著者
森 幸男 相川 直幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.95, no.227, pp.15-20, 1995-09-12

本研究では、主成分分析技法を用いて日本語単母音の特徴を抽出し、不特定話者の母音の認識を試みた。本方法は、音声の短時間スペクトル包絡を用いて主成分分析を行い、各主成分ごとの主成分得点の分布を得る。この分布の幾つかは、母音ごとに集中する傾向がある。そのような主成分で任意の音声の主成分得点を求め、あらかじめ求められた分布と比較し、候補母音を決定する。本研究では、40話者の5母音を用いて分析し、任意の14話者の5母音を認識させたところ、91.4%という比較的高い認識率が得られた。
著者
遠藤 守 安田 孝美 横井 茂樹 林 良嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.637, pp.37-42, 2002-01-31

コンピュータ上に構築した3次元の仮想都市空間内に仮想人間を導入するための仕組みを提案し,都市空間を構成する物体を効果的に管理する手法を開発した.本稿では仮想人間の動作を付与する仕組みを提案し,インデックスに基づくデータベースを用いてすべての情報を管理する具体的な仕組みについて述べる.提案手法を実現するにあたりインターネットを通して操作可能なインターフェースからなるシステムを構築した.これによりコンテンツ作成者や利用者は容易に都市空間を構築・体験することが可能となる.また構築したシステムの応用として空間内のキャラクタを主人公としたドラマ化手法を開発し,コンテンツを製作したのでここに報告する.
著者
高橋 弘太 蔦木 圭悟 吉原 亨
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.337, pp.227-232, 2008-12-02
被引用文献数
2

高齢者に確実に音声を聞き取らせるには,どうしたらよいか,また健常者に対しては,短い時間でより多くの音声を聞き取らせるには,どうしたらよいか.これらの研究を行うためには,正確な時間管理のもと,同じ音声を同じ話者が話速を変えて発声した音声のデータベースが必要である.しかし,現時点では,そのような目的で大規模に作られた音声データベースは存在しない.そこで,我々は,平成20年度〜平成22年度の科研費の研究として,さまざまな話速で録音した音声データベースを構築している.今回は,このデータベースの紹介を行うとともに,会場で音声の研究者の生の意見やコメントをうかがって,今後のデータベース作りに反映させていきたいと考えている.また,我々は,音声データベース作成のために,話速を正確に管理しつつ録音できるシステム(原稿提示システム)も製作した.システムはパソコン上で動くもので,将来は,このソフトも公開して,電通大外でも音声を追加できるようにしたいと考えている.当日は,このシステムの機能と,どのような工夫がなされているかについても紹介したい.
著者
岩城 正和 千葉 晋一 盛田 章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.97, no.515, pp.1-7, 1998-01-29

1998年の長野冬季五輪のスケート競技の国際信号制作で使用することを目的に、氷中マイクロホンシステムを開発した。このマイクロホンはスケートリンクの氷の中に埋めて使用するため、観客の声援などの空気中の音を拾うことなく、氷の中から選手が滑る音だけをはっきりととらえることができる。スピードスケートのリンクには10m間隔に40個を使用し、選手の動きを追尾して自動的にミキシングするシステムも合わせて開発した。スピードスケート、アイスホッケー、ショートトラック 、ボブスレー/リュージュの各競技に使用する予定である。
著者
斎藤 豊文 森 健策 鳥脇 純一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.1675-1685, 1996-10-25
被引用文献数
70

本論文では,ユークリッド距離変換を用いた3次元ディジタル2値画像に対する薄面化および細線化手法を提案し,その性質について述べる.本論文の手法は従来提案されていた手法に対して,特に図形の回転依存性が大幅に改善されている.3次元画像の薄面化/細線化は2次元画像における細線化に対応する基本的な処理であり,図形の構造解析などに利用される.しかし,従来提案されていた手法は図形を主に6方向から順に削っていくというものであり,入力図形が回転した場合,薄面化/細線化結果が大きく変化していた.本手法ではユークリッド距離変換の結果を用いることにより,図形の回転依存性を改善した.
著者
山口 留美子 渡辺 昭則 佐藤 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.137, pp.57-62, 1999-06-24

