著者
齊藤 多江子 増田 まゆみ
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.657-666, 2018 (Released:2018-10-27)
参考文献数
27

The aim of this research is to study the effects of dividing a childcare room into several small spaces which provide a calm environment suitable for play, with a specific focus on how one-year old children moved in the newly-partitioned room. We examined the characteristics and background of the movement of children by paying attention to situations where childcare teachers or other children were present or not.  It became clear that the presence of childcare teachers and other children in the partitioned childcare room had an influence on the way children in the one-year old class chose to play. In addition, in order to carefully plan the provision of a calm environment suitable for play for children in small spaces, the perspectives that are considered to be important are, (1) a place where childcare teachers and children's peers are present and, (2) play contents that make use of a small space.
著者
下東 艶子 高橋 惇子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.33, no.12, pp.670-680, 1982

各項目80問の回答結果の評価を, 度数分布表から考察したところ, 一般的主婦の家庭経営の盲点が浮かび上がり, 経営能力としては計画性の乏しさ等が如実に指摘された.一方, 家族の協力性は欠如しており, 主婦が, 今後発展するためにも, 明るく, 充実した家庭の経営のためにも, これらは十分改善されなければならない.<BR>また, 評価不可能と思われた「家庭生活の健全度測定」に, PR順位法を適用して個々の家庭の診断が可能になったことや, 基準尺度のPR換算表を作成することができたのは随時, 健全度を測定する場合に利用できるので便利であり, 閉鎖的・主観的評価を少しでも客観化へ導くことができたと考える.<BR>この調査票は筆者らとしては, 研究して作成したものであるが, 次のようなことでは, 表現が適切でなかったり, 一方的な解釈もあったように思う.家族の好きな食品を選ぶか…という表現, 漢方薬の利用をいけないとしたことや, 社会環境であまりに便利性を重視していることなどである.
著者
高橋 惇子 下東 艶子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.125-128, 1983

家庭生活の健全度を8項目, 80問から分析して診断したが, それぞれは密接不離の深い関係があり, お互いに影響し合い, 競合し合うのが, 実生活の現象である.<BR>筆者らは, その関係を, 上述のように平均値 (50PR) 以上の上位群と以下の下位群に区別して, ある項目にすぐれている家庭はその他の項目ではいずれがすぐれているかなどを調べた.さらに相関係数を算出して, 項目間の相関をみた。その結果, 両者から期せずして同一の傾向を把握したことは興味をさそった。すなわち, 家族と教育, 教育と食生活, 教育と衣生活, 衣生活と食生活の4組合わせは相関係数からも, また上下群の差からみても顕著で, 同じ関連性が発見できたのである。<BR>筆者らは, 経済・健康はいずれのアイテムとも強い相関があり, また, ダイア・グラムに隣接した各領域はそれぞれ関連の深いものとして設定したが, 今回の結果では健康と食生活, 環境と経済, 経済と教育はほとんど相関がない結果となった。しかし他は仮説どおりの結果を得たのである.<BR>本研究の結果から, 家庭経営に対して, 生活領域の関連に対する一側面を発見した.これは, 松島らによる家庭の生活系 (人間と環境の関係) の関係図, つまり, 家庭生活の主体となる家族と生活手段となる食物・被服・住居 (物的資源) が表出的な軸となり, 目標は家族の決めた目標に向かいながら, 家族・個人の成長・発達が家庭経営の終局の圏標を図示している.そのなかで経済はすべてにかかわり, 環境は家庭生活をより押し上げる外的作用としてかかわり, 健康は個人・家族そのものと直接不離にあると考察できる関係図を一部裏づけたように思われる.<BR>すなわち, 本研究によると, 家族の幸福な家庭生活を維持するためには, 主婦は日常の家庭経営において, 家族生活と衣・食・住生活の運営や子女の教育の面を強調すべきであろうと考えられる.これらの5領域は家庭生活の健全度を支える基盤的役割を示すものと考えられる.<BR>その他の項目の環境・経済・健康は他の項目との相関が低くでたが, このことは, 環境は家庭生活の快適性を周辺から押し上げるものである関係から, 直接に家庭内の事象との関連が乏しく現れたものと思われる。また, 経済と健康については, 他の生活アイテムのなかに密着して, 最も強い相関があるべきと考えるが, 本調査では意外な結果となった.とくに, 経済に関しての測定の質問内容の設定の仕方に欠点があったと考える.<BR>したがって, 今回の質問ではこのような結果を生じたけれど, 質問内容の設定によっては今回と異なる相関を得るものと考えられる。<BR>今後の課題としては, アンケートに使用した「家庭生活の診断テスト」のに設けられた80問の個々の内容を検討し, 広く一艘の実生活に適切な質問であるか否かの検討をすることである.これは基礎的な問題である.そして, この筆者らの試案的診断テストが標準テストに高められ, 家庭生活の健全度を左右する要素を的確に明示し, 役立つものにしたい.
著者
百瀬 靖子 湯沢 雍彦 末広 和子 内海 すの子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.514-520, 1980

