著者
富山 貴子 桂木 奈巳 酒井 哲也 酒井 豊子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.749-755, 2003

Various kinds of periodical phenomena are observed in the natural world and in the social systems. Even in apparel fashion trends, people feel some periodical changes exist. This paper presented a trial to qualitatively characterize such a periodicity which appeared in apparel fashion trends. For this purpose, numerical data for the length of ladies jackets and skirts proposed in a popular fashion magazine published in Japan from 1960 to 1998 were used. Data were treated with some mathematical techniques including Fourier transformation analysis, self-correlation analysis and common statistical methods. Results obtained are as follows; 1) Comparing the distribution of length for clothes proposed in a given year with the length of the clothing selected by a person as being representative of the year, it was clarified that the length of the representative clothing selected by the person coincided with the mode value for the distribution. 2) Three major changes in the length of jackets and skirts were found over the years, the first change after a periodic time of 10 years, the second after 20 years and the third after 40 years. The change which occurred after 10 years periodicity was the most profound one. 3) The 10-year periodicity may be correlated with the period of use of apparel, while 20-year periodicity may be connected to the length of time which takes for women to develop a mature fashion sense. The 40-year periodicity remains unclear, but it covers two generations and, therefore, is long enough for the revival of an old fashion as a new fashion.
著者
上野 勝代 國嶋 道子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.270-275, 1978

以上のことより, 下宿学生の住生活 (物的・経済的側面) の実態として以下のことが明らかとなった.<BR>1) 住戸形式としては, 間借とアパート形式が各4割で, アパート形式の中でも学生アパートが昭和30年代後半より増加してきた.<BR>今後, 学生アパートは学生層の住要求に対応した住戸形式として漸次増加していくものと考えられる.<BR>2) 下宿の紹介ルートとしては〈学生部〉〈友人・先輩〉がもっとも多く各12.2%, ついで〈学生向不動産屋〉〈親・親戚〉の各25.2%である.紹介ルートによって住戸形式はかなり異なり, 〈学生部〉〈親・親戚〉は間借が, 〈学生向不動産屋〉は学生アパートが, 〈一般不動産屋〉は一般アパートの割合が高い.<BR>3) 下宿学生の半数は礼金・敷金を支払っている.部屋代は半数が月額6,000~7,000円で, 1万円未満が75%を占め, 一般的に, 〈学生部〉紹介のものは安く, 〈学生向不動産屋〉〈一般不動産屋〉紹介のものは高い.また, 部屋代は, 市場的には合理的な価格形成がなされておらず, 相対的に決められているようである.<BR>4) 居室の広さは4.5畳がもっとも多いが, 収納スペースを含めて6畳あれば満足度も高くなる.<BR>5) 自炊設備のある下宿は69.5%, 浴室のある下宿は30.3%で, 洗濯機は76.1%の人が使用している.<BR>学生の自炊設備, 洗濯機使用の要求は高い.
著者
足立 里美 阿久澤 さゆり 玉木 有子 松森 慎悟 中村 雅英 澤山 茂
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.136, 2004

【目的】 わらび澱粉はわらびの地下茎から抽出され「わらび粉」として流通しており、わらび餅などに珍重されている。しかし、生産量が少なく高価なため、さつまいも澱粉が代替品として使用されている。演者らは、数種類の澱粉の理化学的性質およびレオロジー的性質について報告してきたが、わらび澱粉に関する報告はあまり見られない。そこで本研究では、わらび澱粉の糊化特性と糊液のレオロジー的性質を検討した結果を報告する。【方法】 わらび澱粉は、広八堂(鹿児島県)で製造された粗澱粉を、常法に従って精製して試料澱粉として用いた。対照としてさつまいも澱粉およびくず澱粉を用いた。アミロペクチンの鎖長分布はHPAEC-PAD法 (Dionex社製DX-500) で測定し、DSCにより糊化特性を測定した。また、SEC-MALLS (昭和電工社製:Wyatt Tecnology社製) により重量平均分子量および慣性半径を測定した。糊液の動的粘弾性測定はRheoStress1 (Haake社製) を用いた。【結果】 DSCによる糊化終了温度は、わらび澱粉が70.8℃と最も低く、次いでくず澱粉78.5℃、さつまいも澱粉83.8℃であり、アミロペクチンのDP6-12の短鎖長の割合が多いほど糊化ピーク温度が低い傾向であった。また、糊液を遠心分離後、上澄み中に溶解した糖量を比較すると、わらび>さつまいも>くずの順で糖量が多く、さらに溶液中の重量平均分子量および慣性半径を測定したところ、わらび澱粉糊液は著しく大きかった。動的粘弾性からみたゲル化濃度はわらび澱粉が最も低く、貯蔵弾性率の濃度依存性より3種のゲル構造の違いが示唆された。
著者
山田 幸二 水野 時子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.451-457, 1993

