著者
後藤 真孝 日高 伊佐夫 松本 英明 黒田 洋介 村岡 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.19, pp.21-28, 1996-02-24
被引用文献数
15

本稿では,すべてのプレーヤーが対等な立場でインタラクションし,即興演奏するジャズセッションシステムについて述べる.従来の多くのシステムでは,人間のソロ演奏に対して計算機が他のプレーヤー全員の演奏を伴奏としてまとめて生成していたため,ソロに追従する域を出なかった.我々は,計算機内のプレーヤー同士も人間同様にお互いの演奏を聞き合い反応することができ,さらにジェスチャーも視覚的に交換することができるシステムを提案する.対象はジャズのピアノトリオとし,人間がピアニスト,計算機がベーシストとドラマーを担当する.両計算機プレーヤーは独立したプロセスとして複数の計算機上に実装され,実際にプレーヤーが対等な立場で演奏できた.This paper presents a jazz session system where each player is independent and can interplay with other players. Most previous systems reacted to only human player's performance with the fixed master-and-servant relationship. Our system enables computer players to listen to other computer player's performance as well as human performance, and to interact each other. Moreover, all players can communicate not only by listening other's performance, but by looking at other's bodies and gestures. In our current implementation, the system deals with jazz piano trio consisting of a human pianist, a computer bassist and a computer drummer. These computer players have been implemented as independent processes on several distributed workstations.
著者
真田祥吾 小枝正直
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.67-69, 2013-03-06

近年の携帯端末にはタッチパネルが多く使用されており,様々な文字入力方式がある.その中でも多く採用されているフリック入力方式では,タッチパネル上にテンキーが表示されており,そのテンキー上で指をスライドさせることで文字入力する.しかしこれではテンキーの配置を目視しなければ入力できず,ブラインドタッチができない.またテンキーの配置を正確に入力しなければ, タイプミスが生じてしまう.そこで本研究では,指の本数などを読み取って各段を決め,動きによって各行を確定し,移動先での追加移動で入力ができるマルチカーブフリック方式を提案する.これより,文字入力のさらなる高速化, 簡略化が可能を目指す.
著者
田中 哲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.51-51, 2014-07-14

本発表ではプログラムを逆方向にも実行可能なプログラミング言語Conservationを提案し,例としてX.509証明書のエンコーダとデコーダを記述する.また応用として,エンコーダを修正して間違った証明書を生成し,既存の暗号ライブラリに対してファジングを行う.通信プロトコルやデータフォーマットなど,データをプロセスの外部で表現するためにはデータをバイト列にエンコードし,また,逆にバイト列をデータにデコードすることが欠かせない.エンコードとデコードは対になる処理であるが,通常は別々に開発するため,正しく対応がとれた実装になるとは限らない.本発表ではプログラムを逆方向にも実行可能なプログラミング言語によりエンコードとデコードをひとつのプログラムとして記述可能とする.それにより常に正しく対応のとれたエンコーダとデコーダが開発できる.また,開発における利点だけでなく,ファジングにも利用できることを示す.This presentation proposes a reversible programming language: Conservation. We implemented encoder and decoder for X.509 certificates as an example program. Also, we modify the encoder to generate wrong certificates and fuzz existing cryptographic library. Implementation for communication protocols and data formats needs encoder (converter from a data structure to a sequence of bytes) and decoder (converter from a sequence of bytes to a data structure). Usually they are implemented individually and not guaranteed to be inverse functions of each other. This presentation explains the language can be used to implement a pair of encoder and decoder with single program. The program can run forward to work as an encoder and run backward as a decoder. The behaviors are guaranteed to be inverse functions. This means correct program can be implemented with less effort. The program can also be used for fuzzing by modifying the encoder.
著者
松田 元彦 石川 裕 工藤 知宏 手塚 宏史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.14-23, 2004-10-15

