著者
内田 直子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<b>目的 </b>衣生活では、何か別の行動に変わる時、服装を替えることは通常よくある行為である。しかし着替えることなく別行動に移行した場合、自身は他の人に出会いたくない、またそれを見る他者には、なぜそのような服装なのかなどの感情が生ずることがある。本研究では、ある特定の場所での服装は、どのエリアまで移動することが可能なのか、地理的許容範囲について考察した。<br> <b>方法 </b>自宅着、職業的に限定的な服装などで行動範囲が変わる時、どの程度自己、他者は気になっているかなどについて質問紙調査を実施した。実施年と評価者は2013年女子大学生93名、2014年女子大学生109名、男子大学生28名である。<br><b>結果 </b>女子9割、男子6割が、自身の部屋着で自宅外のどこまでも行くことはできず、女子の場合ゴミ捨て、自宅近くの自販機までは比較的行きやすいが、コンビニや公園までは行きにくく、またサンダル履きでは公共交通機関を利用することも憚られた。対人に遭遇するかどうか、自力で行動できるかどうかが一つの境界とみられる。また、医療白衣着用者の職場外出を見た場合、その場所が病院の近所より遠方、また飲食処であると女子はそれが気になり不快感も高くなっている。しかし、男子は女子ほど気にならず、また不快感も低い結果となった。男女間の外出時の意識の違いが、服装の圏域・境界の意識の違いに通じ、場合によって社会的場違いや違和感の一因になっているのではないかと思われる。
著者
片山 倫子 神田 英里香 渡辺 明香 藤巻 杏里
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 61回大会(2009年)
巻号頁・発行日
pp.304, 2009 (Released:2009-09-02)

目的近年の洗濯機の動向としては、従来からの渦巻き式からドラム式への転換が進んでいる。日本では店頭に並んでいる洗濯機の性能を評価したラベル等の表示に関する法的な規制が確立されていないため、消費者は洗濯機の特徴をよく知らずに購入しているのが実情である。本研究では市販の全自動電気洗濯機について洗浄実験を行い各洗濯機の洗浄性能の比較検討を試みた。 方法被洗物としてはJISC9606電気洗濯機で規定されている模擬洗濯物(シーツ1枚・シャツ1枚・タオル4枚・ハンカチ2枚)の計8枚に補助布を加え2kgに調整した物を用いた。この被洗物の特定の部位に洗浄力評価用の湿式人工汚染布の一辺を縫いつける方法で取り付けた後に各機種の標準コース(水温40度)で洗浄した。洗浄中に使用した洗濯用水、消費電力量、所要時間を測定した。洗浄力の推定は模擬洗濯物に添付した湿式人工汚染布の洗浄前後のK/S値の差によった。 結果全汚れ除去量に見合うK/S値をみるといずれの機種についてもほぼ等しく最終的な洗浄力はほぼ同程度であるとみなせるが、単位水量あたり・単位時間あたり・単位消費電力量あたりの汚れ除去量を調べてみると機種間の相違が大きかった。一般に渦巻き式等のたて型洗濯機は同一コースでの繰り返し洗濯時の再現性が良かったがドラム式等のよこ型洗濯機は繰り返し時の再現性が悪い傾向が見られた。
著者
鈴木 聡子 船橋 良 阿部 祐子 片山 倫子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.225, 2006

