著者
山田 訓 渡辺 彰 中島 道夫 塩野 悟
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.94, no.40, pp.41-48, 1994-05-19

アメフラシえら引き込み反射の神経活動を光学多点計測し、得られたデータを再現する神経回路網モデルを構築したところ、この神経回路網にはディジタル的な応答特性を持つディジタル運動ニューロンとアナログ的な応答特性を持つアナログ運動ニューロンを共存していることがわかった。このディジタル・アナログ共存を用いたディジタル・アナログ協調型強化学習法を提案し、倒立振り子に適用したところ、アナログ出力によって、リミットサイクルに近い安定な動きを示す制御法を、ディジタル出力ニューロンと同程度の速さで学習することができた。
著者
宮城 浩彰 井上 真郷
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 = IEICE technical report. IBISML, Information-based induction sciences and machine learning (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.265, pp.271-275, 2010-10-28
参考文献数
6

今日,ゲノムデータの統計的解析により疾患の原因となる遺伝的多型座が多々発見されている.この解析手法としてFisher正確確率検定もしくはこれを拡張したFisher-Freeman-Halton検定の多重検定補正(Bonferroni補正やHolm補正)が挙げられるが,これらの補正は保守的であり本来検出すべき遺伝的多型座を見逃している可能性が高い.このような問題に対し,本手法では多重性を考慮したp-値の正確計算を実現し,保守的でない多重検定補正手法を提案する.
著者
本田 巧 伊藤 靖朗 中野 浩嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.302, pp.81-86, 2014-11-13

本稿では,コラッツ予想の網羅的検証のGPU実装を提案する.我々はNVIDIA Geforce GTX TITAN上を用いて実装及びその性能評価を行った.実験結果より,提案するGPU実装は1秒間に5.01×10^<11>個の64bitの自然数を検証可能であることを確認した.同様の処理をおこなうCPU実装は1秒間に1.80×10^9個の64bitの自然数の検証が可能であることより,提案するGPU実装はCPU実装と比較して278倍の高速化を実現した.
著者
松島 俊明 坪井 邦明 志村 哲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.636, pp.7-14, 2001-02-16

筆者らは尺八譜の情報処理システムの研究の一環として尺八譜のための標準データ形式COMSOを提案し, これに基づいたシステムの開発を進めてきた.COMSOコードは, 基本音階における各音は流派によらず同じ奏法によるものと仮定し, 原則として音高, 指遣いのみに基づいて機械的に決定できる譜字コード体系である.しかし, 各流派の教授資料を詳細に比較した結果, 指遣いも含めた演奏方法に相違があり, すべての音階音を各流派間で一意に対応付けることができないことが判明した.この問題を解決するためにCOMSOコードの全面的な改定を行い, 併せて新しい音価表記法の提案および尺八譜処理システムのユーザインタフェースの見直しを行い, 尺八譜の作成・出版業務の支援を可能とするシステムとして再構築を開始したので報告する.
著者
東海林 慶一 鈴木 潤一郎 田邊 正宏 篠永 充良
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.454, pp.19-24, 2010-03-01
参考文献数
8

レーダ性能の向上を図る技術として,近年,研究が行われているMIMOレーダでは,送信信号波形同士の相関性を低く抑えて,各送信源からの送信に対する目標反射信号を独立に処理することが必要となる.本報告では,MIMOレーダの送信波形として同一中心周波数の位相符号変調信号の適用を想定し,各送信源から送信される信号同士の相関性を除去することにより,独立処理を可能とするパルス圧縮処理方式について提案する.シミュレーションにより提案方式によるパルス圧縮性能評価を行った結果,相互相関処理におけるピークレベル,及び自己相関関数の出力サイドローブを0にし,かつ比較的少ないS/N損失で符号チップ幅と同等の圧縮パルス幅が実現できることを確認した.
著者
堀山 貴史 樋口 康介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.108, pp.17-21, 2009-06-22
参考文献数
22

