著者
庄山 茂子 西之園 美咲 栃原 裕
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.242, 2016 (Released:2016-08-04)

目的 急速な高齢化に伴い、介護サービスを利用する高齢者が増加している。自宅での介護を望む高齢者も多いことから、介護施設では自宅にいるような雰囲気が求められる。そこで、対人関係の内容やあり方についての情報を伝達する機能をもつ介護服に着目し、要介護者にとって望ましい介護服の色彩を検討した。方法 (1)試料:ポロシャツ7種(White、lt-Red、 lt-Blue、 lt-Yellow、lt-Blue Green、d-Blue、dk-Blue)、 (2)時期:2015年6月~7月、(3)対象者:施設利用者216名(平均年齢84.1歳、SD7.6歳)、(4)方法:面接による質問紙調査、(5)内容:施設利用頻度、介護服の好ましさ、介護服のイメージ、 (6)分析方法:単純集計、一元配置分散分析、因子分析結果 「好ましい」の回答が最も多いのはlt-Blue Greenで、lt-Blueは男性に好まれ、lt-Redは女性に好まれた。同色相で明度の異なる3種(lt-Blue、d-Blue、dk-Blue )を比較すると、高明度の評価が高かった。7種に対するイメージについての因子分析の結果、「思いやり・癒し、責任感・信頼、活動性、個性、派手さ」の5因子が抽出され、平均因子得点は全ての因子において7種間に有意差がみられた。「思いやり・癒し」の得点が最も高いのはlt-Red、低いのは、d-Blue、dk-Blueの低明度のサンプルであった。「責任感・信頼」が最も高いのは、高明度の寒色系であった。
著者
小泉 茉由 松島 悦子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.192, 2016 (Released:2016-08-04)

【目的】おいしさは、食物や食べる人、環境などの要因で形成される主観的なものである。食物からの情報は味覚や視覚、嗅覚などで知覚され、色はおいしさの評価を左右する重要な要因である。先行研究によると、青や紫など寒色の皿は食欲を減退させると指摘されているが、藍色の皿は古くから一般的に使われてきた。そこで本研究では青い皿に着目し、その色調の違いがおいしさの印象にどのように影響を与えるかを明らかにした。  【方法】A大学の女子学生と教職員62人を対象として、明度と彩度の異なる4種類の青い皿に煮魚やハンバーグ、サラダ、そうめんなど8種類の料理を盛り付けた画像を作成し、印象評価を行った。評価法は、SD法に基づき、おいしさにかかわる形容詞対7項目に対する5段階評価である。事前に質問紙調査を行って、画像に用いる皿の形や料理を選定した。 【結果】「おいしそう」という評価はサバの味噌煮などの茶系の料理で低く、同じ料理でも皿の明度・彩度の違いによって評価は異なった。これは、皿の色と料理の色との対比という視覚現象によるものと考える。また、温かい料理でも「冷たそう」と評価され、青い皿は料理を冷たく見せる効果が確認された。以上より、皿の青という色相のみならず、明度や彩度も料理のおいしさの印象に影響を与えることが明らかとなった。また、学生と教職員では、明るさや華やかさの項目で評価に有意差が認められ、好まれる明度・彩度は年齢により異なることが示唆された。
著者
中井 梨恵 渡邊 敬子 矢井田 修
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 60回大会(2008年)
巻号頁・発行日
pp.82, 2008 (Released:2008-11-10)

