著者
鎌倉 友男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, pp.282-283, 1997-08-13

本来, 音波の伝搬過程は非線形であるが, 日常経験する音の大きさでは大気圧のせいぜい1O^<-5>程度で, 線形化して記述しても十分である. しかし, 音圧が高くなり音響マッハ数が増すと, 音速は媒質の密度とともに速くなるので, 波面は伝搬につれて次第に急峻化し, 衝撃波が形成されるようになる. ことに, 爆発に伴うような大きな圧力変化では, 急峻な波面が容易に形成され, その波面を境に圧力, 密度が急激に変化する極限領域ができる. このような強い衝撃波と, 微小振幅の仮定から出発し, 線形理論に立脚した従来の音響学を補完する橋渡し的存在が, 非線形音響学(Nonlinear Acoustics)の位置づけである. ここで, 非線形音響現象の中でも, 波形歪み, 音響放射圧, そして音響流について, システムへの入出力特性との関連性を交えながら紹介する.
著者
平木 敬 稲葉 真理 中村 誠 玉造 潤治 西村 亮 青嶋 奈緒 Felix Marti Wael Noureddine 来栖 竜太郎 坂元 眞和 古川 裕希 生田 祐吉 加藤 朗 山本 成一 長谷部 克幸 根尾 美由紀 稲田 友 村上 満雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PN, フォトニックネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.8, pp.1-6, 2005-04-13

2004年10月から12月にわたり実施した、超遠距離TCPシングルストリーム実験の実験環境、実施状況を述べ、実験結果を示す。その結果、TCP層とデータリンク層が適切に協調することにより、超遠距離のTCPシングルストリーム通信速度が、ネットワークの端点にあるサーバのバス(PCI-Xバス)で決定され、TCP方式自身は通信のボトルネックでないことが示された。これは、今後の超高速ネットワークの利用にとり重要な結果である。
著者
尾崎 晃 マルタ ルーカス 西脇 由博 宮島 千代美 北岡 教英 武田 一哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.312, pp.33-38, 2008-11-13
被引用文献数
4

自動車の運転とそれに付随する音声対話を観測した,マルチメディア信号コーパスを構築している.広い範囲の人間の『行動』を,様々な視点から説明できるモデルの研究を推進することを究極の目的として,音声・映像により記録される自動車内外の状況に加え,動作,生理,心理といった運転者の状況,速度や車間距離といった自動車の状況を様々なセンサーにより計測している.さらに,米国,トルコ等との国際協調により,海外の2拠点ともほぼ同じ方法でデータ収集を行った.本稿では,コーパス構築の状況と収集されたデータについて概説するとともに,収集したマルチメディア信号を用いた研究の概要について報告する.
著者
若森 和彦 カザウラ カムギシャ 鈴木 敏司 大前 和憲 松本 充司 高橋 浩一 松本 秀樹 村上 匡亮 有本 好徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.28-37, 2008-01-01
被引用文献数
16

無線システムにとって,光ファイバ網との間でインタフェースを意識させない相互接続環境の実現は究極の目標の一つである.本論文では,光無線方式によるファイバ-空間-ファイバの間を一貫して光信号のまま伝送するフル光接続を提案し,その実現に向けた実験的検討,特に大気揺らぎの影響及び装置設計について述べる.ファイバと無線区間を意識させず,伝送する光信号に何ら変更を加えない,フル光接続を実現する次世代光無線システムを実現するためには,空間光をシングルモードファイバヘ安定して導光する技術を確立する必要がある.そのためには,大気揺らぎによる受光強度変動の制御が必須である.そこで,我々は大気揺らぎの特性を長期の実験により評価し,次世代光無線システムの設計に有効な性質や指標を明らかにした.そして,大気揺らぎによる到来角度変動を制御し,空間とシングルモードファイバを効率的に結合する受光光学系を導入した光無線装置を開発した.この装置を使い,10Gbit/s 伝送やDWDM伝送というこれまで実用化されている光無線システムでは実現できなかった大容量通信を安定的に実現できることを示した.この結果は,次世代光無線システムが,ビットレートや伝送プロトコルに依存しないファイバと等価な伝送路を提供できる可能性があること,更に光と無線システムの融合をファイバ中のみならず無線区間においても実現できる可能性を示唆している.
著者
磯貝 光雄 掛谷 英紀 鈴木 健治 荒川 佳樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.363, pp.33-38, 1999-10-18
被引用文献数
1

超3角形図形処理をベースとしたCGライブラリ「UNIVERSライブラリ」と至近距離を含めた立体空間を映像として提示する据付型立体ディスプレイ「FLOATS」を組み合わせることで手元に仮想立体空間を提示するシステムが構築される。超3角形図形処理の有する高速な演算機能によって、複雑な形状をもつ仮想物体もリアルタイムで操作することが可能となる。
著者
古川 久夫 宮口 庄司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.517, pp.25-30, 2008-02-27

