著者
真壁 義明 柴山 秀雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.99, no.260, pp.41-48, 1999-08-27

本研究では, 非線形パラメータを含むヘルムホルツ共鳴器を考える. ヘルムホルツ共鳴器は, 音響抵抗, イナータンス, コンブライアンスを素子とする等価回路を構成することが一般である. ヘルムホルツ共鳴器が粘性材料等で構成されている場合には, 等価回路は, 時変, かつ非線形の素子を含むことが考えられる. そこで, 本研究は, 非線形パラメータを含むヘルムホルツ共鳴器から, 非線形微分方程式を導き, それをVolterra級数により級数展開することで, 共鳴器が有する非線形成分が出力に及ぼす影響を, 入力の多重積とVolterra核と呼ばれるパラメータの線形結合により記述した. その結果, 微分方程式の解は, それを級数展開して得られた出力と一致した。
著者
橋本 遼 新熊 亮一 小西 琢 田仲 理恵 板谷 聡子 土井 伸一 山田 敬嗣 高橋 達郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.122, pp.77-82, 2009-07-02
被引用文献数
2

情報通信技術の発達により,情報発信のコストは小さくなった一方で,受信者には多くの不要な情報も届くようになり,発信者側が情報をそれを必要とする人に到達させ,かつ,活用されるようにすることは非常に難しくなった.従来,情報受信者側の嗜好情報を取得し,それにあわせて情報を発信する方法が提案されてきたが,この方法は情報フィルタリングのために多大なコストを要する.そこで本稿では,知人や友人をHop-by-Hopに経由する口コミでの情報伝播に着目する.このように伝播された情報の魅力や信憑性は,一方的に届けられた情報と比べ高いと考えられる.また,情報は伝播させる人の嗜好に基づいてフィルタリングされるため,その情報を必要とする人のみに伝播させられる可能性がある.しかし,Hop-by-Hopの情報伝播には,情報を積極的に伝えない・受け取らない参加者が存在する,ある情報を必要とする参加者が必ずしも単一の(切れ目の無い)ネットワークを構成しているとは限らないといった問題がある.そこで,インセンティブ報酬付与による情報伝播の促進を提案する.モバイル端末を用いたFace-to-Face(F2F)での実証実験を行い,報酬付与による情報伝播制御の可能性を検証する.
著者
小林 敬 延原 肇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム
巻号頁・発行日
vol.108, no.461, pp.67-68, 2009-02-26

ソーシャルブックマークに見られるユーザ間の情報伝播を3次元空間において視覚化するために、個々のページに対する情報群を適切に加工する手法を提案する。この手法では、3次元空間の各軸に、ユーザID・被ブックマーク件数・タイムスタンプを対応させる。各情報の取得にはlivedoor Readerとはてなブックマークから提供されているAPI・RSSを用いる。3次元視覚化実験では、異なるカテゴリから被ブックマーク数が同程度のページを選択し、それらの視覚化を通して、数字だけでは観測しにくい注目情報の伝搬の把握に有用であることを示す。
著者
佐藤 彰洋 畑 雅恭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論
巻号頁・発行日
vol.94, no.295, pp.7-14, 1994-10-20

素数の平方剰余はLegendre系列と呼ばれ,良好な疑似乱数系列であることが知られている.また,数列Qと呼ばれる系列を利用した幾何学的な構成法も知られている.今回,この幾何学的な構成法に着目しLergendre系列の構造的な特徴を考慮し,与えられたLegendre系列の部分系列から系列発生に関する候補点を探索し,候補点から使用した素数pと部分系列の取り出し位置を求める手法を新しく考察した.この手法は筆者らが先に提案した方法よりさらに高速化できることが示された.この方法によれば計算時間がほぼpの1.1乗に比較し,一般の大さき素数の場合にも適用できる.また本手法が適用できるための素数,系列長,位置の関数について明らかにした.
著者
及川 敬敏 葛西 祐介 石山 敦士 中居 賢司 福島 明宗 伊藤 学 葛西 直子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SCE, 超伝導エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.139, pp.23-26, 2006-06-29

母親が緊張したり,リラックスしたりしている状態が胎児にどのような影響を及ぼすかについて興味がもたれている.そこで本研究では胎児心磁図(fMCG: fetal MagnetoCardioGram)の計測により,母親の心拍変動と胎児の心拍変動の関係を調べた.暗算およびクラシック環境下における母親の心電図と胎児のfMCGを同時計測し,母親と胎児の心拍変動とそのスペクトルを求め,心拍数,CV値(Coefficient of Variation),LF(Low Frequency),HF(High Frequency),LF/HFを算出した.それぞれの値から母親と胎児の心拍変動の関係について検討した.その結果,母親が緊張している場合には,胎児も緊張していることが多いことが分かった.
著者
小畠 直人 高岸 智 山尾 泰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.445, pp.319-324, 2009-02-25

