著者
小幡 洋昭 後藤 正幸 平澤 茂一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論
巻号頁・発行日
vol.96, no.494, pp.79-84, 1997-01-24
被引用文献数
1

Z.Zhang and V.K.Weiの提案したGold Washingアルゴリズムは, ある一定の確率分布で発生させたランダムな系列で辞書を逐次更新することにより, 有限アルファペットの無記憶情報源に対し, 確率分布が未知であっても漸近的にRate-Distortion関数に収束することが証明されている. 一方, Y.Steinberg and M.GutmanはLZ77符号に用いられるString Matchingを有歪み圧縮に応用したアルゴリズムを提案した. このアルゴリズムは, 有限アルファベットの無記憶情報源に対し, 情報源から定まる最適な符号語の分布により発生させたランダムな系列で辞書を更新することにより, 漸近的にRate-Distortion関数に収束することが証明されている. そこで, 本稿ではGold Washingアルゴリズムの考えを用いたString Matchingアルゴリズムに基づくアルゴリズムを提案し, シミュレーションによりそれぞれのアルゴリズムの特性を考察する.
著者
橋場 参生 上見 憲弘 及川 雅稔 山口 悦範 須貝 保徳 伊福部 達
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.1240-1247, 2001-06-01
被引用文献数
16

電気式人工喉頭は, 癌(がん)などの理由によって喉頭を失った人々の重要な発声補助機器である.しかし, 電気式人工喉頭で発声した音声は, 単調で非常に不自然であり, その改善が望まれていた.また, 従来の電気式人工喉頭はすべて海外からの輸入品であり, 国産の製品は存在しなかった.我々は, この自然性の問題を解決するために, 電気式人工喉頭で発声した音声に抑揚を負荷する方法などを提案し, 実験を進める一方, 1993年より電気式人工喉頭の製品化に着手し, 1998年に国産初の電気式人工喉頭を実現した.開発した新型の電気式人工喉頭は, マイクロコンピュータを内臓しており, 抑揚のある自然な発声が可能であるほか, 音程のデータを利用して歌を歌うこともできる.本製品は, 既に1000台以上が利用されており, アンケート調査の結果, 約7割の購入者より良好な反応が得られている.本論文では, まず, 抑揚制御機能を備えた新型電気式人工喉頭の開発経過と機能について述べ, 次に, 購入者からの評価結果と今後の課題について述べる.
著者
本林 良太
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク
巻号頁・発行日
vol.98, no.50, pp.9-16, 1998-05-15
参考文献数
13
被引用文献数
1

PNNIは, ATM網で用いられる, ATMスイッチ間のルーティングおよびシグナリングのためのプロトコルである.とくに網が「階層化」構造を取ったときに拡張性を得られ, PNNIという単一のプロトコルによって, LANおよびWANを通じたATM通信を提供できる.またQoSや, 動的なルーティングにも対応している.こうしたPNNIの特長の中で, 本報告は, とくに以下の内容について紹介する:1)ATMのアドレシングを中心とした網の階層化の方法, 2)DTLスタックルーティング, 3)クランクバック.
著者
岡部 孝弘 佐藤 いまり 佐藤 洋一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.8, pp.1440-1449, 2005-08-01
参考文献数
25

画像を手掛りに光源分布を推定する逆問題はinverse lightingと呼ばれ, 鏡面反射成分, 拡散反射成分, 及び, 影(キャストシャドウ)に基づく三つのアプローチが提案されている. 本研究では, 影に基づく光源推定がなぜうまく働くのかを明らかにするとともに, どのような基底関数が推定に適しているのかについて議論する. まず, 球面調和関数を用いた推定法を提案して周波数空間における解析を行い, 影に基づく光源推定の利点と問題点を明らかにする. 次に, 周波数空間における考察に基づいて, コンパクトなサポートと疎な展開係数をもつHaarウェーブレットを用いた効率的な推定法を提案する. 最後に, 球面調和関数を用いた手法とHaarウェーブレットを用いた手法を比較した実験結果を報告する.
著者
金谷 文夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.691-697, 2001-06-01
被引用文献数
1

