著者
田中 良明 中井 弘亮
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.2, 1996-03-11

B-ISDNでは、現在無線で配信されているテレビジョン放送などのサービスが各視聴者に提供され、それらがトラヒックの中のかなりの部分を占めると予想される。放送形のサービスは、同一の番組を複数の加入者が同時に試聴するという特徴を持つ、従って、放送源からはひとつのセルを送り、分岐点でコピーを取れば、網の負担は飛躍的に軽減される。それ故、放送形サービスがトラヒックの主流になった場合を想定した、新たな通信網の検討が必要になってくる。本稿では階層構成の最下位でリング網を用いた場合に、もっとも低コストで構築するための最適化を行う。これは、単純に距離の低いものがもっとも低コストということにはならない。ノード間に要求される呼量の少ないところは迂回させたほうがコストが低くなる場合がある。これらの要素を総合的に評価した上で、そのトレードオフをはかるのが主目的である。
著者
小林 稔 志和 新一 北川 愛子 市川 忠嗣 一之瀬 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.933-943, 1998-05-25
被引用文献数
21

映像や音声を統合することで, サイバースペースはより豊かなコミュニケーションが可能な空間になってきている.これまでのサイバースペースの移動インタフェースには, 手による操作や視線方向を利用したものが多かった.しかしコミュニケーションにおいて豊かな表現力をもつ手や視線を, 移動のためのインタフェースに利用するのは適当ではない.本論文は, HMDを用いたサイバースペースでの使用を前提に, 足による移動インタフェースを提案する.本論文のインタフェースでは, ユーザは円盤に乗り, 進みたい方向に体重を移動することでサイバースペース内を自由に移動できる.本論文では, まずサイバースペース内を移動するためのインタフェース技術を整理し, それをもとに新しいインタフェースの設計を明らかにする.最後に本インタフェースを使用したユーザの移動軌跡と使用感に関する報告をまとめ, 本インタフェースの効果を整理すると同時に, 身体の向きを変えるときの足の踏み換え動作によるノイズなど特有の課題を示す.
著者
結城 昭正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.653, pp.5-8, 2005-02-03

24th IDRC/IMID'04のAPV&3Dセッションは、8月25日の午後に約60名の聴衆を集め行なわれた。このセッションでは6件の論文が発表され、内4件は画像データ処理によるコントラストなどの画質の改善に関するものであり、2件が3D関連であった。3D関連では、他のセッションでこれらの他に4件が発表されており、合計6件の発表が行なわれた。
著者
永沼 宙 徳田 功 木村 美和子 今川 博 榊原 健一 田山 二朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.399, pp.5-10, 2007-12-12
参考文献数
6

声帯麻痺による音声障害は声帯の複雑な非線形振動に起因しており,病態との関連については未解明な問題が多い.声帯数理モデルの異常振動解析による音声障害の理解は,音声外科手術に際しても重要な知見を与える可能性がある.声帯モデル研究では,単純な二質量モデルから複雑な多質量モデルに至るまで様々のモデルが存在するが,これまでは,声帯の標準的かつ定性的な性質に着目することが主流であり,実際の声帯計測データの個々の定量的性質を反映したモデル化を目指した例は0少ない.本研究では,高速デジタル撮影法を用いて臨床的に計測された声帯の異常振動データに対して,その定量的性質を実現するために,数理モデルのパラメータ推定を行う.数理モデルには非対称な二質量モデルを用い,声門下圧,左右の声帯張力,声門開口面積などのパラメータを推定する.外科手術前後のデータを用いることにより,手術効果がパラメータの推定結果に反映されているかを判定する.これによって,数理モデルによる音声外科手術のシミュレータが構築可能かを検討する.
著者
五十嵐 洋介 白石 善明 森井 昌克 澤邊 正彦 今 敏則 向井 祐之 小松 尚久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OFS, オフィスシステム
巻号頁・発行日
vol.97, no.66, pp.13-17, 1997-05-23

電子メールの普及にともない,現存の郵便システムへの応用が実現可能となりつつある.本稿では,電子認証技術を郵便に応用し,オンラインで郵便の受け付けを行う新しい郵便システムについて考察する.本郵便システムでは,電子メールと現存の郵便との融合がはかられ,電子メールによって伝達すべき内容と相手先住所を郵便局(本システムのサーバ局)へ送り,郵便局では,差出人と郵便局側で,相互認証を行い,相手先に対しては伝達すべき内容をハードコピーし,郵便物として送り届けるシステムである.特に本稿では電子媒体に記された内容と印刷された紙媒体の上での内容の同一性について議論する.
著者
赤尾 慎吾 佐久間 正典 小針 健太郎 山本 祐太朗 野口 和洋 中曽 教尊 辻 俊宏 山中 一司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.212, pp.81-86, 2008-09-18

