著者
太田 喜元 藤井 輝也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.386, pp.55-60, 2009-01-14
参考文献数
8
被引用文献数
5

近年,低速移動や静止した環境下で使用される無線端末が急増している.このような端末は,自ら走行する場合とは異なり,周囲の環境変化による伝搬変動を大きく受ける.そこで,屋内環境下で端末が静止している場合に,周囲の環境変化を与えるパラメータ(人の数,大きさ,歩行速度等)を直接考慮できる新たな伝搬モデルを提案した.提案モデルでは,運動体である人を直径Δwの円盤とし,端末に到来する電波を完全に遮断・吸収する完全吸収体モデルを仮定し,その値を個人の胴回りからおおよそ0.3mとした.本稿では人体による電波の遮蔽特性を実験的に明らかにし,人体を完全吸収体の円盤として扱う場合の等価半径について検討する.
著者
長田 典子 和氣 早苗 大須賀 美恵子 井口 征士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.113, pp.25-28, 2003-06-06
参考文献数
4

最近のテレビ番組で,ストーリーの山場にコマーシャルを挿入する手法が見受けられるが,集中を削がれるため,とりわけ子供に対する影響が懸念される.そこでコマーシャルの挿入タイミングが子供の集中力に及ぼす影響について検討を行う.呼吸・脈波・瞬目に関する生理心理計測実験を実施したところ,呼吸率と呼吸振幅の変化を4つの集中度パターンに分類できた.また瞬目についても集中度との関連が明らかになった.実験結果から,高まった注意集中が削がれることにより,次の注意集中の高まりが遅れることが観測された.そしてCMを効果的に提示するという観点からも,CMはストーリーの山場より完結後に挿入されるのが望ましいとの見解を得た.
著者
下條 清史 坂本 一憲 鷲崎 弘宜 深澤 良彰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.481, pp.97-102, 2012-03-06
参考文献数
7

Fault-Localizationはテスト結果からテスト失敗の原因となるコードの箇所を推定する手法で,デバッグ作業の支援に有効である。しかし、テストケースが十分でない場合,バグを十分に局所化できないため、Fault-Localization結果が信頼できない.本稿では,実際の開発形態に沿ったインクリメンタルな運用のもとでプログラム構造を用いてFault-Localization結果を改善する手法を提案する.Fault-Localization結果のトップランキングの高精度化とバグの修正を繰り返していく手法により,効率的なデバッギングの実現可能性を示す.
著者
内山 博之 今園 隆彦 後藤 浩一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.97, no.525, pp.29-33, 1998-01-31
参考文献数
9

鳥類の網膜への遠心性投射系, 向網膜系の機能的意義を探った. 甘利, Arbibの基本競合系に準じた数理モデルは, 向網膜ニューロン間の競合の実測したデータをよく再現した. 実際に得られたデー夕に基づいた2次元配列基本競合系モデルのシミュレーションは, 向網膜系が選択的注意の神経機構として機能していることを示唆した.
著者
田口 亮 村田 裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム
巻号頁・発行日
vol.93, no.34, pp.69-74, 1993-05-21

インパルス雑音除去やエッジ保存平滑化を目的に提案されている非線形フィルタにα-Trimmed平均値フィルタがある。本稿ではそのα-Trimmed平均値フィルタを多種の雑音が混合して重畳されている場合や重畳している雑音が非定常な場合に対応させるために、フィルタパラメータαを処理点ごとに可変させる適応型α-Trimmed平均値フィルタを提案した。αの可変は、局所統計量を用いて行うため、処理画像の先験的な情報を必要としない。さらに、適応型α-Trimmed平均値フィルタを2重窓型に拡張することにより、窓幅設定に関しても先験情報を必要としないフィルタ処理アルゴリズムとなった。
著者
揚村 敬子 吉永 幸靖 藤村 直美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.437, pp.37-42, 2008-01-18
参考文献数
8
被引用文献数
3

視覚障害者は日常生活の中で目の見える人にほんの少し手助けしてもらえば済む問題に遭遇することがある.本研究では視覚障害者がそのような問題に遭遇したときに即座にかつ手軽に支援を受けることができるよう,インターネットの映像通信を利用した遠隔支援法を提案する.それと同時に多数のオンラインサポータを集い,巨大なボランティアネットワークで視覚障害者をサポートできる体制を考え,それを実現するためのシステムを構築する.本論文では先行研究や,独自に行った検証実験を通して視覚障害者にとって使いやすいシステムの考察を行う.
著者
小泉 英明 牧 敦 山本 剛 山本 由香里 川口 英夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.87, no.3, pp.207-214, 2004-03-01
参考文献数
12
被引用文献数
6

