著者
前川 俊一
出版者
明海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

研究において、不動産市場においてどのような市場(サーチ市場(登録市場と交渉市場)、オークション)が形成され、どのような価格形成が行われるかを検討する。また、不動産市場のシステムの国際比較(日本、米国、英国)を行うことを通じて日本における問題を明らかにしたうえで、住宅流通市場を例として売り手の戦略を理論的に検討し、米国と日本について実証分析により登録価格が市場滞留期間と取引価格に与える影響の実証分析を行った。また、仲介業者と買い手または売り手の間のエージェンシー問題を理論的に明らかにし、次善の策としての仲介業者と買い手または売り手の間の最適な報酬契約を理論的に検討して、報酬契約の在り方を提案した。最後にこれらの分析を踏まえて、日本の不動産政策、不動産評価の在り方を検討した。研究の成果は雑誌論文4本、図書1本、学会発表10 本の形で公表した。また、投稿予定の論文も2本ある。今後これら研究成果をさらに進展させてゆきたい。
著者
池邨 清美 中野 茂 堀内 ゆかり KAZUKO Behrens
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、ビデオ育児支援法(Video-feedback Intervention to promote Positive Parentingand Sensitive Discipline: VIPP-SD)のわが国での適応可能性を実証することを目的として行われ、親子で遊んだり、日常活動を行っている場面の母親に対するビデオフィードバックが、親子関係改善の介入効果をもつための条件を明らかにした。
著者
一ノ谷 清美
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、ヘンリー・フィールディングの政治的パンフレット、および自身が編集した新聞の論説記事をプレス史の観点から包括的に分析し、18世紀英国における政治文化形成過程の諸相を明らかにしようとするものであった。特に、1745年のジャコバイトの乱に際しての政治的議論に焦点をあてて、彼が政体と宗教に関するホイッグの思想をどのように発展させたのか、また、プレスはジャコバイトの大義をどのように扱ったのかについて論証した。
著者
菅井 清美
出版者
新潟県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

