著者
森 武俊 野口 博史 佐藤 知正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.89, no.5, pp.430-435, 2006-05-01
参考文献数
10
被引用文献数
8

部屋型システムの形態で生活データを計測・蓄積し,人間支援を行う試みが多数始まっている.パーベイシブネットワークを用いたセンシングに基づくこのような研究・開発は,人の生活に安全・安心感をもたらし,更には便利で過ごしやすい環境を実現することを目指して行われている.毎日の生活を記録しておくことで,その人や家族の活動や健康状態などの日々の変化,生活のパターンも分かるようになり,異変の検知や予測,また予防につながることも期待できる.センサネットワークと住まいにおける生活のかかわりについて考察する.
著者
宮崎 泰典 岡田 規男 菅井 貴義 多田 仁史 宮原 利治 高木 和久 青柳 利隆 八田 竜夫 大村 悦司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. R, 信頼性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.33, pp.29-34, 2003-04-18
参考文献数
10

光送信機用変調光源には,広変調帯域幅,高出力光強度,高消光比,良好な出力光波形,低伝送ペナルティの両立を要求される.電界吸収型光変調器(EAM)は超高速光送信機の小型化に有用な半導体デバイスであるが,従来は40Gbpsにおいてこれらを両立した報告はなかった.今回,EAMに,(1)キャパシタンス低減に有利な半絶縁性基板,(2)高光出力時低チャープ動作が可能な伸張歪非対称量子井戸吸収層,を用いて40Gbpsにおける低チャープ・高光出力動作を初めて実現した.更に(3)EA変調器モジュールにドライバICを内蔵し,同軸ケーブルやコネクタによる高周波特性悪化を抑えた.その結果,EA変調器モジュールとしてITU-T G.693規格(出力光強度,アイマスク規定,消光比,伝送ペナルティ)を満たすことを確認した.
著者
宮崎 泰典 岡田 規男 菅井 貴義 多田 仁史 宮原 利治 高木 和久 青柳 利隆 八田 竜夫 大村 悦司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OPE, 光エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.35, pp.29-34, 2003-04-18
参考文献数
10

光送信機用変調光源には,広変調帯域幅,高出力光強度,高消光比,良好な出力光波形,低伝送ペナルティの両立を要求される.電界吸収型光変調器(EAM)は超高速光送信機の小型化に有用な半導体デバイスであるが,従来は40Gbpsにおいてこれらを両立した報告はなかった.今回,EAMに,(1)キャパシタンス低減に有利な半絶縁性基板,(2)高光出力時低チャープ動作が可能な伸張歪非対称量子井戸吸収層,を用いて40Gbpsにおける低チャープ・高光出力動作を初めて実現した.更に(3)EA変調器モジュールにドライバICを内蔵し,同軸ケーブルやコネクタによる高周波特性悪化を抑えた.その結果,EA変調器モジュールとしてITU-TG693規格(出力光強度,アイマスク規定,消光比,伝送ペナルティ)を満たすことを確認した.
著者
中田 秀基 竹房 あつ子 広渕 崇宏 伊藤 智 関口 智嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.167, pp.55-60, 2010-07-28
参考文献数
8
被引用文献数
2

データセンターにおける消費電力低減手法の一つとして、低負荷時には仮想計算機群を少数の物理計算機に集中することで、他の物理計算機を低消費電力状態でスタンバイさせておく方法が考えられる。仮想計算機の負荷が上昇した際には、物理計算機をレジュームし、そこに仮想計算機を高速にマイグレーションすることで、仮想計算機のユーザのユーザ体験を損なわずに、消費電力を低減することができる。この方法を実現するには、負荷に応じて仮想計算機の配置を決定(仮想計算機パッキング)する手法が必要である。本稿では、仮想計算機パッキング問題に対して、いくつかの方法でアプローチし、そのパッキングの質と速度に対する評価を行った。具体的には、遺伝的アルゴリズム、0-1整数計画法を用い、グリーディなアルゴリズムであるFFD法と比較した。0-1整数計画法のソルバとしてはオープンソースのGLPKを用いた。評価の結果、以下を確認した。1)遺伝的アルゴリズムおよび0-1整数計画法は最適化に時間がかかり、リアルタイム性が要求される仮想計算機パッキング問題には必ずしもそぐわない。2)FFD法は、使用ノード数の最小化には効果があるが、マイグレーション数が制御できない。3)遺伝的アルゴリズムを、FFD法で導出した解の改良に用いることができる。
著者
大野 陽介 木村 辰幸 依田 育生 藤井 伸朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式
巻号頁・発行日
vol.95, no.200, pp.19-24, 1995-07-28
参考文献数
6