1) 家庭生活の健全度測定指標を構成する目的で, 4側面からなる10領域指標, 100項目にわたる項目・尺度の作成を試みた.<BR>同尺度による一般主婦を対象に測定実施した結果, ストレス, 家族統合, 夫婦関係, 次いで住居・環境領域 (指標) に高い健全度を示した.<BR>2) 指標の妥当性をx<SUP>2</SUP>-検定により求めたところ, ストレス, 家族統合, 夫婦関係, 次いで生活満足感, 住居・環境領域 (指標) に, 高い妥当性を示した.<BR>指標の健全度への影響をφ係数により求めたところ, 全体判断的側面 (家族統合, 生活満足感領域指標) の連関の高さが示された.<BR>3) ステージ別, 家族構成別, 職業の有無別による健全度への影響は, ステージ別-高等教育へ子女を進学させる家庭の健全度は幼稚園児を有する家庭より高い-にやや明確な傾向が現われた以外は, 差がみられなかった. 個々領域では若干の差が現われるものの健全度の低い領域では他の領域で補強することにより平均的な健全度を示した.<BR>4) 以上により, 家族関係領域, 心理的・情緒的領域, 家族意識的領域指標での健全度測定尺度としての妥当性の高さ, と同時に同指標での健全度の高さを認めうる. と同時に, 家庭生活の健全度測定値は, 家庭生活の満足度状況と関係が深いという仮説を実証できた.<BR>5) 今後の課題<BR>若干の項目や尺度を検討・追加すること. 調査対象の幅を広げ, 家庭機能の充足が十分でない家庭や地域, 階層にも及ぶ調査の実施を繰り返し検討すること.これらにより, 信頼性の高い標準化された指標が構成されるものと考えられるからである.
著者
武井 玲子 鍋山 友子 藤井 美香
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, pp.39, 2009

<B>【目的】</B>近年、乳幼児の事故例が社会問題化している。そこで、乳幼児の被服や身につけるモノによるリスクを低減化するリスクマネジメント研究の一環として、保育所や幼稚園の集団保育施設における事故実態を把握することを目的とする。<BR><B>【方法】</B>福島県を中心として保育所95ヶ所、幼稚園90ヶ所、計185施設の0~6歳児、16,752人を対象として、郵送法により質問紙調査を行った。調査期間は、2008年10~11月。<BR><B>【結果】</B>92%の施設で事故が1回以上起きており、種類別事故発生率は上着20%、靴下17%、靴12%、カバン・オムツ各8%、ズボン・スカート・パンツ各7%、雨具・装飾品各6%であった。多く見られた事故例は、靴下やタイツ着用時、床などで滑って転んだ、上着のファスナーで顔や首の皮膚に傷がついた、などであり、他人にフードを引っ張られたり、ふざけていて転びそうになった、など集団施設での潜在リスクも存在していた。雨具や帽子などは、危害例は多くないが、潜在リスクと考えられる「ひやり・ハッと」事例が高い傾向であった。また、保育施設に設置されている遊具と身につけるモノが関係した事故発生率は、滑り台が一番高く、その他の遊具も10~15%であった。保育施設から、保護者に対して事故防止指導をしており、保護者は比較的よく指導に従っている結果であったが、一方、行政機関からのリスク情報などの提供を受けている施設はわずかであった。リスクマネジメントには、法規制やガイドライン策定などの施策も必要であるが、保育施設、保護者、製造・販売業者、行政機関などの関係者間があらゆる関係情報を共有化するリスクコミュニケーションの推進が重要となる。このリスクコミュニケーションの視点からみると、いくつかの問題点があり、効果的なリスクコミュニケーションの展開が今後の課題と考える。
著者
青木 美紗
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.87, 2018

