著者
黒沢 健至
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.818-822, 2005-10-01

犯罪にかかわる映像が, 被疑者の所有する特定のカメラ個体で撮影されたものであるか否かを判断できる新しい画像鑑定方法について解説する.筆者らが提案する手法は, 撮像素子において発生する固定パターン雑音(FPN)の個体固有性を利用して, 映像中から抽出されるFPNとカメラのFPNを比較することで識別を行う.本稿では識別原理を述べるとともに, 撮影環境等が与える影響, ディジタルスチルカメラやCMOS撮像素子への適用, 識別精度などについて解説する.
著者
得丸 公明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.119, pp.49-54, 2011-06-30
被引用文献数
1

西洋の論理学においては,言語命題のみが扱われてきた.日本には日本論理学会も存在しないし,言葉の論理を積みあげること自体が好まれない.イエルネのネットワーク理論とピアジェの心理学を参照にして,日本と西洋の違いを,生命体のもつ論理と記憶の記号メカニズムによって解明することを試みる.記号論において,言葉に意味はなく,言葉の意味は個人の体験記憶である.同様に言語表現の論理性は,言葉自体によって保証されるのではなく,言葉に意味を与える意識が保証するものである。言葉の記号は意識の論理回路で反射的に処理されるので,その構築が重要となる.言語以前の論理学を理解すると,言葉の正しい使い方,言葉の正しい意味付け方を理解でき,先人の努力と言葉を継承して前進することができる.
著者
高木 一義 高木 直史 矢島 脩三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション
巻号頁・発行日
vol.93, no.81, pp.85-92, 1993-05-27

最小カット線形配置問題は、グラフの節点の線形配列のうち、枝の重なりの最大値が最小のものを求める問題である。木に対しては、この問題を解く多項式時間アルゴリズムが知られているが、一般のグラフに対してはNP-完全である。本稿では、完全p-q dagに対する最小カット線形配置問題のアルゴリズムを二つ提案する。p-q dagは、有向非巡回グラフの一つのクラスであり、ある種の繰り返し構造を持つ回路の結合網として用いられる。第一のアルゴリズムは、動的計画法に基づくものであり、グラフのサイズに対して多項式オーダの計算時間と計算領域を要する。第二のアルゴリズムは、線形配置の性質に基づく近似アルゴリズムである。最後に、これらのアルゴリズムの応用として、多オペランド加算器の組織的なVLSIレイアウト手法を示す。
著者
竹内 孔一 松本 裕治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.95, no.168, pp.13-19, 1995-07-20
被引用文献数
5

日本語の形態素解析は自然言語処理を行なう上で最も基本的でかつ重要な処理である。我々の研究室で開発している形態素解析システムJUMANは、品詞の連接と単語に対してコストによる制約を与えることで曖昧性の絞り込みを行なっている。コスト値はJUMANの品質に大きな影響を与えるにも関わらず、人手で付与されるため最適化する機構は存在しなかった。そこで、本研究では、英語のタグづけなどで効果を発揮しているHMM(Hidden Markov Model)を用いて、コーパスによる学習を行なうことでJUMANのコスト値、すなわちパラメータの最適化を行なう。HMM学習の結果、現在のJUMANの解析精度を改善する結果が得られた。
著者
坂口 竜己 森島 繁生 大谷 淳 岸野 文郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HC, ヒューマンコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.93, no.439, pp.61-68, 1994-01-26
被引用文献数
17

よりユーザフレンドリーなコンピュータとのコミュニケーション環境実現のため、顔表情動画像を用いたインタフェース構築の研究を進めている。筆者らはすでにモデルベース手法を応用した表情動画像の作成について提案しているが、この表情変形規則は2次元的な計測を基に作られたものであったため、満足な性能は得られていなかった。本稿では、顔表面の3次元計測により、各表情表出時の顔面皮膚の移動量を求め、新たな移度制御点(特徴点)の設定と移動規則の決定を行なっている。3次元計測では正面・側面画像を利用する手法を採用し、誤差±1.2%程度の精度を得ている。更に得られた特徴点位置についての測定結果よりFACSのAUの定量化を見直し、特徴点以外の点の補間法を検討してより自然な画像合成を行なっている。
著者
本田 喜久 川島 英之 今井 倫太 安西 祐一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.207, pp.49-54, 2002-07-10

