著者
梅谷 陽二 吉田 和哉
出版者
東京工業大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

宇宙基地と科学実験衛星などの間を往復し、実験機材や機器の搬送、取付け、調整などの作業を行なうためのマニピュレ-タ付き軌道作業衛星の運動は、地上のロボットマニピュレ-タのそれと基本的に異なる点が多く、その制御については未知の部分が多い。本研究はこのロボット衛星の基本モデルとして、一本の多関節マニピュレ-タをもつ衛星が、近くを浮遊する目標物体を捕捉するケ-スをとり上げ、その運動をエアスライドテ-ブルの上でハ-ドウェアモデルによって行なわせ、同時にその時間経過を光学的に追跡して、ソフトウェア的にグラフィックシミュレ-ションによって検証するという手段を採用した。本年度の研究は、一本のマニピュレ-タを持つ軌道作業衛星がその近傍を浮遊する物体を捕捉する作業の制御問題を中心課題にして、以下のような研究成果を得た。すなわち目標の相対速度レベル、大きさ、形状を定義し、それを捕捉する制御問題に拡張した。移動対象物体の捕捉にあたって、以下の三つの制御法をグラフィックシミュレ-ションを理論的に検討し、その有効性を確かめた。(1)最適軌道および保証作業領域を考慮した目標先端速度設定法によるオンライン分解速度制御。(2)直線軌道および保証作業領域を考慮した目標先端速度設定法によるオンライン分解速度制御。(3)直線軌道および等時刻直線到達領域を考慮した目標先端速度設定法によるオフライン分解速度制御。また上記のアルゴリズムに関して、以下の捕捉動作上の特徴を見出した。(1)の制御法に関しては、捕獲の段階で位置偏差をゼロにでき、ソフトな捕獲が可能である。(2)の制御法は捕獲の対象物の位置偏差をゼロにするだけであり、捕獲合体の際の衝撃は大きい。(3)の制御法は、(2)と同様に捕獲の際の速度偏差をゼロにすることは考慮に入れていないので、捕獲の際の衝撃力は大きい。
著者
竹内 大介
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究ではジイミンパラジウム錯体によるオレフィン類の異性化重合を利用し、官能基の密度、分布が完全に制御された高分子の合成と、その機能の探索を目指して研究を行った。ジイミンパラジウム錯体により非共役ジエンやトリエン、アルキルシクロペンテンやアルケニルシクロヘキサンなどの異性化重合が選択的に進行し、立体構造の制御された五員環や六員環を含む高分子が得られることを見いだした。モノマーのアルキル基の長さを変えることにより、高分子中の環構造の密度や分布を完全に制御することも可能である。トリエンの重合では官能基が一定間隔で交互にならんだ高分子が得られた。1,3-トランス五員環を含む高分子は液晶性を示した。
著者
小山 富士雄
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は平成20年から3年に亘って開発した「LCB式組織の健康診断法」を発展させて、モノづくり分野における安全文化向上に関する実証と普及に関する研究及び医療分野とサービス分野への適用研究からなる。実証研究は大手化学産業のグループ会社や大手ガラス会社で具体的に組織改善が進められている他、ISOマネジメントシステムの補完を目的として電気・電子業界でも導入が始まったことは、産業界でも注目されることとなった。この他、医療・介護分野やサービス特に金融分野についてエラー防止に関する手法の開発、想定外の事態対応として東電福島第一原発の組織管理の評価や今後のレジリエンスの具体的な手法について提言を行った。
著者
上野 修一
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

直交半直線交差グラフ(平面上の水平あるいは垂直な半直線の集合を点集合とする交差グラフ)の理論を発展させました.この理論に基づいて,次世代集積回路の革新的な技術として注目を集めているナノ回路の耐故障設計において重要な役割を果たす「直交半直線交差グラフの部分グラフ同型問題」とその特別な場合である「直交半直線交差グラフの均衡完全2部部分グラフ問題」に関するアルゴリズムを発展させました.すなわち,直交半直線交差木に対して前者を解く従来よりも高速なアルゴリズムを提案すると共に,直交半直線交差グラフの特別な場合である2部置換グラフに対して後者を解く従来よりも高速なアルゴリズムを提案しています.
著者
飯島 淳一 包 捷
出版者
東京工業大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

