著者
中村 久美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

<b>目的</b> 外部環境との応答性に関わる住生活には、①環境調整(温熱、光、空気環境の調節)、②防犯・監視(見守り)、③生活の豊かさにつながる知覚(眺め、自然や四季の変化の感受)、④コミュニティや景観形成(演出、表出による親しみ、通りの景観形成)の諸側面が存在する。もともと開放的で内外中間領域(縁側)を有する日本の住空間では、外の自然や周辺環境と親しむ住生活が存在したが、地球環境問題や地域コミュニティとの関係が問われる現代は、そのような住生活のあり方は重要である。現代における外部環境との応答性ある生活様式の再構築をめざし、まずは若年層の窓と窓周りの住生活の実態を明らかにする&nbsp;.<br>&nbsp;<b>方法</b> 女子大生151名を対象に、窓やカーテンの開閉など窓周りの住生活や自宅の窓周りの生活様態に関する質問紙調査を実施。<br><b>結果</b> 自宅開口部の様態を見ると、1年中雨戸や窓が締切の部屋がそれぞれ約2割、4割存在する。日差しの調節にすだれなどを活用している(4.5割)一方、天気の良い日中でもリビングの照明をつけている(4.5割)。内外中間領域のうち、ベランダ・バルコニーは7.5割が有しているが、縁側、テラス(ともに2割)を有する家は少ない。またそこでは物干し以外の住生活行為は特に行われていない場合が多い。学生自身の窓周りへの働きかけをみると、換気の習慣が定着していない学生が一定数存在し、厚いと感じたら窓を開けずにエアコンをつける者が1/3をしめる。「窓の外を眺める」「空模様を見る」ことを全くしない学生も2割存在する。そもそも自室の窓の方位を認識しない学生が多い。住空間への意識として窓や空間の開放性に関心のない学生ほど当然のことながら窓や窓周りへの働きかけはない。総じて外部環境への関心や窓を介した外との関係が希薄な学生が少なくない。
著者
平田 未来
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.118-128, 2014

In the beginning of the twentieth century, the suffragettes campaigned strongly. Previous studies at home and abroad have focused on the campaign's political aspects of the history of feminism, gender and politics. However, few studies have adequately discussed the role of clothing in the suffragette movement. In this article, I will examine the details and the meaning of clothing during the movement. The main source is the Votes for Women which was published by the Women's Social and Political Union. As a result, it can be concluded that items such as banners and badges decorated with symbol colours had a role in developing a collective vision among the suffragettes and supporting the aim of achieving women's causes.
著者
武井 玲子 大泉 由美 鍋山 友子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

<b>目的</b>&nbsp; 便利で快適な生活を送るために、様々な生活関連品やモノを活用している。これらを安全かつ安心して使うための評価手法としてリスクマネジマント研究が有用である。実際に、食品添加物等はこの考え方が採用されている。しかし、依然として安全性に納得できず不安を抱いている生活者が多い。そこで、リスクマネジメント研究事例を分析評価し、リスク予測の精度を上げ生活者に対してより説得性の高い手法の提言を試みる。<br> <b>方法 &nbsp;</b>家政学会誌はじめ関連学会誌を対象として生活関連品に関するリスクマネジメント研究を分析評価した。 <br><b>結果 &nbsp;</b> 一般にリスクマネジメントは、暴露評価やリスク分析評価に基づきリスク低減化策を講じた後残されたリスクの性質や程度を公表するリスクコミュニケーションの一連の流れで進められる。様々な生活関連品に関するリスクマネジメント事例研究の課題の一つ目は、暴露評価の充実である。台所用洗剤の場合は老若男女の通常使用時の経口、経皮暴露に加えて誤飲時の眼への暴露等、乳幼児の被服の場合は乳幼児の生活実態の即した暴露評価に続くリスク評価が必要不可欠である。二つ目は、「ゆりかご」から「墓場」までをカバーするライフサイクルアセスメントの考え方を採用することである。この事例としては被服の変退色をリスクととらえ、製造・購入・着用・手入れ・保管の各段階においてリスク評価を行うことでより精度が高まる。三つ目は、実際に即したリスクコミュニケーション手法の充実である。
著者
篠原 久枝 金子 佳代子 品川 明
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.16, 2017 (Released:2017-07-08)

