著者
高田 龍一
出版者
松江工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

コンクリートのASR対策はコンクリートの耐久性にとって、重要な課題である。本研究により、初期の促進養生がASR 抑制に効果的な手法であることを明らかにした。また、反応性骨材の種類によって抑制効果は異なってくることを明らかにした。この研究成果は、コンクリート二次製品への適用に有効である。
著者
片瀬 一男 秋永 雄一 古賀 正義 木村 邦博
出版者
東北学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

2003年11月から12月にかけて「教育と社会に対する高校生の意識:第5次調査」を実施した。そして、このデータをもとに分析を行い、2005年3月に報告書を作成した。報告書では、次のようなテーマをもとに、分析を行った。1.第1に、高校生の進路志望(教育・職業アスピレーション)や教育達成など教育をめぐる高校生の意識や実態をとりあげ、それがどのような要因に規定されているのか分析した。この分析においては、高校生の出身階層となる親の地位が、彼らの進路志望や教育達成に与える影響、さらには父母の結婚類型が子どもに及ぼす影響などが明らかになった。またフリーターの問題も、進路意識や規範意識(校則意識)との関連で扱った。くわえて、「アノミー型アスピレーション」という現代の高校生に特有の進路志望のあり方についても、それが形成されるメカニズムが明らかなった。2.第2に、高校生が現代社会をどのように認知し、また評価しているのかについて検討を加えた。ここでは、不公平感や学歴社会イメージ、性別役割意識といった高校生の社会意識が、家族や学校においてどのように形成されているのか分析を行った。3.第3に、この17年間の宮城県の高校教育の変容についても触れた。そして、いくつかの高校を事例として選んで、いわゆる「進路多様高」の成立経過や、仙台における女子教育の変容について時系列的な分析を行った。
著者
進藤 春雄 沖村 邦雄
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

次世代大型ディスプレイパネル対応の大面積プロセスや太陽電池薄膜CVD用大面積プラズマ源の実現を目的に、大規模マイクロ波ラインプラズマ生成技術の研究を行い、最長2mのラインプラズマ生成に成功した。プラズマ電子密度の軸方向一様性は長さ2mにわたって4%以内、電子密度は最大7x1011cm-3の高密度であり、電子密度の値がマイクロ波カットオフ密度より十分に高い密度となる条件が軸方向一様性を決めていることを明らかにした。
著者
石田 尚臣
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

研究代表者らの研究グループはこれまでにHIVプロモーター領域に設定したsiRNAがウイルスの複製を抑制する事を明らかにし、またその抑制活性は転写抑制(TGS)にある事を証明してきた。siRNAによる転写抑制はAGO1-siRNA複合体形成にある事を証明し、その複合体は直接標的DNAに結合しうる事を証明した。この配列結合性は、来はめて特異性が高い事を明らかにし、またその結合は、siRNA,HIV-1(標的配列)の共存在下で認められる事を証明した。
著者
橋本 直純 長谷川 好規 今泉 和良
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

肺線維症の線維化病変においてさまざまな細胞起源由来線維芽細胞の存在が証明された。その中で血管内皮間葉系細胞転換による線維化病変は低酸素状態をもたらしうる。遷延化低酸素状態は線維化微小環境として更なる線維化および肺構成細胞間葉系形質転換を介した線維芽細胞誘導をもたらすことを明らかにした。これらの知見は、線維化形成における誘導因子を解明することにつながり新たな治療標的を確立できると考えられた。
著者
稲垣 芳則 保科 定頼 横田 徳靖 中里 雄一 恩田 啓二
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