大規模なワイヤレスアドホックネットワークの実現には,ネットワークを階層的に構築,管理するクラスタツリーネットワークが適している.しかし,クラスタツリーネットワークではネットワークコーディネータにトラヒックが集中し,ボトルネックが発生してスループットが低下する.また,隠れ端末による干渉が大きな問題となる。本稿では,CSMA/CA方式とマルチコード受信によるSS多重アクセスを組み合わせたアドホックネットワーク用MACプロトコルとして,マルチコード受信SS-CSMA/CAを提案する.また、有効にSS効果を得るため,提案法に対して階層化ネットワークでの二重拡散符号の割当法と,逆拡散後キャリアセンス法を提案する。この提案方式をスループット,パケット伝送成功率をIEEE802.15.4/ZigBeeを想定した環境で計算機シミュレーションにより評価した.この結果,提案法によって,総合スループットが大きく改善され,ネットワークコーディネータでのボトルネックを解消できることを明らかにした.
著者
撰 広嗣 丹所 啓太 石井 光治 石橋 功至 落合 秀樹 和田 忠浩 生越 重章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.445, pp.289-294, 2009-02-25
被引用文献数
1

近年,無線センサネットワークに関する研究が活発に行われ,様々なアプリケーションへの応用が検討されている.一方で,実装上における問題は多く残されており,特に電池の寿命に対する要求は十分満たされているとはいえない.本稿では,ZigBee開発キットによる野外・温室における通信実験を行い,現状の無線センサネットワークの問題点について議論するとともに,協力無線センサネットワークの必要性について議論する.
著者
大槻 正明 河合 真登 小八木 達也 福井 正博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.416, pp.49-54, 2008-01-09

システムの大規模化に伴い設計期間の短期間化・低消費電力化が求められるようになった.これらの要求を満たす為にはより抽象度の高い段階において短時間で且つ高精度な電力推定を行い,低消費電力化技術を施すことが重要である.本稿ではLook-Up Table(LUT)を用いた新たな高効率電力モデル化手法を提案する.従来の提案手法に対して,LUTの大きさを大幅に削減することができるため,RTLの電力解析,および電力ライブラリ構築の大幅な効率化が期待できる.実験により,従来手法に比較して,解析精度をほぼ同レベルに保ちながらライブラリ構築に要する計算時間を約1/10に削減できることを確認した.
著者
佐久間 正泰 小田 健市 高木 市教 三田 安幸 梅田 臣也 井上 誠喜
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.647, pp.125-130, 2005-01-28

ゴルフ中継において、3次元形状計測による正確なデータを用いて描いたCGで、グリーン上のアンジュレーション(起伏)をより分かりやすく表現できるシステムを開発した。バーチャルシステム用カメラ雲台を使い正確なカメラデータを取得することにより、グリーンの実写映像から、同じカメラ位置のCG映像に滑らかな乗り換えを行う。その後、ゴルフ選手が行うように、低い視点から、ボール側からカップ側、または、カップ側からボール側を見るなど、CG内で自由な視点変更を行うことで、効果的にアンジュレーションを表現できる。今回、このアンジュレーション表示システムの開発について紹介すると共に、第69回日本オープンゴルフ選手権中継で本システムを使用した例を報告する。
著者
福原 美三 仲西 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.470, pp.129-134, 2009-02-28
被引用文献数
2

オープンコースウェア(OCW:Open Course Ware)は大学講義情報の公開活動として世界的に拡大している.日本でもJOCW(日本オープンコースウェア・コンソーシアム)を中心に活動されており,この組織に21の大学が加盟し,講義情報公開を実施している.OCWでは当初,テキスト中心の講義ノートの公開が主流であったが,最近では多くの大学が講義ビデオを公開している.慶應義塾大学とNTTは共同研究の一環として複数の大学が自己設備を持たずに簡単に講義映像を公開・共有できるサイト(cliplife.jocw.jp)を構築し,公開を開始した.本講演では講義映像公開についての現状と共有サイト構築の概要について報告する.また,公開実験の状況についても最新状況を報告する.