抗がん剤の副作用による足部の抹消神経障害軽減のために、足圧測定と足趾筋力測定、足の動態測定が有用であるか否かを検討した。足圧や重心動揺測定結果を抗がん剤服用前後で比較することで、副作用による二次障害の発生を防ぎ、生活の質を保つことができることがわかった。足趾筋力の強化が足趾圧の増加にはそれほど影響を与えない結果となったが、さらなる立位時の身体保持の要因の検討を追求していきたい。
著者
山中 大学 前川 泰之 深尾 昌一郎 橋口 浩之
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究の目的は,中小規模(水平スケール10^1〜10^3km程度,時間スケール10^1〜10^3分程度)の大気擾乱のうち,最も大きな階層である中間規模温帯低気圧(梅雨・秋霖季の亜熱帯前線帯に卓越)や熱帯低気圧の力学的構造について,過去に蓄積されたMU・境界層・気象レーダー観測結果を総合的に解析するとともに,観測を継続的に実施することによって解明することであった.2年間における成果の概要は以下の通りである:1.梅雨・秋霖季中間規模温帯低気圧の研究1986年以来の梅雨季(6〜7月)・秋霖季(9〜10月)の対流圏〜下部成層圏領域におけるMUレーダー(VHF帯)による標準観測データ(風速3成分,成層度,乱流風速分散)を,雨滴エコーなどを入念に除去してデータベースとして整備した.特に1991年6月17日〜7月8日に行った梅雨季3週間連続観測については,同時に行ったラジオゾンデ・気象レーダー(X,C,Ku帯)・気象衛星・気象庁客観解析結果などとともに整理し,中間規模低気圧構造,地上低気圧中心に相対的な鉛直流変動(対流雲群)の水平分布(階層構造),個々の対流雲の構造と時間変化などのほか,下部対流圏の低気圧通過に伴う対流圏界面ジェット気流や下部成層圏慣性重力波,乱流の分布特性と強度(鉛直渦拡散係数)などの時間変化も得た.また1992年6〜7月に行なった境界層レーダー(UHF帯)・MUレーダー同時観測からは,中間規模低気圧の鉛直位相構造が対流圏下部(大気境界層)で逆転する例,中〜上部対流圏‘generating cell'の構造と降水粒子降下などを検出した.1995年6月上旬に実施した新たな観測では,約10年前に観測されたようなcold vortexの通過に遭遇し,今回は中心よりかなり南側の詳細な構造を得ることに成功した.3.台風およびその温帯低気圧化の研究秋霖季の観測結果のうち,強い台風の中心付近を観測した1991年9月19〜20日(台風9019号),1994年9月29〜30日(台風9426号)の2つのケースについて,MUレーダー水平風速を気象庁資料と組み合わせることにより,台風中心からの水平距離の関数としての接線・動径風速に換算し,全体的には典型的な熱帯低気圧の軸対称構造を確認したが,非対称構造や時間変化など温帯低気圧化も示唆された.特に台風9428号については,様々な中心通過経路および時刻について計算を繰り返して,15分程度の間隔で前後2回ある地上気圧低極の間の時刻に中心がレーダーのほぼ真上を通過したとの結論を得た.また角運動量,渦度,ヘリシティ(速度と渦度の内積)など準保存量の解析も行なった.さらに地上・気象レーダー・レ-ウィンゾンデ・衛星,関西電力堺火力発電所境界層レーダーなどの観測データも解析し,MUデータとの比較から,最盛期の熱帯低気圧の特徴であるwarm core構造を持つことを確認するとともに,中心部が竜巻に見られるような螺旋構造を持ち,そのため局所的に高気圧性回転しているように観測されることがわかった.1995〜96年には顕著な台風がMU観測所に接近することはなかったが,1996年7月17〜18日には台風9606号の中心付近を部分的に観測した通信総合研究所山川観測所(鹿児島県)境界線レーダーのデータを解析した.また過去にいくつか観測された台風崩れの梅雨・秋霖季中間規模低気圧についても,新たに解析を試みた.以上の研究を通じて,台風の中心付近や,梅雨前線帯の雲の階層構造に伴う3次元風速変動が初めて実測されたと言える.さらにVHF/UHF帯レーダーの中間規模低気圧・台風研究への有用性と具体的観測方法が確立され,メソ気象学の分野に新しい側面を切り開いたことも特筆すべきである.
著者
菊地 正 吉田 富二雄 綾部 早穂
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

馴染みのない刺激に対して頻繁に接触することによってその刺激に対して好意的態度が形成される(単純接触効果)過程のモデルを構築することが本研究の目的であった。様々な実験を通して,閾下や注意が向けられなかった刺激に対しては単純接触効果が明確には生起しなかったこと,刺激の物理的提示(ボトムアップ的入力)よりも高次な内的イメージで単純接触効果が生起したことなどから,好意的態度が形成される過程には刺激に対する単なる「単純接触」ではなく,高次な表象が関与していることが示された。
著者
相良 二朗 種村 留美 長尾 徹 野田 和恵 田頭 章徳 見明 暢 ペイター ボンジェ
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

認知症者を含む独居高齢者(日中独居を含む)91名を対象に、スウェーデンのカロリンスカ研究所が開発したETUQ(日常生活機器使用状況調査表)を用いて訪問調査を実施した。その結果、高齢になり、家族環境の変化や認知力の低下などから、使用が中断された家電製品等の存在や、継続的に使用されている家電製品等が抽出され、それらの特徴が明らかとなった。また、認知力が低下した独居高齢者が抱えている日常生活上の問題が明らかとなった。これらの問題に対し、継続使用が可能な家電製品のインタフェース・デザインについていくつかの知見を得ることができ、適切な使用を促す音声ガイドの有効性が試作を通して明らかとなった。また、音声ガイドのあり方についての知見も得ることができた。
著者
木村 博子 内田 浩二
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

