著者
田中 裕子
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2013

制度:新 ; 報告番号:甲3882号 ; 学位の種類:博士(文学) ; 授与年月日:2013/2/25 ; 早大学位記番号:新6340
著者
吉村 貴之
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28 (Released:2011-08-05)

第二次世界大戦後に約10万人の在外アルメニア人がソヴィエト・アルメニアへ移住したのは、ソ連邦が、戦勝国として世界に離散するアルメニア社会の盟主として宣伝を行った結果である。しかし、折からの冷戦の昂進で在外アルメニア人社会は親ソ派と反ソ派に分裂し、この運動も下火となる。一方で、ソヴィエト・アルメニア政府は、この在外同胞の社会統合を進め、対外宣伝を強化するために、在外同胞の祖先の多くが被った第一次世界大戦にオスマン帝国下で発生したアルメニア人虐殺・追放事件から50周年にあたる1965年4月に大規模な追悼集会を首都エレヴァンで催した。だが、これが反トルコ・ナショナリズムを国内に浸透させる結果となる。
著者
守屋 三千代
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学日本語研究教育センター紀要 (ISSN:0915440X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.98-120, 1992-03-25
被引用文献数
1 1

小説の中では過去の出来事をのべるのに, 文末に過去形(「タ形」)を用いるだけでなく, しぱしぱ現在形(「ル形」)が用いられる.これは, 小説が語り手によって過去の出来事として語られると同時に, 読み手によって読まれた時, その出来事が再現され, 疑似体験されるという性格をもつためであると思われる.この小説中に「ル形」が現れることにより語り手の視点が登場人物へ移動し, 劇的効果や臨場感が生ずることは, 多くの先行論文によって指摘されるところであり, この指摘はたしかに直観に合うものである.しかし, 小説中の「ル形」をこの表現効果をねらった結果ととらえて, 十分記述されたことになるのだろうか.表現は文法形式を簡単に操作できるのだろうか.小稿は, この点に疑問をなげかけ, 小説中の「ル形」と「タ形」のあらわれかたに関し, 視点の移動, 表現意図という観点と文法的な観点から考察を図るものである.小稿では紙幅の都合上, 質, 量的に十分な資料にあたって分析を示すことはできなかったが, 4点の小説より部分的ではあるが性格の異なると思われる文章例をとりだし, 「ル形」「タ形」のあらわれ方, その形式の選ばれた条件一視点移動, 動詞の性質, 文章構成上の位置-を各文末について考察したその結果, 少なくとも次のことが観察された.「タ形」 : 語り時を基準とした過去時制, 状況の終了の標識, 文章中での語りの過去時制, 登場人物の回想, 語り手や登場人物による動作, 出来事の描写, 登場人物のメタ知覚の描写「ル形」 : 状況継続の標識, 読みと語りの同時進行, 超時制, 登場人物の内言の描写, 登場人物による他者の動作, 出来事描写, 登場人物のメタ視覚, メタ聴覚, メタ思考の描写
著者
高橋 淑郎
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学日本語研究教育センター紀要 (ISSN:0915440X)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.55-76, 1999-05-31

講義や論文における次のような「自問自答形式の疑問表現」を<自問表現>と名づけ, その性格を考察した。(例)で, 今週からは, どういう勉強をするのか, っていうと, 2つの変数を同時に取り上げて分析する方法について勉強していきます。【講義】(1)<自問表現>は, 典型的な疑問表現と比べると, 表現主体が疑問を抱かず, しかも自分で答える, という特徴を持っている。(2)<自問表現>は講義, および論文の一部でよく使われる。(3)「説明要求」の<自問表現>は答えの表現と, 合わせて「x(と)はyである」という「題目提示」-「説明」関係を構成している。そのため, 講義や論文のような一方的な伝達形態の言語表現になじみやすいと考えられる。(4)「説明要求」の<自問表現>において疑問表現を用いるメリットとして, 題目を文として提示することができるので名詞句の場合のように複雑な構造になりにくい, 疑問詞による漠然とした題目提示が可能, また, 答えとして複数の文を持つことができる, さらに独立文形式のものに限っては働きかけの効果が狙える, ということが指摘できる.(5)「判定要求」の<自問表現>は答えの表現と合わせて全体で「Aである(ではない)」(Aは命題・事柄・事態など)という表現を構成している。(6)「判定要求」の<自問表現>では, 「Aである(ではない)」を強く印象づけるために疑問表現が用いられていると考えられる。「Aである(ではない)」が強調されるとその根拠・理由≡が求められる場合が多く, その結果, 「判定要求」の<自問表現>は説明・解説の表現を構成することになる。その点で「説明要求」の<自問表現>と同じく, 一方的な伝達形態の言語表現になじみやすいと考えられる.
著者
村上 公子
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学人間科学研究 (ISSN:09160396)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.109-127, 2003-03-31

