著者
柏原士郎 上野淳 森田孝夫 カシハラ シロウ ウエノ ジュン モリタ タカオ Kashihara Shiro Ueno Jun Morita Takao
出版者
大阪大学出版会

1995年1月17日兵庫県南部地震発生.その直後から筆者らは現地に入り調査を開始し,避難所と避難生活の実態を継続的に記録する.そして地域住民の避難行動,避難拠点形成過程を分析し,施設・空間の利用構造,生活環境としての問題点を明らかにした.とくに避難所の中核“学校"についての知見と提言は,地方自治体の防災基本方針をたてるうえで一石を投じる.逃げないで安全で住みよい地域生活環境を創造するための貴重な基礎資料.
著者
上野 淳子 松並 知子 青野 篤子
出版者
四天王寺大学
雑誌
四天王寺大学紀要 (ISSN:18833497)
巻号頁・発行日
no.66, pp.91-104, 2018-09-25

従来のデートDV 研究は,暴力行為を受けた経験のみを被害と見なしてきた。本研究では,デートDV 被害を暴力行為とそれがもたらした影響(恋人による被支配感の高まり,自尊感情の低下)から成るものとして捉え,デートDV 被害の実態と男女差を検討した。大学生を対象とした質問紙調査の結果,恋人からの暴力行為のうち“精神的暴力:束縛”,“精神的暴力:軽侮”,“身体的暴力・脅迫”は男性の方が女性より多く受けており,“性的暴力”のみ男女で受ける割合に差がなかった。しかし,恋人による被支配感は男女差がなく,自尊感情は“身体的暴力・脅迫”を受けた女性が低かったことから,男性は暴力行為を受けても心理的にネガティブな影響は受けにくいことが示唆された。多母集団同時分析の結果,男女とも“精神的暴力:軽侮”および“性的暴力”を受けることで恋人による被支配感が高まり,恋人による被支配感は自尊感情を低下させていた。しかし同時に,暴力行為の影響には男女で異なる点もあった。暴力行為だけでなく恋人による被支配感も含めて暴力被害を捉える重要性が示された。
著者
見舘 好隆 永井 正洋 北澤 武 上野 淳
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.189-196, 2008-10-20 (Released:2016-08-05)
参考文献数
22
被引用文献数
1

学生の「学習意欲」や「大学生活の満足度」は,どのような要因が押し上げているのか.想定される様々な要因を探るアンケートを公立S大学の学生に実施し,その結果から因子分析によって「学習意欲」「大学生活の満足度」に影響を与えていると想定される因子を抽出した.そして抽出された因子間の因果関係を共分散構造分析にて分析した結果,「教員とのコミュニケーション」は「学習意欲」を高め,さらに「大学生活の満足度」にも影響を与えていた.また,「友人とのコミュニケーション」は「大学生活の満足度」にあまり影響を与えておらず,「学習意欲」には関連がないことが示唆された.
著者
上野 淳子
出版者
日本都市社会学会
雑誌
日本都市社会学会年報 (ISSN:13414585)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.28, pp.201-217, 2010 (Released:2011-12-20)
参考文献数
35
被引用文献数
1 2

This paper aims to examine the changing nature of the Japanese and Tokyo's political system, which have driven spatial reformation and resulted in socio-spatial polarization in Tokyo after the bubble economy burst.    By analyzing the policy changes, this paper reveals three points. Firstly, the destruction of inter-area redistribution system and the new market-oriented, urban development policy demonstrate the neoliberalizaion of Japanese “developmental state.” The government has reduced “inefficient” public investment in rural area and concentrated investment in Tokyo to promote large-scale development project by private firms. Though the Japanese government has still guided development, the political system became different from a “developmental state.”    Secondly, spatial reformation of Tokyo has been enabled through neoliberal reformation in other realm by Tokyo Metropolitan Government (TMG). TMG has placed top priority on spatial reformation to become a “Global City” at the expense of welfare, medical services and education.    Finally, fiscal crisis and fear of losing international status have urged the Japanese government and TMG for neoliberal reform. Tokyo's deteriorating competitiveness will continue to provide a further motive for exploring neoliberal strategies.
著者
上野 淳也
出版者
別府大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本へ大砲(後装砲)が伝来した過程とその展開を明らかとする為、欧州・東南アジア及び国内で実測と金属サンプルの採取調査をおこなった。ロシア砲兵博物館では、大友宗麟のものとされる大砲の分析結果を発表し、フランス軍事博物館及び王立ベルギー軍事博物館では戦国武将藤堂高虎と佐竹義宣のものと考えられる和製大砲を発見した。国立マレーシア博物館ではイスラム砲の調査を、ポルトガル・スペインでは伝来大砲のルーツに関する調査を実施した。戦国時代の和製大砲は、西欧砲にルーツを持ち、伝播過程において東南アジアのイスラム系技術がこれに大きな影響を与えて成立したものである事を、理科学的な裏付けをもって説明できた。
著者
上野 淳子
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.13, pp.227-238, 2000-06-05 (Released:2010-04-21)
参考文献数
22