目的:本研究は肩関節の可動域との関連から,高齢女性の前あき上衣の着衣動作が困難となるメカニズムを明らかにし,さらにこれを解消するために必要なゆとりの位置と量を明らかにすることを目的とした.方法:67~97歳までの高齢女性46名の肩関節の自動可動域と構造の異なる3種類の上衣の着衣の所要時間,上肢の位置関係との関連について検討した.さらに,必要最低限度のゆとりの量と位置を明らかにするため,高齢女性を模して,肘屈曲時の水平伸展運動の可動域を平均-9度,外転運動の可動域を平均110度に制限した若年女性12名を対象として,上衣の背面の2か所のプリーツの位置と幅を変化させて着衣の所要時間を比較した.結果:外転運動の可動域が120度以下の被験者は,146度以上の被験者に比べて‘後から通す方の袖ぐりを探る時間’が有意に長いことが明らかとなった.肩峰点,肘点,手首点の位置関係を検討した結果,高齢女性は後から通す方の袖ぐりに手首を入れる際,肘を屈曲して手首を肩より後ろへ引く動作(肘屈曲時の水平伸展運動)が困難であるため,背面のゆとりが少ない場合,肘を外転させて手首を頸の後ろの方へ移動させていた.外転運動の可動域が小さい被験者はこの動作が困難なため,所要時間が長くなると言えた.高齢女性のように肘屈曲時の水平伸展運動と外転運動の可動域が小さい場合,袖ぐりの底の高さを含んでそれより上部に12~18cmのゆとりを入れると着衣しやすいと言えた.これに対して,外転運動の可動域のみが小さい場合には袖ぐりが広い構造や後ろ身頃に6cmのゆとりがあれば着衣しやすいことから、身体機能に応じた着衣のためのゆとりの設計が必要であると言えた.
著者
川端 博子 鳴海 多恵子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.123-131, 2009 (Released:2011-08-30)
参考文献数
8
被引用文献数
3

Thread-tying tests and questionnaire surveys were conducted on 247 boys and 271 girls in elementary schools from July to November, 2007. The questionnaires asked the participants' about their frequency in engaging in play, their confidence towards play, their study preferences, and their consciousness towards making things by hand. We analyzed how their skill or lack of skill in using their fingers and hands was related to the results of the questionnaires. The results were as follows: (1) The mean number of knots made in a five-minute thread-tying test was 6.4 for boys and 10.2 for girls, showing a significant difference between boys and girls. Comparing these results with the previous results in 1995, skillfulness in fingers and hands among elementary-aged children appears to be declining. (2) Boys and girls with abundant indoor play experience tended to have higher skillfulness in fingers and hands. As their degree of confidence towards play using their hands declined compared with the results in 1995, a change in the way they play can be considered as one of the reasons for their decline of their skillfulness in fingers and hands. (3) Boys and girls with higher skillfulness in fingers and hands tended to like studies which require the use of their hands and other studies that require repetition. This tendency is more prominent among girls. (4) Sewing seems to have a mutual relationship with skillfulness in fingers and hands, abundant play experience, preference towards studies using the fingers and hands, and consciousness towards making things by hand. Therefore, it can be suggested that sewing studies can nurture positive attitudes towards various other kinds of learning and activities using the hands, as well as develop skillfulness in fingers and hands.
著者
草野 篤子 角間 陽子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 60回大会(2008年)
巻号頁・発行日
pp.280, 2008 (Released:2008-11-10)

目的 少子高齢社会では多世代が共存・協力してコミュニティを形成することが重要である.異世代間の日常的な交流は著しく減少し,意識的・意図的な配慮によって多様な人間関係を構築する機会を設定しなければならない事態となっている.近年,学校教育では「総合的な学習の時間」や学校ボランティアなどによって世代間交流活動が行われている.その大半はイベント的なもので,日常的な交流や「なじみの関係」への発展は困難である.本研究は日本の学校における世代間交流活動の質的向上を図るために,子どもを支援する高齢者の事前研修・スキルアッププログラムを作成することを目的としている.そこで,義務教育学校に高齢者を派遣する事業(Klassmorfar;クラスダディ)を実施しているスウェーデンのプログラムを対象として研究に取り組んだ.方法 2007年8月,スウェーデンにおいてクラスダディを導入している学校の実地調査と子どもや教員,クラスダディおよび研修担当者,事務局メンバーへのインタビューを行った.結果 クラスダディはストックホルムのナッカ地域で1996年に開始された事業で,現在は69の県における163の市町村で導入されており,566名が活動している.クラスダディの認定には2ヶ月間の研修があり,1ヶ月間の試用期間を経て正式採用となる.研修の受講にもクラスダディ事務局による面談と選抜がある.研修は教育学や心理学,子どもの発達や問題行動,学校組織や教職員の役割,身体による意思表示などの内容で構成されており,グループ活動や実習も組み込まれている.クラスダディの効果として,子どもが精神的に安定し,教師の負担が減少するとともに,学校と保護者の連携強化が挙げられた
著者
石原 健吾 髙石 鉄雄 伊藤 廉子 澤田 祐子 辻 沙奈恵 森友 理絵 脊山 洋右
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.71-77, 2012-02-15 (Released:2013-09-30)
参考文献数
8