最長路問題は、各辺に非負整数の距離が与えられた無向グラフに対し、始点s、終点t間のシンプルなパスで、その上の距離の総和が最大となるものを求める問題である。最長路問題は、効率的な多項式時間アルゴリズムが古くから知られている最短路問題とは異なった性質を持つ。例えば、各辺に関連付けられた距離の正負を反転させた最短路問題を解くことで最長路が得られるように一見思われるが、負の閉路(距離の総和が負となる閉路)が存在するため、最短路問題のアルゴリズムを適用することはできない。本研究では、最長路問題、s-t最長路問題、全点対最長路問題を定式化し、全探索および0-1整数計画法に基づく厳密最適化アルゴリズムを提案する。また、JR大都市近郊区間の大回りをベンチマークとして利用し、各手法の実装および評価を与える。
著者
井上 克己 範 公可
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.13, pp.91-96, 2014-04-17

CPU、GPU、DSPなどの従来型プロセッサーにとってメモリ上の情報を探し出す処理つまり検索、照合、認識などの負担は極めて大きい。従って現在のコンピュータが誕生以来従来型プロセッサーの負担を軽減するための利用技術でこの弱点を補ってきた。従来型プロセッサーの処理速度が限界に達した今日、より高速、より精度よく検索、照合、認識などを実現するための新しいハードウエアアーキテクチャが不可欠である。このような背景から筆者らは、探し出す情報を記憶したメモリ自身が情報探しをする、全く新しい発想のハードウエアアルゴリズムのメモリ型コンピューティングを提案してきた。この技術はビッグデータへの実用化の見通しを得た。
著者
宇丹 裕一朗 稲木 雅人 永山 忍 若林 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.450, pp.115-120, 2012-02-28
参考文献数
7

バイオインフォマティクスやデータベース検索で使用されている近似文字列マッチングにおいて,より高度なマッチングを行うため,正規表現を扱うシストリックアルゴリズムとそのFPGA実装法が提案されている.しかし,このFPGA実装では,DNAの配列検索などに必要な長いパターンを扱うことができない.そこで本研究では,スケーラブルな処理が可能なGPU上での近似正規表現マッチングの高速解法を提案する.また,FPGA実装と比較することで近似正規表現マッチングをGPU上で実装することの有用性を検証する.実験の結果,CPUと比較してFPGA実装が8.3倍,GPU実装が2.9倍高速に実行できることが分かった.特に,パターン長が3200以上の場合,CPUと比較してGPU実装では18倍以上の高速化ができた.また,FPGA実装ではパターンの文字数がFPGAの規模に制限されるのに対し,GPU実装ではFPGA実装よりも長いパターンを容易に扱えることを確認した.
著者
森 和義 小笠原 英子 中村 敏明 土屋 健伸 遠藤 信行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.317, pp.25-30, 2013-11-23

自然海中雑音を音源としてターゲット映像を取得する周囲雑音イメージングを実現するため非球面レンズを用いたプロトタイプシステムを開発し,海上試験を行った.この報告では,レンズ設計,海上試験,データ解析結果等,過去5年程度の研究成果をダイジェストで紹介する.
著者
松村 真宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = THE JOURNAL OF THE INSTITUTE OF ELECTRONICS, INFOMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.91, no.3, pp.237-241, 2008-03-01
参考文献数
15
被引用文献数
5

日々の生活は,見えているのに見ていない,聞こえているのに聞いていないことにあふれている.しかし,そのようなことに意識が向くような仕掛けに接すると,フィールドの魅力に気付くことができるようになる.このように人と物と環境との関係を再構築することによってフィールドの魅力を掘り起こす方法論がフィールドマイニングである.本稿ではフイールドマイニングの概要とこれまでの取組みについて述べる.
著者
相良 司 萩原 将文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.461, pp.495-500, 2010-03-02
参考文献数
23

本論文では,自然言語の文書から知識を学習し,想起と推論を行う言語処理ニューラルネットワークを提案する.提案システムでは,自然言語の文が入力されると,まず前処理として文の知識への分解と単語の深層格推定が行われる.この前処理に基づき,ネットワークが作成される.提案システムのネットワークは文層,知識層,10種の深層格層,辞書層から成る.10種の深層格層とは,対象格や場所格などといった単語の意味的役割のニューロンが格納される層である.深層格層の導入により,複雑な文章の扱いが可能となった.また,学習させた知識から未知の知識を推測できるように,辞書層を導入した.辞書層では,日本語語彙大系を用いて単語が属している概念が検索される.辞書層は,検索された概念が格納されることで,脳の長期記憶部の役割を果たす.ネットワークの学習では,へブの学習則に則り,結合を強化する学習が行われる.学習文と関連した質問への応答実験により,提案システムが自然言語の文書から知識を学習し,想起と推論が可能なことを確認した.
著者
安藤 恵 川原崎 雅敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.93, no.12, pp.1614-1625, 2010-12-01
参考文献数
9
被引用文献数
1