ATMトランスポートネットワークのオペレーションシステム(OpS)における新しい警報転送方式を提案する。本方式は、故障通知を通信警報ではなく操作状態の変化通知により行なうこと、VP警報をビットマップとしてまとめること、の2つの特徴をもつ。これによりOpSにおける高速な警報処理を可能にした。本方式を実際のATM網に適用し、性能を評価し、事象発生から操作端末に最初の表示を行なうまでの時間は故障発生時で4秒から7秒、故障回復時でm秒から11秒程度であることを確認した。
著者
川上 貴文 廣瀬 敏也 春日 伸予 澤田 東一 小口 泰平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.581, pp.49-52, 2005-01-15
参考文献数
4

本研究は, 運転者の認知過程を考慮した追突防止システムの評価を検討したものである.システムは3種類を用意し, それぞれのシステムはブレーキランプに情報を提示するものである.その提示情報は(1)減速度, (2)制動力, (3)点滅による警報である.実験はドライビングシミュレータを用いて, システムを搭載した前走車の減速に伴い, 後続車の運転者が減速するものである.その結果, 制動力を提示したシステムは, 追突防止に効果が見られた.理由としては, システムが運転者の認知, 判断の時間を短縮していることが考えられる.
著者
高橋 和秀 昆 孝志 秋山 一宜 神宮司 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.88, no.7, pp.1202-1212, 2005-07-01
参考文献数
26
被引用文献数
8

移動体通信ネットワークは, 地理的に散在する, 多種多様で非常に多くのネットワークエレメント(NE: Network Element), 及びこれらのNEからの警報を監視し, コマンドによりNEを制御するオペレーションサポートシステム(OSS: Operations Support System)から構成される.NEやOSSは, 高い処理能力を必要とするため, 通信キャリヤは, そのハードウェアとミドルウェアに非常に多くの投資を強いられるだけでなく, サーバ後継機種への更改やOSバージョンアップなどのようなベンダの戦略に追従せざるを得なかった(ベンダロックイン).本論文では, 小機能に分割されたNE/OSSアプリケーション処理を, 低価格の小規模IA (Intel Architecture)サーバに分散配置し, これらの小機能の間で, アプリケーションデータを, 高速で送受信して, 処理することにより, 高処理能力を得る分散データ駆動型アーキテクチャ(D3A: Distributed Data Driven Architecture)について説明する.本アーキテクチャに基づいて, NEやOSSを開発することにより, ベンダロックインに陥ることがなくなる.また, 本アーキテクチャの性能評価結果を示し, 試作したNEアプリケーションについても述べる.
著者
藤村 一行 内田 誠一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.8, pp.1279-1288, 2009-08-01
被引用文献数
4 4

映像中の物体のトラッキングは,その物体のフレーム間の移動量の最適推定問題として定式化される.本論文では,その大局的最適解を得るために,動的計画法(DP)を用いたトラッキング手法を提案する.従来,幅優先探索の一種として扱われていたDP最適化では,画像のサイズやパラメータの増加により,探索幅が非常に大きくなり計算量が増加するという問題がある.これに対し本論文ではDPの解析的解法をトラッキング問題に適用する.これは,最適化の評価に用いられる局所的な誤差関数を二次関数近似することで,DPによる最適化過程に微分による最適化を導入した手法である.幅優先探索なしに解析的にかつ高速に最適解を得ることができ,トラッキング問題には特に有効といえる.本論文では,本手法の定式化と実験結果を示す.
著者
KOBAYASHI Hidenori YAMASAKI Nobuyuki
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
IEICE transactions on information and systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.86, no.10, pp.2040-2048, 2003-10-01
参考文献数
16
被引用文献数
7