ポリ酢酸ビニル(PVAC)をケン化反応させることによって得られるポリビニルアルコール(PVA)において、そのケン化度と液晶配向特性の関係について実験、測定を行った。すなわち、PVAC膜または種々のケン化度のPVA膜を用いて流動配向、またはラビング処理によるホモジニアスセルおよびTNセルを作製し、配向状態の観察と方位角アンカリング力の測定を行った。ホモジニアスセルでは、方位角アンカリングがケン化度の増加とともに増加すること、PVACや低ケン化度PVAでは時間経過とともに配向が液晶の相転移に対して安定し、アンカリング力が増加することが確認された。TNセルでは、PVACや低ケン化度PVA配向膜では、液晶注入から時間とともにねじれ角が減少することが確認された。このため、ホモジニアス配列とTN配列では異なるアンカリング力が現れる結果となり、高ケン化度PVAにおいても、TNセルではホモジニアスセルと比較し,低いアンカリング力が得られた。以上の結果から、液晶の配列が配向界面に及ぼす影響を議論した。
著者
園田 智也 後藤 真孝 村岡 洋一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.97, no.560, pp.25-32, 1998-02-19
被引用文献数
3 7

本稿では、WWW上で動作する、歌声の旋律からその曲のタイトルを検索するシステムについて述べる。歌声による検索では、入力の旋律情報(音高・音長)が正確とは限らないため、閾値によってそれらを粗い旋律情報に変換したものを検索キーとし、データベースの曲とのマッチングを行なう。しかし、このための適切な閾値の設定は難しく、特に音長情報においては、有効な検索キーを得ることが困難であった。また、粗い旋律情報では正答の絞り込みも難しい。そこで、本研究では(1)有効な検索キーを得るための最適な閾値を設定する手法、(2)データベースの曲から正答の曲の候補を精度良く絞り込むためのマッチング手法の2つを提案することで、従来手法よりも正答率の高い検索を実現し、WWW上で複数の利用者が活用できるシステムを構築できた。
著者
鵜沼 宗利 武内 良三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1822-1831, 1993-08-25
被引用文献数
30

コンピュータグラフィックスの表現能力が飛躍的に伸び,さまざまな分野でリアルな物体表現,リアルな動作表現が求められている.コンピュータグラフィックスで扱う物体の中でも人間は非常に身近な存在であり,非常に多くの用途が考えられるが,いまだに十分な表現がなされていない.本論文では,人間の歩行動作を簡単な手続きでリアルに表現する手法を提案している.まず,実測した人間の歩行動作を周波数解析し歩行動作の基準となる基準歩行動作と動作の特徴を表す特徴量成分に分離し,それぞれをデータベースに登録する.歩行動作の生成は基準歩行動作と特徴量成分を足し合わせることにより行う.歩行動作の変更は特徴量成分を差し替えるだけでできる.また,特徴量成分の重みを変えることによる特徴量成分の内挿・外挿表現ができる.例えば二つの成分の中間の歩行表現あるいは特徴量成分を強調した歩行表現などである.重みを変化させると歩行動作は滑らかに変化する.更に,特徴量成分を複数足し合わせることにより新たな歩行動作の生成といった実測データ以外の歩行表現もできる.
著者
平野 拓一 杉山 哲也 広川 二郎 安藤 真 永堀 仁 齋藤 和男 谷口 徹 小山 佳也 黒澤 泉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.117, pp.101-105, 2009-07-01

準ミリ波およびミリ波固定無線アクセス(FWA)の伝搬特性、PHSとの異種ネットワーク接続性などを調べるために、東京工業大学大岡山キャンパス内にモデルネットワークを構築した。キャンパス内の7つの建物の屋上に25GHz帯無線機を用いたFWA基地局を設置し、それらを結ぶ最長1km、最短80mの10回線の準ミリ波ネットワークを構築した。基地局の基幹回線応用を想定して、それら7つの建物のうち3つの建物にPHSの基地局を設置た。本報告では構築した準ミリ波モデルネットワークを用いて25GHz帯の伝搬特性を調べた。5秒毎に降雨強度、受信強度、ビット誤り率(BER)を記録している。記録したデータを処理して、25GHzにおける降雨減衰、レドーム表面に付着した雨滴による減衰、垂直(V)偏波と水平(H)偏波の降雨減衰係数の違い、月毎の降雨強度の累積時間率分布を調べた。降雨減衰は理論値と良い一致を示した。
著者
青柳 秀和 橋本 章 木下 彬 青野 朋義 佐藤 倬暢
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.76, no.11, pp.722-729, 1993-11-25
被引用文献数
2

