著者
青山 明雄 水口 博則 吉田 尚正 後川 彰久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム
巻号頁・発行日
vol.97, no.399, pp.51-58, 1997-11-26
被引用文献数
14

著者らは、これまでに次世代移動通信システム (IMT-2000) に向けてDS-CDMAに基づくセルラシステムを提案し、その試作システムの開発、室内/屋外実験を通して実用性検証を進めてきた。本稿では、CDMAシステムで高精度にマルチパスのタイミング同期を行うパスサーチ方式を開発し、試作システムを用いた室内/屋外実験により、開発方式の有効性を確認したので報告する。実験の結果、約0.625ms間隔毎に挿入されたパイロットシンボル (3 シンボル) を利用する方式において、相関値を6または9シンボルに渡り同相加算する方法が雑音抑圧に優れ、80msのパスサーチ時間でパスを検出できることを示す。また、遅延プロファイルから複数パスのピーク検出を行う場合、0.25チップ分解能において最小選択パス間隔は0.75チップが最適であることを示す。
著者
表 英毅 藤井 輝也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.389, pp.35-40, 2002-10-11
被引用文献数
10

移動通信において新サービスを創生させ得る有望な技術として、移動体システム内で閉じて利用できる高精度な移動体の位置検出技術がある。著者らは、MUSICアルゴリズムを用いて電波の到来方向を測定し、それに基づいて移動局の方向を推定する方法を提案した。本稿では、基地局で受信する複数の電波(パス)から先頭波を分離して受信し、移動局方向を高精度に推定する方法を提案する。そして提案法の推定精度を実際の伝搬環境を模擬できる時間・空間パスモデルを用いて評価する。
著者
表 英毅 藤井 輝也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.367, pp.143-149, 2001-10-12
被引用文献数
10

アダプティブアレイアンテナやダイバーシチ送信・受信等の空間処理を精度よく評価するためには時間・空間パスモデルが不可欠である。筆者らは、電波が移動局の周辺の全方向から一様に到来してくると仮定したClarkモデルを拡張した時間・空間パスモデルを提案した。本稿では、移動局周辺の散乱体円盤状に、離散的な反射点を複数設定することで構成する時間・空間パスモデルを提案する。提案したモデルが離散的反射点の数を変えることで様々な市街地での測定結果(伝搬遅延プロファイル、電波の到来角度プロファイル)をよく説明できることを示す。
著者
加藤 敏洋 平田 富夫 斉藤 豊文 吉瀬 謙二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.78, no.12, pp.1750-1757, 1995-12-25
被引用文献数
11

本論文では,サイズがN×Nの2値画像のユークリッド距離変換をO(N^2)時間で実行するアルゴリズムを与える.距離変換とは,入力として与えられた2値画像の各画素についてそこから最も近い0画素への距離を求める処理で,ディジタル画像処理における基本的な処理である.このアルゴリズムは,4近傍距離や8近傍距離などユークリッド距離以外の他の距離についてもアルゴリズム中の距離関数を置き換えるだけで距離変換が実行でき,その意味で一般的な距離変換アルゴリズムとなっている.また,p(1≦p≦N)台のプロセッサを用意すればO(N^2/p)時間の並列アルゴリズムが得られ,これまでの並列アルゴリズムより効率が良い.
著者
桑原 恒夫 玉城 幹介 山田 光一 中村 喜宏 満永 豊 小西 納子 天野 和哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.1013-1024, 2000-09-25
被引用文献数
22

我々が提案しているCAIと教師がリアルタイムで協調しながら教育を行う個人進度別教育支援システム(MESIA)では, CAIと教師が行き詰まった生徒に対して様々な方法で支援を行っている.本論文では専門学校におけるMESIAを用いた教育実験において, これらの機能の有効性を生徒の主観評価, 利用率, テストの解答の正解化(誤答から正解への変化)への寄与で評価した結果を述べる.その結果, MESIAに実装した機能のうち, CAIから与えられた小テスト, 正解に近い誤答に対するヒント(以後, ヒントという), 解答の作成指針を与えるヒント(以後, HELP/MOREという), 教師から与えられるメッセージが特に有効であることを示す.また教師によるメッセージは同一テスト中に与えられる一連の支援の後半に利用率が高く, その正解化への寄与率が他の支援と比較して最も高いことと相まって, 行き詰まった生徒に対する切り札的な支援になっていることを示す.ただし正解化に寄与した支援数自体は, CAIによる支援数の合計がこの教師によるメッセージの支援数よりはるかに多く, CAIの支援機能によって教師の稼動が大幅に減少していることを述べる.
著者
有本 隆彦 前川 聡 藤原 義久 小谷 学
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.736, pp.159-166, 2002-03-12

