著者
平野 智紀 安斎 勇樹 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.43034, (Released:2019-10-16)
参考文献数
25

本研究では,美術教育において広がりを持っている対話型鑑賞ワークショップについて,これを鑑賞者の知識構築の過程として捉え,ナビゲイター(ファシリテーター)による情報提供がどのように知識構築に寄与するのかについて検討した.鑑賞会への参与観察およびファシリテーションを担当した14名の学生ナビゲイターへのインタビューから,鑑賞における情報提供は「考えるための情報」と「確認のための情報」に分類された.プロトコル分析から,「考えるための情報」は,作品の表現内容と組み合わせて知識構築を促すために提供され,「確認のための情報」は議論の押さえとして,それぞれ提供タイミングが図られていることが明らかになった.
著者
伏木田 稚子
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.Suppl., pp.213-216, 2021-12-20 (Released:2022-02-02)
参考文献数
11

本研究では,学部2年生以上が対象のゼミナールについて,教員が実践上で抱える困難と学生にとってのゼミナールの価値に対する自己評価の検討を目的とした.質問紙調査の結果,「活動および指導の充実」や「学生の能力・意欲の不足」に困難を感じているほど,「自由な探究と積極的な議論」が成り立たず,「活動および指導の充実」を問題視しているほど,「メンバー間の良好な関係」が保たれていないと評価していることが示唆された.その一方で,実践上の困難の認識と学生の認知的な成長の評価には,有意な関係がみられなかった.
著者
坂井 裕紀 藤本 徹 池尻 良平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S43048, (Released:2019-10-31)
参考文献数
13

本研究では,世界の持続可能性を追求する地域人材育成をテーマとし,ゲーム要素を付与したプロジェクト学習が生徒の学習意欲とキャリアビジョンに及ぼす影響を検討した.高校1年男女256名を対象に授業実施前後において質問紙調査を行った結果,本授業を実施した群においては,授業実施前後で生徒の「学習意欲」および「キャリアビジョン」が有意に高いことが示された.これらのことから本授業のようなテーマにゲーム要素を付与したプロジェクト学習は生徒の学習意欲およびキャリアビジョンを高める可能性が示唆された.
著者
手塚 和佳奈 佐藤 和紀 堀田 龍也
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S47050, (Released:2023-10-27)
参考文献数
9

Web から信頼できる情報を収集するための批判的思考の技能を児童が獲得できるようにする手立てを検討することを目的に,小学校第5学年1学級を対象に批判的思考の技能を学ぶテキストを活用した実践を1ヶ月間実施した.その結果,Web からの情報収集について基礎的な指導を受けている学級においては,①教科等の学習の文脈で児童がWeb から情報を収集する際に,自分の必要とするタイミングでテキストを参照でき,②学習した批判的思考の技能を実際に発揮しながら鍛えることができる学習環境が,手立てとなることが示唆された.
著者
梅本 貴豊
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.79-87, 2013-05-20 (Released:2016-08-10)
参考文献数
34
被引用文献数
31

本研究では,メタ認知的方略,動機づけ調整方略が認知的方略,学習の持続性に与える影響について検討を行った.197名の大学生に対して,質問紙調査が行われた.動機づけ調整方略には下位尺度として自律的調整方略,協同方略,成績重視方略が,認知的方略には下位尺度として反復作業方略,深い処理方略,まとめ作業方略が含まれた.そして,重回帰分析により,以下の結果が示された.(1)自律的調整方略は,全ての認知的方略に促進的な影響を与えていた.(2)メタ認知的方略は,深い処理方略と学習の持続性に促進的な影響を与えていた.(3)成績重視方略は,反復作業方略に促進的な影響を,学習の持続性に抑制的な影響を与えていた.以上の結果に基づき,メタ認知的方略と動機づけ調整方略が学習を調整するプロセスについて議論が行われた.
著者
阿部 真由美 遠藤 健 森田 裕介
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.46068, (Released:2023-05-10)
参考文献数
17