1999年開始の企業専用IP網(OBN)は、スイカやパスモ、エディ、その他の電子マネーやクレジッドカード決済用のエクストラネットとして用いられている。本文はOBNがこれらのアプリケーションをどのよう支援しているかを述べ、次に、OBNを次世代ネットワークへ融合する方法を論ずる。
著者
末広 直樹 畔柳 功芳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論
巻号頁・発行日
vol.93, no.380, pp.79-83, 1993-12-15

シャノンは,白色ガウス雑音の加わる帯域制限された通信路の通信路容量がC(S)=Wlog(1+S, N)であると提唱したが,本論文では,この通信容量を超えて情報を伝送する方法を提案する.この方法は,受信機内において,特定の通過させていた波形を保存し,その波形以上の雑音のスペクトラムをサンプル値の再配置によって拡散することにより,通過させたい波形を雑音から分離する,波形通過フィルタを用いるものである.この方法は,通信工学,計測工学など多くの分野に応用できる.
著者
阿部 尚之 大神 渉 島田 敬士 谷口 倫一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.471, pp.85-90, 2010-03-08

本稿では,モバイル端末を利用して実世界中の対象とインタラクションを行う新たな枠組み「クリッカブル・リアルワールド」の実現に向けた,インタラクション対象の特定手法について提案する.ユーザは,モバイル端末で実世界中の対象を撮影することで,その対象に関する情報を獲得することが可能になる.システム側に求められる技術課題には,撮影対象を認識し,その対象に関する検索キーワードを推定することである.本研究では,公開画像データベースを効率よく利用することで,これらの課題を解決している.
著者
井上 俊明 太田 睦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.500, pp.7-12, 2012-03-22

各種のカメラ搭載機器の急速な普及に伴い、撮影・蓄積された画像を有効に活用する画像認識技術への期待が高まっている.特に認識対象を限定しない一般物体認識問題の研究では,画像のアピアランス変化に頑強なSIFTやSURFなどの局所特徴量抽出手法が広く用いられており,これらのさらなる高精度化により認識性能を効果的に改善できると考えられる.そこで本研究では,SIFTに注目した高精度化手法を提案する.従来のSIFTでは,ガウス関数の空間微分であるLoG関数を近似したDoGフィルタを用いて,スケールスペース画像から特徴点を検出していたのに対し,本研究では,DoGフィルタの代わりにウインドウサイズを固定した単純なラプラシアンフィルタを用いる.これによりLoG関数に対する近似誤差を改善するとともに,再現性のあるより多くの特徴点を検出できる.公開画像を用いた実験で本提案の効果を評価し,従来のSIFTやSURFに対して再現性が改善されることを確認した.また本提案によるSIFTを画像照合に応用し,ALOIデータセットを用いた実験でも照合精度が改善されることを確認した.
著者
増田 靖
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.94, no.9, pp.773-777, 2011-09-01

本稿では,イールドマネジメントの基礎と最近の研究の動向を紹介する.イールドマネジメントの目的は,企業収益の向上にある.まずは,簡単な例を用いてイールドマネジメントの考え方を説明する.次に,イールドマネジメントの動的計画法への定式化の一例を示し,更に,顧客の商品選択行動モデル化の重要性と,オーバブッキングの問題を議論する.最後に,イールドマネジメント問題の近年の新しい展開について述べる.
著者
山中 直明 塩本 公平 長谷川 治久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-I, 通信I-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.542-553, 1997-07-25
被引用文献数
2

本格的なマルチメディア通信網の実施を目指して, 新しいコンセプトに基づいたネットワークアーキテクチャ, フレキシブルマルチプロトコルエミュレーションネットワークALPEN(An A__-TM Multi-P__-rotocol E__-mulation N__-etwork)を提案する. ALPENでは, ATMレイヤの各種プロトコル, 例えば, ABR(Available Bit Rate), FRM(Fast Resource Managment), SHM(Short Hold Mode)プロトコル等をシンプルでかつ単一な中継網で実現する. 各種プロトコルは, WAN(Wide Area Network)のエッジのノードでエミュレーションされ, 中継網の状況把握は周期的なルートの空帯域情報等の性能チェックによりのみ行う. 新しいサービスやプロトコルを導入する場合も, エッジノードのみの変更により実現できるため経済的でかつフレキシビリティに優れたネットワークアーキテクチャである. ALPENでは, エッジノードが周期的に事前にルートの帯域情報を知っているため, ユーザの帯域要求変更に対して高速に応答できる可能性がある. 特にWANのようなRTT, (Round Trip Time, 周回時間)が長い網では, 応答性能の問題を解決する可能性がある. 周期的ルートの空帯域情報は分散的にエッジノードが入手しているが, 情報が古い可能性や, 複数のエッジノードで独立に処理を行う必要がある. そこで, 統計的な手法により実効的な空帯域を推定し, かつ複数のエッジノードで許可した帯域変更が中継線で重複する(オーバブッキング)ことも統計的に設計する. 本論文では, この統計的な帯域変更の手法についても述べる. 本論文で提案したALPENは, 各種サービスやプロトコルの混在する将来のマルチメディア時代において新サービスの追加や多様で不確定なネットワークサービスに柔軟に対応できるネットワークアーキテクチャと考えられる.
著者
桜井 謙次 関根 祥介 赤松 茂 蒲池 みゆき
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.345, pp.53-58, 2009-12-10
被引用文献数
2

