著者
小阪 憲司
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.939-944, 2009-10-15

はじめに 「若年性認知症」は,老年期認知症に比べると患者数はかなり少ないが,若くして発病するため医療面はもちろん,福祉面でも社会的な面でも大きな問題を含んでいる。そこで「若年性認知症をめぐる諸問題」というテーマでこの特集を組んでみた。 筆者は現在「若年性認知症研究会」の代表世話人をしており,毎年東京と他の大都市(2008年は大阪,2009年は福岡で開催され,2010年は札幌で開催予定)で研究会を開催している。この研究会はもともと故・田邊敬貴 愛媛大学精神科教授が代表世話人を務めており,筆者は発足当時から顧問を仰せつかっていたが,田邊教授が亡くなられたので筆者が彼の後を継いでいる。 筆者は最近「若年性認知症をめぐって」という総説6)を書いたが,今回はそれをもとに「若年性認知症とは」と題して概説する。
著者
植木 彰
出版者
医学書院
雑誌
臨床検査 (ISSN:04851420)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.1039-1041, 2006-09-15

1.はじめに 認知症は後天的に記憶・認知機能が障害される疾患の総称である.認知症の最大の危険因子は加齢であり,発症率は65歳以降5歳ごとに約2倍ずつ指数関数的に増加し,80代の有病率は約20%である.日本には約170万人の認知症患者がいると推定され,その大部分はアルツハイマー病(Alzheimer disease;AD)か脳血管性認知症である.若年性認知症は若年期の認知症という意味であり,特別な疾患があるわけではなく,高齢者の場合と基本的には変わらない.しかし,働き盛りでの認知障害は社会からの離脱を意味し,本人,家族に与える心理的,経済的,社会的影響は深刻である.若年性とは18歳から64歳までを指しているが,介護保険では40歳から64歳までを指している.
著者
蜂須賀 つや子
出版者
医学書院
雑誌
看護学雑誌 (ISSN:03869830)
巻号頁・発行日
vol.31, no.11, pp.46-48, 1967-10-01

6月8日,世界最大と称するロスアンゼルス郡立総合病院の組織・管理・教育などがどのようになされているか,少なからず期待と好奇心をもって見学した。私たちのバスは,まず出入口をさがして病院を巡り,がっちりした彫刻のある高層建築の玄関についた。案内図のある大机が中央にある。静かな室内である。やがて講堂に導かれて総婦長補佐役の男子看護人の挨拶と本日のスケジュールの説明があった。案内係は5人の日本人看護婦である。 午前10時。まず救急室から一般病棟,分娩室,産科病棟,陣痛室,新生児室,ショックルーム,神経内科,狭心症・糖尿病ユニット,ICU,セントラル・サービスと順にまわり,12時30分職員の食堂で昼食,再び13時25分より外来専門棟,看護学校から精神科病棟,そして最後は,小児病棟をまわった。見学内容について,他の病院と異なり,特に印象に残っている部門を紹介してみたいと思う。その前にこの病院の診療料および病床数と看護単位数を紹介したい。総ベッド数は3085床,総職員数は5,678人。
著者
萩原 啓二 小林 邦彦
出版者
医学書院
雑誌
臨床検査 (ISSN:04851420)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.98-100, 1995-01-15

1.はじめに ジャッカリン(jacalin)とは熱帯植物jackfruit(図1.日本名:パラミツ,学名:Artocarpusintegrifolia)の種子から得られるレクチンの1つで,もともと1981年にリンパ球のマイトーゲンとして見つけられた,その後1985年にブラジルの研究者によりヒトIgAと結合することが発見されたのを機に注目を浴びたレクチンである.
著者
松本 勝美 赤木 功人 安部倉 信 大川 元久 田崎 修 押野 悟
出版者
医学書院
雑誌
Neurological Surgery 脳神経外科 (ISSN:03012603)
巻号頁・発行日
vol.27, no.9, pp.831-835, 1999-09-10