近年,キャッシュを意識して探索を高速化するメモリ索引構造が提案されている.中でも,1999年に提案されたFull Cache Sensitive Search Tree(CSS-tree)は,探索時間がデータサイズによってはハッシュよりも短く,また索引構造のために必要なメモリ空間使用量がB-treeよりも少ない点で優れている.他方,更新処理が遅いため,CSS-treeが有用であるのはオンライン解析処理のように更新処理が極めて少ない状況に限られると言われている.しかし,更新処理を追加処理のみに限定すれば,索引構造の再構築時間を減らすことができる.そこで本研究では,追加処理のみが発生する状況において,CSS-treeへの挿入処理を高速化する手法を提案する.提案手法は,(1)配列とCSS-treeのノードの拡張に要するコストを減らすために,あらかじめ余分な索引構造領域を獲得しておき,(2)配列とCSS-treeの葉ノードの再マップに要するコストを減らすために,CSS-treeの葉ノードの領域をなくし,CSS-treeの内部ノードのスロットに,配列のキー値を格納する.提案手法の有効性を評価するために,C言語とアセンブラを用いて,SunOS 5.6上に実験用データベースシステムを実装し,挿入処理時間を測定した.実験の結果,提案手法は,更新処理を追加処理に限定しない再構築手法と比べて,最大で7.18倍速くなることがわかった.
著者
坂本 寿 村上 恭通 林 彬
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.53, pp.29-33, 2004-05-12
参考文献数
5

2003年SCISにおいて小林邦勝らが提案した"ガウス整数環上のナップザック暗号"を検討し,まず一意復号が難しい場合があることを示す.次に鍵の生成法に変更を加え,一意復号が保証されるようにした.さらに変更したガウス整数環上のナップザック暗号に対して,Lagarias-Odlyzko法による暗号解読の計算核実験を行い,高い確率で解読できることを示す.
著者
蓮井 亮二 毛利 公美 森井 昌克
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OIS, オフィスインフォメーションシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.529, pp.17-22, 2006-01-13
被引用文献数
1

ソフトウェアの脆弱性を利用した不正アクセスやDoS攻撃が社会問題化し, 脆弱性検査とソフトウェアのアップデートは重要になっている.これまでにも脆弱性監査ツールとしてNessusやNSAT等が開発・公開されている.しかし, これらのツールでは検査時に検査項目を設定する必要があることや検査結果を有効活用して対策を行うには専門的な知識が必要となることから簡単に利用できるとは言い難い.本稿では専門知識の乏しい管理者でも利用できる管理・運用を容易にするネットワーク資源脆弱性自動検査システムを提案する.提案システムでは既存の脆弱性検査ツールと比較して「脆弱性検査時の検査項目を自動的に設定する」「Web上から最新の脆弱性情報を自動的に取得する」といった特徴を有する.また, 既存の脆弱性ツールにはなかった「ネットワーク内部のパケット情報を記録し, 脆弱性が検出されたPortのパケット受信状況をグラフ化して表示する」という機能を持たせることによって, 脆弱性のあるPortに対するアクセス状況を把握することができる.
著者
長岡 浩司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.88, no.8, pp.874-885, 2005-08-01

情報幾何では, 確率分布を要素とする多様体上にフィッシャー計量及びα-接続という微分幾何学的構造を導入する. これは相対エントロピー(Kullback-Leiblerダイバージェンス)の幾何ともみなせ, 統計学や情報理論をはじめとする広範な確率論的世界にかかわっている. 本論文では, 量子状態(密度作用素)を要素とする多様体上にフィッシャー計量とα-接続(特にα=±1の場合)の類似物を導入するいくつかの試みについて紹介する. 単なる数学的事実の解説にとどまらず, それらの背景や動機, 今後の展望についても言及する.
著者
佐和橋 衛 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.233-239, 1994-05-25
被引用文献数
3

周波数ホッピングは,フェージングによるバースト誤りをランダム化し誤り訂正効果を高める手段として効果的である.本論文では,ディジタル信号処理による周波数変換法を適用して,高速切換えを実現した周波数ホッピング送受信機の構成を述べている.まず,周波数ホッピング変調信号の生成と周波数変換フィルタを用いたホッピング信号の受信についてそれらの原理を述べる.次に,試作した96周波間(12.288MHz帯域幅)をホッピング可能な1.5GHz帯送受信機の構成(128kbit/s,差動符号化π/4シフトQPSK変調,遅延検波)について述べる.送信側(受信側)の周波数切換え時間はそれぞれ2(32)μsであり,約75μsでホッピング信号の周波数変換,検波が行われることを確認している.最後に,フェージング環境下における周波数ホッピングと誤り訂正の適用効果について実験的に評価している.本提案の方法は分周器と位相同期ループで構成される従来の周波数シンセサイザの代わりに固定周波数発振器を用いるので周波数切換えを高速にできるほか,ベースバンド処理を用いているのでLSI化に向いており,無線機の小型,低消費電力化に適している.
著者
森江 隆 石川 聖二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.94, no.6, pp.459-463, 2011-06-01
被引用文献数
2