安全・安心のために、ユビキタスな多種類ガス分析装置の要求がある。多種類のガス検出手法として、ガス成分の時間分離を原理としたガスクロマトグラフ(GC)が多く使用されているが、キャリアガス等のユーティリティが必要でかつ装置が大型であることから、ガスをサンプリングして分析室内での使用を余儀なくされてきた。我々は、小型で室温動作可能な球状弾性表面波(SAW)センサを開発してきた。SAWを球の表面に特定の条件で励振させることにより、無回折な自然な平行ビームとして多重周回させる事で長距離伝搬を可能にした。このため、音速の変化や強度の減衰率が超高感度で計測できる。この技術をGCに応用することで、小型で、高感度な多種類ガスセンサを提案する。
著者
池野 英利 村岡 智之 西垣 浩也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.97, no.45, pp.91-97, 1997-05-16

ミツバチは2つの刺激を組合せて与えることによって,連合学習を獲得することが知られている.この学習メカニズムは,刺激の受容から行動の制御に至る神経回路の最も基本的な記憶機能であり,連合学習という立場で神経系の機能を統一的に捉えることができると考えられる.ミツバチのパターン識別についての行動実験では,分岐路の片側に餌が置かれたY字迷路により訓練が行われる.本研究では,連合学習を基に,このY字迷路におけるミツバチのパターン識別から行動制御に至る神経機構を数理モデルで記述した.これにより,Y字迷路におけるミツバチの行動について,時間的変化を含む解析が可能となった.
著者
大岩 政基 南 俊輔 辻 健一郎 小野寺 紀明 猿渡 正俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.93, pp.31-36, 2009-06-12

時間軸Talbot効果(TTE)を用いた全光クロック抽出法は,OOK(On-off keying)変調された信号光に伝送速度で定まる特定の1次の波長分散を与えるだけで光クロックパルスが抽出できる.しかし,本方法は信号光に{0}符号連続が生じると,抽出光パルス列に長周期の振幅変動が生じる難点がある.一方,能動モード同期を利用した全光クロック抽出法として,SOAファイバリングレーザ(SOA-FRL)への光注入法が報告されている.この方法は,ファイバ共振器中に光遅延回路を挿入することにより任意のビットレートに適用可能となる利点があるが,SOAの変調速度制限のため,出力パルス列に短周期のパターン効果が生じる欠点がある.本報告では,上記の2つの方法を組み合わせることで互いの欠点を補償した新規の全光クロック抽出法を提案し,その動作特性を評価する.
著者
大岩 政基 南 俊輔 辻 健一郎 小野寺 紀明 猿渡 正俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OPE, 光エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.92, pp.31-36, 2009-06-12

時間軸Talbot効果(TTE)を用いた全光クロック抽出法は,OOK(On-off keying)変調された信号光に伝送速度で定まる特定の1次の波長分散を与えるだけで光クロックパルスが抽出できる.しかし,本方法は信号光に{0}符号連続が生じると,抽出光パルス列に長周期の振幅変動が生じる難点がある.一方,能動モード同期を利用した全光クロック抽出法として,SOAファイバリングレーザ(SOA-FRL)への光注入法が報告されている.この方法は,ファイバ共振器中に光遅延回路を挿入することにより任意のビットレートに適用可能となる利点があるが,SOAの変調速度制限のため,出力パルス列に短周期のパターン効果が生じる欠点がある.本報告では,上記の2つの方法を組み合わせることで互いの欠点を補償した新規の全光クロック抽出法を提案し,その動作特性を評価する.
著者
吉田 秀史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.653, pp.9-12, 2005-02-03

2004年8月23日から27日に開催されたIDRC/IMID国際会議における液晶ディスプレイ関連の発表について紹介する。広視野角化技術、高速応答化技術、高精細化技術、低消費電力化技術、半透過技術など多くの新技術が報告された。
著者
山本 拓弥 久保 満 河田 佳樹 仁木 登 大松 広伸 金子 昌弘 柿沼 龍太郎 森山 紀之 江口 研二 森 清志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.576, pp.77-82, 2003-01-16
被引用文献数
2

我が国の部位別がん死亡率の第一位は肺がんであるため,その死亡率減少を目的とした肺がんCT検診に大きな関心が寄せられている.これは同一被検者の撮影日時が異なる2つのCT画像を用いて比較読影を行い,経過観察することにより早期肺がんの診断をしている.この問題点は,読影の準備と大量の画像を読影することが,専門医に大きな負担となることである.この問題点を解決するため,同一被検者の複時相間の画像データを検索し,対応する画像同士の体軸方向の位置を合わせる処理が必要となる.本研究では集検用CT画像データを用いて,肺容量の経時変化の解析を行い,その結果に基づいて画像位置合わせアルゴリズムを作成,有効性を示す.
著者
飯島 裕一 石川 佳治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.781-794, 2010-06-01

