著者
石原 克之 奈良 一寛 米澤 弥矢子 星野 文子 有馬 正巳 古賀 秀徳
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.32-37, 2009 (Released:2015-02-27)
参考文献数
14

炭水化物を多く含む食品を高温で加工された食品中からアクリルアミド(AAm)が検出されたと2002年4月にスウェーデンの研究者により発表された。その後,種々の加熱加工食品中に存在していることが明らかとなった。しかしながら,加工食品同様に食材に加熱加工を施す家庭での調理食品についての検討はあまりなされていない。そこで,家庭での調理食品に着目して調査を行った。種々の加熱調理食材にAAmが認められ,含有量の高かったのは,もやし,次いでにんにくであった。また,食材中のアスパラギン(Asn)含量と加熱後のAAm含量との間に強い相関(R2=0.66)が見られた。しかし,Asn含量が低くても加熱が強いとAAm含量が高くなる可能性があることが分かった。このことから,家庭での調理においても過度な加熱調理を避けることでアクリルアミド生成が抑制されることが示唆された。
著者
細田 捺希 高山 裕貴 赤田 樹 青井 雄幹 原 信岳 吉村 美紀
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.386-394, 2019-12-05 (Released:2019-12-20)
参考文献数
22

貯蔵期間の異なる手延べそうめんの性状と構造に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。貯蔵期間0ヶ月,6ヶ月,12ヶ月,24ヶ月の試料を用いた。放射光X線マイクロCT観察の結果から,貯蔵期間の長い12ヶ月,24ヶ月貯蔵試料は,乾麺内部に大きな隙間構造と乾麺表面には線吸収係数の大きな構造物が多く観察された。示差走査熱量測定において,貯蔵期間が長くなると,第1吸熱ピーク及び第2吸熱ピークのピークが低温側と高温側に移動し,乾麺試料1 mgあたりのエンタルピーは増加する傾向がみられた。これにより小麦でんぷんの結晶性が増加し,でんぷんの糊化及びたんぱく質の変性が抑制されると推察した。
著者
柴田 圭子 渡邉 容子 早瀬 明子 安原 安代
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.141-147, 2012 (Released:2014-03-14)
参考文献数
16
被引用文献数
1

焼き魚の食味に及ぼす解凍方法の影響を検討するため,冷凍魚(メカジキ:学名Xiphias gladius)の数種類の解凍方法の実験を行なった。我々は5種類の解凍条件-1.電子レンジ(100 W断続照射);2.室温解凍;3.流水解凍;4.低真空チルド室解凍;5.冷蔵庫内解凍-を比較した。 解凍の内部温度終点を-1°Cにした場合,電子レンジ断続照射による解凍は解凍時間が最短で,最も解凍ドリップが少なかった。低真空チルド室の解凍は最も長い解凍時間であったが,解凍ドリップが比較的少なく,筋繊維も十分に水和膨潤していた。更にこの方法は調理歩留まりが高めになり,焼き魚の食味も好まれていた。流水解凍した場合の焼き魚は,ドリップ量が多いため多汁性が低く評価されていた。
著者
木下 枝穂 久保倉 寛子 石田 丈博 津田 淑江
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.146-155, 2007-06-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
27

本研究では,煮加熱におけるジャガイモの機能性成分の変化におよぼす本みりんの影響を検討した。アスコルビン酸量および風味形成に関与するアミノ酸分析を行った。また,DPPHラジカル消去活性を測定し,抗酸化活性の検討を行った。その結果,本みりんは,加熱によるアスコルビン酸の減少を抑制していることが明らかとなった。この効果は,本みりん中に含まれるエタノールによるものではないことが明らかとなった。アミノ酸分析の結果,みりん溶液およびエタノール溶液でジャガイモを加熱することにより,ジャガイモの構成アミノ酸は減少し,遊離型のアミノ酸量は増加した。このことより,本みりんおよびエタノール溶液で加熱することにより,ジャガイモに含まれるタンパク質やペプチド内の結合の加水分解が促進されたと考えられた。また,少量の煮汁で加熱した場合,本みりんによるラジカル消去活性は大きく増加した。
著者
竹井 よう子 渡辺 美智子 福田 恭子 加納 孝恵
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.174-178, 1984-09-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
6
被引用文献数
1

鶏卵割合多く且つ口ざわりの良いクッキー調製のため,クッキーに及ぼす鶏卵の影響を卵白と卵黄に分けて,又,食塩の影響もあわせて検討した. 卵白,卵黄,無塩卵黄クッキーを,鶏卵の入らない標準クッキーと比較した. ダイナグラフによる硬さ,もろさの測定,ガスクロマトグラフによる香気濃縮物の分析及び官能検査による食味の検定から,卵白は口ざわり,香りを悪くし,好ましくないクッキーを与え,卵黄は食塩を加えなければ,口ざわり,香りを良くし,好ましいクッキーを与えるという結果が得られた.