【目的】牛乳は良質のたんぱく質やカルシウムの給源として学校給食にも導入され、家庭科における食品群の学習にも明記されてきた。一方、近年は乳アレルギーなどの問題も指摘されている。そこで、本研究では小学校~中学校の家庭科の教科書において「牛乳・乳製品」がいつごろから、どのように取り扱われてきたのかを明らかにすることを目的とした。【方法】公益財団法人教科書研究センター附属教科書図書館所蔵の学習指導要領に準拠した平成27年までに発刊・使用されてきた小学校家庭科、中学校技術・家庭科の教科書を分析対象とした。【結果・考察】「牛乳・乳製品」は、小・中学校を通じて「三色食品群」、「6つの基礎食品」などに一貫して必ず記載されてきた。中学校家庭科においては、我が国の食生活における「牛乳・乳製品」の受容の変化に伴い、「食品の保存方法」や「食品添加物の使用例」、「特定保健用食品」、「アレルギー原因物質」、「食糧自給率の例」など多彩な記載となり、調理実習における使用例も増加した。しかしながら、牛乳の種類による栄養成分の比較や殺菌方法などの記載はなく、今後は、調理科学的な視点や消費者として適切な食品選択、消費生活と環境の視点なども必要であろう。
著者
駒田 亜衣 谷口 水穂 中井 晴美 梅澤 眞樹子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.62, pp.253, 2010

<B>【目的】</B>三重県西部の伊賀地域で営まれている秋まつりの調査から、この地域の発酵の文化について特徴を明らかにすることを目的とした。<BR><BR><B>【結果】</B>伊賀地域には3つの街道が通っており、その街道沿いには現在、140を超える神社が登録されている。本研究で調査を行った中に、春日神社の「なすびまつり」、佐々神社の「このしろまつり」、菅原神社の「上野天神祭」、大村神社の「秋の例祭」などの特徴的なまつりが存在することが分かり、この中でも「このしろまつり」「上野天神祭」からこの地域の発酵の文化を見出すことができた。「このしろまつり」はこのしろ(コハダ)と飯を樽に漬けこんで発酵させてなれ寿司にし、神饌として供える文化がある。さらに、このしろと一緒に漬けこんだ飯も「アイサノメシ」という名称で神饌とする特徴があることが分かった。「上野天神祭」は別名「甘酒まつり」とも言われ、甘酒を見物客や招待客にふるまうほか、神饌としても供える特徴がある。甘酒は「だんご鉢」と呼ばれる底に擂鉢状の溝が施された陶器製の鉢を用いて作られ、まつりに招待する「呼び使い」のためには欠かせないものであり、以前は各家庭で作られていたことが調査で明らかになった。<BR><BR><B>【考察】</B>伊賀地域のまつりにおいて神饌として供える酒はすべて地酒であり、さらになれ寿司や甘酒といった米を発酵させてつくる神饌も加わり、これらはまつりに欠かせないものとして現在まで受け継がれていることが分かった。伊賀地域は古来より米どころとして知られており、良質な米が収穫されること、また紀伊山脈と伊賀盆地に位置することとで山麓からの清水が豊富であったこと、また奈良や京都と隣接していることから、こうした発酵の文化が発達したと考えられた。
著者
高澤 まき子 矢島 由佳
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.180, 2016 (Released:2016-08-04)

