著者
後藤 行延 平松 祐司 揚山 直英 榊原 謙 徳永 千穂
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

(1)骨髄由来白血球(好中球・単球)の体内動態をフローサイトメトリーで解析するカニクイザル体外循環モデルを確立した。(2)骨髄由来白血球(好中球・単球)の血中での半減期および、骨髄通過時間を指標として、これまで示唆さていた体外循環で惹起される骨髄刺激を定量的に証明した。(3)体外循環刺激により骨髄から循環血中に放出された白血球が肺に集積することを示した。(4)体外循環刺激により骨髄から循環血中に新たに放出された白血球が、体外循環術後肺傷害の病態形成に重要な役割を果たしていることが示唆された。
著者
高木 英明 張 勇兵 李 頡
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

1. 次世代の無線移動体通信システムにおける所要周波数帯域幅算出法(株)NTTドコモやノキアの技術者らと考案した次世代移動体無線通信システム(IMT-Advanced)のための所要周波数帯域幅算出法とそれを用いた周波数帯域が、2007年11月の世界無線通信会議で決定された。その方法を中心に関連技術を解説した成書H. Takagi and B. H. Walke(編著)、Spectrum Requirement Planning in Wireless Communications, John Wiley and Sons, 2008(248ページ)を出版した。その後、上記の世界標準方式を改良する周波数利用法を考案し、その待ち行列モデルの解析とシミュレーションを行った。2.セルラ移動体通信網におけるハンドオーバ数の計算とその応用セルラ移動体通信網においては、ユーザが通話中に隣のセルに移ると、そのセルで新たに周波数を割当てたり、位置情報を更新したりするハンドオーバ処理が必要となる。ハンドオーバの失敗は、通話の強制切断につながるので、ハンドオーバ数の評価は重要である。幾何学的確率及び再生確率過程の理論を応用して、移動体の一通話当りのハンドオーバ数の確率分布を計算した。同じ方法を用いて、基地局における移動体の位置情報管理のためのデータ更新の最適時間間隔を決定する理論モデルを作り、数値計算を行った。3. 時間的に急激に変化する通信負荷が通信チャネルの性能に与える影響の計算モデル無線通信システムにおける送信フレームへの周波数資源の動的割当て法として、確率過程モデルの時間に依存する状態確率の解析を行った。関連して、有限の待合室をもつ待ち行列において、全稼動期間の確率分布を、ラプラス変換ではなく、時間の陽関数として与えた。
著者
大田 友一 亀田 能成 北原 格
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

監視カメラの映像を加工して歩行者が持つ携帯型情報端末に提示することにより、死角領域を可視化する技術を開発した。このため、1)携帯型情報端末の位置・姿勢推定技術、2)監視カメラ映像を歩行者の視点に変換し違和感なく整合させるための幾何的整合技術と光学的整合技術、3)可視化した映像の重畳方式、4)視点ナビゲーション技術、5)監視カメラ映像にたまたま写り込んでいる人物のプライバシを保護するため技術、に関する研究開発を行った。
著者
片桐 孝志 軽部 潔 菅原 慶子 福田 直也
出版者
筑波大学
雑誌
筑波大学農林技術センター研究報告 (ISSN:09153926)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-10, 2000-03

