する必要を自覚していたが、その客観的な評価基準をもっていなかった。3. したがって、行政評価は担当者の主観にゆだねられているが、こうした状況のもとでは、参加者や関係団体の声を聴くことがその客観性を保証していると考えられる。4. 生涯スポーツを(1)一人で行うスポーツ、(2)少人数で行うスポーツ、(3)地域の運動会、(4)町や体育振興会等が行う事業、の4種に区別したが、それらのスポーツに参加する住民は参加しない住民よりも生涯スポーツを地域づくりとの関係でとらえる傾向が強かった。5. 運動会参加者と事業参加者の90%以上がそれらのスポーツに満足しており、また80%以上がそれらのスポーツが近隣の人々との親睦を深める上で有効であると考えていた。
著者
茂木 豊
出版者
福岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

2つの調査が基本的には同一の調査票を用いて、田川市及び添田町において行なわれた。田川市の人口は1995年において56,547人、添田町の人口は同年において13,763人である。これらの2つの地域は、福岡県の田川地域の10市町村の一部を構成し、田川市はその地域の中心都市である。調査票を用いた調査の対象者は、田川市における調査では、その人口集中地区の一部に住む30代から40代までの女性で、添田町における調査では、その町の中心部に住む30代から50代までの女性であった。調査票の内容には、地域の各種施設の便利さ、生活構造、地域生活などが含まれる。人口の分散は、日本の社会における緊急の課題の1つである。田川市及び添田町は、地方の小都市の例とみなすことができるが、これらの地域は、分散政策の焦点となるべきである。巨大都市に住む人々が、自然に親しむことを求めて、次第に地方の小都市に移動するという予測も存在するが、現在のところ、そのようにはなっていない。地方小都市の生活が、移動しようとする者にとって魅力を持たなければならない。そのような地域は、基本的なアメニティが確保されるとともに、巨大都市にはない何かがなければならない。小都市の範域のコンパクトさは、そのような目標を達成するためには都合がよいはずである。地域の生活のしやすさに関する主観的評価は、その地域のアメニィティのレベルを調べるのにはあまり有効ではないこと、また、自然に親しめるかどうかということは、実際の住居移動に結びつかないとしても、アメニティのレベルの評価とは関連があるということなどが明らかになった。
著者
三成 由美 徳井 教孝 酒見 康廣 北原 詩子 松田 千照
出版者
中村学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

保育所乳幼児の健康増進及び生活習慣病を予防するための、栄養教育を実現させることを目的に、乳幼児の食生活を明らかにし、また、腸内細菌叢都の関係を検討したので報告する。保育所乳幼児における食育は、保護者と子どもの育ちを共有し、保育所の長所を中心に家庭や地域と連携した食育実践が重要であり、保育所に栄養士の必置義務の導入が望まれる。
著者
徳永 正雄 石橋 松二郎 徳永 廣子
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

好塩性細菌が生産する好塩性酵素は、酸性アミノ酸に富み、net chargeがマイナス荷電に偏っており(等電点が低い酸性タンパク質)、この性質が高い可溶性と、変性しても凝集しないで巻き戻る高い構造可逆性を保証している。通常生物由来酵素に酸性アミノ酸の導入、もしくは好塩性蛋白質と融合蛋白質を作ることによって、好塩性を付与し、高い可溶性を持たせ、安定性を高めた蛋白質の分子育種に成功した。
著者
福田 千鶴
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、近世武家社会で記録として残された奥向に関する史料を網羅的に把握して、今後の研究の基盤づくりをすることを目的とした。4年間の研究で明らかになったことは第1に、当初に予定した以上の史料の存在が確認でき、データベースを作成することができた。このことは、今後の奥向研究を本格的に進めるための計画を展望するうえで、重要な成果であったといえる。具体的な作業では既刊の大名史料の目録から奥向に関する史料に関するデータベースを作成し、まとまった史料が伝来する大名史料には調査に赴き、史料収集を行った。とくに松代真田家・萩毛利家・鳥取池田家・彦根井伊家・徳山毛利家などにおいて良質な史料が伝来することが確認できた。第2には、近世前期に関しては記録類の確認がほとんどできなかったが、近世後期に関しては前述のような大名家において史料が伝来していることが確認できた。したがって、今後の大きな課題として、近世前期の史料発掘を継続して行い、武家社会における奥向の成立過程を具体的に考えることのできる研究環境を整える必要がある。ただし、女性の書状(消息)に関しては、仙台伊達家・萩毛利家に伝来しており、そうした史料を中心に分析していくことで、近世前期の史料的限界を克服していく必要がある。第3に、調査の過程において、奥向の役職にかかわった家臣の家に、奥向に関連する史料が伝来することが確認できた。これは、今後に奥向史料論を構築するうえでも重要な視点を得られたといえる。今回の調査では主に大名史料を分析の対象としたが、今後はこうした家臣の家に伝来した史料群に関しても調査を広げていく必要があることを示唆している。以上の4年間の研究により、論文2本、研究報告4本、図書2冊において成果を公表した。
著者
横田 昌嗣 傳田 哲郎
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