我々は特発性細菌性腹膜炎(SBP)において最大の謎である感染経路の解明とSBPの迅速診断方法の開発を目的に以下の研究成果を得た.1.Thioacetamide投与による肝硬変ラットではSBPの発症が認められたが,コントロールラットでは認められなかった.2.SBPは腸内細菌の増殖が大腸より下部小腸に起こるときに発症しやすいと考えられた.3.SBP発症時腸内細菌の増殖した腸管の支配リンパ節には細菌の移送を認めたが門脈血および末梢血には認めなかった.4.SBP発生機序における腸内細菌の腹腔内への侵入経路の一つとして直接腸管壁の経由が強く示唆された.5.培養で菌が検出できない腹水でも,原核生物特有の塩基配列をPrimerとしたPCRでは腹水中の微量大腸菌あるいは死菌が検出できた.仮説では腸管内から腹腔内への細菌の侵入経路は(1)血行性,(2)リンパ行性あるいは(3)腸管壁から腹腔内へ直接,の3つの経路が考えられていた.今回の研究によりSBPでは(1)(2)の経路より,(3)の経路の可能性が最も高いとの結論を得た.またSBPの発症は必ずしも腸内からの生菌の移行だけでなく,むしろ死菌や菌体成分や腹水中で免疫反応を起こすことがSBPの本質であると推測した.一方,臨床例の検討でも腹水培養で細菌が証明されることは少ない.腹水中の細菌のDNAをPCRで検出する方法は感度が高く迅速診断が可能で,SBPの診断に有用であると考える.ただし消化管穿孔に起因する続発性細菌性腹膜炎とSBPとの鑑別が臨床上困難であることは今後の課題である.
著者
大久保 力廣 小久保 裕司
出版者
鶴見大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

人工舌の開発にあたり,まずCT画像から日本人の平均的な舌の大きさおよび形態を計測した結果,下顎骨体積は平均87,806mm^2,舌体積は平均78,990mm^2,舌の位置・可動範囲を決定する一つの要因となる舌/下顎骨比率は平均91%であった.舌容量の測定後,空気圧とナイロンストリングの張力を利用した2WAY方式の軟性アクチュエータを舌の柔軟性運動を再現する最適モデルと決定した.また,人工舌に適切な形態・位置変化を行わせるためのアクチュエータの配置や相互干渉を検証し,軟組織モデルを構築するのに適した軟性空気圧アクチュエータモデルを試作した.開発したプロトタイプモデルはアクチュエータ同士の干渉もまったくなく,従来までの多関節ロボットでは到達できない舌固有の曲線でリズミカルな柔軟性運動と形態の多様化を再現することが可能であった.さらに,駆動源を必要としない自己駆動機構を有し,リズミカルな嚥下を実現する人工舌を考案した.
著者
高田 康成
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

シェイクスピアとその研究は西欧近代の産物であり、「西洋中心主義」批判もまた同じ歴史的運動の産物である。従って、そのような批判言説の動向は、西欧近代文化に内在的な自己反省的な構造を明かす。その構造を分析的に捉えるために、世俗化、自然、差異という主題軸を設定し、それぞれに呼応する学問分野と宗教文化との関係において考察を行い、「近代化」(非西欧文化圏)におけるシェイクスピア受容の構造と特質を示した。
著者
國本 景亀 山本 信也
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

