著者
伊東 利哉 武井 由智 垂井 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.194, pp.39-46, 1999-07-21
参考文献数
13

置換族がk点独立性を持つとは, 直観的には, そこから置換を一様ランダムに選んだとき任意の異なるk点が任意の異なるk点に等確率に写像されることである. 類似概念として, 任意の異なるk点の像のなす相対順序が等確率にあらわれるという性質が定義でき, これをk順位独立性と呼ぶことにする. また, 任意の異なる高々k点の像の中で全ての点が等確率で最小値となる性質がk制限最小値独立性として定義されている. 本論文では, 集合{0,1,...,n-1}に作用する置換族Cが上記各独立性を満足するときの要素数∥C∥の限界を考察し, 以下の結果一(1)下界: k制限最小値独立性は∥C∥≧n-1, k順位独立性は∥C∥≧(n/2)^<&lfloor;k/4&rfloor;> がそれぞれ必要(2)上界: k制限最小値独立置換族は∥C∥= o((en)^k), k順位独立置換族は∥C∥=0(n^<k2/(21nk)>)でそれぞれ構成可能を示す.
著者
相田 彰大 戸田 真志 植村 朋弘 刑部 育子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.147, pp.27-32, 2010-07-17
参考文献数
11

昨今,ストレージデバイスの記録密度の向上が驚くべきスピードで進められている.それに伴い,画像や動画などの様々なメディアが容易に保存可能となった.中でもデジタルカメラやビデオカメラは情報を記録する際に頻繁に活用されるツールの一つであり,多くの人によって写真や動画は撮影され,保存されている.しかし,これらのメディアの多くは特に整理されずに保存されており,またどのような意図で撮影したのかなどは撮影した本人にしか分からない.既存の方法としては,タグを用いることでの情報付与などがあるが,こういった方法は撮影後に行う後処理で情報整理に用いる際にはタイムラグが生じる.そこで,撮影中にリアルタイムで,また,撮影後にフィードバックを行いながら簡単に手書きメモや付箋などの情報を付与するこで,円滑に情報整理が行えるCAVSceneのシステム提案・開発を行った.また,この開発したツールを実際に教育現場に適用する事でその実用性を検証した.
著者
高野 知佐 会田 雅樹 村田 正幸 今瀬 真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.449, pp.301-306, 2010-02-25
参考文献数
19

ネットワークの局所的な状態情報しか分からない環境において,ネットワーク全体を適切に動作させるネットワーク制御技術を設計するために,我々は近接作用の考え方に基づく偏微分方程式を利用した自律分散制御のフレームワークを提案し,それに基づく具体的な制御方式を検討してきた.これまで,ネットワークの自律的な負荷分散のような平滑化効果を実現する為に,拡散方程式に基づく制御を考え,フロー制御への応用による輻輳回避の効果などを確認してきた.本稿では,拡散現象のくりこみ変換と逆拡散によるドリフトを考えることで,平滑化効果を実現する従来の自律分散制御に加え,有限の空間的広がりを維持するように動作する新しいタイプの自律分散制御の実現可能性を議論する.更に,アドホックネットワークの自律分散クラスタリング技術を対象にシステム構成要素が自律分散的に周囲の局所的状況に適応しつつ,システム全体として有限サイズの構造を生み出す技術の実現法について考察し,アドホックネットワークの自律分散クラスタリング技術に応用する方式を提案する.
著者
境 隆二 高山 征大 加藤 宣弘 島田 智文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.405, pp.45-49, 2010-01-21

CELL REGZA^<TM>は、東芝がCell Broadband Engine^<TM>向けに開発してきたソフトウェア技術の集大成となるデジタルテレビである。CELL REGZAでは、Cell Broadband Engineの計算パワーを余すところなく引きだし、地デジ8チャンネル同時視聴、高速ザッピング、TIMESHIFT MACHINE^<TM>、超解像やノイズリダクションなどの高画質化機能をソフトウェアで実現している。高性能なソフトウェアを実現するには、アルゴリズムを最適化しプロセッサの演算器の利用効率が高くなるようにプログラミングする必要がある。本稿では、CELL REGZAの上記の機能を実現したマルチコアプログラミングの実際について説明する。
著者
中川 朗 羽田 陽一 牧野 昭二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, 1995-09-05

サブバンドエコーキャンセラ(SBEC)は、音声の白色化効果による適応フィルタの収束速度向上、間引きによる演算量の低減が望める。その一方で、帯域分割/合成フィルタ処理による遅延や定常消去量の低下が問題となる。本報告では、図1に示すポリフェーズ型SBECの2つの帯域分割用プロトタイプフィルタA(z)、B(z)のフィルタ長および適応フィルタ長に着目し、収束特性の改善方法について検討した。
著者
北川 智大 西谷 隆夫 小松 広昭 加藤 博憲 小元 規重
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.438, pp.103-108, 2008-01-17
参考文献数
7