酸化ストレスマーカーである過酸化脂質, 4-Hydoroxy nonenal(HNE)やニトロ化物の3-nitrotyrosine(NT), 6-nitrotryptophanの時間分解蛍光イムノアッセイを開発し, lipopolysaccharide(LPS)投与ラット(感染症モデルラット)の心臓・大動脈・腎臓・肝臓・腸管などにおけるHNEや他の酸化ストレスマーカーの生成量の測定, 酸化ストレス発生源の同定を行い, その感染症病態における関与の解明を行った. また高血圧を発症した自然発症高血圧ラット(SHR)に持続的な運動を行わせて運動がスーパーオキシドジスムターゼ(Mn-SOD)合成を増加させて酸化ストレスが減少する仕組みを解明した.
著者
神谷 充伸 WEST John A.
出版者
公立大学法人福井県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

世界各地から単離された広塩性紅藻セイヨウアヤギヌについて遺伝子解析と交雑実験を行った結果、以下のことが明らかになった。(1)異なる系統群で何度も無配生殖化が起こった;(2)解析した無配生殖株の7割以上はヘテロ接合体(フロリダとオーストラリアの株は異質3倍体);(3)遺伝子型がホモの無配生殖株は有性生殖を行うことがある;(4)遺伝的に分化した有性生殖株の間で交雑を行った場合、F_1胞子体が無配生殖化する場合がある。
著者
加藤 薫
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

西欧中心に理論化されてきたモダン・アートに対抗する形で1920年代に提唱されたメキシコ壁画運動の実態を徹底検証することによって、西欧美術モダニズムとは脱アカデミズムという点では通底するものがあるにせよ、非西欧地域におけるモダニティーの概念やモダナイゼーション過程には各国、各地域毎の固有の形態や歴史があり、脱-西欧モダニズム的性格があることを明らかにした。
著者
前田 雅英 星 周一郎 亀井 源太郎 木村 光江
出版者
東京都立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、不正アクセス禁止法、児童買春等処罰法、ストーカー規制法などの近時の新設刑事立法につき、立法過程や立法趣旨を解明し、これらの特別法の射程を解明することを目的とした。平成13年度に、これらの特別立法の運用状況の実際を検証するため、北海道警察本部、福岡県警察本部をはじめとする関係官庁にヒアリング調査を行ったが、平成14年度はそこで得られた調査結果並びに、統計資料を整理・検討し、具体的分析を行った。また、インターネットをはじめとする諸通信手段の法規制とその実効性について検討を加えたが、その過程で、新たに導入が始まった防犯カメラシステムについても、その運用状況についての検討を行った。以上の成果として、第1に、児童買春等処罰法、ストーカー規制法、DV防止法は、いずれも、従来は「犯罪」として認知されて来なかった領域であるが、分析の結果、極めて積極的に活用されていることが分かり、さらに法適用を積極的に進めるための法改正、運用の改善が必要であることが明らかとなった(前田「犯罪の増加と刑事司法の変質」罪と罰39巻1号5〜12頁)。さらに主要国との比較から見ても、児童ポルノに画像データを含めること、児童ポルノの単純所持・保有を処罰対象とすること、実在の児童に見せかけたCGなどについて、処罰範囲を拡大する必要性があることが判明した(木村「児童買春等処罰法、ストーカー規制法、DV防止法の運用状況と課題」都法43巻1号)。第2に、防犯カメラシステムにつき、新宿、ニューヨーク等の検討の結果、犯罪抑止に絶大の効果があることが実証されつつあることが示されたが、さらに一層具体性・詳細な分析を行い、いかに効率的にカメラを配置するかを検討する必要があることが明らかとなった(亀井「防犯カメラ設置・使用の法律問題-刑事法の視点から」、都法43巻2号)。
著者
大竹 秀男 遠藤 征彦 井上 達志
出版者
宮城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