車載用及びロボット視覚用の知的画像認識で必要となるHOG,SIFTなどの基本アルゴリズムを紹介するとともに,筆者らが開発した画像認識手法を紹介する.現在の画像処理はより並列的・階層的になり,脳での視覚処理モデルに近づいているともいえるが,人の高い知覚機能に近づくには更なるブレークスルーが必要である.そのために,脳型画像処理技術とそれを実現する集積回路及びナノ構造の利用を含めた脳型デバイス開発の必要性を述べる.
著者
石田 誠 澤田 和明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.94, no.6, pp.483-488, 2011-06-01

集積回路技術とセンサ技術を融合して高感度・高機能化を目指した新しい原理のセンサについて,豊橋技術科学大学エレクトロニクス先端融合研究所(EIIRIS)では開発を進めている.センサ・MEMSデバイスとICを一つのシリコンチップ上に融合することにより,これまでにないセンシングの特徴を生み出し,不可能であった計測を可能として,新たな応用分野を開拓することができる.このようなチップはスマートマイクロチップと称しているが,特にバイオ関連技術と集積回路技術を融合したインテリジェントバイオチップについて現状と将来を解説する.
著者
秦泉寺 久美 渡辺 裕 岡田 重樹 小林 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.758-768, 2001-05-01
参考文献数
13
被引用文献数
15

新しい画像符号化標準のMPEG-4が標準化されつつある。これは、低いレートにおいてはH.26XやMPEG-1,2に代表される従来符号化法と比較してより高品質の画像を提供するものである。また、新しい機能であるオブジェクト単位の符号化を提供するものである。筆者らはインターネット等に適用できる超低ビットレート符号化方法の開発を行っている。従来法に比べて劇的な符号量削減が可能であるMPEG-4の符号化ツールである「スプライト符号化」に着目し、前景、背景の2層からなるビデオオブジェクトの自動抽出アルゴリズムを提案する。生成した前景、背景のビデオオブジェクトをそれぞれMPEG-4オブジェクト符号化並びにスプライト符号化に適用(スプライトモード)して、スプライトを用いないMPEG-4 Simple profileの符号化法(ノーマルモード)と比較検討を行った。特に、フレームレートや前景オブジェクトの割合を変化させ、符号量に与える影響を調査した。その結果、フレームレートに関係なく、前景比率が画面全体の10〜15%程度である場合にMPEG-4通常符号化方法の1/4〜1/2程度の符号量で同程度の画質を実現できることを確認した。また超低レート(128kbit/s、64kbit/s)においてフレームレート、客観画質の評価を行ったところ、同程度のSNRで倍以上のフレームレートを達成できることを確認した。
著者
関口 博之 佐野 耕一 横山 哲夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.350-358, 1993-02-25
被引用文献数
35

X線CTやMRIの発達によって,体内の3次元データが容易に得られるようになってきた.3次元データから構成される体内臓器の3次元像は,臓器の3次元形状やその位置関係を把握するのに有用であり,次世代の診断用画像としての期待が高い,しかしその実用化には,3次元像表示速度の向上や3次元インタフェースの実現など,解決すべき問題がなお多く残されている.特にMRIにおいては,表示対象の抽出処理の困難さがMRI3次元像の実用化を妨げる大きな要因となっている.本論文では,3次元像を介した対話型修正操作を3次元領域拡張に組み入れた実用的な抽出処理手法を提案する.本手法を実現するため,抽出過程の3次元モニタリング機能,拡張過程で生ずるはみ出しの自動除去機能を開発した.本手法をいくつかの3次元頭部MRIデータへ適用し,その有効性を確認した.
著者
西ヶ谷 岳 飯田 一朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式
巻号頁・発行日
vol.94, no.190, pp.1-6, 1994-08-01
被引用文献数
8

パーソナル通信の究極の目標は、音声、FAX、電子メール、ページャなど多様化する通信メディアを統合的に扱うことができ、パーソナルIDだけで個人同士の最適な通信パスが異種網を越えて確立できることである。このような異種網連携型通信サービスにおいては、ユーザカスタマイズは重要な機能である。本稿では、個人情報と状態を管理し、カスタマイズドサービスをユーザ毎独立に実行する代行機能(パーソナルエージェント)を分散配備する、新しいパーソナル通信網アーキテクチャDUETを提案する。DUETは、網制御信号の転送機能を持った分散ディレクトリデータベースにより、すべての網リソースに統一的なAPIを提供し、様々なユーザカスタマイズを容易にする通信モデルをユーザに提供することができるアーキテクチャである。
著者
石田 和成
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.162, pp.35-40, 2010-07-28
被引用文献数
1