大規模クラスタ計算機に向けたMPIを実装するための通信機構であるO2Gドライバの設計・実装を行っている.O2Gでは,TCP/IPプロトコル通信レイヤ自体は変更せず,MPIの実装に必要となる受信キュー操作をプロトコル処理ハンドラに組み込んでいる.割込みで起動されるプロトコル処理ハンドラ内で,TCP受信バッファから受信データを読み出しユーザ空間にコピーする.これによって,TCP受信バッファの溢れにともなう通信フローの停滞が抑制され,通信性能を劣化させることがなくなる.さらに,従来のソケットAPIで必要だったポーリングが不要になり,システムコール・オーバヘッドが低減される.NAS 並列ベンチマークのISベンチマークでは,O2Gを使用することで従来のMPI実装に比べて3倍の性能が得られる.さらに,ソケットによるMPI実装ではコネクション数が増大すると通信バンド幅が低下するが,O2Gではコネクション数に関係なく高性能なデータ受信を達成していることが示される.In order to implement an efficient MPI communication library for large-scale commoditybased clusters, a new communication mechanism, called O2G, is designed and implemented. O2G introduces receive queue management of MPI into a TCP/IP protocol handler without modifying the protocol stacks. Received data is extracted from the TCP receive buffer and copied into the user space within the TCP/IP protocol handler invoked by interrupts. This avoids message flow disruption due to the shortage of the receive buffer and keeps the bandwidth high. In addition, it totally avoids polling of sockets and reduces system call overheads. An evaluation using the NAS Parallel Benchmark IS shows that an MPI implementation with O2G performed three times faster than other MPI implementations. An evaluation on bandwidth also shows that an MPI implementation with O2G was not affected by the number of connections while an MPI implementation with sockets was affected.
著者
師 茂樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.51, pp.31-37, 2005-05-27
被引用文献数
4

デジタルアーカイブの目的として「文化の次世代への正しい継承」ということがしばしば言われる。しかし、文化が変化を前提としていると考えれば、デジタルアーカイブによって「次世代への正しい継承」はできず、場合によってはそれを阻害する可能性もある。また、デジタルアーカイブによる「次世代への正しい継承」という言説の背景には、研究者やデジタル技術による特定イデオロギーへの権威付けや、国家政策との関連が見出される。デジタルアーカイブは、むしろ、このような運動を相対化する方向で活用されるべきではないだろうか。``The right succession to the next generation of culture'' is often said as a purpose of digital archives. However, given that culture always changes, ``the right succession'' can not be attained by digital archives, but may be disturbed in some cases. Moreover, investigating the background of ``the right succession,'' we can find the authorization to the specific ideologies by the researchers or the digital technologies, and relation with a national policy. We suggest that digital archives should be developed and utilized in order to deconstruct such movements.
著者
三塩 武徳 藤田 桂英
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.7, pp.1-6, 2015-02-26

本論文では二人不完全情報ゲームである 「ガイスター (geister)」 に独自の交渉ルールを追加した 「NEGOgeister」 を対象とする.本ゲームでの交渉を有利に進めるためには相手と自分の駒の価値を相対的に正しく評価し自分の得になる選択をする必要がある.一方,教師データとなるガイスターの棋譜は極めて少ないため駒の価値を評価する関数を作成することが難しい.そこで本手法では UPP 的な概念を用いて,シミュレーション結果の差異によって相手の駒の価値を推定する.これは正体のわからない相手の駒がゲーム中どれだけの価値があるのかを評価する特徴の一つとなる.さらに,評価実験によりこの特徴が相手の駒の価値を正確に反映しているかを確認した.In this paper, we study the "NEGOgeister" including our own negotiation rules to the "geister" which is a bilateral incomplete information game. A player needs to evaluate the values of our and opponent's pieces relatively, and select the effective strategies. However, it is difficult to decide functions of evaluating the values of the pieces because the records of "geister" which is used for learning data are little. Therefore, our proposed method estimates the values of the opponent's pieces with differences of simulation results using the UPP concept. It is the one of important features to evaluate the values of unknown opponent's pieces. We evaluate and discuss them with the objective of evaluating the values of opponent's pieces, accurately.
著者
茂尾 亮太 鈴木 育男 山本 雅人 古川 正志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MPS, 数理モデル化と問題解決研究報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.7, pp.1-6, 2009-09-03

