著者
井上 宜充 隆島 研吾 高木 峰子 島津 尚子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.61-68, 2019 (Released:2019-02-26)
参考文献数
13

〔目的〕初回心不全で入院中の患者と担当理学療法士が必要と考える退院支援の特性と差異を調査すること.〔対象と方法〕対象は65歳以上の心不全初回入院患者16名とその担当理学療法士7名とした.本研究ではQ分類法を使用し心不全患者が必要とする退院支援に関する価値観を調査した.〔結果〕両群ともに必要性が高いとした退院支援は「再発時の対応」であった.両群で差異を認めたのは「運動の効果目的」と,「運動のリスク説明」で患者群の必要性は理学療法士群に比べ低かった.〔結語〕本研究の結果から両群ともに再発予防のために塩分・水分・体重の管理が効果的であることを意識していた.理学療法士群に比べ患者群では「運動」に関する必要性が低く,今後運動に関連した指導への課題があることが示唆された.
著者
吉田 大記 髙嶋 幸男 森田 正治 奥田 憲一 岩田 欧介 岩田 幸子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.737-740, 2015
被引用文献数
1

〔目的〕出生までの在胎期間に関係のある脳病理所見の分析から,特徴を明らかにする.〔対象〕早期産および,正期産で出生した乳幼児剖検例,それぞれ62および29例を対象とした.〔方法〕脳病理所見と診断内容から,在胎週数別の脳病変の特異性を抽出し,積率相関分散分析を行った.〔結果〕大脳白質障害のうち,脳室周囲白質軟化のびまん型と海綿状型は,在胎26週以下の超早期産で多く,広汎型は在胎27週から29週で多く,中間部白質軟化は在胎36週から38週に多く,皮質下白質軟化は39週から41週に多かった.基底核壊死は,在胎24週から26週と在胎39週から41週に分かれて多かった.〔結語〕大脳白質の軟化巣や他の病巣の好発部位が,出生時の在胎期間に応じて特異的である.所見はリハビリテーション早期介入に重要である. <br>
著者
松田 憲亮 池田 翔 鶴 大輔 永井 良治 中原 雅美 池田 拓郎 光武 翼
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.159-163, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
33
被引用文献数
1

〔目的〕女性前期高齢者のプレフレイルに影響する要因を分析することを目的とした.〔対象と方法〕前期高齢女性78名を対象とした.フレイル判定基準により,フレイルであったもの3名を除き,プレフレイル群と健常群に分け,各評価項目値の2群間比較を行った.また,多重ロジスティック回帰分析によりプレフレイルに影響する要因を検討した.〔結果〕プレフレイルへ関連する要因としてBody Mass Index,転倒自己効力感,健康意識,歩行速度が有意な独立変数として選択された.〔結語〕女性前期高齢者ではBody Mass Indexの増加や移動能力低下以外に精神的・心理的側面の低下がプレフレイルに関連することが示唆された.
著者
甲田 宗嗣 新小田 幸一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.125-131, 2008 (Released:2008-04-05)
参考文献数
31
被引用文献数
2 4

椅子座位から立ち上がり,歩行に至る一連の動作(起立-歩行動作)について,三次元動作解析装置および床反力計を用いてバイオメカニクス特性を分析し,膝筋力,バランス指標および転倒経験の有無との関連について検討した。対象は健常高齢男性18名(平均年齢73.9±5.3歳)であり,対象にはできるだけ速く起立し,3 m歩行するよう教示した。バランス指標はTUGテスト,Functional Reachテスト,左右最大一歩幅とした。結果として,起立-歩行動作のバイオメカニクス特性と膝筋力およびバランス指標との間に幾つかの相関が認められた。また,転倒群ではTUGテストの所要時間が長く,起立-歩行動作において直立位近くまで立ち上がってから歩き始めるという特徴を示した。
著者
菅沼 一男 平林 茂 金子 千香 高田 治実 江口 英範
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.163-167, 2016 (Released:2016-03-05)
参考文献数
16
被引用文献数
3