テキストマイニングとは,テキストデータの特徴ベクトルにもとづくクラスタリングや自動分類を行うことであり.その中核となる技術として,特徴ベクトルの抽出やクラスタリング,パターン認識,情報推薦などがあげられる.これらの技術を様々なストリームデータに適用し,新たな知見を得ることが本研究の目的であり,それに関連する今年度の研究実績は大きく3つに分けられる:1.平成15年度の音楽データに続き,平成16年度では,クリックストリームデータ(ユーザがWebページ間で遷移する履歴)のマイニングを試みた.クリックストリームデータから,ユーザの情報探索行動のパターンを発見するために,同じ話題に関するWebページ間での移動回数など,独自な特徴ベクトルを用いた分析手法を提案した.この分析手法を,個人のウェブサイト,企業の公式ウェブサイト及びポータルサイトのクリックストリームデータに適用し,ユーザの行動パターンを明らかにすることによって,Webサイト運営の担当者が直観的に感じていたことを裏付けるとともに,Webサイト改善の方向に示唆を与えることができた.(文献1)2.マイニング技術を利用した情報推薦システムで試みされてこなかった「意外性」のある情報の推薦に注目し,利用者の新しい発見に繋がる情報,言い換えると意外性のある情報を推薦するために,マイナーグループと呼ぶ推薦者のグループを構成し,このグループから情報提供を受ける推薦システムを提案し,実装を行った.実装したシステムを利用し,学生を被験者として,映画作品推薦の実験を行った結果,意外性があり,且つ興味・関心を持て情報を提供できることを確認できた.(文献2)3.2001年から2003年に新品種として登録された272品種のバラの52週間の売上データを対象に,各週の売上を特徴ベクトルとして用いてクラスタリングを行った結果,バラ新品種が市場で受け入れられていく4種類のパターンを明らかにすることができた.(文献3)
著者
福山 真央
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013

本研究は、マイクロ流体デバイス内で生成した数百ナノメートルサイズの液滴(ナノ液滴)を用い、新たな微少量分析操作の開発を目的としている。本年度は、前年度に開発した自然乳化を利用したナノ液滴生成法を利用した、新たな選択的濃縮法の開発を目指した。1. ナノ液滴生成を利用したマイクロ液滴内包物の選択的濃縮法の開発前年度に、非イオン性界面活性剤(Span 80)を含む有機相中にマイクロ水滴を生成すると、マイクロ水滴からミセルへと水が分配し、マイクロ水滴界面から100 nm程度のナノ水滴が生成する(自然乳化)現象を見出した。この現象を利用し、マイクロ水滴内包物の濃縮が可能であると考えた。蛍光色素を含む40μm径のマイクロ水滴を用意し、自然乳化に伴うマイクロ水滴縮小と、マイクロ水滴内の蛍光強度の液滴径依存を観察した。その結果、親水性またはサイズの大きい分子はマイクロ水滴内に濃縮することが判明した。親水性の高いスルホローダミンを用いた場合、500倍に濃縮されることが分かった。また、サイズが小さく疎水性の分子はナノ水滴に分配し、マイクロ水滴内に濃縮されないことが分かった。2. 新規選択的濃縮法の生化学分析への応用可能性実証上記濃縮法の生化学分析への応用として、ビオチン・アビジンを利用したbound complex/ free ligand(B/F)分離を実証した。以上の成果は、マイクロ液滴を利用した微少量分析操作システムにおいてボトルネックであった、液滴内包物検出の感度向上を可能にすると期待する。これまで、マイクロ液滴は微少量試料分析のための反応場として注目を集めている一方で、液滴の光路長の短さと試料量の少なさゆえに、その内包物の検出法が限られていた。本研究の選択的濃縮法により、液滴内包物の検出法の自由度が向上し、より柔軟な微少量試料分析システムの開発が可能になると期待する。
著者
水野 眞治 小島 政和 比嘉 邦彦 二宮 祥一 尾形 わかは 中川 秀敏 中田 和秀 中野 張 北原 知就 高野 祐一 高橋 幸雄
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

