著者
平山 和美 境 信哉 仲泊 聡 仲泊 聡 境 信哉
出版者
山形県立保健医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

機能的MRIを用いて、健常者が意味のある日本語の文章を読むときの脳活動を記録した。それによって、1次視覚皮質(V1)のどこが活動するのか、また、その活動は次の視線の移動先に従って動的に調節されるのか、それとも、中心視野付近の一定の位置に固定されているのかを、1人1人について検討した。脳活動は左大脳V1の中心視野付近に相当する領域に起こり、次の視線のゴールまでの距離によっては変わらず、注視点から右へ視角約4.5°に相当する脳領域に固定されていた。
著者
吉田 かよ子 GETTINGS Robert
出版者
北星学園大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、日本におけるオーラルヒストリー・アーカイブ(口述史資料の収集・保管)の一手段としてインターネット上に映像アーカイブを構築し、ウエブ上での公開に係わる著作権、所有権、肖像権を含めた法的諸問題および倫理上の問題を同時に研究することである。平成16年〜18年の3ヵ年にわたり、上記の目的に沿って研究実施計画を立てた。初年度はデジタルアーカイブの構築の進む米国およびシンガポールの先例研究に重点を置いた。米国からオーラルヒストリー・ウエブアーカイブの先駆的試みとして評価の高いDensho代表のTom Ikeda氏を招聘し、日本オーラルヒストリー学会との共催でワークショップを開催したが、日本のオーラルヒストリー実践者が一同に会する大会時に実施できたことはこの研究テーマへの関心を高めることも含めて有意義であったと言える。またシンガポールにおいては、国立公文書館での国を挙げてのオーラルヒストリーへの取組に関する研修を受けた。その教育効果に重点を置いた取組は実際のアーカイブ構築に大きな意味を持った。17年度には、カリフォルニア州立大学のシャーナ・グラック氏を招聘し、より具体的なウエブ・アーカイブの法的、倫理的問題点の提示を受ける実践講座を開催した。理論的枠組みをはじめ、グラック氏の豊かな専門知識を共有できたことは本研究の代表者、分担者のみならず日本全国からの参加者全員に意義深い機会となった。また、研究代表者はカリフォルニア大学におけるオーラルヒストリー夏季上級講座への参加およびDenshoでの研修を通して映像アーカイブの目指す方向を学ぶことが出来た。最終年度には、2年間の研究成果を踏まえて、実際のアーカイブに収録するための米国における聞き取りの実施、国際学会で発表、それにデジタルアーカイプの構築の開始という3件の実施計画をたて、すべてを実行することができた。これらの成果は研究成果報告書に詳細を記した。
著者
宮武 昌一郎 青木 和久 佐藤 憲子
出版者
(財)東京都医学研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

寄生虫感染に対する生体防御やアレルギー疾患に関与するTh2細胞の分化について、マスターレギュレーターGATA3の作用機序を解析した。GATA3は転写を担うRNAポリメラーゼIIおよびFACT複合体を染色体へ運ぶ機能を持つことが示唆された。またサイトカイン遺伝子の発現制御にはDNA脱メチル化が重要で、T細胞の分化過程においてその活性が変化する事、DNA複製非依存的であること、メチルシトシン結合タンパク質が関与する事などを明らかにした。
著者
知念 直紹 友安 一夫 小山 晃 保坂 哲也
出版者
防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

数学的に(特に幾何学的に)重要なコクセター群について研究を行い、コクセター群が幾何的に作用する非正曲率空間あるいは双曲空間の理想境界の位相的性質、具体的にはその境界が位相的にフラクタルの構造をもつ必要十分条件、コクセター群の境界として位相的普遍空間の構成、コクセター群への分解定理の拡張についての研究成果が得られた。また、空間のコンパクト化の剰余の固定点と深い関係がある写像のカラーリングについて調べ、局所有限なグラフ上の同相写像のカラーリング数を決定するための必要かつ十分条件の研究成果が得られた。
著者
山末 祐二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