目的   食生活が著しく多様化している今日では、若い世代層の味覚感度が低下していることが指摘されている。前報では、味覚感度と食生活状況との関連について調査を行った。その結果、食事形態との関連において、中食・外食中心群は内食中心群に比較し、うま味の認知閾値が高かった。味覚感度は日常の食事形態のみならず、生理的、社会心理的な影響により変化をもたらすことが知られている。そこで今回は季節によって味覚感度にどのような変化をもたらすかについて調査を行い比較検討した。方法   管理栄養士養成課程の1年生(18-19歳)81名を対象とし、2015年8月初旬(夏季)と2016年1月下旬(冬季)の2回にわたって無味を加えた五味の識別検査および閾値検査を行った。結果   五味の識別検査での全て正答した人は夏季で69.1%、冬季で30.9%であり冬季の方が低かった。誤答した人の中で誤答率の最も高かった味は、両季ともうま味であり、冬季の方がうま味を酸味、無味に、また無味を酸味、うま味に誤答している人が多かった。五味の刺激閾値では、塩味、酸味、甘味で夏季より冬季の方が高い傾向にあった。認知閾値では夏季において塩味が冬季より低くなり(p<0.01)、酸味、甘味でも夏季の方が低くなる傾向にあった。以上のことから冬季の方が味覚感度は低くなる傾向にあった。
著者
桑野 和民 酒巻 千波 三田村 敏男
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.217-220, 1989

市販緑茶 (煎茶) の地域ブランド特性を知ることにより, 消費者が緑茶を購入するさいの嗜好的な面も含めた, 価格と品質の関係を明らかにすることを目的として検討を進め, 以下の結果を得た.<BR>1) 日本茶 (緑茶) 産地知名度調査および東京地区の地域性から, 静岡, 宇治, 狭山の3地域ブランドを選び, それぞれ100gあたり500, 1,000, 1,500円の普通煎茶を茶専門小売店3店舗ずつで, 合計27試料購入した.<BR>2) 茶の入れ方研究会の標準浸出法により浸出した溶液の各種化学成分を分析, 検討した結果, 宇治茶はあっさりした味, 狭山茶は濃く, 苦く, 渋い味, 静岡茶はその中間で平均的な味であることがわかった.<BR>3) 上記の分析結果等から, 低価格の煎茶は地域ブランドとしての味の特性が少ないので, 気分的な面で地域性を楽しめばよいと考えられた.また, 高価格になるほど地域性が顕著になるので, 嗜好を十分考慮して購入する必要があると考えられた.
著者
横山 光子 宮崎 礼子 伊藤 セツ 相馬 信子 今城 治子 武長 脩行 内藤 道子 森 ます美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.126-128, 1980

1) 人事院標準生計費の食料費マーケットバスケットを一部修正し, 18歳程度男子 (東京) の1ヵ月の食料費を求めたところ, 24,362円であった.<BR>2) これを標準家族の消費単位 (女子栄養大学算定) で処理すれば, 24,362円× (4.63/1.34) =84,176円となる.<BR>3) これに加算すべき, 酒類, 飲料, 菓子の世帯合計が9,914円であるから, 合計94,090円が得られる.<BR>4) 第二子昼食の給食分を22食として, それを1) で得られた24,362円をもとに {24,362円× (1.36/1.34)} × {22/ (30.4×3)} =5,965円と推定し, 3) からさし引けば, 標準世帯の1か月の食料費88,125円が出される.
著者
高橋 智子 川野 亜紀 大越 ひろ 中川 令恵 道脇 幸博 飛田 昌男 長門石 亮 別府 茂
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.223, 2005

<b>目的</b> ユニバーサルデザインフード区分の「容易にかめる(かたいものや大きいものはやや食べづらい人を対象)」に分類されるレトルト市販介護食品について、咀嚼運動の特徴をあらわすことができる物性を検討した。<br><b>方法</b> レトルト市販介護食品17品目に含まれる肉、魚、豆腐、芋、根菜類等の調理品32種類のテクスチャー特性、および破断特性を測定した。ことに硬さについては、圧縮速度を変えて測定を行い、圧縮速度依存性を検討した。併せて、同程度の硬さではあるが硬さの圧縮速度依存性が異なる4種類の材料(太刀魚、揚げ豆腐、里芋、ごぼう)について、2次元6自由度顎運動測定器により下顎運動の測定を行った。21_から_25歳までの健常な女性5名の被験者が、同一試料について4回の咀嚼を行った。咀嚼時における下顎運動の垂直成分を示すパターンより、第一咀嚼の波形から最大開口量、最大閉口速度、閉口相時間、最大閉口速度が出現した閉口相開始よりの時間、平均閉口速度、および嚥下開始迄の咀嚼回数、咀嚼時間を求めた。<br><b>結果</b> 線維の多いごぼうの硬さは圧縮速度が遅い方が硬いことが認められ、他の3種類の試料とは異なる圧縮速度依存性を示した。他の3種類の試料よりも、一口量が大きい揚げ豆腐の最大開口量、嚥下開始迄の咀嚼回数および咀嚼時間は有意に長いものとなった。また、圧縮速度依存性の異なるごぼうは他の3種類の試料に比べ、最大閉口速度に有意差は認められなかったが、最大閉口速度が出現した閉口相開始よりの時間は有意に遅くなり、また平均閉口速度も有意に遅いことが認められた。
著者
大野 智子 寺井 仁 徳永 弘子 立山 和美 笠松 千夏 武川 直樹
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 61回大会(2009年)
巻号頁・発行日
pp.103, 2009 (Released:2009-09-02)