I.はじめに 喫煙は血管の動脈硬化を促進し脳卒中のリスクを増加させる2,14,17,21).なかでも喫煙とくも膜下出血との関連性はmeta analysisでみると脳出血や脳梗塞に比べさらに強く,喫煙者のくも膜下出血の発症は非喫煙者の29倍となる14).Weir(1998)らのcooperative studyでは,喫煙者のくも膜下出血の発症率の上昇に加え,発症率と喫煙量が比例し,脳血管攣縮を合併する率が非喫煙者にくらべより高いという結果になった20).一方,くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤がどう形成され破裂するかについては,hemodynamic factorや,中膜欠損,高血圧の影響など複数の要因が提唱されている7,11,18)が,喫煙がどう影響するかのメカニズムについてはいまだに解明されていない.また喫煙が動脈瘤の形成に関与するのか,破裂に関与するのかも明確ではない.今回くも膜下出血例および未破裂脳動脈瘤症例について,脳ドック受診者で動脈瘤が否定された症例をコントロールとし喫煙率の違いについて調査した.本研究の結果について喫煙が動脈瘤の形成や破裂に及ぼす影響について文献的考察を加え検討した.

1 0 0 0 塩素と血圧

著者
奥田 拓道
出版者
医学書院
雑誌
臨床検査 (ISSN:04851420)
巻号頁・発行日
vol.40, no.8, pp.964-965, 1996-08-15

食塩を取り過ぎると,血圧が上昇することはよく知られている.ほかに何も異常がないが血圧だけが高いという本態性高血圧の患者に食塩制限をすると,その6割に血圧低下がみられる. 食事中の食塩は,ナトリウムイオン(Na+)と塩素イオン(Cl-)として腸管から別々に吸収され,その後も生体内で,それぞれ異なる調節を受けている.例えば血清中のNa+は,食前・食後とも,140mmol/l前後で変動しないが,Cl-は,食後上昇し,数時間後に食前の価に戻る.したがって,食塩によって血圧が上昇するといっても,その原因がNa+なのか,Cl-なのかが問題になるわけである.
著者
鈴木 晃仁
出版者
医学書院
雑誌
検査と技術 (ISSN:03012611)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.359, 2011-05-01

医学のなかで精神医学の診断のむずかしさは群を抜いているという.そのことと,精神医学が歴史上悪用されたことが多いことは,おそらく深い関係がある.精神医学の悪用として最も悪名高いのは,「逃亡狂」(drapetomania)という精神病の「診断」であろう.これは,サミュエル・カートライト(Samuel A. Cartwright,1793-1863)という医者が,アメリカ南部の黒人奴隷が自由を求めて逃亡するのは精神病であると主張して作った診断概念であり,『ニューオーリンズ内科・外科学雑誌』の1851年5月号に「黒人種の病気と身体的な特異性について」と題された論文のなかで論じられている1. この論文の全体の基調は,奴隷制を正当化しようという意図に貫かれている.当時高まっていた奴隷解放を唱える内外の勢力(北部の自由州やイギリスなど)に抵抗するために,奴隷制が正しいことを「医学的な見地から」主張した論文である.黒人の身体と精神はもともと奴隷状態にふさわしくできており,奴隷として適当に扱われないと病気になることをカートライトは主張し,その病気の病理学や治療法が示唆される.扱われている病気は,肺炎,瘰癧(るいれき),フランベシア,結核などのふつうの病気に加えて,カートライトが自ら発見し命名したものもあり,逃亡狂もその一つである.
著者
加畑 宏樹 浅野 浩一郎
出版者
医学書院
雑誌
呼吸と循環 (ISSN:04523458)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.944-950, 2015-10-15