茨城県が育成したイチゴ新品種'はやみのり'を供試材料にロックウール栽培を行い、'女峰'を標準品種として比較しながら、その生育および収量特性を調査し、養液栽培における適応性を検討した。両品種とも1997年9月18日に非循環型ロックウール栽培システムのスラブ上に定植した。定植後は大塚ハウス水耕用培養液A処方(EC=0.6~1.2dS/m)をかん液した。培養液はマイクロチューブにより与え、マイクロチューブの数により2段階の給液量を設定した。草勢は、気温の高くなる春期には、'はやみのり'が旺盛であった。ロックウール栽培法で'はやみのり'は、'女峰'と比較して開花、収穫開始が早く、早期収量、総収量、一果重ともに上回ったが、収量の時期別変動が大きかった。給液量を2倍にした場合、さらに開花、収穫開始は早まり、早期収量、総収量ともに上回ったものの、収穫の中休み現象を生じ、さらに収量の変動が大きくなった。また、'女峰'では見られなかった裂果が、給液量には関係なく多く発生した。以上の結果から、'はやみのり'は'女峰'と比較して、特に早期収量が多い点や、一果重が大きい点で、収益性からも有望な品種と思われる。しかし、収量に時期的な変動が見られ、'女峰'より安定性は見られなかった。また、給液量の増加により生育はより早まり、収量も増加したが、収穫の中休みが生じたことから、給液量の調節を十分に行う必要がある。さらに'はやみのり'には裂果の症状が多く見られ、品質的にも問題が残り、今後さらに、培養液管理、栽培方法などについて調査研究することが必要と思われる。
著者
安梅 勅江 田中 裕 酒井 初恵 宮崎 勝宣 小林 昭雄 天久 薫 枝本 信一郎 伊藤 澄雄 篠原 亮次 杉澤 悠圭 澤田 優子 童 連 田中 笑子 冨崎 悦子 望月 由妃子 渡辺 多恵子 恩田 陽子 徳竹 健太郎 平野 真紀 森田 健太郎 AMARSANAA Gan-Yadam 川島 悠里 難波 麻由美 呉 柏良 丸山 昭子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

経年的な子どもの発達、社会適応、健康状態、問題行動の発現への影響を踏まえ、科学的な根拠に基づく「気になる子ども支援プログラム」の開発を目的とした。全国の0~6歳児と保護者約36,000組の12年間パネルコホート調査を用い、子どもの特性別に発達の軌跡と関連要因について分析した。その結果、家庭環境要因、子ども特性要因、家族特性要因、地域サポート要因の子どもの発達への影響の大きさと軌跡を明らかにした。
著者
西保 岳 林 恵嗣 本田 靖 近藤 徳彦 小川 剛司 前田 清司
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

体温上昇性の換気亢進による動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)低下が脳血流などの循環反応に及ぼす影響、さらに、意識的な呼吸調節によってPaCO2を増加させることで、脳血流量や血圧反応が改善されるかどうかについて検討した。暑熱下一定負荷運動時及び安静時体温上昇時において、深部体温上昇性の換気亢進反応を意識的な呼吸調節によって抑制できること、さらに,このように意識的に換気亢進を抑えることで、深部体温上昇に伴う脳血流量の低下が抑制されることが初めて示唆された。
著者
武井 基晃
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究の成果は、琉球王府時代の士族およびその子孫の門中についての今日的な成果(1~4)と、歴史的な成果(5~7)に分けられる。(1)士族系門中の全体像の理解(久米系門中の現在、屋取の門中の現在)、(2)門中団体による資料刊行の事業、(3)門中団体と法人制度の改正、(4)孔子廟移転の調査。(5)大正時代の『沖縄県「註記調書」集』活用の促進、(6)琉球時代の「家譜」の読解、(7)近世の琉球通事による英・仏への対応の研究。
著者
青柳 幸一 宮城 啓子 藤原 静雄 藤井 樹也 小宮 信夫 渡井 理佳子 井上 禎男
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本共同研究の顕著な成果として、理論に留まらず実践的活動および政策論の実現を挙げることができる。そのようなものとして、まず、安全・安心まちづくりに関する研究・実施を挙げることができる。犯罪から住民を守るための具体的施策として、大人ばかりでなく子どもが参加した「地域安全マップ」の作成を推奨し、日本各地で実践してきた。他の顕著な政策論への結実として、現行の外国人登録制度に代わる新しい外国人台帳制度の提案に結びつく研究をあげることができる。
著者
岡上 雅美 浅田 和茂 葛原 力三 小池 信太郎 小島 透 中島 洋樹 松宮 孝明 山名 京子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

本研究は、裁判員制度の下における量刑とはどのようにあるべきかを、実定法、手続法および犯罪学その他の刑事学的観点から検討することを目的としていた。そこで、2,3か月に1度、研究会を開催し、実務家等による講演会を行い、会員による研究発表を重ねてきた。また、本研究の特徴は、ドイツ量刑法を紹介し、我が国との量刑実務と比較し、ドイツ法から学ぶべき点を抽出する点にあり、これもおおむね実現した。しかしながら、ドイツの量刑法は、法律上の規定があって発展してきた側面が多く、それに基づいて緻密な量刑手続がとられていることも明らかとなった。我が国におけるいくつかの提言は多岐に渡るものであり書物として公刊される。
著者
阿部 洋丈
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ネットワークを介してデータ転送を行う場合のスループット予測技術を応用したシステムの実現、および、予測技術そのものの拡張を目指した研究を実施した。具体的には、予測技術に基づいた広域の相互バックアップシステムやグリッドコンピューティングメタスケジューラのプロトタイピング、TCP 輻輳制御における恒常性の分析、および、マルチパスTCP転送への予測技術の応用などに取り組んだ。
著者
大澤 義明 小林 隆史
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

