著者
徳田 功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学
巻号頁・発行日
vol.112, no.189, 2012-08-20

音声生成は、大きく分けて、声帯振動による音源生成と声道による調音フィルタの二つからなっている.声道の音響特性が線形予測フィルタでよく近似できることから、音声生成は線形システムとして捉えられることが多い.ただし、音源を生成する声帯振動は強い非線形性をもち、条件によっては分数調波、準周期振動、カオス、そして分岐現象などがみられる.通常の音声分析では、音源とフィルタは独立と仮定されているが、歌声などの発声条件では、この独立性が失われ、音源と声道の間に非線形干渉が起こることも知られている.本発表では、音声生成の基礎から始めて、線形理論では説明のつかない音声の非線形現象について概観する.応用として、病理発声、歌声における声区の遷移、生物音響(手長サルの発声)における音源-フィルタ干渉について紹介する.
著者
田中 勝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.306, pp.279-286, 2014-11-17

平行移動を指数関数からτ-拡張型指数関数へ拡張することでτ-情報幾何学の定式化を与える.この拡張された平行移動をτ-アファイン構造とよび,τ-アファイン構造をもつアファイン空間をτ-アファイン空間とよぶ.τ=sのτ-アファイン空間の元に対してτの値を1-sに置き換える操作をHolder共役とよび,縮約をτ=sで得られた量とそのHolder共役量を用いて定義する.互いにHolder共役なスコア関数の縮約はFisher計量を与え,平行移動の下で不変な量になっている.これが大域的ゲージ変換としてτ-アファイン構造を捉えることを可能としている.τ-対数尤度のくり込みを考え,エントロピーを定義する.このくり込みを用いて期待値を新たに定義する.くり込まれたτ-対数尤度との縮約を正規化したものが,エスコート分布の役割を担うことが示される.新たな期待値によりエントロピーを評価することで共形エントロピーを定義する.ところが,τ-対数関数には二種類の恒等式が存在し,それに応じた非加法性をエントロピーはもつことになる.τ-アファイン構造に基づいたτ-情報幾何学では,指数型分布族と非指数型分布族とを区別なく取り扱うことができ,従来の情報幾何学とは大きく異なる.
著者
中井 孝芳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.96, no.319, pp.21-28, 1996-10-18
参考文献数
9
被引用文献数
1

深度300m相当のヘリウム空気と通常空気で発声したときの声門体積速度微分波形をLiljencrantsモデルによりシミュレーシヨンした. また, 実際の音声を用いて逆フィルタリングにより推定した. その結果, ヘリウム音声の声門体積微分波形は通常音声と異なることがわかった. それは, 声帯が開いているときはゆっくり変化し, 声帯が閉じたときに大きく変化する. 声帯が閉じるときに起こる変化は高密度気体であることによって起こされること, 実際の音声でも声帯が閉じているときに起こることを示した.
著者
酒井 秀晃 中村 雅子 五十嵐 善英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.388, pp.41-48, 1999-10-25
参考文献数
7

公開鍵暗号に対するSemantic Securityの新しい定義を提案する.Semantic Securityとは,平文に関するどのような部分情報も部分解読困難であることをいう.従来のSemantic Securityの定義はChosen-Plaintext Attackに対しての定義であり,Chosen-Ciphertext Attackに対しては定義されていなかった.そこでChosen-Plaintext Attackに対してもChosen-Ciphertext Attackに対しても有効な定義を提案する.また,公開鍵暗号に対してSemantic SecurityとIndistinguishabilityが等価であることを示す.新しいSemantic Securityの定義とGoldwasserとMicaliによるSemantic Securityの定義の関係を示す.Chosen-Plaintext Attackに対して,ある公開鍵暗号が新しい定義の意味でSemantic Securityを満たしているならばGoldwasserとMicaliによる定義の意味でもSemantic Securityを満たしているが,その逆は成り立たない.
著者
北原 真冬 西川 賢哉 五十嵐 陽介 新谷 敬人 馬塚 れい子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.338, pp.133-136, 2008-12-02
参考文献数
11

