著者
金岡 晃 大東 俊博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICSS, 情報通信システムセキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.71, pp.33-38, 2014-05-29

感染したコンピュータ内のデータを使用不能にし復旧するために金銭を要求するマルウェアであるランサムウェアは、使用不能と復旧に暗号技術を利用することで高い脅威となっている。2013年に登場したCryptoLockerは、金銭支払いや復号のための鍵取得に高い匿名性を持たせたランサムウェアであり、暗号化にあたり公開鍵暗号を利用した鍵交換を行うなど高い技術を持っている。本稿では、CryptoLockerを起点に改めて暗号を利用するランサムウェアの脅威について、感染から暗号化、復号に至るまでのフローを整理し、検知あるいは対策が可能となるポイントを挙げる。そして現状のCryptoLockerがそのフローの中でどの検知・対策ポイントを回避しているかを示し、今後現れ得るランサムウェアの方向性の予測とそれに対する対策を考察する。
著者
佐藤 瞭平 中野 秀洋 宮内 新
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.414, pp.7-12, 2015-01-26

本稿では,無線センサネットワークにおける効率的なフラッディング手法について考える.我々が過去に提案しているカオスニューラルネットワークを用いた手法を基として,個々の無線センサノードのバッテリー残量を考慮した手法の改良を行う.数値実験を行い,提案手法の有効性を確認する.
著者
田村 宏直 西田 幸一 高橋 和秀 神代 真琴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TM, テレコミュニケーションマネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.407, pp.53-58, 2005-11-10
参考文献数
16
被引用文献数
6

筆者らは、多数のIAサーバを束ねて高処理能力を得る分散データ駆動型アーキテクチャ(D3A)を実用化し、OSS(Operations Support System)のTCO (Total Costs of Ownership)を大幅に削減すると共に、採用したサーバの販売停止や保守停止等のサーバベンダ戦略から脱却することを可能にした。本アーキテクチャにおいては、各IAサーバの名前解決処理にDNSを用いているが、その冗長構成方式については、IAサーバ数の増加に伴いプライマリサーバとセカンダリサーバのデータ同期時間が長くなる、プライマリサーバ故障時に処理能力が劣化する、などの課題が残されていた。本報告では、これらの課題について解決策を提案する。また、性能評価を実施し、その解決策の有効性を示す。
著者
平岩 明 上地 正昭 北岸 郁雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.721, pp.37-41, 2000-03-21
参考文献数
7

テレイグジスタンスは, 人間が従来の時空の制約から開放され, 時間と空間ないしそれらの両者を隔てた環境に仮想的に存在することを目指す新しい概念である.本稿では, パーソナルなテレイグジスタンスシステムとして, N-ISDNテレビ電話等にネットワーク接続したパーソナルユースの移動型AV情報収集ビークルであるテレエージェントに搭載した, CCDカメラやマイクのAV情報を遠隔で視聴し, かつビークルの移動の遠隔操縦を行うシステムの実験例について報告するユーザがパーソナルユースで, 家庭やオフィスにあるN-ISDNテレビ電話や, PC, 携帯型テレビ電話, ウェアラブルPC等のモバイル端末で, 自由自在に遠隔地の情景をテレエージェントを介して視聴でき, かつ移動型のテレエージェントで見たい場所を自由自在に遠隔操縦して視聴できるテレエージェントの実験例と, コンセプトについて紹介する.N-ISDNの定額制度化や, インターネットの普及にともなう常時接続を前提とすると, こうした移動ロボットであるテレエージェントをネットワークに常時接続した新しいサービスが, 21世紀には現実のものとなり, パーソナルユースでも普及する可能性があると思われる.
著者
岩崎 仁志 福沢 英明 佐橋 政司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MR, 磁気記録 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.189, pp.1-7, 1999-07-16
被引用文献数
2