陽極化成の重要な作製パラメータである電流密度とHF水溶液濃度を系統的に変化させて多孔質シリコンの作製を行った.特に化成は一定温度のHF水溶液中で均一な電流密度分布の条件のもとで行われた.本論文では化成時の作製条件から直接得られる諸性質である解離原子価,多孔率,層厚形成効率の作製条件依存性を示した.これに加えて硬度の計測結果から求められた多孔質シリコンの力学的強度と,一般に用いられている2次元正方格子状に配列した穴の円筒モデルから求められた多孔質シリコンの自立限界についての比較を試みた.
著者
織田 翔子 坂口 直 金谷 晴一 吉田 啓二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SCE, 超伝導エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.11, pp.39-44, 2006-04-13
被引用文献数
2

我々はマイクロ波帯における送受信機の小型化・高性能化のため、超伝導薄膜上にアンテナとフィルタを設計しフィルタを整合回路として用いる設計法を提案し、研究を進めてきた。今回はアンテナとして波長に対して十分短いダイポールアンテナを用い、任意の出力インピーダンスをもつ半導体チップに対する整合法を提案、設計し、電磁界シミュレータによる性能予測を行った。また、超伝導以外の導体を用いる際のアンテナ効率についても電磁界シミュレータにより評価を行った。
著者
阪口 啓
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SR, ソフトウェア無線 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.250, pp.159-164, 2008-10-15
被引用文献数
6

無線通信技術は一定の発展を終え,今後はヘテロジニアス無線分散ネットワークの時代に入ると予想される,本稿ではこのヘテロジニアス無線分散ネットワークの概念を道路交通網に準えて概説する.無線ネットワークと道路交通網はどちらも同様の発展を辿る社会インフラである.現状の無線ネットワークは一対向の通信をMIMOなどの技術を用いて高度に行えるようになったばかりである.これは道路交通網に例えると複数車線の道路を構築する技術を確立した段階である.よって次の段階として道路網構成の高度化(分岐,合流,複数ルート,対向車線,相互接続,交差点)や,既に構築された道路の相互乗入,ナビゲーションサービスの展開などが考えられる.この様に多様な構成要素や異種の道路から構成される道路交通網をヘテロジニアス道路分散ネットワークといい,各構成要素は分散しているが互いに連携して機能している.本稿は無線において,これらと同様のヘテロジニアス無線分散ネットワークが今後どの様に構築されるかを予想する.
著者
宮崎 明雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.143, pp.13-18, 2003-06-20

電子透かし(Digital Watermark)は、ディジタルコンテンツの中にその所有権や著作権などに関する様々な情報を電子的に透かしとして、人間に知覚されないように埋め込むもので、コンテンツの著作権保護、無断複製防止などの一手段として注目されており、最近盛んに研究がなされている。特に、ウェーブレット変換を用いた電子透かし方式は、透かしの耐生という点で優れているため、多くの研究発表がなされている。ウェーブレットに基づく電子透かし方式では、ウェーブレットに基づく圧縮符号化方式の場合と同様に、ウェーブレットフィルタバンクの選択が重要で、これが電子透かし方式の性能に影響を及ぼすことになる。従って、「電子透かしに適したウェーブレットは何か?」という問題が生じることになる。筆者は前稿で、量子化制御型電子透かし方式の場合について、透かし入り画像の品質と透かしの耐性の観点からウェーブレットフィルタバンクの評価を理論的に行い、上記の最適ウェーブレットフィルタバンク問題に対する一つの解を与えた。本稿では、相関利用型電子透かし方式の場合について同様の議論を展開する。
著者
宮崎 明雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.716, pp.7-12, 2003-03-11