データ関係をノードとエッジで表すネットワーク構造は多くの分野で共通に利用されている.ネットワークの可視化技術は単なるノード間のつながりからは発見できないネットワークの構造や特徴を見出すのに有用な技術である.従来の研究で様々な可視化手法が提案されてきたが,本研究では力学的手法に焦点を当てる.力学的手法は実装と拡張が容易な最も一般的な可視化手法であるが,可視化のための計算量が大きく大規模なネットワークには適用することができない.しかし,比較的小規模なネットワークに対してはネットワークの特徴を捉え高速に可視化が可能である.提案手法では可視化対象のネットワークのある範囲内のノード群に対し,局所的エネルギー最小化によるノード配置をランダムに繰り返し行うことにより,ネットワーク全体の大域的なノード配置を導出する.これにより,計算量を削減し高速化に可視化を行う.また,従来手法との比較を行い提案手法の有用性を検証した.
著者
塩谷 丈史 成見 哲
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.18, pp.1-6, 2015-02-23

近年のプロセッサには動画デコードや暗号化回路など頻繁に利用される処理向けに専用回路がハードウェアで組み込まれていることも多い.しかし,すべての処理に対して専用回路を静的に用意することは現実的ではない.本研究では,モバイル端末での利用を前提として,FPGA を用いた Android タブレットを試作し,いくつかの数値演算専用アプリを実装した.Android アプリから FPGA 資源を Partial Reconfiguration (動的部分再構成) により利用するための API を実装し,CPU と演算性能を比較した.本研究で作成したアプリは,(1) アルゴン粒子の 2 次元分子動力学シミュレーション,(2) 大きなデータに対する固定ビットパターンのマッチング,(3) 外部 IO を使用した LED 発光回路の 3 つである.(1) の回路では CPU による処理速度に対して 340倍,(2) の回路では 180 倍の高速化が行えた.また,(3) の回路により Android アプリから外付けハードウェアを簡単に操作できることが示せた.
著者
佐々木 航 西山 勇毅 大越 匡 米澤 拓郎 中澤 仁 高汐 一紀 徳田 英幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. UBI, [ユビキタスコンピューティングシステム] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.9, pp.1-7, 2015-05-04

「人は幸福であるが故に笑うのではなく,笑うが故に幸福である」 という言説にもある通り笑顔を形成することがユーザの幸福感につながると考えられ,これを支持する研究は多い.幸福感は周囲に伝達することが知られている.以上のことから,幸福な人からの笑顔情報によるユーザの笑顔形成への促進が,ユーザの幸福感を引き起こし,それによって幸福感が伝達していくと考えられる.そこで本研究では,他人の笑顔画像の共有によるユーザの笑顔形成への影響を評価する "SmileSpot" を実装した."SmileSpot" は個人のスマートフォン端末のディスプレイに他人の顔画像を映し出し,それを見た際のユーザの笑顔度を検知する.38 人の被験者を対象とした 15 日間の評価実験から他人の笑顔画像がユーザの笑顔形成を促進させることがわかった.それに加え,女性のほうが男性と比べて影響を受けやすく,また親密度が高い人の笑顔画像のほうが親密度の低い人の笑顔画像より影響を受けることがわかった.
著者
若尾 あすか 鈴木 真生 松村 耕平 野間 春生
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HCI, ヒューマンコンピュータインタラクション研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.5, pp.1-7, 2015-05-07