有機廃棄物資材としての間伐材等のチップと家畜糞(牛糞)に土着の微生物を混入した区(M区)、土壌動物を混入した区(A区)、両者を混入した区(MA区)、チップと牛糞のみの区(C区)を作り堆肥化を試み、できた堆肥を用いコマツナと飼料作物(ソルガムとオーチャードグラス)の生育への影響について調査した。コマツナおよびソルガムの生育はM区とMA区で若干高かった。オーチャードグラスの生育は虫堆肥区より化学肥料区の方が良く、虫堆肥間ではM区の生育が良かった。4種の糞(牛糞、鹿糞、豚糞および鶏の糞尿)を材料として切返しの間隔を3日にしたもの(短区)と1ヵ月にしたもの(長区)とで出現する土壌動物を比較した。3ヵ月後についてみると、短区ではすべての堆肥でダニ類が90%以上を占めていたのに対し、長区の牛堆肥と鹿堆肥ではトビムシ類が20〜30%を占めていた。虫堆肥の効果については、レタス圃場におけるセンチュウ密度との関係から検討した。土壌動物とセンチュウの移植前と収穫後の個体数の間には負の相関関係(r=0.695)がみられ、土壌動物個体数の増加した区ほどセンチュウ個体数は少なくなる傾向を示した。また、市販堆肥より虫堆肥や落葉堆肥を施用した区の方が、土壌動物個体数が多く、センチュウ個体数は少なくなる傾向が認められ、センチュウ密度を抑制するためには堆肥の質と量を考慮する必要がある。土壌動物のトビムシ類とダニ類(ササラダニ類とトゲダニ類)はセンチュウを抑制している可能性が示唆された。以上のことから、虫堆肥を畑地に施用することにより土壌動物の多様性が増し、センチュウの多発を抑制できるものと考える。
著者
須沢 かおり ユエルグ マウツ
出版者
ノートルダム清心女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

ユダヤ・キリスト教の霊性の古典的テキストを東洋の宗教である禅仏教の古典文献と比較し、そのテクストの源泉となる宗教体験がどのように類似し、交わるか、その接点を探った。特にユダヤ教のヘブライ聖書、キリスト教の旧約聖書のなかから神についての理解とその啓示をあらわすテキストを詳しく分析・解釈し、禅仏教の古典(道元、日蓮、臨済禅の公案集)と比較検討した。聖書に見られる定義の困難な神秘的意味をもつ句の背景には一神教独自の神体験、宗教体験があり、神についての表現、神体験を表わす記述の構成、動詞の態、頻出する隠喩ならびにイメージにおいては、二元的な分別認識の構造を打破するという点、あるいは時間性と歴史性の理解において禅の古典文献(道元、日蓮、臨済禅の公集)と類似するものがあることがわかった。また、神との霊的な交わりと宗教体験を深めたキリスト教神秘家(ゾイゼ、タウラー、ルドルフ・フォン・ザクセン、十字架のヨハネ、アピラのテレサ)の作品においても宗教的な言語表現の特徴が客観的で論理的な言語を越える次元のものを探求している点に注目し、ヨーロッパ中世から近代にかけてのキリスト教霊性の紺的にある宗教意識が東洋の禅の霊性とどのようなところで交わるか、を検討した。神の超越性という点はユダヤ・キリスト教の特徴をなすが、その超越性は日常的なもののなかに内在するという点においては禅的な理解との接点が見られた。この研究により、定式化された教義、理性主義的な神学、体系化しえない霊性というユダヤ・キリスト教の霊性の脈々とした源流が、まったく伝統を異にする禅仏教の思想と接点をもちうることを示すことができた。これらの研究成果は論文と書物にまとめ、発表した。
著者
小林 優
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ホウ素は植物の生育に不可欠の元素であり、欠乏すると組織の壊死や不稔など多様な生理障害が発生する。しかしホウ素が不足することでそれら障害が発生するメカニズムは明らかでない。このメカニズムを解明するため、植物の培地からホウ素を除去したときに生じる応答を詳細に解析した。その結果ホウ素が欠乏すると細胞に活性酸素が蓄積し、それが原因で細胞死に至ることが明らかとなった。また植物細胞は培地からのホウ素消失を直ちに感知することも明らかとなった。
著者
植松 茂男 里井 久輝
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では小学校英語活動の開始年齢が、中学校における英語学習や情意面での発達にどのような影響を与えるかを調査した。2007学年度から2009学年度に得られたデータの分析によると、小学校英語活動の開始年齢が下がり、履修時間が増加すると、中1の英語力テスト成績がリスニングを中心に全体的に向上し、さらに中2のみで実施したスピーキングテストスコアも毎年大幅に向上した。しかしながら、情意面への影響はほとんど検出できなかった。
著者
三吉 一光
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