この研究では、ヒエ属植物の種子休眠性の遺伝様式を交雑実験の手法によって解明することと、分子生物学的手法によって休眠に関与する遺伝子の単離とクローニングすることを目標とした。1.種子休眠性をもつ雑草型と休眠性を遺伝的に欠損した栽培型のタイヌビエの正逆交雑し、F_2個体が生産する種子の発芽率を個体ごとに調査することによって休眠性の遺伝様式を推定した。この結果、タイヌビエの種子休眠性には優生とする2対の主動遺伝子の存在が示唆された。2.タイヌビエとヒメタイヌビエの休眠種子、自然休眠覚醒種子、KCN処理で休眠覚醒したタイヌビエ種子と栽培ヒエの非休眠種子を供試して休眠種子に特異的なmRNAのcDNAをDifferential display法で検索した。この結果、二つの休眠特異的なcNDA、すなわち、EcD400とEcD700が検出された。また、EcD400とEcD700をノーザン解析したところ、休眠覚醒種子でもそれらのmRNAの発現が100%阻害されているのではなく、休眠種子に比べてかなり量的に抑制されていることが明らかとなった。クローニングされたEcD400とEcD700の塩基配列をデータ・ベース検索した結果、EcD400と高いホモロジーを示す既知のタンパクは検索されなかった。一方,EcD700のホモロジー検索では,さまざまな生物種のミトコンドリア内のATP合成酵素(H^+-ATPase、EC3.6.1.34)のαサブユニットが高い相同性を示した。3.交雑実験と分子生物学的解析は、ともにヒエ属植物の種子休眠性には2つの遺伝子が関与することを示し、その一つがミトコンドリアのH^+-ATPaseをコードする遺伝子ある可能性も示唆された。この知見と我々のこれまでの研究成果を合わせ考えると、ヒエ属植物の種子は好気呼吸によって休眠を維持し、嫌気呼吸能を高めることによって休眠から覚醒するとする考えられた。
著者
遠城 明雄 日比野 利信
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、門司市(福岡県)、下関市(山口県)、仙台市(宮城県)を主なフィールドにして、建造環境(インフラ)の建設過程と各種選挙における地縁集団、実業団体、政党、民衆などの対立と協同の諸関係を検討することによって、近代日本の地方都市における支配構造と地域政治の具体的諸相とその変容を明らかにしようとした。その結果、各集団はその社会経済的位置に規定され、また各都市は中央政府との関係に影響を受けつつ、都市空間の生産をめぐって対立と協同を繰り返しながら、再編成されていく過程が明らかとなった。
著者
初見 基 北島 玲子 OPHULSーKASHI ライノルト
出版者
東京都立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

科学研究費を受けて行なわれた4年間にわたる本研究の究極的な目的は、1989年の「ベルリンの壁崩壊」、そして90年の東西ドイツ統一に端的に現れた<世界の冷戦構造の解体>を背景に、1990年代のドイツの文化状況がどのような変化をこうむったか、知識人の発言及び発表作品に即して具体的に険証し、それを20世紀思想史の枠組みに位置づけることにあった。ただ、この4年問は、その研究のための準備段階と当初から構想されており、第一に据えられた具体的な課題は、基礎資料の収集・整理だった。そのなかではとくに、1990年以降刊行されたものを中心とする、新刊作品・研究書の充実化、雑誌・新聞等に掲載された論文や記事等の資料の収集、そして、コンピュータ・ネットワークを通じて流されている、主として90年代そして2000年代に入ってからのドイツの言論状況をめぐる資料収集が試みられた。こうしたもくろみの7割方は達成されたかと思うこの4年問の作業において、第二には、上記資料の整理・ファイリングが試みられた。ただ、量的に多いだけでなく、質的にも多岐に渡るため、いまだ充分な整理には到っていない。これは今後の課題として残ってしまった。また第三に、これまでも行なわれてきた共同研究が継続された。定例研究会が開かれた他、全国から研究者が集まるドイツ現代文学ゼミナール、オーストリア現代文学ゼミナールなどにも参加し、研究成果の検討がなされた。この成果の一端は、『成果報告書』にまとめられる他、それとは別途に、4年間の研究の最新成果が論考としてまとめられ、2002年度末に公表される予定である。そこにおいては、統一ドイツにおける、<民族>、<国家>、<性>等の<アイデンティティ>が、従来とではいかに変化しているか、という点についての考察がなされる。
著者
畔上 泰治
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