エーリカ・マン(1905-1969)は19世紀終盤から20世紀前半、ドイツ語で執筆する世界的な作家として名声を博したトーマス・マン(1875-1955)の長女である。彼女はヴァイマル共和国時代、一歳年下の弟クラウス・マン(1906-1949)と共に、「退廃的」なヴァイマル・ドイツ期の若者の典型のような生活を送っていたが、ナチズムの台頭が明らかになるにつれ、これに対する抵抗の姿勢を次第に明確にし、1933年1月にはミュンヒェンで政治的な文学カバレット「胡椒挽き」を旗揚げする。活動の自由を求めて同年3月にはスイスに亡命、9月にはスイスで「胡椒挽き」を再結成し、1936年までヨーロッパ各地を巡演した。1937年「胡椒挽き」のアメリカ公演失敗後、エーリカはアメリカ合衆国に残り、講演、および執筆によって生活を立てると同時に、アメリカの世論を反ヒトラー・ドイツに向けさせるべく力を注いだ。アメリカ合衆国が第二次世界大戦に参戦した後は、従軍記者となり、連合軍のノルマンディー上陸、あるいはアメリカ軍のドイツ西部占領、さらには終戦後のニュルンベルクにおける軍事法廷の取材、報道を行っている。戦後、亡命知識人の少なからぬ部分が(東西を問わぬ)ドイツに帰国しなかったが、その中でもエーリカとクラウスのマン姉弟のドイツに対する批判的な態度は目立っている。本論考後半では、エーリカの残した著作、原稿における一人称複数の代名詞類の使用法を手がかりに、エーリカ・マンの自己理解の変化を明らかにしようと試みた。まだ調査数は少ないが、アメリカヘの移住当初、圧倒的に「ドイツ人」「移民」の意味で用いられていた一人称複数代名詞が、従軍をきっかけに「連合国民」「アメリカ人」を意味するようになっているという傾向は明らかである。
著者
前橋 明 浅川 和美 佐野 裕子 泉 秀生 松尾 瑞穂 長谷川 大
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2012-04-24)

2012年度から2014年度の3年間で、述べ25県の幼稚園に通う3歳~6歳児15,575名、1都1府35県の保育園に通う1歳~6歳児41,797名の生活習慣調査を実施し、結果の返却と、希望の保護者には個人健康カードを作成して配布した。また、各地の行政や教育委員会と連携し、2012年は、18地域で延べ22回、2013年は、34地域で延べ70回、2014年は、24地域で延べ79回の健康づくり理論普及の講演会や、生活リズム向上のための運動指導などを展開した。生活習慣調査と講演会開催担当者358名を対象に、実践に対する評価を調査た結果、子どもたちの生活リズムが改善し、元気になったと回答が寄せられた
著者
仙石 知子
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01 (Released:2013-04-25)

毛宗崗本『三国志演義』に表現された女性像と、その背景となっている清代初期の女性に対する社会通念を追究し、その結果を『毛宗崗本『三国志演義』における女性像の表現』として刊行することが研究の目的である。本年度は、「毛宗崗本『三国志演義』における徐庶の母と忠」を公刊した。その内容は、以下のとおりである。劉備に仕えていた徐庶は、曹操に母を捕らえられ、劉備のもとを離れて曹操のもとに赴く。徐庶の行動は、忠よりも孝を優先させたことになる。毛宗崗本は、徐母の忠を強調するあまりに、徐庶の孝を貶めている李卓吾本の表現を改め、忠と孝の狭間に苦しむ徐庶の葛藤を救い出し、何のためらいもなく徐庶を送り出す劉備の仁に傷がつかない配慮をしている。こうして、毛宗崗本は、三絶と位置付ける曹操・関羽・諸葛亮の人物像を明確に描くとともに、漢を代表する劉備の「仁」の属性も明確にするため、忠の表現を工夫しているのである。以上である。このほか、「中国小説における「女をさらう猿」の展開」を『日本中国学会報』に投稿し、10月に掲載された。
著者
長谷 正人
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

