著者
山口 真由美 宮之下 さとみ 原田 由美子 藤満 幸子 山田 クリス孝介 渡辺 健太郎 トム ホープ 小早川 真衣子 須永 剛司
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

本研究の目的は電子カルテがもたらした看護への影響を探ることである。2回のワークショップを開催し、A大学病院で電子カルテと紙カルテの双方を利用したことがある看護師としての経験年数が14~30年の看護師7名と、電子カルテのみしか利用したことがない看護師としての経験年数が3~7年の看護師4名が参加した。ワークショップでは、入院から退院までの業務内容や扱われる情報を整理し、質的に分析することで紙カルテと電子カルテとを比較した。その結果、入院から退院までの業務は「入院時」、「入院後」、「退院時」の3つの段階に分けることができ、各段階における業務内容や扱われる情報について、紙カルテと電子カルテとで共通する内容と、電子カルテ導入後の変化が見出された。電子カルテの導入によって、必要な時に必要な情報を速やかに検索できることや正確で速い情報伝達、業務の標準化・テンプレート化等、業務の見方や内容など紙カルテと比べ多くの変化が起こっていたことが明らかになった。今後は患者や職員間の直接的なやり取りや振り返りの機会を補完しうる、情報共有と価値観の醸成を支援するような看護サービスシステムが必要である。
著者
神野 由紀
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.65-74, 1998-05-31
参考文献数
60

近代における「子供の発見」が市場としての子供の存在をも見出し, 子供のためのデザインが生み出されていく。本研究は近代日本でのその歴史を明らかにするものであるが, 本稿では特に子供部屋の出現と受容の変遷に焦点をあて考察した。欧米で子供部屋が急速に普及するのは19世紀以降で, 子供という存在の発見と尊重, さらに夫婦と子供を主体とする新しい家族像の誕生などが直接的な影響を及ぼしていた。日本では, 明治期の児童教育運動で家庭教育の重要性が唱えられる中, 盛んに紹介され始めるが, その内容は児童博覧会や家庭雑誌などを通じて人々に提供された。さらに大正時代中頃からは一連の生活改善運動や童心主義児童文学の影響を受け, 子供部屋への関心は一層強まる。こうした動向の下で「子供部屋」は百貨店など企業により商品化されていくが, 実際の子供部屋普及率の低さとは無関係に, 強い関心を持たれた近代日本の子供部屋には, 商品としての西洋的=近代的イメージが付されていたといえ, 人々の消費の欲望の対象になっていたことが明らかになった。
著者
田中 里穂 日吉 優佳 中村 優里 相原 遥 日向 実佳 平賀 美樹 川合 康央
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

本研究は、大学の学部を対象としたデジタルコンテンツの開発を通じて、デジタルコンテンツとその開発手法による大学での学びの新しいプロモーションを行うことを目的とする。本コンテンツは、大学での学びのキーワードを紹介する3Dリズムゲームを作成し、開発チームのプロジェクトの方法をまとめることとする。大学教員をモチーフにした3DCGモデルのキャラクターを作成し、ダンスの動きを追加したものを用いる。ユーザーは、ケミカルライトを模倣した加速度センサを持つデバイスを使用して、リズムアイコンにタイミングを合わせて操作することによってポイントを取得するものとします。
著者
山田 浩子 原田 利宣 吉本 富士市
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.1-8, 2003-09-30
被引用文献数
1

今日,ゲームやアニメ作品等に登場する2次元(2D)キャラクターが3次元(3D)CG化や立体造形(以下、フィギア)される傾向にある。また,アニメ等の作品自体の人気をも左右するキャラクターデザインは,今後益々重要になると考えた。そこで,本研究ではフィギア,日本人形,およびリカちゃん人形の顔の造形にはどのような相違があり,また人の顔と比較することによりどのように人の顔を抽象化しているかを明らかにすることを目的とした。まず、人や人形の顔の形状を3次元計測し,顔の曲面を構成するキーラインとして顔の特徴点における断面線7箇所を抽出した。次に,それらにおける曲率半径とその変化の仕方の分析結果と,高速フーリエ変換による曲率半径の周波数分析からそれぞれの顔の特徴分析を行った。また,その解析結果を人形の顔作りに応用し,評価を行った。その結果,それぞれの人形の特徴を作り分けることができ,その指針の有用性を確認した。
著者
中山 順 西村 睦夫 森本 一成
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.46-49, 2007
参考文献数
3
被引用文献数
1