マルチビーム衛星を利用した,地上波デジタル放送の再送信について考察を行った.今回の検討は通信と放送の融合を狙った衛星チャンネルの効率化である.番組チャンネルとCMを含む民放チャンネルを切り替え,キー局放送分の共用化を行って,放送の空き時間をインターネットの利用に割り当てる.番組/CMチャンネルの切り替えを正確に行うため,常時すべてのテレビ信号を流す方式を採用する.番組チャンネルの非表示区間は静止画とする.この部分が余分な情報を発生しないように静止画をH.264符号化に基づいた工夫を行った.衛星上の情報切換が正確に行える様にバッファの使用量の少ないVBRを採用した.高知工科大学のSCOPE実験設備を用いて実測した結果も報告する.
著者
安部 泰弘 中島 一樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.97, no.525, pp.95-102, 1998-01-31
参考文献数
12

自律神経活動と運動能力の関係を調べるために、2名の被験者に月曜日から木曜日まで自転車エルゴメータによるトレーニングを9週間与え、毎週金曜日にランプ負荷実験を行なった。そして運動負荷時および回復時の心拍数-呼吸数の関係と自律神経活動の変化を解析した。比較のため運動者7名と一般者7名のランプ負荷実験も行った。%RR50はトレーニングにより10%より大きな数値を回復時に長時間持続するようになった。回復時前半に見られたHF/LFのピークはトレーニングとともに減少した。また運動負荷時後半のピークはトレーニングとともに半値幅を狭めた。心拍数-呼吸数の関係において、トレーニング開始前の被験者2名および一般者7名中5名は時計回りのヒステリシスを示し (9名中7名)、9週間のトレーニング後の被験者2名および運動者7名中5名は反時計回りのヒステリシスを示した (9名中7名)。トレーニングを行った2名の自律神経活動と運動能力は、一般者のものから運動者のそれへと変化した。
著者
富永 哲欣 倉本 昇一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.1, 1997-03-06

電子機器を雷サージから防護するためには, その時間応答を含めた回路解析が必要である. 回路解析用としてSPICE(Simulation Program with Integrated Circut Emphasis)があり汎用性に優れたソフトウェアであるが, 時間領域の解析を行うためには, アレスタ等を含む電子機器のモデル化が重要である. 本報告では, SPICEを用いた解析法の妥当性を確認するために, 雷防護回路として良く知られているバイパスアレスタ回路のモデル化を行い, その応答をSPICEを用いて解析し, 実際の応答と比較した.
著者
舩冨 卓哉 飯山 将晃 角所 考 美濃 導彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.8, pp.1530-1538, 2005-08-01
参考文献数
8
被引用文献数
3

光切断法による人体の三次元形状計測では, 人が完全に静止できないことに起因する計測形状のひずみを軽減するため, 計測の高速化が図られてきた. これに対し, 本研究では, 形状計測中の体の揺れである身体動揺を部位ごとに計測し, これに基づいて計測形状を補正することにより, 計測の高速化をしなくても計測精度を向上させる手法を提案する. 実験により, 光切断法による計測精度が1mm以下であっても, 身体動揺の影響で計測形状の誤差が10程度になること, 提案手法では2mm程度の計測精度を達成できることを示した.
著者
山澤 一誠 石田 皓之 岡本 崇弘 小田 昌宏 前橋 久美子 浅井 俊弘 牧田 孝嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.532, pp.133-144, 2002-12-13

パターン認識・メディア理解(PRMU)研究専門委員会は,平成9年より研究活動の一環として,若手研究者の発掘・育成を目的としたアルゴリズムコンテストを実施している.第1回目のアルゴリズムコンテストではランダムドットステレオから視差画像を求めるコンテストを行った.第6回目の今年はその第1回目のテーマに立ち戻り,さらに多眼というアレンジを加え,多眼ランダムドットステレオをテーマとしてアルゴリズムを募集した.ステレオ画像の枚数に応じて3つのレベルを設定し,ひとつのアルゴリズムによる複数のレベルへの応募も可能とした.募集の結果,18アルゴリズム,のべ34件の募集があり,審査により6アルゴリズムを入賞とした.さらに情報科学技術フォーラム(FIT2002)において審査結果発表と表彰式,入賞者によるアルゴリズムの紹介,第1回アルゴリズムコンテスト最優秀賞受賞者による特別講演を行った.本報告ではそれらの実施報告と入賞者によるアルゴリズムの紹介をする.
著者
翠 輝久 駒谷 和範 清田 陽司 河原 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.499-508, 2005-03-01
被引用文献数
11