電子透かし(Digital Watermark)は、ディジタルコンテンツの中にその製作年月日、所有権や著作権に関する様々な情報を電子的に透かしとして、人間に知覚されないように埋め込むもので、コンテンツの著作権保護、無断複製防止などの一手段として注目されており、最近盛んに研究がなされている。特に、ウェーブレット変換を用いた電子透かし方式は、透かしの耐性という点で優れているため、多くの研究発表がなされている。ウェーブレットに基づく電子透かし方式では、ウェーブレットに基づ<庄縮符号化方式の場合と同様に、ウェーブレットフィルタバンクの選択が重要で、これが電子透かし方式の性能に影響を及ぼすことになる。従って、「電子透かしに適したウェーブレットは何か?」という問題が生じることになる。本論文では、透かし入り画像の品質と透かしの耐性の観点からウェーブレットフィルタバンクの評価を理論的に行い、その結果に基づいて、上記の電子透かしにおける最適ウェーブレットフィルタバンク問題の解決を試みる。
著者
小塚 洋司 折井 謙
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学
巻号頁・発行日
vol.98, no.493, pp.85-90, 1998-12-18
被引用文献数
2

筆者らはこれまで、EMCの立場や周波数の有効利用の観点から、簡易な通信システムを提案してきた。本方式は、バーコードの原理を通信に応用したシステムであり「コードセンシング通信法式(COSCOS)」と称している。これまでこの方式の様々なセンシング方式を提案してきた。本報告では、バーコードの読み取り方式に磁界を用いているため耐環境性・機密性に優れる「磁気センサ」のセンシング感度の改善ついて理論ならびに静特性実験を行った結果について述べる。また、センサを筐体に入れシールドした場合についても特性の評価を行い、その総合的な特性から、従来のシステムに比べセンシング高、センシング感度の改善が出来たことついて述べる。
著者
唐 力 大矢 宗樹 佐藤 嘉伸 田村 進一 内藤 博昭 原田 貢士 小塚 隆弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.1009-1017, 1994-05-25
被引用文献数
1

標準MRI撮影中の体動により画像上に生じるアーチファクト(偽像)の除去手法について述べる.臨床診断においてしばしば問題となる呼吸に伴う頭部の上下移動を想定して位相エンコード軸(Y方向)のみの剛体平行移動を扱う.従来の発見的な繰返し処理による除去法と異なり,本論文では,MRI撮像過程と画像の特性の解析に基づき,MRI信号中の体動成分と画像成分を単純な代数演算により分離できる新しい拘束条件を導出する.MRI信号に対して読出し方向(X方向)の1次元フーリエ変換を行った後のY方向スペクトルの位相値は,画像自身の成分と体動の成分の和になっている.一方,頭部などの断層像において周囲の皮下脂肪部分の密度はほぼ均一であることが知られており,その上のY方向の1ラインの密度分布は対称とみなせる.密度関数が対称の場合には,スペクトルの位相は位置に対して,線形的に変化する.従って,その線形関数からずれた成分を体動として分離できる.この拘束条件に基づき,根拠の明確なアーチファクト除去手法を提案する.更に,体動の変動が激しい場合や,対称性がくずれる場合における影響を解析し,それに対する対応策も検討する.シミュレーションにより,本手法の有効性を明らかにする.
著者
工藤 栄亮 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.461, pp.103-107, 2003-11-15
被引用文献数
10

移動通信の世界では超高速データ伝送の要求が高まっている.データ伝送レートを高速化しつつ送信電力を低減するために,筆者らはバーチャルセルラシステムを提案している.分散配置された多数の無線ポートから構成されるバーチャルセルでは,移動端末の近傍の無線ポートで受信された信号はマルチホップ通信により無線ポート間を中断され,ネットワークと接続されている中央無線ポートへと転送される.このようなマルチホップバーチャルセルラシステムでは効率的なチャネル割当てが必要である.本論文では,チャネル棲み分け法を適用した自律分散型チャネル割当て法を提案している.全ての無線ポートへのマルチホップ通信経路を構築した後にチャネル割当てを行う.全ての無線ポートは各チャネルの優先度関数を記載したチャネルテーブルを具備し,送信する無線ポートが主導して優先度関数にしたがてチャネルを選択する.本論文では,チャネル割当ての失敗率を計算機シミュレーションにより求め,失敗率が最大許容ホップ数にほとんど依存しないことを示す.