本研究は,ショップやショールーム,体験型交流施設などが集まる複合型商業施設への来訪者に対して周遊行動を誘導することを目的とする.複合型商業施設ではその施設内にある様々なテナントに足を運ばせることで全体としての利益向上を図っている.しかし,行き慣れた施設内においては,来訪者の行動の定型化が原因となり,来訪者の新しいニーズを生み出しにくい問題がある.子ども連れの来訪者に注目すると,目的としている場所以外に行く時間的な余裕が持ちにくい問題もある.我々は,それら問題を解決するため,スマートフォンを用いた宝さがしゲームを開発した.ユーザは用意された宝を見つけるために施設全体を歩き回る.それによって,ユーザは施設に関して新たな気づきを得る.ユーザは,宝の在処を示すヒントと宝に近づくと得られる通知のヒントを手がかりに,様々な店舗に隠された宝を探す.いくつかの宝にはミニゲームによる楽しみを付与して参加意欲を高める工夫をした.開発したゲームを用いたイベントを 3 月 29 日にグランフロント大阪内ナレッジキャピタルで開催されたワークショップフェスの一環として一般の参加者を対象に開催した.その結果,子どもとその子どもと一緒に参加した大人が施設全体を周遊する行動を促すことができた.
著者
内海 慶 塚原 裕史 持橋 大地
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.3, pp.1-8, 2015-01-12

本論文では,教師なし学習による品詞を含めた形態素解析手法を提案する.従来の教師なし形態素解析手法では分かち書きのみを対象としており,品詞の推定は扱われてこなかった.本稿では,品詞遷移確率と単語の生起確率の事前分布に階層 Pitman-Yor 過程を用いた隠れセミマルコフモデルに基づく形態素解析手法を提案し,分かち書きとその潜在的な品詞を同時に学習する.これにより,単語分割自体の精度も向上することを日本語,中国語,およびタイ語での実験により確認した.
著者
清田 公保 櫻井 敏彦 山本 眞司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.636-644, 1995-03-15
被引用文献数
19

視覚障害者の使用を目的としたオンライン手書き漢字入カシステムの実現のため、視覚障害者から収集したオンライン手書き漢字のサンプルデータを晴眼者のものと比較することにより視覚障害による手書き変動の性質を調査した。分析の結果、視覚欠如によって書かれた文字は全体のバランスが悪く、部分パタン間で重なりや分離が生じやすい。特に筆運びが大きくなる部分では、ストロークの相対位置構造は不安定になりやすいことが分かった。このような視覚障害者のオンライン入力を許容するような手書き変動に強いシステムの構築には多方面からの解析が必要であり、処理時間の大幅な増加が予測される。このため、認識の初期段階で漢字候補を十分に絞り込んでおくことが重要である。本論文では、変形分析項目のうち視覚障害者でも安定であった画数とセグメント情報を用いた漢字大分類法を提案した。教育漢字による大分類の結果、画数のみによる大分類に比べて、実用的な正分類率レベルで約4倍以上も分類効率が向上し、本方式の有効性を示した。
著者
上田 高徳 佐藤 亘 鈴木 大地 打田 研二 森本 浩介 秋岡 明香 山名 早人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.85-97, 2013-03-29