2 0 0 0 OA クッキー

著者
和田 淑子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.257-261, 1988-12-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
9
被引用文献数
1
著者
鈴木 たね子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.182-187, 1976-12-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
50
被引用文献数
3
著者
眞壁 優美 中山 由佳 谷井 潤郎
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.110-116, 2009 (Released:2015-03-20)
参考文献数
12
被引用文献数
2

うどんの物性に及ぼす塩類の影響について検討するため,種々の塩類と市販塩を用いて調製したうどんの物性評価を行った。また,市販塩については,官能評価を行い,うどんの食感に及ぼす影響について検討した。 生うどんの物性については,各塩類の影響が見られ,生うどんの生地における伸びやすさについては,塩化カリウムを用いた生地が最も伸びやすく,硫酸カルシウムを用いた生地が最も伸びにくく硬いことが分かった。市販塩を用いた場合,塩種による差が見られたが,その差は小さかった。 ゆでうどんについては,塩化マグネシウムおよび塩化カルシウムを用いたうどんについては軟らかい傾向が見られたが,生うどんの場合と比較し,各塩類の影響は小さくなることが分かった。市販塩を用いた場合,物性評価,官能評価の結果に差はなく,いずれの塩を使っても食べたときの食味には大きな違いはないことが分かった。
著者
廣田 智子 吉田 晋弥 永井 耕介
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.179-187, 2013 (Released:2013-08-20)
参考文献数
19
被引用文献数
2

黒ダイズ‘丹波黒’を用いて,高温での浸漬処理が吸水特性,煮豆の破断特性,官能評価,成分に及ぼす影響について調査し,効率的な煮豆調製法について検討した。浸漬条件は,20℃では1,2,5,10,15,20時間,高温(30℃から80℃までの6温度区)では2時間保持した。2時間の浸漬では,浸漬温度が高くなるにつれて重量増加比は高く,煮豆の破断荷重は低くなり,60℃以上の浸漬温度で平衡状態に達した。溶出固形物量は,70℃以上では顕著に増加した。裂皮率は,標準浸漬条件(20℃,10時間)に比べて,60℃以上の浸漬温度で低く抑えられた。高温での2時間の浸漬条件において,標準浸漬条件と同等の官能評価値及びスクロース,遊離アミノ酸含量が得られる至適浸漬温度は60℃であった。以上のことから,高温での短時間(2時間)の浸漬処理法として,60℃浸漬が利用できると考えられる。この浸漬方法は,浸漬時間の大幅な短縮及び裂皮率の減少が図れることから,煮豆の調理・加工の面においても有用性があると考えられる。
著者
武田 珠美 福田 靖子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.281-291, 1996-11-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
20

This study clarifies the cooking methods used for sesame seeds throughout the world. Answers to a questionnaire were received from 252 persons in 38 countries during January-March 1993, and literature research was conducted on “Sekai no tabemono” published by Asahi (1980-1982) and on “Africa and Arab cooking”.In East Asia, both white and black seeds are used for cooking in the whole, rough ground or paste form. On the other hand, in the Near and Middle East, mainly the white seeds are used in the paste form. The difference in the usage of sesame between the two regions seems to principally depend upon the degree of grinding.South Asian people often eat sesame seed, although its characteristic usages as a food was not clear from this examination. In North America, only the granular type of sesame seeds are used, while in Europe and South America, very little use of the seeds was found.It is apparent from these investigations that the use of sesame depends on the dietary culture established in each area of the world.
著者
田中 佐知 早瀬 明子 粟津原 元子 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.306-313, 2010 (Released:2014-10-03)
参考文献数
15

オーブンレンジにおける鶏肉の嗜好性の高い調理方法を明らかにすることを目的として,鶏もも肉を電子レンジ加熱(M)(500W電子レンジ加熱8分間),オーブン加熱(O)(210°Cコンベクションオーブン加熱40分間),それら2つの調理を組み合わせた組合せ加熱(C)(電子レンジ加熱5分間の後オーブン加熱25分間の30分間)の3種類の方法で加熱調理し,調理物の物性測定,官能評価を行った。電子レンジ加熱(M)はオーブン加熱(O)よりも温度上昇速度が高く,内部温度と表面温度の温度差が小さい。また,オーブン加熱(O)は他の加熱よりも重量保持率が低く,電子レンジ加熱(M)は他の加熱よりも柔らかい。官能評価では,外観評価,総合評価ともに,電子レンジ加熱(M)に比べて組合せ加熱(C)とオーブン加熱(O)が有意に好まれ,組合せ加熱(C)とオーブン加熱(O)の好まれ方は有意な差はなかった。よって,組合せ加熱(C)は,好ましい調理を短時間で加熱調理できることから,オーブンレンジに適した嗜好性の高い鶏肉調理が可能な調理方法であることが示された。