著者
沖田 一彦 小林 弘基 星野 晋
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.61-65, 2004 (Released:2004-04-08)
参考文献数
6

代替医療を利用し運動療法に対するコンプライアンスの低さが問題となった症例に対し,インタビューを実施してその理由を質的に分析した。症例は,62歳の左下腿開放性骨折の男性であった。手術後,理学療法室での積極的な運動療法が開始されたが,担当理学療法士の指示を守らず自己流の運動を行なう,院内において民間療法である軟膏を利用するなどが問題となった。非構造化インタビューの結果,患者には,軟膏の効果に関する言説をもとに,それを塗ることで生じる皮膚の変調と症状の軽減とを因果的に結びつけて考える認知構造が存在していると考えられた。代替療法の利用は医療全体の問題となっているが,そのような患者の行動の背景には,感覚,意味付け,身体イメージの形成をキーワードとした認知機構が横たわっていると考えられた。
著者
白井 孝尚 井尻 朋人 鈴木 俊明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.361-365, 2020 (Released:2020-06-20)
参考文献数
25
被引用文献数
2

〔目的〕スマートフォンのアプリケーションを用いて,妥当性のある肩甲骨の運動方向および運動角度が得られるかを調査した.〔対象と方法〕健常男性10名に上肢前方挙上と結帯動作をさせた.三次元動作解析装置とアプリケーションを用いて,各課題時の肩甲骨の前傾および上方回旋の角度を計測した.〔結果〕全課題において,三次元動作解析装置とアプリケーションで算出された結果には,相関関係を認めた.また,ICC(1,2),(2,2)において,高い判定を認めた.〔結語〕アプリケーションでの測定方法は,上肢前方挙上や結帯動作時の肩甲骨のアライメントを評価できる有用な方法の一つであり,肩関節の評価に役立てられると考える.
著者
鈴川 芽久美 島田 裕之 小林 久美子 鈴木 隆雄
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.103-107, 2010 (Released:2010-03-26)
参考文献数
24
被引用文献数
16 6

〔目的〕本研究の目的は,要介護認定を受けた高齢者における外出行動と身体機能との関係を明らかにすることである。〔対象〕通所介護サービスを利用していた高齢者359名(平均年齢82.2±7.0歳,男性119名,女性240名)とした。〔方法〕調査項目は性,年齢,chair stand test 5 times,timed up-and-go test(TUG),階段昇降の自立度,mental status questionnaireとした。なお外出は,これら調査の前後1ヶ月間(2ヶ月間)の状況を対象者の家族から聴取した。〔結果〕多重ロジスティック回帰分析の結果,TUGが有意に町内までの外出と関連し(オッズ比;1.04,95%信頼区間;1.01-1.08),町外までの外出とは階段昇降の自立度が有意に関連した(オッズ比;1.74,95%信頼区間;1.06-2.86)。〔結語〕外出の実行には実用的な歩行機能が必要であり,より複雑な状況への適応を要求される町外への外出には,階段の自立度が関与した。
著者
及川 真人 久保 晃
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.183-186, 2015 (Released:2015-06-24)
参考文献数
13
被引用文献数
8

〔目的〕歩行パフォーマンスと生活空間の関係を明らかにすることとした.〔対象〕脳血管障害により片麻痺を呈し,当院外来に通院している138名とした.〔方法〕歩行パフォーマンス評価には10m歩行時間を生活空間評価にはLife-space Assessment(以下LSA)を用いた.両変数の相関を分析し,単回帰式を算出した.また,より適合する曲線回帰を検討した.〔結果〕LSAと10m歩行時間はr=-0.576と負の相関を示した.また,直線回帰に比べ,逆数回帰がr=-0.768とより適合した.〔結語〕10m歩行時間から生活空間を把握し,生活アドバイスを行うことは生活期リハにおいて有効であると考える.
著者
室田 由美子 大橋 三広 芳野 純
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.601-606, 2019 (Released:2019-10-28)
参考文献数
16