The imprecise computation model is one of the flexible computation models used to construct real-time systems It is especially useful when the worst case execution times are difficult to estimate or the execution times vary widely. Although there are several ways to implement this model, they have not attained much attentions of real-world application programmers to date due to their unrealistic assumptions and high dependency on the execution environment In this paper, we present an integrated approach for implementing the imprecise computation model. In particular, our research covers three aspects First, we present a new imprecise computation model which consists of a mandatory part, an optional part, and another mandatory part called wind-up part This wind-up part allows application programmers to explicitly incorporate into their programs the exact operations needed for safe degradation of performance when there is a shortage in resources. Second, we describe a scheduling algorithm called Mandatory-First with Wind-up Part (M-FWP) which is based on the Earliest Deadline First strategy This algorithm, unlike scheduling algorithms developed for the classical imprecise computation model, is capable of scheduling a mandatory portion after an optional portion. Third, we present a dynamic priority server method for an efficient implementation of the M-FWP algorithm We also show that the number of the proposed server at most needed per node is one In order to estimate the performance of the proposed approach, we have implemented a real-time operating system called RT-Frontier. The experimental analyses have proven its ability to implement tasks based on the imprecise computation model without requiring any knowledge on the execution time of the optional part Moreover, it also showed performance gam over the traditional checkpointing technique.
著者
西嶋 仁浩 坂本 浩 原田 耕介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.9, pp.1701-1708, 2001-09-01
参考文献数
6
被引用文献数
8

バッテリセルを直列接続して使用する場合, 様々な要因からセル電圧にばらつきが生じ, これがバッテリの寿命や性能を低下させてしまう.本論文では, セル電圧を均等化するための簡単で高性能な電圧バランス回路を提案する.本回路は, nセルの直列接続に対しn-1個の双方向形コンバータを取り付け, それぞれのコンバータをPWM制御することによって高精度にセル電圧をバランスすることが可能である.また, 可変抵抗素子とダイオードで構成されたPWMコントローラを各コンバータに接続することにより, 一つのドライバと一つのバッテリマネージメント用マイクロプロセッサのみですべてのコンバータの駆動とPWM制御が可能である.本論文では, 提案する回路の動作説明及び状態平均化法を用いた定常解析を示し, 実際に作製した回路を用いて, 回路使用時, 未使用時のバッテリの充放電特性を測定することで回路の有効性を確認している.
著者
吉岡 典子 長幡 大介 柳田 益造 中山 一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.595, pp.1-8, 2001-01-19
参考文献数
7
被引用文献数
2

本報告は, 能と狂言の声を洋楽の歌唱音声と比較している.各ジャンルに関する違いを示すためにLPCケプストラム空間上でのマハラノビス汎距離を用いて, 各ジャンルの歌唱音声間にどれだけ違いがあるのか, また各ジャンルにおける話声と歌唱音声にどれだけ違いがあるのかが調べられている.その結果, 歌唱音声に関して, 洋楽と狂言との距離は洋楽-能, 能-狂言間よりも大きく, 話声と歌唱音声の間の距離は, 洋楽, 狂言, 能の順番に大きいことが示されている.また, 話声と歌唱音声の違いはジャンル間の違いよりも小さいこと, 各ジャンルの話声ですでに分布の差が見られることから, 各ジャンルの専門家は話声においても歌唱音声に近い多少特殊な発声を行っていると推察している.
著者
木下 裕一郎 吉沢 滋 種市 修浩 加藤 貴文 降旗 浩司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.2, 1996-09-18
被引用文献数
2

デジタル磁気記録読出し波形を数ビット(bと略)毎に切出し、ニューラルネット(NNと略)に学習、認識させるニューロ弁別(この様に略)はNNの学習能力により、干渉波形を学習させる事で高密度弁別が可能となり、NNの未学習入力も認識する汎化能力により、記録密度変動にも強い特徴を持つ。この二つの特徴とその実現可能性はシミュレーションですでに示した。また、この方法は従来の1b波形中の1点の振幅或は位相で判断するのではなく、数bの波形全体で判断するいわば波形弁別なので、高周波正弦波雑音や、幅の狭いパルス雑音に強い特徴的な雑音弁別特性をも持つ事がわかっている。しかし、ランダム雑音では1点の雑音レベルでなく入力する全サンプリング点での雑音レベル:ランダム雑音波形が問題なので、取扱いが難しくこれまでエラーレート評価ができないでいた。ここでランダム雑音エラーレートの問題点、線密度と雑音の関係、研究手法等について、まだ模索中ではあるがこれまでの考察結果を述べる。
著者
新上 和正 北川 美宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1999, no.2, 1999-03-08
被引用文献数
2