This study compares the physiological work load between two ascending patterns, single-step (SS) and double-step (DS), when climbing a public staircase at the two different climbing rates, controlled speed (105steps/min) and free speed. The SS pattern involved climbing one step at a time, while the DS pattern involved climbing two steps in a single stride. Thirteen female subjects climbed a typical 7-storey building, giving a total of 168 steps and vertical movement of 27.7 m. The results for perceived exertion (RPE), blood lactate level, oxygen consumption and muscle EMG activity were significantly higher (p < 0.05) with the DS than SS pattern at a controlled speed. The results also showed that the ascending speed, heart rate, blood lactate level, respiratory quotient (RQ) and RPE were significantly higher (p < 0.05) with the DS than SS pattern at a free speed. These results clearly indicate the higher physical workload involved with the DS than SS pattern at both free and controlled speeds.
著者
小原 奈津子 宮島 美穂
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 61回大会(2009年)
巻号頁・発行日
pp.123, 2009 (Released:2009-09-02)

目的 ベトナムの伝統衣服であるアオザイは、長袖でゆとりが少なく体にフィットした形で腰から裾へ長いスリットが入った上衣と、幅広のパンツの組み合わせからなる。現在はポリエステル製のアオザイがよく見かけられるが、高温多湿な気候下でスリムなデザインの衣服素材として吸湿性の低いポリエステルが予想に反して定着していることから、ポリエステルとスリットがアオザイの衣服内気候に及ぼす影響を検討した。方法 試料服としてスリットのあるアオザイとスリットをふさいだアオザイを、厚さと織密度がほぼ等しいポリエステルと綿で製作した。30℃、80%R.H.の環境下で、5人の被験者が椅座安静(15分)、階段昇降運動(15分)、立位安静(30分)のプログラムで運動した。その間、8か所の皮膚温の変化、4か所の衣服内温湿度の変化を測定し、温度、快適、べたつきなどの官能評価を行った。これらの実験は各2回行った。さらに実験前後の衣服とタオルの重量差から発汗量を求めた。結果 皮膚温、衣服内温湿度および官能評価では被験者に共通した運動による変化がみられたが、分散分析の結果、素材とスリットはこれらの衣服内気候に影響する要因としては有意ではなかった。他方、汗の量は、スリットのない綿素材>スリットのないポリエステル素材>スリットのあるポリエステル素材>スリットのある綿素材の順となり、綿素材のアオザイではスリットの有無が汗の量の要因として有意であり、一方ポリエステルではスリットの有無は要因として有意でなかった。これらの結果から、本実験のような条件下で運動した場合の衣服内気候は、素材の吸湿性のみならず、吸湿による吸着熱の発生、素材の通気性、吸水性などに影響を受けることが明らかとなった。
著者
久保 桂子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
巻号頁・発行日
pp.63, 2017 (Released:2017-07-08)