テキストで記述された知識ベースを自然言語音声で検索するシステムのための効率的な確認手法を提案する.音声対話システムにおいては, 音声認識誤りや話し言葉特有の冗長性に対処する必要がある.構造化されたデータベースを検索するタスクではユーザ発話中のキーワードに着目した確認を行うことでこれらの問題に対処できるが, 一般的な文書を検索する際にはキーワードの明示的な定義ができないため, このようなアプローチを用いることは難しい.そこで本研究では, 文書情報検索における有用性の観点から, 音声認識結果中の確認を行うべき個所を同定するために, 検索整合度, 検索重要度の二つの統計的指標を導入する.これらの尺度を用いて, 検索に決定的な影響を与える個所は検索を実行する前に確認し, 結果として検索に影響を及ぼす個所は検索結果の違いに基づいて確認を行う戦略を提案する.この対話戦略をソフトウェアサポートを行うシステム「ダイアログナビ」のフロントエンドとして実装した.評価実験の結果, 単純に音声認識結果を用いる場合より検索成功率が向上し, また音声認識の信頼度を用いる確認戦略よりも効率的に確認が行うことができた.
著者
小林 康宏 知野 豊治 吉田 隆幸 松田 賢一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.96, no.520, pp.13-17, 1997-02-14
参考文献数
8
被引用文献数
3

基板裏面に形成したガイド穴を用いた垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)とシングルモードファイバとの結合効率について計算による基礎検討を行った。我々はこれまでに4×3のVCSELアレイに対するガイト穴を用いたパッシブアライメントにより、マルチモードファイバとの結合において平均81.3%の結合効率を達成している。この結合方法をシングルモードファイバに適応する場合、計算の結果、80%の結合効率を得るためにはレーザと裏面ガイド穴との距離を100μm程度、アライメントのずれを±1μmにまでする必要があることが分かった。
著者
北嶋 暁 森岡 澄夫 島谷 肇 東野 輝夫 谷口 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.79, no.12, pp.1017-1029, 1996-12-25
参考文献数
15
被引用文献数
4

教育用CPU KUE-CHIP2を,各命令の意味を記述した要求仕様からRTレベルまで段階的に設計し,それをSFL記述に自動変換してハードウェア合成系パルテノンを用いて回路を得た.そして,その設計が正しいことを代数的手法に基づいた証明支援系を用いて完全に自動で証明した.自動で証明できた理由は,CPUでは,要求仕様も含め,各レベルの仕様が共通の基本関数(算術・論理演算,メモリの入出力)を用いて記述できる,CPUの正しさの証明では1命令ごとに正しく動作することを調べればよく,かつ1命令の実行では繰返しループを含まない,また,我々の開発した証明支援系では,項書換え,場合分け,整数上の論理式の恒真性判定などを一定の手順で自動実行する,扱う式の大きさが増大するのに対処した工夫をしている,などである.証明作業は,記述誤りに伴う再証明も含め2週間程度で行えた.CPUの命令数が増えても証明のための計算時間はそれに比例する程度ですむので,本実験の結果より,単一制御部をもつ非パイプラインCPUについては,本論文の手法により,その正しさの証明を,現実的な時間で自動で行うことが可能であると言える.
著者
粟井 郁雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.63, pp.23-27, 2008-05-22
参考文献数
6
被引用文献数
4

メタマテリアルは電磁気学的な構造体がマクロスコピックには連続体に見えることに依拠して媒質という扱いを受けている.そのために連続と不連続の接点で矛盾を生ずることがあり,時にはエネルギー保存則の侵犯にも対応する必要が起こる.又,普通の連続媒質の分子数はほぼ無限に近いのに対して,メタマテリアルは単位粒子(分子に相当する)が数個の場合ですら媒質であると考えることが多いので,有限と無限の矛盾にも遭遇する.これら矛盾の解釈法について考察する.
著者
吉沢 滋 中條 秀彦 秋庭 直樹 辻村 健一 長島 均 丸藤 貴史 木下 裕一郎 黒木 佳史 種市 修浩 千葉 豊治 坪井 則昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-03-27
被引用文献数
4