市販の4倍体コチョウラン品種3点ならびに2倍体品種5個体を供試して、半数体を誘導する条件の検討を行った。コチョウランでは体細胞多倍数性(polysomaty)が観察されるので、倍数性の検定は根端約1mmの若い組織を用いた。4倍体から偽受精胚珠培養によって得られた幼植物体の半数近くが2倍性半数体であり、染色体の半減が認められた。2倍体を供試した場合、得られた個体の殆んどが2倍体であったが、コチョウランにおいて初めて人為的に誘導した半数体を一個体獲得した。
著者
石村 宇佐一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は大別して二つになる。A. トランポリン選手における心理的スキルトレーニングの縦断的検討。トランポリン選手に対する長期間のメンタルトレーニングの効果を明らかにする目的で、全日本選手権9連覇しているFuru Akiko選手を対象に、心理的スキルについて検討した。その結果は以下のとおりであった。1. 心理的スキルトレーニングの一つである目標設定の成果は、自己動機づけのレベルも高まり、自分の目標と練習すべきか活動がより明確になった。2. 六年間に渡る三つの心理検査(PPI,DIPCA2,POMS)は、自己の心理的スキルの効果やオーバートレーニングの状態を把握することができた。さらに、自分の進歩に関する情報の活用と自己認識を見直し、継続的改良に取り組むことが認められた。B. バスケットポール選手におけるFoulshot時とイメージ想起時の脳波活動の検討。本研究の目的は、金沢大学女子バスケットボール選手を対象に、バスケットボールのFoulshot時とイメージ想起時の脳波活動を脳波含有量から検討することであった。Foulshot時とイメージ想起時の脳波を頭頂部(C3,C4)後頭部(O1,O2)において、α1、α2、α3,β波の4帯域に関して測定した。同様に、安静時の脳波含有量も測定した。結果を要約すると以下のとおりである。1. バスケットボールのFoulshot時の脳波はイメージ想起時及び、安静時と比較して、頭頂部、後頭部すべての部位でβ波に有意な増加が認められた。2. イメージ想起時の脳波は、安静時と比較して後頭部位においてα2が常に有意な増加を示し、α-blockingは認められなかった。
著者
河合 渓 西村 知 小針 統
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

人と自然の関係を解明するため海洋生物学、海洋学、経済学という異なる視点から解明を進め、各成果を金銭化することで各研究を有機的に融合する学融的研究の試みを行った。3年間の調査において西村知は経済社会学的視点を持ち調査を行った。西村知は主にキャッサバを通して農村社会システムを捉えると共に、地域社会を住民参加型プロジェクトと比較しその社会システムを捉えた。一方、小針統、河合渓は理系的視点を持ち調査を行った。小針統は環境条件とプランクトンと魚類相を、河合渓は貝類の調査と総括を主に行った。この調査の3年間の結果は3回の学会発表と4編の学術論文としてすでに発表し、現在いくつかの項目については論文の準備中である。また、調査開始時から情報公開としてホームページを立ち上げその成果を公開した(http://cpi.kagoshima-u.ac.jp/project-fiji.html)。これらすべての成果は平成20年2月3日にシンポジウムという形で報告会を行った。本プロジェクトは南太平洋大学とフィジー水産研究所をとおして地元地域社会へと還元を行っており、大きな社会貢献ができつつあると考えられる。
著者
高橋 学 渡部 祐司 岡部 永年 野村 信福 堤 三佳
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

