著者
早川 貴之 菅野 孝史 森下 昌紀 岩瀬 順一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

3次元端末特異点の特異点除去および因子収縮に関して以下に述べる研究を行った.(1)指数mが2以上の3次元端末特異点につぶれる既約例外因子の食い違い係数が1/mの因子収縮を繰り返すことにより,指数が1の端末特異点しか持たない代数多様体からの双有理射を具体的に構成した,その結果として指数が2以上の3次元端末特異点の上空にある食い違い係数が1以下の既約因子をすべて決定した.(2)3次元端末特異点について,食い違い係数が1未満(または以下)となるような因子だけすべてを例外因子としてもつような部分的特異点除去が存在するかというM.Reidの問題(経済的特異点解消の存在)に対して,元々の問題にある形では経済的特異点解消は一般には存在しないことを示した.さらに経済的特異点解消が存在するためにどのような特異点を許せばよいのかについて考察し,必要な修正の後に経済的特異点解消が存在することを示した.(3)既約因子を指数2以上の3次元端末特異点につぶす因子収縮のうち,その既約因子の食い違い係数が1となるものについて,4次元または5次元の巡回商特異点の中への埋め込まれ方および因子収縮を得るための重み付きブローアップの重みを具体的に定めることにより,すべて決定した.(4)指数が1の3次元端末特異点につぶれるものについて,とくにcD型およびcE型の端末特異点につぶれるような因子収縮のうち,食い違い係数が1であるようなものに明示的な記述を与えた.
著者
松原 みゆき 梯 正之 河野 敬雄 梯 正之 河野 敬雄
出版者
日本赤十字広島看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

終末期看護の主体的意思決定場面において, 患者と看護師の二者関係では問題状況(葛藤やジレンマ)場面では, ゲーム理論の"両性の戦い"で説明可能であった. 患者・家族・看護師の三者関係については, 社会学者Simmel の3人協力ゲームに依拠し分類した. R.J.オーマンが例示した, 共通の確率発生装置を用いて非協力ゲームのよりよい均衡点(相関均衡)を得るモデルを, 看護師が介入する医師-患者間の非協力ゲームに適用し再定式化した.
著者
下崎 敏唯
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

熱電変換材料に求められる性質は、大きいSeebeck係数と大きい電気伝導率、小さい熱伝導率である。異常に大きいSeebeck係数と電気伝導率に比較して異常に小さい熱伝導率を持つNaCo2O4は熱電変換材料として極めて優れた特性を有しているが、この高効率性は単結晶の特定の方向でみで実現されており、作成の困難さ、コストなどあらゆる面で多結晶体での高効率化が望まれている。これまで多くの研究者によってNaCo2O4多結晶の高効率化が研究されているが、最大で単結晶の性能の50%程度で、通常10〜20%にとどまっている。本研究では種々の方法(固相反応法、プラズマ焼結法、溶融法、大気中加圧法、ホットプレス法など)で多結晶NaCo2O4の熱電特性の高効率化を試みた。熱電材料の高効率化には異種相や空洞などの欠陥の混在を皆無とし、結晶粒界の弱結合を無くすことで電気伝導度の増大が先ず重要である。本研究ではプラズマ焼結法、ホットプレス法で緻密化を試みたが、粉末の焼結と同時に反応ガスが生成し、緻密化しにくいこと、これらの方法では試料が還元雰囲気となり、原材料が反応してNaCo2O4を生成するためには酸素を必要とすることなどの理由から、緻密で高効率な焼結体の作成は困難であった。このため、酸素の供給が可能な大気中加圧法を考案し、極めて緻密な焼結体の作成に成功した。しかしながら、この焼結体の熱電特性は粉末焼結法で得られたものに比べて、10〜20%程度、性能が向上するに過ぎなかった。加熱中のNaの飛散が原因と考えられ、加熱中、Na2CO3やNaCo2O4と同じ組成を持つ粉末を周辺に添加して解決を試みた。試料の緻密化は可能となるものの性能の向上は認められない。逆に、Naの供給過剰となっている可能性がある。今後、この点の確認、Na濃度の適切な制御を行い、高性能化を試みる。一方、溶融法では種々の問題を克服して、局所的にではあるが緻密で結晶粒が特定の方向に配向した組織が得られた。更なる検討を行う予定である。
著者
高橋 純一 山根 久典
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では,酸化物系新規熱電変換セラミックス材料として一次元結晶構造・一次元組織を有するカルシウムコバルト酸化物Ca_3Co_2O_6系単結晶材料を創製し,室温から約1100Kの温度範囲における熱電特性を測定するとともに材料の次元性と特性の関係を明らかにした.Ca_3Co_2O_6はCoO_6八面体とCoO_6三角プリズムが面共有で交互積層した[Co_2O_6]_∞鎖とCa^<2+>イオン列が結晶構造のc軸方向に並行配列した擬一次元結晶構造を持つ.K_2CO_3を融剤としたフラックス法により長さ7mm,太さ0.7mm程度で一次元的な柱状形態を呈するCa_3Co_2O_6単結晶,および,(Ca,Bi)_3(Co,M)_2O_6単結晶(M=Fe,Cu)の合成に成功した.単結晶X線ラウエ写真およびプリセッション写真より,これらの結晶の伸張方向がc軸であることを確認した.大気中での電気抵抗率(ρ),および,ゼーベック係数(S)の温度依存性から,Ca_3Co_2O_6単結晶(c軸),および,(Ca,Bi)_3(Co,M)_2O_6単結晶(c軸)はp型半導体であることが示された.Ca_3Co_2O_6単結晶の出力因子S^2ρ^<-1>は測定温度範囲で温度の上昇に伴い単調増加し,1000Kにおける出力因子値は2.33×10^<-4>Wm^<-1>K^<-2>であった.この値は比較として測定した多結晶Ca_3Co_2O_6(1.02×10^<-5>Wm^<-1>K^<-2>)と比べて一桁高い.また.(Ca,Bi)_3(Co,Fe)_2O_6単結晶(c軸),および,(Ca,Bi)_3(Co,Cu)_2O_6単結晶(c軸)の出力因子はドープされていないCa_3Co_2O_6よりも2〜4倍高くなることがわかった.
著者
徳田 博美 長谷川 啓哉
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