本報告では、フリー層の極薄化による再生出力向上に向けて、高導電層を積層した極薄CoFeフリ一層と積層フェリ型ピン層を用いた新方式の「スピンフィルタースピンバルブ(SFSV)」GMRヘッドを提案する。SFSVにより、極薄フリー層においても、フリー層へのセンス電流磁界低減による安定したバイアスポイントおよび高MR比が可能になるSFSVは3〜5mVpp/μm の高出力ポテンシャルを有し、20〜40Gbpsi に向けてのアドパンストGMRヘッドの有力候補である。
著者
近藤 光治 秋庭 孝信 寺井 直 砂田 文宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.539, pp.65-72, 2002-01-04

業務用移動通信における適応変調方式の検討として、伝搬路特性の推定と共にドップラー周波数の推定結果を考慮した新たな適応変調方式を提案する。ドップラー周波数の推定法としては、挿入されたパイロットシンボルのIQ平面正規化移動距離の時間平均値を用いる。本提案方式では、推定されたドップラー周波数fdを閾値で分類し、その分類結果に基づいた各fdのクラスに応じて、異なる変調制御(適応変調/固定変調の切換や変調多値数の選択基準の切換)を行う。これによりフェージング変動の速さに応じて切換制御ができ、適応変調方式のfdに対する適用範囲が拡大される。提案方式のシミュレーション結果を報告する。
著者
高橋 純一 玉木 宏樹 山脇 望美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.283, pp.17-22, 2012-11-07

本研究では,健常大学生(n=353)を対象として,自閉症傾向(AQ:Autism-spectrum Quotient),愛着スタイル(内的作業モデル尺度),及び社会スキル(KiSS-18)との関連について検討した。AQは5因子(社会スキル,細部への注意,注意の切り替え,コミュニケーション,想像力),内的作業モデル尺度は3因子(安定型,アンビバレント型,回避型),KiSS-18は単因子構造から構成されたものである。最初に,自閉症傾向と愛着スタイルとの関連について検討した結果,高自閉症傾向群(AQ≧26得点)の方が低自閉症傾向群(AQ≦25得点)よりも安定型傾向が低く,逆に,アンビバレント型及び回避型傾向が高かった。次に,自閉症傾向と社会スキルとの関連について検討した結果,高自閉症傾向群の方が低自閉症傾向群よりも社会スキル得点が低かった。以上を踏まえて,自閉症傾向及び愛着スタイルの個人差が社会スキル得点に及ぼす影響について検討した。その結果,高自閉症傾向群において,安定型傾向が低い者,あるいはアンビバレント型傾向と回避型傾向の低い者の社会スキル得点が最も低かった。一方で,自閉症傾向が高くとも,安定型傾向が高い場合,あるいはアンビバレント型傾向と回避型傾向が低い場合においては,社会スキル得点は必ずしも低くはならないことが分かった。したがって,自閉症傾向と社会スキルとの関連は,愛着スタイルの個人差に依存して変容し得る可能性が示唆される。
著者
横田 登志美 湯田 普也 鵜沼 宗利 新井 良太 重見 良介 荒木 憲司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.334, pp.81-84, 2008-11-27
被引用文献数
1

RFIDを活用してプラント建設におけるケーブル結線作業をコンピューターで支援する「CAD連携実世界ペアタグ技術」を開発中である.従来は目視で行っていた,ケーブル心線,端子台端子,接続図の照合を自動化する技術の確立に取り組んでいる.本技術の特徴は,RFIDを用いてCADデータと現実物ケーブルの接続状況を自動照合することであり,(1)ケーブル心線の接続先の指示,(2)結線状況の確認,(3)ケーブル心線へのRFIDの実装,(4)ケーブル心線RFIDをリードするリーダー,(5)端子台端子へのRFIDの実装を実現した.
著者
宇田川 佳久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SWIM, ソフトウェアインタプライズモデリング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.179, pp.27-32, 2012-08-14
被引用文献数
1