目的 大皿,銘銘皿など,食事の提供形態は,複数人で食事を共にするときのコミュニケーションに影響すると考えられる.共食場面において,共有された「大皿」がコミュニケーションの質に与える効果について「聞き手の応答」の形態に着目し検討を行った. 方法 分析対象は,3人グループでの共食中の映像である.実験では,「世代」として「高校生」と「主婦」,「食事形態」として銘々の皿に食事が配膳される「銘々皿」と,大皿を囲んで自由に取り分ける「大皿」の各2水準,計4条件が設定された.実験時間は30分間である. 分析では,会話中の聞き手の応答として,他者の発話を受ける姿勢が弱い「うなずき」,他者の発話を受ける姿勢が強い「あいづち」に注目した.「うなずき」は頭部の上下運動のみによる応答で,「あいづち」は“うん”などの言語行動を伴う応答である.また聞き手が話し手に応答した際の,両者の視線を合わせて分析することにより,コミュニケーションの質について総合的な分析を行った. 結果 高校生と主婦の両世代とも,大皿において「聞き手の応答回数」が多い結果となり,大皿が聞き手の応答を促進している可能性が示された.応答の形態に着目すると,大皿では銘々皿に比べ「あいづち」が多く,積極的な会話の姿勢が形成されていたことが示された.また,応答発生時の話者と聞き手の視線は,銘々皿では自分の食べ物に集中している一方,大皿では各所に配られていたことが確認された. 以上の結果から,大皿という共有空間が中心に存在することにより,食べるという行為の過程において視線配布の広がりを生み,互いに発話を受ける姿勢を強める結果となり「活発なコミュニケーションの場」が作り出されていたことが示唆される.
著者
岡本 和花
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

<b>目的</b> 近年, 我が国の防災に対する関心は高まってきている. 教育あるいは保育の現場も同様であると考えられる.そこで本研究では, 保育者が防災についてどの程度, 正しい知識を備えているかを調査することによって, 保育者の防災に対する関心を知る手がかりとすることを目的とした.<br><b>方法</b> 調査時期は, 2016年10月上旬~12月末, 調査対象者は, 新潟県, 栃木県, 静岡県の3県における就学前施設に勤務する保育者670人と教員養成系大学生48人を対象とし, 防災に関する知識を問う設問を含めた質問紙調査を行った.なお, 知識に関する設問は東京都が出版している『東京防災』を参考に6題作成した.<br><b>結果</b> 知識項目6題の平均正答率は, 保育者が68.3%, 大学生が64.6%であった. 設問ごとに保育者と大学生との正答率を比較したところ, 避難生活での子どもへの接し方に関する質問1では, 保育者, 大学生ともに正答率は高かった. 避難口の確保に関する質問3と避難する際の車の使用に関する質問2では, 保育者と大学生で差がみられた. 質問3の正答率は, 大学生より保育者の方が高かった(保育者正答率=86.0%, 大学生正答率=66.7%). 一方, 質問2の正答率は, 保育者より大学生の方が高かった(保育者正答率=52.2%, 大学生正答率=77.1%). 以上より, 保育者の防災知識には偏りが見られた.
著者
武藤 祐子 小出 治都子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.22, 2016 (Released:2016-08-04)