第二次世界大戦後のドイツにおける教育は、戦争に対する深い反省から出発した。取り分けアメリカ合衆国やイギリス、そしてフランス占領地区においては、ナチ政権がユダヤ人やシンティ・ロマなどを「共同体異分子」とし、暴力を用いて排除したことに向きあい、徹底した脱ナチ化政策が実行された。こうした中において宗教や言語など文化を異にする人々との共存を目指した異文化・他民族理解教育は大きな位置を占めていた。その重要性は、東西分裂後の西ドイツにおいては、「奇跡的な経済復興」にともなう「外国人労働者」およびその子弟の増加を前に、ますます高まっていった。その中においては、非キリスト教文化圏出身者、取り分けトルコ人労働者・子弟との共存が大きな課題であった。1990年の東西ドイツ統一後は、厳しい社会的な現実に対する不満が次第に顕在化するようになった。統一にともなうインフラ投資のための増税、経済不況による高い失業率などを背景に、ネオナチ等の極右勢力の不満は外国人や東欧からの帰国移住者、難民など社会的弱者に向けられ、暴力行為が頻繁に起こるようになった。これは戦後一貫しで脱ナチ化を唱えてきたドイツの教育界にとって、大きな衝撃であった。その中でまた、マルチメディアの発達が青少年の行動に与える影響も大きなテーマとして登場してきた。即ち、インターネット等を通した外国メディアとの接触は、異文化理解教育に大きな貢献をなしうる一方で、他方においては犯罪の助長という負の側面をも露呈した。いま、インターネット、コンピュータゲーム、CD、DVDなどのメディア・ソフトを通した多量の情報を前にして、如何に若年者を保護するかという課題が突きつけられている。
著者
C P.Scherrer
出版者
広島市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、以下の四点に重点的に取り組んだ。ルワンダ、ブルンジにおける過去の大量虐殺と集団暴力、コンゴ民主共和国の集団暴力、少数民族(特に脅威にさらされている少数民族と先住民族の権利)のための国際的な人権保護機構について。1.中央アフリカにおける実地調査は、主要アクターへのインタビューと観察調査により行った。ルワンダには「ガチャチャ(フランス語ではガカカ)」として知られる大量虐殺を裁く法廷がある。この調査では、近代化し、改良されたガカカ法廷の進展に注目した。試験期間を2005年に終了したガカカ法廷は、100万を超える事例を抱え、大量虐殺を裁く世界最大の法廷となった。事例のうち8割はすでに取り上げられている。シェラーは1994〜95年以降、大量虐殺後の裁判に深く関与している。2.破綻国家ブルンジとコンゴ民主共和国での活動-ブルンジ新政府の政策は、国家統一を目標としている。しかし、同国は説明責任を欠き、裁判の開廷にも解放国民軍(FNL)との話合いにも失敗し、その結果として人権侵害が増加した。キヴ州における衝撃的状況のため、コンゴ民主共和国は世界最悪の緊急事態に陥っており、国連組織と国際救済委員会の調査によると、1998年以来、530万人が亡くなっている(現在も紛争と大量虐殺による残虐行為が続いている)。3.人権保護機構に関する活動は、2007年の7月〜8月にかけて、ジュネーブにある国連で継続して行われた。しかし、そこでは、国連人権理事会によって、主要アクターである国連先住民作業部会(WGIP)が、時期尚早の段階で廃止されていた。先住民族の人権保護を目的とした恒久的な機構に関する交渉は、滞っている。WGIPの主な業績である「先住民族の権利に関する国連宣言」の草案は、2007年9月に国連総会によって採択された。
著者
小柳 公代 本多 秀太郎 武田 裕紀
出版者
愛知県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

我々は、科学思想上でのデカルト、パスカルのこれまでの位置づけに疑問を提出し、通説成立のゆえんを当時の時代状況の中へ置きなおして検討し、それを広く内外の研究者に発信することを目的として2年間の研究活動をおこなった。具体的には次の7項目:(1)実験や科学史での専門的知識をもつ研究協力者をまじえた研究会、(2)海外協力研究者を招聘してのワークショップ、(3)海外調査研究、(4)公開実験会、(5)デカルト、パスカル科学、思想関係書誌作成、(6)科学史学会年会での報告、(7)成果報告集(欧文)の刊行、を挙げた。このうち(2)が海外研究分担者の来日とりやめによって実現できなかったほかは、すべて実行し、多くの稔りをえた。研究会での討議から、デカルトでは17世紀のネーデルランド、イギリスをも含む生理学の発展に注目すべきことを発信し、パスカルについては、計算機の考察から単位数の研究を深め、『パンセ』のパスカルとの有機的関係なども議論できた。とりわけ、数種の真空中の真空実験の復原公開実験と科学映画のプロ撮影者による図解つき記録映画DVD作成は、予期した以上の反響をよび、大きな成果をあげた。ブレーズ・パスカル国際センター主催のDVD上映会では、我々の研究報告に対して、フランス・イタリアの研究者たちから多くの意見が寄せられた。我々もまた20年前に詮議した「実行可能性」「思考実験」の問題から、空気の弾性についてのパスカル、ロベルヴァルの認識の違いを討議するところへと進んた。また、装置のガラス管端をふさぐ「膀胱膜」の正体を追求し、パスカルの風船の実験との関連などで研究を進捗させた。実際に膀胱膜、膀胱風船を作って実験することが今後の課題である。収集したデカルト・パスカル書誌は、近々にWEB搭載して、内外の研究者の供覧に付する。
著者
宮本 陽一郎 鷲津 浩子 竹谷 悦子 馬籠 清子 ロンベール ラファエル
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