本文では,制御文の構造を使ったソースコードの検索手法について論じている.制御文を抽出するための専用の構文解析処理を開発した.抽出した構造情報は,ソースコードの検索に直接使うことも,ベクトル空間モデルの入力データとしても使うことができる.Struts 2 Coreソースコードについて,2種類の検索実験を行った.最初の実験は例外処理とスレッドの同期処理に関するものであり,try-catchとsynchronized文をキーにした.次の実験では,ベクトルの類似度と本文で新たに導入したベクトルの相違度を使ったものである.両方の実験で,整合性を保って管理すべき複数の類似したソースコードを検索することができた.
著者
飯野 陽一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.85, no.11, pp.1254-1263, 2002-11-01
被引用文献数
2

本論文では,紙などで作られたチケット,例えばイベントの入場券や交通機関の乗車券などを情報処理装置の状態として表現する電子チケットを提案する.その際に前提とするのは,チケットはユーザがその所持を示すことで,チケットの権利内容が示され,ユーザが権利者として認証されるということである.更に権利者として認証されるユーザはチケットの譲渡によって変更が可能である.チケットの譲渡を可能にするには,その正当性を検証するために,チケットを受け取り得るすべてのユーザから権利者の認証が行える必要がある.このような認証には公開鍵認証基盤(PKI)を使えばよいが,ユーザとの関係が固定的な鍵で認証を行えば,ユーザごとの使用履歴が追跡可能になるため,匿名性を損ないやすい.この点を解決するために,特定の権利の権利者の存在を示す権限を考え,それを認証する鍵を導入する.この鍵とユーザの関係は固定的ではなく,権利者であるユーザだけが利用できるようにチケットの譲渡に伴ってユーザ間を移動する.この方法は紙チケットの電子的アナロジーになっており,電子チケットに譲渡性と匿名性を自然に実現できることがわかる.
著者
村山 優子 瀬川 典久 山根 信二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報文化と倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.207, pp.25-29, 2001-07-16
被引用文献数
1

本稿では「戸」のメタファを利用した様々な通信を「戸口通信」と呼び、ネットワーク上にそれらを実現する研究を紹介する。本研究では、現在、戸口伝言板、ドアノック(呼び鈴)、戸下通信の開発を進めている。戸口伝言板とは, 学生寮のような環境で各個人の部屋のドアに設置された伝言板のことである.ドアノックは, 訪問者が訪問先の戸を叩くことで, 通信の意志を相手に何らかの音の信号により知らせる実時間型のコミュニケーションシステムである.戸下通信とは, 例えば学生が締切り間際の課題報告を提出する際に, 担当教官の研究室の部屋の戸の下から提出物を入れるような通信である.本稿では, これらのシステムについて必要なセキュリティの機能についても述べる.
著者
武田 真人 矢田 紀子 長尾 智晴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.10, pp.1631-1639, 2011-10-01
被引用文献数
1

人は不審物に関する情報がなくても,普段見かけない物に注目し意識を向けることによって結果的に不審物を見つけることができる.このような検知が可能なのは,環境を繰り返し観測することによって次第に反応しなくなるように刺激が記憶されたり,反応しなくなるような領域が形成されたりすることで環境の通常状態といえるものが記憶されているためと我々は考えている.そこで本論文では,監視カメラに代表される固定カメラからの映像を用い,環境に応じてそのような通常状態を表現するネットワークモデルを提案する.実験では,車両や歩行者を検知対象の異常として定義した侵入物体検知問題を扱い,異常とされる領域への提案モデルの出力を評価することでその有効性を検証した.
著者
池谷 健佑 冨山 仁博 岩舘 祐一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.611, pp.165-170, 2006-02-14
参考文献数
6
被引用文献数
10