はじめに 気管支喘息は,慢性的な気道炎症と可逆的な気道狭窄,気道過敏性の亢進を特徴とした呼吸器疾患である.気管支喘息の病態を解明するため,これまでに様々な喘息モデルマウスが作成されてきた.最も頻用される喘息モデルマウスとしては,卵白アルブミン(OVA)を用いた喘息モデルマウスが知られている.このモデルマウスの作成方法は,まずOVAと一緒にアジュバント(免疫反応を増強させる物質)である水酸化アルミニウム(アラム)をマウスの腹腔内に投与することにより,OVAに対する感作を成立させる.そして,この感作が成立したマウスに吸入や点鼻などの方法で気道内にOVAを投与(曝露)すると,好酸球性の気道炎症や気道上皮細胞の杯細胞過形成,気道過敏性の亢進といった喘息様の病態が生じる.この喘息モデルマウスを用いて様々な研究が行われ,喘息の病態にはTh2細胞が重要な役割を担っていることが明らかになった.また,Th2細胞が産生するIL-4やIL-5,IL-13などはTh2サイトカインと呼ばれ,IL-4はB細胞からのIgE抗体の産生,IL-5は好酸球の遊走や生存,IL-13は杯細胞過形成や気道のリモデリングに関与していることなども明らかになった.これらの喘息モデルマウスによって明らかになった知見は,実際に喘息患者の治療に応用され,Th2サイトカインを標的とした抗体治療が重症喘息に対する新しい治療薬として現在開発されている. 一方,喘息の病態は,上記のようにアレルゲンがはっきりしたアトピー型の喘息患者と,アレルゲンがはっきりしない非アトピー型の喘息患者が存在することが古くから知られていたが,非アトピー型喘息の病態はこれまでよく理解されていなかった.しかし,近年,獲得免疫やTh2細胞を介さずに,好酸球性気道炎症や気道過敏性などの喘息様病態を生じる喘息モデルマウスが作成され,そのような病態ではグループ2自然リンパ球(Group 2 innate lymphoid cell;ILC2)がTh2サイトカインの産生源として重要な役割を担っていることが明らかになった. 本稿では,ILC2に関しての概略を解説した後に,喘息モデルマウスにおけるILC2の関与と実際の喘息患者におけるILC2の役割について私見を含めて解説したい.
著者
田中 千穂子
出版者
医学書院
雑誌
保健婦雑誌 (ISSN:00471844)
巻号頁・発行日
vol.46, no.13, pp.1134-1137, 1990-12-10

訴えの背後にあるもの 私の勤務するクリニックには,よく子育てに対する漠然とした不安を抱えた母親が相談にみえます。子どもに何らかの症状があって来院される場合もありますが,一見,子どもにはあまり問題が感じられない場合も多いのです。そしてこのような母親たちは子育てに関し,「何かうまくいっていない」という思いを強くもっていますが,その思いをうまく説明できないという点が共通しています。 一般的に母親自身がひどい抑うつ状態であるとか,重篤な精神病理をもっている場合には,直ちに援助の手がさしのべられます。また,子どもが重い症状を呈している場合にも同様です。しかし問題が表面化していない場合には,このような訴えの受け皿はあまりありません。どこへいっても,「お母さん考えすぎですよ。子どもはちゃんと育っています。心配する必要はありません」と言われがちです。
著者
中泉 行弘 林 尋子 安部 郁子
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.68, no.12, pp.1638-1642, 2014-11-15

『世医得効方』は元代の医学者,危亦林(1277〜1347)が著した医方書である。危亦林は南豊(現在の江西省)の生まれ,字を達斎という。内科,婦人科,小児科,眼科のほか,骨折や脱臼の治療にも通じていたと伝えられ,現在の外科学や歯科の知識も持っていたようである。その序は1337年に書かれているが,古来の医方があまりに多く「一証而百方具」というありさまであるので,これを『聖済総録』の分類に倣って13科に分け,5代にわたって伝えられてきた秘方を加えてこの本をまとめたと書かれている。 序文が書かれてから8年ほど後,江西医学太医院の審査を経て至正5年(1345)『世医得効方』は刊行された。自身も医学教授を務めていたといわれ,代々続く医師の家の人物が,わが家に伝わる秘方と文献とを駆使して,後学のためにわかりやすい医書を編纂しようと思い立ったというところであろうか。
著者
三宅 琢
出版者
医学書院
雑誌
総合リハビリテーション (ISSN:03869822)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.1043-1047, 2015-11-10