本研究では,2020年度秋学期の大学での授業について,大学生を対象としたアンケート調査を実施し,学生が「有益」だととらえた授業の形態とその傾向を検証した.授業形態は,対面とリアルタイム,オンデマンド,さらにそれらの組み合わせといずれも含まない8つの形態に分類した.その結果,次の点が明らかになった.まず,「有益」な授業には,対面やリアルタイムでの同期型の授業が含まれていた.また,同期型の授業では,履修者の発言や授業内の協調活動が活発だった.一方,授業外の協調活動は対面授業によって促進される可能性が示唆された.さらに,授業の区分や規模,学生の学年により,「有益」な授業形態の傾向に違いが見られた.
著者
太田 剛 森本 容介 加藤 浩
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.197-208, 2016-12-24 (Released:2017-03-23)
参考文献数
26

本稿では,初等中等教育において全国レベルでプログラミング教育が実施されている英国,オーストラリア,米国のカリキュラムを調査し,その内容を総括的に述べる.各国とも情報教育として,プログラミング教育を包含するコンピュテーショナルシンキングの考え方を中核にして,抽象化,問題の分析,アルゴリズム,データ活用,評価,協働作業等の能力の育成を目指した学習内容を定義している.各国のプログラミング教育は類似した内容で,小学校低学年ではロボットやパズルを使用して手順の指示を行い,小学校高学年ではビジュアル言語を使用して分岐や反復を含むプログラムを制作し,中学校高校ではテキスト言語を使用して複数のデータ型やモジュールを含むプログラムを開発する.また,従来のICTの基本的操作,情報倫理,情報の安全教育などを小学校低学年から実施するなど総合的な情報教育の面もある.
著者
田口 真奈 後藤 崇志 毛利 隆夫
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.255-269, 2019-01-20 (Released:2019-02-02)
参考文献数
22

本研究では,京都大学において我が国で初めてグローバルMOOC を全面的に用いて反転授業を行った実践を2年間にわたって調査した.教員へのインタビュー調査と参与観察により,日本人学生を対象として実践された反転授業の授業デザインの特徴を明らかにした.さらに学習者へのインタビュー調査に基づく定性的手法による仮説生成と,MOOC の受講データと質問紙調査を組み合わせた定量的手法による仮説検証により,グローバルMOOC を活用した反転授業に学生がどのように取り組んだかを明らかにした.その結果,授業者が意図しなければ,学生は自発的には掲示板を利用しないこと,英語への抵抗感は反転授業やMOOC の成績と関連しないこと,講義ビデオ視聴や,課題への取り組みについては学生の個人差があることが明らかとなった.反転授業の成績との関連から「わかっているから内容をスキップする」というような視聴態度の学生は,そういった態度を持たない学生に比べて成績が低いという傾向が見られた.
著者
阿部 真由美 向後 千春
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.43009, (Released:2019-08-23)
参考文献数
11

学習者が英語学習を自律的に行う際,学習者の個別ニーズに合わせた学習をデザインし,そのプランに沿って学習を進めていくのが効果的だと考えられる.本研究では,大学の授業において英語学習デザインの指導を行い,その指導が学習者のプランニングとその後の学習に及ぼす影響を明らかにすることを目的として調査を実施した.その結果,以下の2点が明らかになった.(1)学習デザイン指導により,学習者は個別ニーズに合った学習プランを作成できるようになった.(2)個別ニーズのうち,学習者の好みに合わせた学習プランを作成することが学習に対する動機づけに影響し,学習者の好みや学習環境に合わせた学習プランがプランの実行度に影響を与えることが示された.以上の結果から,英語自律学習のための学習者の個別ニーズに合わせた学習デザイン指導,特に学習者の好みを考慮したプランニングの重要性が示唆された.
著者
松村 敦 森 円花 宇陀 則彦
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.125-128, 2016

絵本の読み聞かせを効果的に行うための読み方の1つとして,登場人物の演じ分けが子どもに与える影響について検討した.具体的には,物語理解と物語の印象の2つの側面における子どもへの影響を実験的に明らかにすることを目的とした. 5,6歳児23名に対して,登場人物を大げさに演じ分けて読み聞かせる演じ分け群と演じ分けをしない統制群の2グループに分けて,物語理解度を測るテスト,物語の印象を聞く質問を行った.実験の結果,演じ分けによって物語理解には影響がなかった.ただし,登場人物の心情を問う項目については,統制群の方が高いという傾向が示された.また,物語の印象では,演じ分け群の方が印象が偏る傾向がみられた.
著者
牧村 真帆 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.173-176, 2009
参考文献数
4