山田太一のさまざまな作品を映像作品として見直し、さらに山田太一氏本人や関係者へのインタビューも行って、70年代から80年代にかけての日本のテレビドラマがどのようにしてポストモダン的なイメージ社会を準備し、そしていかにそれを「後衛」の視点から批判したかを明らかにした。
著者
高屋 亜希
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

本年度は本研究課題を行う最終年度にあたり、研究成果報告書『21世紀中国大衆消費社会における文学現象の研究』を刊行した。また21世紀以降の同時代中国における文化・社会現象について、広範な見取り図となる基礎研究資料『Chinese Culture Review(中国文化総覧)』vol.4を翻訳・出版した。現在、 vol.5の翻訳作業を進めており、今後もこの分野の研究情報プラットフォーム構築に努める予定である。本研究課題では、急激な大衆消費社会化が進行する21世紀中国で、文学というジャンルがどう意味づけを変え、他のジャンルや海外文化とどう関連しているかを調査し、研究を行ってきた。本年度は市場化が本格化した1990年代以降、市場を利用しながら若者サブカルチャーをリードしてきた、1970年代生まれの世代が果した文化的役割について考察した。その具体的研究の成果として、「慕容雪村『成都よ、今夜は俺を忘れてくれ』試論」および「「七〇后」とボヘミアン幻想の終焉」の論文2本を発表した。それ以前には社会主義体制を支える一員として、その社会的役割が国によって決められ固定されていた状況が、市場化とともに個人の意志で、転職など社会的役割を変えることが1990年代半ばから可能になった。こうした社会変化を背景に、当時、20歳代だった1970年代生まれの若者がビート文学や海外サブカルチャーなどを参照しながら、例えばバックパック旅行など、自由な移動に強い志向を持つ若者カルチャーを形成してきた経緯、およびそれらがインターネットの普及と結びつくことによって、1990年代末から21世紀初頭にかけて、アングラから一気に社会の表層に躍りでてきた、文化現象の一端が明らかになった。
著者
上田 学
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

本研究は、日本映画の特性を理解するために、データベース等のデジタルヒューマニティーズの研究方法を取り入れながら、日本の都市における、無声映画期の映画館の興行形態を明らかにしようとした基礎研究である。本研究を通じて、映画草創期における東京と京都の映画の興行形態に差異が生じていたことや、それが歌舞伎や新派劇等の演劇との関係性の違いに因っていたことが明らかになった。これらの研究成果を、単行本の刊行や国際学会の口頭発表等によって、学術的に発信した。
著者
安倍 雅史
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

西アジアの肥沃な三日月地帯は、地中海式農耕の起源地として知られている。1990年代には、肥沃な三日月地帯のなかでも、とくに西側のレヴァント地域で最初に農耕・牧畜が開始されたと考古学会では考えらていた。しかし、今世紀に入り急速に発達した遺伝子研究は、対照的に東側のザグロス地域でも独自に農耕・牧畜が誕生した可能性を示している。現在、今まで研究の空白地帯であったザグロス地域における農耕・牧畜の起源、またこの地域からの農耕・牧畜の拡散の具体的なプロセスを解明するため、私は、イラン・ザグロス地域に入り考古学調査を実施している。2015年度には、とくにイラン東部、ザグロス山脈の南東端にあたるケルンマーン州最古の農耕村落址であるガブコシ遺跡出土の考古資料を中心に分析した。石器の技術的特徴を分析した結果、ガブコシ遺跡の資料は、イラン南西部ファールス地方の土器新石器時代の遺跡のものと非常に類似していることが判明した。これと同様のことが土器の分析からも支持されている。この結果、おそらく中央ザグロスで開始されたザグロス型の農耕・牧畜文化が、ファールス地方を経由して、ケルマーン州にまで達していたことが判明した。ガブコシ遺跡は、まさにザグロス山脈の最東端に立地している。これより東側には広大な沙漠が広がっている。ガブコシ遺跡より東側の地域の石器資料をみてみると、ガブコシ遺跡のものとはまったく異なる石器伝統が広がっている。このことからおそらくは、ケルマーン州がザグロス型の農耕・牧畜文化が広がった最東端であったと考えられる。
著者
瀬川 至朗 中村 理
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