はじめに 産業医は企業のなかで,労働者の職業病や健康障害の発生を防止する目的で労働衛生の3管理を中心として業務を行う.労働衛生の3管理とは,① 就労環境に関する作業環境管理,② 労働者の働き方に関する作業管理,③ 労働者の身体や精神の健康状態の保持増進に関する健康管理である.近年障害者雇用に関する合理的配慮の提供や,労働者の心の健康に関するストレスチェックの義務化など,企業が抱える課題も多様化している.また障害者の雇用に関して,法定雇用率の達成に加えて就労環境に対する具体的な配慮を負担のない範囲で実施することが求められるようになっている.こうしたことにより,産業医はこれまでの3管理に加え,障害者雇用の労働者への就労上の配慮に関する助言を求められる機会も増えると考えられる. 筆者はこれまで眼科医として,視覚障害者や学習障害者をはじめ,さまざまな障害者に対する情報技術(information technology;IT)機器を利用した情報支援を医療やリハビリテーション,就労や学習の現場で実践し指導を行ってきた1-3).また産業医として,労働者がより不調を起こしにくい快適な職場作りとIT機器を活用した新しい形の配慮を実践してきた4).本稿ではこれらの経験を踏まえ,障害者の就労や復職に関して産業医の立場としての配慮の方法と,職場における障害の捉え方を,労働衛生の3管理を中心に簡単に解説する.
著者
石橋 康久
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.174-175, 1991-10-30

1.診断にあたって注意する点 角結膜の薬物腐蝕は労働災害と関係することが多く,化学腐触(chemical burns)とも呼ばれる。化学薬品が眼に飛入した事実と角膜所見とから診断は容易である。酸性の薬物とアルカリ性の薬物とによる場合があるが飛入した薬物の性状と角結膜と接触していた時間とで障害の程度が変わってくる。 酸としては塩酸,硫酸,硝酸などの実験用薬剤が多い。アルカリとしては苛性ソーダ,苛性カリ,石灰,セメント,アンモニアなどである。
著者
益田 順一 西丸 雄也
出版者
医学書院
雑誌
Brain and Nerve 脳と神経 (ISSN:00068969)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.293-297, 1980-03-01

I.緒言 1961年,Virnoら14)が実験的脳浮腫に対して,グリセロールを投与し,効果を認めて以来,実験的あるいは臨床的に検討が加えられ6,7,13),現在頭蓋内圧の低下と脳浮腫の改善にグリセロールが有効であるとされている。 脳浮腫に対して従来使用されてきたマンニットールには,rebound現象・水—電解質バランスの乱れなどが見られ,ステロイドには胃腸管出血などの重大な副作川があり,また有効性自体についていまだに議論のあるところである。これらに比し,グリセロールは欠点が少なく使いやすいとされている。副作用として報告されていた血素尿および溶血性腎不全も5%フルクトースの添加によつてほとんど発現を見なくなつた1)。また,Meyerら8)によれば,糖代謝への影響も少なく,糖尿病の患者にも安心して使用できるとされている。今回われわれは,高血圧性脳内出血の症例に対して,グリセロールを使用し,非ケトン性高浸透圧性高血糖を経験したので報告し,文献的考察を加える。
著者
堀 広子
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.713-719, 2000-07-15