固有種を中心に琉球列島産のガガイモ科植物の染色体数の算定を行った.中琉球固有のヒメイヨカズラ(ガガイモ科)の外部形態と分子系統樹を解析し,この種はこれまで考えられていたイケマ属ではなく,オオカモメヅル属に属し,遺存固有種的な性質を多く持つ種であることを示した.琉球列島内で著しい種内倍数性を示す琉球列島固有種のミヤコジシバリ(キク科)は,雑種起源であること,その起源は複数回あることを分子系統学的な手法で証明し,ミヤコジシバリの著しい種内倍数性は琉球列島の地史と深い関わりがあり,遺存固有種的な性質を示すことを細胞地理学的に示した.アカネ科のサツマイナモリ属とボチョウジ属の染色体数を算定し,琉球列島固有のアマミイナモリは近縁なサツマイナモリの倍数体起源であることを明らかにした.分子系統学的な解析により,アマミイナモリは日本および台湾産のサツマイナモリよりも系統的に古い時代に分化した遺存固有種であることが判った.琉球列島産のヒサカキ属の分子系統学的な解析の結果,中琉球固有のクニガミヒサカキは,日本産ヒサカキ属では最も遺存的な種であり,クニガミヒサカキと同種とする見解がある南琉球固有のヤエヤマヒサカキは,クニガミヒサカキとは明瞭に異なる独立種であること,中琉球固有のマメヒサカキは,ハマヒサカキから派生した新固有の分類群であることが判った.日本では沖縄島北部にのみ産するイワヒバ科ツルカタヒバと,その異名とされることもある沖縄島固有のコクラマゴケ,沖縄島から近年日本新産として報告されたミタニクラマゴケの形態を観察した.その結果,ミタニクラマゴケはコクラマゴケにすぎないこと,ツルカタヒバとコクラマゴケは連続的に変異し,現段階では区別できないことが判った.
著者
高木 靖文
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究の課題は、近世大名家の城中における教育の実態の解明と、その様式や慣行の成立・発達の過程にみられる阻害的要因と促進的要因との間の相互関係の検討である。従来、城中教育の展開は、好学の藩主の恣意によるとされ、発展性や継続性を保証しない特異な事績として処理されてきた。何処で、どの様に、どんな科目を学んだかという検討が、学習様式や教育慣行の成立の解明に結びつかなかった。それは、城中という特殊性を過大に評価した結果であるが、必ずしも正確ではない。そこで、比較の基準として、初めに尾張徳川家の城中教育の問題を取り上げ、次いで岡山藩主池田家、加賀藩前田家、高田藩榊原家、新発田藩溝口家と対比し、同様の事態が存在したかどうか、阻害的要因・促進的要因はどの様な形で現れたかを検討したのである。その結果、以下の諸点が明らかになった。(1)城中は(江戸城に典型的に見られるように)、概ね3つの空間(奥・中奥・表)から成り立っており、多様で厳格な制約が勤務する武士・足軽の行動を縛っていた。それ故、家臣が自発的な学習の機会を設定することは困難で、個人的学習の場を外に求めるほかなかった。(2)中奥・表における教育の機会が組織されたのは、そのような制約の緩和によるが、固め・通用・座席などの規式は始終重要な意味を持ち、教育の形態を身分的・閉鎖的・儀式的にした。(3)幕末になると、城中の学習活動は盛んとなり、教育組織と構造を欠くものの「巨大な学校」の観を呈した。翻訳・会読・輪講・素読などが頻繁に行われ、御廉中が「透き聞き」をすることもあった。今後は、さらに多くの大名家の実態を検討し、以上の成果と比較しながら、両要因の影響関係の解明を進めたい。
著者
丸山 文裕
出版者
独立行政法人国立大学財務・経営センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