本論文では, 最初にひずみを許すユニバーサル符号化の基礎となるレートひずみ理論の中心概念であるひずみを許す符号化定理について概説する.次いでひずみを許すユニバーサル符号の存在定理について概説し, 最後に最近のひずみを許すユニバーサル符号化アルゴリズムの研究状況の一端を紹介する.
著者
宮崎 修一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.195-199, 2005-03-01
被引用文献数
1

安定結婚問題は二部グラフにおけるマッチング問題の一種である.複数の男女がおり, 各人は異性を自分の好みで順序付けした希望リストを持っている.その希望リストに基づいて「安定性」を満たすマッチング(結婚)を求めるのが, 安定結婚問題である.この問題は, アメリカの研修医配属への応用が有名であるが, 近年日本の研修医配属でも利用され始めた.本稿では, 安定結婚問題の基本的性質や応用例を紹介する.
著者
立花 大祐 田中 喜明 内田 真人 鶴 正人 尾家 祐二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.394, pp.55-60, 2009-01-15
被引用文献数
2

近年のネットワーク管理において必要となる大域的なトラヒックフローの統計的把握のためには,OD(origin destination)トラヒック行列の推定が重要である.超高速ネットワーク上でのトラヒック行列の直接計測は難しく高コストである為,統計的な推定が研究されてきた.本研究では,著者らが先行研究において提案し,数値実験によって効果を示した推定手法に関して,その実用性を検証するために,大学内ネットワークの実トラヒックを用いて実験し,分析・評価を行った.実験の結果,他の既存手法がうまく適用できないような条件(例えば,変則的なトラヒック,少量のトラヒック,短い単位時間等)にも適用可能であることが分かった.
著者
日吉 功 児玉 直樹 和久井 章人 福本 一朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.478, pp.39-44, 2000-11-23
被引用文献数
1

Purkinje-Sanson像計測法を用いて仮性近視回復の効果を測定した.対象は仮性近視8名, 正視2名の合計10名であった.今回比較を行ったのは, Purkinje-Sanson像計測法と市販されている計測器であるMD-SS型視力訓練機であった.Purkinje-Sanson像による計測ではPS-1とPS-3の間の距離の変化を測定した.Purkinje-Sanson像計測法はMD-SS視力訓練機に比べて, 回復傾向が見られた.これらのことから, Purkinje-Sanson像計測法を用いて仮性近視の回復が行える可能性が示唆された.
著者
高橋 徳幸 藤井 雅治 有井 清益 吉野 勝美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.2, 1997-03-06

電解重合法を用いて導電性高分子を重合した時, 重合条件によって導電性高分子がフラクタル成長をする。このフラクタル成長は制御可能で, かつ2つの枝分かれ導電性高分子は接続もできることを見出した。多くの枝分かれ導電性高分子を接続し, ネットワークも作製可能であること, さらにパスに重みを付けることが可能であることも見出し, ニューロン型導電性高分子のデバイスを提唱した。パスの導電率を第3電極を用いてを制御してきたが, 流れる電流パルスに依存した導電率をパスの重みにすることがデバイス実現には必要である。今回パルス信号をネットワーク間に流すとともに第3電極にも印加するようにしてパスに学習効果を持たせることができたので報告する。
著者
山内 正人 砂原 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.438, pp.97-100, 2010-02-22
参考文献数
18

センサの低価格化や高性能化が進み、様々なセンサの設置が進んできている。また設置されたセンサをネットワークで繋ぐことでセンサ単体では困難なことが可能となった。例えば気象センサネットワークでは高密度な気象データを集めることで、低密度なセンサデータでは困難であったゲリラ豪雨などの高精度な予測が実現可能となる。しかし、センサデータを応用するためには、データの信頼性も重要となる。従来では人手によってセンサデータの信頼性を確保していたが、本稿ではMicro blogを用いることで、自動でセンサデータの信頼性が向上できることの可能性について示した。これにより、今後規模が爆発的に増大するセンサネットワークへも対応が可能となる。
著者
山本 光重 佐藤 智和 横矢 直和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.627, pp.55-60, 2002-01-23
参考文献数
6