ワークショップのデザインプロセスのうち,初期段階のアイディアの生成過程における実践家の思考過程を明らかにすることを目的とし,6名の実践家を対象に,思考発話法と半構造化インタビューを用いて実験を行った.案の生成と下見時の空間体験との関係について分析を行った結果,新たな案が生まれる際に,空間がそのきっかけとなっていることが明らかになった.また,デザインプロセスにおいて既出の案が別の案へと展開される際にも,多くの場合空間に関する気づきや解釈がきっかけとなっていることがわかった.
著者
富田 英司 水上 悦雄 森本 郁代 大塚 裕子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.431-440, 2010
被引用文献数
1

本研究は,6名程度のグループにおいて第三者の援助なしに自ら話し合いを進めるスキルである「自律的対話能力」の獲得を促進する要因として,議論への参加順序およびグループサイズの効果を検討した.議論活動の評価は参加者の自己評定値によって行った.評価は「誠実な参加態度」「対等な関係性」「議論の活発さ」「意見の多様さ」「議論の深まり」「議論の管理」「議論の積み上げ」の7観点で行われた.参加者は大学生89名であった.分析の結果,議論の活発さを促進するためには,他のグループが議論する様子を観察した後で議論に参加させ,グループサイズを6名で一定にしておく,あるいは徐々に増加させることが有効であることが示唆された.議論の管理能力を促進するには,徐々にグループサイズを大きくしていくことが有効であることが示唆された.
著者
見舘 好隆 永井 正洋 北澤 武 上野 淳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.189-196, 2008-10-20 (Released:2016-08-05)
参考文献数
22
被引用文献数
1

学生の「学習意欲」や「大学生活の満足度」は,どのような要因が押し上げているのか.想定される様々な要因を探るアンケートを公立S大学の学生に実施し,その結果から因子分析によって「学習意欲」「大学生活の満足度」に影響を与えていると想定される因子を抽出した.そして抽出された因子間の因果関係を共分散構造分析にて分析した結果,「教員とのコミュニケーション」は「学習意欲」を高め,さらに「大学生活の満足度」にも影響を与えていた.また,「友人とのコミュニケーション」は「大学生活の満足度」にあまり影響を与えておらず,「学習意欲」には関連がないことが示唆された.
著者
池尻 良平 池田 めぐみ 田中 聡 鈴木 智之 城戸 楓 土屋 裕介 今井 良 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.247-255, 2021-09-10 (Released:2021-09-22)
参考文献数
17

本稿では,木村ほか(2011)の職場における経験学習尺度を用いて,若年労働者の経験学習を測定する際,どのように因子構造を解釈するのが妥当なのかを考察した.その結果,若年労働者を対象にした場合は,「具体的経験」で1因子,「内省的観察」,「抽象的概念化」,「能動的実験」で1因子の合計2因子構造が,最も妥当性が高いことが示された.この結果を踏まえ,経験学習の測定時における因子構造については,4因子構造に固定化せず,経験学習モデルと因子構造の対応を柔軟に解釈する方が分析の質の向上につながる可能性があることを示した.
著者
保田 江美 中原 淳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.221-240, 2017-02-20 (Released:2017-03-23)
参考文献数
59

本研究の目的は,新人看護師の学習の場として病棟内の看護チームに着目し,看護チームのチームワークが新人看護師の臨床実践能力に及ぼす影響を明らかにすることである.本研究では,5病院の新人看護師とその実地指導者各314名を対象に質問紙調査を実施した.また,質問紙調査の結果を補完するため,中堅看護師と実地指導者計10名に面接調査を実施した.質問紙調査の結果,チームワーク構成要素のうち,1)チーム内で業務量をモニタリングし調整するメンバーの行動,2)対人関係を維持・強化するリーダーシップの発揮,3)メンバーへの的確な指示・指導を行うリーダーシップの発揮,4)チーム内の対人関係の良好さ,が新人看護師の臨床実践能力を高めることが明らかになった.また,新人看護師の臨床実践能力向上に資するチームワーク形成の基盤として,チーム内で発揮されるリーダーシップの重要性が示された.面接調査ではこれらの結果を補足する発話を得た.
著者
後藤 崇志 石橋 優也 後藤 大樹
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S44080, (Released:2020-06-26)
参考文献数
8