<b>目的 </b>倫理的消費は「地域の活性化や雇用なども含む、人や社会、環境に配慮した消費行動」と消費者基本計画(2015年)において定義され、持続可能な消費を実践するために求められている。しかし、購買者の多くは倫理的消費について学習する機会がほとんどなく、倫理的消費行動を誘引する環境はそれほど整っていない。そこで、購入時に倫理的消費に関連する情報を継続的に提示することによって、倫理的消費行動をとるのかどうか明らかにすることを本研究の目的とする。<br><b>方法 </b>大阪府東大阪市におけるJA農産物直売所の利用者を対象としたアンケート調査を2017年6月実施し、回収した493のデータをクロス集計と因子分析によって分析した。調査対象とした直売所では、2009年より東大阪市産の環境に配慮して生産した農産物を継続的に購入する消費者には、その農産物を購入する意味を提示し購入特典を提供する取り組みを続けている。データ分析では、この取り組みへの参加者と非参加者の農産物に関する倫理的消費行動を比較した。<br><b>結果 </b>まず、購入する農産物の生産背景、地産地消の認知度は参加者の方が高い結果となった。また、直売所を利用する理由においても、環境に配慮したもの、地元のものが買える、地域の生産者を応援できる、地域の農地を守ることができると回答した人が参加者の方が多かった。そして、因子分析の結果、参加者の方が農産物購入時に環境や地域に配慮していることが明らかとなった。
著者
野田 奈津実 小川 宣子 久慈 るみ子 坂田 隆 山崎 泰央 大竹 美登利 佐々井 啓 中島 明子 宮野 道雄 浜島 京子 加藤 浩文 萬羽 郁子 吉井 美奈子 生田 英輔
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.288, 2016 (Released:2016-08-04)

目的 東日本大震災では、多くの被災者が仮設住宅への転居を余儀なくされた。本研究は、仮設住宅への転居が住民の食生活に与えた影響を明らかにすることを目的とした。方法 震災後、石巻市市街地の仮設住宅に入居した60代女性(食生活改善推進員、震災前は同市雄勝地区)を対象に、震災前後の食生活(料理の種類、保存食、食事形態)について聞き取り調査を行う(2015年3、9、12月)とともに料理の画像記録を依頼した。結果 震災前に比べ、仮設住宅での料理の種類の減少や食事形態に変化が見られた。その原因として、1.地元で採(獲)れた大豆や米から味噌、柿やハモの乾物等の保存食を作り、これを利用して柿なますや雑煮等の郷土料理が作られていたが、食材の入手・保存場所の確保が困難になり、保存食を作ることが少なくなった。2.台所が狭くなり、保管・使用にスペースが必要な蒸し器やすり鉢を使う料理が減った。3.食卓が狭くなり、食器の種類や数も減ったため料理の盛り付けは銘々盛りから大皿盛りへと変化した。日常的に行われてきた食生活が震災を機に失われつつある。石巻の気候・風土を反映する多くの食材を活用した料理を記録として残し、継承していくことが求められている。本研究はJSHE生活研究プロジェクトの活動として実施し、科学研究費補助金(課題番号:24300243、25350040)、平成26年度(公財)浦上食品・食文化振興財団の助成を受けた。
著者
飯島 久美子 小西 史子 綾部 園子 村上 知子 香西 みどり 冨永 典子 畑江 敬子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.179, 2005