理研母子会話コーパス,およびその収録に付随して行った読み上げ課題のデータを用いて,対乳児発話(IDS)と対成人発話(ADS)のピッチについて分析した.アクセントのピッチ,最高ピッチ,ピッチレンジなどにおいて,IDSはADSを上回る.また,アクセントの相対的位置が後方にずれる「おそさがり」の現象がIDSにおいてより大きいことが観察された.
著者
岡崎 泰久 野口 千樹 吉川 厚
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.82, pp.39-44, 2014-06-14

本研究では,板書のように書いていく過程が提示された場合と,最終結果だけが提示された場合が,学習者にどのような違いを生むのかを,学習者自身による主観評価と,アイトラッカーを用いた視線分析により,分析した.その結果,学習者の主観評価と視線の動きに関係があることがわかった.書く過程が提示されることを有用だと評価する人とそうでない人で,視線の動きに違いがあり,そうした実験結果に基づいて,書く過程を提示することが,理解に与える影響について考察した.
著者
遠藤 勇気 木竜 徹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.57, pp.15-20, 2011-05-13
参考文献数
7

筋力向上トレーニングは今や競技を問わず,アスリートにとって必要不可欠なものとなっている.一般的に,どのスポーツにおいても下肢筋を鍛えることは重要である.下肢筋の筋力向上トレーニングにおいて代表的なトレーニングのひとつが"スクワット運動"である.スクワット運動は沈み込みの深さの違いによって分類され,実際のトレーニング現場等においては徐々に沈み込みを深くしていくというトレーニング手法がとられている.しかし,沈み込みを深くしていく上での判断基準が不明確である.本研究では,被験者を熟練者群と未熟練者群とに分け,3パターンのスクワット運動を実施し,トレーニング中の筋活動を表面筋電図を用いて計測した.更に,非負値行列因子分解を用いて運動動作を表現する筋シナジーを抽出し,抽出した筋シナジーと各被験者群における%RMS平均波形から相関係数値を算出し比較を行なった.その結果,大腿二頭筋の筋シナジーパターンがトレーニング決定に有効な評価指標となる可能性が示唆された.
著者
平 明徳 三宅 裕士 亀田 卓 末松 憲治 高木 直 坪内 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.194, pp.51-56, 2013-08-29

日本の天頂付近に8時間程度留まることが可能な準天頂衛星(QZS)を活用し,高精度な位置情報とポケベル程度の簡単なデータ/メッセージを双方向通信できる準天頂衛星システム(QZSS)の開発が進められている.本稿では,長拡散符号を用いたスペクトラム拡散(SS)を用いて,高い拡散利得の確保と数100万に及ぶ多数のユーザ収容を目指すSS-CDMA方式におけるタイミングジッタの影響について検討を行った.限られた送信電力で,端末とQZS間で直接通信を行うためにSSは非常に有効であるが,多重ユーザ数が大きくなることからユーザ間の符号直交を確保することが重要となる.本稿では全端末がQZSSの測位信号により時間・周波数領域で同期する送信タイミング制御方式を提案し,各ユーザに巡回シフトした直交M系列を割当てた場合の伝送特性について,計算機シミュレーションによる評価を行った.その結果,1チップシフトの符号をユーザに割り当てるフルロードに近い条件(1024拡散,1000ユーザ多重)において,タイミングジッタ量を1/8チップ以下に抑えれば,特性劣化を0.5dB以下とできることを明らかにした.
著者
上坂 吉則 新堀 恭裕 渡辺 徹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.93, no.537, pp.245-252, 1994-03-25

遺伝的アルゴリズムによって生成される集団の列が有限マルコフ連鎖を成すことを指摘し,比較的緩い条件のもとで,したがって広範囲の遺伝的アルゴリズムを含む形で,それが唯一つの極限分布を持つことを示す.また,ごく簡単な例についてその極限分布を数値計算によって与え,その結果から,最適解を得る確率を高めるための淘汰・交叉・突然変異の仕方に関していくつかの示唆を与える.
著者
伊津美 孝子 真嶋 由貴恵 前川 泰子 嶌田 聡 田中 典子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.39, pp.37-39, 2011-05-07
参考文献数
3
被引用文献数
1