本研究では、東京電力福島第一原子力発電所の事故の初期段階に注目し、日本政府や東京電力による記者会見とマスメディア報道との比較分析などを実施し、「政府とメディア」の観点から原発事故対応に関わる研究に取り組んでいる。研究を進めるうえで重要な資料となるのが、日本政府と東京電力が福島第一原発事故に関連して連日開催した記者会見の内容である。そこで本研究のデータとして必要な、事故発生後に開かれた内閣官房長官の記者会見、原子力安全・保安院の記者会見、東京電力本店の記者会見の一問一答全体を記録したテキストデータを作成することにした。具体的には、それぞれ2011年3月11日~同年3月31日という、事故の初期段階に開かれた記者会見のテキストデータの文字起こしをした。作成したテキストデータは、本研究のためだけでなく、公共的な価値があると考え、ウェブサイト「FUKUSHIMA STUDY」を構築して公開することにした。公開に際しては、原子力安全・保安院の記者会見と東京電力本店の記者会見の整理の仕方に差があったため、原子力安全・保安院は会見単位で、また東京電力本店は1日単位で、その会見(その日)に特有なかたちで多く現れる言葉を特徴語として上位10位まで抽出し、会見テキストの横に掲示した。特徴語の抽出には計量テキスト分析ソフト、KH Coderを使用した。これにより、会見の内容が経時的に変化する様子を概観できるようになった。2016年度は、記者会見のテキストと新聞報道記事の比較分析を進める予定である。なおウェブサイトの構築にあたっては、早稲田大学特定課題基礎助成のサポートを利用した。ウェブサイトURL http://fukushimastudy.org
著者
勝方 恵子 LESLIE Winston WINSTON L. I.
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

調査研究の効率をはかるために、京都の国際日本文化研究センターや、愛媛県の高畠華宵大正ロマン館。宮沢賢治記念館などで、西欧近代をいち早く取り入れながらも日本古来の伝統にこだわり続けた地元出身の作家たちの第一次資料や文献の調査、関係者インタヴューなどに重点を置いた。具体的には、1)両性具有的な人物描写で著名な漫画家・竹宮恵子が全作品を捧げている謎の挿絵画家「高畠華宵」について調べるために、著作権を管理している遺族のインタヴューを行い、テープを起こし、英語に翻訳した。これらの情報をもとに、華宵の年代譜を作成する予定である。華宵の来歴の最も謎の部分は、第二次大戦後、弟子の一人を連れてロサンゼルスに移住し、美術学校の設立準備にあたったが、弟子の不慮の死により計画を断念して1年で帰国した経緯である。その足跡の詳細は、ロスでの調査に託されよう。遺族との会見で得た大きな成果は、「高畠華宵」再評価の先鞭をつける使命を負わされ、今後の論文執筆に際して全作品の掲載に関する著作権を許可してもらったことである。2)古文書『病名彙解』などに記載された「フタナリ」に関する記述を解読。近世期における日本や中国の見解を知る手掛かりとなった。3)京都の京都国立博物館において、『病草紙』(12世紀の絵巻物・国宝)などに「ふたなり」に関する描写を発見し、模写版のコピーを得ることが出来た。4)宮沢賢治記念館では、『銀河鉄道の夜』のカムパネルラ解釈にかんして、「中有」「中陰」「中間生」という仏教用語が多用されることの背景を探るための資料収集をすることが出来た。5)その他、谷崎潤一郎に関する文献・資料もほとんど完了し、初期作品に「両性具有イメージ」が顕著であることに関して、傍証を得ることが出来た。以上、申請書に掲げた調査予定は完了した。予算の関係で沖縄調査は断念せざるを得なかったが、別途計画したい。
著者
平田 竹男
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011 (Released:2011-08-05)