本研究では,視線を正確に制御できる三次元顔モデルを用いて,人間の視線知覚特性を調べる2つの実験を行った。実験1では,視線の対象との距離が変化した際の輻輳角(寄り目具合)を定量的に変化させて実験を行った.結果として,相手と対面した状況においては,自分より後方への視線に関しては正確に判断されない傾向がある事が明らかになった.また,「自分より前」を見ているという判断を行うためには,1)水平角度に関して正面を見ていると判断された上での輻輳による奥行きの判断,もしくは2)水平角度が大きい(非常に自分から逸れた位置にある)と判断された上で角度変位が大きな視線の向きを観察したことによる判断,という2つの知覚過程による領域に分類できることが示唆された.したがって,視線の奥行方向判断は,水平方向判断に大きく依存することが分かった.また実験2では,先行研究において調べられている,水平方向の頭部角度,照明角度の変動によって起こる視線知覚のズレの予測式を算出した.結果から、知覚される視線角度は、顔モデルの頭部、照明方向、眼球の角度により予測可能であることが明らかになった.
著者
田原 如菜 坂地 泰紀 酒井 浩之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.429, pp.5-10, 2014-01-30

本研究では,キャラクターに対応する印象表現をTwitterから抽出する手法を提案する.具体的には,キャラクターとして,ゆるキャラを対象とし,キャラクター名に対応する印象表現(「可愛い」や「癒される」等)を抽出する.人手で印象表現辞書(喜,怒,哀,怖,恥,好,嫌,昂,驚,安,楽,その他のカテゴリーから成る363表現)を作成し,キャラクター名と印象表現辞書に存在する印象表現が含まれているツイートを取得する.そして,キャラクターごとに印象表現を抽出し,実際にアンケートで印象調査した結果と,本手法で抽出した印象表現を比べて評価した.
著者
面谷 信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ
巻号頁・発行日
vol.97, no.615, pp.35-40, 1998-03-18
被引用文献数
6

エレクトログラフィ分野の最近の技術動向について、1997年に開催されたIS&T's NIP 13:International Conference on Digital Printing Technologies とJapan Hardcopy'97より、その傾向とトピックスを概観し、さらに今後の技術トレンドについて見解を述べた。エレクトログラフィ関連の今後の技術トレンドについては、今後2つの新しい潮流が考えられる。ひとつはデジタルペーパーの分野であり、この分野は従来のハードコピー技術者とともにディスプレイ技術者にとっての今後の新しい研究分野になると思われる。もう一つはデジタル印刷の分野であり、プリンタ技術を印刷分野に適用し、電子プリント方式によりOn Demand 印刷等を広く実現していこうとするアプローチである。特にデジタルペーパーの分野は、今後の大きな研究目標のひとつとなりうるテーマであると考えられる。
著者
倉山 めぐみ 平嶋 宗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.163, pp.25-30, 2009-07-24
被引用文献数
2

本研究では,算数の文章問題を対象として,提供された単文を学習者が組み合わせることで問題を作成するといった単文統合型の作問学習支援システムの設計・開発とその実践運用について報告する.本システムでは,学習者が組み立てた問題に対するシステムによる診断・フィードバックを実現しており,本研究ではこれをエージェントアセスメントと呼んでいる.本システムでは,和や差で解決できる逆思考問題までの範囲を取り扱っており,そのために必要となった単文統合における作問タスクのモデル化とこのモデルに基づいて課題設定について本稿で報告する.実践利用では小学校4年生の算数の授業において3ヶ月間,8時限にわたって利用していただいた.この実践利用を通して得られた利用ログ,プレ・ポストテスト,アンケートに基づいて,学習者の犯す誤りおよび本システムを用いた学習効果の効果について調べたので,これについても報告する.
著者
土肥 正 松岡 寿明 尾崎 俊治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.536-544, 2000-05-25
被引用文献数
6