<b>目的</b> 年越しから正月、七草、鏡開きと、新年を祝うための行事は日々の生活の節目として古来日本各地で大切に行なわれてきた。それに伴う行事食もハレの料理として受け継がれている。しかし近年、生活様式の変化による調理の外部化、簡素化の進行は、伝統的な食習慣に少なからぬ影響を与えていると考えられる。そこで現在の年越し・正月(年末年始)の食習慣の実態を調査し、地域性との関連から行事食の変化の有無を知ることを目的とした。<br><b>方法</b>調査は自記式調査票により行ない、日本全国の大学・短期大学の学生を調査対象とした。2001年12月に調査票を配付、2002年1月に回収し、2608名から有効回答を得た。<br><b>結果</b>年越し(大晦日)に決まって食べるものは日本そばが最も多く、全国での喫食率は74.8%であった。沖縄では沖縄そばが58.8%と多く、日本そばは31.4%で、沖縄そばを年越し料理としていることがわかった。正月に食べるおせち料理の喫食率は全国平均で72.7%であり、手作りのおせち料理と市販品を合わせて利用している家庭が非常に多かった。そのうち市販のおせち料理セットは一割近くが利用していた。おせち料理の中で、最も喫食率が高いのは「黒豆」で、続いて「かまぼこ」、「数の子」、「きんとん」、「煮物」、「田作り」、「伊達巻」、「昆布巻き」、「なます」の順であった。「煮物」「なます」は手作りされることが多く、「伊達巻き」「かまぼこ」は既製品の割合が多かった。また、地域別に喫食率を比較すると「きんとん」は関東・東海で、「田作り」は東海・甲信・近畿で、「伊達巻き」は関東・甲信で特に喫食率が高かった。
著者
伊藤 大貴 川邊 淳子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

<目的>消費行動をとる場合は,その過程で多くの意思決定を含んでいる。そこで本研究では,大学生と中学生を対象とし,筆箱の中身からニーズとウォンツの調査を実施し,その違いを明らかにすることを目的とした。<方法>調査対象は本学学生127人およびA中学校56人,調査時期は2016(平成28)年1月ならびに2017(平成29)年1月,調査方法は自記式質問紙法, 集計・分析方法はExcel2010を用いた。<結果>各文房具類の所有数ごとに「指定単価」をかけ,「授業中と授業以外でも使う」,「授業中に主に使用」,「授業以外で主に使用」および「入れているだけであまり使わない」で,所有数ごとに,その金額に頻度の割合「0.8」,「0.6」,「0.4」および「0.2」をそれぞれかけて小計を算出し,それらを合計して「使用頻度別に見る金額」を算出した。所有する文房具類の合計金額は,大学生は最高6,300円,最低310円であり,平均1,762円であった。一方中学生は,最高10,699円,最低1,140円,平均4,691円となり,すべてにおいて中学生が大学生を上回った。また,使用合計金額を所有合計金額で割った利用価値においては,利用率が大学生は20~60%が66.1%,61~80%が33.9%,一方中学生は,20~60%が57.1%,61~80%が42.9%となり,中学生の方が利用率は高い傾向にあった。所有文房具は,中学生の方がシャープペンシルなどにおいて,高額なもので数も豊富に有していたが,大学生は中学生よりも低額で精選されたものを所持する傾向にあることが分かった。
著者
千葉 よう子 吉田 清一郎
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.271, 2002

メリヤス編みで用いられる色糸を変えながら編む、編み込み模様編みについて、合糸した極細糸を用い、棒針号数を変化させて編む手法により試作し検討を行った。手編みの技法には、糸の棒針への供給方法の異なるフランス式とアメリカ式があるので、編み込み模様を製編する場合、両者間に違いが認められるかをも併せて検討した。棒針14号から6号までの号数とし、各々の編みゲージを試作し、それを基にして婦人用カーディガンを製編した。その結果、棒針に糸を掛ける方法に違いのあるフランス式とアメリカ式の技法を比較すると、棒針先端と指との間隔が短いアメリカ式に編み糸のたるみが少なく、より均一な編み地の糸渡しが行われるため、配色糸や地糸のより安定した編目を形成することなどが認められた。
著者
松山 洸一
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.90-98, 2016 (Released:2016-02-20)
参考文献数
15