前腕皮膚表面上に16チャンネルの電極を4x4のアレイ状に配置し,薬指の等尺性収縮時における双極誘導表面筋電図の計測を行った.各チャンネルの信号が,複数の運動単位を信号源とする筋電位の時空間的な重ね合わせであるという仮定にもとづき,多チャンネルブラインドデコンボリューション法を適用した.その結果,複数の運動単位を推定した.推定された運動単位に対して,出力される際に通されるフィルタのインパルス応答や,発火間隔の分布を調べ,生理学的知見と整合的であることを確かめた.
著者
三輪 譲二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.470, pp.199-204, 2009-02-28
被引用文献数
1

本報告では、ユビキタス環境における漢字学習支援システムの運用評価結果について述べる。このシステムは、連合学習支援、手書き漢字入力を用いた辞書検索支援、漢字文章読解支援の3つの支援機能を、世界の漢字学習者に無料で公開している。このシステムは、Webベースのため、パソコンばかりでなく、iPhoneなどのユビキタス環境でも利用できる特色をもっている。また、連合漢字学習支援のページでは、約1年間の公開運用実験の結果、iPhoneやiPod Touchからの利用が約16%あり、ユビキタス環境での学習支援システムが益々重要になってきていることが分かった。
著者
亀山 博史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-03-27

k最近傍(k-NN)識別は大規模な学習サンプルが準備できる場合には高い認識精度が得られるが,最近傍探索の処理時間が問題となる.2分木の各ノードに左右の部分木の勢力半径を付与した木(K-M木)を用いた文字認識の高速化について検討した結果を報告する.部分木探索の条件を不完全にしても最近傍点に近いパターンが探索され,そのとき認識精度は保たれたままで大幅な探索時間の削減が行われた.
著者
金田 泰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.134, pp.79-84, 2007-07-05
被引用文献数
1

RSVPやNSLPにちかいプロトコルによって端末からつたえられるQoS要求をコア網で集約してスケーラブルなQoS保証を実現する方式を設計・試作した.要求はポリシールーティングとアウトソース型のプロトコルによってポリシーサーバにつたえられる.ポリシーサーバが要求をもとにトラフィック量を予測してコアノードのキュー(WFQ)の帯域分割を制御する.このコアノードの制御の効果をL3スイッチGS4000にMMPPモデルにもとづくバースト性トラフィックをとおして評価した.その結果,大量の会話ビデオ・トラフィックとストリーミング・トラフィックとがあるときに,WFQにおける前者のウェイトを後者よりたかめれば,しかるべき条件のもとでは両者ともに満足させられることがわかった.
著者
LEE H.C. KYUNG C.M
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
IEICE transactions on communications (ISSN:09168516)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.192-195, 1997-01-25

A network with input and output buffer is proposed. It consists of several switching stages composed of 3×3 basic switching elements which are connected with perfect shuffle and horizontal connections. The proposed network reduces the required number of stages, and increases the fault tolerance due to its highly regular connection scheme. Its performance was evaluated with computer simulation under bursty traffic environment. For a 128×128 switch with 11 switching stages, a packet loss ratio of 10^lt-6gt was obtained when the input load is 0.8 and the burstiness is 10.
著者
秋水 和計 石井 健司 金田 茂 品川 準輝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.386, pp.1-4, 2003-10-17
被引用文献数
1

移動体通信網ではユーザや通信デバイスの移動に伴って、トラヒックの発生場所が時間と共に変わり、網内におけるトラビックの交流状況が変動する。我々はこの点に着目し、この変動に対してパス構成やノード機能配置を動的に最適化するための制御技術「Dynamic Network Topology Control」を検討した。本発表では本技術のフレームワークの提案と移動体通信トラヒックの分析手法、及びパス変更制御により想定されるコスト低減効果の評価手法について報告する。
著者
小柳 幸次郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-I, エレクトロニクス, I-光・波動 (ISSN:09151893)
巻号頁・発行日
vol.81, no.10, pp.602-604, 1998-10-25
被引用文献数
2

擬似位相整合アップコンバ-タを用いた光波長分割多重の分波と, ポンピング光の波長と入射角度の走査による光パス変更を考え, 非線形媒質としてLiNbO_3を用いた場合の基本特性を理論的に検討している.
著者
曽根 広哲 吉田 泰明 平手 勇宇 山名 早人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.93, pp.89-94, 2008-06-19
被引用文献数
2