市販のバターとマーガリンの栄養的特徴を明らかにするため, バターとマーガリンの混合比率の異なる油脂やリノール酸の含量の異なるマーガリンの血漿と肝臓の脂質におよぼす影響を, 25%カゼイン飼料でラットを飼育し検討した.<BR>その結果, Chol非添加飼料の場合, バター/マーガリン比の低下やバター摂取に比べマーガリン摂取で血漿コレステロール濃度は差がないが, 肝臓のトリグリセリドとロレステロール含量は有意に増加した.一方, コレステロール添加飼料の場合, バター/マーガリン比の低下やノミター摂取に比べマーガリン摂取で血漿コレステロール濃度は低下したが, 肝臓トリグリセリド含量は増加した.<BR>以上の結果, バター摂取に比ベマーガリン摂取による血漿コレステロール濃度の上昇抑制はコレステロールを添加した飼料でのみ生ずるのに対し, 肝臓脂質の蓄積は飼料へのコレステロール添加の有無に係わらず生ずる現象であることを示唆した.
著者
有泉 知英子 佐藤 真理子 並木 理可 田村 照子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.62, pp.279, 2010

【目的】世界には様々な民族服があり,各々の生活様式や気候に適応するよう工夫が凝らされている.本研究では下衣の形態に着目し,民族服3種の運動機能性及び温熱的快適性について検討を行った.<BR>【方法】被験者は平均年齢22歳の若年女子4名.実験衣はパンタロネス(グアテマラ),シャルワール(インド他),パー・チュンガベン(タイ),現代服としてストレートパンツ,計4種をシーチングで製作した.測定は運動機能性評価として衣服圧及び官能評価を,温熱的快適性評価として衣服内温湿度を計測した.1)衣服圧…静立・屈曲・あぐら姿勢で,前面(WL・MHL・HL・大腿中央・膝蓋骨中点),側面(MHL・HL・大腿中央),後面(WL・MHL・HL・大腿中央・膝蓋骨中点)の計12点を測定した.2)官能評価…動きやすさについて5段階評価を行った.3)衣服内温湿度…実験衣を着用し,28℃・50%RH環境下で安静5分→足踏み3分における腹部前突点・大腿前面中央・殿部後突点の計3点を測定した.<BR>【結果】衣服圧では,現代服の前面(大腿・膝蓋骨),側面(MHL・HL・大腿),後面(HL)が高い値を示した.現代服は民族服より総じてゆとりが少ないと考えられる.シャルワールは,屈曲時の膝蓋骨中点とHLを除くほとんどの部位で低い値を示し,官能評価においても有意に高い評価を得た.衣服内温湿度測定の結果,温度変化量において現代服は安静時の上昇(A)大,動作時の下降(B)小であった.3種の民族服はA小,B大であり,ゆとりが多いため動作によるポンピング効果が生じたと考えられる.本研究により,民族服の機能性を定量的に評価できる可能性が示唆された.
著者
佐藤 真実 谷 洋子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.133, 2003