日本の大学における収入は、長年にわたって専ら政府予算、家計の負担、付属病院など事業収入で構成されてきた。大学システムの規模が小さければ、政府の負担によってのみ大学の運営をすることは可能であろうが、より多くの人々が大学教育を受けようとすると、財政規模は莫大になり、政府の負担だけでは賄えない。これは日本のみならず、高等教育人口がより大きいアメリカでも共通の現象である。本研究課題は、大学の授業料の検討であるが、授業料問題は政府の負担と家計の負担のバランスの問題でもある。本研究では、このバランスをまずデータをもって検討した。他方、大学の経営にとっては、政府予算が削減されると、それを補う方法として授業料の値上げが考えられる。2004年の法人化以後は、国立大学も私立大学と同じように、経営の自立性が求められ、授業料設定も部分的に自由化された。経営の健全化からは、授業料値上げが必要な大学もある。しかし国立大学は国民に安価な授業料で、良質な高等教育機会を提供するという使命を有している。また授業料の値上げは、優秀な学生の確保の点から見て安易にはできない。このように授業料設定は、大学の使命、高等教育機会、大学の経営、学生募集の問題とも密接にかかわっている。本研究は、日本とアメリカの大学での授業料問題を、高等教育費負担、高等教育機会、大学経営、学生募集などの観点から、理論的およびデータを分析し実証的に検討した。そこで得られた数々の知見は、政策的意義を持ち、今後の国立大学授業料水準を考える上で有用と思われる。
著者
伊藤 賢一
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的に掲げた「公共空間の希薄化と個人化傾向を説明する統一的な理論モデルを構築すること」は、十分完成した形には至らなかったものの、ある程度中心的なアイディアを示すことができたと考える。中核となるアイディアはBeck(1986)らが提示しているものと殆ど同型であるが、Beckらが必ずしも結びつけて論じなかった地域コミュニティの変容や、新しいメディアの浸透、消費行動の変化なども、さまざまな社会制度やしくみの組織化にともなう「意図せざる結果」として描くことができるのではないか、というものである。これは、現在起こっている社会変動の一面を捉えるだけでなく、多くの社会理論が指摘している傾向性をまとめあげ、現代社会が直面している大きな社会変動の意味を見通す成果になりうると考える。
著者
松本 博
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は,建築材料や殺虫剤・化粧品等の使用による生活行為の甲で放散されるホルムアルデヒドや揮発性有機化合物(VOC)等の室内化学汚染物質を除去し,清浄な室内空気質(IAQ)を維持するための新しい制御方法として,材料の物理的な吸着・脱着効果を利用した室内空気清浄システムの開発とその基本的な化学物質除去性能を明らかにすることを目的とする。平成16年度は前年度の成果を受けて,システムの基本性能試験および運転・制御法の検討,実大空間を対象にしたシステムのVOC除去性能,ならびに実用化のためのシステム性能の改善について検討した。以下に,その概要を示す。(1)プロトタイプの各種吸着材のVOC除去性能試験およびシステム運転・制御法の検討:前年に引き続き,市販の吸着性能の高いと思われる各種材料(軽石,レカトンなど)のVOC除去性能試験を行い,システムの最適なオンライン運転・制御方法を検討した。その結果普及型PCにより容易に制御可能なシステムが構築可能なことを明らかにした。(2)実大居室を用いた汚染質除去性能の実証試験:本学実験室に設置された実大居室(2.7×2.7×2.3m)を用いて,2ユニットタイプ吸脱着型空気清浄装置(吸着材として,ハニカム状活性炭および繊維状活性炭フィルターを使用)のVOC除去性能およびその評価法に対する実証試験を行い,実用可能性の検討を行った。また,長期運転時の特性や材質の劣化などの変化を調べた。(3)空気清浄装置の改良とその性能試験:実用化を目指した装置の小型化,装置の性能向上のための改良および新規に不織布活性炭フィルターを用いたVOC除去性能試験,などについて検討した。(4)本研究で開発したVOC除去性能の定量的評価法を,観葉植物のVOC除去性能試験法や換気効率の測定法に応用し,様々な環境条件下における特性を明らかにした。以上の成果は,国内外の学会等に発表した。
著者
岩田 圭示
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本年度はアルタイ山地のカトーン川中流および上流地域のザスーリン層、シャシクナール層について補足的な野外調査と珪質堆積岩のサンプリングを行い、また、これらの地層に相当する層準と考えられる他の地層についても野外調査、珪質堆積岩のサンプリングを行ない化学薬品処理によって放散虫化石の抽出に努めた。またバテーネフ山地のブリズナヤ地域の下部カンブリア系の珪質岩に含まれる珪質海綿骨針化石の抽出と観察、同定をおこなった。この結果、シャシクナール層の珪質頁岩からこれまでに少なくとも4つの新たな種属と思われる放散虫化石を見い出し、記載・分類を行い研究結果の一部についてRussian Geology & Geophysics誌に投稿した。また、アルタイおよびバテーネフ山地のカンブリア紀前期-後期およびオルドビス紀早期の放散虫化石群集、前期カンブリア紀海綿骨針化石群集に関するこれまでの研究成果について9月17日-22日に米国、カリフォルニア州ブレアスデンで開かれた第9回国際放散虫シンプジウムにて3編の論文発表をおこなった。また,オーストラリアや中国などのデータを含めカンブリア紀における放散虫化石の層位的分布を整理検討し、暫定な化石帯区分表を作成した。また放散虫類の初期進化のプロセスについての検討も行った。さらにカンブリア紀前期-後期の珪質海綿骨針化石の暫定的な化石帯区分表も作した。最後に本年度は研究の最終年度であるのでこれまで4年間の研究結果の総括と研究実績報告書の作成を行った。
著者
西村 秀夫
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究課題では、英語史研究により有効な史的コーパスの構築に向けて、Helsinki Corpusの規模、収録されたテキストの種類および選択の基準、ジャンル分け等について再検討を行った。具体的には、Helsinki Corpusのサンプル部分を当該テキスト全体、同一テキストの別の箇所からのサンプル、同一ジャンルに属する別のテキストからのサンプルなどと比較しながら言語研究を行うことによって、史的コーパスとしての適正な規模とはどのようなものかを考察した。さらに、テキストの種類や選択の基準、ジャンル分け等が適切かどうかについても検討した。また、1999年に公刊されたICAME Corpus Collection on CD-ROM(第2版)に新たに収録された5つの通時的コーパスの中から、特にCorpus of Early English Correspondence Samplerを取り上げ、その有効性についても検証した。
著者
永井 節夫 高木 亮一 高木 亮一
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

