著者
坂上 和弘
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は、近現代日本人およびアメリカ人集団の全身骨における左右差の変異幅や左右差の出現場所を調べることである。過去の左右差研究では極めて限られた資料および骨しか扱われていないため、全身骨における左右差を調べた本研究は極めて独創的である。資料としては1890年から1970年の間に死亡した年齢、性別既知の近現代日本人、近現代アメリカ人を資料に用いた。その内訳は日本人男性50個体、日本人女性43個体、アメリカ白人男性50個体、アメリカ白人女性50個体、アメリカ黒人男性50個体、アメリカ黒人女性50個体の計293個体である。年齢は鎖骨胸骨端癒合〜50歳まで、対象となる骨が完形で保存されており、病変が見られないものを資料として用いた。対象となる骨は、頭蓋骨、下顎骨、鎖骨、肩甲骨、上腕骨、橈骨、尺骨、第一中手骨、第三中手骨、寛骨、大腿骨、脛骨、腓骨、第一中足骨、第三中足骨であり、各骨の長さ、骨幹中央の径や太さ、両骨端の大きさを中心に112項目について左右の計測を行なった。結果としては、どの集団においても、頭蓋骨、鎖骨、肩甲骨、寛骨といった体幹部の骨は左が統計的に有意に大きい傾向にあり、特に鎖骨の長さは全集団で左が有意に長く、全体の約80%の個体で左が長かった。上肢骨はほとんどの変数で右の方が有意に大きく、全体の約70%以上の個体で右が大きい。また、下肢骨はほとんどの変数で有意な左右差は見られなかった。これらの結果は、「体幹部の発生では左右軸が決定された後、細胞の分化に左右の偏りが見られるのに対して、四肢の発生では右肢と左肢の偏りは見られない。こういったことから、体幹部と四肢部での左右差が異なる傾向を示すと予想される。」という予測を支持するものであり、体幹部の左右差は神経系や循環器系などの左右差に影響され、上肢の左右差は利き腕に影響され、下肢の左右差の無さは運動器としての必然性に影響されると考えられた。
著者
鹿島 英一
出版者
東北大学
雑誌
東北大学文学部日本語学科論集 (ISSN:09174036)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.13-24, 1993-09-30

昨今、日本語へのカタカナの進出振りは留まるところを知らないかのようである。一方、日本語より一足先に国際化した(シンガポールの)華語にも外来語が氾濫している。中国語の比ではない。無論、既存の漢字を転用するわけである。日華両語ともただ置かれた環境に独自に反応しているだけである。だが、外来語の表記 (処理) 法を見る限り、よく似た現象にいろいろぶつかる。本稿ではこの問題を取り上げ、日本語のカタカナと華語の表音文字の異同に関して二つほど論じた。一つは表音文字表の作成の試みであり、もう一つは表記のゆれ方の相違である。前者はカタカナの用字法との対照を基に、当地の実際の文字資料を使って行なった。また、後者では日本語の音のゆれと華語の文字のゆれが、表記体系の中で似た役割を果たしていることを指摘した。
著者
遠藤 由香 庄司 知隆 福土 審
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

過敏性腸症候群(IBS)は代表的な思春期心身症である。成人IBSでは幼児期の虐待などのトラウマが発症リスクの一つと報告されているが、思春期IBSでは発症要因の解明は不十分である。そこで本調査では宮城県内の中学校で疫学調査を施行し、東日本大震災のトラウマ的体験がIBS発症率を増加させ、その影響は年余におよぶという仮説を検証する。疫学調査を施行すべく県教育委員会や養護教諭会に調査協力を依頼したが、教育現場では未だ混乱が続いており、協力を得がたい状況であった。そこで海外の疫学調査専門家と討議を重ね、調査法の変更や規模の縮小をして再度協力を依頼したが、最終的に調査を断念せざるを得なかった。
著者
神園 巴美
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本研究では、ブトキシブチルアルコール(BBA)の作用を明らかにするために、(1)実験条件をそろえた精度の高い実験系を確立し、次に(2)その実験系でブロイラーの筋肉タンパク質代謝とエネルギー代謝に対するBBAの効果を調べ、最後に(3)BBAによる代謝連鎖機構について調べることとした。平成25年度は、主に上記(2)と(3)の一部を中心に研究を進め、すなわち、0日齢ブロイラー(オス、Ross、16羽)を供試し、基礎飼料給与の対照区、BBA添加飼料(30mg/kg基礎飼料)給与のBBA区に2区に分け、各試験飼料で27日齢まで飼育して屠殺・解体した。その結果、BBAには体重・筋肉重量の増加による成長促進効果、飼料効率の改善、ならびに、脂質過酸化とタンパク質酸化損傷の抑制、α-トコフェロール濃度上昇による酸化ストレス軽減効果があることを明らかにした。BBAによる成長促進効果、特に筋肉タンパク質代謝に対する影響に関しては、タンパク質分解の抑制だけでなくタンパク質合成能の上昇も関与した。これらはμ-calpainとatrogin-1 mRNA発現量の低下、さらにIGF-1 mRNA発現量の上昇の結果として捉えることができる。また、BBAによる飼料効率の改善効果は、ATPを必要とするユビキチン・プロテアソーム系(IGF-1とatrogin-1が関与)によるタンパク質分解抑制によってATPが節約され、その結果、エネルギー変換効率が上昇したとの仮説が成り立つ。一方、BBAが酸化ストレスを軽減することを考え合わせると、酸化ストレスの原因となる活性酸素を消去し、またはミトコンドリアでの活性酸素産生量を抑えることで酸化的リン酸化効率を高めている可能性も否定できない。このように、BBAはタンパク質代謝だけでなくエネルギー代謝にも影響し、それらが相互に連関して成長促進効果を発揮している可能性を明示した。
著者
本堂 毅 鈴木 哲 村瀬 雅俊 北條 祥子 石堂 正美
出版者
東北大学
雑誌
新学術領域研究(研究課題提案型)
巻号頁・発行日
2009