災害発生時には電話はライフラインとなるものであるが,発着信規制によってほとんど使えなくなるのが現状である.災害用伝言板や災害用伝言ダイヤルといった蓄積型サービスも提供されているが,電話,特に携帯電話のニーズは大きいと想定される.本論文では,第3.9世代携帯電話システム(LTE)を対象に,大規模災害に伴う着信過負荷時にも電話の疎通率を維持する過負荷制御方式の提案と評価を行う.LTEでは,電話トラヒックはIP化され,呼制御はSIPサーバで行われる.また,無線帯域も大容量化される.シミュレーションによりLTEの過負荷特性とふくそうメカニズムを解明し,その結果に基づいて提案する制御方式により,システムの性能低下要因となる無効処理が軽減され,過負荷時にも高スループットを維持できることを示す.
著者
後藤 玲子 工藤 博章 佐藤 耕平 堀田 典生 石田 浩司 大西 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.500, pp.1-5, 2004-12-10
参考文献数
6

大画面ディスプレイで映像を楽しむ機会が増えているが,映像の動きにより酔いや不快感をおぼえる可能性がある.本研究では,映像が人体に与える影響を明らかにすることを目的として,ジェットコースター搭載カメラの映像を被験者に再生速度を変えて提示した時の生体反応を検討した.映像観察時における被験者の心拍,血圧,呼吸数,呼吸量を計測し,再生速度とこれらの指標の変化との間の関係について処理した結果,心拍数で再生速度との相関関係が見られ,運動が単純なシーンでは4倍速,激しいシーンでは標準速と2倍遠の反応が大きくなることが確認できた.また,呼吸については,再生速度と潜時の間に関係があることを示唆する結果を得た.
著者
渡辺 優平 柏井 祐樹 森井 昌克
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICSS, 情報通信システムセキュリティ : IEICE technical report (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.495, pp.1-4, 2012-03-09
参考文献数
5

携帯電話の普及とともに,2次元コードが様々な用途で利用されている.しかし,QRコードは格納データの視認性が乏しく,偽造されたQRコードの判断は困難である.また,ユーザが読み取ったデータをきちんと確認することなくWEBサイトにアクセスするため,フィッシングサイトに誘導される危険性が存在する.QRコードから不正なWEBサイトへの誘導に関する対策として認証サーバを用いる方式が提案されている.しかし,認証サーバを用いる方式ではデコードに時間がかかることや通信路に対する負荷の問題が生じる.本稿では,認証サーバを用いない不正QRコードの対策とそれを実現するシステムを提案する.提案方式では,RS符号の非組織符号化を行い,QRコードの一部に文字を埋め込む領域を確保する.そして,埋め込まれた文字と格納されたデータを比較し,一致を確認することで認証を行う.以上の方式によりサーバを用いた認証を必要としない方法で不正QRコードの対策を行う.提案方式により作成したQRコードは従来のデコーダで読み取り可能であり,専用のデコーダを用いて認証を行うことでQRコードの不正防止を実現する.
著者
中島 孝明 藤原 暁宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.431, pp.1-6, 2001-11-09
参考文献数
9

本稿では, 並列化困難な問題として知られているP完全問題の一つである, スタックを用いた幅優先探索の並列性について検証する.まず, 入力グラフの最大次数が3であるようなスタックを用いた幅優先探索もP完全となることを示す.次に, スタックを用いた幅優先探索のP完全性を表す尺度として最長経路距離を導入し, この尺度を用いて, 効率の良い並列アルゴリズムの提案を行う.このアルゴリズムの計算量により, l=O(log^n)の場合, スタックを用いた幅優先探索がクラスNCに属することを示す.ここで, n, lはそれぞれ入力サイズおよび最長経路距離であり, kは正の整数とする.また, このアルゴリズムはl=O(n^ε), 0<ε<1の場合にコスト最適な並列アルゴリズムとなる.
著者
竹内 孔一 小山 照夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.283, pp.19-22, 2008-11-03
参考文献数
12
被引用文献数
2