〔目的〕訪問療法士が単独で訪問可能となるレベルに関するOJT評価指標について,信頼性と妥当性の検証された到達目標を開発する.〔対象と方法〕訪問療法士指導経験者に対しインタビュー調査を実施し,内容分析を行った.〔結果〕756記録単位が得られ50サブカテゴリー(到達目標)と15カテゴリーが形成された.第三者との一致率では高い信頼性が得られた.病院療法士や訪問看護師のOJTとの比較では,本研究は全カテゴリーを網羅しており,内容的妥当性が保たれた.〔結語〕信頼性と妥当性の検証された訪問療法士のOJT到達目標を明らかにすることができ,訪問療法士の評価指標に活用していけるものと考えられた.環境調整・活動参加・多職種連携は優先的OJTであった.
著者
右田 正澄 山本 澄子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.845-849, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
17

〔目的〕脳卒中患者の短下肢装具装着に着目して,運動麻痺の程度や座位バランス能力などの身体機能が装着時間に関連があるか検討することを目的とした.〔対象と方法〕生活期の脳卒中患者19名に対して,Shoe Horn Braceとタマラック継手付短下肢装具(継手付AFO),Gait Solution Designの3種類の短下肢装具を用いて装着時間を比較し,その装着時間と運動麻痺や関節可動域,筋緊張,座位バランス能力との関連を分析した.〔結果〕装着時間は継手付AFOが有意に短く,装具の種類に限らず装着時間と座位バランス能力には有意な相関が認められた.〔結語〕3種類のAFOの装着時間と座位バランス能力には関連がある可能性が示唆された.
著者
横井 輝夫 加藤 浩 藤川 純朗 高田 聖歩 米中 幸代
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.833-835, 2009 (Released:2010-01-28)
参考文献数
6

〔目的〕体幹の側屈と頚部の立ち直りの有無が嚥下動態に与える影響を明らかにすること。〔対象〕研究に同意が得られた健常者12名(平均年齢21.3歳)とした。〔方法〕安楽にした椅子座位,体幹30度側屈・頚部の立ち直り有りと無しでの3条件について,表面筋電図を用いて,おかゆ10 gを嚥下した際の舌骨上筋群の活動持続時間(嚥下時間の指標)を測定した。〔結果〕舌骨上筋群の活動持続時間は,安楽にした椅子座位に対して,体幹30度側屈・頚部の立ち直り有りとの間では有意差は認められず,体幹30度側屈・頚部の立ち直り無しでは有意な延長が認められた。〔結語〕嚥下時間は体幹の側屈のみでは延長せず,頚部の立ち直りの有無に左右されていた。嚥下時間の延長は,誤嚥の危険性を高めるとされているため,摂食姿勢を整える際,特に頭部の垂直位保持に留意することの重要性が示された。
著者
我妻 昂樹 鈴木 博人 川上 真吾 鈴木 さゆり 佐藤 清登 松坂 大毅 嶋田 剛義 榊 望 藤澤 宏幸
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.579-584, 2022 (Released:2022-12-15)
参考文献数
17

〔目的〕運動器疾患患者の治療場面を観察し,理学療法士の言語指導の実態を明らかにすることとした.〔対象と方法〕理学療法士13名,患者11名が参加し,19場面を測定した.測定後,言語指導を言語教示,フィードバック,言語強化に分類した.〔結果〕理学療法士による言語指導の43.0%が言語強化であった.また,理学療法士が使用した言語教示の69.1%,フィードバックの89.0%がInternal Focus of Attentionであった.〔結語〕理学療法士は,言語強化を無自覚に多用している可能性が示唆された.動作指導では目標物を設置しづらいが故に,Internal focus of attentionが多用される可能性が示唆された.
著者
千葉 康平 金子 賢人 出雲 雄大 山下 智幸 林 宗博 田中 清和
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.627-633, 2022 (Released:2022-12-15)
参考文献数
34