複素空間型内の実超曲面のリッチテンソル, 構造ヤコビ作用素, 構造テンソル場が等質実超曲面, 特に(A)型の等質実超曲面をどのように特徴付けるかという点に関して研究し一定の成果を得た. 具体的には, 構造ヤコビ作用素と構造テンソル場が可換であるものは(A)型の等質実超曲面とある種のホップ実超曲面を特徴づけることを複素空間型の次元が2, 3の場合も含めて証明した. また挟撃問題に関しても, (B)型の等質実超曲面を個別に特徴づける定理に対する新しい知見が得られ, 極小ではない場合も含めて研究に進展があったと考えている. (A)型の等質実超曲面のスカラー曲率に対する挟撃問題については, 極小の場合にLowsonが第2基本形式の長さの平方がc/2(n-1)以下ならば(A)型の等質実超曲面であることを証明した. 極小の場合等質実超曲面に対しては, (A)型の実超曲面と(B)型の実超曲面とは第2基本形式の長さの平方は異なる値を取り, (B)型から(E)型までは全て同じ値を取る. したがって第2基本形式の長さのみでは(B)から(E)型までを区別することは出来ない. ところが, 構造ベクトル場方向の主曲率に着目すると, それらは(B), (C), (D), (E)型で全て異なる値を取ることが分かる. そこで, 我々は複素空間型内の実超曲面におけるSimon stypeの公式を用いて, 第2基本形式の長さの平方がc/2(3n-1)以下で構造ベクトル場方向の主曲率の平方が(n-1)c以上である極小実超曲面は(B)型であることを証明した. 実超曲面が必ずしも極小でない場合に関しては, コンパクトで向き付け可能な時に奥村正文氏による挟撃定理がある. 奥村氏は矢野の積分公式を用いてこれを証明した. 我々は, 実超曲面におけるSimons typeの公式と, 発散定理を用いることによってその別証明を見出し, さらにその手法を用いて(B)型の実超曲面の特徴付けを与える奇, Kim, 中川氏の定理の別証明を見出すと共に, その挟撃数の意味を見出した.
著者
丸田 孝志 曽田 三郎
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