Drinking an infusion of green tea leaves brewed in a teapot (brewed green tea) is part of everyday Japanese culture and is connected with pleasure and hospitality. In recent years, however, the consumption of green tea has been decreasing, something which is especially noticeable in the younger generation. The purpose of this study is to consider the frequency and reasons for drinking brewed green tea taking into account the differences between generations and how they value green tea. A questionnaire was distributed in the Kanto region in 2012-2013 and 309 valid responses were obtained by mail. As a result of analysis, it was seen that the younger respondents drank brewed green tea rarely especially at mealtimes. Regarding reasons for drinking, the following five factors were identified: ‘adjustment of mentality’, ‘affinity with green tea’, ‘passive drinking’, ‘its affinity with food’ and ‘regulation of body temperature’. There were no age differences in factors which have emotional and cultural aspects such as ‘adjustment of mentality’ and ‘its affinity with food’. However, younger respondents had little ‘affinity with green tea’ and they do not drink it with regard to its emotional and cultural value. That affected their frequency of drinking. If people became more aware of brewed green tea and drank it regularly, it might lead to more composure in their daily lives.
著者
金子 省子 青野 篤子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 = Journal of home economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.363-372, 2008-06-01
参考文献数
11

This study aims to clarify to what extent those directly concerned with the education at child-care facilities are aware of the state of affairs at their respective place of work with a view to helping improve for nursery schools and kindergartens to implement some necessary measures from the gender viewpoint. An investigation covering 38 nursery schools and 34 kindergartens shows that the gender distinction as to equipment and other considerations was generally more evident in kindergartens than in nursery schools. A questionnaire to the staff of five day-care centers helped clarify further the actual conditions of gender considerations as well as the staff members' gender viewpoint. Generally, it was learned that the gender division as well as its extent was left to the management' decision. Of 47 respondents, most expressed their views against the gender division. However, those who had learned about gender issues believed that there was a need of attending to the issue. In fact, there were some reported cases of having changed the status quo by talking among the staff members. It is to be noted that there exists a difference of view among them as far as gender distinction is concerned; the views are split even among those working at the same place. So much so that there is a need for those directly concerned with the child education to get together to improve the subject matter.
著者
村上 洋子 照井 眞紀子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.65, 2005

[目的]従来の給食管理に加え経営管理能力を持つ管理栄養士が求められ、栄養ケアのための栄養・食事管理能力が必要となる。食事の品質管理や評価には、食品重量に関した知識・技術が重要であり能力を養う必要がある。学生の食品重量に関する基礎的知識と技術の実態把握から、給食経営管理における指導の方法を探ることを目的とした。[方法]管理栄養士養成課程の2年生90名を対象に、給食経営管理実習で使用頻度の高い7食品の目測及び手ばかりで重量を計測させ調査した。[結果及び考察]正解率の高い食品は卵で、目測で60.7%、手ばかりで66.3%であったが、豆腐は目測で正解者0名、手ばかりで4名であった。計測手法の比較では、卵とじゃがいもは目測より手ばかり重量の正解率が高いが、他の食品では逆に手ばかり重量の正解率が低い。個人別にみると目測で正解数が0の者が2名、手ばかりでは7名で手ばかり計測で不正解者が増えている。2つの計測手法による正解数で3グループに分け、各グループ間の食品の正解率を比較した。目測では正解数の少ないAグループで卵、胡瓜が30%前後の正解率、トマト、鮭、豚ロースで0_から_20%、B・Cグループが50_から_100%の正解率である。手ばかりではAグループで卵31.6%の正解率であったが、他の食品はB・Cグループの40%の正解率に比べ5_から_10%の低率であった。豆腐は各グループでも0_から_3%の低率で大きな差はない。卵や胡瓜は比較的目測が容易だが豆腐は難しい食品であると推察する。使用頻度の高い食品でも目測や手ばかり計測の能力や技術が低いことから日常の料理作り等への関わりが少なく、食品の重量感覚に乏しいことが考察された。今後はこうした能力を身につけていくことの指導が必要と考えられる。
著者
森 建太
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.253-255, 2011-04-15 (Released:2013-08-02)
参考文献数
14
著者
瓜生 朋恵 西本 由紀子 梶木 典子 上野 勝代
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

