- 著者
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相良 司
萩原 将文
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
- 巻号頁・発行日
- vol.109, no.461, pp.495-500, 2010-03-02
- 参考文献数
- 23
本論文では,自然言語の文書から知識を学習し,想起と推論を行う言語処理ニューラルネットワークを提案する.提案システムでは,自然言語の文が入力されると,まず前処理として文の知識への分解と単語の深層格推定が行われる.この前処理に基づき,ネットワークが作成される.提案システムのネットワークは文層,知識層,10種の深層格層,辞書層から成る.10種の深層格層とは,対象格や場所格などといった単語の意味的役割のニューロンが格納される層である.深層格層の導入により,複雑な文章の扱いが可能となった.また,学習させた知識から未知の知識を推測できるように,辞書層を導入した.辞書層では,日本語語彙大系を用いて単語が属している概念が検索される.辞書層は,検索された概念が格納されることで,脳の長期記憶部の役割を果たす.ネットワークの学習では,へブの学習則に則り,結合を強化する学習が行われる.学習文と関連した質問への応答実験により,提案システムが自然言語の文書から知識を学習し,想起と推論が可能なことを確認した.