目的 近年、男性の子育て役割への関心が高まっている。出生動向基本調査でも、「家事・育児への能力」を結婚相手に求める女性の割合は高い値を示している。しかし、男性の経済力を考慮・重視する女性の割合も高い。男性の稼得と子育て役割の板挟み状態への関心も高まっており、本研究では、男性の役割意識を4つのグループに分類し、各グループの特徴を明らかにする。方法  2013年11月に千葉県西部の公立保育所21保育所の保育園児の保護者を対象に行った質問紙調査の結果を用いて分析する。調査票は家族票・母親票・父親票を組にして2119世帯に配布し、回収は1118世帯分であった(回収率52.8%、有効票は1099世帯、51.9%)。本研究では、夫婦共働きの核家族世帯721票のデータを用いる。平均年齢は、父親37.2歳、母親35.7歳、平均子ども数1.78人である。結果(1)男性の稼ぎ手役割意識の高低と、子育て役割意識の高低を組み合わ4グループを作成し、妻の就業形態の正規・非正規別に確認すると、「稼ぎ手低・子育て高」意識のグループは、妻正規の夫で高い割合を示しており、妻非正規の夫では稼ぎ手意識の高いグループの占める割合が高い。(2)仕事から家庭生活への葛藤は、「稼ぎ手高・子育て低」のグループで最も高い。(3)子育て意識の高い夫のグループの場合、女性の就労を肯定的に捉える傾向にある。(4) 稼ぎ手意識の高い夫のグループの場合、妻の男性稼ぎ手意識も高い傾向にある。
著者
佐藤 真紀子 金子 佳代子 宇高 順子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.65, no.10, pp.555-567, 2014 (Released:2015-01-01)
参考文献数
39

Changes to the description of food and nutrition in home economics textbooks for elementary and junior high schools published in the period from 1947 to 2012 were analyzed. The description of nutrients and their functions changed with advances in the study of food and nutrition. The present textbooks for elementary and junior high schools consistently and systematically describe nutrients and their functions. The description of food groups and daily food guides changed according to the food intake, health and dietary problems of Japanese people. Further development of teaching material and methods is needed. The description of menu planning gradually changed to focus on a nutritionally balanced diet and to emphasize the combination of shushoku (cereals), shusai (protein-rich foods), fukusai (vegetables), milk and milk products, and fruits. Nutritional balance as well as multiple elements are desirable for learning future menu planning.
著者
深沢 太香子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

<b>目的</b> 温熱的快適性における性差を明らかにすることを目的とする.本研究では,ヒトの温熱的快適性と高い相関性のあることが確認されている皮膚濡れ率を用いて,実験的に検討することとした.<br><b>方法</b> 健康な日本人若年者を対象とした.本研究には,男子大学生7名(22.5 &plusmn; 1.2 歳)と女子大学生16名(22.1 &plusmn; 0.3 歳:卵胞期間中)の協力を得た.被験者は,実験用衣服を着用した後,気温 22 &deg;C,絶対湿度 10 mmHg,気流 0.2 m/s の温熱環境条件に制御された実験室内に,計65 分間滞在した.室内では,実験開始から20分間安静椅座位を保ち,その後45分間,4.5 km/h の歩行運動を行った.実験中,鼓膜温,皮膚温8 部位,皮膚露点温度5部位を連続測定した.主観評価として,全身の温冷感,湿り感,温熱的快適感について,5 分ごとに申告させた.<br><b>結果と考察</b> 実験時間における全身からの潜熱放散は,男子の方が女子よりも有意に多かった(p< 0.001).その結果として,男子の平均皮膚温は,女子よりも低値を示した(p< 0.001).さらに,男子における全身の皮膚濡れ率は,若年女子よりも高値を示した(p< 0.001).この皮膚濡れ率を指標とした全身の温熱的快適感の閾値は,男子の場合はw= 0.39 &plusmn; 0.05 (-)であり,女子の場合はw= 0.21 &plusmn; 0.03 (-)であった.両者の閾値には,有意差が認められたことから(p< 0.001),男性よりも女性の方が温熱的不快感を覚えやすいことが実験的に示された.これは,体温調節反応における性差とともに,女性の温冷覚の閾値は男性よりも小さいことに起因するものと考えられた.
著者
久武 綾子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.281-286, 1961

