著者
多喜 翠 伊澤 幸代 堂坂 更夜香 向後 千春
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S42072, (Released:2018-09-03)
参考文献数
4

大学エクステンションセンターで公開講座を受講している社会人を対象に,受講動機と受講後の変化についての質問紙による調査を行った.その結果,大学エクステンション公開講座を複数回受講している人は,初回の人に比べ「仲間をつくる」ことや「自分に活かす」こと,また,「大学が開いている」といったことが受講動機として高く,受講後の変化に関しては,特に人間関係と生き方が変わったと感じていた.このことは,講座を通じてできた仲間との交流や,講座で獲得した知識が実際に活用されているという実感と,大学が開いていることへの信頼感が,その後 の継続的な受講動機につながることを示唆している.以上のことから,大学エクステンション公開講座を設計するにあたり,仕事のみならず自分に役立つような知識やスキルを提供すると同時に,ともに学ぶ仲間をつくれるような活動を支援していく形態にすることが必要だろう.
著者
山森 光陽 伊藤 崇 中本 敬子 萩原 康仁 徳岡 大 大内 善広
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.501-510, 2018-03-01 (Released:2018-03-16)
参考文献数
16

児童の授業参加や課題従事行動を,観察対象学級の児童全員について即時的・経時的に把握するために,身体の揺れ,すなわち身体が1秒間に繰り返し運動する回数(周波数)を指標とすることが有効と考えられる.本研究は,授業参加や課題従事行動を加速度計で計測された3軸加速度から求めた周波数で把握できるようにするために,授業中の児童の様々な行動と,それらの行動に伴う身体の揺れの周波数との対応を示すことを目的として実施された.小学校第3,5学年を対象に授業を模した活動を実施し,一般的な授業に近い形で様々な行動を起こさせ,各々の動きに伴う身体の揺れを加速度計で即時的・経時的に計測し,それらの周波数を求めた.行動の種別ごとに,各々の児童がとり得る周波数の最大値の範囲を一般化極値分布に当てはめて検討した結果,当該行動をとっているかを判断するための周波数の範囲が示された.さらに,課題従事とは見なせない児童の行動の周波数はほぼ0Hz であるか2.5Hz を上回るかのいずれかになることも示唆された.
著者
佐久間 大 吉井 拓弥 室田 真男
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.57-74, 2016-09-20 (Released:2016-09-15)
参考文献数
24

本研究では,総合的な学習の時間における教師の形成的FBの分類を検討することを目的とする.上記の目的を達成するため,観点Ⅰ:「技量の異なる教師間で用いる形成的FBの種類と与え方に違いがあるか」,観点Ⅱ:「児童の学習への取り組み具合と形成的FBの関係はどのようなものか」の2つの観点に基づき,小学校5年生の総合的な学習の時間における教師と児童間のインタラクションの発話分析を行った.また,児童作成ルーブリックを用いた評価データを用いて,数量分析を行った.分析の結果,熟達教師が児童の学習の取り組みタイプに応じて,35種類の形成的FBを使い分けていることが明らかになった.熟達教師は中堅教師よりも児童の取り組みタイプに応じて,形成的FBを使い分けていることが明らかになった.その一方,中堅教師は児童の取り組みタイプに関わらず,特定の形成的FBを繰り返し選んで用いることが明らかになった.また,主体的に取り組んでいる学習者に対して,学習における課題意識を持たせる形成的FBや,児童自身の内面から『解』を具象化しようとする形成的FBなどを与えることによって,児童を充実した学習活動へと導く可能性が示唆された.
著者
平野 智紀 原田 悠輔 加藤 紗夕理 畑中 一良
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.113-116, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
9

本研究では,全国学力・学習状況調査の結果を各学校が自校の教育指導・学習状況改善に活用することを促すワークショップを開発した.ジグソー法により自校の調査分析を分担して受け持つことで,自校の課題に焦点化された議論を可能にしたほか,反転学習により分析作業の一部を外に出し,多忙な学校現場においても実施可能なプログラムとした.ワークシートからは,自校の教育指導・学習状況改善のための現状認識を教員間で共有する効果があること,アンケートからは,反応レベル・学習レベル・行動変容レベルにおける一定の成果が示された.
著者
須田 昂宏
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.13-28, 2017-05-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
27