公開されている動詞項構造シソーラスに基づく動詞の意味分類ならびに項に対する意味役割を京都大学コーパスに付与することで動詞の語義曖昧性を解消する基礎データを構築したい.動詞の語義はその動詞が項としてとる名詞との関係を明確化するために意味役割を付与しているが,どういう意味役割集合を作成すればどの程度の意味処理が可能なのかについて,言語処理の観点ならびに言語表現の観点からどのぐらいの種類の意味役割が必要となるのかについての決着は見られていない.本論文では処理とタグ付与実現性の観点からどのように意味役割を付与するかその方針を提案し,知識処理を指向した場合の限界について議論する.
著者
渋井 進 山田 寛 厳島 行雄 佐藤 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎
巻号頁・発行日
vol.97, no.506, pp.1-8, 1998-01-22
参考文献数
11
被引用文献数
3

顔面表情のカテゴリー化に関して、同じカテゴリーに分類される表情の中の最も典型的な表情 (プロトタイプ) からの距離によって分類されるというモデルと、カテゴリーの一般的あるいは抽象的概念そのものからの距離によって分類されるという2つの仮説を立てた。表情刺激にはコンピュータグラフィックスの手法により合成された21の平均顔を用いた。実験1ではこれらの刺激および6つの情動概念 (喜び、悲しみ、驚き、怒り、嫌悪、恐れ) をSD法で評定させた。その結果両者は快・不快、活動性の2次元で構成される同一の空間で認知されることが示された。実験2では表情刺激をカテゴリー判断させた。分析の結果プロトタイプモデルの概念モデルに対する優位を示す傾向が見られた。
著者
岡部 康平 濱島 京子 佐藤 嘉彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.192, pp.11-14, 2014-08-28

機械類の安全設計に対する予防原則の適用について検討する.現在のリスクアセスメントに基づく機械類の安全設計では,不確かさの概念としてリスクのみが扱われている.環境汚染などで問題にされる不確実性や無知などの概念までは扱われていない.不確かさに対する安全設計手法の拡張として,不確実性や無知などの不確かさへの対応を示した予防原則に従う機械類の安全設計の手法を検討する.
著者
小林 尊志 野田 雅文 出口 大輔 高橋 友和 井手 一郎 村瀬 洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.457, pp.165-169, 2011-02-28
参考文献数
6
被引用文献数
1

近年,Twitterに代表されるWebサービスの登場により,多くの人々が放送映像を視聴しながらリアルタイムに意見や感想を投稿するようになった.本報告では,Twitterを利用することで視聴者の意見を大量に自動で収集し,視聴者視点による要約映像の生成する手法を提案する.提案手法では,まず,視聴しながらリアルタイムに投稿されたTwitterの"実況書き込み"から,投稿者が応援するチームに関する属性を判別する.そして,同一チームを応援する視聴者の実況書き込みの状況から,視聴者の意見を反映した要約映像を自動で生成する.実験では,Twitterにおけるプロ野球の試合に関する実況書き込みを利用して中継映像の要約映像を生成し,提案手法の有効性を確認した.
著者
米村 俊一 永徳 真一郎 鎌田 一雄 田邊 勝義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.2000-2010, 2009-11-01
参考文献数
21
被引用文献数
4

本論文では,公共空間での情報保障におけるメディアの適切な使い方を探るための基礎として,鉄道車両内において事故等の列車運行情報を提示するという状況を想定したメッセージ提示実験を行い,ろう者による情報読取りの認知特性,及び,読取りストラテジーを明らかにした.特に,車両内ディスプレイに手話実写映像(JSL)及び日本語テキスト(JT)を組み合わせる二言語提示を対象とし,ろう者に対してJSL,JT,及びJSL+JTによる情報提示を行い,メッセージの読取り時間,メッセージ内容再認テストの正答率によって情報読取りの認知特性を測定するとともに,視線計測を行って情報読取りストラテジーの検証を行った.更に,質問紙調査を実施し,メッセージ提示方法に対する受容性に関する評価を行った.実験の結果,緊急性の高い二言語情報の読取りでは,どのタイプのろう者もJTからの情報読取りを高頻度で行うこと,JSLから情報を読み取るろう者に対してはJTによる補足が必要であること,が明らかとなった.更に,情報受容性の観点から,ろう者はJTによる情報読取りを支持することが明らかとなった.