平成15年度から平成17年度までの3年間の研究の総括は次のとおりである。(1)全体論的数学教育の数学観、子ども観、学習観、教授観などを明らかにしいくつかの教授原理を解明した。「全体性の原理」、「内容や関係豊かな学習の原理」、「活動的・社会的学習の原理」、「漸進的数学化の原理」、「科学論的見方の原理」、「歴史性(数学史)の原理」などである。これからの数学教育はオープンな精神で行われるべきである。特に、子ども達に本質的な数学的現象に出合わせるべきである。(國本)(2)ワークショップを2回行う。熊本大学教育学部において、2回のワークショップを行った。参加者は2004年は58名で、2005年は43名であった。(山本)(3)ビットマン氏らの著書『算数・数学 授業改善から教育改革へ("Jenseits von PISA : Bildungsreform als Unterrichtsreform")』を翻訳した。(國本、山本)(4)現場との連携(小学校での授業を3年間で約20回行った)高知県南国市の2つの小学校と連携し、学生の教師養成と現場教師の再教育に携わった。連携した学校の1つが高知県の学校表彰(算数科)を受けた(平成17年度)。(國本)(6)『数の本』(1〜4学年)を翻訳し、各都道府県の教育長へ謹呈した。そのため平成17年度の予算の内インク代にかなりの経費がかかった。(國本)(7)イギリスの数学教育雑誌"Mathematics Teaching"に「数の石垣」の実践報告が掲載された。(藤田)
著者
尾関 幸
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ドイツ・ロマン主義美術に特有の図像とされる「友愛図」は、西洋美術に見られる「明・暗」「聖・俗」「静・動」「善・悪」等の図像伝統に依拠しつつも、二者間の弁証法的な統合を強調するものである。それは「分かれ道のヘラクレス」「アモルとプシュケ」といった過去の図像伝統から発し、そこに「和解」という新たな意味を付け加えた。対概念として表現される友愛図像は、分析的時代であった十八世紀を超克し、再び宗教改革以前に存在したと信じられた全体性を希求する時代精神を象徴しているのである。
著者
原田 洋 阿部 聖哉 目黒 伸一 持田 幸良
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

環境保全林の機能と構造を研究するため川崎市東扇島と熱海市の環境保全林を対象とした。リターフォール量とその季節的変動を明らかにすると同時に林床に堆積するリターの分解率を測定し、土壌動物の現存量との関係から、環境保全林の管理手法の基礎を確立するとともに、土壌動物相から環境保全林の自然性の回復の度合いを判定すること、樹木による煤塵の捕集量や樹種による付着量の差、ならびにCO2固定量の推定など環境保全林の機能と動態を総合的に把握することを目的としている。リターフォールの月別変化は東扇島では5月に落下量が急増し、夏期は少し減少するが、熱海では初夏にピークが現われている。この落下パターンの違いは熱海のほうが標高が高いため、温度の上昇時期が1.5ヶ月ほど遅くなることによるものである。リター堆積量と落葉量から平均分解率を算出すると、東扇島では64%、熱海では84%であった。これは落葉を摂食する土壌動物の現存量の差によるものであろう。CO2固定量は、m^2あたり熱海では31.3kg(平坦地)と58.7kg(マウンド上)で、1年間にそれぞれ9.1kg,8.4kg増加した。東扇島では23.4kgと25.1kgとなり、1.1〜1.2kg増加した。若齢林の熱海で高いのは立木密度の差によるもので、淘汰されるにしたがい一定量になるものと考えられる。樹幹流中煤塵量は熱海では9本の合計値で50〜60g、東扇島では6本の合計値で110〜170gとなった。樹木サイズは東扇島のほうが大きいが、煤塵量も多くなっている。また、雨量は林外前のほうが多いが,両地域とも林内雨中煤塵量が多く、環境保全林のもつ煤塵捕集機能の高さが確認された。土壌動物群数は熱海のほうが多く、土壌動物による自然の豊かさ評価においても高い値を示した。これは若齢林であっても周辺に土壌動物の供給源となる自然環境が存在しているからである。また、ササラダニ類による自然性の評価においても東扇島より熱海で高く、関東地方の社寺林や明治神宮林なみの高い評価となった。
著者
加藤 一彦
出版者
東京経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

日本の議院内閣制の特質に関する研究である。特に、参議院が「強い権限」を行使したとき、内閣統治がどのような変化を経験するかについて、論究した。その中で、(1)両院協議会の改革の方向性と立法改革の必要性、(2)内閣の連帯責任制が、事実上、個別大臣責任制に変化し、政治過程において内閣権限の強化が困難になった点を解明した。
著者
濱野 耕一郎
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

