著者
高田 篤 今宿 亙
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.2, 1996-03-11

入射光の位相に依存した利得を与える位相感応光増幅器(PSA:Phase Sensitive Amplifier)は、無雑音でかつチャープパルスの波形整形機能があるため中継増幅器としての適用が期待できる。今回、光カー効果を用いたPSAの基本特性について、理論的、実験的に検討したので報告する。
著者
松田 俊寛 吉田 正尭 穗刈 治英 島田 正治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.921-924, 2009-11-01
参考文献数
3

耳栓型,イントラコンカ型,耳覆い型の代表的な3種類のイヤホンの体温によるインピーダンス特性と外耳道伝達関数(ECTF)の周波数振幅特性の変動について検討した.その結果,インピーダンスの上昇率は3%以内であり,ECTFのSD(スペクトルひずみ)値は2.0dB以下であった.そして,このSD値と先行研究の結果を比較し,本測定で得られた装着時のECTF変動による水平面の頭外音像定位の精度に与える影響を考察した.
著者
近藤 公久 天野 成昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.335, pp.1-8, 2000-10-05
参考文献数
20

日本語の単語および文字の様々な特性値を集めたデータベース「日本語の語彙特性」を構築した。「日本語の語彙特性」の1-6巻[1, 2, 3, 4, 5, 6, ]には、新明解国語辞典[7]の見出し語約8万語に対する、単語親密度、単語表記の妥当性などと、JIS X 0208-1990[8]に規定される6, 847文字に対する、文字親密度、複雑度などが収録されている。また、「日本語の語彙特性」の7巻[9]には、1985年から1998年までの14年間に発行された朝日新聞中の単語および文字の出現頻度が収録されている。本稿では、本データベースに収録されている特性値の概略と特性間の関係を示すとともに、本データベースの有効性と問題点について述べる。
著者
鹿内 菜穂 八村 広三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.283, pp.85-89, 2013-11-09

鑑賞者の有無でダンス学習者の感情と身体動作にどのような違いがあるかを検証した.感情の評価には日本語版PANASを使用し,身体動作の解析にはモーションキャプチャを用いて動作データを取得した後,動作特徴量を体の開きとして周波数解析を行った.鑑賞者がいる時の方がポジティブな感情もネガティブな感情も高くなること,鑑賞者の有無で体の開きとその周波数に違いがあること,また身体動作においてダンスの経験歴が影響を及ぼしていることを示した.
著者
和泉 絵美 内元 清貴 井佐原 均
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.363, pp.1-6, 2006-11-11
参考文献数
13
被引用文献数
2

非母語話者が話す言語には母語話者が話す言語には見られない誤りがしばしば含まれている.しかし,誤りには,その発話の理解に支障をきたす深刻なものとそうでないものがある.言語の正確さを追求することはもちろん重要だが,コミュニケーション優先の言語学習を行う場合,まずは絶対に誤ってはいけない項目と,必ずしも正確さが要求されない項目は何かを知っておくことは有益であると考える.本研究では,日本語を母語とする英語学習者による英語発話データを元に,それに付与されたエラータグ情報および英語母語話者によって付与された発話の「分かりやすさ」のレベル情報を用いて,それぞれの種類の誤りが聞き手の理解度に及ぼす影響について考察する.
著者
和泉 絵美 内元 清貴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.297, pp.27-32, 2008-11-08
参考文献数
10