本論文では,大学授業の実態把握のためのツールとして,リアクションペーパーの記述内容に基づく学生の学びの可視化手法を開発した.「学びの具体性の保持」と「分析手続きの定式化」を重視し,中道らの「中間項」を参考とした.「中間項」は元のテキストデータを原文の具体性を保ちつつ構造化されたデータに変換するというものであり,学習を「直接的な学習対象」と「間接的な学習対象」からなるものとして捉えるマルトンの学習論に依拠する形でリアクションペーパーの記述内容を構造化されたデータに変換し,クロス集計表に整理し,コレスポンデンス分析とバブルチャートを適用することによって,「学生」と「学びの類型」の関連構造や「授業トピック」と「学びの類型」の関連構造を可視化することを可能にした.さらにはこれを多様な授業に試験的に適用することで,各授業固有の学びの特徴が明らかになると同時に,本可視化手法の有効性が示された.
著者
泰山 裕 小島 亜華里 黒上 晴夫
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.375-386, 2014

近年,小学校の教育課程において,体系的な情報教育が求められている.しかし,小学校の教育課程には情報教育を扱う専門教科は設定されておらず,情報教育に関わる目標は各教科の中に分散されており、明確に記述されていない.本研究では,体系的な情報教育のために教科横断的な思考スキルの指導が重要であると考える.先行研究において教科別に抽出された思考スキルを,個別に検討することで教科共通の19種類の思考スキルを得た.また,思考スキル同士の関係について,質的解釈と量的検討の2つの視点から分析を行うことで整理し,思考スキルの関係図としてまとめた.
著者
島田 英昭 平野 友朗
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Suppl., pp.5-8, 2017-01-15 (Released:2017-03-06)
参考文献数
4

メールを効果的に書くことは,学業やビジネスの効率化に役立つ.メールでは主にテキスト形式が用いられるため,レイアウトの操作に限界がある.本研究は,テキストメールの中で操作可能な行間と箇条書きに着目し,行間と箇条書きがメールの読解プロセスに与える影響を視線計測により心理実験的に調べた.大学生を対象に,案内,依頼,報告,催促に関するメールを読解することを求め,読解中の視線を計測した.その結果,行間と箇条書きが序盤の読解の安定と,終盤の見直しの促進に寄与していることが示唆された.
著者
石川 奈保子 向後 千春
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.315-324, 2017-02-20 (Released:2017-03-23)
参考文献数
25

本研究では,eラーニング制大学通信教育課程(オンライン大学)の基礎教育科目の受講生を対象に,「大学通信教育課程の社会人学生の自己調整学習方略尺度」による2波のパネル調査を行った.その結果,以下のことが明らかになった.(1) 大学通信教育課程の社会人学生の自己調整学習方略として,「Ⅰ学習方法を振り返る」「Ⅱ学習を工夫する」「Ⅲ大学の友人にたずねる」「Ⅳ学習計画を立てる」「Ⅴ自分にご褒美を与える」の5因子が抽出された.(2) 学習方略因子間の因果関係として,以下の2点が示された.学習方略使用状況は約半年後も大きくは変わらない.共分散構造分析により,「Ⅰ学習方法を振り返る」から「Ⅲ大学の友人にたずねる」「Ⅳ学習計画を立てる」へ,「Ⅳ学習計画を立てる」から「Ⅱ学習を工夫する」「Ⅴ自分にご褒美を与える」への影響が確認された.以上のことから,大学通信教育課程の社会人学生には,まず,「Ⅰ学習方法を振り返る」方略を使用するよう促すことで,自己調整学習のサイクルに誘導できる可能性があることが示唆された.
著者
舘野 泰一 中原 淳 木村 充 保田 江美 吉村 春美 田中 聡 浜屋 祐子 高崎 美佐 溝上 慎一
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.1-11, 2016

本研究では,大学での学び・生活が就職後のプロアクティブ行動にどのような影響を与えているかを検証するために質問紙調査を行った.本研究の特徴は2点ある.1点目は縦断調査という点である.近年,大学教育において「学校から仕事への移行」に関する調査研究は増えてきているが,その多くは振り返り調査という限界があった.2点目は,就職後のプロアクティブ行動に着目した点である.プロアクティブ行動とは,個人の主体的な行動のことであり,近年大学教育で議論されてきた「主体的な学び」の成果に関連が深い.しかし,これまでその影響について検証されてこなかった. 共分散構造分析を行った結果,1.授業外のコミュニティを持っている学生,2.大学生活が充実している学生ほど,就職後にプロアクティブ行動を行っていることが明らかになった.
著者
柳町 高正 赤倉 貴子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.9-12, 2006
参考文献数
5
被引用文献数
3