As urban spaces become commodified for the ‘tourist gaze’, consumers play an important role in the process of ‘branding’, or the aetheticization in which producers attach images to spaces. This paper will discuss what kinds of people consume the aetheticized space. Consuming spaces implies seeing physical landscapes through such images and that notions of both images and physical landscapes precede it. It has been said that the upper-middle class and households without children tend to recognize both of them as important. Our research in Daiba shows the same tendency. It also reveals that older people consume the commodified space much more than younger people.
著者
永井 正洋 上野 淳 貴家 仁志 北澤 武 渡邉 雄貴 加藤 浩 福本 徹
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

児童の表現の論理性を向上させるために,デジタルペンとマインドマップを用いる中でエキスパート参加の協調学習を行わせ意見文を書かせる授業実践を行い,その総合的な有効性を研究の前半で示した.しかし,どの足場掛けがより有効であるのかは不明確であった.そこで,児童に意識調査を実施した後,授業についての因果モデルを構築し共分散構造分析にて検証した.その結果「授業での理解度と満足度」には,「マインドマップの好感度」や「エキスパート参加の協調学習での理解度と好感度」が影響を与えること,また,デジタルペンについては,授業の総括的評価には影響を与えず,通常の文具のように学習の文脈に馴染んでいることが示唆された.
著者
井ノ崎 敦子 上野 淳子 松並 知子 青野 篤子 赤澤 淳子
出版者
大阪教育大学学校危機メンタルサポートセンター
雑誌
学校危機とメンタルケア (ISSN:1883745X)
巻号頁・発行日
no.4, pp.49-64, 2012-03-31

近年、10代や20代の若者のカップルにおける暴力、すなわちデートDVが深刻な社会問題として注目されている。デートDV予防の重要性が指摘され、様々な実践活動が各地で展開されているが、生起メカニズムに関する研究はほとんどない。デートDVは暴力問題の1つでもあるが、不健全な恋愛関係の1形態でもある。恋愛関係に関しては、愛着理論に基づく研究が進んでいる。それらの中で、不健全な愛着を示す者は、不健全な恋愛関係を形成しやすいことが指摘されている。このことから、デートDVの生起が愛着の不健全さと関連があると考えられる。そこで、本研究では、デートDVの加害及び被害経験の程度と愛着の不健全さとの聞に関連が見られるかを検討することを目的とした。729人の大学生を対象に調査した結果、男女ともデートDV経験と愛着の不健全さとの聞に関連が見られ、男性の場合は、デートDV加害経験と親密性の回避と関連があり、女性の場合、デートDV加害及び被害経験と見捨てられ不安との聞に関連が見られた。また、男女でデートDV経験のリスクの高い愛着スタイノレが「とらわれ型」であったが、男女でデートDV経験の生起に関係する愛着の次元が異なった。以上のことから、性別の違いによって、愛着の不健全さとデートDVの経験の形の関連には違いがあり、デートDV予防にもジェンダーを考慮したプログラムの開発が必要であることが示唆された。
著者
赤澤 淳子 井ノ崎 敦子 上野 淳子 松並 知子 青野 篤子
出版者
仁愛大学
雑誌
仁愛大学研究紀要. 人間学部篇 (ISSN:21853355)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.11-23, 2011-12-30