1) 婚姻届出日より第一子出生日のへだたりの統計結果から、妻の妊娠又は出産を契機として入籍するという、事実婚より法律婚への転機の一原因が実証された。<BR>2) 1) の件数は戦前戦中は特に多く、戦後も25年位までは相当多い。<BR>3) 婚姻の届出が第一子出生後2週間以内でなされる件数は戦前戦中は特に多く14%位をしめ、戦後25年位までは13%であるがそれ以後は次第に減少する傾向がみられる。<BR>4) 2) の2週間以内というのは出生の届出の期限と一致し、これは内縁期間に出生した場合に非嫡出子として一旦、母の戸籍に入るのを未然に防ぐためと推察される。<BR>5) 婚姻成立後即ち、婚姻届出後9~10ヵ月で第一子の出生をみる傾向は最近になってようやくあらわれた。6) 古い時代には特に法制的には内縁期間中の懐胎が相当多い。これは挙式後婚姻の届出をすぐに行なわなかったためである。<BR>7) 挙式日と出生日のへだたりは時代の推移にかかわらず10ヵ月にピークがある。<BR>8) 子の出生日から逆算すると式以前の同棲期間中の懐胎件数は法制上の内縁期間中の懐胎にくらべると少ないことがわかった。<BR>9) 社会生活上、挙式そのものは重大な規範でありながら、その反面、制度としての婚姻の届出はおくれがちであることが判明した。<BR>10) 婚姻届出に関する社会的経済的背景としての職業は、俸給生活者はその届出が早く、その中、教員、公務員は届出は特に早い傾向がみられる。
著者
植竹 桃子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.148-157, 2014 (Released:2015-01-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1

In order to be prepared for natural disasters and develop an effective self-sufficient emergency body waste management system, the author devised a personal emergency toilet that uses disposable diapers that are readily available on the market and tested it under various conditions.   The addition of 200 cm3 of wood pellets sold as cat litter to each toilet unit was found to be effective in preventing the toilet from producing ammonia gas and emitting a foul smell. An oxygen-based bleaching agent for clothes was not very effective in preventing them, especially during the hot summer season. Spraying the toilet about six times with the agent after use was found to be the most effective. This disposable diaper-based personal toilet is cheaper than ordinary emergency toilets on the market, and the materials are easily available. Based on the results, the author proposes adopting disposable diaper-based personal toilets to prepare for natural disasters.
著者
阿部 恵利子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 61回大会(2009年)
巻号頁・発行日
pp.58, 2009 (Released:2009-09-02)

目的 近年、医学や発達心理学の分野において乳幼児期の視覚の発達の経緯が明らかにされつつある。これによると、色彩感覚や空間認知能力は乳幼児期の視覚体験によって獲得され、それ以後は訓練しても習得は難しいとされている。しかし、こうした視覚に関する知識を、乳児をもつ母親は認識しているのであろうか。そこで本研究は、乳児をもつ母親の空間認知に関する意識について調査・分析を行い、子どもの色彩感覚や空間認知の発達を促すための基礎的研究とすることを目的とする。 方法 子育てサークルの母親、20代16名、30代14名、計30名を対象にアンケート調査を行った。調査対象者の平均年齢は29.6歳である。 結果 月齢別の視力に関するアンケート調査では、1ヶ月の赤ちゃんが明るい色彩に反応することや、4ヶ月の赤ちゃんが目で物を追うことに対する母親の認知度は高いが、具体的な視力については認知されていないことが確認された。赤ちゃんの視覚については70.0%の母親が「関心がある」と回答しているが、空間認知や色彩感覚の発達を理由とする回答は得られなかった。また、乳児は黒・白・赤などの極端な配色や図柄に反応を示すことを認知している母親は少数であり、多数の母親が赤・青・黄の三原色を使用している玩具を「良い」と認識している傾向が示された。視覚と聴覚の発達に関する工夫をしているか否か、の質問については、視覚では66.7%、聴覚では52.3%の母親が「工夫していない」と回答している。このことは、住まいの色彩に関する質問項目において、母親の好みが優先されており、乳児の発達が考慮されていない現状と一致する。 乳児をもつ母親は、視覚に関心はあるものの、視覚に関する具体的な発達については認知しておらず、空間認知や色彩感覚の発達を促す意識は低い傾向が確認された。
著者
藤本 麻紀子 田村 明弘
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.101-108, 2010-02-15 (Released:2012-11-15)
参考文献数
14
被引用文献数
1