本研究の目的は,新人看講師を対象にeラーニングを活用後の看護技術修得状況を実技試験の結果から検証することである.方法は,新人看護師30名に,試験方法を説明し,その1ヶ月後「自己自由学習活動に関する自記式質問紙調査」を行った.その結果eラーニングを活用した看護技術の修得状況は,活用しなかった技術と比較すると高い修得結果を示した.eラーニングの活用は,看護技術修得に効果的な影響を及ぼす可能性があることが示唆され,今回のeラーニングシステムが特徴的な機能の効果があったと考えられる.
著者
小嗣 真人 三俣 千春
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MR, 磁気記録 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.249, pp.59-63, 2012-10-11
参考文献数
10

我々は鉄隕石の磁気特性と金属組織を調査するために、物質科学に立脚した物性の解析を行った。光電子顕微鏡(PEEM)を用いて磁区構造を測定したところ、α相とγ相の界面境界において互いに正対する磁区構造が発見された。これは人工のFeNiでは期待されないユニークな磁区構造であった。マイクロマグネティックスシミュレーションで検証を行った結果、界面に偏析したL1_0型FeNi規則合金(テトラテーナイト)に起因することが結論づけられた。講演ではL1_0-FeNIの人工創成と磁気機能評価に関する最新の情報も合わせて発表する予定にしている。
著者
長谷川 勇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.173, pp.55-60, 2008-07-24
参考文献数
10
被引用文献数
2

近年のツールの需要増加に対して,開発現場へのツールの供給は十分ではない.本論文では,ツールの供給不足の問題を解決するために,純粋構文木による構文解析器の共通化と,構文木間での木構造の変換を用いることで,あるプログラミング言語G_1のツールを他の言語G_2に適用可能にする手法を提案する.本手法は従来開発が困難であった構文解析器の開発を,純粋な構文解析器の再利用と,一般的な手法による木構造の変換に置き換えることで構文解析器開発の難易度を下げ,ツールのその他の部分をそのまま利用することで開発工数を20%以下に抑えることができる.また,実際のオープンソースソフトウェアに本手法を適用し,その有効性を示す.
著者
白崎 博公
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-1, エレクトロニクス 1-光・波動 (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.303-309, 1996-08-25
参考文献数
17
被引用文献数
7

マイクロストリップ線路不連続部の導波管モデル解析に基づき, モード整合法と一般化散乱行列法を用いて, 直線およびn乗コサイン形テーパを階段近似して各部の実効誘電率と実効幅を考慮することにより, 反射損特性を解析している. そして,テーパ長がある程度長い場合に,直線テーパよりはるかに特性が向上することを示している. また,特性チャートを定義して特性が向上する形状の評価を行っている. 更に,テーパを入出力部に対称に二つ用いた形状の回路の反射損特性も解析している.
著者
田中 直毅 齊藤 泰一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.524, pp.435-440, 2008-03-06
参考文献数
8

匿名P2Pネットワークにおける情報漏洩は,WinnyなどのP2Pファイル共有ソフトを使用するユーザのPCから発生しており,各個人の機密情報や個人情報をAntinnyと呼ばれる暴露ウィルスがP2Pネットワーク上に拡散するものである.特にP2Pファイル共有ソフトWinnyによる情報漏洩拡散の被害は急増しており,対策技術は社会的な必要性を増しつつある.しかし,法的な問題もあり現在の対策技術の有効性は疑わしいとされている.本研究では,既存の対策技術の有効性について検討した上で,それらを改良した新しい方式を提案する.本システムは,Winnyネットワーク上に存在するファイルの要約情報であるキーを偽造することによりWinnyネットワークの検索機能を撹乱させ検索性能を低下させることにより漏洩情報の拡散を防止することを目的としたものである.
著者
二宮 利仁 鉄谷 信二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.292, pp.107-112, 2009-11-12
参考文献数
5