本研究はユニバーサルデザインの視点で、高齢者に配慮してできるだけ多くの人が使いやすい麻雀用具の開発を目的とする。そのために筆者らの提案する要素マトリックス手法を用いてデザイン開発を行った。この要素マトリックスは、身体的カテゴリーと高齢者配慮要素の2軸を配置している。これを用いると問題分析から設計に至るまでに一貫性を持って設計できる。身体面の高齢者配慮要素には「軽負担性」「単純・明瞭性」「連続性」「融通性」「安全性」の5要素、心理面では「親和」「達成性(ステータス性)」の2要素がある。この要素マトリックスを用いて麻雀ゲームに係わる行為について、問題抽出と分析を行い、個別の開発コンセプトを検討し、具体化し、評価を行った。その結果、要素マトリックス手法を用いたことにより、高齢者に配慮した新しいモノづくりにつながり、本手法の有用性を確認できた。
著者
柳井 謙一
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.C19-C19, 2009

近年、日本では若者の孤立が社会問題としてあげられる。それを解消するために、本研究では自由度の高い身体活動に優れたダンスに注目した。ところで近年日本ではブレイクダンス等の新しいダンスが、若者の間で人気となっているが、実際に活動できているのは一握りであり様々な障壁があると考えられる。ダンスを推進することで若者が持つ心の問題をやわらげ、明るい未来につなげていくことができるのではないだろうか。本研究の目的は、日本人の若者が抱くダンスに対する問題点を明らかにし、それを解消する具体的な支援を提案することである。対象とするダンスは、若者に受け入れられやすいブレイクダンス、エレクトロダンス等の新しいものとする。手順として、まずインタビュー予備調査を行い有効な調査方法を検討する。次にダンスに馴染みのある国に及び馴染みの浅い国である日本の調査を行う。調査の上でカルチャーセンタードデザインという観点から、国の文化を考慮した有効な調査法も検討する。また既存のサービスや製品調査も行っていく。以上の調査から得られた情報を比較検討し、具体的なデザインの提案を行っていく。
著者
赤山 仁 リー ジョナサン
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

CGアニメーション作品「12 Boxes」は赤山仁(ディレクター、CG担当)及びジョナサン・F・リー(サウンド・デザイン担当)により制作された、2分18秒のショートアニメーションである。アニメーションは3DCGソフトウェアのAutodesk「MAYA」を用いて制作した。本作品は12個の立方体が複数の装置によって次々と運ばれていく、シンプルな内容で構成されている。本作品のテーマは「心地良い動きの表現」である。鑑賞者が作品に心地良さを感じられるように、12個の立方体を運ぶ装置の動きの演出や映像構成を行った。装置の動きを決める上で、基準として4つのルールを考えた。①動きの機能と構造の認知、②動きのリズム感、③動きの連続性、④動きの意外性、の4点である。これらの動きのルールを用いて作品を制作することで、「心地良い動きの表現」を目指した。本稿では、作品制作に用いた動きのルールや映像構成、サウンド制作の解説を通して、動きのデザインを行う上での視点を提示したい。鑑賞者が動きを見てどのように感じるかを想定してルール化し、実際に作品として形にしていく過程を紹介することで、動きのデザイン手法を提示する。
著者
寺田 直和 玉垣 庸一 小原 康裕
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.11, no.11, pp.76-79, 2006-03-30
被引用文献数
1 2