非同期型e-Learning Systemでは,学習者が質問・情報交換をするために電子掲示板が併用されている場合が多いが,質問をしても回答が得られるまで時間がかかる場合が多い.また,掲示板に記事数が多くなると,疑問解消の参考となる記事を探すことが難しくなる.そこで本研究では,学習者の学習内容その他に関する疑問解消を支援するシステムとして,学習者が掲示板に質問を書き込んだ時に,過去になされた類似した質問・回答を自動的に探し出して提示する機能を備えた電子掲示板を開発した.評価実験より,開発した電子掲示板は学習上の疑問を早期に解消できるシステムとして有用であることが示された.
著者
臼井 昭子 佐藤 克美
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Suppl., pp.129-132, 2017-04-01 (Released:2017-03-06)
参考文献数
9

美術科では言語活動を取り入れた鑑賞学習が重視されてきている.一方で,作品提示機器が充実していないなどの課題を抱えている.そこでインタラクティブな機能を持つ鑑賞用教材“D-FLIP Paintings”を開発した.本稿では,それを用いた鑑賞学習が意見の交流を喚起し新しい気付きをもたらすかについて明らかにするため,高校生6名2グループを対象に鑑賞の学習を行った.そして,生徒の発話を可視化した共起ネットワーク図や発話回数等を分析・考察したところ,インタラクティブな機能が意見の交流を活性化し新しい気付きをもたらした可能性があることがわかった.
著者
森 朋子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.31-40, 2009-07-20 (Released:2016-08-06)
参考文献数
30
被引用文献数
1

本研究では,初年次に導入される協調学習が学生に与える効果を検証し,その効果の質について検討を行い,知見を帰納的に抽出することを目的としている.多様な学習背景を持つ初年次の大学生が1つの授業を中心にした大学生活の中でどのような学びのダイナミックスを描くのか,入学時より1年間,エスノグラフィ調査を実施した.その結果,1年生前期には人間関係を新しく構築しようとする親和動機が協調学習環境の授業にも働き,社会的コミュニティが学習コミュニティとして有効に機能した.後期では学生個々の学生生活が豊かになるにつれて親和動機は低下し,学習本来への内発的動機づけの有無によってクラスがグループ化した.グループ化したことで協調学習における他者の位置づけおよびその効果の質にも差異が認められた.
著者
吉村 春美 中原 淳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.277-289, 2017-02-20 (Released:2017-03-23)
参考文献数
32

本研究の目的は,学校の様々な課題に共通する学校改善を目指したミドルリーダーの行動プロセスを明らかにすることである.本研究では,小・中学校に勤務するミドルリーダー15名に対して半構造化インタビューを行い,M-GTA(木下 2003)を用いて分析を行った.分析の結果,学校改善を目指したミドルリーダーの行動プロセスとして,17の概念,6つのカテゴリーが生成され,概念間及びカテゴリー間の関係が図にまとめられた.また,ミドルリーダーから教員に対する「関係性の醸成」,校長に対する「実践のビジョンへの結合」という働きかけの重要性が示唆された.今後は,本研究知見をミドルリーダー育成の内容や方法に反映することが求められる.
著者
新開 純子 宮地 功
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.5-8, 2009
被引用文献数
2

プログラミング教育では,アルゴリズムを作成する能力とプログラム言語で表現する能力を育成することが重要である.特に,アルゴリズムを作成する能力の育成は,問題解決能力の育成になり,重視すべきである.そこで,アルゴリズムを作成するまでのプロセスを重視した教育を行うために開発した学習支援システムを活用して,Cプログラミング入門教育を実践した.実践後,プログラミングに関する力と意識を調査した結果,プログラム作成プロセスに必要な知識と力が有意に向上することがわかった.
著者
鈴木 克明
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.171-179, 2012
被引用文献数
1