本研究では、日本人英語発話データ(The NICT Japanese Learner English Corpus)に含まれる誤りを主な手がかりとして、日本人英語における実践的コミュニケーション能力(=通じやすい発話をできる能力)を記述することを目的とする.著者の先行研究においては、特に語彙、語用、談話の誤りが発話の通じやすさを最も大きく減じる原因となることが示唆された。そのうち語彙誤りに関して詳細な分析を行ったこところ、誤り語と訂正語の意味的関連性が高いほど発話は通じやすくなることを示す結果を得た。また、英語運用能力レベルの高い学習者ほど密度の高い語彙空間を持っているため、たとえそれが誤りであっても正解語と高い意味的関連性を持つ誤り語を使用していることが分かった。これらはすべて単語間のparadigmaticな関係を対象としているが、適切な言語運用にはsyntagmatic,analyticな関係についても知る必要がある。本研究では、学習者の語彙運用においてこれら3つのような深い言語知識がどのように作用しているのか分析する。具体的には、どのような語彙知識が不足、または正しく運用(認知)されなかったために誤りが生じたのか、一つ一つの誤りの原因を推測し、その結果と発話の通じやすさのレベルおよび発話者の英語運用能力レベルとの相関を調査する。
著者
西川 勝 砂連尾 理 樫本 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.455, pp.41-46, 2013-03-04

ダンサー・振り付け家として活動している砂連尾理と、臨床コミュニケーションの手法として哲学カフェを展開している西川勝は、特別養護老人ホームなどでダンスワークショップと哲学カフェを融合させた「身体コミュニケーションの言語化ワークショップ」を継続的に実施している。通常は意識されることの少ない身体コミュニケーションの微細な表現や意味について、対話を通して参加者が相互に確認し合うことによって、コミュニケーションの重層性に対する自覚が深まっていく。ダンスと対話を融合させたワークショップは、コミュニケーションの基盤となる身体への再考をうながし、言語的コミュニケーションに問題が生じてしまう高齢者介護などの現場において、新たなコミュニケーション回路を発見する入口になる可能性を有している。
著者
遠藤 康男 粕谷 英樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.81, no.7, pp.1031-1041, 1998-07-25
参考文献数
25
被引用文献数
5

音声における周期ごとのゆらぎは知覚される自然性, 声質を記述するのに重要である.この周期ごとのゆらぎを考慮した音声の分析・変換・合成システムを提案する.システムにおいてゆらぎは, 基本周期ゆらぎ(ジッタ), 実効値ゆらぎ(シマ), 周波数スペクトルゆらぎに分けられ, 自己回帰移動平均(ARMA)モデルで定式化される.このモデルはゆらぎの大きさだけでなくスペクトル特性も定量化する.周波数スペクトルは主成分スペクトル成分に変換され次元が大幅に縮小される.この主成分スペクトルに対しARMAをあてはめる.実験の結果以下のようなことが示された.(1)日本語母音/a/の周波数スペクトルは8個の主成分スペクトル成分で表される.(2)モデルはもとのゆらぎを再現できる.(3)原音声と再合成した母音信号は聴覚的にほとんど違いがない.このシステムはさまざまな音声の研究分野で有用である.
著者
山本 和英 増山 繁 内藤 昭三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-2, 情報・システム 2-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.1968-1972, 1996-11-25
参考文献数
8
被引用文献数
4

複数のテキストに対する要約について述べる.日本語新聞記事を対象として,単一のテキストの要約にはない,重複部分の把握,およびその除去という固有の問題に対して,連体修飾語,類似節,名詞句の言換えを利用した要約手法とその実験結果について述べる.
著者
伊藤 秀隆 吉村 真紀 隈元 昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-03-06

非線形振動系の周期解を求める数値解法の一つとしてポアンカレ写像の不動点をニュートン法によって求める方法 (シューティング法) が広く知られているが, この方法は, 偏微分方程式系の離散化などに伴う高次元系に対しては, 変分系に関する計算量が膨大となるため実用的でないことがある. しかし, 求める周期解の不安定多様体の次元数が十分小さい場合には, ニュートン法における初期値の修正量を低次元の部分空間内のベクトルで近似し, さらに過渡解を用いる初期値の修正を組み合わせる手法 (部分空間シューティング法) [1〜3]により, 精度を損なうことなく効率良く周期解を求めることができる. 一方, 周期解のフォールド分岐点の計算には, 周期解を与える条件と分岐の条件を連立させ, 通常の (全空間でのニュートン法を用いる) シューティング法によって未知数 (分岐点におけるポアンカレ写像の不動点とパラメータ値) を求める手法 [4] がよく用いられるが, この手法と部分空間シューティング法を組み合わせると, ポアンカレ写像のパラメータによる微分が部分空間内で適切に表現されないため, 収束性に問題が生ずる. そこで本稿では, パラメータを固定した部分空間シューティング法とパラメータに関する割線法を組み合わせ, 中心多様体の性質を利用することによりフォールド分岐点を求める手法を検討する.
著者
藤井 輝也 表 英毅 太田 喜元
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SR, ソフトウェア無線 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.69, pp.99-104, 2007-05-24
参考文献数
17