本提案はデジタルデータ音楽の新しい聴き方を実現する調整可能なランダム選曲システム「neut」を提案する。「neut」のウィンドウ上には大きな円形のステージが配置され、その中を小さな円形のボールで表された楽曲が複数個浮遊している。再生ボタンを押された瞬間にステージの中心から最短の距離にあるボールが選択され楽曲の再生を開始する。また、ステージ上にはボールの運動範囲を限定するゾーンというまた別の円形を配置することができる。この選曲アルゴリズムとゾーンの位置や大きさの調整により、ユーザは楽曲の再生確率を調整することが可能になる。
著者
木内 正人 大嶋 一矢 山本 英男 松村 記代子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.61, 2014

「紙幣らしさ」が備わる模様は、肖像、唐草模様、彩紋(さいもん)模様が代表的なデザイン要素である。しかし、紙幣のデザインは他にも重要なデザイン要素を備えている。それは紙幣に用いられている書体である。日本の紙幣(正しくは日本銀行券)において、日本銀行などの発行主体、額面金額、記番号、印章などが印刷され、それらの文字は一般国民に理解され、読みやすさ、使いやすさをもって付与されている。特に重要とされるのが「大蔵隷書」と呼ばれる書体である。「大蔵隷書」は書体名としての認知度も低く、それに関わる具体的な資料、文献もほとんどない。しかし、今日の紙幣に使われていることから、生活環境の中で誰もが目にする機会も多く、潜在意識的に広く認知できている書体ともいえる。そこで本研究では、日本の紙幣における伝統書体として「大蔵隷書」が果たしてきた役割について、紙幣デザインの歴史的変遷で説明する。
著者
樋口 孝之 宮崎 清
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.11-20, 2004
参考文献数
43
被引用文献数
1

本稿は,明治期の主要な英和・和英辞書,専門用語辞書によって,日本語「意匠」と英語単語との対応関係を調査し,「意匠」の意味の考察を行なったものである。今日,designと「意匠」の対応は,おおむね「形状・色彩・横様などの結合的な考案」という意味に受けとめられている。「意匠」は,明治初期の主要な英和辞書において,構成する字義の訓「こころだくみ」として解釈された語義から,「ムナヅモリ」の漢字表記として用いられた意味合いが強く,designの'amental plan'の語義に対応していた。これは,美術や工芸の制作に限らない,一般の語法としての「心中における計画・工夫」の意であり,文脈に応じて,「企て」「胸算用」「工夫」などの類義として用いられた。調査対象とした辞書においては,図像を示すdesignへの対応はみられなかった。また,明治10年代に,哲学上の目的論(Teleology)において'adaptation of means toends'の意味で用いられるdesignに対して「意匠」があてられたことが確認された。
著者
藤原惠洋
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.91, pp.53-60, 1992
被引用文献数
1

制限図は,日本近代の国家神道体制下において造営・整備される神社の様式・規模・社殿配置を規制した。本稿では,まず明治初期の制限図検討過程を通し,限られた予算下において国家神道体制の拠点施設として神社の再整備が必要とされたため,適度な規模内容を持った全国一律の様式的普遍形式を生み出す規制的標準設計の役割を制限図が担ったことを究明した。次に検討期を経て整理された制限図の規制内容が,(1)神仏習合の近世神社を遡り古式遵奉をめざすため,流造本殿・入母屋造拝殿を中心とする独立社殿により構成された。(2)社殿の配置・平面・規模を決めた平面的規制と,立面姿絵・仕様表示による造形的規定から成る意匠規制の性格を持つ。(3)大中小の社格に応じた規模と仕様の差異を厳格に見せた,という3点に代表されることを明らかにした。一方,制限図が別格官幣社創建を中心に明治年間から大正期明治神宮造営頃まで適用されながらも,明治34年以降,伊東忠太に主導され制限図批判が展開した点を考察,昭和初期における制限図の終末を示した。
著者
常見 美紀子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.9-18, 2004
参考文献数
33