筑波大学プレ戦略イニシアティブ「〈知識のコズモロジー〉、あるいは〈わかる〉とはどういうことか」と〈デザイン〉をキーワードにした共同研究を行なった。また『アメリカ文学評論』21号〈特集ネットワーク〉(2008年)と22号〈特集デザイン〉(2011年)、共著本『知の版図』(悠書館、2008年)を出版した。
著者
花井 信 柏木 敦 谷 雅泰 三上 和夫
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

日野村は、三方を山に囲まれた、扇状地一帯に開けた。米を除けば、産業の主力は桑栽培であり、次いで木材・炭である。人口構成は、日露戦争後の時期でいうと、年齢に応じたピラミッド型を形成している。結婚世帯の増加による児童増であり、村の再生産にとって大きな意味を持つ。学校設置の地域については、日野村の産業の中心地である、間山区に置かれた。人口集密区でもあったのだろう。学校暦、たとえば休日については、地域の農繁期にあわせて学校も休日になる、村の神社の祭日にあわせて学校は休日になるなど、地域一体型といえる状況であった。学校行事としての運動会は、明治期には登場しない。山間僻地ともいえるところでは、運動会として行くところも近在にはなかったのだろうか。明治30年代になって、同窓会・夜学会・青年会が結成され、活動を開始する。それらに学校教師が参加し、学校をそれらの活動場所として提供する。学校と地域社会の連携が、この時期から始まると見ていい。子守などの仕事で学校に来られない子どもに対しては、特別学級が作られて、受け皿を用意した。貧しい農村にあっては、その状況に応じた学校態勢が必要だったのである。これを慈善的教育と考えるのではなく、地域に応じた学校づくりと積極的に評価すべきである。
著者
加納 隆 今岡 照喜 大和田 正明 大和田 正明 JAYANANDA M.
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

隠岐島後の基盤岩中に, 新たに典型的なS-type花崗岩を見出し, その産状と岩石学的性質を明らかにした. また飛騨片麻岩に伴うミグマタイト質花崗岩との性質を比較し, 産状は同じでも, 母岩の片麻岩の岩相構成と対応して両者に違いがあることを見出した. これにより, 従来飛騨-隠岐帯として一括されてきたが, 両者は異なる地質体に帰属する可能性が大きいことを示した. また併せて飛騨帯とダルワールクラトンの花崗岩類の温度構造や熱史について比較・検討した.
著者
佐藤 隆幸 RAICU Valerica 川田 徹
出版者
高知医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

開発に関する基礎研究シャイ・ドレーガー症候群では、延髄を中心とした神経変性のため血管運動中枢が冒される。そのため、動脈圧反射失調となり重度の起立性低血圧になる。そこで、圧センサー→人工的血管運動中枢→電気刺激装置→交感神経刺激装置→交感神経からなるフィードバックシステムを試作開発した。シャイ・ドレーガー症候群様の動脈圧反射失調を呈するラットでは、head-up tiltにより、数秒以内に動脈圧が60mmHgまで低下するが、本装置を埋め込んだラットでは、head-up tiltによる動脈圧低下を検知した人工的血管運動中枢から、自動的に電気刺激の頻度が増加し、動脈圧の低下が防止された。さらに、その機能的ダイナミクスは、生体固有の動脈圧反射と類似していた。すなわち、本装置が、生理的な血管運動中枢の機能を代行できたことになる。以上のようなことから、シャイ・ドレーガー症候群の起立性低血圧を克服するバイオニック動脈圧反射装置の開発は可能であると結論づけられた。ヒト動脈圧反射のダイナミクスの同定法の開発バイオニック動脈圧反射装置を臨床応用するためには、まず、ヒトの動脈圧反射のダイナミクスを同定する必要がある。しかし、その同定方法が未確立であった。そこで、新しく同定方法を開発した。健常男子(20-30歳)の撓骨動脈をトノメータ法で測定しながら、チルトベッドのチルト角を0か30°に4秒毎にランダムに変えた。ついで、動脈圧反射を開ループにするために、トリメタファンを持続投与しながら同様の計測を行った。チルト角変化が動脈圧変動に与える影響を伝達関数として記述した後、動脈圧反射の開ループ伝達関数を推定した。開ループ伝達関数の定常ゲインは5.4±2.1で、入力周波数の増加とともに、ゲインが減衰する低域通過特性を示した。遮断周波数は、0.02Hz付近であった。
著者
秋元 芳明 小野 眞紀子 松本 裕子 藤井 彰 山本 浩嗣 平山 晃康
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