目的 少子高齢化社会の現代では、より幅広い分野での子育て支援や子育てしやすいまちづくりの実現が課題となっている。中でも、子育て中の親が社会から孤立しないためにも、社会参加を支援することは重要であり、そのために子連れ外出者が安全・安心・快適に外出できる環境を整備する必要がある。本研究では、鉄道利用者を対象にベビーカー利用者と非利用者間に生じている心理的バリアを明らかにし、鉄道における子連れ外出活動を支援する方策について検討することを目的とする。<br>方法 関西在住の鉄道利用者を対象に、鉄道におけるベビーカーを利用しての子連れ外出について、タブレット端末のアンケートアプリを使用してイベントや団体への街頭調査を実施した(一部質問用紙調査を併用)。調査は2011年10月~12月にかけて行い、配布数372票、回収数322票、回収率87%であった。<br>結果 意識調査の結果、ベビーカー利用者が鉄道を利用することに対しては、全体的に肯定的な意見が多く、車両内でのベビーカー利用者に対する優先者対応についても肯定的な意見が多かった。これらの意識に対し、子育て経験の有無による有意な差はみられなかった。しかし、回答者の年齢による意識の違いがみられ、特に20年以上前の子育て経験者はベビーカー利用者の外出行為に理解を示しつつも、「ベビーカー利用者は周囲への配慮に欠ける」等の厳しい意見を持っており、世代間ギャップの存在が明らかとなった。また、回答者の年代に関わらずベビーカー利用者の鉄道の利用円滑化のために、車両と旅客施設の整備を望む声があった。以上の結果より、心理的バリアを改善するためにはベビーカー優先スペースの設置やマナー講習などのハード・ソフト両面の整備を検討していく必要がある。
著者
立屋敷 かおる 大亦 みち子 寺元 芳子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.359-362, 1983

1) 煮切り等の加熱操作により, 酒のアルコール度は減少した.アルコール度の高い酒ほど減少率は大きく, 残存量は少なかった.<BR>2) 2倍に希釈した酒を加熱した結果, いずれの酒も加熱時間に伴ってアルコール度が減少し, 加熱2分で元の約112に減り, 10分で1度以下となった.この経時変化に, 加熱時の蓋の有無と酒の濃度は影響しなかった.<BR>3) 清酒の燗は, 燗の程度によりアルコール度の変化に差があった.ぬる燗 (45℃) ではアルコール度に変化がなく, あつ燗 (60℃) で0.6%, 過度の燗 (70℃) で1.2%減少した.<BR>4) 酒を使用する料理10種の結果では, 多くのものが加熱によりアルコール含量の約90%が減少した.加熱後の料理のアルコール含有率は, ほとんどが1%以下だった.
著者
桐渕 壽子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.649-654, 1992

(1) ビタミンD<SUB>2</SUB>の生成は日光より紫外線照射の方が数倍効果的である.使用したキノコの中ではエノキタケが最も多くビタミンD<SUB>2</SUB>が生成され, 2時間の紫外線照射で約2,000IU/g (乾物), 30分で約1,500IU/g (乾物) であった.<BR>(2) ビタミンD<SUB>2</SUB>強化エノキタケを作るため, 生産レベルでの照射を想定したモデル実験では30分の照射で500IU/g (乾物) のビタミンD<SUB>2</SUB>が生成され, 実用化には培養のプロセスから考えて, 30分位が適当と思われた. (3) 紫外線照射しビタミンD<SUB>2</SUB>が生成されたキノコを乾燥するとビタミンD<SUB>2</SUB>は約10%減少するが, 十分にビタミンD<SUB>2</SUB>供給食品として利用できる.<BR>(4) 日光や紫外線照射により生成されたビタミンD<SUB>2</SUB>は保存中に減少はするものの, 乾燥キノコの場合は6カ月保存しても約80%残存しており, 比較的安定であるといえる.<BR>(5) 紫外線照射後乾燥したビタミンD<SUB>2</SUB>強化エノキタケをビタミンD<SUB>2</SUB>強化食品素材として利用することが期待できる.
著者
森 理恵
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.543-554, 2019 (Released:2019-08-24)
参考文献数
42