わが国の二大果実である柑橘とリンゴにおける産地マーケティングの実態と課題について、実態調査などにより調査分析した。その結果、柑橘では産地の自然的・社会的立地特性に基づいた産地棲み分け戦略が展開するとともに、園地流動化などの産地再編戦略にも積極的であるのに対し、リンゴでは生産規模による産地序列に規定されながら、量販店などとの関係性マーケティングが指向されていることが明らかになった。
著者
平 伸二
出版者
福山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

P300による虚偽検出は情報検出であり,検査時点で犯行時の記憶を再認できるかどうかが重要である。実務では,犯行から1ケ月以上経過後の検査が約半数を占めており,長期間経過後の検出可能性を検討する必要がある。そこで,本研究では,模擬窃盗課題から1ケ月以上経過後に検査を受ける1ケ月後群,1年以上経過後に検査を受ける1年後群を設けた。さらに,検査直前に模擬窃盗課題を行った部屋の映像を見る犯罪場面群と,大学内の風景を見る大学風景群に分け,記憶の文脈効果から犯罪場面群のP300振幅の増大が認められるかを検討した。特に,模擬窃盗の中心的項目(盗んだ指輪)と周辺的項目(指輪の横にある文具)を裁決刺激とした条件で,P300振幅の違いが認められるかを検討した。平成18年度の1ケ月後群に続き,平成19年度は1年後群を対象とした実験を行った。P300振幅は,1カ月後と1年後のどちらの時期においても,非裁決刺激よりも裁決刺激の方が有意に大きくなったが,条件(中心・周辺)及び群間(犯罪場面・大学風景)の主効果は認められなかった。つまり,映像による事前呈示の有効性は,中心条件でも周辺条件でも見出せなかった。本実験の結果からは,映像の事前呈示や刺激の種類が,明確にP300による虚偽検出の精度に促進効果をもたらすとは結論できなかった。しかしながら,裁決刺激に対するP300振幅は,1ケ月後群,1年後群ともに非裁決刺激よりも増大しており,事件発生から1ケ月以上経過後の検査が約半数をしめている犯罪捜査への適用を促進する結果となった。今後,映像の事前呈示の効果については,複数事件実行犯の特定事件に対する記憶活性化による検出率の向上が期待できることから,累犯(連続窃盗など)に対する検査有効性を検討していく予定である。
著者
黒木 和彦
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