日常環境レベルでの電磁場が生物及び人体に対して与える影響について,細胞及び人体レベルでの研究を行い,低周波磁場の細胞への影響を,コメットアッセイ解析等の定量評価から明らかにした.疫学研究では調査に用いる問診票を確立した。また,身体レベルでの愁訴を研究に活かすために,科学的不確実性(不定性)を伴う知見の専門家・非専門家間でのコミュニケーションが成立するための基礎的条件を明らかにした.
著者
西村 直子
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

古代インドでは牛を中心とする牧畜生活が行われており, 多彩な乳製品が基本食物とされていた。仏典にも多くの乳製品が登場し, 醍醐を最上とする重要な比喩表現も散見する。しかし, それらの具体的な製品について, 加工法の解明と同定は課題として残されたままであった。本研究ではヴェーダの祭式文献(中心となるものはB. C. 800-600年頃)から知られる以下の発酵乳製品について, 加工法の解明と同定を行い, その神話的宗教的意義と共に言語的側面からも精査した:ダディ(dadhi= 酸発酵乳), サーンナーィヤ(samnayya= 酸発酵乳と加熱乳の混合物), アーミクシャー(amiksa=カッテージチーズ様凝固発酵乳), パヤスヤー(payasya=amiksaに同じ), アータンチャナ(atancana=発酵または酸化促進剤), ヴァージナ(vajina=ホエイ)。
著者
たら澤 邦男 藤森 研司 森谷 就慶 尾形 倫明 千葉 宏毅 三澤 仁平
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

日本は超高齢・多死社会を迎え、国民が希望する場所で最期を迎えるための条件整備が急がれる。国民の55%は自宅で最期を迎えることを希望する一方、死亡場所の74%は病院であり、がんによる病院死は83%とさらに高い。がん患者について、病院死症例を多く含む病床機能と終末期医療の実態は明らかにされておらず、在宅看取りが多い地域にはどのような病院機能があるか解明されていない。そこで本研究は、在宅看取りの高低に対し同一地域の病院機能が与える影響を明らかにすることを目的とする。目的達成のためNDBレセプトデータ、官公庁公開データを併用した分析を行い、地域で実現可能な在宅看取りの普及啓発のあり方を検討する。
著者
遠藤 康男 只野 武 中村 雅典 田端 孝義 渡辺 誠
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1994