前回の講演でデータグラム型のネットワークで最大のパフォーマンス(遅延時間とスループット)を持つ理想的ルーチングを真似ることでルーチングアルゴリズムAMRを創りました。AMRは[ic_1]AMRは分散的である、[ic_2]AMRはOSPFと同じ程度に簡単である、という条件の下で、あるノードにあるパケットを隣接するノードq'にe^<-βQ^<q'd>_<ospf>>(ホップ数を減少する), e^<-β[Q^<q'd>_<ospf>+νdist_Γ(s,d)]>(ホップ数を保存する), 0(以外)に比例する確率で送り出しました。Q^<q'd>_<ospf>はOSPFの遅延コストでキュー長とサービス時間の和を最少にする通信経路(ルート)です。dist_Γ(s,d)]は発信ノード(s)と到着ノード(d)の間のホップ数です。そして、(M/M/1キューイングモデルを想定して)AMRの外部パラメータであるβとνは平均パケット遅延時間(D)をトポロジー(Γ)と入力トラヒック強度(λ)に以下のよう決めました:(1)Γとλに依存してDを最少にする、(2)Γだけに依存してDを最少にする、(3)Γとλに依存しないでDを最少にする。
著者
渡辺 幹男 中川 潤 鈴木 峰男 西村 允
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMD, 機構デバイス
巻号頁・発行日
vol.94, no.99, pp.27-32, 1994-06-17
被引用文献数
2

人工衛星には、衛星本体と太陽電池パドルの間ですべり摩擦をしながら電気信号や電力を伝達するスリップリングが用いられている。宇宙用スリップリングには、超高真空中においてトライボロジ及び電気特性に高い信頼性が要求される。ホットプレス法で作製した4種類の銀系複合材の摩擦、摩耗、通電特性をピン, 円板摩擦試験機とスリップリングモデル機を用いて真空中で評価し、宇宙用スリッピングへの適用性を検討した。試作したAg-MoS_2-NbSe_2系複合ブラシ材と銀系リング材の組合せは、通電量1〜20A、通電密度4〜800A/cm^2の全領域にわたって、現在人工衛星で使用されているスリップリングよりも優れた摩擦、摩耗、通電特性を保持しており、電気信号伝達用、電力伝達用、さらには今後の大電力伝達用のいずれのスリップリングにも適用可能である。
著者
神原 弘之 安浦 寛人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術
巻号頁・発行日
vol.95, no.171, pp.45-52, 1995-07-21
参考文献数
11
被引用文献数
2

KUE-CHIP2(Kyoto University Education-CHIP2)は,LSI設計教育と計算機ハードウェア教育のために開発した8ビットマイクロプロセッサである。本稿では,KUE-CHIP2の仕様とその教育への応用について報告する。計算機ハードウェアの入門教育用に開発したKUE-CHIP2を搭載したワンボードコンピュータは,40以上の大学あるいは高専で約260台が使用されている.LSI設計教育の設計対象として,KUE-CHIP2互換のマイクロプロセッサが,UDL/I処理系を用いて,九州大学の学生により設計された.実現された互換チップの動作テストはワンボードコンピュータに実装されて行われたKUE-CHIP2については,アーキテクチャからレイアウトレベルまで,すべての設計データが公開されている.UDL/I,SFL,VHDLなどの各種ハードウェア記述言語による動作仕様も作成されている.
著者
一藤 裕 今野 将 曽根 秀昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.459, pp.219-223, 2009-02-26
参考文献数
7

インターネット上で学校または地域ごとに集まりコミュニケーションをとる学校裏サイトのような電子掲示板では,匿名性などの特徴や誤解から,陰湿ないじめに発展し社会問題となっている.これは,電子掲示板に書き込んだ発言が他者にどう影響を与えるかを知らないことが原因の一つとして考えられる.そこで我々は,個々の発言が他者にどう影響を与えるかの指標を確立し,その影響度を発言者へ示すことにより発言者が問題となる発言をしないように教育を支援する手法を提案した.本稿では,以前提案した手法では対応できなかった発言に対応するため,学習データベースに登録する品詞を選択する.また,発言の長さに応じた発言の判別を行うのではなく,2つの学習データを利用して発言の判別を機械的に行う手法を提案する.
著者
錦戸 信和 党 建武
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.389, pp.13-18, 2004-10-22
参考文献数
9