移動ロボットやモバイルセンサネットワークなどの位置情報を利用したアプリケーションでは,最近傍問合せは重要な問合せとして位置づけられている.しかし,制御ノイズや測定誤差などの理由により問合せを行うオブジェクトの位置があいまいな位置情報としてしか得ることができない場合が存在する.そのため,位置のあいまい性を考慮した問合せ処理手法が必要とされている.そこで本論文では,問合せを行うオブジェクトの位置が正規分布の確率密度関数によってあいまいな位置情報として表現されている状況における最近傍問合せの処理手法を提案する.まず通常の最近傍問合せを拡張した確率的最近傍問合せを定義し,この問合せを効率的に処理するための戦略として二つの問合せ戦略を提案する.どちらの戦略も,問合せの対象となるオブジェクトの集合から明らかに問合せを満たさないといえるものを求めることで計算コストの削減を図るが,その方法が異なっている.これら二つの戦略にそれらのハイブリッド方式の戦略を加えた三つの戦略に対して,実験によって性能の比較を行った結果についても報告する.
著者
原田 達也 中山 英樹 國吉 康夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.857-869, 2010-06-01

本論文では実世界でユーザの見たものを瞬時に記述・蓄積し,後で言葉を用いて検索可能とするAI Gogglesを提案する.これは,カメラを備えたゴーグル,タブレット型計算機とHead Mount Displayからなるウェアラブルシステムである.本システムは以下の五つの機能を特徴とする. (1)高速かつ高精度な画像アノテーション・リトリーバル機能, (2)画像の大域的な情報から画像に写る対象を推論する機能, (3)安定かつ高速な追加学習機能, (4)常にデータが増え続ける状況に対応可能な機能, (5)意味に基づいた特徴抽出を行える機能.標準的なデータセットを用いた実験では,本手法が精度の面で2008年度の最良手法と同等の性能を示し,計算速度では上回ることを示した.更に,屋内と屋外の双方における実験を実施し,提案システムは統制困難な環境において予測できない認識対象の追加に対応可能であり,安定して動作することを確認した.
著者
大倉 昭人 川上 博 井原 武 三浦 章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.274, pp.31-34, 2004-08-26

次世代移動体通信網としてIPネットワークの検討が進んでいる。IPネットワークでは様々なトラヒックの品質要求に応じたQoS制御が必要であるが、移動体通信網は花火など端末集中による輻輳や、地震など災害地への呼集中による輻輳の影響を受けやすい。本研究ではIPセルラ網に向けたロバストなQoS制御方式に関し、トラヒック異常検出に基づく予測制御と、線形最適化を応用したマルチパス制御を提案し、シミュレーション評価により方式の有効性と適応範囲を明らかにした。
著者
塩川 浩昭 北川 博之 川島 英之 渡辺 陽介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.767-780, 2010-06-01
被引用文献数
2

近年,実世界から得られるストリームデータに対する問合せ要求が増大し,それらを実現するストリーム処理システムが研究開発されてきた.そして,地理的に離れた情報源の統合や負荷分散を実現させるために,ストリーム処理システムを分散配置させて利用する分散ストリーム処理システムが注目されている.分散ストリーム処理システムでは,複数のストリーム処理システムの入力と出力をつなぎ合わせることにより分散環境を構築するため,分散配置されたノートが一つでも停止してしまうと,システム全体が停止してしまうという問題がある.この問題を解決するため,本論文では,分散環境において高信頼化を実現するSemi-Active Standby方式を提案する.本方式は,既存方式であるActive Standby方式,Upstream Backup方式を統一化した方式であり,高信頼化におけるリカバリ時間とバンド幅使用率の調整を可能にする.本論文では,Semi-Active Standby方式の動作特性の詳細について述べる.また,我々が開発したプロトタイプシステムで行った評価実験について述べる.
著者
高橋 和哉 中村 勝一 山崎 克之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.1065-1066, 2010-06-01

超音波測距センサを用いた人群観測ネットワークを設計・実装した.人検出時間率の考え方により人群観測を実現し,計算時間も実用上問題ないことを実証することで,コストやプライバシーの課題を解決した人群観測の実用性を示した.
著者
石田 亨 村上 陽平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.675-682, 2010-06-01
被引用文献数
1

Wikipediaなどの集合知を形成する取組みが,Web上での知識の集積に大きく寄与し始めている.現在進んでいる集合知の形成が,文章,写真,動画などを組み上げていくコンテンツ指向の集合知であるのに対し,本論文で扱うのはサービスを組み上げるサービス指向の集合知である.サービス指向の集合知は,これまでもいくつか試みられているが,Wikipediaのような典型的な成功例はまだ現れていない.本論文ではWebサービスを要素として集合知を形成する枠組みをサービスグリッドと呼び,大学や研究機関などの非営利組織を中心とする公共的なサービスグリッドの制度設計を試みる.特に,サービス提供者,サービス利用者,サービスグリッド運営者という3種のステークホルダーの立場から,それぞれ(1)知的財産権,(2)応用システム,(3)連邦制運営について議論を深める.