著者
下東 勝博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp."SS-6", 2008-03-05

半導体の生産拠点が集積し、日本の半導体生産の約30%を担う九州において、半導体設計の重要性が認識され、福岡、北九州地域を中心にシステムLSI設計開発拠点を目指す産学官連携による研究開発型クラスタの形成が進んでいる。更に福岡に於いては、近隣東アジア(韓国、上海を経て香港、シンガポールに至る地域)との連携を目指した「シリコンシーベルト構想」が起案され、「シリコンシーベルトサミット」会議を中心に活動が進められてきた。半導体業界もこれに対応し、特にSTARCでは大学との共同研究、システムLSI設計講座、設計者教育、並びに「シリコンシーベルトサミット」への後援等を中心に積極的に支援を行ってきた。「シリコンシーベルト構想」は昨年で5年を経過し、基礎作りの段階から実質的成長期に入ったとの認識である。本稿では、新たな段階を迎えた「シリコンシーベルト構想」に対する半導体業界の期待を述べる。特に半導体R&Dのエコシステムの観点より議論することにしたい。
著者
小川 康 藤原 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-03-27

静電気放電(electrostatic discharge:ESD)とは電荷蓄積に基づく花火放電を指す.これから発生する電磁パルスは,マイクロ波帯に及ぶ広帯域の周波数スペクトルを含み,情報処理装置やディジタル機器に不測の誤動作や破壊を引き起こす.特に,帯電体同士の衝突・接触で生ずる間接ESDは直接的なそれよりも機器システムに及ぼす影響は深刻であり,しかも低電圧ESDほうが高電圧ESDよりも大きなダメージを与えるという.この種の特異現象は点火プラグのそれに酷似しており,両者には類似の機構の存在を思わせる.この観点から筆者らのグループでは,プラグギャップの電流解析法を間接ESDに応用することで発生電磁界を解析し,放射界強度が特定ギャップで最大に達することで発生電磁界を解析し,放射界強度が特定ギャップで最大に達することを数値的に誘導した.本文では,間接ESDモデルとして球対球電極を用い,同電極間の花火放電によるディジタル機器の誤差動作頻度を実測することで上述の特異現象を実験的に示す.また,この場合の機構が前報告の理論から定量的に説明できることも示す.
著者
山根 淳平 長 篤志 三池 秀敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.613, pp.69-75, 2001-01-27

顔の動画像の速度場推定から, 質問に対して応答する対象者の意思情報と感性情報を抽出する手法を提案する。精度の高いオプティカルフロー検出法を用いて, 顔の各部位のオプティカルフローを検出し, "はい""いいえ"の応答時に見られる固有の動きの特徴を抽出している.また, 質問終了から約3秒間に注目し, 顔の各部位における速度の時間変化, 対象者の応答特性により, 対象者が質問で受けた印象(感性情報)の推測の可能性について議論している.
著者
守田 了 石原 由紀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.1645-1654, 2001-08-01

ヒトの視覚は画素密度分布が中心窩に相当する近傍で高く,周辺にいくに従って,低くなっている.また周囲の状況を把握するためにオプテイカルフローが重要な役割をもっていることが報告されている.本論文では,中心窩視覚とオプティ力ルフローによる短期記憶とタスクの並列実行に基づく視点移動を提案する.車両が混雑していない状況下での運転時の視点移動を実現するためには,道路に沿った次のエッジへ移動する狭い範囲での視点移動と周囲の状況を把握する広い範囲の視点移動が必要である.このようにタスクに応じて注視の範囲を変更するために,タスクに応じた短期記憶を導入する.オプティ力ルフローから得られるlow-levelの特徴を用いて生成される短期記憶イメージを用いることによって,広い範囲の視野が得られることを明らかにする.実際に車両が混雑していない状況下での車両運転時の視点移動を簡易にシミュレートし,本モデルの有効性を示す.
著者
椋木 雅之 寺尾 元宏 池田 克夫'
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.1016-1024, 2002-06-01
被引用文献数
14

1本のスポーツ映像全体を通して見られる映像構成の規則性を利用することにより,個々のスポーツのドメイン知識を用いずに映像をプレイ単位に分割する方法を提案する.多くのスポーツには,ルールに従った繰返し構造があり,それを反映して,スポーツ映像にも規則的な繰返し構造が見られる.本研究では,この規則性に着目した.提案する映像分割手法では,フレーム単位の色とオプティカルフロー特徴量のカット内の平均と分散によってカットを記述し,それらを分類して識別子を付与する.識別子系列の出現回数をn-gramを用いて調べることによってカット間の連続性を表す結合度を算出する.結合度の谷で映像を区切ることによって,映像を,そのスポーツにおける1プレイに対応する部分映像に分割する.提案手法を様々なスポーツ映像に対して適用し,ドメイン知識を導入せずに1プレイに対応する区間に映像を分割できることを確かめた.
著者
奥田 雄人 小野口 一則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.98, pp.19-24, 2010-06-17