広帯域移動通信において、アダプティブアレイアンテナ、MIMO等の空間処理技術を精度良く評価するためには、電波伝搬損失、電波伝搬遅延時間、電波到来角度を同時に扱える時間・空間電波伝搬モデル(時空間伝搬モデル)が不可欠である。本稿では、UHF帯及びSHF帯の測定結果に基づいて構築した時空間伝搬モデルの概要を紹介する。
著者
河原田 智義 國宗 永佳 新村 正明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.482, pp.47-52, 2014-03-08

大学で課されるレポート課題において,他者のレポートに類似したレポートが提出される場合がある.学習者同士が教え合うことで両者のレポートが類似してしまうことや,解法の種類に幅がなく偶然類似してしまうことは十分に考えられるが,単に他者のレポートをコピーしているだけの学習者が存在するのも事実であり,そのような学習者には教育的効果が望みにくい.この問題を解決するため,類似レポートの検出手法が研究されている.しかし,剽窃レポートの検出だけでなく,剽窃行為そのものを抑止出来なければ,問題の解決にはならない.よって剽窃行為の抑止を目的とし,剽窃レポートの検出と剽窃行為の抑止を同時に行うオンラインレポートシステムの開発を行った.そして開発したシステムを実際の講義に導入し,システム利用者へのアンケート結果から有用性の検証を行った.
著者
大塚 正之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.320, pp.81-84, 2011-11-19
参考文献数
9

場の考え方は古くから東洋にあるものである。場的思考の特徴は主客非分離、自他非分離にある。近代は、主観と客観とを異なる存在として把握し、また、自己と他者とは全く異なる存在であるとする。自由な主観が必然性のある客観を個物とその因果関係として理解し、他者は自己にとって客体となる。しかし、場の量子論や脳科学は、主観と客観とは明確に分離できるものではなく、また、自己と他者は深く結びついていることを明らかにしている。この主観と客観とが相互作用する場、自己と他者が相互作用する場がまず存在し、そこから主観と客観、自己と他者が生まれてくると考えるのが場的思考であり、これを基盤とする哲学が場の哲学である。人間と似たコンピュータを創るには場的思考に立脚する必要がある。
著者
松浦 正樹 深林 太計志 立蔵 洋介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.329, pp.7-12, 2003-09-29
参考文献数
12

女声のような高ピッチ音声の分析精度を改善することを目的として,線形予測分析・合成により線形予測残差(以下これを残差と呼ぶ)そのものを利用してピッチ周期を可変伸長処理し,ピッチ周期毎に窓を掛け波形を分離して,フレーム内の波形を一括線形予測分析する方法を既に提案している.この方法で残差そのものを利用可能にするのは,残差へのオールパスフィルタリング処理により,残差のピッチ周期毎への分離が残差のもつ有用な音声スペクトル包絡情報の一部に悪影響を及ぼすことなく容易に行えるためである.本論文では,この提案法について,オールパスフィルタのパラメータや'0'系列挿入位置等の種々の分析条件,声門開口比による分析精度を検討し,分析条件の制約が厳しくないことを示す.
著者
本間 さと 中村 宏治 本間 研一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.93, no.118, pp.49-52, 1993
被引用文献数
1