日中戦争期から内戦期の中国共産党(中共)根拠地における民俗・象徴・儀礼を利用した戦時動員・宣伝政策について分析し、これらの政策が、階層間の流動性が大きく、状況依存的なネットワークが展開する中国基層社会の構成の特質を意識して展開され、強力な動員力を発揮した状況を明らかにした。また、日本傀儡政権の同様の政策と対比して、両者の特質を検討した。この他、清末から民国初期の憲政導入過程の分析を通じて、伝統的統治から近代的統治への転換の問題を長期的な視点から検討した。
著者
長ヶ原 誠 石澤 伸弘
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

中高齢者の運動・スポーツ希望種目数に影響する要因は、対象者全体ではレジャー便益期待値、現在の運動・スポーツ実施頻度、健康自己評価レベルであった。次に、男性ではレジャー便益期待値と現在の健康自己評価レベル、女性では支援便益期待値と現在の運動・スポーツ実施頻度であった。最後に、中年期では現在の運動・スポーツ実施頻度、レジャー便益期待値、高齢者では現在の健康自己評価レベルと、レジャー便益期待値であった。
著者
馬嶋 正隆
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

1)ラット尿中キニナーゼは、血中のそれと全く異なり、carboxypeptidase Y-likekininaseとneutral endopeptidaseであることが判明しているが、それぞれのキニン分解酵素のebelactoneBとthiorphanを、ラット高血圧モデルに長期間にわたり投与した。その結果、ebelactone B投与で高血圧の発症が完全に抑制された。その際には、心重量の減少、体内ナトリウムの貯留の解消、髄液・赤血球内ナトリウムレベルの低下が認められた。高血圧予防という新しい概念の抗高血圧薬のシ-ドコンパウンドになる可能性があることが判明した。2)上記のモデルに、リポゾーム化したcarboxypeptidase Y-like kininaseのアンチセンスオリゴヌクレオチドを、腎選択的にターゲッティングし、血圧と腎電解質の排泄を、経時的に測定した。処置後、アンチセンスオリゴを投与した例で、ランダマイズドコントロールオリゴ投与例に比べて血圧の低下が認められた。それに伴って、尿中ナトリウム排泄の増大が確認された。ジーンターゲッティングの高血圧治療への応用が考えられる。3)血中カリウムイオンを極くわずかでも増大させると、尿中カリクレイン分泌が増大することが判明しているので、カリウムイオンレベルをセンスするなんらかの機構が存在することが想定された。その機構の一つとして、ATP-sensitiveカリウムチャンネルが分泌に関与する可能性が判明した。グリベンクラミドのようなATP-sensitiveカリウムチャンネルブロッカーを使うと、カリクレイン分泌が高まる。尿細管細胞がゆっくりとした脱分極を起こして、細胞内カルシウムイオンを増大させ、分泌のためのサイトスケルトンの収縮のもたらすものと推定された。
著者
高橋 庸哉 新保 元康 土田 幹憲 佐藤 裕三 小笠原 啓之 割石 隆浩 神林 裕子 佐野 浩志 坂田 一則 細川 健裕 土門 啓二 松田 聡 本間 寛太 伊藤 健太郎 杉原 正樹 中島 繁登 吉野 貴宏
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