ソフトウェア開発工程の最終段階であるテスト工程において, ソフトウェア製品の信頼性を定量的に評価するためにソフトウェア信頼度成長モデルと呼ばれる確率モデルが頻繁に用いられる.本論文では, 従来までに提案されてきたソフトウェア信頼度成長モデルを統一的に扱うための新しい枠組みとして, 無限サーバ待ち行列モデルを提案する.すなわち, ソフトウェア故障の発生過程を無限サーバ待ち行列としてみなすことにより, 既存のソフトウェア信頼度成長モデルに対して全く新しい解釈を与えるものである.最終的に数値例において, もう一つの大きなモデル化の枠組みである一般化順序統計量モデルとの比較を行い, 提案されたモデルの有効性について検証する.
著者
小西 有人 山口 晶子 服部 託夢 中村 英夫 吉田 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.258, pp.29-32, 2009-10-22

表面筋電図計測において,筋線維方向と電極の貼付方向とがずれていることは大きな問題となる.そこで本研究では,計測後のデータより筋線維方向が推定可能な表面筋電図計測手法を提案する.本手法は,マトリクス状電極の各信号と基準電極の信号とを差動増幅した信号を記録する.任意の2つの記録信号の差動信号を求めることで,任意の電極間で双極誘導信号と同様の結果を得る.上腕二頭筋上にマトリクス状電極と基準電極を貼付し,最大随意収縮時の信号を記録した.本手法により,筋線維方向が推定できた.よって,本手法を用いれば計測後のデータから筋線維方向を推定し,マトリクス状電極の各電極から筋線維方向に沿っており神経筋接合部を挟まない2つの電極を選択することが可能となる.
著者
山口 晶子 吉田 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.270, pp.5-8, 2008-10-23
被引用文献数
1

表面電極を用いて、筋電図の誘導範囲を自由に選択できるようになれば、表面筋電図の応用範囲がさらに広がることが期待できる。このような展開の基礎として、表面電極の信号誘導範囲と双極誘導電極の電極間隔の関係を明確化する必要がある。一般に、表面筋電図計測において、電極間隔が広くなるほど、深い位置にある筋の信号も誘導するとされている。しかし、誘導される筋電図と電極間隔の関係を実際にデータで示した例は少ない。そこで、本研究では、被験筋を尺側手根屈筋と深指屈筋とし、電極間隔の変化による信号誘導範囲の関係を検討することを目的とする。筋電図誘導電極には、直径1[mm]、長さ10[mm]の銀線を5[mm]間隔に15本並べたアレイ電極を用い、筋電図を単極誘導でPCに取り込み、任意の電極間隔(5〜70[mm])における双極誘導信号をPCで求めた。すなわち任意の電極間隔で同時に計測した信号を得ることができる。これらの信号を用いて信号の振幅と電極間隔の関係を検討した。その結果、電極間隔が広くなると信号振幅は大きくなることが明らかとなった。さらに電極間隔を広げても信号振幅が増大しない領域があることも明らかになった。すなわち、誘導範囲が大きくなったが、その領域には筋が存在しないことを示していると考えられる。
著者
宮西 洋太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SWIM, ソフトウェアインタプライズモデリング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.445, pp.23-28, 2012-02-17
被引用文献数
1

先にディジタル入力やアナログ入力などのセンサからのデータをクラウドコンピューティング環境下のサーバに収集し,遠方監視制御を行うシステムを試作したことを昨年6月のSWIM研究会、9月のFIT2011で発表した.その後,昨年11月から長野県青木村のハウス農場でこのシステムを運用しているので,その結果を報告する.あわせて,最近開発完了したアナログ入力値の監視機能,監視結果の記録,監視結果のメール送信機能およびディジタル入力値,ディジタル出力値の変化時の記録,メール送信機能について報告する.
著者
多田 昌裕 瀬川 誠 岡田 昌也 蓮花 一己 小暮 潔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.263, pp.1-6, 2008-10-16
被引用文献数
4

本稿では事故多発地点など,通行の際に十分な注意を要する場所(要注意地点)における運転者の行動を自動評価するシステムを提案する.提案システムは,無線ジャイロセンサ情報とGPS情報とを併用することで,運転者が要注意地点において十分な事故予防動作をしているかを自動的に判定する.もし運転者の行動に予防安全の観点からみて改善すべき点がある場合には,その旨を走行後に提示し,運転の改善を促す.筆者らは,タクシー運転手を対象とした公道上での実車実験を実施し,提案システムによる運転技能の自動評価結果が,指導員による評価結果と80%以上の精度で一致することを確認した.筆者らは,さらに次のステップとして,提案システムをタクシー運転手再教育講習の現場に導入する実証実験を,2008年4月から実施している.この実証実験からは,受講者が自らの運転を客観的に把握するためのツールとしても,提案システムが有効であることを示唆する結果が得られている.