〔目的〕理学療法学科1学年女子学生における精神的健康度と大学生活不安との関連を調査すること.〔対象〕平成27年2月に1学年に在籍する4年制大学の理学療法学科女子学生44名であった.〔方法〕コーネル・メディカル・インデックスによる精神的健康度と大学生活不安尺度を調査した.〔結果〕CMIにて32%の学生が神経症またはその可能性ありと分類され,これらの学生は,CLASの日常生活不安,評価不安,大学不適応感,総合点のすべてにおいて正常群と比べて有意に高値であった.〔結語〕神経症傾向の学生は,対人関係,学業成績,大学への適合感,就職について不安感を持つ学生が多い.このため,早期に良好な対人関係を作られる援助,職業意識を高める指導など不安を軽減させるための対策が必要である.
著者
二階堂 泰隆 佐藤 久友 高山 竜二 大野 博司 佐浦 隆一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.549-553, 2011 (Released:2011-09-22)
参考文献数
27
被引用文献数
2

〔目的〕パーキンソン病(Parkinson’s Disease: PD)の症状のひとつである前屈姿勢は動作の自由度を制限し転倒リスクを増加させる.近年,後進歩行運動によるPD患者の姿勢や前進歩行能力の改善が報告されているが,その効果の詳細は不明である.本研究の目的はPD患者に対する後進歩行運動後の即時的な姿勢及び姿勢制御の変化を明らかにすることである.〔対象〕前屈姿勢を呈するPD患者1名(Hoehn & Yahr重症度分類III)とした.〔方法〕課題は静止立位とFunctional Reach Test (FR),Cross Test (CT)とし,5分間の後進歩行運動前後に三次元動作解析装置と床反力計を用いて課題中の姿勢と重心の変化を測定した.〔結果〕後進歩行運動後の静止立位では身体重心,足圧中心の後方移動を認め,即時的に前屈姿勢が軽減した.また,FRでは足関節戦略による姿勢制御の割合が増加し,CTでは前後方向,特に前への身体重心,足圧中心移動距離の増加を認めた.〔結語〕後進歩行運動は前屈姿勢の軽減と足関節を主とした姿勢制御能力を向上させ,安定性限界の範囲を拡大させる可能性がある.
著者
加藤 丈博 平松 佑一 種本 翔 服部 暁穂 澳 昂佑 松木 明好 木村 大輔
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.145-150, 2017 (Released:2017-02-28)
参考文献数
34

〔目的〕椎体骨折後の安静臥床により身体機能やADLの獲得が遅延した症例の経過について報告する.〔対象と方法〕第2腰椎椎体骨折を受傷した70代後半の男性1名.約3週間の安静期間を経て離床が許可されたものの,廃用性の筋持久力および全身持久力の低下により歩行自立が困難となったため,運動耐用能の改善を意図した反復立ち上がり練習,下肢エルゴメーター,トレーニングマシンによる運動療法を実施した.〔結果〕筋持久力および全身持久力が改善し,歩行自立が可能となり,退院時には受傷前ADLを獲得した.〔結語〕安静臥床により生じる廃用性症候群は,椎体骨折後のADL改善に寄与する重要な予後不良因子となることが示された.今後は安静臥床期間における筋持久力および全身持久力に対する治療介入の有効性を検討する必要がある.
著者
平山 哲郎 本間 友貴 茂原 亜由美 柿崎 藤泰 泉﨑 雅彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.513-518, 2018 (Released:2018-07-06)
参考文献数
26
被引用文献数
3

〔目的〕水平面上の胸郭形状を3次元画像解析装置で測定し,胸郭形状の左右非対称性の程度が胸郭可動性,呼吸機能に与える影響について検討した.〔対象と方法〕対象は健常成人男性20名とした.安静呼気位における胸郭水平断面図を作成し,断面積比を左右で比較検討した.また,胸郭断面積左右比と胸郭可動性,呼吸機能の関係について検討した.〔結果〕胸郭断面積比の左右比較では上部胸郭で左側が,下部胸郭で右側が増大する左右非対称性がみられた.また,胸郭断面積左右比,胸郭拡張率,呼吸機能には相関関係が認められた.〔結語〕安静呼気位の胸郭形状には上部胸郭で左側が,下部胸郭で右側が増大する左右非対称性が存在していた.この胸郭形状の左右非対称性の程度は,呼吸運動における胸郭可動性や呼吸機能に反映したものと考える.
著者
永井 良治 中原 雅美 森田 正治 下田 武良 岡 真一郎 鈴木 あかり 濱地 望 池田 拓郎 金子 秀雄 高野 吉朗 江口 雅彦 柗田 憲亮
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.713-719, 2017 (Released:2017-10-23)
参考文献数
11
被引用文献数
2