目的 福井県の銘菓である羽二重餅は織物の一つである「羽二重」を由来にするとされ、主材料はもち粉や白玉粉であり、なめらかな舌触りが特徴である。福井県内では羽二重餅を食べたことのない人はほとんどなく、女性や高齢者に好まれる傾向がみられるが、その購入回数などは低く、羽二重餅が嫌いな人の理由は比較的明確であるに関わらず、おいしさについては詳細な報告がみられない。本研究では羽二重餅のおいしさについて官能検査を行い、材料の配合割合などについて検討した。方法 福井県内で売られている市販羽二重餅7種類を購入し、標準試料に対する相対評価として官能検査を行い、好まれる羽二重餅の特性について考察した。標準試料は本学調理室で白玉粉、上白糖より調製し、さらに材料の配合やもち粉、白玉粉、牛皮粉、羽二重粉などの材料の種類を変えた羽二重餅について、色差測定、レオメータによる力学的測定、官能検査を行い、好まれる羽二重餅の調製法について検討した。結果 市販羽二重餅は材料がもち粉、砂糖、水飴の他に乳化剤の添加したものが好まれ、外観の透明度、きめの細かい食感をもつことから総合評価が高くなった。水飴の添加は透明度が増し、卵白の添加は白さ、弾力性が増し、砂糖はグラニュー糖を使用したものがやわらかく、しなやかな食感で、甘味も上品となった。
著者
尾立 純子 佐伯 孝子 安永 好美 宮崎 かおり 池淵 元祥 湯浅(小島) 明子 湯浅 勲
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.179-185, 2007 (Released:2008-12-19)
参考文献数
19

The behavior of mineral levels in the diet and serum of diabetic patients was investigated. The gustometry was also examined to identify the relationship between zinc deficiency and hypogeusia. The serum levels of zinc and iron in diabetic patients were lower than those in healthy people, and the sensitivity of taste, especially of sweetness, in diabetics was also lower than that in healthy people. These findings suggest that the lower sensitivity for sweetness in the diabetic patients induced them to eat more sweet foods. A survey of the zinc, iron and copper levels in the diets of the diabetic patients indicated lower values than the dietary recommendations. In particular, the dietary zinc and iron levels of the diabetic patients who were consuming a restricted-energy diet were significantly lower than the recommended values, suggesting the importance of good mineral balance in the diet for diabetics. These results suggest the importance of studying the relationship between the diabetic serum mineral level and the mineral level of the meal.
著者
田代 和美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.545-552, 2016 (Released:2016-10-22)
参考文献数
77

This article aims examining the following two issues. (1) Why does a child's appearance change according to the regard of a nursery teacher? Based on (1), (2) What is the professionalism of a nursery teacher? I read “The Visible and the Invisible” by Maurice Merleau-Ponty, M. in order to examine the sensitivity of the foundation of human consciousness. In this work, he described the interrelation between a sensitive body and an object. Based on this interrelation, I examined the relation between the regard of a child and the regard of a nursery teacher. As a result, (1) Because a child has sensitivity, he/she grasps a nursery teacher's regard and “imports” it into him/her. Based on the result, (2) I think the professionalism of a nursery teacher can be seen as follows: a nursery teacher must be conscious that the child's appearance is “imported” from his/her regard. And a nursery teacher must reflect on a child's regard through waking his/her sensitivity, and on his/her regard which is “narcissistic”. Following the procedure, a nursery teacher must give a responsive regard at a child.
著者
斎藤 悦子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.62, pp.171, 2010

