著者
横山 美江
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,多胎児の身体発育・発達過程を縦断的に調査し,単胎児との比較から身体発育・発達過程の特徴を明らかにすることを目的とした。その結果,三つ子と単胎児における体重の発育差は,出生時が最も大きく(40%以上の発育差),最初の 1 年で急激に減少するものの,学齢期においても三つ子は単胎児よりも体重が軽いことが明らかとなった。さらに,身長に関しても,出生時に最も差が認められ,最初の 1 年でその差は急激に減少するものの,学齢期においても身長が低いことが判明した。
著者
坪内 泰志 仁木 満美子 福田 隆志 八代 正和 瀬良 知央 金子 幸弘
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

スキルス胃癌に対して理想的な薬剤を発見するために、①深海・海洋性サンプルを微生物分離源、開発した微生物細胞剥離装置、及び生息環境-微生物群集構造の相関により構築した深海・海洋性放線菌ライブラリーを抗スキルス胃癌探索資源として、活性化合物候補を見出すこと、②多岐分類群の深海・海洋性放線菌が抗スキルス胃癌活性物質を生産する意義を、構造活性相関解析と作用機序解析の連関データの蓄積・比較により解き明かすこと、③独自に樹立したスキルス胃癌細胞8 株を用いた基礎病理学的解析を実施すること、そして④実用化へのシームレスな展開を視野に入れるためにオミクス解析を組み込む。
著者
全 泓奎 川本 綾
出版者
大阪市立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

近年、経済のグローバル化の進展に伴い注目されるようになった、多文化コミュニティに対する生活課題の解決への対応が求められている。本研究では、「多文化コミュニティワーク」という実践の重要性と、それにかかわる現状と課題を示すところに主眼をおきながら実施したもので、主な研究の成果は、以下の通りである。(1)東日本大震災当時の外国籍住民の現状と生活課題を明らかにしたもの。(2)大阪府下の多文化コミュニティでの生活実態を踏まえた地域資源の調査を実施し、多文化コミュニティワークとしての地域再生の実践を提案したもの。(3)台湾の例として、都市原住民コミュニティの生活実態を調べ、多文化共生の課題を探ったもの。
著者
齋藤 幸平
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

現代社会が直面する経済・民主主義・気候変動の複合的危機は、資本主義システムそのものの効率性や正当性に疑念を投げかけるようになっており、「ポスト・キャピタリズム」をめぐる思想を活性化させている。本研究は、「脱成長」と「グリーン・ニューディール」に着目し、そのポテンシャルを批判的に検討する。通常相容れないとみなされている両者の洞察を統合することで危機を乗り越えるポスト・キャピタリズム論の展望を目指す。
著者
齋藤 幸平
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では、カール・マルクスのエコロジカルな資本主義批判の方法論が、「存在論的一元論」と「方法論的(分析的)二元論」を採用していることが明らかとなった。近年マルクスは「社会」と「自然」のデカルト的「存在論的二元論」を採用していると批判されてきたが、それは誤っていることが示された。さらに、「方法論的二元論」を採用することで、資本主義の歴史的特殊性を把握することができる。その点において、マルクスの理論的枠組みは、ハイブリッドを掲げる論者たちが採用する「存在論的一元論」と「方法論的一元論」のペアよりも優れていることが示された。
著者
中屋 晴恵 武内 章記 石橋 純一郎
出版者
大阪市立大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本研究はフィリピン海プレート収束域を対象として,有害元素である水銀の循環過程とプレートテクトニクスとの関連を明らかにすることを目的として行った。結果は以下の通りであった。1)水銀はマグマ性流体を含む深部流体を起源とする。火山のない地域では水銀は深部流体から気液分離した後に気体として上昇する。2)地下水の水銀汚染はプルーム状に出現する。出現地点は大阪平野とその周辺部では複数の活断層が交差するか,密集する地点である。地殻を切る活断層はマントルから上昇する気体の経路となっている。3)水銀は沈み込むスラブからの脱水に由来するかもしれないが,ウェッジマントルから流体に付加されている可能性は高い。
著者
三浦 國雄
出版者
大阪市立大学
雑誌
人文研究 (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.183-226, 1995
著者
土屋 礼子
出版者
大阪市立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

エフェメラ・メディアのデータベースを構築するために、2009年度に引き続き、これまで収集してきた第二次世界大戦時の対日宣伝ビラの画像を同定しながら、全部で約8600点の資料画像を入力し、これを同一のビラごとに整理して番号を振り、各ビラの複数のイメージと英文説明資料をまとめて一つの項目として引き出せるようにした。その結果、約1700種類の対日宣伝ビラの資料が存在することが確認された。このうち、約350種類が英国制作、約350種類がオーストラリア制作、約800種類が米国制作であり、残り約200種類は中国制作また制作国不明のものである。さらに各ビラの日本語の文章をテキストデータとして入力した結果、キイワードによる検索が可能になった。これによる得られる幅広い知見の一部を示せば、日本人では「陛下」(67)という語による天皇への言及が多く、「天皇」(54)には明治天皇(9)が含まれ、「東條(首相)」(56)が次いで多いこと、国では「米国」(254)が最も多く登場するが、次いで「ドイツ(獨逸など)」(233)も多いこと、地名では「東京」(246)が最も多い以外は、「ビルマ」(199)「比島(フィリピンなど)」(187)など戦闘に関係した場所が頻出すること、敵国の軍隊では、「連合軍」(404)「米軍」(398)の言及が多く、他は「英軍」(81)「濠軍」(7)と極端に少ないこと、「爆撃」(308)は頻出するが、「原子爆弾」は1件しかないこと、「戦友」(176)よりも「指揮官」(143)「司令官」(119)への言及が多く、また戦争の責任の所在は、「軍閥」(112)に求められていること、戦争に否定的な「敗戦」(78)「戦死」(76)などの語が多く登場する一方で、「平和」(197)「自由」(125)「戦後」(121)といった肯定的で希望のある語も多いことなどが明らかになった。研究計画では、制作に関する情報や資料、流通散布や受け手に関わる情報などを付加する予定であったが、今年度ではビラの画像とテキストのデータベースを完成するだけで精一杯であり、その公開と拡充は今後の課題である。
著者
光永 亜希子 光永 悠彦
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は大綱化以降に設立された新設大学の変遷を検証する。新設大学は短期大学や専門学校からの昇格が多く、また学校法人内に他の学校種を併設していることが多い。そのため学校法人単位で検討する。大学昇格をする/しないは併設校の財務的余裕や、高学歴化志向だけで決まるわけではない。またその行動や成否は地方の産業構造や人口構成、進学構造などの特性に左右される。そのため学校法人については、受験案内書などを参照して量的指標を作成し、財務指標データを加え、これらを用いた多変量解析によって分類する。加えて学校法人の属する地方の特性を踏まえ、定員充足の構造を探り、大学昇格や学部構成の指針となるモデルを探索する。
著者
中川 眞 コルナトウスキ ヒェラルド 沼田 里衣 藤野 一夫 垣田 裕介 岩澤 孝子 平田 オリザ
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、アジアに赴いて社会包摂型のアーツマネジメントの実態を調査するとともに、毎年3つの国際会議をタイ、インドネシア、そして両国以外のアジア諸国(開催国は毎年変わる)において開催し、研究者・実務家の情報交換ならびにネットワークを形成する。調査する国はインドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムの予定である。成果としてアジア型アーツマネジメントのツールキット(英文)と論文集(英文)を準備し、科研終了翌年度に出版する予定である。