オプティカルフローとフレーム間差分により得られた動き情報を時間軸上で離散ウェーブレット変換し、そのウェーブレット係数から生成した特徴ベクトルを用いてジェスチャを認識する手法を提案する。動き情報はオプティカルフローの大きさを輝度値とする画像とフレーム間差分画像との論理積から求める。論理積画像を3種類の領域(縦方向、横方向、及び回転方向)に分割し、各領域内の輝度平均値の時系列データにウェーブレット変換を適用し、得られたウェーブレット係数からジェスチャを記述する特徴ベクトルを生成する。本手法は、各ジェスチャを1つの特徴ベクトルで記述するため、ジェスチャモデルの作成が容易である。また、分割領域内の輝度平均値にウェーブレット変換を適用するため、個人差によるジェスチャの空間的及び時間的なズレに対応できる。複数のジェスチャの組み合わせを認識する実験を行い、本手法の有効性を示す。
著者
西尾 修一 小山 謙二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.1316-1318, 1997-08-25
被引用文献数
31

笑いの表情の動画像を顔の3次元モデルを用いて合成して被験者に呈示し, 笑いの種別を分類させる実験を行った. この結果, 目と口の動きの開始時点の違いから笑いの種類を分類する規準を見出すことができた.
著者
田中 誠也 中窪 愛佳 木村 百輝 武田 和也 神田 智子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.424, pp.7-12, 2010-02-15

日本人の携帯電話における絵文字の解釈と文例を276名から6600件以上収集し,Web上で絵文字別,世代別,性別別の検索/閲覧が可能な絵文字辞書を構築した.この絵文字辞書に言語グリッドの機械翻訳サービスを適用することにより,絵文字の解釈と文例を多言語に翻訳するWebサービスを開発した.多言語翻訳可能な絵文字辞書の利用により,日本在住の外国人に日本人の絵文字の解釈と文例を提示し,携帯電話上の異言語・異文化間コミュニケーションの促進と円滑化を目的とする.
著者
金山 知俊 増山 繁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.1843-1851, 1997-07-25
参考文献数
9
被引用文献数
11

自然物のCGシミュレーションを行う場合, 形状のみならず, 動きの再現も重要である. CGによる樹木の画像生成の研究はさまざまな研究者によってなされてきたが, それらの多くは樹形を生成する生長モデルや, テクスチャの生成に関するものが大部分であり, 風などの外力による樹木の揺れの表現については従来あまり行われていない. 本研究では, 樹木を質量をもった節点とそれらの隣接関係で近似し, 節点の動きのシミュレーションを行うことで樹木の揺れのアニメーションを実現している.
著者
森本 泰貴 藤本 典幸 長屋 務 出原 博 萩原 兼一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.245-256, 2007-02-01
参考文献数
20
被引用文献数
2

近年,インターネットの普及とともに,飲食店などの様々な施設をWeb上で検索する機会が多くなつた.しかし現在の施設検索サイトは,事前に登録されている施設の情報を返すもの(登録型サイト)であり,登録されていない情報は得られないという問題点がある.特に,探したい種別の施設を扱う登録型サイトが全く存在しない場合,既存の登録型サイトでは探したい施設はそもそも検索不可能である.そこで我々は,ロボット型施設検索システムを開発した.本システムは施設の種別などのと地名の一部を入力とし,Webをクロールして,指定された地域内にあり(地名の指定がない場合は日本全国を対象とする),かつに適合する住所とその関連情報を自動抽出する.そしてユーザに,検索した住所の位置と抽出した情報を記載した地図を提示する.本システムを用いれば,既存の施設検索サイトが扱わない情報も含めて,様々な住所関連情報をその地理的分布とともに提示することが可能である.
著者
沢田 晴彦 伊丸岡 俊秀 松本 圭 塩谷 亨 近江 政雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.479, pp.139-142, 2005-12-08
参考文献数
5

情動価を持つ単語に対して色命名反応が遅延する情動ストループ効果について、遅延反応パラダイムから検討した.通常の情動ストループ課題では、彩色された情動単語が被験者に呈示された後、即座に発声による色命名が求められる.しかし今回用いた遅延反応パラダイムでは、彩色された情動単語が被験者に呈示された後に、彩色されたターゲットの中から同じ色をボタン押しで選択させた.通常の情動ストループ課題において有意な遅延がある被験者を対象にした実験の結果、単語の呈示時間に関係なく、遅延反応パラダイムにおいて情動単語に対する色選択の遅延は有意にならなかった.この結果は、情動ストループ効果が情動単語への単純な暴露効果には依存せず、反応時に刺激が呈示されることにより生起する視覚的注意に依存した現象であることを示唆している.
著者
三本 雅 上原 直久 稲常 茂穂 藤坂 貴彦 桐本 哲郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.82, no.12, pp.2355-2363, 1999-12-25
参考文献数
8
被引用文献数
13

同相信号だけを検波するFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)レーダは小型・廉価化が容易であるが,一方,目標の距離と速度の計測時にアンビギュイティが発生する.本論文では,同相信号だけを用いて目標距離と目標速度を一意に計測するFMCWレーダ方式を提案した.送信信号には,従来のFMCWレーダで用いられるアップチャープ信号とダウンチャープ信号に加えて無変調CW信号を用いる.受信信号処理では,無変調CW信号の反射エコーに含まれる目標ドップラー周波数の絶対値を利用して,目標の距離と速度を求める.また,本方式ではこのドップラー周波数の絶対値を利用して,複数目標の距離と速度を同時に計測できることを示した.最後に,等速度で移動する車両を目標として,実レーダを用いた距離・速度計測試験を行った.その結果,検出確率0.91,距離精度0.53m,速度精度1.2km/hで,偽目標発生確率0.0028の性能が得られ,本方式の有効性を明らかにした.