<B>目的</B> グローバル経済が進展する中,生活を規定する企業活動は持続的成長を図るために様々な方策を実施している.その一つが,企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility: 以下CSRと呼ぶ)である.CSRが及ぶ範囲は,社会的公正性,倫理性,環境,人権と幅広いが,日本のCSRは環境問題に特化され,ステイクホルダーである労働者・消費者・家庭人・地域住民への社会的公正性や倫理性,人権に関する取組みが遅れている.本報告は,現在の生活経営学的課題をCSR視点で捉え直し,日本企業のCSRと生活経営学の今後のあり方を提起する.<BR><B>方法</B> 生活経営学的課題を収入(賃金)と働き方に絞り現状を把握する.CSRガイドラインとして多用されているGRI(Global Reporting Initiative)に含まれる「労働とディーセント・ワーク」指標に照らし,法令遵守としての最低賃金制度とその実態を検討する.<BR><B>結果</B> 雇用形態別労働者数においては非正規労働者の増加,特に男性の非正規労働者の増加が明らかとなり,賃金については男女格差と同時に雇用形態別格差が示された.日本では,多くの企業がCSR=法令遵守として捉えているので,賃金の基本的な法令である最低賃金法から現状を把握し,最低賃金未満の労働者率と法令違反率を示す.さらにGRIの「労働慣行とディーセント・ワーク」指標に照らしながら,日本企業の不足点を明らかにした.それらの改善のためには,多様なステイクホルダーが生活主体として企業と向き合い、CSRに関わる姿勢が重要であり,能動的な生活者視点すなわち生活経営学が果たす役割は大きい.
著者
小林 亜矢香 今井 範子 牧野 唯
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.60, pp.96, 2008

<B>【目的】</B>住宅内には,さまざまな種類の衣類が持ち込まれており,住まいにおいて衣類の収納は常に問題となっている.また,衣生活は多様化しており,居住者の生活と整合性のとれた収納計画がよりいっそう求められる.本報では,コートと外出着の帰宅後の更衣から収納までの流れに着目し,衣類の収納の現状と問題点を明らかにすることを目的とする.<BR><B>【方法】</B>全国各地の,独立住宅の居住者を対象に,質問紙調査を実施した.有効サンプルは,世帯票256 ,個人票505である(2007年11月実施).<BR><B>【結果】</B>1)コートの脱衣場所は,玄関の割合が最も高く,続いて,リビング,主寝室の割合が高い.玄関で脱ぎ,収納している世帯では,1階にコート用収納のある割合が高く,脱いだコートを「すぐに収納」している割合が高い.また,コートをリビングで脱ぎ,主寝室など個室に収納している世帯では,1階にコート用収納が「あると便利」と感じている割合が高い.2)一方,主な外出着の脱衣場所は,主寝室の割合が最も高く,次いで,リビングの割合が高い.夫妻が,主寝室で脱ぎ,主寝室に収納している世帯では,「収納スペースが足りないこと」や「更衣時に就寝中の家族のじゃまになること」に対する不満が比較的多い.また,外出着の収納について,不便を感じている世帯では,1階に外出着用収納が「あると便利」としており,とくに,「収納場所が分散していること」や「更衣場所と収納場所が離れていること」について,不便を感じている世帯では,1階の外出着用収納に対する要求の割合が高い.コートや外出着の収納に関しては,更衣場所も考慮し,計画することが必要である.
著者
山村 明子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.61, pp.217, 2009

目的 現代日本のメンズ・カジュアルファッションにはフェミニンなデザイン要素が多く受け入れられている。これらの事象の背景として、近年のジェンダー・フリー教育がファッション感覚に影響を与えたのではないかという仮定に基づき、分析・検討する。方法 資料には「Men's Non-no」(2000-2008年発行)を使用し、男性ファッションの動向を探る。また、1999年の男女共同参画社会基本法施行以降のジェンダー・フリー教育の動向について一般市などから探る。結果 フェミニンスタイルという言葉は2000年の誌面に登場する。それ以降ファッションに現れるフェミニン要素としてはピンクなどの華やかな色彩、フリル・レースといった曲線的なディテール、水玉、花といった模様表現、さらに、レディースのスカートなどをコーディネイトに取り入れている。これらは女性的に装うことが目的ではなく、あくまでも男性のファッションとして受容されている。ジェンダー・フリー教育による文化的性差の解消への取り組みは、今日のファッション感覚の形成へ影響を及ぼしていると考える。
著者
猪又 美栄子 谷井 淑子 下村 久美子 小原 奈津子 ファン ハイ リン
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.219, 2017 (Released:2017-07-08)