スマートフォンやソーシャルメディアの普及により,BlogやTwitterにおいて多くの位置情報が公開されている.本研究は,Blogに掲載される画像データに含まれる位置情報や,Twitterと連携して用いられるFoursquareの位置情報を用いて,人々の行動に関する地域的,時間的な類似点,相違点の分析を行う.そのため,更新されたBlogに含まれる画像データを1日ごとに収集し,Exifで記録されるGPS情報付き画像データにもとづき,地域ごとのモバイル端末の違い,写真撮影時刻やBlog記事投稿時刻の違いについて分析した.また,位置情報サービスにもとづき,世界各地での位置情報登録行動の共通点,相違点を調査した.その結果,Blogに掲載される位置情報付きJPEGファイルのほとんどがiPhoneで撮影されたものであること,兵庫県,大阪府,沖縄県は他の地域と比べ3GSの割合が高く,宮城県は3Gの割合が高い傾向が見られた.また,撮影投稿時刻の相互相関については,関東,関西ともに,勤務地の密集する,東京都,大阪府においては,撮影直後に投稿する傾向が,また,ベットタウンである神奈川県,兵庫県では,撮影投稿時間の差が長い傾向が見られた.さらに,位置情報サービスと画像撮影投稿との関係については,位置情報登録は,写真撮影よりもBlog投稿と時間的相関が高い傾向が見られた.また,位置情報登録の地理的分布については,アメリカ,アジア,ヨーロッパで高頻度のピークが観察された.また,時間的分布については,朝,昼,夜と3つのピークがあり,夜の登録頻度が最も高い傾向を示す地域が多く観察された.
著者
森島 繁生 八木 康史 中村 哲 伊勢 史郎 向川 康博 槇原 靖 間下 以大 近藤 一晃 榎本 成悟 川本 真一 四倉 達夫 池田 雄介 前島 謙宣 久保 尋之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.94, no.3, pp.250-268, 2011-03-01

映像コンテンツの全く新しい実現形態として,観客自身が映画等の登場人物となり,時には友人や家族と一緒にこの作品を鑑賞することによって,自身がストーリーへ深く没入し,かつてない感動を覚えたり,時にはヒロイズムに浸ることを実現可能とする技術「ダイブイントゥザムービー」について本稿で解説する.この実現には,観客に全く負担をかけることなく本人そっくりの個性を有する登場人物を自動生成する技術と,自ら映像中のストーリーに参加しているという感覚を満足するためのキャラクタ合成のクオリティ,映像シーンの環境に没入していると錯覚させる高品質な映像・音響再現技術及びその収録技術が,観客の感動の強さを決定する重要な要素となる.2005年の愛・地球博にて実証実験を行った「フユーチャーキャスト」に端を発するこの技術は,ハードウェアの進歩と2007年にスタートした文部科学省の支援による科学技術振興調整費プロジェクトの実施によって,格段の進歩を遂げた.その結果,様々なバリエーションの観客の個性を全自動・短時間でストレスなくモデル化することが可能となり,また作品の中でリアルタイム合成されるキャラクタの顔と全身,声に各入の個性を忠実に反映することが可能となった.また,同時に役者が感じた音場・視点で1人称的にコンテンツへの没入感を体感することを可能にするシステムを同時に実現した.
著者
倉橋 一成 大橋 靖雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.76, pp.195-202, 2010-06-07

近年コンピューターの発展に伴い,予測を行うための様々なアルゴリズムが提案されている.予測モデル・予測アルゴリズムは変数縮小と予測の無数にある組み合わせから選びながら作成することになり,アルゴリズムの選択基準は数理的な仮定がデータに合うか,誤分類率が低いかなどである.このとき,アルゴリズムの選択全体を通してCross Validationを行なわないと真の誤分類率にバイアスが入ることを示し,どのような推定値にバイアスが無いのかを考察する.
著者
青山 友紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.82, no.7, pp.704-712, 1999-07-25
被引用文献数
26

フォトニックネットワークをここでは転送機能を光領域で実現するネットワークと考え, その機能のレベルに応じてフェーズ0からフェーズ5まで分類する. フェーズ0はポイントツーポイント光伝送機能, フェーズ1は光多重化機能, フェーズ2は光XC/ADM機能, フェーズ3はルータとWDMの直結, フェーズ4は光・電子ハイブリッド処理型ルータ, フェーズ5は光時分割処理による転送機能の実現, と分類してその展望を述べる.