〈B〉目的〈/B〉 近年、日本の家庭用電気洗濯機は渦巻き式から回転ドラム式へと急速に転換しているが、外見は同じでも両者の洗浄機構には大きな違いがある。一方、古くからドラム式を使用してきたヨーロッパでは、店頭の洗濯機に対して洗浄性能評価の表示を義務付けている。そこで著者らは次々に出現したドラム式についてJIS C 9606で採用している湿式人工汚染布とIEC60456で採用している4種のEMPA汚染布による洗浄性能の比較を試みた。〈B〉方法〈/B〉 被洗物としては、JIS C 9606で規定されている模擬洗濯物(シーツ1枚,シャツ1枚,タオル4枚,ハンカチ2枚の計8枚に補助布を加え,約1.5kgに調整)を、供試洗濯機は家庭用全自動洗濯機(ドラム式)3台とIEC基準機のウェスケーター(回転数は52rpm)及びJIS C 9606標準洗濯機を用いた水のみ(17±2℃)による10分間の洗濯を行った。被洗物の受けた機械作用は小型MA試験布によって推定し、洗浄力については各汚染布の表面反射率変化及び表面反射率から算出したK/S値によって検討した。〈B〉結果〈/B〉 IECのウェスケーター、日本の標準洗濯機及び3種のドラム式洗濯機(H11年、H13年、H17年製造)について洗浄力を湿式人工汚染布による洗浄前後のK/S値の差で、被洗物の受けた機械作用をMA/5値で推定したところ、標準洗濯機はウェスケーターの約2倍の機械作用を被洗物に付与しながら洗浄力はウェスケーターの半分程度であった。3種のドラム式には大きな差はなく、いずれの機種もウェスケーターと比べるとMA/5値は1.7倍、洗浄力は1.4倍程度であった。湿式人工汚染布とEMPA112はほぼ同じ洗浄性能であったが、EMPA111のみは水に溶出しやすく機械力との相関が見られなかった。
著者
太田 茜
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.237-244, 2008 (Released:2010-07-29)

雑誌は当時の生活を知る手がかりになるものであり、婦人雑誌に掲載されている多くの衣服についての記事や広告から当時の衣生活を考えることができる。雑誌には想定された読者層が存在しており、同じ国の同じ時代に発行された雑誌であっても読者層が違えば誌面にみられる衣服が異なることが考えられる。そこでアメリカで19世紀末に発行されていた婦人雑誌2誌を比較し、服の種類や入手方法、価格などに違いがないかを検討した。資料は現在もアメリカで発行されているファッション誌『ヴォーグ』と『ハーパース・バザー』を使用した。結果として『ヴォーグ』と『ハーパース・バザー』には共通点がいくつかあるものの、それぞれの雑誌の特徴がみられた。『ヴォーグ』の方がより上流階級の人々を読者として想定した社交界に関する記事やファッションが多くとりあげられており、『ハーパース・バザー』の方が実用的な記事が多くみられた。同じような階級の女性の中にも細かい違いがあり、それにもとづいたアメリカの女性の生活レベルが雑誌の誌面にも反映されていたといえる。
著者
湯川 聰子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.20, no.7, pp.557-561, 1969

A large proportion of the families with working wives have no children. Also in a large percentage of cases working women's families with children live with either wives' or husbands' mothers. This fact indicates that it is difficult for wives to work out without the cooperation of their families, especially of their mothers. On the other hand, many wives who hold jobs send their children to nursery schools. To send them to nursery schools has been made easier these days owing to the recent increase of nursery schools, but there are still many complaints about them especially insufficiency in number, lack of baby nurseries and shortage of available hours.<BR>The &ldquo;white collar&rdquo; married women's chief motive for resigning from their positions is their husbands' transference to remote places.
著者
大富 あき子 大富 潤
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.180, 2018