体温は容易に家庭で計測できる生体情報であるが、発熱の有無以外の健康管理にほとんど利用されていない。体温は測定する部位で異なるだけでなく、時間的変動もあり、明瞭なサーカディアンリズムを示す。深部体温リズムは生物時計の指標となり、交替勤務後のリズム調節などの他に、季節性うつ病や睡眠相後退症候群などの睡眠障害の診断および治療効果判定に有用である。また、患部と健常部の深部体温の比較で末梢循環障害の診断、薬物治療の効果判定が容易になる。そこで、サーミスタにより直腸温と膀胱温を、深部体温計により前額温と足底温を、放射温度計により鼓膜温を連続測定し、生理的な体温の時間空間的な変動を調べ、体温の在宅計測による体内異常の発見や、健康の評価への応用を考えた。
著者
田村 伸行 菊池 健人 守屋 雅隆 小林 忠行 島田 宏 水柿 義直
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.423, pp.47-52, 2010-02-15
参考文献数
10

我々は,強磁性体(FM)のリード電極を持つ単一電子トランジスタ(SET)の磁気抵抗比(MRR)に関する報告を行う.常伝導体(NC)の島電極を持つ強磁性単一電子トランジスタ(FM/NC/FM-SET)と超伝導体(SC)の島電極を持つ強磁性単一電子トランジスタ(FN/SC/FM-SET)をそれぞれ作製し,測定した4状態のIV特性からMRRを算出した.4状態とは,SETのIV特性のしきい値電圧が最小(SET-ON状態)または最大(SET-OFF状態)と,リード電極間の磁化方向が平行状態または反平行状態とを組み合わせた,SET-ON状態・平行状態,SET-ON状態・反平行状態,SET-OFF状態・平行状態,SET-OFF状態・反平行状態である.FM/NC/FM-SETのMRRは強磁性体の偏極率から計算される理論値の範囲内だったのに対し,FM/SC/FM-SETのMRRは理論値を超える値となった.また,これらのSETでは,島電極の材料によらず,SET-OFF状態のMRRが,SET-ON状態のそれよりも増大する,磁気抵抗比増大効果が確認された.磁気抵抗比増大の発生メカニズムとして提案されているコトンネリングによるモデル計算を行ったところ,実験結果をおおよそ再現した.
著者
岡本 晃一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.979-986, 2008-11-01
参考文献数
31
被引用文献数
2

金属と誘電体の界面に生じる表面プラズモンは,電磁波と相互作用することによって,従来にないユニークな光物性・光機能性を作り出す.これを制御・利用する技術がプラズモニクスであり,近年特にナノテクノロジーの急速な発展に伴って様々な光学素子への応用が期待され,注目を集めている.ここでは,プラズモニクスの新たな可能性の一つとして,発光材料の高効率化への応用について紹介する.プラズモニクスに基づく高輝度発光素子によって,従来の蛍光灯をすべて固体発光素子に置き換える「照明革命」の早期実現が期待される.
著者
松下 康之 西野 恒 池内 克史 坂内 正夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. D-II (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.86, no.8, pp.1186-1195, 2003-08-01
参考文献数
16

天候の変化に伴う影の動き及び静的な影の影響は,ビデオ監視システムの物体追跡アルゴリズムや認識アルゴリズムの精度低下の要因として問題視されている.本論文では,このようなシーンの照明による影響を入力画像中から頑健に取り除くために,イントリンシック画像を用いた照度成分の正規化に関するフレームワークを提案する.これまでに提案された手法とは異なり,本手法ではシーンの照明変化に伴う反射成分の変化を考慮することにより,より正確な照明画像を推定することができる.この照明画像を用いた照明成分の正規化手法について述べると同時に,入力画像から直接的に照明成分を推定するために照明固有空間を用いる手法を提案する.最後に照明成分を正規化した画像において車両のトラッキング性能を評価することにより,本手法の有効性を確認した.