フランス第三共和政が経験した、ドレフュス事件以来の内政危機である「2月6日事件」は、作家たちにどのような反応を引き起こしたのか。本研究はまず、事件が文学者全般に「政治回帰」を強いた事実を明らかにし、その後、ジョルジュ・バタイユ、アンドレ・シャンソン、ピエール・ドリュ・ラ・ロシェルらが、それぞれどのように事件を受け止め、いかなる政治的選択を行い、またそれが彼らの作家活動にどのような形で反映されているか考察した。
著者
土屋 孝次
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1、本研究期間は、司法制度改革推進法の制定、司法制度改革推進本部の設置及び改革関連法の成立により、わが国に法の支配を根付かせるための改革がはじまった時期にあたる。しかしながら、司法制度改革推進本部の活動において、弾劾制度や懲戒制度、苦情処理制度に関する具体的な改革提案は見られない。本研究では、裁判官に関する苦情申立てが国民に開かれていない点、処分が戒告と科料に限定されており軽微と思える点などの理由により、年間500件以上もの裁判官に対する苦情が弾劾手続へ流れている実体を問題と考える。性質を異にする弾劾手続と懲戒手続の連動が憲法上望ましくないのであれば、停職、事件配点中止などの懲戒処分の追加、懲戒手続への国民の関与を認める制度、もしくは内部規律に関する新たな苦情処理制度の導入などを検討すべきである。もっとも、手続導入に際しては、個々の裁判官が主権者たる国民の信頼を確保しつつ、司法部内外からの不当な圧力に抗する事ができるよう、公開原則を維持する等の配慮が必要と考える。2、アメリカ合衆国においても、司法部の員数拡大により一部にみられる質的低下、終身任期による裁判官の高齢化、そして国民に対するアカウンタビリティの確保を当然とする風潮がみられ、裁判官規律制度の改革が進められている。本研究においては、下級審裁判官の弾劾手続の簡略化は、議会の負担増、司法部の人的拡大という現実の前には、政策的には理解できるとみなす。しかしながら、弾劾権は裁判官の独立が濫用された場合に適応できる例外的な憲法制度である。このため、より一般性のある懲戒手続としての司法協議会改革法に着目する。その行使は司法部の自律的判断に委ねられており、手続き実施のあり方については議会による不断の監視が行われている。手続の大部分が非公開である点、控訴裁長官により苦情却下事例が多い点などの問題は残るものの、同法の基本構造には、裁判官の独立とアカウンタビリティのバランスを確保するという憲法的価値が見いだせると評価する。今後は、同法手続きの具体的事例に対する個別的検討、およびカリフォルニア州憲法に見られる市民代表を構成員とする裁判官規律手続の展開を吟味する必要がある。
著者
今村 哲也
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

近隣民事紛争への仲裁的介入から、家庭内暴力・虐待の排除および迷惑防止条例の執行そしてテロ対策のための警察活動まで、警察活動を授権する作用法の行政警察化は避けられない。法治主義原則からは、可能な限りの事前介入要件の厳格化・明確化が人権侵害抑止のために必要であることはいうまでもないが、くわえて組織法的観点からの、第三者機関(審議会)の警察力育成(警察官教育)の充実と、警察の制度と作用・活動にかかる審議会制度の設置・活動が重要である。
著者
杉森 裕樹
出版者
聖マリアンナ医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