目的 ベトナム北部~南部の5か所で伝統的衣服の調査を行ってきた。どの地域においても、伝統的衣服を日常的に着用しているのは、主に70歳以上の高齢女性であり、若い年代や男性ではほとんどみられない。その中で、アオ・ザイは現在でも晴れ着、儀礼服として着用されている。アオ・ザイの変遷について、被服構成を中心に報告する。方法 70歳以上の高齢者世帯を訪問して衣生活についての聞き取り調査を行った。調査内容は、高齢者の伝統的衣服の着用状況、子どもの時から現在までの伝統的衣服の着用経験、親・祖父母世代の伝統衣服の着用状況等である。伝統的衣服の種類および着装方法について確認した。結果 1.アオ・ザイの祖型として、アオ・トゥー・タン(四枚はぎの長い上衣)とアオ・ナム・タン(五枚はぎの長い上衣)があげられる。アオ・トゥー・タンにはボタンが無く、前身ごろを結んで着用した。アオ・ナム・タンは右下前として五枚目の布をつけた上衣で、前中心から右脇へボタンで留める形式である。北部ではボタンを留めずに前身ごろを結んだ着方もしばしばみられる。                                                     2.男性のアオ・ザイの形は現在までほとんど変化していないが、女性のアオ・ザイは様々に変化している。3.北部の古いアオ・ザイには、衿ぐりにラーセン(蓮の葉)と呼ばれる幅広の見返しがある。補強のためである。中部・南部ではアオ・ザイを祭礼服として着ていたのでラーセンは無かった。
著者
佐藤 真理子 趙 羅衡 田村 照子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

目的 民族衣装には,気候・風土に適応可能な素材の選択,姿勢・動作を含む生活様式を反映したデザインの工夫等,長い年月にわたり積み重ねられてきた知恵が詰まっている.本研究では,アジアにおける民族服の下衣に着目し,素材とデザインが温熱的快適性,運動機能性へ及ぼす影響について検討を行った.<br>方法 被験者は23&plusmn;1歳の若年女性5名,実験衣はシャルワール(インド),バジ(韓国),ストレートパンツ(現代服)の3種である.運動機能性評価としては,同一素材で製作した実験衣を着用し,9種の動作時(立位,椅座,正座,胡坐,立膝,横座り,体育座り,日本のお辞儀,韓国のお辞儀)における衣服圧測定と官能評価,温熱的快適性評価としては,各市販品(ポリエステル100%・重量約200gで統一.インド,韓国,東京で購入)による物性試験と衣服気候計測(27℃・50%RH環境下で立位安静&rarr;足踏み運動&rarr;座位安静)を行った.<br>結果 シャルワールは,通気性と透湿性に優れ,接触冷温感が高く,暑熱気候への適応性が示された.バジは,接触冷温感が低く,衣服内温度は高く,防寒機能に優れていると考えられる.現代服は,正座,胡坐,立膝,日本と韓国のお辞儀において,高い衣服圧を示し,床に座っての姿勢や動作の多い&ldquo;伝統的所作&rdquo;に適さない様子が明らかとなった.
著者
好田 由佳 矢澤 郁美 香山 喜彦
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.60, 2018