目的<br>日本列島の最南端に位置する鹿児島県は温暖な気候に恵まれ、一年を通じて様々な作物が収穫でき、多彩な郷土料理が伝承されている。指宿市山川地区に古くから伝わる郷土料理で鹿児島県ふるさと認証食品の一つでもある山川漬は、かめ壺で発酵させた大根の漬物で、たくあんのルーツであるが、近年生産者の数が激減している。そこで本研究は、山川漬の伝承と生産の現状を明らかにすることを目的とした。<br>方法<br>認証基準に合致した製法で山川漬を生産しているA漬物店(指宿市)を2018年1月に訪問した。現地では生産の現場を視察するとともに、代表者へのインタビューを行った。<br>結果<br>山川漬は古くは「唐漬(からづけ)」と呼ばれ、1592年の豊臣秀吉の朝鮮出兵に向けて兵をあげた島津義久の軍船に、山川港周辺の農家が生産した唐漬が兵糧として積み込まれている。「山川漬」と呼ばれるようになったのは江戸時代で、原料となる大根は練馬大根あるいは理想大根などの白首大根である。泥付きのまま2段に組んだ竿で約1カ月間干したものを、塩をふりながら木製の細長い臼において杵でたたく。かめ壺の底にすのこを敷き、大根を塩と交互に隙間なくつめ、密封して半年から1年間漬ける。できる限り水分を除去し塩だけで発酵させる山川漬は、温暖な南九州における理にかなった保存食である。以前は各家庭で作られていたが、今では4つの店舗でしか製造されておらず、原料からの製造は2店舗のみである。
著者
杉本 奈那 鈴木 結花 岩﨑 潤子 小林 泰子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.97, 2016 (Released:2016-08-04)

【目的】 藍染め布は、古くから衣服に使用され、消臭、細菌増殖抑制、虫除け等の効果もあるという。本研究では、衣服として必要な消費性能から、数種の物性と染色堅ろう性、消臭性、抗菌性を選び、検討を行った。【実験方法】 試料布は綿と麻ブロード、染料はインド藍液(田中直染料店)を用い、1回染めと5回染めにより、染色布を調製した。JIS法に基づき、物性は、引張り強度と引裂き強度試験、染色堅ろう度は、摩擦と耐光試験、その他機能性は、検知管法による消臭性とフードスタンプ法による抗菌性試験を行った。【結果と考察】 引裂き強度は、綿では1回染め布で20%、5回染め布で50%、麻では約2~3倍に増加した。摩擦堅ろう度は、5回染めにより乾燥試験のたて方向で4級から3級に減少した。湿潤試験では、1回染めと5回染めで変化はなく、3級だった。濃色化により色落ちが目立った。耐光試験では、濃色化により堅ろう性は増加した。アンモニアに対する消臭性は、藍染め布には認められなかったが、銅媒染により発現した。抗菌性は、未処理布に比較し、染色を重ねることによりコロニー数が減少した。これら結果より、物性、抗菌性では、十分な消費性能が得られ、消臭性も媒染を加えることにより期待できることがわかった。今後は、より染色堅ろう性の高い染色布の調製を行い、紫外線遮蔽性、数種の細菌を用いた抗菌性についても検討を行う。
著者
三宅 紀子 野村 茉由
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 70回大会
巻号頁・発行日
pp.163, 2018 (Released:2018-07-28)

目的 ビタミン、ミネラルなどをはじめとしてフィトケミカルを豊富に含む野菜や果物は、健康維持や生活習慣病の予防に重要であるが、十分に摂取できていないのが現状である。本研究では、作り置きにより野菜を手軽に摂取するための一つの方法としてピクルスに注目し、野菜に含まれる栄養素の中でも調理等により壊れやすいビタミンCに着目した。方法 ピクルスの野菜やピクルス液の配合のレシピ調査をもとに、パプリカ、キャベツのピクルスを調製した。野菜を下漬け後、ピクルス液に浸漬して、冷蔵庫で保存し、経時的に野菜とピクルス液に分けてビタミンCを抽出し、HPLC-UV法により還元型ビタミンC(AsA)量および酸化型ビタミンC(DAsA)量の両者を定量した。結果 パプリカのAsA量は、1日で浸漬前の約2/3に、7日で約1/3に減少したが、その後大きな変化はなかった。一方、ピクルス液のAsA量は経時的に増加したことから、パプリカのビタミンCのピクルス液への溶出が示された。キャベツの総ビタミンCはパプリカと比較して減少速度が大きく、パプリカよりもDAsAの割合が高かった。以上の結果から、ピクルスのビタミンCは浸漬後短時間で溶出しやすいが、1週間あるいは3週間後でもピクルスのビタミンCは残存していた。
著者
久松 裕子 遠藤 伸之 長尾 慶子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.137-146, 2013 (Released:2014-06-14)
参考文献数
31
被引用文献数
3