デカルトは「考える,故に我あり」といった,「考える」のは私たちの脳である.その生きた脳の解剖学的形態と,精神活動を含む高次脳機能を可視化する方法論を述べる.安全に脳機能を調べることができる無侵襲高次脳機能イメージング法の出現によって,脳神経科学の分野でもパラダイムシフトが起きている.高次脳機能を計測する方法論の原点について述べ,更に,最近になって広範な応用が注目されている近赤外光トポグラフィーを中心に紹介する.
著者
納富 雅也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.971-978, 2008-11-01
参考文献数
21
被引用文献数
12

フォトニック結晶を用いて超小形(〜波長と同程度)でかつQ値が非常に高い共振器が実現されつつある.本稿ではこの超小形高Q共振器を用いた光制御研究として,光伝搬速度制御によるスローライト応用と,光非線形効果の増強を利用した光スイッチ,光メモリによるオンチップ型の全光情報処理への展開という二つの例を紹介した後,長い光子寿命を持つ小形共振器で可能となる断熱チューニングという新しい光制御法について概説し,波長変換や光マイクロマシンへの応用の可能性を議論する.
著者
小柳 諒輔 小島 昇 夏目 季代久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.69, pp.21-25, 2013-05-27

私たちの日常の行動は主観的な嗜好性よって左右されている。最近、嗜好性に関連する脳波研究が行われ初めて来た。研究のほとんどは、どちらの顔が好きか、等視覚的な嗜好性の研究である。その研究では、前頭部θ波と、後頭部γ波が嗜好性に関与していると報告された。一方で、音楽は私たちにリラックス効果があり、ストレスを軽減してくれる。音楽療法は記憶障害患者、障害者に使用される。その効果は、好きな音楽を聴いた時、最大となる。従って、個々人の音楽嗜好性調べる事は脳波を用いる音楽療法にとって重要である。5名の健常男性(23.5±0.5歳(平均±標準偏差))に実験に参加して貰った。彼らは、30-35秒音楽を聴き、10秒間好き嫌いを判断した。その間、脳波測定を行った。音楽は、5-8ジャンルの20曲を聞いて貰った。脳波は高速フーリエ変換した後、4-8Hzのθ波、8-12Hzのα波,12-30Hzのβ波,30-50Hzのγ波の各周波数パワー値を計算した。さらに、パワー値をフィーチャーに1次元の交差判定を線形判別分析(LDA)を用いて行った。その結果、嗜好判断時、前頭部θ波パワー値は、好き判断時、嫌い判断時に比べて有意に高かった。一方、音楽聴取時及び嗜好判断時、後頭γ波のパワーは好き判断時より嫌い判断時の方が有意に高かった。交差判定の結果から、後頭γ波、前頭α波、γ波をフィーチャーにした場合、判別正解率が高かった。以上のことより、後頭γ波が嗜好判断に関わる脳波かもしれない。
著者
百瀬 翔太 降旗 建治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.266, pp.25-30, 2012-10-19
参考文献数
11
被引用文献数
1

人間の可聴域上限を超える高周波成分が可聴音と共存することで,人間の心理・生理面に様々な良い影響を与える効果(ハイパーソニック・エフェクト)があるという報告がされている.本報では自律神経系の活動に注目し,自律神経機能のバランス指標となるLF/HFと,脳波α波を指標として,両者を比較することで楽音中に含まれる高周波成分が生理的側面におよぼす影響を検討した.その結果両方の指標において,高周波が共存する楽音提示中は提示前と比べてよりリラックス状態になり,高周波を除外した楽音提示中は提示前と比べてよりストレス状態になるという傾向が示された.よってこれらふたつの指標には整合性があり,高周波成分による自律神経系への影響も,生理に様々な影響をおよぼすハイパーソニック・エフェクトのうちのひとつの効果なのではないかということが考えられる.またこれより,高周波成分による脳内の状態の変化を呼吸器系の変動から推測できる可能性が示唆される.
著者
谷島 正信 黒田 知紀 島田 政明 中尾 正博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.135, pp.123-128, 2010-07-14
参考文献数
3

アクティブフェイズドアレーアンテナは,ビーム指向方向を電子制御可能であり,また,多地点間通信が可能なビームホッピングアンテナとして注目を浴びている.2008年2月に打上げられた「きずな」(WINDS)にKa帯APAAとして搭載され,高速衛星通信実験に供されており,実験成果も着実に出てきている.本論文では,WINDS APAAの構成,機能性能と,これまでの通信実験結果を述べる.
著者
鈴木 拡 湊 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.54, pp.1-7, 2009-05-19
参考文献数
11
被引用文献数
1

二分決定グラフ(BDD)は,論理関数のグラフ表現であり,大規模な論理関数データでも比較的コンパクトなデータ構造として表現できる.さらに,BDDの特殊な型であるゼロサプレス型BDD(ZDD)は組合せ集合データの表現・処理に適しており,情報科学における様々な問題に応用できる.その一つの例が制約充足問題である.制約充足問題を解くために多くのアルゴリズムが考案されているが,その一方で,解集合の解析や新たな制約を加えて別の制約充足問題を解くということは,また別の問題として残っている.そこで,BDDまたはZDDで解全体を同時に表現することで,それらを効率よく行う方法を述べる.本稿では,古くから親しまれてきたペントミノパズルを取り上げ,これを制約充足問題として定式化した上でBDDとZDDに基づいた解法を示す.
著者
内田 肇 宮脇 陽一 山下 宙人 佐藤 雅昭 田邊 宏樹 定藤 規弘 神谷 之康
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.588, pp.79-84, 2007-03-07
参考文献数
13