〔目的〕臨床実習指導者を対象に,クリニカルクラークシップ(CCS)の取り組みに対する意見をまとめ,今後のCCS型臨床教育の捉え方を検討するための資料とすること.〔対象と方法〕4年目以上の理学療法士60名を対象に,自己記入式質問紙を用いたアンケート調査を実施した.〔結果〕実習形態については,診療に参加させながら学生の成長を促すことができるとの回答が多かった.しかし学生は受身的な取り組み姿勢で,チェックリストを埋めることに意識が向きやすいことが示された.学生の理解度の把握については理学療法全体に関する理解の指導方法が課題になっていることが示された.〔結語〕現在のCCSの取り組みが明らかになった.学生の取り組み姿勢や指導方法については,臨床実習指導者と連携して検討していきたい.
著者
上田 泰之 浦辺 幸夫 山中 悠紀 宮里 幸 野村 真嗣
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.323-328, 2009 (Released:2009-07-24)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

〔目的〕本研究は,上肢挙上運動時にさまざまな負荷を与えた際の肩甲骨および体幹の運動を分析することにより,どの程度の負荷量が肩甲骨上方回旋,後傾運動および体幹伸展運動を増大させるかを明らかにすることを目的とした。〔対象〕対象は肩関節に疼痛の訴えがない健常成人男性15名とした。〔方法〕無負荷,2 kg,4 kg,6 kgを上肢に負荷した状態での上肢挙上動作を,デジタルビデオカメラにて撮影し,肩甲骨上方回旋角度,肩甲骨後傾角度,胸椎伸展角度,腰椎伸展角度,骨盤前傾角度を算出した。〔結果〕肩甲骨上方回旋角度は上肢挙上角度150°以降で6 kgの負荷が無負荷より有意に大きかった。胸椎伸展角度は上肢挙上角度60°,90°で4 kg,6 kgの負荷が無負荷より有意に大きく,上肢挙上角度120°以降では2 kg,4 kg,6 kgの負荷が無負荷より有意に大きかった。〔結語〕負荷を与えた上肢挙上動作では,肩甲骨上方回旋に加え,胸椎伸展運動も大きくなっていた。
著者
Kang Da-Haeng Jeon Jae-Keun Lee Joon-Hee
出版者
理学療法科学学会
雑誌
Journal of Physical Therapy Science
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.105-108, 2015
被引用文献数
14

[Purpose] The aim of this study was to determine the effect of low-frequency electrical stimulation on fatigue recovery of the erector spinae with cumulative fatigue induced by repeated lifting and lowering work. [Subjects] Thirty-two healthy men volunteered to participate in this study and they were randomly divided into three groups: a MC group of 12 persons who underwent microcurrent, a TENS group of 10 persons who underwent Transcutaneous electrical nerve stimulation, and a control group of 10 persons who only rested. [Methods] Cumulative fatigue was induced and then, EMG, muscle tone, CK and LDH serum levels of the erector spinae were measured. Each group then underwent the assigned intervention and was re-measured. To analyze the differences in fatigue between before and after the intervention, the paired t-test was conducted, while groups were compared using analysis of covariance with a control group. [Results] The MC groups showed a significant reduction in muscle fatigue and decreased muscle tone when compared to the control group. However, no significant differences were found between the TENS and control groups. [Conclusion] These results suggest that microcurrent stimulation was effective for recovery from cumulative muscle fatigue while TENS had no effect.
著者
伊藤 一也 増田 圭太 蒲田 和芳
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.829-832, 2013 (Released:2014-01-21)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

〔目的〕ストレッチポールを用いたベーシックセブンの効果を明らかにすることを目的とした.〔対象〕若年健常男性20名を対象とし,介入群とコントロール群に無作為に割りつけた.〔方法〕介入群はストレッチポールを用いたベーシックセブンを実施し,コントロール群はストレッチポールを使用せず,同様の運動を床上にて実施した.介入前後で体幹後屈可動域,体幹背面の床接地面圧分布を測定し,各群で変化量を比較した.〔結果〕介入前後での体幹後屈可動域および上部体幹床接地面圧はともに,介入群で有意に増大した.〔結語〕ベーシックセブンは,体幹後屈可動域および上部体幹床接地面圧の増加に効果的である.
著者
Park Byung-Joon Kim Joong-Hwi Kim Jang-Hwan Choi Byeong-Ho
出版者
理学療法科学学会
雑誌
Journal of Physical Therapy Science
巻号頁・発行日
vol.27, no.10, pp.3137-3139, 2015
被引用文献数
4