本研究では,小・中学生とその親を対象とした調査を行い,親の学習観と子どもの学習への取り組みとの間に関連が見られるかを検討した.具体的には,親が持つ学習観(経験的で深い学習観,学校依存で浅い学習観)と,子どもの達成目標(マスタリー目標,パフォーマンス接近目標,パフォーマンス回避目標)と学習アプローチ(深いアプローチ,浅いアプローチ)の間に関連が見られるかを検討した.その結果,親が経験的で深い学習観を持つほど,子どもは学習内容を知識と結びつけるような学習アプローチを取りやすいなど,親の学習観と子どもの学習への取り組みとの間には一定の関連が示された.
著者
藤本 徹 荒 優 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.43027, (Released:2019-09-10)
参考文献数
35

近年の大規模公開オンライン講座(MOOC)の進展により,世界規模で受講者を集めるグローバルなオンライン教育プラットフォームが普及した.その一方で,学習意欲の向上や継続的な学習支援の仕組みの不足が指摘されている.本稿では,MOOCの学習支援の手法としてゲーミフィケーションに着目し,MOOCのコースデザインにゲーミフィケーションを取り入れた先行研究をレビュー調査した結果をもとに,ゲーミフィケーションの構成要素やそのコースへの導入のための基本的なモデルや理論的枠組みの研究動向を検討した.MOOCのコースデザイン上の課題に対し,ゲーミフィケーションを試行的に取り入れた研究が見られ,デザインフレームワークを体系化する取り組みも見られるが,ポイントやバッジなどの実装しやすい要素の導入が多いことが確認された.
著者
松村 敦 森 円花 宇陀 則彦
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.39, no.Suppl, pp.125-128, 2016-01-25 (Released:2016-02-12)
参考文献数
9

絵本の読み聞かせを効果的に行うための読み方の1つとして,登場人物の演じ分けが子どもに与える影響について検討した.具体的には,物語理解と物語の印象の2つの側面における子どもへの影響を実験的に明らかにすることを目的とした. 5,6歳児23名に対して,登場人物を大げさに演じ分けて読み聞かせる演じ分け群と演じ分けをしない統制群の2グループに分けて,物語理解度を測るテスト,物語の印象を聞く質問を行った.実験の結果,演じ分けによって物語理解には影響がなかった.ただし,登場人物の心情を問う項目については,統制群の方が高いという傾向が示された.また,物語の印象では,演じ分け群の方が印象が偏る傾向がみられた.
著者
安斎 勇樹 森 玲奈 山内 祐平
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.135-145, 2011
参考文献数
23
被引用文献数
1

本研究の目的は,協同制作を課題とした大学生向けのワークショップにおいて,創発的コラボレーションを促すためのプログラムデザインの指針を示すことである.本研究では,創発の源泉としての「矛盾」の効果に着目し,「作品の制作課題に,相反するイメージを持ちながら多様な解釈の可能性を持った2つの条件を設定する」というデザイン原則を仮説として設定した.デザイン原則に基づく実践を4回(全15グループ),比較対象としてデザイン原則に基づかない実践を4回(全11グループ)行い,各グループの制作プロセスを質的に分析した.その結果,デザイン原則に基づく実践においては,制作中に提案されたアイデアや制作物に対する視点に揺さぶりがかかり,創発的コラボレーションが促されることがわかった.ただし,参加者が設定した2条件を「相反するもの」として解釈しなかった場合は,視点の揺さぶりがかからないために創発的コラボレーションは起こりにくいことがわかった.その点に留意すれば,本研究で提案したデザイン原則は有効であることが示された.
著者
渡邉 文枝 向後 千春
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.40100, (Released:2017-04-20)
参考文献数
21

本研究では,MOOCに代表されるオンライン講座におけるドロップアウト率の低減を図るための示唆を得るために,JMOOCの講座における学習者のeラーニング指向性と相互評価指向性(相互評価への信頼感,相互評価の有用感)が学習継続意欲と講座評価に及ぼす影響について検討した.その結果,eラーニング指向性は,相互評価の有用感と学習継続意欲,講座評価に正の影響を及ぼすことが示された.相互評価指向性においては,相互評価への信頼感から講座評価に正の影響を及ぼすことが示された.相互評価の有用感は相互評価への信頼感と学習継続意欲,講座評価に正の影響を及ぼすことが示された.また,相互評価の有用感は,学習継続意欲と講座評価に対して最も大きな正の影響力を示した.これらのことから,eラーニング指向性と相互評価指向性は学習継続意欲と講座評価に寄与することが示唆された.