近年,機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)と機械学習アルゴリズムを用いることで,視覚刺激の傾きや動き方向などヒト視知覚の一部を復号化できることが示されている.本研究では,ヒト視知覚の復号化を目的とし,被験者に提示した任意の画像をfMRI信号から再構成する.まず,fMRI信号から提示画像の局所平均コントラストを推定する局所画像復号器を解像度ごとに学習させた.次にそれら局所画像復号器の統合を,1)ピクセル基底表現,2)多重解像度基底表現, 3)fMRI信号の生成モデルに基づいたベイズ推定,の3種類で行った.その結果,任意の画像を高い精度で再構成できることがわかった.本手法を用いることで視覚野の詳細な情報表現・情報処理過程の解明が期待される.
著者
古本 啓志郎 穗刈 治英 島田 正沼
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.367, pp.101-106, 2011-01-13
参考文献数
14

2チャネルステレオ再生信号をイヤホン受聴で再生した頭外音像定位の有効性を確かめるため,開口角及び帯域幅をパラメータとした時のスピーカ受聴とイヤホン受聴の水平・鉛直方向の音像定位精度の有意差検定を行った.その結果,有意差が無かったことより,スピーカ受聴とイヤホン受聴は同等であることが明らかになった.
著者
松村 雅史 中野 剛 西原 一嘉 吉田 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.98, no.231, pp.37-42, 1998-07-31
参考文献数
18

本研究では、バイオリン音生成時の運動パラメータと生成音の音響的性質の関係を調べるために、運弓、弓圧を総合的にコンピュータ制御可能なバイオリン音生成システムを試作した。まず、本システムでは、10-40cm/sの速度で運弓している場合において、2.5gWの精度で弓圧力が制御可能であることを示した。次に、音階制御機構部についての基礎実験として、弦を押さえる荷重と発生音のスペクトルの関連を実験的に調べた。バイオリン音のスペクトルで倍音生分とそれ以外の成分の比mを特徴パラメータとし、弦を押さえる荷重(100-400gW)との関係を測定した。その結果、荷重が小さい場合、mの値は小さく、聴覚的印象も悪いが、荷重を大きくするとmが急激に高くなり、聴覚的印象も良くなる傾向が示された。
著者
細野 秀雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.97, no.3, pp.178-186, 2014-03

酸化物半導体は典型的な半導体とはかなり違った性質を有する.本稿では本小特集の序論としてその特徴を概説する.まず,バンドラインナップを基にキャリヤドーピングの成否とp/n指向性を総括的に解説する.次いで四つの具体例を取り上げ,典型的半導体と比較しながら,酸化物半導体の特徴を記述する.例としては,両極性酸化物半導体,超ワイドギャップ酸化物12CaO・7Al_2O_3への電子ドーピング,混合アニオン系酸化物半導体と透明アモルファス酸化物半導体を取り上げ,その特性を電子構造から解説する.そして最後に今後を展望する.
著者
三宅 亙 陣 英克
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.181, pp.33-35, 2009-08-21
参考文献数
6

GPS受信網の整備とデータの早期公開により、電離圏全電子数(TEC)の定常的なモニタリングが可能となっている.情報通信研究機構では、GEONETデータから迅速にTECを導出するシステムを開発し、日本上空の電離圏の定常的な監視に利用している.この監視システムは、電離圏嵐をはじめとするさまざまな電離圏じょう乱の発生・発達・衰退をモニターするのに優れ、きわめて有効である。現在は太陽活動が低調で、大きなじょう乱現象は起きていないが、次期太陽活動極大期において、その活躍が期待される.このリアルタイムTECのプロットは、http://wdc.nict.go.jp/IONO/index.htmlにて公開されている.
著者
鄭 曜 大谷 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.473, pp.51-56, 2013-03-11

スーパーやコンビニなどの店舗にとって、マーケティング調査は重要な課題であり、特にPOSシステムに記録が残らない顧客の購買時の迷いの有無は重要性が高い。本稿では、顧客が「迷わず購入した」、「迷って購入した」、「迷わず購入しなかった」、「迷って購入しなかった」の4つの行動を認識する方法を検討した。このような顧客の行動は個人や場合により大きく変動するため、ペイジアンネットワークによる認識が有効と考えられる。店舗内のビデオ映像から得られると考えられる画像特徴を手動で抽出し、ペイジアンネットワークを用いる方法の有効性の検討を行い、有効性の見通しを得た。