検索エンジンはインターネットで情報を探す手段として欠くことができない.また,ユーザは検索エンジンの検索結果から得られる情報はテレビからの情報とほぼ同等の信頼性があると認知しているという調査報告がある.すなわち,検索エンジンのランキングを調べることによって,あるサイトが社会に与える影響力の一端を把握できると考えられる.本稿では,今やインターネット上の百科事典の代名詞ともなったウィキペディアが社会に与える影響力を調べることを目的として,日本語版ウィキペディアの検索エンジンにおけるランキング解析を行った.実験の結果,全記事のうち,上位10位以内にランキングされた記事はYahoo! JAPANとGoogleでは約9割,MSNでは約7割となった.また,Yahoo! JAPAN,MSNともに,ウィキペディアの新規記事は「はてなダイアリーキーワード」と比べ,最初から上位10位以内に現れる傾向が強く,上位のランキングを維持する傾向があることが分かった.以上のようにウィキペディアの影響力は大きいものであるということが実験結果から確認できた.
著者
倉谷 直彦 横田 昌彦 久芳 義治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.608, pp.25-30, 2002-01-18

ADS-B(放送型自動従属監視)に関して、諸外国で評価試験が行われている。大型機を含めた航空界全体としてADS-Bが導入されようとしている中で、特に我が国でのヘリコプタを含む小型機の運航支援への活用を中心に考察した。小型機の運航管理の現状について述べ、例としてドクターヘリの運航管理通信のニーズについて述べる。ADS-Bの一種であるGPSデータリンク・システムを開発し、2001年9月1日に東京で実施された防災訓練「ビッグ・レスキュー東京2001」にて、ヘリコプタ搭載の機上装置と病院に設置した地上局のデモを実施した。その結果、有効性が示された。最後に、将来に向けたADS-Bの活用提案を示す。
著者
北村 直人 川崎 順治 加藤 恭子 飯島 泰蔵
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.324, pp.7-12, 2003-09-18

人間は,1画素ごとには白黒の2値画像を見ても全体を眺めると,擬似濃淡画像として認識できる経験をしている.我々は今までに,外界・網膜・脳を通して階層的に行われ擬似濃淡画像として認識する視覚モデルとその等価近似法を構築し,各種変調画像の画質評価法を提案した.本論文の目的は,従来の等価近似法において,窓のサイズが変調方式によって異なる不便さを解決する.更に窓のサイズを見つけることが困難な変調方式の場合でも評価できるように,固定型等価近似法を提案することである.窓のサイズと最良近似項数を固定しパルス密度4分割法,組織的ディザ法,平均誤差最小法,単純2値化法,ランダムディザ法の主観的な優劣が近似度で評価でき,固定型等価近似法の有効性が示された.更に,固定型等価近似法による評価が視覚モデルによる方法や等価近似法と比較して,ほぼ同精度ではるかに短時間に高速計算ができることにより,画像や変調方式の数が増えても作業時間的により簡便な方法であることが明らかになった.
著者
川島 啓吾 橘 誠 山岸 順一 小林 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.496, pp.151-156, 2005-12-15

本論文では, 多空間上の確率分布(MSD)に基づくHMMを用いた音声の感情・発話様式の識別について検討している.MSD-HMMにより音声のスペクトル情報と基本周波数(F0)の同時モデル化を行い, 複数の話者の平静調音声で学習されたユニバーサルバックグラウンドモデル(UBM)を目標話者・スタイルの少量の文章によりモデル適応し, 話者及びスタイルの同時適応を行ったモデルを用いて識別を行っている.まずMSD-HMMを用いて特徴量にF0を含めることで識別率が改善することを示し, 次に, 適応時の初期モデルとしてUBMを用いる場合と, 目標話者の読上げ音声から作成した話者依存モデルを使用する場合の比較を行い, UBMを用いて話者とスタイルの同時適応を行った場合においても, 話者依存モデルと同等の性能が得られることを示す.最後に, ナレーション経験のない話者の音声を用いた評価実験を行った結果を示す.
著者
馬 培金 河野 善彌 陳 慧 ファー ベルーズ H.
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学
巻号頁・発行日
vol.98, no.637, pp.17-24, 1999-03-05

この論文は知識工学的に電子秘書を作る研究である。組織の幹部に仕える幹部秘書は、標準化された手順で高度で気の利いたサービスを提供する。これをエキスパートモデルにとり、入出力関係に着目し書面により知識を獲得しつつ、知識構造モデルを求める事をボトムアップに行なった。最下位の対話の知識構造から始め、情報取得、判断、交渉の知識モデルを得た。これらは多階層の状態空間の中に位置づけられ、多階層化、状態の細分化を行なえば、如何様にでも高度化できる。具体的な書式での知識獲得、その高度化、構造化の実際を詳しく説明している。このように得た知識構造モデルはそのままソフトウエア化でき、優れた秘書の行動を再現でき、また、細部構造では認知科学の道具になり得る。