本稿では,大学における教育方法の改善・開発について,教育設計学に依拠しながら解説した.まず,出入口と三層構造で大学を俯瞰し,教育設計学の立場を教育工学研究への前提として整理した.次に,大学の授業改善の動向をFDに言及しながら概観し,授業以外の学習環境構築の先進例として米国における学生支援の動向を紹介した.最後に,大学教育に情報通信技術を利用して取り組む際の要素を整理した「サンドイッチモデル」を提案した.
著者
村上 正行 山田 政寛
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.181-192, 2012

本論文では,FDに関する歴史や政策の動向,定義,推進主体などについて説明した上で,大学教育・FDに関する研究について調査,分析を行った.授業,カリキュラム,組織的なFDの3つのレベルに分類し,紹介した.そして,教育工学研究者が大学教育やFDに対してどのような役割を担うべきか,今後どのような研究を行なっていくべきか,について検討した.教育工学研究者は,大学教育やFDにおける現代の問題について,教育政策も踏まえながら,実践を通した研究を行うことが求められていると言え,今後,大学教育の改善やFDに関する研究を発展させていくことが必要であると考えられる.
著者
藤原 康宏 大西 仁 永岡 慶三
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.29, no.Suppl, pp.109-112, 2006-03-20 (Released:2016-08-02)
参考文献数
7
被引用文献数
4

情報処理入門科目において,オンライン個別学習システムを利用した授業実践を行った.今回開発したシステムは,個々の学習者にあった教材の提示及び練習問題と,教師に学習者の理解状況を提供することができる.システムを使って個別に学習し,必要に応じて教員が個別に説明することで,能力のばらつきが大きい集団に対して,学習効果が確認された.しかし,下位の学習者に対しては,学習に必要とされる時間が多くなるため,より効率よく学習できるアルゴリズムが必要であると考えられる.
著者
田中 孝治 水島 和憲 仲林 清 池田 満
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.40065, (Released:2017-01-31)
参考文献数
31

多様化する仕事に適応できるように,企業の人材育成には,日常的に自ら育つ環境づくりが重要である.本研究では,分析過程が残る特徴と分析過程でストーリーラインが記述される特徴を持つ質的データ分析手法SCATを用いることで,新入社員の学び方の学びとその指導にあたった指導員の支援方法の表出化を試みた.本研究では,新入社員研修で用いる週報を新入社員と指導員とが対話する学習環境として捉え,週報に5週間に渡って記述された新入社員の振り返りとその振り返りに対する指導員のコメントを分析対象とした.分析結果から,指導員が,経験の積み重ねによる知識構築のプロセスである経験学習サイクルに沿って,実習員の学び方の学びを支援することで,実習員の学び方の学びが深化していることが読み取れた.本研究では,週報の分析から得られた結果を基に,学び方の学びの経験学習サイクルを転回する実習員と指導員の相互作用モデルを作成した.
著者
林 一雅
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, no.Suppl., pp.113-116, 2010-12-20 (Released:2016-08-07)
参考文献数
8
被引用文献数
3

本研究の目的は,アクティブラーニングを導入するために教員に対して授業支援を行うために,ICT支援型ラーニングスペースで実施された授業の類型化をすることである.レスポンスアナライザやタブレットPCなどのICTを活用したアクティブラーニングの授業を参与観察し,その授業形態や什器の配置から類型化を行った.その結果,講義+ディスカッション型,タブレットPC活用型,プレゼンテーション型,実習型の4類型を見出した.これらのことから,アクティブラーニングが行われる同一のラーニングスペースであっても教員や授業内容により多様な学習空間の利用方法があることを明確にした.さらにそれぞれの類型の特徴を指摘し,目的に応じた方法がとられるべきであることを指摘した.
著者
藤本 徹 山田 政寛
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.343-351, 2013

近年,ゲームの教育利用への関心は世界的に高まっており,研究枠組の精緻化や学習成果の評価に関する知見が蓄積されてきている.インフォーマル・ラーニングの領域においても,ゲームを利用した学習環境デザインの研究が進展している一方で,研究上の課題も示されている.本論文では,ゲームの教育利用に関する研究・実践や評価方法に関する研究について,最近20年ほどの間に取り組まれてきた海外における研究の動向を調査し,主要な論点の整理と今後の課題を検討する.そして,研究枠組や評価方法を整理して考察し,この分野の研究の今後の方向性を議論する.