Webクローラは,クローリング済みURLの検出やWebサーバに対する連続アクセス防止といった処理を実行しながらデータ収集を行う必要がある.Web空間に存在する大量のURLに対して高速な収集を実現するために並列分散クローリングが求められるが,省資源でのクローリングを行うためにも,処理の時間計算量と空間計算量の削減に加え,計算機間の負荷分散も必要である.本論文で提案するWebクローラは,クローリング処理をProducer-Consumer型のモジュール群で実行することにより,これまでの被クロールWebサイト単位での負荷分散でなく,Webクローラを構成するモジュール単位での負荷分散を実現する.つまり,Webクローラを構成する各モジュールが必要とする計算機資源に応じた分散処理が可能になり,計算機間での計算負荷やメモリ使用量の偏りを改善することができる.また,ホスト名やURLを管理するモジュールは時間計算量と空間計算量に優れたデータ構造を利用して構成されており,大規模なクローリングが省資源で可能になる.Web crawlers must collect Web data while performing tasks such as detecting crawled URLs and preventing consecutive accesses to a particular Web server. Parallel-distributed crawling is carried out at a high speed for the enormous number of URLs existing on the Web. However, in order to crawl efficiently, a crawler must realize load balancing between computers in addition to reducing time and space complexities in the crawling process. The Web crawler proposed in this paper crawls the Web using producer-consumer modules, which compose the crawler, and it realizes load balancing per module and not per crawled Web site. In other words, it realizes load balancing that is appropriate to certain computer resources necessary for the modules that compose the Web crawler; in this way, it improves biases in computation loads and memory utilization between computers. Moreover, the crawler is able to crawl the Web on a large scale while conserving resources, because the modules that manage host names or URLs are implemented by data structures that are temporally and spatially efficient.
著者
吉岡 亮衛
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.6, pp.17-24, 2001-01-19
参考文献数
6
被引用文献数
2

本論は、コンピュータによる俳句の研究を行うために必要な俳句データベースと、俳句を分析するために必要な季語データベースの本格的な構築に先立ち、季語データベースの構造とデータベースに収録すべき季語の数を検討した結果を報告するものである。具体的には、3種類の季語を集めた本を材料として、(1)共通に存在する季語、(2)すべての見出し語である季語、(3)見出し語の異称・別名・同類・対象語を含めたもの、の3通りの季語集合を作り、それらを用いて、サンプルとして抽出した俳句の季語を特定することを試みた。その結果、先の研究で1 542語の季語で448句の俳句を分析した結果、全体の約65%の俳句の季語を特定することができたものが、2 901語の季語により344句(76.8%)、6 709語で399句(89.1%)、約2万語で420句(93.8%)まで、判定率が向上することが見いだされた。また、最後まで季語が特定出来なかった俳句について、改善の方策を検討した。This paper reported the investigated results about the amount of Kigo in Kigo-database. This investigation is needed for building Kito-database, that is useful to analyse the Haiku. A Haiku-database and a Kigo-database are both needed to study Haiku by computer. Concretely, tree types of Kigo-group are made from three different books of "Kigo". The first one is the common Kigos in books, the second one is the all different Kigos in books, and in the third one are included more broader terms in the book "Shinhan-Kiyose". As a result of the Kigo matching test of all 448 Haikus, at the last time 1,542 Kigos hit about 65%. Then 2,901 Kigos hit 344 Haikus (76.8%), 6,709 Kigos hit 399 Haikus (89.1%), and about 20,000 Kigos hit 420 Haikus (93.8%). The specification rate of Kigo is improved by Enlarging the Kigo-database. At last the reasons of unmatched Haikus are discussed.
著者
川本瑞己 高橋健友 清原良三
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.459-461, 2013-03-06

イベント会場やバスターミナルにおけるバス停の集中混雑を,利用者の持つ携帯電話から得られる位置情報を利用して緩和する通学支援システムを提案する.本システムではバス利用者の中でも特に着席を希望する利用者に焦点をあて,着席が可能かどうかの情報を提供する.バスの発車時刻より前からバス停に並ぶことによって担保していた着席が,携帯電話から提供される情報によって担保されるのであれば,バス停に出来上がる列の多くを占める着席希望者が長時間に渡りバス停に並ぶ事をしなくなり,バス停の混雑が緩和され,周辺施設や他の利用者への悪影響が軽減される.本論文では,バスの混雑状況の可視化を行う通学支援システム用端末のアプリ実装、評価をした.
著者
行野 顕正 田中 省作 冨浦洋一 柴田 雅博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.365-374, 2007-01-15
被引用文献数
1 2