「構成」はバウハウスに留学した水谷武彦がドイツ語の「Gestaltung」を翻訳した言葉である。構成教育は、戦前は普通教育の中に普及していたが、デザイン教育のための基礎および専門教育としては、戦後に発展をとげた。桑沢デザイン研究所では、当初から構成を基盤とするデザイン教育を行っていたことが教育課程などから明らかになった。とりわけ初期には、勝見勝と高橋正人が、研究所のデザイン教育に貢献していた。勝見はハーバート・リードとミューズ教育という幅広い造形概念の上に、バウハウスを起源とするデザイン理論を展開した。高橋は、デザイン教育における「基礎」として、美学・心理学・構成理論という純粋研究、人間工学・コミュニケーション理論のような基礎工学的研究、設計製作・印刷・写真などのような実際技術とこれに伴う技術理論という三領域を挙げ、「構成理論」は「構成の原理」という純粋研究を対象とすることを明確にした。「構成の原理」には、「造形の要素(造形言語)」と「造形の秩序(造形文法)」があり、造形の要素は形、色、材料、テクスチェア、光、運動が、造形の秩序にはリズムやコンポジションなどが含まれる。高橋は構成をデザインの基礎および専門教育と位置づけ、構成の原理の研究と教育を通じて、構成をより広くより高次元、すなわち構成学へと導いた。
著者
石川 重遠 後藤 吉郎 山本 政幸
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.E07-E07, 2010

和文ゴシック体は、創出に関して不明なことが多い。本研究において、その書体はいつ出現したかを調査し、その書体の形態についても考察した。その結果、最初期の和文ゴシック体活字は、明治19年6月1日の官報で使用された。官報の編纂や印刷は、国の機関によって行われた。最初の和文ゴシック体は、官製の活字書体で、明治19年あるいはそれ以前に作られたことが分かった。このタイプフェイスは、漢字のみである。さらに明治19年と明治24年から使われた最初期の和文ゴシック体の形について考察した。その2書体の共通した特色は、直線により構成されている。それらは曲線が少ない。また、文字の水平線が傾いており、左右対称の箇所が非対称であるなど、書体としての完成度は高くない。
著者
佐藤 信晴 杉山 和雄 渡辺 誠 シャクルトン ジョン
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.48-49, 1999

The purpose is to understand structue of hole line up and find feature and relation among each categories.Audio products were classified in 3 categories. As a result ithas become clear distribution map is almost same.But each categories have own features.
著者
松下 俊介 出原 立子 土田 義郎 川﨑 寧史
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

金沢は観光資源の開発として、夜間景観を生かした観光コンテンツづくりを施策の一つとして掲げている。現在、ライトアップやナイトミュージアムなどがあるものの、街中に点在していることから、本研究ではそれらを巡り歩くきっかけづくりとして、金沢の夜の町巡りを促すラリーシステムの提案を目指した。本ラリーシステムは、NFCタグ付きの光アイテムを持って、街中に設置されているチェックポイントを巡り歩き、最終地点へと誘って行く。チェックポイントは透明板の重層構造ディスプレイで作られており、NFCタグを近づけると重層構造ディスプレイに映像が投影されるしくみとなっている。本ディスプレイはデジタルイメージが立体的な表現に見え、夜のシーンに映える演出が特徴であり、さらに参加者らの行動の記録がNFCタグに記録されることで、参加者ごとに異なる映像が作られる。本研究では、システムの設計・開発を行い、検証として金沢中心街において夜の灯巡りを誘う実験を行った。
著者
松井 実 竹内 崇馬 小野 健太 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

集団遺伝学における遺伝的浮動と同等の,個体が文化的形質をランダムに模倣するモデルが実世界の様々な形質データを説明することを文化進化学の諸研究は明らかにしてきた.しかし文化的形質が実際にどのように変異し,選択されるかについての実証研究はほとんどなされていない.本研究ではデザインの進化実験で生じた頻度のデータが,ランダムコピーモデルのシミュレーションによる帰無モデルに極めてよく一致することを示す.実験では,デザイナーがよくデザインされていると感じるものを模倣し,よくないと思うものを排除してもらった.同時に新奇のデザインをいくつか考案してもらい,集団に投入した.これを何度も繰り返し,伝達連鎖ネットワークを形成した.その頻度を解析すると,従来デザインの質を向上すると考えられていた様々な処理が有用でないこともわかった.この結果は特定の環境下においてデザインの創造プロセスとその市場での選択はその価値に関係なく行なわれていることを示唆する.
著者
石川 重遠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.1-8, 1997
参考文献数
34