計量的考察において,具体の関東地域の自治体の将来人口を推定し20歳(18歳)以上のメディアンを算出し地理情報システムなどを用いて時間的かつ空間的に見える化し,投票年齢引き下げの影響を分析した.また,北関東3県自治体の将来予測人口と,各自治体が策定する総合計画の目標人口とを比較することにより,目標人口の過大推計度合いを定量的に明確にした.さらに,茨城県内44市町村を対象とし,東日本大震災による現時点での人口流出の影響を分析した.理論的考察において,異なる人口ピラミッドを持つ2地域にて2政策を選択するモデルを構築し,地域間距離や選挙区の大きさと各地域の投票による政策結果との関係を解析的に導いた。
著者
野村 晋太郎
出版者
筑波大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

従来の走査型近接場光学顕微鏡では、通常の光ファイバーを使うことによる円偏光の乱れ、近接場プローブのわずかな引っぱり歪みやねじれによって、円偏光が不規則な向きに乱されていた。そこで、本研究では集束イオンビームを用いて先端部と開口部の形状が軸対称に近い近接場プローブを開発した。さらにベレク補償子を用いて外部から光の偏光状態を補正する独自の手法を開発し、近接場プローブから出射される光の偏光状態を制御した。これらの手法により円偏光を近接場プローブから出射することに成功した。この円偏光走査型近接場光学顕微鏡を希釈冷凍機中に設置し、極低温・強磁場下において、GaAs/AlGaAs高移動度ヘテロ接合構造試料を局所光励起し、試料の電極間に生じるホール電圧を空間マッピングして調べた。その結果、ナノメートルスケールの領域へスピン偏極した電子を光学的に注入にすることが可能であることを実証した。さらに強磁場中でヘテロ接合構造試料中に生じる量子ホールカイラル端状態にスピン分裂した非圧縮性液体領域があることを初めて実空間で観察することに成功した。この空間マッピング測定によって得られた試料の電極間に生じるホール電圧の符号と大きさの位置依存性は局所スピン密度汎関数法に基づく計算によって説明され、最も内側の非圧縮性液体状態のスピン状態が大きな役割を果たしていることが示された。本研究で得られた成果は、例えば、消費電力を極限まで低減させるとされるスピントロニクス素子、トポロジカル素子の開発や、光学活性をもつ生体分子の研究の進展に貢献するものと期待される。
著者
付 月
出版者
筑波大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、日本における退去強制手続きの対象者である非正規滞在者の人権保障問題について、国際人権法の観点および比較法的観点から検討することである。そのために、まず、日本における非正規滞在者の実態を把握するとともに、彼らの退去強制に際する人権保障問題について、日本国内における関連する国際人権諸条約の条文解釈および条約履行の現状を把握することに努めた。次に、ヨーロッパ人権裁判所の関連判決の分析を行った。そして、比較法的な視点から得た示唆を踏まえて、日本における非正規滞在者およびその家族の退去強制にかかる人権保障問題の所在を明らかにし、具体的な法的解決策について検討している。
著者
伊藤 弘昌
出版者
筑波大学
雑誌
大学研究 (ISSN:09160264)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.87-95, 2000-03

私は、工学系の研究所でエレクトロニクスの研究をしておる者で、私共の元所長が前総長の西澤潤一先生です。大学が今新しいステップに踏み出すことが求められる時に、文部省とか国との関係だけではなく、地域との関係も重要ではないかと思っております。特に私共の大学のように仙台市という中程度 ...
著者
有馬 澄佳
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、半導体製造等の微細加工を要する製造装置・生産ラインの管理において、良品のスループットを最大化する工場内物流の管理方法と装置・生産ラインの設計方法を研究することを目的とした。ブロッキングを考慮した待ち行列とTOCを用いたマルチチャンバ装置内部の物流適正化方法を提案し実工場で応用された。また、品質保証時間を考慮して多品種生産の良品スループット向上と装置稼動率向上を同時に達成し設備総合効率を1.4倍以上向上する管理方法を考案した。
著者
徳山 薫平 佐藤 誠 長坂 昌一郎
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