本研究の目的は、プロサッカークラブが持続的に成長していくために必要な施策や成功要因を明らかにすることである。研究方法は既存の資料分析および当事者へのインタビューを用いた。その結果、プロサッカークラブが持続的に成長していくためには、対戦チームに応じたチケット料金制の検討やユース育成に注力することがチームの成長に欠かせない要因であることが明らかとなった。
著者
菊池 馨実 福島 豪 中川 純 上山 泰 菅 冨美枝 小西 啓文 尾形 健 川島 聡 今川 奈緒 永野 仁美 新田 秀樹 長谷川 珠子 長谷川 聡
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010 (Released:2010-08-23)

研究者各自による研究論文の発表に加えて、4度にわたる公開シンポジウムの開催、3度に及ぶ学術雑誌での特集論文の掲載、さらに刊行が確定している論文集と教科書の出版などを通じて、日本における障害者法学の構築に向けた基盤をつくることができた。
著者
浅倉 むつ子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

本研究は、EUおよびイギリスにおける雇用差別禁止法制において、複合差別の是正・救済法理を研究することである。2015年度は、主として、以下の3点に関する検討を行った。第一に、イギリスの2010年法について、前年に行った同法全体像の素描と禁止される行為類型の把握、複合差別の条文分析をふまえて、今年度は、同法の「実効性確保」の手法について、主として研究を行った。イギリスではこれまで、男女差別の禁止と機会均等の促進を、法規定による権利保障とそれが侵害された場合の権利の救済を通じて実現してきた。これは「個別救済モデル」といえる。しかしこのモデルは、被害者に精神的・金銭的負担を余儀なくさせる上に、救済が当該労働者に限定されるという限界がある。そのために、2010年平等法は、民間企業にジェンダー賃金格差情報の定期的な公表を義務づけるなどの新たな手法を設ける改革を行った。これは「積極的義務づけモデル」ということができよう。第二に、日本国内の法制度として新たに登場した「女性活躍推進法」を対象に、積極的な格差是正のための手法を分析した。この法は不十分な側面もあるものの、ポジティブ・アクション義務つけ法としての性格をもっている。第三に、国連の女性差別撤廃委員会における日本政府報告審査を傍聴して、国際機関が「複合差別」問題に関心を強めていることを確認し、日本における複合差別問題の全体像の把握につとめた。今後、最終年度を迎えるにあたって、さらに「複合差別」を禁止する法制度の意義について理論的分析を進めると同時に、どのように複合差別を是正すべきかという手法の研究もあわせて進めていきたい。
著者
近藤 悠介 中野 美知子 吉田 諭史 石井 雄隆
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

本研究の目的は発話能力の育成に焦点を当てた英語教育プログラムにおける発話自動採点システム導入の可能性を検討することである。平成26年度では発話自動採点システムで使用する項目を作成し、平成27年度ではこれら項目を用いて発話データを収集し、発話自動採点システムを導入しようとしている英語教育プログラムの教員が収集した発話データを評価した。評価が付与された発話データを用いて、自動採点システムを構築した。音声認識技術を用いて学習者の発話を音声からテキストに変換する。外国語学習者と母語話者では発音、韻律が大きく異なるため、本研究で対象とする日本時英語学習者の音声を用いて音響モデルを作成した。初期モデルにおいては研究代表者がこれまでに収集したイソップ童話の『北風と太陽』を111人の英語学習者が読み上げた音声データを用いた。また、音響モデルの訓練には本研究で収集した172人の英語学習者の発話17819発話を用いた。平成26年度までに作成した談話完成タスクを用いて、発話データを収集した。40問の談話完成タスクに対し63人が発話データを提供した。121回の未解答を覗いた2339発話に関して14人の評定者が評価した。この発話データの特徴を分析し、評価と発話の特徴量を検討し、自動採点システムを構築した。本システムではBag-of-wordsモデルを利用して発話に出現する単語をベクトルとして扱い、サポートベクターマシン(Support Vector Machine: SVM)およびナイーブベイズ分類器(Naive Bayes Classifier)を用いて評価を予測した。交差検証を用いてSVMおよびNBCそれぞれの予測精度を推定した。ともに74%程度の予測精度であった。本研究で採用した手法は発話自動採点システムにおける評価の予測方法として有用性があると判断した。