[Purpose] This study was performed to provide evidence for the therapeutic exercise approach through a compative analysis of muscle activities according to climbing wall inclination. [Subjects and Methods] Twentyfour healthy adult subjects without climbing experience performed static exercises at a therapeutic climbing at with various inclination angles (0°, 10°, 20°), and the activities of the trunk muscles (rectus abdominis, obliquus externus abdominis, obliquus internus abdominis, erector spinae) were measured using surface electromyography (EMG) for 7 seconds. [Results] Significant differences were found between the inclination angles of 10° and 0°, as well as 20° in the rectus abdominis, obliquus internus abdominis, right obliquus externus abdominis, and right erector spinae. [Conclusion] Based on measurements of trunk muscle activity in a static climbing standing position at different angles, significant changes in muscle activity appear to be induced at 10 degrees. Therefore, the results appear to provide clinically relevant evidence.
著者
小貫 睦巳
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.727-730, 2008-12-20
参考文献数
9

[目的]本研究は理学療法専門学校の授業の中でソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下snsと略)を使用した新しいweb授業の試みを行いその効果を探るものである。[方法]理学療法専門学校の内部障害系理学療法学の科目において2007年10月から同2年生40名に対しsns授業を行い,その前後に一般セルフエフィカシー尺度(以下GSESと略)を測定し変化を見た。また終了時にアンケートを行いsnsを活用した学習の利点・欠点についての自由記載の結果より共通する項目等を分類し概括した。[結果]sns授業前後のGSESの変化に有意差は認められなかった。終了時アンケートの結果よりe-learningの効果に基づいたいくつかの特徴がsnsの効果として見られた。[結論]sns授業は,いつでも,どこでも学習が出来,コミュニティの中で他の学生の考えや教員のチュートリアルを受けやすく,web上に情報が残っているので繰り返し見られる環境であることが特徴であり,このことを活かしてより効率的・発展的なe-learningを推し進めることが必要である。<br>
著者
片山 訓博 大倉 三洋 山崎 裕司 重島 晃史 酒井 寿美 栗山 裕司 稲岡 忠勝 宮崎 登美子 柏 智之 藤本 哲也 藤原 孝之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.365-369, 2011 (Released:2011-07-21)
参考文献数
11
被引用文献数
2

〔目的〕常圧下における低酸素および高酸素条件への急性暴露が,運動時の呼吸循環応答へ与える影響を検討した.〔対象〕健常成人男性7名.〔方法〕膜分離方式により常圧環境下において低,通常,高の3つの酸素濃度条件を設定した.各条件下で自転車エルゴメータによる多段階漸増運動負荷を行い,安静時から運動最終時までの呼吸循環応答を測定した.低酸素濃度と通常酸素濃度,通常酸素濃度と高酸素濃度の呼吸循環反応を比較検討した.〔結果〕低酸素濃度では,通常酸素濃度に比べ呼吸循環器系への負荷が有意に増大した.特に,嫌気性代謝閾値以上の負荷において呼吸器系への負荷が大きくなる傾向にあった.高酸素濃度では,通常酸素濃度と大きな差を認めなかった.〔結語〕急性暴露における常圧低酸素環境においても,順化させた低圧低酸素環境での呼吸循環負荷と同様の効果が示された.
著者
越智 亮 坂野 裕洋 金井 章 森岡 周
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.427-432, 2006 (Released:2007-01-11)
参考文献数
26
被引用文献数
2 1

立位で頚部に振動刺激を与えると,頚部固有受容器からの感覚変化が生じることで頭部位置の混乱を引き起こし,自己中心参照枠が変更され,姿勢変化が生じるとされている。本研究の目的は,健常者を対象に頚部振動刺激の介入を行い,その残存効果によって起立動作の身体重心変位が生じるかどうか,被験者の内省報告と三次元動作解析装置,および床反力計を用いて検証することである。計測は,座位で頚部後方へ振動刺激を1分間与え,被験者に頚部前屈の運動錯覚を生じさせた後,起立動作とそれに伴う重心変位を記録した。その結果,起立動作における重心位置の前方変位が生じ,さらに6分後までその重心前方変位が確認された。振動刺激によって誘発される,頚部固有受容器からの継続された感覚変化が起立動作後の重心位置に影響を及ぼすと結論した。
著者
片桐 創太 中釜 大輔 乙戸 崇寛 澤田 豊 赤坂 清和
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.699-702, 2014 (Released:2014-10-30)
参考文献数
7