数理ファイナンス/金融工学に関連する数理技術、特に「最適化・オペレーションズ・リサーチ」「確率数値解析」「情報ネットワークセキュリティ」という3つの要素技術に関して理論的研究を行った。また、それらを実装したソフトウェアをインターネット上で公開した。さらに、金融数値計算を行うシステムの設計と構築を行った。その結果、高度な専門的数理技術を容易にアクセスできるようになった。
著者
青西 亨 宮川 博義
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

近年、2光子顕微鏡などのイメージング装置の急激な発展により、細胞内のカルシウム動態を時空間的に高解像度で計測可能となった。我々は、高解像度カルシウムイメージングデータの解析手法を開発した。研究I:カルシウムイオン濃度と観測可能な蛍光シグナルの間にある物理過程を状態空間モデルで記述し、細胞内カルシウム濃度を推定するベイズ統計手法を開発した。研究II: 樹状突起内のカルシウム波を定量的に解析する手法を開発した。研究III: 高解像度多細胞イメージングデータに非負値行列因子分解を適用し、細胞体や樹状突起などの機能単位の蛍光信号を自動的に分離するアルゴリズムを開発した。
著者
長井 嗣信
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

地球磁気圏尾部では、地球半径の20-30倍程度の位置で起きる磁気リコネクションによって磁場エネルギーがプラズマのエネルギーに変換している。この磁気リコネクションが、地球半径40倍の幅をもつ磁気圏尾部で、どのような規模で起きているかを、人工衛星Geotailによる20年以上の観測をもとに確立した。磁気リコネクションのX-line は、イオン慣性長より狭い領域に形成され、その周辺には、ion-electron decoupling regionが10倍のイオン慣性長領域(一般に1 地球半径以下)に形成され、朝夕方向に6倍の地球半径以上の長さを持つという3次元規模とその内部構造を明らかにした。
著者
島根 哲哉
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

大学への出願行動を,入学による期待効用を最大化する受験生の離散選択問題として定式化する.また,大学側の受験機会の変更や教育内容の変更がこうした出願校および入学校選択に及ぼす影響を明らかにする.また,実際の出願数を計量的に分析することを通じて,受験生の大学への選好を明らかにし,受験生から見た大学の評価がどのような観点からなされているかを明らかにする.またこの結果を用いて,近年見られる大学の合併や学部組織の改組を,厚生の観点から評価する.
著者
松下 慶寿 大川原 真一
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

光触媒反応に最適化されたマイクロチャネル型リアクター、および並列型マイクロ反応デバイスを開発した。酸化・還元による高付加価値化合物合成について、マイクロ反応場と光触媒反応の特性を組み合わせ、その特性を活かして最終生成物の酸化段階を制御することにより、収率、選択性を向上させ、マクロ式バッチ反応系では実現できない環境負荷低減型の新たな反応プロセスを構築できることを示した。
著者
謝 暁晨
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

今年度は上記の課題名にて以下の成果を上げました1)アンカリング構造転移の成長過程を詳細に調べ、結晶成長とのアナロジーから、成長の次元性を検討した。2)昨年に続き、電気メモリーデバイスに応用するために、電場下でアンカリング構造転移の挙動を主に明らかにした。主な着眼点は下の二点になります。①アンカリング構造転移において双安定領域におきまして水平配向と垂直配向とを電場で非可逆的にスイッチングさせることができたことを踏まえ、使用する液晶の使用温度を室温まで低め、実用デバイスとしての利用を検討している。②アンカリング構造転移が起こる際の熱挙動や界面センシティブな超微小角X線回折実験結果からメカニズムの詳細を検討し、転移前後における界面の分子配向変化を明らかにした。その一方で、アンカリング転移の際における液晶分子の空間分布について未解明であったため、2光子偏光蛍光共焦点顕微鏡を立ち上げ、分子配向の可視化を試みた。得られた空間分子配向プロフィールはモデルとほぼ一致した。今後は、非線形光学効果を用いた顕微分光による界面の状態を、より詳細にプローブする予定である。
著者
清尾 康志
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