19世紀初頭のロンドンで誕生した書体「ファット・フェイス」の形態の成立について次のように考察し、まとめた。(1)端物印刷媒体の興隆により、ディスプレイ・タイプとしてファット・フェイス・ジョビング・レターの使用が活発化した。これらの活字書体がより大きく、より太く、目立つ書体として形成されたものがファット・フェイスの基本となった。(2)18世紀には書籍用活字鋳造界のモダンな活字書体の継続的開発が活発に行われた。それらの書体の形態構成要素がファット・フェイス・ジョビング・レターに取り入れられたことは、さらに、ファット・フェイスヘと発展するための重要な形成要素となった。(3)ファット・フェイスは、当初、トランジショナル・ローマン系とモダン・ローマン系の書体があったが、モダン・ローマンの形態を強く受け継いだファット・フェイスがその典型として確立された。
著者
金 永彬 李 眞烈 蘆澤 雄亮 小原 康裕 小野 健太 渡邉 誠
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.59, 2012

ショッピングバッグは世界的な環境汚染の大きな要因としてしばしば採り上げられる。 ショッピングバッグの問題点は、持ち手の部分が破れてしまうと使えなくなることである。 今回提案したLizard bagは、持ち手が切れた場合に点線が印刷されている上部と穴の部分を切り取れば再びショッピン グバッグとして使うことができる。また、「もう一度使用する」というコンセプトを考慮し、ショッピングバッグの材質は再生紙を使用することで廃棄されるショッピングバッグの量を削減して行けるものと予想される。
著者
井上 征矢 玉置 淳
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.G08, 2007

聴覚障害者に対する適切な情報保障方法を探るため、聴覚障害者と健聴者に対して、駅空間画像を用いた視覚実験を行った。その結果、聴覚障害者は、路線色やピクトグラムとともに表示される文字が読みにくい場合や、文字が(間に数字等が入ることによって)離れて表記されている場合に、健聴者よりもターゲットの探索に時間がかかった。健聴者は色やピクトグラムを見るだけでターゲットの方向を判断する場合も多いが、聴覚障害者は隣に表記された文字までを確認して判断しようとする傾向が強いのではないかと考えられる。従って聴覚障害者に対する情報保障を充実させるには、サインを掲示する側としては、文字の可読性に充分に配慮したサイン計画を、逆に聴覚障害者に対しては、サイン計画への理解を深め、色やピクトグラムによる誘導にも慣れるための教育を進めることが必要といえる。
著者
中西 啓
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.95-102, 2009
参考文献数
31

本研究は、ハミルトン・エリスによる鉄道客車デザインの発展史「NINETEENTH CENTURY RAILWAY CARRIAGES」における叙述を分析対象とする言説分析の試みである。分析対象に比較的多く記される事物の終焉時期を記す解説文に着目し、これらの解説文を記すことが分析対象に何をもたらしているかを考察する。分析では、はじめにこれらの解説文を記すことが発展史として妥当であるか検証する。次にこれらの解説文がデザイン史学において有用であるか考察する。分析には統計学および精神分析学の知見を援用した。統計学の知見を援用する分析からは、事物の終焉時期を記す解説文が分析対象の発展史としての妥当性を損なっていないことが分かった。精神分析学の知見を援用する分析からは、事物の終焉時期を記す解説文の中に、因果関係の説明に客観性をもたらそうとする有用な解説文があることが分かった。これらの分析結果は、事物の終焉時期を記すことの有用性が、デザイン史学の領野において展開できる可能性を示している。