The consumption of vegetables is known to be one of the preventive factors for lifestyle- related diseases, and their consumption is receiving considerable attention. We produced samples of three types of vegetable (Japanese radish, carrot, and Japanese pumpkin) which had been dried by four different methods. Some of these dried and boiled vegetables became hard to chew and were not pliant. The Japanese radish became darker and more yellowish, whereas the carrot and the Japanese pumpkin became more reddish. The smell became strong only in the case of the Japanese pumpkin, while energy conservation had become a necessary consideration. The sweet and umami tastes became strong with Japanese radish and the carrot. Although the bitterness of the Japanese pumpkin had become stronger, the sensory evaluation showed it to have the preferred taste. Only 30% by weight of the sun-dried Japanese radish sample showed a significant increase in the antioxidative properties. These results show that 30% by weight of sun-drying is the optimal condition for boiled dishes.
著者
田村 朝子 本 三保子 山田 則子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.497-503, 2006 (Released:2007-10-12)
参考文献数
16
被引用文献数
1

ウコギ葉を熱水で抽出した茶を標準飼料および無繊維飼料で飼育したマウスに長期に摂取させ, 腸内環境および小腸組織に対する効果を検討した. 投与した飼料と飲料によりコントロール水群, コントロールウコギ茶群, 無繊維水群, 無繊維ウコギ茶群の4群とし, ウコギ茶の効果を比較した.1) 糞便排泄量および糞中コレステロール排泄量は, コントロール群が無繊維群より有意に高く, 4群間ではコントロールウコギ茶群が最も高い値を示した.2) 盲腸中短鎖脂肪酸総量は, コントロール群が無繊維群より有意に高く, コントロール群間ではウコギ茶群が水群より有意に高い値を示した.3) コントロールウコギ茶群の小腸絨毛の長さは他の3群より有意に長く, 組織および細胞形態も大きく密になっていた. 無繊維ウコギ茶群の絨毛の長さは, 無繊維水群より有意に長くなっていた.以上の結果から, ウコギ茶摂取によって腸の蠕動運動が活発になり, 糞便排泄量が増加し, 小腸組織の発達が促進された. これらのことは, ウコギ茶中に溶出された水溶性食物繊維の影響によるものと推察されたが, 不溶性の食物繊維との相乗効果が大きいと考えられる.
著者
西念 幸江 柴田 圭子 安原 安代
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.867-878, 2003

真空調理には, 保存が可能という利点がある.しかし, 真空調理した食品の保存に伴う食味及び物性の変化についての検討が少ない.そこで, 本研究では保存期間が物性, 食味に及ぼす影響を検討した.さらに, 真空調理は保存後, 提供に際し, 原則として再加熱を行うため, 再加熱の物性や食味への影響を明らかにするのと同時に湯煎温度を検討した.<BR>(1) 再加熱湯煎温度を沸騰にすることは調理性や物性への影響が大きいことが確認され, 湯煎温度75 ℃と85℃を比較すると85℃が再加熱時間の短縮の上から有効と考えられた.<BR>(2) 保存期間の延長に伴い水分, 多汁性の減少によりパサつくことが推察された.また, 官能評価では12日が低く評価される傾向にあり, 物理的測定値と高い相関が認められた.これらよりレストラン等で真空調理した場合に用いられている「6日」は食味や物性の面からは妥当な保存期間であると示唆された. しかし, 6日以降の食味や物性の変化については今後の検討が必要と考えられた.
著者
淺井 智子 石橋 ちなみ 杉山 寿美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