本研究では独自に開発した人工核酸の特性を活用した新しいmiRNA検出技術の開発を、有機合成化学と核酸検出技術を融合して開発した。まず、既に開発していた人工核酸dAChcmPNAの短鎖RNA選択的結合能をさらに高めるために化学構造を改変した第二世代の修飾核酸の開発を行い新規RT-PCR法への応用を目指した研究を行った。また、蛍光残基で修飾した人工核酸の合成法の開発と蛍光特性の評価を行い、短鎖RNAの蛍光イメージングプローブとしての開発を目指した研究を行った。さらにではdAChcmPNA をスライドグラスに固定化した短鎖RNA選択的microarrayを開発するための基礎技術の開発を検討した。
著者
鹿野 豊
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

時間とエネルギーに対する量子測定モデルとして決定的なモデルを確立することが出来た。それは、トイモデルである離散時間量子ウォークの中でという限定つきではあるが、これらの考え方を模倣することにより、より理解が深まっていくと考えられる。実際に示したことは、離散時間量子ウォークからデコヒーレンスと時間的に変化する量子コインを用いて、連続時間量子ウォークおよび離散時間および連続時間ランダムウォークとの対応を調べた。その際、スケーリングの規則の対応関係を示した。また、昨年度精力的に研究を進めてきた弱値に関する研究については、量子力学との整合性が確認され、これから一層の量子情報科学および量子基礎論での理論の展開が行える段階となった。今年度は量子プロセストモグラフィーに焦点をあて、弱測定の見方を捉え直すことにより、対応関係が明確化することが出来た。そして、実際に、そのような実験を行う際の手順までを与え、用いた近似における妥当性や今後の問題点について列挙してある。更に、タイムパラドックスと呼ばれるモデルの中でも弱値の有用性は証明されている。これらは場の量子論を用いた計算規則との対応関係をポストセレクション型タイムトラベルモデルで示したことで、場の量子論における弱値の役割や時空との関係を述べることができる段階になった。そして、この度、新しく研究をスタートさせたのが、情報科学的視点から見た熱力学の研究である。これは、当初ブリリアンによって提唱されていたアイディアを現代の視点から捉え直し、正当化したともいえる研究である。この物理を情報科学的に、すなわち、操作的観点から捉え直すという一連の仕事は今後、重要視されていくとともに、化学や生物といった別の自然科学への波及効果も十二分に大きいと考えている。
著者
北爪 智哉 山崎 孝 岩井 伯隆
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

フッ素系物質をフッ化物イオンへと分解可能な菌体を見いだし、分解の計時変化を検討した。ATP、L-メチオニンを出発物質とし、MetK、フルオリナーゼ、MtnN酵素類とフッ化物イオンを用いて、one-pot反応を行い5-FDRを創製するための最適化条件を見いだした。各種のフッ素系物質を菌体で分解し生成したフッ化物イオンを利用した系でも5-FDRを生成可能な系を確立した。また、BTFの分解により生成したフッ化物イオンをフッ化カルシウムとして回収するシステムも確立した。
著者
高安 美佐子
出版者
東京工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

ブログやツイッターなどの公開されているインターネットの書き込み情報を自動的に収集蓄積した巨大なデータを、統計物理学的な視点に基づき科学的な分析をした。まず、日常的に一定の頻度で使われていると期待される単語に注目し、その基本的なゆらぎの特性を明らかにした。次に、流行語やニュース用語などに注目し、その上昇・下降が指数関数やベキ乗の関数形で記述できることを示した。
著者
齋藤 滋規 鞠谷 雄士 高橋 邦夫
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,曲面や粗さのある壁や天井に自由に凝着し,移動することが可能なヤモリの指先の微細構造に着想を得て,静電誘導ファイバーによる凝着・離脱デバイス(ファイバー型静電チャック)の開発を行った.具体的には,コンプライアンス(柔かさ)を持ち先端に静電力を発生することのできる静電誘導ファイバーを開発し,それを集積することにより曲面の曲率や表面の粗さを吸収して凝着・離脱が容易にできる新たな静電チャックの(潜在的な)有用性と実現可能性を理論・実験の両面から示した.