平成16年〜平成18年12月の期間中の歯性感染症611症例を対象として、膿・滲出液を採取し、細菌培養を行った。22症例からブドウ球菌(staphylococci)を分離した。同定の結果は、黄色ブドウ球菌(Staphulococcus aureu: S. auresu)16株、白色ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis: S.epidermidis)6株であった。S. aureus16株中、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は1株、S.epidermidis6株中、メチシリン耐性白色ブドウ球菌(MRCoNS)は2株検出された。MRSA分離頻度は、MRSA/全歯性感染症:0.002、MRSA/S. aureus:0.063であった。MRCoNS分離頻度は、MRCoNS/全歯性感染症:0.003、MRCoNS/S. epidermidis:0.333であり、MRCoNSの分離頻度が高かった。MRSA, MRCoNSが感受性を示した抗菌薬は、アルベカシン、バンコマイシン、リファンピシンであった。beta-lactamese産性は認めなっかた。全症例で皮下膿瘍形成を認めた。1症例は基礎疾患として糖尿病があったが、コントロールされていた。画像所見では、根尖病巣を認めた。処置法は、切開排膿・ドレナージを行い、膿瘍部を洗浄し治癒を得た。結果を誌上および学会発表した。なお、シンポジストととして5thInternational Symposium on Antimicrobial Agents and Resistance, Seoul, Korea, 4/28,2005にてMethicillin-resistant staphylococcal infections in odontogenicinfectionsを発表した。
著者
井尻 香代子 木村 榮一 吉田 夏也
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009-04-01

アルゼンチンにおける日本の詩歌受容の経緯とスペイン語ハイクの制作状況を調査し、日本人移民の文学・芸術活動がアルゼンチン社会に浸透し、アルゼンチン・ハイクという新しい詩的ジャンルを生み出したプロセスを確認した。また、研究期間をとおして収集した文献資料や音声データを分析し、アルゼンチン・ハイクの異文化混淆的特徴を季語、トピック、韻律の側面から明らかにした。最後に、日本の伝統詩が内包する人間と自然に関する価値観の受容をとおしてアルゼンチンにもたらされた文学観や環境思想の変化を検証することができた。
著者
磯部 光章 鈴木 淳一
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

主としてマウス心臓移植および大腿動脈ワイヤー障害のモデルを用いて、動脈硬化病変における細胞性免疫の関与とその制御による治療法の開発を行った。多様な介在治療を行った。MMP-9、ICAM-1、adiponectinに着目して、その役割を検討した。クラリスロマイシンによるMMP-9の抑制、siRNAによるICAMの抑制、adiponectin過剰マウスにおいて、動脈病変の抑制が可能であったことから、それぞれが動脈病変に関与していることが示された。また治療法としての発展が期待される。
著者
石橋 一久 押野谷 康雄
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

