著者
守田 昌哉
出版者
琉球大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

カワスズメ科魚類(以下ミクリッド)の精液中には精しょう糖タンパク質SPP120が存在し、このタンパク質はミクリッドに特徴的な口内受精行動において受精成功に寄与えるタンパク質と考える。一方で、タンガニイカ湖に生息するミクリッドには口内受精行動を示さない種が多くいる。本研究課題では、受精行動の変化とSPP120の分子進化率の関係性を検討した。その結果、数ある口内受精行動を示さない種の多くでは、複数のコドンの正の選択が明らかとなった。以上の結果は、行動の変化が受精成功に関わる遺伝子の進化に影響を及ぼしたことを示すものである。
著者
塚田 浩二
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では,モバイル/ユビキタス環境において,なめらかな粒度の情報を傍受/操作できる新しいインタフェース技法の構築を目指す。本年度は,こうしたコンセプトに基づく具体的な応用例として,「WillCam:撮影者の興味を視覚化するデジタルカメラ」や,「イルゴール:家庭を奏でるオルゴール」などを提案した。WillCamは,時間・位置・温度・撮影者の表情といった周辺的なコンテキスト情報と,ユーザの興味の対象をアイコン化した上で,詳細な写真と一緒に保存するデジタルカメラである。さらに,シャッターを押す強さを圧力センサで検出し,写真や周辺情報への興味の強さを手軽に記録することができる。イルゴールは,家庭内に多数のセンサが組み込まれたユビキタスホーム環境において,オルゴールのメタファを用いて家庭の様子を音で表現する情報提示システムである。ユーザは,オルゴールのふたを開くことで,さまざまな生活音(e.g.話し声,ドアの音,キッチンの調理音)を通して家庭内の雰囲気を感じることができる。さらに,ふたの開閉度合いによって生活音の粒度(e.g.大きさ,数,種類)を制御したり,ぜんまいを回すことで過去の生活音を段階的に遡って鑑賞することもできる。今後は,システムの評価・改良を通して論文執筆や実用化を進めると共に,なめらかな粒度の情報提示/操作に着目したさまざまなユビキタス・インタフェースについて随時模索し,提案/試作を行っていく。
著者
和田 宗久
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、その大きな柱として、まず、会社法および金融商品取引法(以下「金商法」とする)の下で、上場会社の取締役等が責任を負う場合、とりわけ経営判断の誤りに関して責任を負う場合と、監視・監督にかかる職務に関連して責任を負う場合に焦点を当て、研究を行った。また、責任制度の重要な機能である損害のてん補という観点から、当初の研究目的から派生して出てきた問題である、「会社自身の株主に対する責任のあり方」についても研究を行い、いずれの研究についても一定の知見を得ることが出来た。
著者
石川 信一
出版者
同志社大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は,不安障害の児童を対象に家族に焦点を当てた認知行動療法の効果を検討することであった。対象者は12名の不安障害の基準に合致した児童であった。親子認知行動療法では,児童と親は10セッションからなる集団認知行動療法プログラムに参加した。さらに,親のみを集めた4セッションも準備された。分析の結果,3ヶ月時点において,6名が主たる不安の基準から外れることが示された。また,臨床家評定と親評定の不安尺度においても改善がみられた。
著者
蓮井 誠一郎
出版者
茨城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では、ラオスでのクラスター爆弾に特徴づけられる不発弾(UXO)汚染の問題を現地調査を用いて調査した。本研究では、ラオス北部シェンクワン、ルアンパバーン、中部ロンチェン、南部セコンを中心に調査した。調査によって、(1)ラオスでの深刻なクラスター爆弾の汚染状況、(2)地域開発や貧富の格差とUXOの関係、(3)気候変動による洪水とUXOの関係、(4)処理活動における政策上の課題が明らかになった。また、同様にUXOに汚染されている沖縄、茨城の問題を明らかにし、「3.11」後の放射能汚染についてもUXO問題との重要な類似点を明らかにすることができた。
著者
伊藤 英明
出版者
産業医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