量子力学によって支配される粒子である「電子」は波としての性質を持ち、その周波数と波長(あるいは逆数である波数)の間には一定の関係(分散関係)がある。波の分散関係は一般にそれが伝わる媒質によって異なるが、物質中では電子の分散関係が「バンド構造」となって現れ、物質の性質に重要な影響を及ぼす。一方、物質中には多くの電子が存在し、お互いに反発力(相互作用)を及ぼしあいながら運動している。本研究課題においては、物質が持つ「特異なバンド構造」と電子間の「相互作用」が協力しあうことで生み出される興味深い電子の伝導現象について、その起源と、そこで得た知見をベースにした新機能性物質開発のための設計指針についての理論的研究を行った。
著者
加古 敏之
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究では政策評価を活用して地方自冶体の農林水産行政の改革について考察することを課題としている。兵庫県農政環境部は、農林水産ビジョンに掲げるめざす姿の実現に向けて、多様な行動主体と目標を共有化し、知恵や力を出しあい、適切な役割分担のもとに、ともに取り組んできた。ビジョンで目指す姿がどれだけ実現できたかを毎年評価し、県民に公表するという方法で、ダイナミック・マネジメント・システムを循環させる取組を7年間にわたり実施してきた。こうした取組は徐々にではあるが成果をあげている。より大きな成果を上げるためには、県民、納税者の視点からアウトカム指標に基づく評価をより一層推進することが必要であろう。事務事業評価は、行政機関に既に存在する事務や事業を取り出し、その効果、効率について「事務・事業」の品質チェックをするという特徴をもっており、「戦略」レベルの見直しからは、まだ距離がある。愛知県東海市では、このような状況の打開策としてベンチマーク方式の政策評価を導入した。しかし、住民のニーズを反映した指標は行政の事業から遠いので、住民のニーズと行政の事業を結びつけるロジックモデルを検討し、その後の政策形成につなげていくことが課題といえる。オレゴン州ティラムク郡は、社会指標型ベンチマーキングを活用して、高い成果をあげている。行政からは独立しているティラムク未来委員会は、地域住民から多くの意見・情報を集めて地域の問題を明らかにし、戦略ビジョンとコミュニティ・アクション・プランを策定した。また、達成度評価の結果を公表してきた。ティラムク郡の取組が高い成果を上げている理由として、困難であってもあきらめずに改革への取組を継続する未来委員会の能力、政策評価の実施に関する多くのノウハウを持つオレゴン大学CPWの協力、自分たちの住む地域をよくしたいという地域住民の強い意思と民主主義を実践する住民の能力、を指摘できる。
著者
剣持 久木
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

1930年代のフランスについては、ファシズムの浸透度をめぐる論争がある。その際の焦点は、退役軍人フランソワ・ド・ラロック中佐の政治的位置付けである。本研究は、ラロックをめぐる実像と集合的記憶の乖離に注目した。ラロックは、1934年2月6日の反議会騒擾事件の際に最大の動員力を誇ったため、その秩序正しい行動にも関わらず、ファシズムの脅威の象徴的存在となった。「人民戦線の父」と呼ばれるゆえんである。一方、反人民戦線派にとっても、ラロックは逆の意味で「人民戦線の父」であった。2月6日以降の人民戦線結成の流れに対抗した、保守派大同団結の呼びかけにことごとくラロックは応じなかった。ラロックは、極右という左翼によるレッテルとは裏腹に、中道志向だったのである。とりわけ、1937年春の、ジャック・ドリオ提唱の自由戦線結成を拒絶したことで、保守派全体にとってラロックは「裏切り者」になった。かくして、左翼からのファシズム批判に加えて、ラロックには保守派からの、誹謗中腸の集中砲火が浴びせられことになる。それでもラロックは、大衆的な支持を飛躍的に伸ばし、その党勢は、仮に(戦争によって実現しなかった)1940年に総選挙が実施されていれば、第一党を獲得する可能性があった。ドイツ占領下のヴィシー体制のもとでラロックは、ペタン元帥を支持するもレジスタンスに関与するというスタンスをとる。結局ゲシュタポに捕らえられるが、解放後もフランス当局によって拘留が継続される。2年以上の獄中生活がたたってラロックは、レジスタンスの実績も認定されず、ファシストの汚名を背負ったまま病死する。本研究は、ラロックのファシズムイメージの形成過程に注目すると同時に、彼の死後に根強く残る集合的記憶としてのラロック像の推移にも光をあてた.とりわけ、「反論権」行使という形で、名誉回復に長年奔走するラロックの遺族の戦後の戦いに注目した.
著者
安藤 哲夫
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