In this research, we paid attention to one of the man's high and non-particular sensations, the sense of time, in an effort to examine whether or not the sense of time could be used as an index in quantifying the interaction of man and his space. 20 courses were selected and subjects were respectively directed to walk the specific courses in order to evaluate their self-affection, image of the course treaded, and sense of time. The walking distance was identically set in experimenting the sense of time. As a result, subjects felt the walking time shorter in a comfortable setting and longer in an uncomfortable scene. To be more specific, their sense of time in courses through a shopping district with many distractions was neither long nor short, while their sense of time tended to become shorter where there were obstacles such as congestion of passers-by and bicycle traffic. As the walking distance was set shorter, their sense of time became shorter than the actual time and their walking pace became slower. It should be pointed out that this experiment involved some problems. The walking distance was in fact not identical in some courses selected, and the subjects became tired as a result of continuous walking to affect the evaluation. Therefore, we intend to solve those problems and further our study of the interaction of man with his space and sense of time.
著者
表 真美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.369-378, 2006 (Released:2007-10-12)
参考文献数
22
被引用文献数
3

The old articles on the table talk, which were carried in the magazines of the Meiji period, were investigated with a view to locating the first publication citing the advantages of the table talk as well as clarifying the types of those articles. The magazines including those for women by eight different publishers were studied. The results are as follows: 1) The very first article on the table talk in Japan was found in Tsushin Jogaku Kogiroku or Correspondence Course of Study for Women by Yoshiharu Iwamoto in 1887. 2) 23 articles are related to the table talk, and they may be classified into six types: (a) Those that acknowledge it as strengthening the family tie, (b) Those that cite good effects on the education of children, (c) Those recommending it to help rationalize the family system, (d) Those describing in reference to food preparation and table manners, (e) Those that emphasize how happy conversation at the table is good for health, and (f) Those describing how the table talk should be in the new form and function of the dining room.
著者
高橋 美登梨 蒲池 香津代 赤根 由利子 高岡 朋子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 63回大会(2011年)
巻号頁・発行日
pp.66, 2011 (Released:2011-09-03)

目的 近年,最近の若い男性を表す言葉として「草食系」がメディアに取り上げられるようになった。当初は主に恋愛に奥手な男性を指す言葉であったが,最近では日常生活全般に対して淡白な様を示すこともあり,多様な使われ方をしている。いずれにしても,以前に比べて,男性の生活全般に対する価値観の変化が一因と考えられる。そして,このような価値観の変化は,被服行動にも影響を与えると推察される。そこで,本報告では,生活意識と被服行動の関連性を検討した。方法 調査は,男子大学生285名を対象として,2010年10月~11月に集合調査法により実施した。調査内容は(1)被服行動(32項目,5段階評価)(2)生活意識(恋愛観,結婚観,貯蓄・消費態度,生活習慣に関する19項目,5段階評価)である。調査データは,因子分析,クラスター分析等の統計処理により解析した。結果 (1)被服行動の項目を因子分析した結果,「流行おしゃれ」,「女性化おしゃれ」,「規範的おしゃれ」,「機能性重視」,「他者重視」の5因子が抽出された。(2)生活意識をクラスター分析した結果,被験者は「堅実型肉食系」,「浪費型肉食系」,「草食系」,「無頓着系」に4分類された。(3)4分類された生活意識と被服行動との関連をみるために,被服行動各因子の尺度得点の高得点者を生活意識4クラスター群で分類し,尺度得点の平均値を一元配置の分散分析・多重比較で解析した。その結果、「草食系」には「女性化おしゃれ」、「堅実型肉食系」には「規範的おしゃれ」の特徴が見られた。草食系の男子学生は女性用の小物やフレグランスをつけるなどの女性的なおしゃれをすることが示唆された。
著者
小口 悦子 小林 恵子 津久井 亜紀夫 永山 スミ 樽本 勲
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.9, pp.879-886, 1992