本論文は, 日露戦争からアジア太平洋戦争期 (1904~1945) までの「慰問袋」募集・送付活動について, 数量の推移や仕組みの発達を明らかにすることを目的とし, 慰問袋の募集と送付に関する新聞記事, 新聞広告, 業界紙, 団体機関誌, 軍事後援団体の報告書等を収集し, 分析した. 慰問袋の数量の推移については, 日露戦争や日中戦争だけでなく, 東北九州災害や青島攻略, 関東大震災でも多数の慰問袋を送る活動がおこなわれており, 単線的に増加したわけではないことを明らかにした. 慰問袋の変遷は, 日露戦争時を発生期, 東北九州災害・第一次世界大戦から関東大震災までを発達・完成期, 「満洲事変」から日中戦争・太平洋戦争前期までを拡大・定着期, 太平洋戦争後期を衰退期とみなすことができた. 東北九州災害から関東大震災までの時期 (1914-1923) が, 慰問袋募集・送付活動の仕組みの成立にとっては重要な時期であることがわかった. 慰問袋募集・送付活動の仕組みは, 慰問袋の送り手は女性男性子ども大人を問わず個人であり, 取扱機関は婦人会・青年団など地域の団体や, 学校, 百貨店, 製薬・製菓などの会社, 新聞社であり, 手続き方法は上記の取扱機関に手製または購入した慰問袋を持ち込む, 店頭で購入と同時に送付を申し込む, 新聞社などに代金を寄付する, のいずれかであることが明らかになった.
著者
中川 泰代 大澤 真由美 早川 美幸 山口 直彦
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.299, 2007

目的 植物にはポリフェノール化合物が広く存在しているが、この化合物は酵素的酸化で、褐色色素へと変化すると共に、その抗酸化性は大きな影響を受ける。この酸化酵素は熱によって容易に失活することはよく知られている。抗酸化性の評価を、DPPH還元力測定の他に、リノール酸に対する抗酸化性をも測定したので報告する。方法 _丸1_試料はリンゴ、ごぼうなど7種類を使用。みじん切りしたものを2本の100ml三角フラスコに5gづつ精秤した後、1本は電子レンジで1分間処理し加熱区(H)、他の1本はそのまま1時間常温放置し、生区(L)とした。これらに40%エタノールを加え抽出液を得た。抽出液の_丸2_DPPH還元力測定、_丸3_過酸化物価はロダン鉄法にて測定し、その値が3.0に達するに要する日数を誘導期間とした。_丸4_リノール酸に対する抗酸化性は含水系(pH7.0)で測定し、50℃の恒温器中にて保存実験を行った。結果 _丸1_紅玉など4種のリンゴ(皮)のH区の全フェノール量は286~226mg/100gの範囲内であったが、L区のそれは204~118mg/100gと少なかった。一方、抗酸化性をみると紅玉のH区の効力は著しく強いが、他の3種のH区の抗酸化性は大変弱い。さらに、L区の効力がH区に比較して大きく減少するのは紅玉のみであった。_丸2_産地の異なるごぼう3種のH区の全フェノール量は宮崎:402mg、北海道:250mg、及び中国:134mg/100gであった。一方、L区のそれは186mg、126mg、及び96mg/100gへと減少した。H区とL区の抗酸化性を比較すると、宮崎産と北海道産はその誘導期間が減少したが、中国産は殆ど変化しなかった。
著者
前田 敦子 中森 千佳子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.11, 2002

地域通貨の参加者は、貨幣経済とは異なった経済システムで、人と人を結びつける「関係の媒体」という貨幣のもともとの機能を体験することになる。そこで、本研究では、地域通貨を例に経済システムのありようが生活者の意識と生活の質に及ぼす影響を明らかにすることを目的にする。まず、第1報では、地域通貨の実践地域での現状と地域通貨参加者の意識の変化について調査した結果を報告する。調査は、日本を代表する地域通貨であるおうみ(滋賀県草津市)とクリン(北海道夕張郡栗山町)の運営グループ関係者と参加者を対象に、2000年7月&sim;11月に面接法による聞き取り調査を実施した。参加者の意識の変化は、(1)金銭意識の変化、(2)無償労働の評価と自分の能力の再確認、(3)人間関係の重視、などにみられた。