デジタル磁気記録読出し波形を数ビット(bと略)毎に切出し、ニューラルネット(NNと略)に学習、認識させるニューロ弁別(この様に略)はNNの学習能力により、干渉波形を学習させる事で高密度弁別が可能となり、NNの未学習入力も認識する汎化能力により、記録密度変動にも強い特徴を持つ。この二つの特徴とその実現可能性はシミュレーションですでに示した。また、この方法は従来の1b波形中の1点の振幅或は位相で判断するのではなく、数bの波形全体で判断するいわば波形弁別なので、高周波正弦波雑音や、幅の狭いパルス雑音に強い特徴的な雑音弁別特性をも持つ。ニューロ弁別の学習は高密度波形と低密度波形の二つを学習させると、NNの汎化能力により、その中間及び、付近の範囲外も認識できる。しかし、高密度学習波形の記録密度、振幅の選び方は難しく、弁別限界(どこまで高密度波形を弁別できるか)に大きく影響する。アナログニューロ弁別で学習波形の振幅と密度を組合せた学習法を試み、従来を上回る弁別限界が得られたので、報告する。
著者
田村 景明 得永 嘉昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波
巻号頁・発行日
vol.95, no.478, pp.61-68, 1996-01-25
参考文献数
9
被引用文献数
4

本報告では私達が開発した同時多周波数計測法による黒鉛に人工的に付けられた円柱形の内部傷の光音響信号の3次元画像化について検討をしている. 得られた3次元画像は試料表面から内部傷までの距離と内部傷の形状をよく反映していることを示す. またPA信号の振幅よりもむしろ位相の方が3次元画像化には有効であることを実験的に明らかにした. 不計測法を使うことで内部傷の3次元画像化に要する計測時間はLock-in増幅器を使う従来の計測法に比べて約1/5ですむ利点があることを述べる.
著者
小林 篤人 窪野 隆能
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMD, 機構デバイス
巻号頁・発行日
vol.97, no.329, pp.1-6, 1997-10-17
参考文献数
8
被引用文献数
1

小形の電磁継電器で発生する開離不能故障を防止することを目的として、試作したAu接点に接触力を印加した状態でしゅう動を与え粘着力の測定を行った。その際、接触面積を推定する目的でしゅう動前後および粘着力を測定するために接点を引き離していく途中で接触力がゼロになったときに接触抵抗の測定を行った。その結果から、しゅう動回数が増加しても接触面積がある値以上に増加しないことおよびこのときの接触面積を用いて計算した見かけの応力が結果的にミーゼスの降伏条件を満足することを示した。また、降伏応力、引張り強さおよび摩擦係数から粘着力を推定する方法を提案した。
著者
小林 真也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.69-78, 1996-02-25
参考文献数
12
被引用文献数
9

マルチプロセッサシステムでは, 処理速度を最も速くするためにどのように各プロセッサにタスクを割り当てていくか, つまりタスクスケジューリングが重要な問題である. 実際のマルチプロセッサシステムのタスクスケジューリングではプロセッサ間の通信にも時間がかかり, 個々のタスクの処理時間のみならず, 通信時間も考慮しなければならない. 本論文ではこの問題に対する最適解への近似精度の高い一方法を提案する. 提案方式は, リストスケジューリングの一種であり, 各タスクの処理時間のみによって決定されるプレプライオリティと, タスクとプロセッサごとに求められる通信削減時間によりタスクプライオリティリストを決定する. 各タスクのプレプライオリティの値はそのタスクに依存する複数のタスク依存系列のうちの最長パスの長さである. また, 通信削減時間とは, 他のプロセッサで実行した場合に必要であるがプライオリティを求めようとするプロセッサで実行する場合には必要のない通信の時間である. 常微分方程式の数値解法の一つであるRunge-Kutta 法と, FFTの二つのプログラムを対象に, 完全網システムにおいて従来方式との比較を行い提案方式の優位性を示す. また, 不完全網システムに対しても提案方式が良好な割当てを行えることを示す. 更に, 乱数を用いて生成したタスク集合に対しても, 提案方式が優れていることを示す. また, 割当てに要する時間を実測し, 提案方式が問題の規模に対して多項式時間で解けることを示す.
著者
西内 悠祐 上田 哲史 川上 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.37, pp.13-18, 2003-05-01
参考文献数
4
被引用文献数
3

3次元自律系である変形BVP発振器ではダブルスクロールカオスやjack-in-the-box現象と呼ばれる特異な応答が存在する.このjack-in-the-box現象のbasin boundaryを調べたところ,basin boundaryの境界線がぼやけて消失するという現象が見られた.このときのbasin boundaryはriddle basinと呼ばれる状態となっていた.そこで,このbasin boundaryと既存のriddle basinとの性質の違いについて述べる.また,この発振器で起こる分岐現象について詳しく説明する.