遠藤らの研究成果に基づく仮説“筋肉疲労が筋肉組織からサイトカインのinterleukin(IL-1)を遊離させ,この因子が筋肉組織にヒスタミン合成酵素のHDCを誘導し、持続的なヒスタミンの産生をもたらし,顎関節症などにおける筋肉痛を引き起こすのではないか?"を検討し,以下の結果を得た.(1)マウスの大腿四頭筋と咬筋を電気刺激すると,刺激の強さに比例してHDC活性が増加する.(2)強制歩行(筋肉運動)により、大腿四頭筋のHDC活性は歩行時間に比例して増加する.(3)筋肉でのHDC誘導に肥満細胞(ヒスタミン貯蔵細胞)は関与しない.(4)抗ヒスタミン剤のクロルフェニラミン(CP,ヒスタミンH1受容体の遮断薬)と,これまで臨床的に使用されてきた消炎鎮痛薬(プロスタグランジン合成阻害薬)のフルルビプロフェン(FB)について,顎関節症患者への臨床効果を比較した.CPでは,肩こりや頭痛などの併発症状の改善も含め,約80%の患者に対し改善効果が認められ,一方,FBでは改善効果は約40%であり,副作用の胃障害のため,投与中止のケースも生じた.CPでは,副作用はよく知られている眠気だけであった.(5)IL-1をマウスに注射すると,種々の組織でヒスタミン合成酵素のHDCが誘導されるが,大腿四頭筋および咬筋においてもHDCが誘導される.IL-1による筋肉でのHDC誘導は,電気刺激や運動の場合よりも速やかに起こり,IL-1は1μg/kgの微量の用量でHDCを誘導する.(6)マクロファージや血管内皮細胞は免疫学的刺激により,IL-1を産生することが知られる.筆者らは筋肉疲労もIL-1の産生をもたらすのではないかと予測し,IL-1の抗体とmicro ELIZA systemを用いて,血清中のIL-1の測定を試みたが,検出出来なかった.そこで,筋肉組織について,組織化学的にIL-1の検出を試みた.その結果,筋肉組織にはIL-1のβ型が存在し,毛細血管にも分布するが大部分は筋肉細胞のミトコンドリアに分布し,非運動時にも存在することを発見した.IL-1βは不活性な前駆体として合成され,酵素のプロセシングにより活性型に交換され細胞外に遊離されると言われる.従って,この発見は上記の仮説を補強する。しかし,非運動時の筋肉ミトコンドリアでの存在は予想外の発見である.(7)従来より疲労物質と考えられてきた乳酸が筋肉のHDC活性を調節する可能性は少ないものと思われる.(8)運動による筋肉でのHDC誘導の程度は,性差や年齢差,トレーニングの有無,マウス系統の違いなどで異なる.高齢マウスでは高いHDCの活性が誘導され,また,トレーニングはHDC活性の誘導を抑制する.以上の結果より筋肉疲労について次のメカニズムが想定されるに至った,IL-1β前駆体(血管内皮細胞および筋肉ミトコンドリアに分布)→運動に伴うミトコンドリア活性化/プロセシング酵素の活性化→活性型IL-1βの遊離→IL-1βによる血管内皮細胞の刺激→血管内皮細胞におけるHDCの誘導→ヒスタミン産生と放出→細胞脈の拡張,血管透過性亢進,筋肉痛(警告反応)→血液・筋肉細胞間の物質交換亢進/休息→疲労回復.また,本研究において,抗ヒスタミン剤は顎関節症の治療に有効な手段となることが示唆され,さらに,筋肉ミトコンドリアでのIL-1βの発見は,IL-1βによる筋肉細胞の調節という新たな研究の展開をもたらした.
著者
沼口 勝
出版者
東北大学
雑誌
集刊東洋學 (ISSN:04959930)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.29-37, 1979-05-30
著者
黒木 玄
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

任意の対称化可能一般カルタン行列に付随するワイル群双有理作用で生成されるτ函数の量子化を構成した。たとえば、一般カルタン行列がアフィンA_2型ならば量子化されたτ函数は量子パンルヴェIV方程式のτ函数になる。古典版のτ函数は従属変数に関する多項式になる。その結果の量子化を証明した。すなわち、量子化されたτ函数は量子化された従属変数に関する多項式になることを示した。その証明にはカッツ・ムーディ代数の表現のBGG圏における平行移動函手を用いた。以上の構成は量子群を用いて、q差分版の場合に拡張される。
著者
藤原 真理
出版者
東北大学
雑誌
東北大学文学部日本語学科論集 (ISSN:09174036)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.120-131, 1991-09-30

助詞「よ」の下接によって《下品さ》が生じる文には, 文脈的背景としての「話題となる情報の持ち出し方・扱い方の点における話し手の非優位性 (受動性・消極性)」が認められるのに対して, 「よ」に備わった表現性は「述べる情報に関する話し手の聞き手に対する優位性」に深く関わっている。「よ」こよってもたらされる《下品さ》は, このような, 一見, 相反する立場が一文において両立する二重性によりもたらされる。
著者
笠木 治郎太 大槻 勤 結城 秀行
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