〔目的〕重症新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に対する腹臥位療法実施前後の呼吸機能を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕2020年3月~2021年11月に日本赤十字社医療センターで人工呼吸器管理を行ったCOVID-19患者24例を対象とした.対象群における腹臥位療法実施前後での呼吸機能を比較検討した.呼吸機能の指標には,血液データからP/F比と人工呼吸器のグラフィックモニターからPpeak,PEEP,⊿P,Cstatを用いた.〔結果〕腹臥位療法実施後,P/F比とCstatは有意に増加していた.腹臥位療法実施後,PpeakとPEEP,⊿Pは減少していたが有意差はなかった.〔結語〕重症COVID-19患者に対する腹臥位療法実施は,呼吸状態改善に寄与することが示唆された.
著者
飯田 修平 加藤 勝行 徳田 良英 窪川 徹 阪井 康友
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.635-641, 2022 (Released:2022-12-15)
参考文献数
15

〔目的〕新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い,学外での見学実習が不可能となったため,緊急措置として実施した学内の代替実習の教育効果を検証した.〔対象と方法〕理学療法学科1年生102名,臨床実習指導者の外部講師8名を対象に,主観的学習達成度と習得内容をアンケート調査した.〔結果〕情意領域,認知領域,技能領域での主観的学習達成度は,全て肯定的回答であった.得られた経験は,情意領域全般,幅広い分野の業務内容,動画を通した患者の接し方,症状,理学療法であった.得られなかった経験は,実際の患者とのコミュニケーション,現場実習の緊張感や雰囲気,詳細な患者状態であった.〔結語〕臨床実習を想定した学内での教育の質を向上させることが重要である.
著者
金子 賢人 石坂 正大 千葉 康平 山下 智幸 乃美 証 田中 清和 髙橋 仁美 久保 晃
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.537-542, 2022 (Released:2022-12-15)
参考文献数
13

〔目的〕重症COVID-19肺炎で入院し,自立歩行で退院した患者の特徴を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕集中治療室でリハビリテーションを実施した112例を対象に,退院時の歩行の可否で自立群(76名)と非自立群(36名)を基礎情報,呼吸機能,身体機能,離床状況を2群で比較,検討した.〔結果〕自立群と非自立群は,年齢(55.8 ± 12.3 vs 66.7 ± 13.0歳),せん妄(12 vs 12名),Sequential Organ Failure Assessment score(SOFA)スコア(7 vs 8),ferritin(1813 vs 1168 ng/mL),挿管期間(6.1 vs 11.1日)で有意差がみられた.〔結語〕自立群では,年齢,せん妄,SOFAスコア,ferritin,挿管期間が関係することが示唆された.
著者
小林 薰 柊 幸伸
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.55-58, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
9
被引用文献数
5 2

〔目的〕大学生における運動有能感の高低と主観的健康感,主観的疲労感,主観的体力,運動習慣,運動部活動の経験を調査した.〔対象と方法〕本学の体育科目を履修した848名を対象とした.各自に質問紙とマークシートを配布し,それぞれの質問に該当する回答カテゴリーを1つだけ選択させた.〔結果〕χ2検定では,男女ともに運動有能感のlow群で「健康でない」,「運動部活動の経験なし」,high群で「体力がある」,「運動習慣がある」の割合が有意に多かった.〔結語〕体育科目以外での運動・スポーツ経験が不足している運動部活動の経験がない者にとっては,運動有能感が得られにくいだけではなく,運動の習慣化にも影響することが示唆された.
著者
井ノ上 修一 黒木場 博幸 林田 友一 林田 一夫 迫田 馨
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.191-196, 1996-11-20 (Released:2007-03-29)
参考文献数
3
被引用文献数
1