1 0 0 0 私の失敗

著者
今井 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.725, pp.61-66, 2002-03-11

筆者の40年近い研究の中で,今から思えば失敗と思えることは数多い.連接符号,2次元系列と2次元巡回符号,CDMA方式およびその他局間干渉除去方式,BCH符号の復号法,マルチレベル符号化と多段復号法,多変数多項式に基づく公開鍵暗号,KPS(Key Predistribution System),ターボ符号と繰返し復号などの研究の中で,これらの失敗について述べる.
著者
雛元 孝夫 狩野 修治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.1214-1222, 1994-09-25
被引用文献数
19

高次誤差フィードバックを用いた状態空間ディジタルフィルタの出力雑音分散の最小化問題が取り上げられている.ここで,誤差フィードバックは任意の次数のFIRフィルタによって実現される.これにより,有限語長状態空間ディジタルフィルタの量子化誤差に起因するフィルタ特性の劣化を抑えることができる.本論文では,まず出力雑音分散を最小にする誤差フィードバック係数の最適解が導出される.次に,誤差フィードバックにおけるパラメータ数を減少させ,これに要する計算量の軽減を図るために,対称または奇対称の誤差フィードバック係数によって出力雑音分散を最小化する準最適解が導かれる.数値列では,最適係数または準最適係数の場合はもちろんのこと,それらを2のべき乗で丸めた場合においても良好な特性の得られることが示される.
著者
中島 一樹 南部 雅幸 辻 美和 秋廣 みどり 東 祐二 藤元 登四郎 田村 俊世 佐々木 和男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.81, pp.59-64, 2003-05-16

看護学校学生(36名)、民間病院の医療従事者(30名)および民間病院の外来患者とその家族(28名)に対し、コンピュータシステムの利用に関する意識調査を行った。さらに60歳から70歳までの高齢者に対して延べ20回の絵文字パスワードと数字の組み合わせによる暗証番号とによりログインの試行を行い、認証の成功率、および使用感の聞き取り調査を行った。これらの結果、数値よりも絵文字によるパスワードの成功率が高かったが、数値入力の方がわかりやすいとの意見が聞かれた。また、若年者と高齢者の双方で同等のパスワードの成功率が得られた。絵文字を個人に関係のある写真に変更した場合、パスワードとしての成功率は向上したが、他人によるなりすましも容易であることが確認された。
著者
稲葉 利江子 高崎 俊之 森 由美子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.640, pp.7-12, 2006-02-28

近年、多文化・多言語間でのコミュニケーションの重要性が注目されている。NPOパンゲアでは、世界の子供たちがインターネットを通して、言葉、文化、距離の違いを超えてつながりを感じられる環境を構築しようと、絵文字によりメッセージの交換ができる「コミュニケータ」の開発を行った。今回は、開発を行った「コミュニケータ」のユーザビリティ評価を小中学生を対象としたアクティビティの現場にて行った。そこで、子供たちのPCの利用率に関係なく使用できること、および、明らかとなった課題について報告する。
著者
吉滝 幸世 太田 雅敏 川口 明彦 石原 進 水野 忠則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SST, スペクトル拡散 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.678, pp.211-218, 2002-03-01

近年,携帯電話上で絵文字を利用したメールや,モバイルカメラで撮影した写真に簡単な加工を施して他人に送信するなどの,画像を利用したコミュニケーションが盛んに行われている.しかし,現在は携帯電話上でユーザが自由に画像を作成することはできず,利用できる画像は,端末内にあらかじめ用意されたものや,Web上からダウンロードしたものに限定される.そこで,筆者らは自作の画像による携帯電話でのコミュニケーションを可能にするツールとしてCONTE(Canvas ON mobile TElephone)を提案する.本稿では,CONTEシステムを設計,実装し,比較実験とアンケート調査による評価を行った.評価結果より携帯電話を用いたお絵描きツールの有効性が示された.
著者
吉滝 幸世 太田 雅敏 川口 明彦 石原 進 水野 忠則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.684, pp.211-218, 2002-03-01

近年,携帯電話上で絵文字を利用したメールや,モバイルカメラで撮影した写真に簡単な加工を施して他人に送信するなどの,画像を利用したコミュニケーションが盛んに行われている.しかし,現在は携帯電話上でユーザが自由に画像を作成することはできず,利用できる画像は,端末内にあらかじめ用意されたものや,Web上からダウンロードしたものに限定される.そこで,筆者らは自作の画像による携帯電話でのコミュニケーションを可能にするツールとしてCONTE(Canvas ON mobile TElephone)を提案する.本稿では,CONTEシステムを設計,実装し,比較実験とアンケート調査による評価を行った.評価結果より携帯電話を用いたお絵描きツールの有効性が示された.
著者
長篠 博文 片岡 実 木内 陽介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.98, no.174, pp.133-140, 1998-07-14

ヒトの人差し指のリズム運動において, 周波数の変化に伴う振動自由度の増減が観測されている。この現象は運動を駆動する神経回路のはたらきとして発現するものと考えられる。本研究はこの現象を発生する神経回路モデルを構成してその特性を解析したものである。ここでは2個の神経振動体の非対称な結合回路によってモデル化した。振動体内部のユニット間の結合強度および振動体間の結合強度の変化によって振動周波数の変化をもたらし, それに伴う振動モードの移行によりこの現象の発生を導いた。このモデルにおける振動モードの周期解の数値解析によって, 周期解の分岐現象を明らかにし, これによって発生する周期解の変化が振動自由度増減に対応することを示した。