脳梗塞後の脳循環代謝改善薬であるニセルゴリンの意欲改善効果について、その機序を検討するために抗うつ薬の標的蛋白であるモノアミントランスポーターに及ぼす影響を細胞レベルで検討した。ヒト神経芽細胞腫由来のSK-N-SH細胞において、ニセルゴリンが濃度依存性、非競合的にノルエピネフリントランスポーター機能を抑制した。セロトニントランスポーターを遺伝子導入したアフリカミドリザル腎臓由来のCOS-7細胞において、ニセルゴリンはセロトニントランスポーター活性の抑制効果は示さなかった。雄性マウスにニセルゴリンを投与したところ、抗うつ効果を評価する強制水泳テストにおいて、明らかな増強効果は認めなかった。
著者
セレスタ アジャヤラム
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

siRNAの標的薬剤送達システムとしてantibody-nucleic acid conjugate (ANAC)の設計や合成を行うこととした。抗体に核酸を搭載するために毒性の少ないデンドリマーであるポリアミドアミン(PAMAM)を検討した。PAMAMにsiRNAを静電的結合し抗体とのコンジュゲートを目指した。しかし、得られANACはsurface plasmon resonance (SPR)や細胞assayではノンスペシフィックな結合が主であった。今後PAMAMの表面にあるアミノ基の保護基の導入やPAMAM1分子当たりのsiRNAの数などの検討が重要であると考えられた。
著者
矢澤 徳仁
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

膠原病におけるB細胞の活性化は自己抗体産生のみならず種々の症状発現にも関与することが示唆されている。CD40リガンド(CD40L : CD154)はT細胞や血小板に発現し,CD40からのシグナルを介してB細胞やマクロファージ,樹状細胞などを活性化する作用をもつが,血中に存在する可溶性のCD40L(soluble CD40L ; sCD40L)が膠原病の病態に関与していることが示唆されている。われわれは全身性強皮症患者血清中のsCD40Lの値をELISAを用いて測定した。対象は全身性強皮症70例で,うちdiffuse型が42例,limited型が28例であった。これらの症例はすべてアメリカリウマチ学会の診断基津を満たしており,他の膠原病を示唆する所見は認められなかった。年齢,性を一致させた健常人25例をコントロールとした。全身性強皮症患者ではコントロール群と比較して有意にsCD40L値が高値であった。コントロールの平均+3SDをカットオフ値としたところ,全身性強皮症患者70例中31例(44%)にsCD40L値の上昇が認められた。病型別にはsCD40L上昇例はdiffuse型に多く,%VCおよび%DLCOと正の相関が認められ,肺線維症の存在との相関していた。以上より,sCD40Lは全身性強皮症の病態,特に肺線維症に関与している可能性が示された。さらに血清sCD40L値の上昇している例において末梢血リンパ球のCD40L発現量を検討したが有意な上昇は認められなかった。
著者
森下 覚
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は,教員養成系大学で行われている「教育実習」と「体験的プログラム」における学習過程を比較することを目的として行われた。研究の結果,教育実習は失敗を伴う実践的な体験が少なく,指導力の自己認知が高まることが明らかになった。一方,体験的プログラムは現場の教師と協同して働く実践的な機会が多く,学生は教師の背中を見て学ぶことが明らかになった。
著者
坂口 幸弘
出版者
関西学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、遺族ケアサービスの利用ニーズを明らかにするとともに、具体的な遺族ケアサービスの効果についても検討した。遺族調査の結果によると、実際に遺族ケアサービスを利用した人以上に、潜在的ニーズは決して小さくないことが示された。また、医療者が死別後にケアを行うことに対して、多くの遺族が好意的に評価していた。新たな遺族ケアサービスの一つである「わいわい食堂」は、悲しみからの回復を目指すケアにとどまらず、その後の生活や人生を視野に入れた取り組みとして、その有効性が示唆された。
著者
佐藤 喬章
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