本研究では,デートDVを当事者間の親密性や関係性などの関係的変数から検討することを目的とした.具体的には,衡平性の認知による,恋愛スタイルやデートDV被害・加害経験の差異,また,衡平性に関する各変数および恋愛スタイルが,デートDVの被害加害経験に及ぼす影響について分析した.調査への参加者は,大学および短期大学の学生329名であった.分析の結果,過小利得者は,衡平利得者や過大利得者より関係満足度が低かった.また,過小利得者では,パートナーとの関係性に没頭する狂気的な愛のスタイルや,パートナーとの間に距離を保とうとする遊び半分のゲーム感覚的な愛のスタイルという対称的な感情が高いという特徴が示され,アンビバレントな感情をパートナーに対して抱きやすいことが示唆された.さらに,自己投入がManiaを経由して,DV被害加害経験を生起させることが明らかとなった.つまり,関係のアンバランスさが,嫉妬,不安,抑うつのような強い感情を高め,デートDVの加害・被害を引き起こしている可能性が示唆された.
著者
上野 淳
出版者
日本建築学会
雑誌
建築雑誌
巻号頁・発行日
no.1746, 2021-02-20
著者
長井 厚 八木 真爾 上野 淳
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.16, no.32, pp.285-290, 2010-02-20 (Released:2010-02-19)
参考文献数
3

In recent years, the integrated compulsory education school that aims at a unified primary and secondary school education system is becoming more popular. However, there is very little architectural knowledge or models for such schools. It seems that the planning and design process is in the undeveloped situation. This report presents a study on planning and design process of the integrated compulsory education school which is designed by the architect and the researcher cooperated with the education board of Shinagawa city, and a document that contributes to development of the integrated compulsory education school planning.
著者
五十畑 弘 鈴木 淳司 上野 淳人 尾栢 茂
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.96-106, 2012 (Released:2012-09-20)
参考文献数
18

旧江ヶ崎跨線橋200ftトラス(常磐線隅田川橋梁)は,錬鉄から鋼に切り替わった比較的初期の鋼橋である.鉄道橋から道路橋に転用され,もう一度道路橋に再生される過程で,鋼材性能等の調査がされた.イングランドのハンディサイドで製作され輸入されたことは,すでに知られていたが,再生加工中に,部材表面の陽刻から,鋼材はスコットランドの製鉄会社からのものであることが確認された. 本論文では,部材再利用を通じて得られた知見や,新たに入手した19世紀後半における錬鉄,鋼材,製作工場等に関する文献によって,錬鉄から鋼へ切り替えが進められた時期における初期の鋼橋技術について考察を行った.この結果,錬鉄から鋼へ切り替わる時期における構造材としての鋼に対する当時の認識や,切り替えにおける技術的判断の過程が明らかとなった.
著者
上野 淳子
出版者
The Japan Association of Economic Geography
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.275-291, 2017-12-30 (Released:2018-12-30)
参考文献数
54

21世紀に入って東京では建築物の高層化と超高層建築の都心集中が進行したが,その背景として都市計画の規制緩和がある.本論文では「ネオリベラル化する都市」論をふまえながら,東京都中央区を事例として①都市計画の規制緩和の進展と都心自治体の対応,②規制緩和された空間が孕む問題について考察した.    1980年代から2000年代までの約30年間は,中曽根「民活」と小泉「都市再生」という新自由主義的な政策のもとで国家が都市空間への介入を強めた時期であった.これまでの研究では国の役割に焦点が置かれてきたが,自治体は単に国に従属するだけの主体ではない.本論文で取り上げた中央区は,戦略的に国や都との関係を取り結び,規制緩和路線に加担していった.規制緩和は,国から一方的に押し付けられたものと言うより,部分的には自治体が選び取った結果である.ただし,都市計画等における自治体の権限が制限されていたことを考慮するならば,規制緩和は,追い詰められた自治体の前に用意された「構造化された選択肢」(船橋,1995)であったと言えよう.こうした規制緩和によって生み出された東京の空間は,社会公正および開発の持続可能性の点で問題を孕む.
著者
倉斗 綾子 上野 淳
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.66, no.540, pp.111-118, 2001-02-28 (Released:2017-02-04)
参考文献数
6
被引用文献数
3 4

This study aims at considering about planning of primary schools through the investigation works that observed the actual conditions of pupils' activities were undertaken at Utase Primary School since 4 years ago when it established. This paper reported the feature of the way to use spaces and the actual conditions of pupils' grouping (; they were analyzed from the viewpoint of furniture arrangements and pupils' activities). This work revealed as follows:, 1) In Utase, there were some various spaces in learning spaces. It is different from learning spaces as before that were composed by only 'class spaces' and 'open spaces'. 2) The various spaces were composed in the spaces of each grade, but it has been changing continually by increasing the number of pupils and classes. Finally, it showed the relations between learning activities, the various spaces and the groups of activities.