平成15年〜17年に小児を対象として,経年的に反復測定された踵骨乾式超音波法(AOS100)による骨量指標をもとに,マルチレベルモデル等を応用した成長期骨発育曲線の検討を行った。成長期における骨量増加・蓄積とpeak height velocity (PHV)等の身体発育指標との動き(ピーク)に乖離があることが示された。さらに,千葉県下18市町村の小児(小1〜中3,当該登録学童・生徒数55,464名,男児27,811名,女児27,653名)を対象に,平成13年1月〜平成13年12月に発生した学校管理下の骨折について検討した。平成13年における小児骨折の年間発生数773件(1.4%)で,うち男児(527件:1.9%),女児(246件:0.9%)であった。発生頻度は,学年とともに徐々に増加傾向を認め,男児では中1〜中2で,女児では小5〜小6で発生率のピークを認めた。また,発生月では5月,6月,9,月,10月,11月で多く,発生場所は,男児では屋外の運動場が,女児では屋内の体育館が比較的多かった。発生時間帯は,部活動,体育,休憩時間,昼休み,放課後の順であった。発生理由は,転倒,落下,受け損ない,衝突,捻転の順であった。発生原因は,床・地面が最も多く,人やボールが続いた。発生部位は男女児とも上肢が目立ち(男児62.2%,女児70.4%),手指,前腕の橈骨,上腕の肩関節の順で多かった。その他に,下肢では足指,足,腓骨,脛骨が多く,また男児では鎖骨が6%強であった。また,小児の親を対象に成長期骨量についての意識をテキストマイニングにより評価した。さらに,海外の成長期骨発育への取り組みである米国骨粗鬆症財団(NOF)等の『Powerful Bones. Powerful Girls.』の動向も調査した。今後,わが国の小児における骨折の疫学調査を一層すすめて,小児における骨折の積極的な予防対策が講じられることが望まれる。
著者
村下 博 西中 誠一郎 洪 貴義 近藤 敦 塩原 良和 近藤 敦 塩原 良和 鈴木 江理子 塩原 良和 近藤 敦
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、日本社会における非正規滞在外国人および在留特別許可申請者の生活状況の実態が社会学的調査によって明らかになり、また在留特別許可制度をはじめとした戦後日本における出入国管理体制の形成過程が歴史学的に再考され、さらに諸外国の移民受入れ制度や非正規滞在者政策との比較研究によって日本の制度や状況の特徴や課題が明確化された。
著者
青井 透 宮里 直樹 川上 智則 川上 智規
出版者
群馬工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

広域的な窒素飽和現象を証明することが、本研究の主たる目的であるが、そのためには複数年にわたる窒素収支を把握する必要があり、谷川連峰湯桧曽川と裏妙義山中木川を調査対象として、降雨測定、流量測定および水質調査を継続的かつ正確に実施する必要がある。そこで湯桧曽川と裏妙義中木川において2年間にわたり、降雨と渓流水を定期的に採水・分析し、それぞれの調査場所で窒素の収支を計算した。その結果、湯桧曽川では窒素降下量と窒素流出量はほぼ同量であり、中木川では窒素流出量が1.55倍高く、窒素飽和現象が発生していることが明らかとなった。単位面積当りの窒素降下量は、湯桧曽川では12.5kgN/ha/Yであり、中木川では19~26kgN/ha/Yであった。一般に窒素飽和現象が発生する年間窒素降下量は10kgN/ha/Yが目安とされているので、どちらもこれより高い値であり、この点からも窒素飽和現象が発生していることが裏付けられた。
著者
丸山 博 亀田 正人
出版者
室蘭工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

渡島半島地域と厚沢部町の住民を対象として、それぞれヒグマに対する意識と行動に関するアンケートとインタビュー調査を行った。その結果、北海道のヒグマ保護管理計画の問題点を指摘するとともに、住民の間にヒグマに関する予防対策を行う余地があることを明らかにした。また、ヒグマの出没や捕獲のデータの分析と現地調査、農林業政策の検証などを通して、厚沢部町固有の予防対策の必要性と可能性を見出した。
著者
田代 学 関 隆志 藤本 敏彦 谷内 一彦
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

健常被験者を対象として、安静状態と連続暗算課題による精神的ストレス下における脳内ヒスタミン遊離量を比較したところ、被験者は暗算課題による心理ストレスを感じていた一方、PETでは差は検出できなかった。一方、頸部痛、肩こりのある男性を対象として、代替医療のカイロプラクティック施術後と無治療時の脳糖代謝の差を比較したところ、PETで測定した脳糖代謝変化が自律神経活動の変化と関連している可能性が示された。また、動物介在療法に関連した課題においてもストレス緩和に関連した所見が観察された。このようにPETを用いた脳糖代謝測定によって、代替医療の治療効果を評価することが可能と考えられた。