目的 髪型が人物の印象に与える影響は少なくない。このことは、マンガの世界においても例外ではなく、登場人物の髪の長さや色が、キャラクターの個性を表すものとして重要な意味を持つことがある。本研究では、特徴的な髪型をしたマンガキャラクターの例として「美少女戦士 セーラームーン」に着目し、美容の技巧・文化的な視点から髪型とキャラクター設定との関係性を考察した。方法 1992年に連載が始まったマンガ『美少女戦士 セーラームーン』の文献資料を基に、主人公セーラームーン(=月野うさぎ)の頭部を5セクション(フロント、サイド、トップ、バック、ネープ)に分類し、各セクションのスタイル構成の分析を行った。結果 髪型の構成を分析した結果、各セクションに、戦士を連想させるアクティブ要素やプリンセスを連想させるエレガント要素などの、キャラクター設定と共通する印象を与える要素がスタイルとして採用されていることが分かった。また、セーラームーンのベースの髪型である「ツインテール」は、主人公の「少女」表象に附与し、更に、このベースの髪型の長さ、色、形状の変容により、物語の中の時代、その時々のキャラクターの役割、心情を表現していることが分かった。これらのことから、キャラクター設定時の髪型がその後の物語の展開に影響する可能性が示唆された。
著者
李 璟媛 山下 亜紀子 津村 美穂
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.379-390, 2012-07-15 (Released:2013-10-15)
参考文献数
31
被引用文献数
1

The purpose of this research is to reveal the recognition and the actual conditions of discipline and abuse.We received 832 effectual responses from questionnaires given to 1266 guardians of preschoolers between November 2010 and February 2011. 709 of these guardians were the mothers of preschoolers.The findings are as follows: 1. Over 80% of mothers recognize 10 actions as abuse: these include torturing children by burning them, not serving meals, and preventing children from going to school. 2. About 60% of mothers recognize the following actions as means of disciplining children: scolding their children loudly, spanking them, and slapping their children’s hands. 3. In fact, over 70% of mothers have scolded their children loudly, spanked them, and slapped their children’s hands as a way of disciplining them and over40% of mothers performed other actions in order to discipline their children. 4. Mothers who have not used childcare support services, or who are not part of an informal childcare network show a marked tendency toward recognizing scolding, spanking and slapping children as forms of discipline, rather than abuse.
著者
桂 重樹
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b><u>目的</u></b> 若者を中心として浴槽に浸からずシャワーのみ、という入浴形態が増えている。しかし、主として単身者が居住する1K等の住居には、浴槽付きの浴室が完備されていることが多い。このようなシャワー浴ならば、シャワーブースのような空間の方が快適に目的を達することができる。そこで、賃貸住宅とその浴室や若者の入浴習慣をアンケート調査等により調べた。<br> <u>方法</u> 全国管理戸数が上位3社に位置づけられている大東建託、レオパレスおよび積和不動産が管理している東京、大阪、および宮城県にある賃貸住宅各50戸の合計450戸について、その延面積と浴室面積、構成について分析した。また、10代から30代の男女計100名に対して入浴習慣に関するアンケートを実施した。<br> <u>結果</u> 賃貸住宅の延面積の平均値は、宮城県、東京、大阪でそれぞれ22.52、22.50、20.77㎡、浴室面積の平均値は1.50、1.55、1.53㎡であった。浴室の構成として、浴槽、シャワー、洗面台というタイプが205件、浴槽とシャワーだけのものが166件であった。また、入浴習慣についてのアンケートから一人暮らしの場合、年に数回浴槽に浸かるものが最も多く、ほぼ毎日浴槽に浸かっているものは5%しかいないことが明らかになった。このことから、賃貸住宅の浴室をシャワーブースのみにし居室面積を増やして、狭いながらもゆとりのある空間を備えた賃貸住宅を提案できる可能性があることを示した。
著者
小出 あつみ 間宮 貴代子 阪野 朋子 松本 貴志子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<br><br><b>目的</b> 食用サボテン(以後,ノパル)は,酸味,粘りおよび鮮やかな緑色を有する春日井市認定の特産品である.栄養的にはビタミン類やミネラル類などを多く含んでいる.本研究ではノパルの特徴を活かす食品開発を行い,その嗜好性について検討した.<br><b>方法</b> ノパルは後藤サボテンから購入した.ノパルを使ってグラタン,お好み焼き,シュウマイ,ミートパイ,ベーグル,スムージー,パンケーキ,アップルパイ,クッキー,ドーナツの10食品を調製し,栄養価を求めた.官能評価はパネル15名(平均40歳)を対象に6項目ついて「ノパルの特性を生かしているか」を5点尺度の採点法で評価した.嗜好評価は好きな順番に1位~3位までを選んだ.得られたデータはTukey法による多重比較検定を行い,統計的有意水準を5%で示した. <br><b>結果</b> 調製した食品の栄養価では,副材料の影響が大きかった.官能評価から最も好まれたアップルパイは,粘り,味,総合で高い評価を得た.グラタン・お好み焼き・シュウマイでは,ノパルの色と粘りは活かせたが,香りと酸味が調味料などに消された.スムージーは,低カロリー・高カルシウムであり,ノパルの酸味・粘り・色を活かした食品であった.以上の結果より,採点法,嗜好順位ともに5位までに入ったアップルパイ,スムージー,クッキー,ミートパイは,ノパスの特徴を良く活かし,かつ好まれる食品であることを認め,さらに改良することで商品化の可能性が示された.
著者
濱口 郁枝 山本 存 森 由紀
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