<b>目的</b><br> 実践的授業の一環として,ゲームプログラミングを取り入れたゲーム融合型のファッションショーを提案する.従来のファッションを「見(魅)せる」から,デジタルファッションを「楽しむ」コンセプトに拡張する.<br><b>方法</b><br> ハードウェアは,グラフィック機能を強化したWindows PCと,舞台の背景全体に高輝度で映写するために5000ルーメンの明るさを持つプロジェクターを利用した.最大の特徴であるゲームとファッションショーの融合にはマイクロソフトのKinect を用いた.<br><b>結果</b> <br> ゲームプログラミングを活用して自由な背景設定ができることにより,衣装や音楽だけでは表現できないゲーム感覚を味わう楽しさを付与することができ,背景スクリーンに拡大映写することで,客席からも衣装の詳細を確認できる.<br> 結果として,拡張現実によりモデルがスクリーン上で衣装替えをするというゲーム性を付与したことで演出効果を高め,新しい形態のファッションショーを提案することができた.また,kinectは,体感型ゲームに用いるゲームシステムとして開発されたが,人体のジェスチャーを認識する特性を応用して,服飾研究の分野に活用することの可能性を示唆できた.
著者
渡瀬 典子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<目的>近代の女子教育では「裁縫」に多くの時間が割かれ、余暇活動としてこれらの行為を行うことも奨励された。「社会生活基本調査」によれば「趣味・娯楽」として「編物・手芸」をする女性は32.4%(昭和61年)&rarr;19.3%(平成23年)、「和裁・洋裁」は28.7%&rarr;12.1%と減少している。しかし、昭和51年の同調査で「和裁・洋裁・手芸」を余暇活動に挙げた女性が9.0%だったことを考慮すると、バブル期前後にこれら行為を「余暇活動」として日常生活で楽しむ状況が生まれたと考えられる。本報告はNHK「婦人百科」(現在は「すてきにハンドメイド」)に焦点を当て、バブル期前後にあたる10年間に取り上げられたテーマと記事に付されたキャプションに注目し、「手芸」の意味付けについて考察する。「婦人百科」を分析対象としたのは80年以上に渡り手づくりに関する情報を提供してきたからである。<方法>「婦人百科」[No.241~336:1985年4月~1993年3月],「おしゃれ工房」[No.337~372:1993年4月~1996年3月]の記事にある「和裁・洋裁・手芸」のテーマ、各テーマについて付されたキャプションの内容分析を行った。<結果>「家族」のためだけではなく「自分」のため、「社会」のための手づくりという視点が見える。また、工程が複雑、高度な技術が必要な時間がかかる作品から「手軽に」作ることができるものへと変化している。
著者
須田 理恵 田村 照子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.165, 2007

<BR><B>目的</B> 2005年の京都議定書発効に端を発した環境省によるクールビズ・ウォームビズの呼びかけに対して,夏はより涼しく冬はより暖かい肌着の開発が進められている。本研究では近年の開発肌着について,素材の物性と肌触りの関係,およびこれに及ぼす環境温度条件の影響を検討した。<BR><B>方法</B> 対象肌着は,試料提供企業が2005年度市販用に開発した10種の素材を用いた同一サイズ・同一パターンのU首半袖シャツで,素材特性としては基本特性のほか,熱・水分特性(乾・湿時熱損失値,熱伝導率,熱コンダクタンス,接触冷温感,保温性,透湿性,吸湿性,吸水性)並びに力学特性(剛軟性,引っ張り,曲げ,せん断,表面摩擦,表面粗さ,圧縮特性)を測定した。肌触りについては,手触りと着用感を,環境温度22℃,28℃,34℃,いずれも湿度50%一定の条件下で,SD法を用いて評価した。被験者はMサイズ着用可能な女子学生16名である。<BR><B>結果</B> 手触りにおける快適感は,いずれの温度条件においても,共通して滑らかさ・柔らかさ・べたつき感という布地の表面的な風合いを示す官能量が高い相関を示し,物性値としては通気性,コース方向における表面粗さ変動(SMD)の寄与が大きいことが示された。一方,着用感における快適感については,環境温度の関与が見られ,22℃では,しなやかさ,28℃ではこれにゆるみ感が加わり,34℃では,さらに清涼感が加わることが示された。また,着用感と素材物性間の重回帰分析によると,22℃では,表面粗さと摩擦,28℃では,吸湿性が加わり,34℃では,引張り・圧縮などの力学特性の関与が認められた。
著者
大西 友恵 谷村 千絵
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的 </b> 「関口富左『家政哲学』の再考-クリティカル・リアリズムの視点から-」(於第61回日本家政学会中国・四国地区支部研究発表会2014年10月)では,1970年代に関口が提示した「家政哲学」を再考し,関口がとらえようとしていた家政学は多様性に対応すること,現実から作り出すことを重視するものであることを明らかにした.関口はドイツの教育哲学者O.F.ボルノーの哲学に依拠していたが,現代においてこれを補う視点として,クリティカル・リアリズム(以下CR)という新たなアプローチを用いることを提案した.本発表では,三者の違いをさらに考察し,家政学とは何かという問いに対する,現代における回答を試みる.<b><br> 方法 </b> 関口富左の「家政哲学」,ボルノー哲学,CRの三考に関わる諸文献をもとに考察する.<b><br> 結果 </b> 関口の批判した科学は,人間の日常における現実から切り離された形式的な科学である.人間存在を重く見た関口は,ボルノー哲学にその可能性を見たが,ボルノー自身は科学について多くを言及していない.他方,CRを教育に援用しているR.オドノヒューによれば,CRはReal,Actual,Empiricalの現実の三つのドメインを想定し,それらを繋げる社会的活動を科学としている.CRの視点を家政学に取り入れることで,主体的に思考する力,即ち,知の創造を育むことが可能になり,新しい家政学のありようを示すことが可能となると考える.
著者
佐藤 恵 田中 ゆかり 藤本 真奈美 鴫原 正世
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