<b>目的</b> 食肉加工品への食塩添加はミオシンの可溶化およびゲル形成能に関与し,製品のテクスチャー等に大きく影響する。しかし,ソーセージなどとは異なり,低濃度の食塩が添加されるハンバーグにおける食塩添加や添加後の混捏操作の影響は明らかではない。一方,近年食事に含まれる食塩量の減少が推奨されているが,食塩の有する調理特性を考慮しなければ,最終製品の嗜好性を損なう。そこで,本研究では,ハンバーグのテクスチャーに及ぼす食塩添加量,混捏程度の影響を検討した。<b>方法</b> 牛ひき肉300gに肉重量の0%,0.5%,0.8%,1.0%の食塩を加えた。フードプロセッサーで20秒又は80秒間混捏した後,炒め玉ねぎ45gを加え,10秒間混捏した。50gずつセルクル(&Oslash;70mm)で成型後,220℃で8分間の加熱を行った。調製したハンバーグの静的粘弾性測定(テクスチャーアナライザーEZ-S,島津),走査電子顕微鏡観察(JSM-5800LM,JEOL),官能評価を行った。また,食塩添加量の異なる牛ひき肉の動的粘弾性測定(RS6000,Thermo HAAKE)も行った。<b>結果</b> 静的粘弾性測定の結果,混捏90秒では,NaCl濃度が高いほど軟らかくなること,また,混捏30秒と比較して0.5%NaClまでは硬く,0.8%までは凝集性が高いが,それ以上の濃度では混捏時間による影響が小さくなることが示された。また,官能評価の結果,混捏90秒ではNaCl濃度が低い場合に,硬く,もろくないと評価された。走査電子顕微鏡観察では,これらの結果を裏付ける組織構造が観察された。動的粘弾性測定における温度依存測定の結果では,NaClを添加していない場合はG&rsquo;G&rdquo;の上昇開始温度が40℃付近である一方,添加した場合は30℃付近となり,その後の温度上昇に伴うG&rsquo;G&rdquo;の挙動もNaCl濃度によって異なっていた。これらより,低濃度の食塩添加であっても,ハンバーグのテクスチャーや組織構造に違いが生じることが明らかとなった。
著者
江澤 郁子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.898-902, 1985-11-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
5
被引用文献数
1
著者
樋口 幸永 近藤 隆二郎
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.859-868, 2009

The purpose of this study is to clarify the feature of the movement of recording the household account as promoted by the Zenkoku Tomo-no-kai, a readers'club of Fujin-no-tomo magazine. This study also aims to reexamine the role of the movement by tracing the transition of the readers'lifestyle as well as what they sought in life. We examined (1) the contents of the magazine as well as the feature of the house-keeping book, (2) how the house-keeping book was promoted as well as what resulted in favor of improved household budget, and (3) readers'comments included some special feature articles on the house-keeping book. The examination found that the initial plan was to assist the club members in forming their household budget by offering the mean value and quantity of their housekeeping items. It was also found that the movement was meant to help its members draw up an ideal budget in the hope that a sound household would eventually contribute to forming a sound society. Then, the movement gradually shifted its stand and tried to assist its members to consider that their households were part of the entire social system. In other words, keeping household account helped its members deepen their understanding of social affairs. This understanding has led up to less dependence on outsourcing of various nature, which would help alleviate environmental disruption. In conclusion, it is safe to state that the act or habit of keeping household account as promoted by the Zenkoku Tomo-nokai of the magazine Fujin-no-tomo has helped the club members incorporate the social concept in themselves.
著者
道端 あい 毛利 輝高 内藤 直弘 西川 直樹 宮坂 広夫 高岡 弘光
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 60回大会(2008年)
巻号頁・発行日
pp.203, 2008 (Released:2008-11-10)