<b>目的</b> 近年,若年女子の不必要な減量行動による健康上のリスクが問題視されており,前報では,その背景要因として,メディアによって助長されるおしゃれ意識がかかわることを明らかにした.本研究では,女子大生の購読率の高いファッション雑誌を取り上げ,そこにみられる食事や運動に関するダイエット情報の特徴について検討した.<br><b>方法</b> ファッション雑誌Aにおける2010年8月号から2011年7月号までの1年間に刊行された12冊について,ダイエットに関する特集記事の見出しをデータとし,テキストマイニングの手法を用いて頻出語や特徴ある語句について分析した.<br><b>結果</b> 12冊の中で,ダイエットに関連する記事が掲載されていたものは10冊であった.品詞別の頻出上位3語は,動詞では,食べる,鍛える,太る,サ変名詞では,ダイエット,運動,食事,名詞では,ヤセ,筋肉,脂肪であった.また,複合語では,老廃物,美脚,ムダ肉,前もも,小顔の出現数が上位に入っていた.さらに,対応分析の結果から,やせ,筋肉,脂肪,ダイエットは,多くの発行月号の記事内容を特徴づける語句であったことが示された.記事の全体的な特徴としては,効果,簡単など,手軽に無理なく痩せることを強調する語句を用いることや,芸能人のシェイプアップ方法や海外の有名なモデルが実践しているダイエット方法を示すなど,読者の興味をひくような工夫がなされていた.しかし,遺伝子や血液型によるヤセ効果の高い食べものを掲載するなど,エビデンスが得られていない情報が多いこと,さらにプチ整形を勧めるなど問題点が提起された.女子大学生に対する健康教育として,情報を的確に取捨選択し活用できる能力を身につけさせる必要性が示唆された.
著者
山下 いづみ 倉元 綾子 黒川 衣代 正保 正惠
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.275, 2017 (Released:2017-07-08)