アーキアにおけるmyo-inositol kinaseの生理学的役割の解明を目的とし研究を進めた。まず、本酵素がinositolの6つのヒドロキシル基の内3位をリン酸化し、生成物がinositol 3-phosphateであることを同定した。また、本遺伝子の発現量が上昇する培養条件を同定した。さらに、超好熱性アーキアThermococcus kodakarensisにおいてinositol kinase遺伝子の破壊株を作製・解析し、その増殖特性解析やメタボローム解析を行った。
著者
中島 裕美子
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

既存の鉄(I)錯体である[FeBr(BPEP)](1)を用いて、新規の配位不飽和鉄(I)錯体[FeMes(BPEP)](3)の合成に成功した。錯体1とジアゾメタンRCHN2(R=Ph, Me3Si)との反応は室温で瞬時に進行し、ジアゾメタンのN-N結合切断を経て鉄(I)ニトリル錯体[FeBr(RCN)(BPEP)]および鉄(I)イミン錯体[FeBr(RCHNH)(BPEP)]が得られた。一方、錯体2とMe3SiCHN2との反応では、1, 2-トリメチルシリルエテンの生成が確認された。
著者
塩原 良和
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、これまで主に「移民」に焦点を当てて研究されてきたオーストラリア多文化主義を「先住民族」という観点から再考した。具体的には、先住民族の存在や主張をオーストラリア多文化主義の理論・実践のなかでどのように位置づけることができるのかを社会学的実証調査および他国の事例との比較分析によって明らかにし、先住民族の存在や主張にじゅうぶんに配慮した多文化主義のあり方を理論的に検討した。それによりオーストラリア多文化主義研究の理論的・実証的水準を向上させるとともに、日本における「多文化共生」のあり方を考察する際の示唆を得ることもめざした。
著者
與那覇 潤
出版者
愛知県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は過去、および同時代の日本人たちが明治維新に対して抱いていた複雑な感情を掘り起こすことを目的としている。しばしば言われる、日本人は自らの近代化の成功を誇りとしてきたとする通説的見解に反して、本研究は、多くの日本人の思想家・表現者たちが明治維新に対してむしろ両義的、ないし時として敵対的な姿勢を示してきたという事実を明るみに出す。具体的に取り上げられるのは、小津安二郎、内藤湖南、山本七平などの作品である。
著者
石井 望
出版者
長崎総合科学大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1、崑山の笛の名手・高慰伯氏の演奏を録音し、指法の口述を録畫した。その成果等を参考にしつつ崑曲の音階について探究し、論文を發表した。楊蔭瀏以來ほとんどの研究者が從って來た雅樂俗樂二大音階説を否定し、笛の吹奏の便宜によるいい加減な音階が唐代から崑曲まで續いてゐることを明らかにした。2、前年度までの録音の成果を參考にしつつ、曲韻についての論文を發表した。「中州全韻」の七聲體系を明らかにすることを主眼とした。3、北曲傳承史研究の副産物として、曇陽子と牡丹亭についての論文を發表した。4、長老俳優の演劇歴と自分の研究過程の概略とを纏め、臺灣の雑誌に發表した。5、今後の研究のため、臺灣にて資料を蒐集した。
著者
有馬 麻理亜
出版者
近畿大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

第二次大戦期におけるブルトン固有の理想主義を分析したうえで、ファシズムの台頭期にツァラ、バタイユとブルトンの再接近を可能としたのは異なる形態の理想主義であること、また、バタイユとブルトンに共通する理想主義的傾向が、大戦後の両者における神秘主義への関心や聖なるものへの追求に関係していることを明らかにした。さらに30年代に断絶したアラゴンとの思想上の相違が文体やジャンルの選択に表れていることを示した。
著者
津田 恭充
出版者
愛知学泉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