1.固体金属中でのDD核融合反応の反応率金属中での重陽子密度とDD反応の遮蔽エネルギーの相関を見るために、Re, PdCaO, PdRe等の金属薄膜中でのD(d.p)T反応の反応率を入射エネルギー10keV以下の領域で測定した。測定結果は、従来の我々の結果をほぼ再現し、重陽子の流動性が大きい程遮蔽エネルギーが大きくなる傾向を示した。2.金属中でのD+D反応から放出される陽子(p)と三重陽子(t)の収量比(p/t)の精密測定BeからAuまでの各種金属を対象にp/t収量比測定を行った。この物理量は金属中の重陽子密度とは独立に、運動学的条件でのみ規定されており、運動学からの予想と比較することにより金属中での重陽子の運動に関する情報が得られる。結果は、いずれの金属にたいしても、p/t比は単純な運動学からの予想とは大きく異なることを示した。データから重陽子の運動に関する詳細な情報を得るために、金属中での入射重陽子の減速過程を解析するモンテカルロ計算のプログラムを開発中である。3.液体Liを標的とするLi+D核融合反応液体Liを標的とした^<6.7>Li+D→α+^<4.5>He反応を測定するための真空槽を作製した。重陽子エネルギー20keVから100keV領域での反応率の予備的な測定が行われた。その際、重陽子ビーム照射中のビームスポットの温度の直接測定が可能となり、反応率の標的温度依存性に関するデータも得られた。予備的データからLiD反応の遮蔽エネルギーを求めたところ、液相での反応が固相の反応に比較して大きくなるという結果となった。このことは、(1)の標的の流動性が遮蔽エネルギーの大きさと相関を持つという結論とも矛盾しない。
著者
大野 和則
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究の成果は,25kg程度の犬に装着し,犬の動作,移動中の軌跡,周囲の形状を計測する装置を開発した.犬の体型や動きの特性を考慮して装置を設計した.また,装置で計測したデータをベイズフィルタで処理し,歩行中の犬の位置・姿勢を推定した.推定した位置・姿勢を用いて3次元地図の復元を試みた.歩行速度の推定精度を,歩行の着地に注目して高精度化する方法を開発した.
著者
有賀 雅奈
出版者
東北大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2015-08-28

本研究では、ジャーナル『Cell』の創刊(1974年)以来の総説と記事の図を対象にボトムアップに図の分類枠を構築し、図の経年変化と傾向を分析した。大分類としては、(1)データとしての図、(2)説明のための図、(3)それらの融合という三つのカテゴリーに分かれ、経年変化をみると特にデータとしての図の増加が顕著であった。図は実験技術・表現技術とメディアの進歩に従って種類や表現方法が多様化していると考えられ、科学の議論の拡大や技術の発展を生み出す原動力になっていると考えられた。
著者
鈴木 三男 木村 勝彦
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

1)現在の二次林にどれだけのクリが存在するか:昨年までの結果に,宮城県鳴子町の東北大学農学研究科付属農場での調査結果を加え,胸高断面積合計は22.3〜58.6m^2/ha,平均38.7m^2/ha,直径10cm以上のクリが296〜533本/haという値が得られた.2)二次林をどのように管理,利用すればクリは再生するか:前年度設置した石斧およびチェーンソウによる皆伐区での1年後の萌芽情況を調査し,クリの萌芽再生はチェーンソウ区で56%,石斧区で54%とほとんど変わりがないこと,実生苗の発生はチェーンソウ区で1350本/ha,石斧区で450本/haで大きく異なった数字の上では大きく違うが,実験区が少ないため検証できないことから,新たな実験区をふやした.3)クリの実の生産量愛知県小原村でクリ21〜24本について実の生産量(落下量)を4年間にわたり測定した.その結果,1)それぞれの木の落果数は個体差が大きく、また同じ木でも年によって大きく変動すること,(2)実1個あたりの平均重量は個体により、また年により異なっていること,(3)調査木の実の生産量(重量)の年ごとの変動は全く同調していない,ことが分かった4)現生の自然林および遺跡出土のクリの遺伝的多様性の解析:クリの遺伝的多様性解析のため,多型性の高いSSR(Simple Sequence Repeat)マーカーの開発をおこなった.このマーカーを用いて,青森市内,津軽半島,下北半島,北海道小樽市,松前町,南茅部町の集団間の比較を行った結果,1)それぞれの集団では高い遺伝的多様性を保持していること,2)下北と津軽の集団間の遺伝的類似度が特に高いこと,3)津軽,下北,青森市,南茅部の集団では近い遺伝的関係にあること,が示唆された.
著者
長崎 正朗
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

次世代シークエンサではさまざまな転写産物を同時に見ることができるが同じ領域から出る転写産物について実際にどの転写産物がどの程度出ているかを区別することが課題である。特に機能を行っているかどうか未知であるncRNAやmicroRNAの網羅的探索においてはより正確な転写産物の推定が重要である。本研究ではこれらの特性を生かした転写量推定アルゴリズムを開発した。また、スーパーコンピュータを用いてlincRNAおよびmRNAを抽出できる環境整備を本研究成果により実現することができた。