目的 今日,日本の個人・家族・コミュニティにおいては,晩婚化・未婚化,DV等に対する取組が求められている。米国等では,家政学・家族研究を基礎とした生活課題の予防・支援が行われてきている。ここでは,米国の家族生活教育の主要文献である Family Life Education: Working with Family across the Life Span,Chapter10: Education for Relationships and Marriage を分析し,結婚前教育と結婚教育について明らかにする。  方法 Family Life Education: Working with Family across the Life Span (2nd Ed.), Lane H. Powell & Dawn Cassidy, 2007, Waveland Press, USA(邦訳『家族生活教育:人の一生と家族』倉元綾子・黒川衣代監訳,2013,南方新社)等の文献を研究した。結果 (1)第10章「結婚前教育と結婚教育」は,結婚教育の必要性,結婚教育の歴史,予防的方法対治療的方法,哲学・理論およびプロセス,結婚教育へのアプローチ,プログラム評価,要約の各節と,討論問題・復習問題から成る。 (2)結婚教育は,長く続く幸せな結婚を支える順調な人間関係を築くために準備する方法を見つけることである。 (3)結婚エンリッチメント・プログラムにおける必要最小限のスキルは,個人・関係・パートナーの成長への関与,理解につながるコミュニケーション方法,創造的変化を刺激するために葛藤を用いる能力,親密性を作り維持する能力である。 (4)結婚教育は,認識行動学,学習理論,宗教的指導,ロジャーズ学派,人間性心理学,システム理論,コミュニケーション・システム理論,社会的学習理路,認知行動理論などを理論的基礎としている。
著者
佐々井 飛矢文 中村 仁美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.597-609, 2016 (Released:2016-11-26)
参考文献数
34

This survey focuses on the fishing activities on the shoreline of Sodeshi (Kyotango city) in Kyoto. These activities are referred to as okazu-tori in that area, as demonstrated by how fishing is conducted when gathering meals for the household from the rocky coastline.  An important factor in okazu-tori is practical knowledge about the shore life and enjoyment of sharing the food-gathering activities. Okazu-tori is influenced by seasonal changes in the weather and provides local people with the opportunity to communicate with others in a manner beyond their everyday lives.  The pleasure of this activity is shared by exchanging the collected food or simply giving it to others. This shows an essential feature of people’s everyday lives and demonstrates the rich dietary nature in this region.
著者
松梨 久仁子 島崎 恒藏
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.187-187, 2003

<b>目的</b> 既製服における背広のラペル部の芯地付けにすくい縫いミシンを使用する理由の1つに、接着芯では得られない立体形状を作ることが挙げられる。本研究では、前報<sup>1)</sup>で検討した表布に芯地を縫い付けた場合のすくい量についてさらに検討を加えた上で、すくい量やステッチ線間隔が芯地効果すなわち芯地付けされた布地の保形性や形状の変化に与える影響について検討する。<b>実験</b> 用いたミシンは八刺し専用のすくい縫いミシン(トレジャー・BS-808)で、試料は毛、綿など様々な素材の布地の他に4種類の毛芯を加え、計13種類とした。縫製条件は、布上げ高さはダイヤル設定値1から9までの間で変化させ、ステッチ線間隔は5mmと10mmとした。縫製方向はたて、よこに加え、地糸に対し様々な角度を持った右上がりと右下がり方向とした。縫製されたサンプルについて、上側の布のすくい量l<sub>1</sub>、下側の布のすくい量l<sub>2</sub>を測定した。芯地付けによる布地の形状の変化については曲げ特性で評価することとし、KES-FB計測システムの純曲げ試験、45°カンチレバー法及びスライド法による剛軟性試験を行った。<b>結果</b> 布を積層させたり縫製方向を変化させたりすると、その条件に伴ってすくい量は変化する。地糸に沿った場合のl<sub>1</sub>、l<sub>2</sub>は、布上げ高さ、上布、下布の厚さ、たてよこ方向の織り糸のクリンプ率、曲げ剛性などから、推定可能であることが定量的に明らかになった。すくい量に対する布の方向性については、地糸方向のすくい量を1として、縫製方向の角度を変化させた時のすくい量の増加割合を把握することにより、布の方向性の影響を表すマスターカーブを得ることができた。縫製により芯地付けされた試料は、すくい量が大きくなるとそりが大きくなることが確かめられた。布のそりについてすくい量と曲げ剛性の関係から検討した結果、すくい量が大きくなるに従って芯地付けされた試料は芯地側へは曲げ剛くなり、逆に表地側へは曲げ柔らかくなる傾向が認められた。(参考文献)1)松梨久仁子、島崎恒蔵:繊維連合研究発表会要旨集、p.133(2002)