遅い時刻の夕食や朝食欠食などの食習慣は24時間のエネルギー消費量に影響しないが、24時間の平均血糖値を上昇させた(研究発表論文1)。朝食前の運動は朝食後の運動に比べて24時間で脂肪される酸化の量が多く、体脂肪増加の抑制に有効である可能性が示唆された(研究発表論文2)。また非運動性身体活動によるエネルギー消費の有無が血糖調節に影響することを明らかにした(研究発表論文3)。睡眠時無呼吸が重症化するに従ってエネルギー消費は高い傾向となり、脂肪酸化が抑制されていた(投稿準備中)。
著者
三木 明子 友田 尋子
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

1.患者暴力被害事例の収集と分析病院職員に調査を実施し、患者暴力の被害事例を700事例収集し、状況別と原因別に分類した。状況別には、(1)ケア介入時に遭遇する暴力、(2)危険行動の注意・制止時に受ける暴力、(3)日常的に繰り返される暴力、(4)特定の個人または多数の被害者が受ける暴力、原因別には、(5)病気に起因する暴力、(6)病気に起因しない性的暴力、(7)感情コントロール不全者による暴力が分類された。我が国で初めて患者暴力被害の事例集(130以上の暴力被害事例を掲載、日本看護協会出版会から6月以降発刊予定)をまとめ、病院職員が暴力にどのように対応するのか、解説した。2.病院職員のための暴力のリスクマネジメントプログラム1)事例教材、チェックシートの作成暴力の価値基準の共有化のための事例教材とチェックシートを作成し、職員に試行し、活用できるか確認した。暴力発生の危険予知のために、「患者同士の喧嘩の仲裁」「危険行動の制止」「酩酊状態の患者の対応」「問題行動の制止」の場面の視覚教材を作成し、危険要因と現象をアセスメントし、チームで共通の行動目標を確認できるチェックシートを作成した。2)職員合同の暴力回避トレーニングの実施多職種構成のグループで暴力回避トレーニングを実施した。参加者からは「患者に威圧感を与えず、緊張を生まない距離や立ち位置はすぐに実践できるので良かった」「患者に痛みを与えない介入方法もあることを知ったことは大きい」など肯定的意見が挙がり、認識の変化を認めた。トレーニング1ヵ月後の面接調査では、「病院職員合同トレーニングを通して、他部署や他の職種と連携がとりやすくなった」(興奮状態の患者に対し、じっくり話を聞き鎮静化させた(成功事例)」などの意見が挙がった。
著者
市川 淳士
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

各種フルオロアルケン類に対して、金属錯体やLewis 酸による穏やかな条件下で行える求電子的活性化法を見出し、これらの活性化法をFriedel-Crafts 型環化に利用して、フッ素置換多環式芳香族炭化水素(F-PAH)の位置選択的合成法を3種開拓した。ここでは、フッ素置換基によるα-カチオン安定化効果を積極的に活用して、位置選択的な炭素-炭素結合の生成とフッ素置換基の導入を達成している。これら曲折型F-PAH合成法と直線型F-PAH合成法の両者を組合せて用いることにより、様々なピンポイントフッ素置換多環式芳香族炭化水素の系統的合成が実現できる。
著者
松原 康介
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の成果は、(1)番匠谷尭二氏を初めとする国際的に活動した都市計画家の業績解明を通じた中東都市計画史の研究、および、(2)歴史から学びえた都市計画論上の教訓の、現在のわが国による都市保全プロジェクト(JICA)への還元、の二点から報告される。審査付き論文として、(1)について国内誌1/海外誌1、(2)について国内誌1/海外誌1、の成果を上げた。また、学術的知見をJICAプロジェクト「ダマスカス首都圏都市計画・管理能力向上プロジェクト」に反映し、歴史的街道のファサード改善への提言を実施した。