<b>【目的】 </b>北海道は明治維新後の国策により、沖縄を除く日本各地からの移住者が入植し、この地を築いた開拓の歴史があり、その中から独自の文化が生まれた。食文化についても例外ではなく、各々出身地の伝統食を継承しつつ、そこに厳寒の地で生き抜くための工夫が施され、北海道独自のものへと変化していった。本研究は、北海道が発祥ともいわれ、道民に慣れ親しまれている郷土料理の一つ「甘納豆(金時豆等)入り赤飯」について、そのルーツを辿り、他都府県とは異なる&ldquo;北海道の赤飯文化&rdquo;を明らかにすることを目的とした。<br><b>【方法】 </b>2008年~2011年の入学生に対し、6月~8月に『赤飯アンケート調査』・『家庭での聞き取り調査』・『市場調査』を実施した。調査対象者は、本学学生、食物栄養科569名・保育科585名、合計1154名である。回答者のうち、北海道出身学生の回答を集計し、甘納豆入り赤飯の実態を調査した。<br><b>【結果】 </b>アンケート調査の結果、甘納豆入り赤飯の認知度は100%であったが、全国的に認知度が低いことを「知らなかった」「聞いたことがある・最近知った」と回答した学生が、全体で67%、多い年で74%であった。好きな赤飯の種類については、「甘納豆入り赤飯が好き」と回答した学生が全体で68%、多い年で76%、「小豆の赤飯が好き」と回答した学生が全体で9%、多い年で10%であった。また、市場調査の結果、北海道で販売されている赤飯は、年中行事に関係なくお弁当やおにぎりと常に同等に扱われ、販売店のもち米売り場では甘納豆と食紅が並べられている等、陳列方法も独特であった。これらのことから、道民には甘納豆入り赤飯が、北海道の赤飯として一般的であることが示唆された。
著者
辻 幸恵
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

<b>目的</b> 同じ年代の男子大学生が女子大学生たちの服装を見て、良いと感じるか否かは個人差があるとはいえ、一定の傾向があると考えた。そこでどのような装いに対して、男子大学生たちが女子大学生としてふさわしい服装であると評価しているのか、その基準を明らかにすることを目的とした。<br><b>分析</b> 関西圏に在住する共学の大学に通っている男子大学生100人を調査対象とし、主に質問紙を用いて調査を実施した。調査時期は2016年12月上旬から中旬とした。A4サイズの用紙に大学生としてふさわしいと思う装いを図示し、それらの解説を加筆してもらった。この回答をデータとした。各調査対象が描いた図から、季節、品目、色別に集計した。<br> <b>結果</b> ふさわしい服装として想起するのは春と秋の装いが約50%を占めた。アイテムではセーター、スカート、長いTシャツが上位を占め、色では上に着るものは、季節の差はなく白色が65%を占め、スカートやズボンでは紺と黒の合計が58%となった。<br><b>考察</b> 目の前の女子大学生の装いというよりもステレオタイプ的な装いを高く評価している傾向があった。これはあまり女子の装いを注視していないことが考えられる。また、奇抜な装いよりも定番なものを選んでいると考えられる。ジーパンや短パンなどは8%以下であり、評価が高いとはいえない。よって、現在の男子大学生たちの評価は、保守的な傾向があると考えられる。