申請者らはトラックなどの大型車両における運転疲労低減技術として,シートサスペンションをアクティブ制御するシステムの研究を行ってきており,その基礎事項の検討を実車レベルで終了している.本申請課題は,これまでに得られた知見を活用し,今後高齢者の使用頻度が高まると予想されるLSV(Low Speed Vehicle)におけるアクティブシートサスペンションの開発を目的とした.LSVは,米国運輸省(DOT)が正式に認めている低速交通システムであり,すでに米国ではいくつかのコミュニティで高齢者ドライバが快適に運転できるシステムが構築されつつあり,日本においても21世紀の暮らしを快適・便利にする交通システムとして,LSVと同様な機能を有するコミュニティーカーが着目されはじめている.特に,1,2人乗り用としてデザインされた超小型サイズの電気自動車が,ここ数年各メーカから販売されている.リサイクル性の配慮や普通車相当の安全性を確保されているものもあり,一定地域内での移動手段また小旅行にも十分な機能を備えている.超小型サイズの電気自動車に対する需要は益々増大することが予想され、さらなる高付加価値製品開発への必要性も高まっている.本研究では低速走行専用の超小型車両を対象として,高齢者運転時の振動・衝撃の緩和,さらに非舗装道路走行時の不規則な外乱の抑制,不慣れな軽量超小型車両に対する違和感の除去等を実現しながら,快適性の向上による心身のストレス低減に基づいた運転疲労低減技術の開発を行った.1人乗り電気自動車に対し、小型かつ簡易装着可能なアクティブシートサスペンションを設計・製作し,複数被験者の官能評価に基づいた乗り心地,疲労抑制効果を検討しながら,高齢者評価中心のシステムを構築した.当該研究期間内には,高齢者の超小型車運転疲労における交通環境依存性の掌握と主観的な特性や身体的特性を考慮した制御系の確立を行い,これまで学術的に十分整理されていないこの分野の体系化を行った.
著者
百鬼 史訓
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

平成11年度研究課題:剣道具(突き垂・顎垂)の形状および構造の安全規格値作成のための基礎的実験研究1.目的:前年度の突きの衝撃力の測定実験結果を踏まえて、面部の突き垂および顎垂の材質や形状さらには相互の位置関係などによる緩衝性能の相違を明らかにし、より安全性の高い剣道具の開発を行うと同時に安全性の観点からの規格値を作成する基礎的資料を収集したものである。2.方法:自製の突き力測定装置(キスラー社製3分力ロードワツシャー形式9067を使用)を使用し、突き力発生試験機を改良し、前年度成果より成人剣道選手の平均的水平分力(150kgf)と同じ条件で突き力を発生させ、一般的に普及されている合計9種類の面材料を対象とし、その材料や突き垂と顎垂の間隔、突き垂形状、突き垂の突く位置などの相違による緩衝性能について実験的に検討を行った。3.結果:(1)突き垂と喉までの間隔が突きの緩衝性能を高めていることが明らかになった。(2)突き垂の部位の突く位置により緩衝性能は異なり、中央より下部での緩衝性能はかなり劣ることが明らかとなった。(3)突き垂の厚みと硬さが突きの緩衝性を高めていることが明らかとなった。但し、突き垂の表面形状が丸みを帯びている場合には、滑って顎垂もしくは喉元に力が直接的に作用することが明らかとなった。(4)突き垂・顎垂の形状及び芯材の種類やその構成、さらには突き垂と顎垂れの位置関係が緩衝性能に及ぼす影響については今後詳細な検討を行う必要がある。
著者
杉惠 頼寧 岡村 敏之 藤原 章正 張 峻屹
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究の目的は,交通行動のダイナミック分析手法を交通機関の選好意識(以下SPと略す)の分析に適用し,その時間的な変化の構造を明らかにすることである.クロスセクションモデルを改良したダイナミックモデルを構築し,その有効性を明らかにする.さらに,時系列モデルを適用し,TDM施策が実施された後に通勤交通の時刻選択行動が安定するまでの時系列過程を予測するモデルを構築する.3年間の研究によって次のような成果が得られた.1.SPダイナミックモデルの構築これまで我々の研究室で蓄積してきた広島の新交通システム(19994年8月開業)に対するSPデータ(1987,88,90,93,94年)とRPデータ(1994,97年)の合計7時点パネルデータを用いる.これによって,SPデータを用いて予測した新交通システム開業後の選択結果を評価し,SPモデルの信頼性,改善点を明らかにした.2.TDM導入効果の時系列分析時間分散型TDM施策であるフレックスタイム制度と時差出金制度を導入した後の施策対象者および非施策対象者の行動変化について分析した.まず,1996年に広島市内で導入されたフレックスタイム制度に関して,導入後2回(1996,97年)のパネル調査データと導入後1年間の出勤管理データを用いて時系列分析を行い,行動の調整過程と安定過程が存在することを示した.次に,1999年に松江市で実施された時差出勤社会実験前後の観測交通量データを用いて,時差出勤の導入に対する交通渋滞の反応遅れについて分析した.本研究の主要な成果は,1)SPダイナミックモデルを構築し,その有効性を示したこと,2)TDM施策に対する住民の交通行動には反応遅れが生じ,それらを考慮した時系列モデルの適用の重要性を示したことである.今後は本研究で開発した需要予測モデルを多様な交通政策に適用し,より広範な視点からその適用可能性を検討する予定である.