【背景】洗濯後の衣類の香りや臭いに対する消費者意識は高く、近年、衣類の消臭、部屋干し臭抑制、高残香性等の機能を付与した洗剤が発売されている。また、洗濯後に残る気になる臭いとして、皮脂臭・加齢臭をあげる女性が多いことから、Web調査にて、特に“夫の洗濯物の臭い”に対する意識と洗濯行動の実態把握を行った。 【方法】洗濯主体者であり、かつ夫が同居している既婚女性を対象にWeb調査を行った(有効回答数1032人)。 【結果・考察】本調査により、既婚女性の82%が夫の洗濯物の臭いを不快に感じ、26%の人が分け洗いを行っている結果が得られた。年齢や結婚年数を項目とするクロス集計分析を行ったが、特に顕著な差はみられなかった。一方、結婚生活への満足度や二人での外出頻度等の夫婦間コミュニケーションに関連した項目と、夫の洗濯物の臭いに対する感じ方との間には高い相関性がみられた。また、家事参画度にも臭いの感じ方に対し同様な傾向が認められた。 そこで、夫婦間コミュニケーションレベルに関する25項目の質問を因子分析し、精神的充足や愛情表現実行等の4つの因子を抽出した。これらの因子を元に対象者をクラスター分析し、コミュニケーションレベルで夫婦の形態を5階層に分類した。その結果、「結婚生活ネガティブ」層では61%が夫の洗濯物の臭いを不快と感じているのに対し、「夫婦円満」層ではわずか6%であった。実際の行為としての分け洗いの実施率についても同様であった。これらのことから、夫婦間のコミュニケーションと夫の洗濯物の臭いに対する感じ方や洗濯行動とには密接な関係があると推定された。
著者
米浪 直子 土居 香織 君ヶ袋 志麻 中山 真理子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.63, pp.15, 2011

【目的】食事誘発性体熱産生(DIT)は摂取エネルギーと食事内容に影響され、高たんぱく質食を摂取した場合、食後の熱産生により摂取エネルギーの約16%が消費されるといわれている。さらに運動後のアミノ酸投与は筋たんぱく質の合成率をより高めるという報告もある。本研究では、高たんぱく質食を運動後に摂取することがエネルギー代謝にどのような影響を及ぼすか検討を行った。【方法】女子大生7名を対象として、30分間の65%VO₂max強度での運動負荷後、食事を摂取し、食後6時間までの心拍数、RQ、酸素消費量、DITを測定した(運動条件)。同様に運動を負荷せず安静状態で測定を行った(安静条件)。食事内容は高たんぱく質食644kcal(PFC 34:28:36%)と一般食642kcal(PFC 15:25:60%)とした。【結果・考察】酸素消費量、発生熱量は食事摂取前に運動を負荷することによって高たんぱく質食条件が一般食条件よりも有意に高い値を示した。また、RQは運動負荷により高たんぱく質食条件が一般食条件より有意に低く、脂質燃焼が亢進することが示された。DITは、運動条件においては一般食条件よりも高たんぱく質食条件で高くなる傾向を示したが、安静条件では食後6時間までは両食事条件で有意な差は見られなかった。以上のことから、DITは一般食では運動による影響が見られないが、高たんぱく質食は運動後に摂取することで脂質の燃焼を促進するとともにDITが高まる可能性が示唆された。
著者
前田 清一 中尾 俊
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.149-154, 1963
被引用文献数
1

酸類の酸味としての閾値(Stimulus Threshold Value)と最低閾値(Minimum Threshold Value)、及び酸類間の酸味の強さについて、味覚試験を用いて測定をおこなった結果 : -<BR>(1) Panelの識別能力は非常に優秀なものであり、なかでも、女性Panelは男性のそれよりも全般によい様である。<BR>(2) 平均最低閾値は、塩酸、アスコルビン酸、グルコン酸では1×10<SUP>-4</SUP>M(各0.0004、0.0019、0.0020%)、ベタイン塩酸塩では2×10<SUP>-4</SUP>M (0.0027%) であり、クエン酸、酒石酸、乳酸等その他有機酸では5×10<SUP>-5</SUP>M(各0.0010、0.0008、0.0005……%)かそれ以下である。<BR>(3) 酸味として感じる閾値は、正確には極限法によっておこなわねばならないが、本実験資料から大略次の値であろうと推定される。<BR>クエン酸、酒石酸、フマール酸、グルタミン酸塩酸塩については1×10<SUP>-4</SUP>M(各0.0019、0.0015、0.0013%)、アスコルビン酸の4×10<SUP>-4</SUP>M(0.0076%)を除いて他の本実験試料酸類は、同一モル数すなわち、2×10<SUP>-3</SUP>M(塩酸の0.0008、乳酸の0.00018、酢酸の0.0012、コハク酸の0.0024、グルタミン酸の0.0030等の各%)である。<BR>(4) 閾値におけるpHは必ずしも同一ではなかった。
著者
浅見 雅子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.567-570, 1973