近年,従来のTV動画だけではなく,インターネット,携帯電話等による動画コンテンツを配信する環境が整い,動画コンテンツの配信が容易に行えるようになってきており,動画コンテンツを多く目にする機会が増えている.同じ,動画コンテンツを見る機会も多く,どのような動画コンテンツが飽きにくいかが,制作者にとって必要となっている.本研究では,同一コンテンツの視聴の飽きることに対して,主観評価,視線を用いた客観的評価により,解析を進めた.実験では,同一コンテンツを22回,40回と連続して視聴させる.主観評価で得られた結果と客観評価の結果から,「色」と「文字量」において飽きやすい映像では被験者同士の視線が集まりやすいことが分かった.さらに,「映像の種類(物・サービス)」「人物の有無」「カット数」についても述べる.
著者
草野 吉雅 中村 一尊 沖野 健太
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SR, ソフトウェア無線 : IEICE technical report (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.252, pp.135-140, 2010-10-20
参考文献数
11

本稿ではマクロセル内に小型低出力基地局を設置するLTE(Long Term Evolution)/LTF-Advanced HetNet(Heterogeneous Network)に適した置局戦略と運用技術を議論する.低送信電力によって基地局価格や電力消費量,基地局サイズを小さくできるため,小型低出力基地局を用いるとマクロ基地局と比べ柔軟かつ低コストでシステム・キャパシティを向上させられる.低出力に起因する小さいセル径のため,推奨される置極戦略は,小型小出力基地局をトラフィック需要の高いエリアに設置することと,送信電力を希望するカバレッジの広さに応じて定めることである.小さいセル径であっても小型低出力基地局設置による利得を増加させるには,CRE(Cell Range Expansion)とeICIC(enhanced Inter-Cell Interence Coordination)が鍵となる技術である.CREはユーザを受信電力が最大でない基地局にも接続できるようにし,マクロ基地局から小型低出力基地局への負荷分散を増やすことでシステム・キャパシティを向上させる.eICICはCREによって小型低出力基地局に接続するようになったユーザが受ける強い干渉を制御するための技術であり,LTE Release 10において標準化が行われている.本稿ではCREとeICICをLTEおよびLTE-Advancedに適用する際の指針とその性能利得を示す.
著者
永江 孝規 長橋 宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-2, 情報・システム 2-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.1834-1842, 1997-07-25
参考文献数
27
被引用文献数
8

等値面の構成と陰影付けは3次元空間内のスカラ値の分布を視覚化する際に用いられる手法の一つである. スカラ値の3次元格子状配列として与えられたボリュームデータから等値面を構成する手法は, 与えられたしきい値に応じて格子点間に線形補間点を計算し, それらの補間点を適当に連結して得られる三角形パッチの集まりとして等値面を近似するという方法がほとんどである. 本論文では理論的にもコーディング的にも簡潔で, 高速かつ正確に等値面を構成する方法として, ボリュームの各単位格子を構成する八つのボクセル値の3重線形補間によって得られる3次曲面を直接構成し, 滑らかに陰影付けする手法を提案する.
著者
FURUKAWA Jun
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
IEICE transactions on fundamentals of electronics, communications and computer sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.172-188, 2005-01-01
参考文献数
25
被引用文献数
7 43

In this paper, we propose an efficient protocol for proving the correctness of shuffling and an efficient protocol for simultaneously proving the correctness of both shuffling and decryption. The former protocol is the most efficient in computational and communication complexity among 3-move honest verifier perfect zero-knowledge protocols for proving a shuffling of ElGamal cipher-texts. The latter protocol is the most efficient in computational, communication, and round complexity, as a whole, in proving the correctness of both shuffling and decryption of ElGamalcipher-texts. The proposed protocols will be a building block of an efficient, universally verifiable mix-net, whose application to voting systems is prominent.