花火ショーの演出作業において, 花火師は花火の打ち上げ位置, タイミングや音楽との同期などの多くの要素を決定する必要がある.しかし従来, 花火師は危険性や金銭的なコストの問題から演出結果を視覚的に確認することができず, 演出作業を円滑に行うことが困難であった.そこで, 本研究では, 効率のよい演出作業を実現するための花火演出支援システムを提案する.ユーザは計算機を用いて打ち上げ位置, 花火の種類, 打ち上げタイミング, 音楽といった情報を入力し, 演出作業を行う.演出結果は入力されたデータに沿って, 花火の実写映像を利用して計算機上でシミュレートされ, モニタやHMD上に可視化される.これによって, 花火師は効率よく作業を進めることが可能となる.
著者
三浦 彩美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.174, pp.23-26, 2002-06-21
参考文献数
7
被引用文献数
2

本研究では、ポピュラーな洋画のシーンを呈示刺激として用いた感情評定実験と、テレビ視聴に関するアンケート調査により、映画作品における登場人物の感情評定と、幼少の頃から現在までのテレビ視聴時間や視聴番組のジャンルとの間にどのような関係があるかを検討した。その結果、呈示刺激に見出した感情表出の多様性と小学校時代のテレビ視聴時間との間に相関関係がみとめられ、感情認知とテレビ視聴に関連があることが示唆された。
著者
中園 薫 長嶋 祐二 細野 直恒
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.488, pp.85-90, 2009-03-16
被引用文献数
4

著者らは,外国人や聴覚障害者など,音声でのコミュニケーションが不自由な人を対象とした,コミュニケーション補助,システムVUTEを開発している.従来のAACがほとんどが静止画ピクトグラムを用いていたのに対し,VUTEでは動画ピクトグラムを用いることにより理解度の向上を計る.また,動画ピクトグラムのデザインの際に,手話表現を参考としている.現在,消防や怪我,急病などの救急時におけるコミュニケーションに限定して,システムを試作中である.本報告では,手話の表現様式の分析に基づいた,動画ピクトグラムのデザイン指針について述べる.続いて,試作したシステムの構成と機能概要について述べる.
著者
山根 義則 櫻井 幸一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ
巻号頁・発行日
vol.95, no.353, pp.29-39, 1995-11-16
参考文献数
20
被引用文献数
1

鍵寄託方式における,裁判所に認められた盗聴を制限する方法について考察した.簡単な解決方法としては,盗聴期間に制限がついた鍵を利用することである.しかし,この方法は長期間でたくさんの鍵を必要とすることから能率が悪い.そこで提案する方法は,ブラインド復号化のプロトコルを応用することである.ブラインド復号化とは,暗号文の所有者は鍵の所有者に暗号文を明かさず,鍵の所有者は暗号文の所有者に鍵を明かさないで,文書を復号化することである.今回,ElGamal 暗号によるブラインド復号化方式を新たに提案し,それを利用したKey Escrow System を紹介する.
著者
高濱 徹行 阪井 節子 磯道 義典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.84, no.9, pp.1297-1306, 2001-09-01
被引用文献数
2

本研究では, 変異遺伝子を積極的に利用した遺伝的アルゴリズムであるMGGAを提案する.変異遺伝子を有する個体では, その遺伝子に対応する形質の発現が不完全になったり, 発現しなくなるなどの現象が起きる.MGGAでは, 遺伝子型を表現型に変換する変換関数に変異遺伝子の影響を与えることにより, これらの現象を実現する.更に, 正常な遺伝子から変異遺伝子への不可逆的な変化を導入することにより有効性の低い遺伝子を削減する機能を実現する.この機能をもつMGGAを多項式モデル及び階層型ニューラルネットワークにおけるパラメータ構造決定に用いることにより, MGGAがパラメータ数を削減できる汎用的な方法であることを示す.
著者
安浦 寛人 築添 明 平川 和之 伊東 望 中野 信哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.86, no.11, pp.857-863, 2003-11-01
参考文献数
2
被引用文献数
2

福岡県においては,産業界,大学,行政の連携による「シリコンシーベルト福岡」プロジェクトを進め,システムLSIの研究開発力の向上や設計産業の育成と合わせて,技術者育成事業の一つとして「福岡システムLSIカレッジ」を設立した.本稿では「福岡システムLSIカレッジ」の設立理念を述べた後,それに沿ったカリキュラムや教材・講習環境を示す.そして,1年半のLSIカレッジ運営の評価を行い,今後の展望についてまとめる.