M町における252組の母児調査で児のメチル水銀曝露の成長・発達への影響を検討した。母の頭髪総水銀濃度の幾何平均濃度は1.60ppmであった。母乳を与えた期間が長いほど母の頭髪水銀濃度は低く、1ヶ月間の母乳の授乳によって1.065ppmの頭髪水銀濃度が低下したことが回帰係数から算出できた。出産間隔が短いと母の頭髪水銀濃度は高かった。母乳の授乳期間が長いほど児の独り歩きの時期が誕生日を含めてそれ以降の児が多くなる頻度が高かった。
著者
細野 薫
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、預金者による規律付けの理論分析と実証分析からなる。理論分析(第1部)では、預金保険のもとで、預金者による銀行の選別がどのような条件で起こりうるのか、また、預金者による銀行選別がどのように銀行経営者のリスクテークに影響を及ぼすかを解明した。とくに、政府による銀行救済政策が預金者による規律付けを無効にし、銀行のリスクテークを助長してしまうことが強調されている。実証分析は、90年代における日本の全国銀行のデータを用いた研究(第2部)と、世界63カ国の銀行のデータを用いた研究(第3部)からなる。まず、日本の実証結果によれば、預金増加率と預金金利はそれぞれ銀行のリスク指標との負、正の相関が見られ、預金者による選別行動が観察された。特に定期預金の増加率とリスク指標との相関は、ペイオフ解禁(2002年3月)の直前に高まっていた。次に、各国の実証分析をサーベイした上で、世界63カ国の約18,000に及ぶ銀行・年データと各国の銀行規制や法制度などのデータを整備して実証分析を行った(鶴光太郎氏、岩城裕子氏との共同研究)。この結果、銀行規制が甘いほど、また、法による統治の程度が低く、金融資本市場が未発達なほど、預金者のリスク感応度は高く、預金者による規律付けが機能していることがわかった。これは、規制当局が預金者の代表として銀行を監督するという「代表仮説」と整合的であり、政府による規制と市場規律が代替的に機能していることを示唆している。
著者
RICHARD Anton Braun
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

銀行取引とマクロ経済に関する私の研究は3つの研究テーマを完成させることに焦点が当てられてきた。第1のトピックは預金供給についてである。家計が預金の主な供給者であることは周知の事実であるが、この研究は人口統計の推移が家計の代替的資産区分需要、ひいては預金供給にどのように影響を与えるかということを調査するものである。Braun, Ikeda and Joines(2006、執筆中)では上記要素を盛り込んだコンピューターOLGモデルを発展させた。家計の有効期間は80年間あり、労働供給の決定をする。我々はこのモデルのパフォーマンスを1960年からのデータと、出生率、税、技術、死亡危険度、政府の負債における時間変化のモデルを用いて計測した。この論文では貯蓄率の年代別詳細情報を提供しているが、資産配分の決定については述べていないため、こちらは久保田敬一教授と和田賢治助教授との共同研究(2004)で家計の資産配分をモデル化を試みた。この研究は世紀の変わり目までさかのぼったデータを使い、人口統計の相互作用と各資産区分の超過収穫を調査した。これら2つの研究を組み合わせて、銀行預金の供給の構成と総体的なサイズに関する情報を供給した。第2のトピックはマネー・サプライの増加がゼロ金利下での経済にどのように影響を与えるか、ということである。Braun and Waki(2006)では硬直価格モデルを定式化し、1990年代の日本からの実質的・名目的事実を説明する規格を作り出した。金融政策が経済を安定させる力は名目金利がゼロの時は崩壊してしまうこと、そして名目ゼロ金利を強制されたことに対する福祉のコストは大きい、ということを発見した。Braun and Shioji(2006a,2006b)では日本の金融政策が利回り曲線に与える影響を調査し、日本、アメリカ、韓国の金融政策のクレジット・チャンネルの国際比較を行った。最後に3番目のトピックはこの3つの研究をひとまとめにし、金融政策の相互作用と銀行セクターの健全性を調査した。Braun and Gilman(2006)ではインフレの低下が銀行の健全性や家計の福祉に与えるであろう影響を調査した。また、家計の福祉と銀行セクターの収益性に与える影響に関する政府の代替政策の意味合いについても検討した。
著者
岡本 芳晴 畠 恵司 荻原 喜久美 南 三郎 柄 武志
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