パラノイアの生起メカニズムを自尊心の観点から説明する2つのモデルが提唱されている。ひとつは、潜在的に低い自尊心が顕在化することに対する防衛としてパラノイアが生じるとするものである。これによれば、潜在的に自尊心が低くとも、パラノイア(誰かに陥れられた。私は悪くない)を抱くことで顕在的には自尊心は保護される。もうひとつのモデルは、パラノイアには防衛的な側面はなく、低い顕在的自尊心を直接反映していると仮定するものである。本研究では、質問紙調査および認知実験によってこれらのモデルの検討を行った。その結果、いずれの分析でも後者のモデルが支持された。
著者
許 夏玲
出版者
東京学芸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、初級修了レベル(6名)および中級レベル(2名)の中国人日本語学習者(計8名、20〜30代)を調査対象とし、日本語の会話において学習者たちが日本人母語話者(4名、20代)に助言(アドバイス)する状況におちいる際、どのような表現が用いられるのか、またこれらの表現が中国語母語による干渉があるのかを考察し、助言(アドバイス)の場における日中言語行動を分析した。会話の時間は約20分、テーマは「来日後、生活や勉強や人間関係に困ったことや問題点について」および「中国や日本での旅行について」とした。分析の結果、初対面および面識のある日中両グループの間では、事実提示による助言の方法(中国人学習者59%)がもっと多く用いられている。例として以下のようものが挙げられる。(1)「ぜひ ぺきん ぺきんも いろいろ ばんりのちょうじょうも こせきが あります」(中国人学習者)(2)「そりゃ ひとことみたい {両者笑い} でも いま いろんなサポートがあるから そういうの どんどん せっきょくてきに さんかさせれば ぜったいりょうほうのぶんかを たかいれべるで(そうですか) かくほできる」(日本人母語話者、収集したデータには2例しかなかった)事実提示による助言は、ネガティブポライトネスの観点から言うと、話者がそれほど親しくない間柄の相手に、直接自分の意見を助言(アドバイス)として相手に提示し、相手の行動を指示することを避け、むしろ相手にとって役に立つと思われる関連情報を提示することにより、相手に思考や判断の余地を与えることができると考えられる。なお、事実提示の表現は「〜ほうがいい」「〜てください」とともに現れる傾向がある。この場合、事実提示は一種の補足説明(理由)として用いられると考える。一方、収集した会話データでは、中国人学習者が「〜ほうがいい」(13%)「〜てください」(13%)「〜ましょう」(9%)を助言(アドバイス)の表現として用いた。副詞「ぜひ」が「〜ましょう」とともに用いられることもある。これらの表現はポジティブポライトネスの観点から言うと、会話が進み次第、話者が相手との心理的な距離が狭められ、相手に積極的に自分の意見を助言(アドバイス)するときに用いられると考えられる。日本語教科書には、「〜てください」および「〜ましょう」は助言の表現として掲載されていない。
著者
中門 亮太
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、パプアニューギニアにおける土器づくり民族誌調査を通して、土器型式の時期的変化・地理的分布を齎す社会的背景を探ることを目的とした。土器型式の変化においては、親族組織を通じたヒト・技術の移動が大きな影響を及ぼす。地理的分布に関しては、親族組織のつながりや製作技法に差異によって、各地域で在地の型式が成立し、分布圏を持つことが窺える。一方で、型式を超えて存在する儀礼形態が、異系統土器の共存を齎すことが想定される。これらの知見は、縄文土器型式においては、粗製土器や精製土器、特殊遺物などの広がり方と比較しうる。民族考古学的視点から、その背景には親族組織や儀礼形態の存在を垣間みることができる。
著者
前田 寿美子
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

肺癌組織におけるCD44 standard form (CD44std)、CD44 variant 6 (CD44v6)、およびgalectin-9の発現と、組織型、分化度、病期、予後について検討を行った。組織型別には扁平上皮癌でCD44std、CD44v6の陽性率が高く、腺癌でgalectin-9の陽性率が高かった。分化度別には、腺癌において低分化になるほどCD44v6の陽性率が低下する傾向があり、扁平上皮癌において低分化になるほどgalectin-9の陽性率が低下する傾向が認められた。以上の結果は腺癌と扁平上皮癌でヒアルロン酸を中心とする細胞外マトリックスに対する生物学的態度が異なっている可能性とともに、肺癌組織においてgalectin-9の発現によりCD44の機能に何らかの調節がなされている可能性が示唆された。