In the Heian era, all kinds of implements were called &ldquo;chodo.&rdquo; This paper is for showing pilologically how the meaning of implements changed in the Edo era.<BR>According to the dictionaries or the documents published in the period, we can know that the word implements involves two different kinds of the meaning in it; that is, we can call one &ldquo;chodo&rdquo; and the other &ldquo;kizai&rdquo; or &ldquo;kiyo.&rdquo; <BR>In the Edo era, &ldquo;chodo&rdquo; means the industrial art objects ornamented by gold or silver lacquer. On the other hand, &ldquo;kizai&rdquo; or &ldquo;kiyo&rdquo; means what we call functional implements.<BR>The most typical &ldquo;chodo&rdquo; of the Edo era is <I>daimyo</I>'s &ldquo;choddo&rdquo; involving the wedding one for <I>daimyo</I>'s daughters, which exists even now as a cultural inheritance. &ldquo;Kizai&rdquo; or &ldquo;kiyo&rdquo; as functional implements, which was made use of mainly by the common people, little exists for it was dealt with as expendable one.<BR>We can clearly distinguish between the meaning of &ldquo;chodo&rdquo; and that of &ldquo;kizai&rdquo; or &ldquo;kiyo&rdquo; in the Edo era. Nowadays the word &ldquo;chodo&rdquo; is used as a kind of pronoun given to luxurious furniture.
著者
田尻 絵里 重黒木 彩乃 畑本 陽一 吉村 英一
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.269-279, 2020 (Released:2020-05-29)
参考文献数
30

異なるエネルギーの清涼飲料水の摂取が朝食と1日の食事摂取量に及ぼす影響, および習慣的な身体活動と補償効果の関連を検討することを目的とし, 無作為クロスオーバー試験 (エネルギーのある甘味料入り清涼飲料水 ; sweetener群 (以下, S群) ; 225 kcal vs. エネルギーのない人工甘味料入り清涼飲料水 ; artificial sweetener群 (以下, AS群) ; 0 kcal) を実施した. 対象者は月経後2週間以内の女性16名 (平均21.6±0.5歳) とした. 飲料摂取前, 摂取後0, 20, 40, 60, 120, 150分に血糖測定と主観的食欲を評価し, 飲料摂取後60分に自由摂食の朝食を提供した. 150分以降は自由生活とし, その後1日のエネルギー摂取量を評価した. さらに, 対象者は実験日を除く任意の1週間加速度計付活動量計を装着し習慣的な1日の身体活動を評価した. AS群はS群と比較して朝食摂取前までの血糖値は有意に低かった (p<0.010) が, 朝食後の飲料摂取後120分では有意に高かった (p=0.004). 主観的食欲は飲料摂取後60分のときAS群が有意に高かった (p=0.034). 一方, 飲料のエネルギーを含む朝食及び1日の総エネルギー摂取量はAS群よりS群で有意に高く (p<0.010), エネルギー摂取量の補償効果は認められなかった. 習慣的な身体活動量と補償効果の間には有意な相関関係は認められなかった. 本研究より, 異なるエネルギーの清涼飲料水の摂取は血糖値と主観的食欲に影響するが, その後の食事摂取量には影響しないことが示唆された.