【抄録】 長期間にわたり明瞭な自己像幻視が出現した精神分裂病の1例を経験した。長期間にわたる自己像幻視が出現した患者背景として,自己像幻視の易発現性にかかわる要素が多数存在することが考えられた。また,本症例は長期間にわたり分裂病症状が初期症状にとどまっており,二重身体験と精神分裂病における症状進展の抑止という臨床的意味において示唆に富む症例と考えられた。 精神分裂病(以下分裂病と略す)でみられる二重身体験は,古くから知られ,また豊富な精神病理学的意義を有するにもかかわらず詳細に記述された症例報告は少ない。今回,筆者は長期間にわたり明瞭な自己像幻視を呈した分裂病の1例を経験した。自己像幻視の易発現性にかかわる患者背景およびその臨床的意味に関して示唆に富む症例であったので,以下に自験例を提示し,若干の精神病理学的考察を加えここに報告する。
著者
篠田 毅
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.1045-1051, 2000-10-15

はじめに—いわゆる過労死と労災認定 昭和50年代の終わりから60年代,日本型経営方式と会社人間は一体となって経済大国一日本株式会社を形成していた。しかしその裏面では,長時間労働や過大な責任から,循環器障害によって急性死する勤労者が増加した。遺族による労災認定請求事案が増加し,業務上の過重負荷による過労死が社会問題になった。労働省労働基準局は,1987年「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準8)」を改正し,さらに1995年と1996年に再改正して8),被災勤労者と遺族に労災補償の道を拡げた。1988年,過労死弁護団全国連絡会議が結成され,「過労死110番」が設置された。1995年度以降,全国で毎年500件前後の請求があるが,認定率は13〜19%程度であり,1999年度においても20%に満たない。 一方,業務上の心理的負荷による精神障害と自殺にかかわる労災認定については,1984年,東北新幹線上野駅工事に従事した設計技術者の反応性うつ病と自殺未遂の事案が労災認定された。そして1984年2月この事例の業務起因性の判断理由が示され,それ以後は事務連絡「反応性欝病等の心因性精神障害の取扱いについて7)」に基づいて労災認定がされてきた。 1990年バブル景気の終焉以後,2000年現在までいまだに産業経済界は構造変換期の長期不況下にあり,企業の再構築が進む過程で,勤労者は失業か過重労働かを迫られている。総務庁の発表によれば,1999年度平均の完全失業率は4,7%,2000年3月の完全失業率は4.9%,男性は5.2%で過去最悪である。労働省の発表によれば,有効求人倍率は0.53倍で,会社の事業不振や人員整理による非自発的失業と長期失業がことに中高年齢層世帯主において増加している。失業率と連動して自殺率も増加している。1998年度は人口10万人当たり25人を超える状況にあり,年間の自殺者は3万2千余人である。近年ことに,仕事上,経済上の理由で自殺する35歳以上の中高年齢層の勤労者が増加している。
著者
上畑 鉄之丞
出版者
医学書院
雑誌
公衆衛生 (ISSN:03685187)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.282-287, 2007-04-15

過労死防止を目的に開設した筆者らのホームページ(http://karoushi.jp/)の相談コーナーには,最近しばしば深刻な現状報告が寄せられる. 事例 1) 29歳男性.9月に転職.現在大手メーカーの工場で経理の仕事をしています.午前9時に出勤.仕事量が多過ぎて処理できないため,帰る時間はほとんど午前1~2時で,毎日の勤務は15時間以上です.平日だけでは仕事が処理できないため,土・日も連続して休日出勤を行っています.11月の文化の日以降は休みなしで働き続けています.1年前に入社した先輩も,1人で処理できない仕事量を与えられ,私同様に残業をし続けています.
著者
市原 正雄 上野 正一郎
出版者
医学書院
雑誌
耳鼻咽喉科 (ISSN:03869679)
巻号頁・発行日
vol.30, no.12, pp.959-965, 1958-12-20

序言 音響性外傷を主としたC5 dipに関する研究は近年,各種中毒,頭部外傷,スポーツ後等にも出現する事が認められているが,余等は身心共に極度に疲労すると思われる徹夜麻雀時に於ける聴力を時間の推移と共に検査し,聊か興味ある知見を得たので茲に報告し,諸賢の御批判を乞わんとする次第である。