当院では両膝とも手術適応のある変形性膝関節症患者に対して積極的に両側同時TKAを行い, 片側のみのTKAと同様のプログラムで術後の理学療法を進め,looseningなどを起こすことなく順調に現在に到っている。今回当院での後療法プログラムを紹介するとともに,両側同時でも片側のみと同様にプログラムを進める当院での方法を機能的な面から検証した。対象は, すでに退院して機能的に安定したと考えられる40名(両側同時TKA20名,片側TKA20名)とし,方法は膝ROMと歩行速度について測定し比較した。結果は両群の間で差は認められず,両側同時でも片側のみのプログラムに手を加えることなく同様に進める方法も有用であると考えられた。
著者
谷 浩明 丸山 仁司
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.17-21, 2000 (Released:2007-03-29)
参考文献数
6
被引用文献数
3 2

結果の知識(KR:knowledge of results)は学習にとって必要だが,練習中の過剰なKRは想起テストにおけるパフォーマンスの劣化を引き起こす(ガイダンス仮説)。本研究は部分荷重の課題を用いてこのガイダンス仮説の検証を行った。26名の被験者は,練習中に付与するKRの条件によってランダムに2群に分けられ,右下肢で体重の80%を維持する課題を30試行練習した。2群は,毎試行後にKRを与えるI群と全試行の20%(6試行)についてのみランダムにKRを与えるF群である。すべての被験者は練習5分後と1日後にKRなしの想起テストを行った。パフォーマンスの評価はNRMSE(normalized root mean squared error)とCV(coefficient of variation)で行った。結果,NRMSEの練習による減少はみられたが,想起テストで群間に差はなく,ガイダンス仮説は支持されなかった。しかし,CVの練習,想起を通しての群間の差から,KR条件が被験者の方略に影響を与えることが示唆された。
著者
齊木 理友 藤田 和樹 久保 直之 尾島 朋宏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.277-282, 2019 (Released:2019-06-25)
参考文献数
21

〔目的〕TKA術後の遊脚期の膝関節屈曲角度と前遊脚期の膝関節周囲筋活動との関係を検討した.〔対象と方法〕対象はTKAを施行した24膝とした.歩行中の膝関節角度は,歩行側方からの動画上で測定した.筋電図の導出筋は,術側の大腿直筋と外側広筋,大腿二頭筋とした.歩行評価は術後4週に行った.歩行各相の相対的筋活動および同時活動指数と,爪先離地時と最大屈曲時の膝関節角度との間の関係を解析した.〔結果〕遊脚期の膝関節最大屈曲角度と,前遊脚期の大腿直筋の相対的筋活動および外側広筋と大腿二頭筋の同時活動指数に中程度の相関を認めた.〔結語〕前遊脚期中の大腿直筋の過活動および外側広筋と大腿二頭筋の過剰な同時活動が,Stiff-knee gaitの原因になり得ることが示された.
著者
西守 隆 浦田 達也
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.893-898, 2020 (Released:2020-12-19)
参考文献数
11

〔目的〕健常者において起き上がり動作中の起き上がり速度を変化させた際の体幹および上肢の関節角度を比較した.〔対象と方法〕健常者の至適な速度である「普通」(n=6)と,普通の平均遂行時間より2SD以上の「遅い」(n=5)の起き上がり動作をビデオカメラで撮影し,体幹および上肢関節の角度を算出した.統計には対応のないt検定を用いた.〔結果〕「遅い」起き上がり動作は,「普通」と比較して,体幹運動では体幹回旋角度が有意に大きく(p<0.05),上肢関節運動では支持側の肩関節内旋角度が有意に大きかった(p<0.05).〔結語〕健常者が「遅い」起き上がり動作を遂行する場合は,支持側の肩関節内旋角度を大きくすることで,起き上がり方向への身体全体の回転を大きくしている可能性が示唆された.
著者
山田 洋一 堀本 ゆかり 丸山 仁司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.589-595, 2013 (Released:2013-11-09)
参考文献数
14
被引用文献数
2 1