今回の研究により、細胞レベルでのルパン型トリテルペン(ルペオール)のメラノーマ分化誘導の機序を解明することができた。また遺伝子解析により、細胞周期に影響を及ぼすことも判明した。マウスを用いたin vivo実験より、ルペオールを腫瘍局所あるいは全身に投与することにより、メラノーマの増殖を抑制することが明らかとなった。さらに犬の自然発症例メラノーマに対しても十分有効なことが示された。
著者
高松 良幸
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、戦前の美術品の売立目録のうち100冊について、所収の作品の写真・テキストをデジタルデータとして記録し、その各種データを所蔵履歴、活用履歴などさまざまな角度から検索可能なデータベース化を試みた。また入札会の実況を伝える書籍、新聞雑誌記事等の関連資料の検討を行なうことで、戦前のコレクターの美術作品の保存、活用に対する姿勢、美術観や美術作品の移動に関する戦前の社会的意識等を検証した。
著者
西村 一彦
出版者
日本福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

農業用ため池の多面的価値を計測することを目的として、5択一式の調査票を設計し、西日本の16,000人に対してネットアンケートを実施した。データは離散選択モデルを基礎とする混合ロジットで分析を行い、ため池属性の限界価値を測定した。
著者
有働 眞理子 高野 美由紀
出版者
兵庫教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

特別支援学校の授業で教師が発話するオノマトペ表現においては、運用時の韻律とリズムが身振りや動作と連動することが発信効果を高め、教育的発話意図が効果的に知的障害児童に伝わり、教師-児童間の対話が促進されることがわかった。
著者
諸葛 宗男 城山 英明 交告 尚史 寿楽 浩太 鈴木 達治郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

巨大化技術の安全システムは現代社会が抱える大きな課題である。本研究では巨大化技術の代表例として原子力を取り上げ、その安全法システムの問題点を摘出しその解決方策を検討した。本研究の半ばの2011年3月11日に東京電力福島第一発電所事故が発生したため、事故で露呈した原子力法システムの問題点の検討を追加した。解決策の検討ではしたがって、事故前の研究で抽出した問題点と併せ、包括的に解決する解決方策を検討した。
著者
小林 淳二 野原 淳
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

脂質代謝を制御する酵素であるLPLとHTGLの活性を測定する簡便な系を確立し、その臨床意義を検討した。LPL活性はTG、RLP-TG,sdLDLと逆相関、HDL-Cと正相関したしたが、ANGPTL3と相関なし。一方、HTGL活性はTG、RLP-TG、sdLDLと相関せず、HDL-C、ANGPTL3と逆相関した。ANGPTL3によるHTGL活性抑制は見られなかった。以上から、ANGPTL3とHTGL両者の上流にそれらの制御にかかわる因子が存在し、それぞれを逆方向に制御する可能性が示唆された。
著者
大坪 嘉行
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

二種のお互いに近縁の土壌細菌を対象としてカタボライト調節メカニズムの解明を目的に研究を行った。その結果、抑制炭素源の存在が認識されるには抑制炭素源が細胞内である程度代謝される必要があることを示す結果を得た。またPTS システムがカタボライト調節に関与することを示す結果を得るとともに、二成分調節系のBphPQに関して、BphQが標的プロモーターを活性化するにはBphPが必要であること、また、BphPのC末端ドメインには構成的なBphQ活性化能があることが示された。
著者
堀内 隆彦 富永 昌二
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,HDRからLDRへの適切なトーンマッピング手法の開発によって,LDRデバイスでの映像表現の限界の解決を行った.このとき,視覚の明暗順応および色順応特性を考慮する方法を考案した.また,主観評価と測色値との関係を考察し,適切な評価規範を検討した.さらに,ディジタルハーフトーニングの技術をディスプレイデバイスへ展開することによって,低明度部分の階調が粗くなるという問題点の解決に取り組んだ.