音声から発話状態の逆推定を行う場合、多意性の問題に直面する。3次元の生理学的発話機構モデルを用いる逆推定の手法は、複数の拘束条件が有機的に結合することにより逆推定における多意性を抑えているが、根本的には問題は解決されていない。この多意性に対してわれわれは、複数の発話状態により構成される調音空間内の全域を探索し、推定された発話状態が調音空間内の不安定な領域となることを回避することにより多意性を抑えることが出来ると考える。しかし、調音空間の全探索を行うためには前もって発話状態の分布、及びその発話状態と音声の音響特性との関連を調べる必要があり、その関連を明らかにするために、本稿では発話機構モデルを用いたシミュレーションを行った。その結果、調音空間における調音パラメータの分布について妥当な結果を得たが、F1とF2からなる音響空間においては、一部の母音に対して十分な分布を得る事ができなかった。また、日本語母音/a/の舌の形状の分布と音響パラメータの関係がQuantal theoryを裏付けている事を示した。
著者
前川 泰之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.304, pp.19-24, 2008-11-12
参考文献数
10
被引用文献数
3

1986年から2006年にかけて大阪電気通信大学(大阪府寝屋川市)において測定されたKa帯とKu帯衛星電波の降雨減衰長期統計について、それらの最悪月累積時間率分布特性に注目して、詳しく解析を行なった。約20年間の長期統計に関しては、ITU-R勧告による最悪月累積時間率分布の特性と両周波数帯ともよい一致を示すものの、各年の測定値にはかなり大きな変動が存在することが示された。それらの変動の要因を年平均時間率分布との関係を示す指数関数の係数aとbに分けて検討した結果、それぞれ各年の降雨減衰統計の異なる特性により説明されることが分かった。即ち、最悪月統計の全般的な増減を示す係数aは各年の降水量で大まかに決まり、月間雨量の変動幅あるいは月間最大雨量を用いてより正確に予測できることが示された。一方対数軸グラフでの年平均統計に対する最悪月統計の傾きを意味する係数bは、降水量よりもむしろ夏季を中心する夕立等の対流性降雨の年間発生時間率と密接な関係があり、各年の強雨時における対流性降雨の発生割合でほぼ決まることが分かった。
著者
前原 進也 大澤 康暁 佐藤 孝 丸山 武男 大河 正志 水島 正喬 坪川 恒也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.62, pp.49-52, 2002-05-10
参考文献数
5

一般相対性理論から導出された天の川銀河の重力場が地球に及ぼす影響に関する報告があり,振り子の変位を観測することで,天の川銀河系の中心核の影響により地球が受ける力を検出することが可能であり,2種類の振り子の観測を行い,周時刻に同一方向への変位が見られたと報告されている.本報告では,この実験結果の検証を目的とし,半導体レーザーを用いた振り子の変位の光計測システムを構築し,外部雑音の影響が非常に少ない国立天文台の観測所のトンネルで観測を行っている.これまでの観測では,地震による影響が観測されており,今回は潮汐力による影響について検討し,重力放射力の検証の基礎実験を行ったので報告する.
著者
高橋 徹 武田 英明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.84, no.8, pp.1244-1255, 2001-08-01
参考文献数
9
被引用文献数
12

本論文では, 非同期型コミュニティシステムのインタフェースとしてアニメーションエージェント(avatar-likeエージェント)を用いることの効果を述べるとともに, 我々の実装したシステムTelMeAの説明と, そのテスト運用の結果を述べる. 心理実験の結果, エージェントは単に発話者を代弁するだけではなく, 複数の発話者の識別に対して効果をもつことがわかった. そのためエージェントを用いることでコミュニティ内の人間関係等の状況を会話内容から把握しやすくなり, 会話文脈へのアウェアネスが高まるものと考えられる. 更にエージェントはアニメーションや画面上の移動により, 表情, ジェスチャー, 接近, 指差しといった非言語表現を行うことができる. TelMeAは, Webページ上に表示させた各々のエージェントに, 前記のような表現のマルチモーダルな振舞いを記述するスクリプトを交換することで, 複数人数による非同期会話を行うためのシステムである. TelMeAを9日間試験運用した結果, 全発言の中には17%の非言語表現が見られ, アンケートの結果からは, TelMeAの機能が利用者に高く評価されたことがわかった.