切離手術時間を短縮するための切離技術の一つとして,肝臓ガン局部凍結技術の開発を目的として,(1)将来肝臓の冷凍技術として提案している音波を用いた熱音響冷凍技術の開発,(2)冷却切離抵抗の研究および(3)肝臓冷凍針の開発と冷却特性の3つの実験が実施された.熱音響冷凍では汎用スピーカー(最大出力70W)を駆動源として使用した簡易型音響冷却装置を用いて冷却実験を実施した.内径26mm,長さ1500mm(約1/4波長)の真鍮円管を共振管とし,スタックには内径1mmの絶縁管を100本束ねたものを用い,作動流体に空気およびヘリウムガスを用いて常温常圧下で冷却実験を行った.その結果ヘリウムでは空気の場合の約3倍増の冷却効果が得られた.また,スタック表面積,内部圧力,および振動振幅は冷却効果に強い影響を与え,本実験で用いた簡易型装置でも,1mm^3程度の肝細胞であれば冷凍することが可能となる.冷却切離抵抗の実験では,ロボットによる肝臓の切離を行う際,正常な部位まで損傷させることは望ましくなく,正確な切離開始位置の決定が求められる.また,切離中に加わる抵抗が小さい程,滑らかな切離動作が実現でき,さらに刃物の損傷を防ぐことが可能である.視覚情報を用いた正確な切離開始位置の決定,及び,力覚情報により切離抵抗を低減するロボットシステムを提案する.視覚情報を用いた切離開始位置の決定手法では,肝臓の色の変化と温度の関係から,半冷凍部分(-1〜-3℃)の決定を行っている.また,力覚情報を用いた切離動作においては,インピーダンス制御を用いることで刃物の側面方向からの加重を低減し,目標とする切離抵抗による切離動作を実現している.肝臓の冷却特性および物性値を調べるため,豚の肝臓を用いた.血流を模擬して肝臓内に生理水を流し,その際の血管寸法の相違による熱伝導率の変化を実験データから逆解析することにより明らかにした.また,冷却温度,時間,冷却針からの位置をパラメータとした実験式を導出し,冷却予測が可能となった.
著者
小原 春雄 大石 幹雄 洞口 正之 丸岡 伸 本間 経康
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

通常使用している診断用X線装置のX線管は、熱電子放出を利用した熱陰極X線管であるのに対し、試作したX線管は電子の電界放出を利用した冷陰極X線管(フラッシュX線管)である。高エネルギー放電によるフラッシュX線装置は、直流高電圧発生装置、高容量コンデンサ、フラッシュX線管、エアーギャップスイッチ、トリガ発生装置、高真空排気装置で構成され、フラッシュX線管は陽極、陰極、トリガ電極で構成される。このフラッシュX線管のもとで発生するフラッシュX線装置の諸特性は、電極(陽極、陰極)の材質、陽極-陰極間距離、陰極-トリガ電極間距離、真空度の四つの因子により異なる。電極の材質の検討では、セリウム(Ce:原子番号58)、イッテルビウム(Yb:70)、タングステン(W:74)で検討したが、充電電圧90kV、真空度(6.65×10^<-3>Pa)の条件のもとで、Wが他と比較し1.3倍のX線強度が得られた。X線出力の測定は応答の速い液体シンチレータ(応答時間:10^<-9>sec)で検出し、デジタル・オシロスコープで測定し、波形解析を行った。充電電圧90kVの放電時のX線曝射時間はパルス幅10%で1μsec.以下となり、管電流は4×10^4A(瞬間大電流)であった。フラッシュX線管の焦点の大きさは、ピンホールカメラを用い焦点測定を行った。電極間距離を小さくすることで小焦点の傾向にあったが、電極間距離0,9cmで最小の焦点となり、2.0×2.3mmの大きさを得た。模擬被写体(メトロノーム、タングステンワイヤの振り子、コップに落下する造影剤、プラスチック弾の物体への衝突)の撮影では、完全静止画像の確保を可能とし、高鮮鋭度の画像が得られた。模擬被写体を通して得られた結果から、試作した本装置を用いることで、新生児・小児撮影および高齢化に伴う老人、脳卒中・脊髄損傷者を含む機能障害・能力障害等の動作停止不可能な被験者の撮影では完全静止画像の確保が可能となることを確証した。