〔目的〕理学療法非熟達者の視線を測定することで,動作探査能力を分析し技能指標の手がかりを模索する.〔対象と方法〕対象は養成校4年生12名.腱板断裂術後の肩挙上を投影し,プロフィール告知前後の停留点の測定と,「疾患名」「注目点」「注目点の変化」「動作分析の注目点」を回答させ視線特性を検討した.〔結果〕疾患名の正答者は1名で,告知前後の停留回数は肩関節・肩甲骨周囲・肘部で有意な差があった.注目点は,全員が肩関節,肩甲骨周囲を注目していると回答し,計測による結果と一致していた. 告知後,視点ポイントが変化したと回答した者は,停留点が絞られ,停留回数は減少していた.〔結語〕非熟練者にとって容易な課題を提示することで,視線は分析に必要なポイントに視点をコントロールでき,情報収集が可能になると考える.
著者
岡本 伸弘 増見 伸 山田 学 有久 恵美子 兒玉 隆之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.103-107, 2012 (Released:2012-06-13)
参考文献数
18
被引用文献数
13 3

〔目的〕当回復期リハビリテーション病院における自宅復帰に必要な因子を「FIM」を用いて検討した.〔対象〕当院に入院した患者226名とした.〔方法〕対象者の退院先を自宅(自宅群)と施設(施設群)の2群に分け,入院時および退院時FIM各項目得点を比較した.さらに,自宅群および施設群を目的変数としたロジスティック回帰分析を行った.〔結果〕自宅群では,食事を除く運動11項目で退院時に有意な増加が認められた.一方,施設群では,有意差が認められた項目はなかった.退院時FIM得点の比較では,食事を除く運動11項目および問題解決・記憶の認知2項目において自宅群が有意に高値であった.ロジスティック回帰分析の結果では,トイレ移乗・更衣下に有意なオッズ比が認められた.〔結語〕トイレ移乗および更衣下が重要な自宅復帰因子の可能性が示唆された.
著者
木村 悠人 阿南 雅也 高橋 真 林 秀俊 新小田 幸一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.541-546, 2016 (Released:2016-08-31)
参考文献数
21

〔目的〕LCS患者の着座動作の運動学的特徴を明らかにすることであった.〔対象と方法〕LCS群24人と対照群18人とした.着座動作の動きを,デジタルビデオカメラを用いて撮影し,各体節および下肢関節の角度と角速度,身体重心(COM)を求めた.〔結果〕下方移動相では,LCS群は膝関節屈曲が有意に小さく,体幹傾斜および股関節角速度の加速と減速の切り替え頻度が高かった.後方移動相では,LCS群はCOMの後方移動と骨盤後傾が大きく,膝関節角速度の加速と減速の切り替え頻度が高かった.〔結語〕LCS群の着座動作において,下方移動相では体幹と下肢の協調性が低下しており,後方移動相ではCOMがより後方に変位するために,より大きな膝関節伸展筋力を必要とする戦略をとっていることが示唆された.
著者
吉村 洋輔 大坂 裕 伊藤 智崇
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.441-445, 2022 (Released:2022-08-20)
参考文献数
10

〔目的〕ノルディック・ウォーキング(NW)とT字杖での歩行が歩容や姿勢に及ぼす影響を明らかにする事を目的とした.〔対象と方法〕対象は,NWの経験がない健常若年成人20名とした.NW,T字杖での歩行,杖なしでの歩行の3つの条件での歩行をトレッドミル上で実施した.歩行の速度は快適歩行速度とした.モーションキャプチャシステムを使用し,身体各部の角度(頸部・体幹・股関節・膝関節)を算出し比較を行った.〔結果〕通常歩行に比べ,T字杖歩行で歩行中の頸部最大屈曲が有意に大きな値となった.また,NWでは歩行中の膝最大屈曲が有意に小さい値となった.〔結語〕頸部疾患や膝関節疾患を有する症例に対して,力学的負荷を軽減したいような場合にはNWの方が有効となる可能性を示唆する結果となった.