〔目的〕肩甲帯と骨盤帯の回旋角速度の変化が反復投球によりどのように変化するか検討した.〔対象〕上下肢に整形外科疾患を有しない大学野球部員8名.〔方法〕投球数を60球とし,この投球の前半と後半のフォームを水平面よりハイスピードカメラを用いて撮影した.画像よりacceleration期の肩甲帯と骨盤帯の回旋角度,回旋角速度,およびステップ長を算出した.〔結果〕投球の後半で球速が維持または上昇した群では,球速が低下した群と比較して肩甲帯の相対的回旋角速度の変化が少なかった.〔結語〕反復投球時では投球速度を維持するため,無意識に肩甲帯の相対的回旋角速度の変化を最小限に調整している可能性が示唆された.
著者
出口 直樹 中嶋 正明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.715-719, 2014 (Released:2014-10-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1

〔目的〕変形性膝関節症(膝OA)患者を対象に,推奨された身体活動の運動習慣に影響を及ぼす要因を明らかにすることである.〔対象と方法〕対象は,多施設共同で実施し50歳以上の膝OA患者で,疼痛および心理的要因に関するアンケートを300部配布し調査した.〔結果〕回答数は120名(運動非定着群64名,運動定着群56名)で,統計学的処理にて交絡因子を補正した結果,運動非定着群と運動定着群の間の関連因子としてWOMAC機能,運動の自己効力感が抽出され,疼痛との関連はなかった.〔結論〕推奨された身体活動の運動習慣の継続には,疼痛や心因的疼痛の影響よりも身体機能の低さや運動への興味のなさや運動を行う自信の低下が関連しているかもしれない.
著者
升 佑二郎 倉澤 裟代 小山 広泰 川手 瑞樹 山本 泰宏
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.285-288, 2016 (Released:2016-04-29)
参考文献数
18

〔目的〕股関節外転動作における中殿筋活動の利き足と非利き足の差に関わる要因を明らかにすること.〔対象〕健常な男性11名とした.〔方法〕利き足および非利き足の等尺性股関節外転トルクを測定し,その際の中殿筋上前側部の筋活動を同時に測定した.〔結果〕股関節外転0°のトルク値は,利き足の方が非利き足よりも有意に高い値を示した.また,中殿筋活動は,速筋線維の活動量の指標になる平均周波数においてのみ利き足の方が非利き足よりも有意に高い値を示した.〔結語〕股関節外転動作時の中殿筋活動は,非利き足の速筋線維の活動量が低いことが示され,障害の発生リスクを高める要因になりうると考えられた.
著者
Deed E. Harrison Paul A. Oakley
出版者
理学療法科学学会
雑誌
Journal of Physical Therapy Science (ISSN:09155287)
巻号頁・発行日
vol.29, no.11, pp.2044-2050, 2017 (Released:2017-11-22)
参考文献数
45
被引用文献数
13

[Purpose] This case series presents the unique application of the non-commutative property of finite rotation angles under addition to the CBP® mirror image® treatment protocol for adult lumbar and thoraco-lumbar scoliosis. [Subjects and Methods] Five adult patients having lumbar/thoraco-lumbar scoliosis and back pain, and having at least two prominent thoracic postural abnormalities according to Harrison’s rotations and translations of thoracic postures were included. After initial assessment, mirror-image stress x-rays were taken. For each patient, one stress film was taken using the order of mirror image movements with the largest displacement followed by the second largest (primary + secondary) and one stress film was taken in the opposite order (secondary + primary). The consecutive ordered movements that resulted in the largest reduction of curvature were chosen as the order-specific series of movements all exercises and postural traction were to be performed for each patient. Spinal manipulation was also performed. [Results] All patients had a reduction of curvature concomitant with a reduction in pain levels. [Conclusion] This unique treatment approach offers a patient-specific, targeted structural rehabilitative procedure to stress the spine towards a more straightened configuration. Adult lumbar and thoraco-lumbar curves can be reduced and improved by these non-invasive CBP methods.