スラッシュ・リーディングとは,意味のかたまりごとにスラッシュで区切られた英文を読むことにより,読解力の向上を目指す学習法である.多くのスラッシュ付き英文を読むことで,学習効果が上がると考えられるが,現在のところ十分な文書数のある学習教材が存在しないという問題がある.本稿では,統計的アプローチを用いて任意の英文にスラッシュを自動的に挿入する手法を提案する.英文中のスラッシュの位置を定める主な要因は,英文の部分的な構文構造・セグメント長のバランス・一部の単語であるという仮定に基づき,パラメトリックな確率モデルおよびSVM を構築する.既存の教材を学習データとしてモデルを学習することで,その教材のスラッシュ挿入規則を模倣したスラッシュ付き英文を作ることができる.3 つの既存教材を対象とした実験では,提案手法が,様々な教材におけるスラッシュ挿入規則を,従来手法よりも高い適合率・再現率で模倣できるという結果が示されている.In Slash Reading, learners read English sentences separated into segments (sense groups) with slashes to improve their reading skills. The more texts for Slash Reading a learner read, the more effect of learning could be expected. However, there are not enough materials for Slash Reading. This paper proposes methods for transforming automatically a plain sentence into a slashed sentence based on statistical approaches. A parametric model and a SVM model are built on the assumption that the factors to decide where to insert slashes into a sentence are a portion of the syntactic structure of the sentence, the lengths of the segments and words around the slashes. The models are learned from an existing material for Slash Reading. The systems based on these models, therefore, can transform automatically a plain sentence into a slashed sentence by imitating positions of slashes in the material. The results of the experiments using existing materials for Slash Reading indicate that the proposed methods imitate positions of slashes of the materials with the higher precision and recall than the previous methods.
著者
虫鹿 弘二 中村 和寛 橋本 佳 大浦 圭一郎 南角 吉彦 徳田 恵一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [音楽情報科学]
巻号頁・発行日
vol.2015, no.13, pp.1-6, 2015-02-23

隠れマルコフモデル (HMM) に基づく歌声合成システムは,あらかじめ用意された歌声データから統計モデルを学習し,任意の歌声を合成する.HMM 歌声合成の性能は学習データに強く依存するため,高品質な歌声を合成するためには高品質な歌声データベースが必要になる.しかし,実際のデータベースには,歌い間違いやノイズなどの誤りが含まれていることが多い.特に,これからは音声合成の分野でも,インターネット上の大量のデータを学習に有効活用するという流れが加速していくと考えられ,そのような誤りを多く含むデータから高精度なモデルを学習する手法が必要である.そこで本稿では,学習データ内の誤りを局所的に除外することによる誤りに頑健なモデルの学習手法を提案し,主観評価実験により提案手法の有効性を評価する.
著者
前川 武
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.78, pp.55-62, 2007-07-27

日本語の文献に関する研究においては、本文テキストのデータベース化と語彙索引の電子化が進めばさまざまな角度からの計量的分析が可能になる。古典文学の分野では、本文テキストのデータベース化は進んでいるが、索引の電子化は、なかなか進んでいないのが現状である。このような現状の中で、村田菜穂子氏は、古代語の形容詞と形容動詞について、単なる作品における語の出現度数、用例だけではなく、詳細な情報を付加した語彙表を作成し、様々な計量分析を行っている。今回、村田氏の作成したデータに基づき、中古の散文資料22作品について、その語彙の使用状況から作品間の類似度を測定する試みを行った。In the research on a Japanese document, if the computerization of a full text database and glossarial index advances, measurement analysis from various angles becomes possible. The computerization of the glossarial index is not advancing easily, though that of a full text database is advanced. In such a situation, Nahoko Murata makes the glossarial index of the adjective and the adjective verb of an ancient word, and is doing various analyses and consideration. I tried to measure a similar degree of 22 Old and Medieval prose works by using the data in the writing of Murata.