わが国の代表的な13品種の甘藷を用いていも羊羮を製造し, 硬さ, 付着性, 凝集性, 破断応力および破断ひずみを測定した。また, 生甘藷およびいも羊羮の水分量を測定し, テクスチャー値との関係を検討した.さらに, 官能検査を実施し, 以下の結果を得た.<BR>(1) いも羊羮は日本的, 家庭的, 女性的で甘い菓子というイメージであった.<BR>(2) いも羊羮の製造においては, 蒸し時間は20分が適当であった.<BR>(3) いも羊羮の硬さ, 付着性, 破断応力および破断ひずみは13品種間において差が認められた.しかし凝集性はほとんど差がなかった.<BR>(4) いも羊羮の硬さと破断応力は, 正の相関関係が認められた.硬さと破断ひずみ, 付着性と破断ひずみは負の相関関係が認められた.<BR>(5) 生甘藷, 蒸し甘藷およびいも羊羮の水分量といも羊羮の硬さは負の相関関係が認められた.<BR>(6) いも羊羮の嗜好調査の結果から高系14号, 沖縄100号, ベニコマチの明るい黄色が好まれた.この3品種のいも羊羮について官能検査を行ったところ, 高系14号は, 硬さおよび付着性が13品種中, 中位にあり, いも羊羮として好まれた品種であった.
著者
諸岡 信久
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 59回大会(2007年)
巻号頁・発行日
pp.209, 2007 (Released:2008-02-26)

目的:空中菌が原因となる感染症としては結核,レジオネラ症,インフルエンザ,アスペルギルス症や真菌によるアレルギー症がよく知られている.1類感染症で致死率の高い重症急性呼吸器症候群(SARSコロナウイルス)は室内空気が感染経路となっている.この研究は室内空中菌の挙動を明らかにするために,人の活動及び空調や換気などの影響を検討した.方法:室内空中浮遊菌は多孔板で単層式の衝突型空中浮遊菌測定器(MBS-1000,ミドリ安全),空中浮遊粉塵は0.3μm~5μmを6段階で測定できるレーザー光線による粉塵計(HHPC-6,リオン)を用いて測定した.微生物の採取にはソイビン・カゼインダイジェスト寒天培地(日水製薬)を用いた.培養と生菌数測定方法は25℃に調整したインキュベーターで培養して,2日目と5日目の生菌数を細菌と糸状菌に大別して計数して,室内空気1 m^3あたりのコロニー数(cfu/m^3)として示した.住空間は図書館3階のゼミ室で,週に3回程度使用されている容積108.7m^3,床面積(6,185mm×5,920mm),高さ2,970mmを用いた.結果:図書館3階のベランダの外気では糸状菌910(cfu/m^3),細菌50(cfu/m^3).室内に5名が椅子に座った静止状態では糸状菌280,細菌1,680.全員5分間歩行状態では各々130,6,250.続いて,静止して空調を運転した状態では150,4,070.さらに,窓と廊下の入り口を開けて換気した状態では390,320であった.また,歩行後1時間間隔で空中浮遊菌を測定したところ,糸状菌数は大きな変化を示さなかったが,浮遊細菌数は歩行活動で急増したが時間の経過とともに減衰して,3時間後には静止状態に戻った.