スポーツ放送においてボールなど3次元空間中の物体の動きを2次元のテレビ画面で視聴者に正確に伝えることは難しい.そこで,我々はスポーツシーンからボールなどの円形物体を抽出する「円形抽出フィルタ」を考案し,それを用いてボールの移動軌跡をCGで表し,多視点映像表現することで,ボールの動きを擬似立体的に表現する映像表現法を提案する.また,併せてボールのスピード,位置,カーブのかかり具合など放送では伝わりにくい情報をCGで付加する手法についても述べる.本稿では,本手法のアルゴリズムと,撮影したサッカーのフリーキックシーンに本手法を適用した実験結果を報告する.
著者
為近 智行 奥田 剛 飯田 勝吉 門林 雄基 山口 英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.689, pp.167-170, 2004-02-26

本研究は非同期通信環境下における電子現金の個人間送金手法を提案する.非同期通信環境下での個人間送金を可能にすることで,送信者と受信者がそれぞれ都合のよい時間に送金の操作を行うことが可能となる.しかしその実現には,通砂防報が不着の場合や盗聴,改ざんされた場合のセキュリティ問題を解決する必要がある.これらの問題に対し提案方式では公関鍵暗号方式を用い、時間に依存する取引識別番号で取引順序を管理し,送信者と受信者の間にサーバを挟んだ3者闇取引とすることで解決を図る.最後に提案手法が上記の問題を解決できることを定性的に示す.
著者
尾崎 晋作 和田 俊和 前田 俊二 渋谷 久恵
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.382, pp.211-216, 2011-01-13

本報告では,プラントに取り付けたセンサの出力(センサ情報)をもとにして,異常やその兆候を検出する手法を提案する.センサ情報に含まれる異常には,1)複数センサの出力値の組み合わせの異常(統計的異常),2)各センサ出力の時間的変化の異常(時系列異常),の2つがあり,これら両方を分析しなければ異常の検出感度を十分高めることができない.また,通常のプラントでは,運転・停止など,センサ情報に急激な変化をもたらす人為的操作を伴うため,これとシステムの異常とを区別する必要がある.我々はすでに,独立成分分析と線形予測とを組み合わせた異常検出法を提案しているが,この手法では人為的操作が起きた時刻を認識しマスキングしているため,操作中に起きた異常は検出できないという問題点があった.本報告では,非線形予測アルゴリズムの一つであるGaussian processesのトレーニングおよび運用方法を工夫することで,統計的異常と時系列異常の両者を統一的に扱いつつ,人為的操作に対する頑健性を持つ異常検出が実現できることを示す.実験では,実際のプラントのデータを解析し,異常および予兆の検出が行えることを示す.
著者
前田 利之 丹羽 寿男 吉田 和美 萱嶋 一弘 前田 祐司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.420, pp.59-64, 2002-10-24
被引用文献数
1

本報告ではネットワーク機能をもつ高齢者福祉用ペット型ロボットシステムについて報告する.ペット型ロボットシステムはロボットと情報センターから成り立っており,ペット型ロボットは自律的にユーザと対話するとともに,インターネット常時接続をしており,他者との通信を直接あるいは情報センター経由で可能としている.モータ駆動の可動部により感情表現も可能であり,これは本研究にとって本質的なものとなっている.本報告では実証実験の結果を踏まえて,システムの有効性を検証する.
著者
杉崎 篤史 東郷 利樹 河野 隆二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.97, no.612, pp.49-54, 1998-03-19

国際標準案のW-CDMAなどのDS-CDMAにおいて重要な送信電力制御の高精度化と制御情報の軽減を狙いとして、移動通信チャネルのフェージング状況に応じてセル内の移動局からの送信電力を適応的に制御する方式を提案する。提案方式では、希望信号電力対干渉電力比(SIR)の時間的変動を推定し、変動に応じて送信電力の変化ステップ幅を周期的に適応制御する。提案システムが送信電力制御誤差に与える影響を計算機シミュレーションにより評価し、送信電力制御誤差を改善できることを示す。さらに、通信チャネルの変動が十分小さい場合には送信電力制御の制御信号を送信しないことによって節約できた制御信号の空きビット部分をデータとして用いることにより、フェージング速度に応じて、データ伝送効率の劣化を改善できることを示す。