開発してきた雪に関するWebコンテンツの授業での普及を図るために、コンテンツの拡充と共に児童向けワークシート及び教員向け学習プラン集、教員研修プログラムの開発を行った。ワークシートを授業で利用した教員は5段階で平均4.8と高く評価した。教員研修プログラム後に参加小学校教員の45%はこのコンテンツを利用しており、プログラムが有効に機能した。また、コンテンツが授業に役立ったかについて5段階で4.5と答えており、Webコンテンツの内容妥当性も示された。
著者
飯田 明由 水野 明哲 金野 祥久
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

トンボの飛翔を模擬した羽ばたき型MAVを開発し, 羽ばたき翼周りの流れと発生する流体力の関係を定量的に明らかにした. また, ヘリウムガスを用いてMAVの機体重量を調整することにより, 世界で始めて自由飛翔中のMAV周りの流れの非定常計測を行い, 自由飛翔中のトンボとMAV周りの流れが相似であることを定量的に示した.
著者
遠藤 伸彦 伍 培明 松本 淳
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

北ボルネオにおける降水特性と豪雨発現に関係する大気循環場の記述を行った.マレーシア国サラワク州の雨量計網データから,気候学的な降水量・降水強度・降水頻度の時空間分布を記述し,豪雨を定義した.またマレーシア国気象局のレーダーを用いて,冬季における北ボルネオで降水活動の日変化を解析した.北ボルネオに激しい豪雨事例をもたらす大気下層の循環場の特徴を明らかにした.
著者
加藤 内蔵進 青梨 和正
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1994

中国から直接入手した広域の日降水量や鉛直高分解能高層気象データ等や、人工衛星のマイクロ波放射計データ(SSM/I)から評価した降水量分布の解析等により、次の興味深い結果が明らかになった。1.1991年には、梅雨前線の長江・淮河流域での停滞が多く、特に淮河大洪水のあった7月前半には、位置もあまり変えずに半月も停滞した。その期間の前線帯は、約200kmの南北幅を持つ「広域大雨帯」(日雨量50ミリ以上)として維持されていた点が注目される。この期間は、前線帯の南側からの多量の水蒸気流入に対し北側からの流出は他期間に比べても小さく、前線帯スケールでの効率的な水蒸気収束と降水の集中化が示唆される。このような前線帯規模での降水分布の集中性は、過去35年ぐらいの中でも特に顕著であった可能性がある。2.日本列島で異常冷夏・大雨だった1993年には猛暑・渇水年の94年に比べて、梅雨前線帯でのSSM/Iで評価した総降水量の大変大きな期間が8月も含めて頻繁に出現し、また、台風に伴う降水の寄与も少なくなかった。このような状況は、1993年の梅雨前線帯では地上付近の南北音頭頻度が平年より大変大きく、南偏した上層の寒冷トラフの南縁と重なっており、また、60N以北の寒帯前線帯とは明瞭に分離した傾圧帯として維持されていた点が関連していたものと考えられる。SSM/Iにより算定した水蒸気量や降水量の情報は、日本周辺のメソ降水システムの数値予報モデルの初期値として、インパクトが大きいことがわかった。(1988年7月中旬頃の例)。4.1994年の中部・東日本では、秋には台風・秋雨前線により渇水が緩和されたが、95年には逆に秋に深刻化した。アノマリーの季節経過過程は、年によってかなり異なる可能性があり、今後解決すべき重要な問題が提起された。